アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

サクラとの遊び@



この話は…
2015年こどもの日記念小説こどもの日@こどもの日Aの続き小説です。
未読の方は先に、こどもの日@こどもの日Aから…。






何とか…甘え終わった。
ここまで格好悪いフリをしなければ誰にも甘えられないと言うのもアレだが。
俺は少し前までは母親に盛大に甘えてたのだ。

自宅に帰って一人で食べる弁当ほどつまらないものなどない。
昼間は給食でカレーだったが…。
夕飯はすき焼き弁当らしい。
すき焼きは好きだが…。
一人で食べると旨くはねえ…。

どんどん…弱さがにじみ出てる。
サクラは最近、泣き虫からイノの前で強くなっているというのに。
まだ心の痛みが癒えないらしい…。
どうしても縋り付く相手が必要らしい。
外に出て家族に甘える人間を見るほど腹が立つこともねえ。
こどもの日ほど俺にとって残酷な行事もなかった。

しかし、この技が通じるのも今のうちだろう。
クラスメイト、見てれば…全員、多動児だ。
サクラは…強いヤツが好みなのは知ってる、良き兄でいるためにも。
時期がこれば、強くなれたフリもする。

そのために鏡を見れば、強そうな表情はするが。
今はまだ涙しか出てこねえ。
事件から8か月経つのにまだ、堪えてるらしい。
目付き悪いフリも…鏡ではやるが…。
俺に今、必要なのは…恋愛とかじゃねえ、求めてるのは家族の愛だ。

サクラは、何も知らねえが。
今、一番欲しいのは漫画じゃねえ。
家族だ、失った家族と等しいものだ。
帰って来るなら戻したいが、諦めにも近い。
俺はその目で死体を見た、思い出すたびに泣く。

ナルトはイルカ先生を惹きこんでる。
俺には自分に群がる女ぐらいだ。

寝る時もベッドに一人だ。
夜が怖い。

☆☆☆

翌朝も宅配ボックスに里からの差し入れ弁当は入ってる…。
上からの計らいらしい。
金銭面はどうなってるのか俺は知らねえ。
孤児のナルトも里に世話になってる。
俺も同じなのだろう…。
厚揚げとごはん、サバの入った弁当を食べて…。
適当に鞄を持って…学級へ向かう。
ごはんが冷めてるのだけが…つまらねえ。

☆☆☆

あまり嬉しかったので。
その日も…アカデミーが終わると。
俺はすぐにアカデミーを走り去った。
帰りの挨拶だけ言ってた。

『今日も課題を与える…手編みのマフラーが出来るくらい器用な女が良い』

≪私、出来るわ?≫

≪≫の記号は…挑戦的な表情のイノだ。
発言は成績順で常に最初に話してる…。

[それは…ちょっと]

[いくらなんでも難しい…]

[少しぐらいなら]

[う〜〜ん…頑張る]

[結構時間かかるのよね…]

「しゃーなろ!
頑張る、イノは越える」

サクラはいつも元気だ。

『さよなら』

俺はサクラへ挨拶をする。

≪この…ゲーム。
サスケくん、
ゲームには私が常にリードね?
ちゃんと…深い愛を与えたご褒美として私を嫁に選んでよね?
さよなら、サスケくん≫

[さようなら]

[バイバイ]

[また明日]

[今日の課題は難易度高いけど…手芸習う]

[明日も構ってね]

イノや女子軍団が何か言ってる。

「さよなら!
サスケくん…大好き」

サクラが手を振ってる。

確かにこのゲーム、イノがリード続きだ。
しかし、イノが俺にするのでは意味がないゲームでもある。
不思議な感覚だ。
サクラにしてもらって初めてうれしいらしい・・・。

☆☆☆

そのあと…。

俺が公園を通りかかれば…。
いつも通り…聞こえてくる。

今日も男子たちは…ブランコをこいでるらしい…。

「シカマル、本当…サスケって嫌なヤツだって。
女子全員従えて…自分好みに変えようって…。
放課後、課題ばかり与えてるんだってば?
アイツ、何様のつもりだってばか?

他人の愛も分からねえ、そんな冷たい野郎だってば。
イルカ先生がアイツのこと、好きになれねえの俺、分かるってばよ。
な、チョウジ?

