アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

サクラとの遊びA



こんな関係が…半年も続いた。
俺は成績は独走状態だ。

季節は、11月中旬。
肌寒い季節になって来た…木枯らしが吹いてる。
去年の11月のことを思い出す…。
手裏剣5キロ級の授業の時だった…。
サクラと俺、シカマルで班を結成して…。
魚釣りをした頃の話だ・・。

サクラは少しドベからちょっと挽回できつつあるらしいが…。
下から3番目ぐらいになれた…。
しかし、相変わらず、学校では漫画ばかりだ。

「成績が上がったからお母さんからご褒美に少女漫画をたくさん買ってもらえるみたいなの。
ドベから3番記念は…3冊なんだって。
もう私、嬉しくて。
これからも頑張って勉強する。
一日では決められないから…最近、忍者書店に通って、どれを買おうか…毎日悩んでるの」

漫画をどれにしようか悩み過ぎて買えないらしい…優柔不断な女だ。

俺との放課後の抱擁で…知ったことだ。
あれも…雨の日はさすがに避けてる…。
サクラは鈍すぎる…。
そろそろ気が付いても良い気もする…。
いくらサクラがアカデミー2年でドベから3番目とはいえだ。
サクラは自分が毎回、俺を尾行して発見できてると信じて疑わねえらしい。

放課後は俺を追ってるらしい・…。

柳の下のドジョウは二度といないとコトワザでも言う…。
偶然な訳もねえ。
サクラは時計を片手に…。

「確か昨日はこの時間だった筈」

不思議の国のアリスの主人公みたいなありさまだ…。
懐中時計を手に持ってる。
サクラの頬は俺を見ればいつも真っ赤で愛くるしい。
俺は仕方なしに時間も定時にしてる…。

「サスケくんって本当、きっちりした性格だよね。
秒刻みにスケジュールが決まってるんだね…。
晴れの日は絶対、この道を通るんだね。
雨の日は…どの道なの?」

ビックリする解釈の仕方だ…。

「女子達にはまだ、教えてないから。
この時間に必ずこの道を通ることは私とサスケくんだけの秘密ね…」

そういうことにしておく…。

その定時に因みに男子軍団が通りかかった時も俺は降り立つ。
その時は泣かねえ。
サクラは勝手に密着してる。
男子らは白い眼差しで俺を見るだけだ…いつものことだ。

☆☆☆

サクラと女子が来れば…それでも一応、降りる。
だが、すぐ女子から一瞬で走り去る…近づく前に背中向けて去る…。
サクラのように…柳の下のドジョウがまたいると考えるアホは…他の女子にはいねえらしい…。

一応、ばれねえように…他の女子達とは…毎日、時間を変えて転々と場所も変更して遭遇するようにしてる…。

だから、今のところ…バレテねえ。

どうせ家に帰っても家族もいねえ…一人だ…まっすぐ、帰らずウロウロしてる…これは俺なりの遊びだ。

夕暮れ時、河原で川に映る夕日を座り込んで見詰めてることも多い。
川に鏡のように…後ろが見えるから便利だ。

女子たちも出現場所がバラバラだから、偶然だと思ってるらしい。

サクラだけは、昔からそんな思考回路だ…規則性などあるわけねえ…あったとすれば、それは必然だ。

そんな時は…。
一回、離れて…。

遠方まで…サクラを尾行して…一人になったあたりを見計らって…。
姿を現せることもある。
偶然、そこは忍者書店だった。

「サスケくん、離れたから…ずっと探してたんだよ。
いつもこの時間はこの場所なのかな?
忍者書店にいるのかな?」

サクラは…相変わらず…忍者文庫の少女マンガをどれを買おうかと…悩んでるらしい。
俺は術式の新しい本を買うのを選んでるフリだ。

「忍者文庫の少女マンガ面白くて。
私、いつも新刊のチェックは欠かせないんだよ…。
どれにしようか…毎日、悩んでるんだよ…。
サスケくんは術式の本なんだね。
すごいね。
えらいね」

俺は返事はしねえ。
サクラは…まだ買うのを迷って買ってねえらしい。

「”忍者初歩の術式…。忍者体術の心得。忍者暗号の解読方法。サクッと強くなる忍術。幻術の基本”
何だか…難しそうな本だね?
サスケくん?」

サクラは俺に密着してる。
今日は忍者書店だ…泣く気にはならねえ。
店員が見てる…。

『…』

俺は機嫌が悪い…返事すらしねえ。
泣いて甘えられないからだ…。
人が多すぎる。

しかし…サクラはポケットに入ったノートにメモしてるらしい…。

「この時間は…サスケくんは忍者書店で本を選んでいるっと…」

サクラは手に持った懐中時計を確認してる…。

サクラの中での俺は…定時に物事をする規則正しい人間だと思われてるらしい…。
ロボットでは俺はねえ。
しかし、敢えて…それに乗ってやる…遊びの一環としてだ。

俺はウザギ役、サクラは不思議の国のアリス役だ。
割りと楽しい遊びだ…。
自宅へ帰ると俺はいつも癒されてる。

「サスケくん、私…どの忍者文庫の少女マンガ買うべきだと思う?
サスケくんの好みはどの漫画」
『うざい』
ココは本気で答えねえ。

☆☆☆

俺は放課後の演技では…まだ…何も言ってねえが、ナルトが俺を苛めてる。
先生までナルトが誘導させて、先生と一緒にナルトが俺を苛めてる。
男子たちも苛めに参加して…サスケくんは凄く堪えてる…。
そんな話にすりかわってるらしい・…。

☆☆☆

翌日も晴れだったから…。
しかもサクラが一人で曲がり角に来たから…。

いつも通り、登場した…。

「サスケくん…」

『サクラか…』

サクラが俺に密着しに走る。
俺の前にサクラが来る。
俺は泣きに入る…。

最初は同情もしてくれた…。
しかし…あまり毎日だから…。
サクラにも呆れられたのか…今日は違う反応だった…。

「サスケくんはトップなんだから。
ドベのナルトなんて何言われても相手にしない方がいいよ。
サスケくんが人情味に溢れてるって私は知ってる。
私はサスケくんの友達になれたらな…」

今日は、説得された。

サクラがいうのも正論だが…まさか、ドベから3番目になれたから良い気になっているのだろうか…?

「サスケくん…私、ドベから3番目になれたんだよ。
褒めて。
もう嬉しすぎて…。
サスケくんも、私を見習って強くなって」

『…』