俺たち全員で”サスケ大嫌いクラブ”結成して…とことんまでサスケを追い詰めるってば。
俺は火影になる!
サスケは潰す。
アイツは最低だってば…」

ナルトの声が丸聞こえだ。
いつものことだ。

【めんどくせ…】

シカマルの声だ…。

◎新味のオヤツ…激辛ポテチ。
うめえ…。
また、そんなこと言ってると…サクラに殴られるぜ。
ナルト…。
俺達はサスケの悪口すら許されない身分なんだからな…。
ボリボリ…◎

チョウジの声だ。

「俺が里の女子は奪い返すってば。
サスケを痛い目に合せてやるってば。
俺はアイツとは友達になんてなってやらねえ。
アイツは俺のライバルだってばよ。
クラスの女…全員、俺を好きになるってば。
サクラちゃんも絶対、俺を好きになる筈だってば。
俺は火影になる」

公園の入り口から丸聞こえだ…。

俺は公園には入らず・・・シカトする。
俺は気配と足音を完全に消してる…。
気が付かれてないらしい…。
俺は飛び級レベルのスキルだ…。
公園の男子どもは…俺より弱いらしい…俺の気配すら感じられねえらしい…。

気が付かれる前に…公園の前にある廃墟に入る。

☆☆☆

いつもサクラが通過する公園の前…廃墟で俺は張る。
壁が…オレンジ色の煉瓦の廃墟で…。
窓ガラスは割れてる。
それから…緑の苔が生えた廃墟だ。
誰が昔住んでたのかは知らねえ。
ここで…ナルト達が遊んでることもある。
しかし、ナルト達が公園にいるときは…ここにはいねえ…。

以前は…ここでよく泣いてた。
公園には近付けなかったからだ。
一人になれる場所でもあった…。

俺は…大体、公園の前にある廃墟の塀の裏に隠れてる。
道路からは見えない。
ナルトや他の連中にばれない様に入念だ。

「やっぱり昨日買った"月刊忍者☆少女ウララ"とってもおもしろかった。

今日は続きを読み込もうっと…。

サスケくん、どこ行ったのかな?

探してるのに…。

昨日はここら辺にいたけど…。

もういないのかな…」

サクラの声だけがする。
足音も一人分だ…。
俺は足音から…判別できる…人間の数がだ。

サクラは…柳の下のドジョウを探してるらしい、俺のことだ。

最近、イノとは喧嘩をして、あまり一緒に帰ってないらしい。
イノは公園で女子達と会議をしてる。
サクラは真面目に家に帰り…漫画を読みまくってる。

俺は廃墟の塀…白い石垣を登って…曲がり角の先の道へ落下する。

それとなしに公園の方を向いてみた。

サクラが道の角を曲がって…俺の前に来る。

「サスケくん。
探してたんだよ」

今日も俺を見るなり、サクラは正面から密着してくる。

『…』

俺は何故か今日は泣き真似すらキツイ。
二日目にしてだ。
しかし、すすり泣くフリをする。

俺はイタズラがしたい年頃でもある…。
クラスメイトを困らせてみたい。
特にサクラをだ。

人からの反応も見たい。
顔見られると困るので、サクラはキツメに抱き締める。

「サスケくん…今日も泣いてるの?」

その時、俺の脳裏に兄の姿と声が蘇った。

…俺を憎め、醜く生に縋り付いていつの日か復讐に来い…

途端にボタボタ泣けた。

「本当、ナルトって酷いよね。
さっきも公園でサスケくんの悪口を堂々と言ってた。
サスケくんの何が分かるんだって感じだよね。
ちゃんと、ボコッといたから。
サスケくん、何でも私を頼ってね。
サスケくんの味方は私だけだよ」

サクラは勝手に勘違いしてくれてる。
人肌と抱擁と言葉は暖かい…。

『ありがとう…』

「私の誕生日は3月28日なんだよ?
サスケくんの誕生日はいつなの?」

『…』

俺は答えねえ。
仲良しになる気はねえ…。

今日は…長居はしねえ。

でも、明日もする…。

振り返らずに俺は走って行った。

「サスケくん、約束する。
このことは誰にも言わない。
私たちだけの秘密」

いつものことだ…。

明日も盛大に甘える…。
晴れが続けば良い…。
雨の日は傘を差してまではしねえからだ…。

俺は雨の日が最近、大嫌いだ。

☆☆☆

俺はイタズラが大好きらしい。
人を困らせるのが楽しくてたまらねえ。

帰宅すれば一人の弁当だ。
今日は鮭の海苔弁だ。
4日前、果物屋でまとめ買いした赤いリンゴは丸かじりだ。
トマトもまとめ買いすることが多い。
毎日通うのは嫌だから…最近はまとめ買いだ。

動揺するサクラの表情が頭に浮かぶ…。

サクラが…俺を心配してる。
それも面白くてたまらねえ。
これは遊びでもある。

ナルト達は…公園で放課後、コソ泥ごっこをしてる…。
鬼ごっこもだ。
ナルトは…友達だらけだ。
自覚がねえらしいが…。
ナルトは毎回、鬼役だ…。

みんな、ナルトから逃げるくせに会話はしてる。
ナルトを批判する人間より俺を批判する男子の方が圧倒的に多い。
嫉妬もあるのかもしれねえが…。
俺の瞳にはそう映る。

ナルトは…俺の目から見れば偽善者だ。
他人の悪い面を認めねえ。
俺の闇も理解はしねえ。
俺も一族を失う前はそうだった…幸せすぎて人を疑うこともなかった。
だからこそ、分かる。

全員、幸せにする…とナルトはよく言う。
しかし…それが出来ねえこともある。

例えば…一人の人間を…二人が好きになる…。
一方は…諦めなければならないのか?
どっちも幸せになれるわけでもねえ。

定員が決まってる試験でもそうだ。

俺はどうすれば…兄を止められたのか…。
狂乱に追い込まなかったのか…。
常にそれを考えてる。
どうすれば…兄も…一族も…俺も…幸せになれたのか…。
ナルトはいつもあんな大きなことをよく言うが。
ナルトが俺ならいったい、どう対処したのか。
不思議でならねえ。

ただ、俺には集団への構ってアピールは昔から無理だ。
今、クラスを困らせてる行動が俺にとっての…構ってアピールだ。
人の反応を見るのが、存在価値を確かめられる瞬間でもある。

サクラの抱擁は暖かい。

ナルトはクラスメイトの男子を友達とは認めてねえらしい…。
しかし、里の仲間と認めてるらしい…。
それが全く理解できねえ。
ナルトは友達だらけだ。
ナルトにとっての…友達とはどういう概念なのか…一度、尋ねてみたいものだ…。
どう見てもクラスでアイツは…友達いっぱいだ。
アイツの性格で出来ねえわけがねえ。

里の大人はナルトを差別してるらしいと…。
トイレの個室で…男子らの会議を隠れ聞いた。

シカマル、チョウジ、キバ、シノ…男子4人の会話を要約すると…こうだ。

”隣里にいる砂がくれの我愛羅のようにいつ性格が急変する可能性もなきにしろあらず…体内にモンスターがいる。大人たちは近づくなと言う”

しかし、子供は正直だ。
クラスメイト全員…ナルトを認めてる…その人格をだ。
それが羨ましい…それからそれがない自分が悔しい。

ナルトは社交性にたけ、明るく世渡りの達人だ…俺の真逆だ…他人を疑わず、自分を信じ…果敢な勇者だ。
俺は内向的で孤立を望み…他人を疑い、自信はなく殻にこもり、他者を廃絶する人間だ。

俺の個性も認められるべきだ…しかし、それは晒さねえ。

俺は強くなる…強く振る舞う。
それしか道はねえ。
とにかくガンを飛ばす練習をする。
威圧的な目で相手を見る練習をし続ける。
他人には強いと思われたいからだ。

☆☆☆

俺は隔離された寮室へ帰って…机の上に辞書を広げて…格好良さそうな言葉を探しまくる。

”ガンを飛ばす”…それから…”インネンをつける”…。

全部、強く見せるためにヤクザがすることだ…。

俺は強く振る舞いたい。

だからこそ…。

そんな練習を…寮室の窓ガラスに映る自分の顔を確認しながら…する。
昔、母親や憎き兄の前でしたように…泣いて甘えて一生を終わらせる訳にはいかねえ。
そんな男、魅力もねえ…忍者界では舐められる…馬鹿にされるのがオチだ。
しかし…今年、いっぱいは甘えたい。
クラスでイタズラもする。

しかし…強くなる。
絶対にだ。

強く威圧的になる。

☆☆☆

朝、部屋の宅配ボックスに入ってる弁当に…味噌汁がないのだけが…困るところだ。
母さんが作った味噌汁の味が恋しい。
俺の母さんは慎ましげで…料理上手だった…とても家庭的な女性だった…。
才色兼備で貶すところなんて一つもなかった…。
毎朝、味噌汁が出てた。
ホカホカのごはんに…綺麗に切られた林檎が出ていた。
トマトもよく出ていた。

今だから分かる…俺は幸せの絶頂だった…全部、兄に奪われてしまった…理由は不明だ。
…己の力を図るため…あんな理由では納得できない…。

☆☆☆

その翌日も…アカデミーが終わったら、
放課後のゲームには『味噌汁が作れる女が良い』と言っておいた。
そのあと、女子たちにサヨナラだけ言ったら…すぐにアカデミーは走り去る。
俺の脚はクラスで一番だ。

そして…。

石垣の裏でサクラを…息を殺して待ち伏せする…。

「サスケくん、今日はいないのかな…。
昨日はここにいたんだけど…。
この時間。
今日は走って来たけど‥」

また石垣によじ上って。
サクラが曲がり角を曲がる前に…道へ落下する。
今日は背中を向けてみた。
向こうの道へ行くふりだ。
サクラの目からは俺が来てる黒い洋服の背中にある”うちは一族”の家紋…赤いウチワのような模様が…見えるだろう。

「サスケくん…」

大体、俺を見れば…サクラはすぐに密着してくる。
今日は背中からギュっとしてる。

「会いたかった」

『俺は忙しい』

「サスケくん…ナルトのことだけど」

俺はここで…サクラの方を振り返り…抱き締めて。
泣くフリをしなければならない。

これは困らせるための遊びだ。

今日は…

(自宅に帰れば俺だけが一人で弁当だ…ごはんは冷や飯で味噌汁もない…林檎も丸かじりだ…、成績が上がっても抱き締めて褒めてもらえる人も…いねえ…)

その憎しみで泣いた。

俺の頭に兄が”なぜ弱いのか?憎しみが足りないからだ…”と聞こえてきた…。
途端に震え泣いた。

「サスケくん…本当、ナルトって最低な奴だよね。
先生まで自分の味方にさせて全員一致でサスケくんを苛めてる」

怒りの矛先がナルトへ向いた。
これは正解だ。
俺はうれしいさと兄への憎しみで怒り震え泣いた。
ここら辺は演技と本音だ。

「サスケくん…私はクラスでサスケくんの味方だよ。
他の女子たちはサスケくんのモノを取ることしかまだ考えてないみたいで…」

兄のことを思えば…ボタボタ泣けた。

「サスケくん…。
本当にナルトって悪い奴だよね。
口で全員洗脳して味方につけて…先生までコッチに向けて…確かにサスケくんの悪口散々。
サスケくんのこと、

”冷たくて愛の分からない人間だってばよ”

って今日も公園で貶してる。
昨日とほぼ、同じセリフ…。
本当に酷い。
私はちゃんと殴っといたから。
ナルトって本当に最低なヤツ」

俺の味方がやっとできたらしい。

『ありがとう…』

「サスケくんは本当に凄い。
私なんて恋愛漫画しかいつも頭にない。
サスケくんは強くなることに一生懸命専念して授業中も前を向いてる。
クラスメイトみんな自分勝手なのに…」

『…』

「それなのにイルカ先生もナルトしか褒めてない。
サスケくんを褒めてない。
泣いていいんだよ?
私の深い愛にやられて、サスケくん私をお嫁さんにしてね」

『ありがとう…』

「今はサスケくん、泣いてるけど。
私には分かる。
サスケくんはきっと強くなる。
少女漫画でも良いのには早めに手を打たないとってあった。
私は分かる。
サスケくんはきっと強くなる。
私はサスケくんに期待してる。
サスケくんじゃなく、ナルトにばかり期待するイルカ先生の話なんて、あまり聞いてあげない。
ナルトだけラーメンおごってずるい…」

『ありがとう…』

サクラはやはり…強い男が好きらしい。
あくまでも俺が強くなることを期待してすり寄ってるらしい。
それでもまあいい。
ナルトも盛大にイルカ先生に期待されてる…ドベの癖に。

「サスケくん、大好き」

俺は…何も最後に言わずに走って行った。

「サスケくん…気を悪くした?
もしかして怒ってる?
今、サスケくんが…めげてることに関して。
早めに手を打つっていう言い方良くなかったかな…。
ごめんね、サスケくん。
私を好きになってね」

別に怒ってはいねえ。
また明日もよろしくだ。


☆☆☆

翌日、アカデミーが開始される。

最近、サクラはシカマル、チョウジの班だ。

俺はヒナタとナルトの班だ。

全く楽しくはない。

4時限目の課外授業でクラスメイト全員がイルカ先生に引き連れられる。
畑まで来た。

人参大根、キャベツ…。
いろいろ植えられてる。
カラスよけに案山子があるが…ボロボロだ…。
地面に恐ろしい…蛭がいる…大きさがウシガエル並みだ。

「4時限目の課外授業。
今日は班で…ここにいるウシガエル並みの蛭を退治する。
農家の方々もとても困ってる。
下忍になればいろいろな任務を請け負うことになる。
これは初級クラスだ。
AAAランクだ。

この蛭には毒もない。
血を少し吸うだけだ…献血レベル以下だ。
血を吸われると蛭が歯から出す小さな麻酔で、倒れる…。
そこは注意しろ。

しかし、安心しろ。
…俺が持ってる薬を…飲ませれば…すぐに目が覚める。
蚊の巨大版だと思ってくれていい。
危なくなったら俺がすぐに助ける。
頑張って、退治しろ」

イルカ先生が号令する。

「下忍になれば…これが…有毒蛭に変わる。
薬が効かねえ奴もいる。
もっと、大きなモンスターを倒すことになる。
自分の体よりデカいモンスターだ。
これぐらいは倒してもらいたい。
見た目はウシガエル並みで凶悪だが…。
この蛭は温厚な種類だ。
ただ…畑を荒らしている…。
足で簡単に潰れるレベルだ…。
怖がらず、もぐら叩きだと思って頑張れ」

イルカ先生が怯える生徒共に…命令する。

[見た目が怖い]
[許せない]
[顔が兇悪]
[私の手が汚れる]
[可愛くないからイヤ]

女子から避難轟轟だ…。


今回は…畑にいる蛭を退治する授業らしい…。
イルカ先生に連れられた先の畑…。

ナルトがヒナタの方を見る…。
途端に…ヒナタは道端で気絶する…。

「貧血だってばか?
蛭が怖かったんだってばか?
確かにデカいってば…」

俺は返事しねえ。
ヒナタは道端で…死んだふりをしてる…。

「この畑にいる蛭、サスケにやられる前に、俺が手づかみで取るってばよ。
俺は火影になる男だ。
サスケにだけは負けねえってばよ…」

ナルトは手づかみで蛭と格闘してる。
ナルトに出来る訳もねえ。

…すぐ血を吸われて…倒れてる…。

「やられたってば…。
でも俺は負けねえってば…。
里の女全員に俺を好きになってもらうまでは…。
サクラちゃんもイノもヒナタも俺を好きになってもらうまでは…。
俺は火影になる…サスケは倒す…」

悶絶しながらナルトは気絶した。

「ナルト…大丈夫か…棄権しても良いんだぞ」

イルカ先生が近寄って、ナルトに説得する。

「俺は火影になる。
諦めねえ」

最後の言葉を残し…本気で倒れた。

さっきまで貧血のフリして棄権してたヒナタが…ナルトを見てる…。

||「ナナナナナ、ナルトくん…」||

俺の方へは無表情の視線、完全無視だ。
ヒナタは急に元気だ。
久しぶりに自分の名前が出たから…余計らしいな…。
ナルトは最近、サクラの方ばかりチラチラ見てるからだ…。

イルカ先生が…ナルトに何か食べさせた…。
途端にナルトの顔色が良くなった。
救急薬らしい…。

ナルトが目を覚ます…。
ヒナタは焦って、また…道端で死んだふりだ…。
目まで瞑ってる…顔が真っ赤だ。

「みんな、見たか。
この通り、俺の持ってる薬ですぐ目が覚める。
早く、蛭を足で仕留めろ」

イルカ先生がみんなに促す。

[ヤダ、気持ち悪い]
[男子に任せた]
[これは精神的に無理]
[私はサボる]
[蛭なんて嫌い]

女子たちは文句ばかりだ…。

どの班も…男子がしてるらしい…。

シノとキバの班も…。
シノが虫で、蛭を倒してる。
キバは赤丸に噛ませて倒してる。
イノは見てるだけだ…。

≪私は嫌よ。
寄らないで…ウシガエル並みの大きな蛭なんて。
私の美貌に屈して…男子たち従いなさいよ…≫

女子のトップ…イノまでが逃げ腰だ。

☆☆☆

俺は溜息を吐いた。

いつものことだ…。

俺の班に…役に立つ人間などいねえ…。

ナルトは蛭に手を出すたびに噛まれてる。
また噛まれて寝込んでる。
ヒナタが起き上がり、心配そうに見てる。
イルカ先生がナルトに薬を与えようとする。

俺は火遁龍化で一発で…巨大蛭どもをヤリタカッタが。

作物が荒れる…。

仕方なしに、クナイでやる…手裏剣でサササっと終わらせる。
ほぼ、個人プレーだ。
それで終了した。

☆☆☆

シカマル、チョウジ、サクラの班は…。

【めんどくせ。
カゲマネの術で捕まえた。
あとはチョウジに任せた】

◎おう、俺の体重でつぶれろ!
蛭ども◎

シカマルがカゲマネで止めた蛭を・…チョウジが自分の体重で押し殺してるらしい…。

【やったな、ちょうじ。
ああ、めんどくせ…。
サクラ、見たかよ?
俺の能力。
男ってものはこうじゃないとな?】

「サスケくんの強さを越えてから言うのね…シカマル?
相手にしないわよ。
私はサスケくんだけよ。
じゃ、サスケくんのところへ行ってくる」

【つめてえ・・・。
女は男に黙って従えよ…。
ああ、だりい…】

ざまあみろ。
サクラは俺の強さを越えないとまず、相手にすらせん。
いつも言ってる。

シカマルもMらしいが、学習しやがれ…。

サクラが班を脱退して…。
俺のところまで来て…。

「サスケくん、凄い。
手裏剣技痺れる…。
強い強い!」

激褒めはしてくれる。
畑の蛭を仕留めた。
かなりの数だ。

そこで…。

イルカ先生が

「班を抜け出すのは忍者としてあるまじき行為だ。
サクラ、自分の班に戻るように…」

サクラを叱る…。

≪そうよ?
サクラ。
私もシノとキバの班に仕方なしにいるのよ?
だから私が常に成績リードしてるのよ?
底辺がすることは違うわね…≫

イノも批判してる…。

「サスケくんよりナルトを期待して、ナルトにだけラーメン、奢るイルカ先生の言うことなんて聞かないよーだ。
イーだ」

子供らしくサクラが反発してる。
口がイの字だ。


「サクラ、言うことを聞け。
忍者で掟は絶対だ。
掟破りは死罪も覚悟しなければならない」

イルカ先生が口を酸っぱく叱ってる。

「私はサスケくんの言うことしか聞かないから。
イー」

サクラが反抗してる…。

「少し前まで可愛かったクラスの花、おまえがどうしたんだ?
女子たちも言ってやれ…」

イルカ先生が焦ってる。


≪サスケくんは強い人が好きなのよ?
あんたみたいな弱くて不真面目でだらしのない女、
嫌いに決まってるわ。
サスケくん…私の美貌を見てね?
サクラ、班に戻りなさいよ?≫

「しゃーなろーだ!」

サクラは我儘を言ってる…。

こんな行動をしてるのは…クラスでサクラしかいねえ…。
ナルトですら班に毎回、留まってる。
サクラの言うとおりだ。
里の規則を変えて…。
自由な班行動にすればどれだけ楽しいか分からん。
俺は3人班ではなくていい。
2人班希望だ…。

[ドベの分際で…生意気よ]

[サスケくんは強くて、固くて、料理上手で、家庭的な女性が好きなのよ?]

[アンタなんてフラフラしてるの好きになる訳ないでしょ]

[ちゃんとルールってものぐらい守りなさいよ]

[忍者で掟を守れないなんて屑野郎よ]

[ドベはすることまで違うのね?]

[サスケくん、私を見てね?]

[私はきちんとしてるし…とっても優秀な女よ?]

他の女子軍団数名も、遠くからサクラを批判してる…。
自分たちは全く退治せず、男子にやらせてる癖にだ…。

「しゃーなろ…。
サスケくん…私のこと、キライにならないでね…。
私、サスケくん…大好き」

サクラが俺に密着してくる…。

『班に戻れよ。
邪魔だ』

”サスケくんじゃなく、ナルトにばかり期待するイルカ先生の話なんて、あまり聞いてあげない。
ナルトだけラーメンおごってずるい…”
昨日、放課後…俺との抱擁中にサクラはこう言ってたから、イルカ先生の話を聞かないのだろうが…ココは俺が叱っておく。

一応、場の空気を読んで、サクラはギロリと睨んでおく。
ついでに引き離して…アッチ向いて溜息を吐く。
これぐらいでいい…。

これは…一昨日、練習した。

「サスケくん・…。
くすん…。
わかった…」

サクラが肩を落とす。

何とか…強く振る舞えた。

こういうときだけ…俺は強いのだが…。
放課後の行動で…減点されてねえか…心配でもある…。

本当に可愛い従順な妹だ。
里の規則より、イルカ先生より…迷わず、俺を選んでくれた・・・。
そんなヤツは…サクラしかいない。
アホなレベルで俺を愛してくれてる。
俺は本当は涙が出るレベルで嬉しい。

こんなアホなレベルで俺のことを愛してくれる女を俺が好きにならないはずはない。

☆☆☆

このあと…放課後になれば…尾行をする。
俺はサクラを黙って抱き締めてる。
サクラは一方的に会話してる…。

「サスケくん、いたいた。
いつもこの時間。
ココにいるのは私だけの秘密だよ」

俺を見るなり…ダイビングだ。
俺は…泣き出す。
今日は違う理由だ。

(イルカ先生の言うことも、里の規則も、忍者の掟も反発して…俺の元に来てくれたのは。
おまえだけだ。
それがどれほど嬉しいか。
わかってない)

自然と涙が出た。

「今日もナルトならボコッといたよ。
ナルトにばっかり優しいイルカ先生にも反抗したけど…サスケくん…あれは…嫌みたいだね。
幻滅した?」

『うざい』

「そうだよね…。
ナルト、本当に悪い奴だよね。
常に二言目にはサスケくんの悪口しか言ってない。
サスケくんをとにかく陥れようとしてる…。
最低なヤツ」

『ありがとう…』

(今日の果敢なおまえに感謝してる…。
ここまで優しくしてくれてありがとう)

「サスケくん、私、マフラー編むのはちょっとまだ難しい…。
それから味噌汁も…。
それに…花の入れ替えも時々さぼっちゃう…。
あと…最近、強い男の人見ても目を光らせたり…フシダラなのは治す。
サスケくんが私は好きでたまらない。
サスケくんが手裏剣技を繰り出すたびに私はもうドキドキ。
大好きすぎる。
これから先も私は頑張る。
サスケくんも私を好きになって欲しい」

そこで俺は何も言わず…サクラを引きはがし、背を向けた。

「サスケくん…」

『うざい』

照れてる、背中を向けて…、走り去った。

☆☆☆

自宅に帰れば、サクラが俺のためにイルカ先生に反発したことを思い出して俺は涙する。
このクラスで忍者の掟、里の規則を破ってまで…俺に走り寄ったのはサクラだけだ。
それが今の俺にとってどれほど嬉しいか…きっと誰にも分からないだろう。
掟破りは死罪だともイルカ先生も言ってる、それに反抗してまで来る…。
誰もドベのナルトですら掟にはずっと順守してる…忍者なら当たり前だ、初歩の初歩だ。
俺は本音は掟を破ってサクラとどこか外へ出たい。
しかし、サクラには力がない、俺も非力だ…耐え忍んでる。

☆☆☆

そういう雰囲気で…アカデミー2年の5月以降からは…。
帰り道毎日尾行してサクラに慰めてもらった。

結局、雨の日を除くほぼ連日だったが。
サクラは…自分が俺を発見してると信じて疑わない有り様だ。

言い訳を俺は一切、言ってない。
毎回…良いようにサクラは勘違いをしてる…。

「ナルト、確かに悪い奴だよね・・・」

ナルトに苛められてクラスで阻害されて俺は泣いてる。
そう思われてるらしい。
アカデミー2年の他のクラスメイトを見れば…そんなノリの人間もたくさんいるのかもしれねえが…。

ナルトも

『構ってくれってばよ、友達になってくれってばよ』

と言いながら…。
いつも泣いて…ラーメンまでイルカ先生と食いに行ってるらしいが。
次元が違う。

しかし、訂正はしねえ。
ナルトと同等扱いってのが気に食わねえが。
俺はほとんど話してはいねえ。
勝手にサクラは…最近のことを語り始めてる。
大抵、

「ドベだから…毎日、お母さんに怒られて…。
成績表見る度に泣かれて…」

とか…。

「サスケくん、今日もナルトのことをボコっておいたから」

とか…。

「サスケくん、私の深い愛にやられてお嫁さんにしてくれるよね?」

とか…。

「サスケくん、何でも言ってね」

この調子だ。
俺は聞き役だ。

お蔭で救われてる。
女子どもにサクラが”にぶくて、とろくて、ノロマで”と苛められてた理由も…。
俺にはわかる…。
しかし、そこが良いところでもある…。

俺が黙っていれば…サクラはどんどんナルトに対して怒りが沸いてるらしい…。
勝手にそんな話になってるらしい。
それも俺は黙って聞いてる…まだ気力が沸かねえからだ。
サクラの手前、元気になったフリをしてるだけだ。
学校でも喋れるようにはなれた、しかし演技だ。
サクラだけに会話すれば、女子ども怖いからだ。

別に喋りたいわけではねえ。
家族の抱擁が恋しいだけだ。
ナルトは教室でもイルカ先生にいつもされてる。
外でも何人の子供がされてるか分からない。

俺も黙っていれば、してもらえることを学習したからだ。
サクラは毎回、俺が一人の時には向こうから走って来て俺を抱き締めに来る。
そういうことだ。
俺がしろと命令してる訳でもねえが、勝手に来る。
拒むこともねえ。
俺が泣いてても、勝手に勘違いを始める。
そういう女だ。

頭の中身を覗いてみたいとも思うが…俺とは思考回路が違うみたいだ…。
毎回、サクラから出てくる会話に俺は驚きぱなしだ。
行動が予想付かねえという意味では新鮮でもある…。

耳は異常に良いから。
大抵、誰かが近付きそうになった頃には引き離す。
そして…走り去る。
それですら・・サクラは勝手に勘違いをしてる。

大体は…最後に自分がした台詞に対して怒ってるのか?と解釈してるらしい。
後ろから

「サスケくん、ごめんね…そんなつもりじゃなかったの…」

これだ…。

訂正もしねえ。
別に怒ってもねえ。

☆☆☆

サクラも家に帰れば家族に抱き締められてるんだろう。
サクラは節々で甘やかされて育ってるということを感じることがある。
しかし、俺にも…そんなサクラが与えられてる愛を少し分けて欲しい。
サクラとの抱擁は俺にとって失った家族からの抱擁に近いぐらい満たされてくる。
代わりなどいねえ、しかし…悲しみや怒りが収まる。
そんな類だ。
サクラから毎日、家族の話題を聞かされる。
お母さん、お父さんに関する話だ。
どんどん、サクラの家の事情について詳しくなってる。
やはりサクラはいろいろ甘やかされてるらしい。
俺はその時、失った家族を思い出し、少し自分もサクラになれた気分を味わってる。

サクラに対して怒りは沸かねえらしい。
ナルトに対して嫉妬は沸く、クラスメイトにもだ。
サクラは俺の妹決定因子だ…家族も同然だ、怒る訳もねえ…。




こどもの日A

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サクラとの遊びA続き









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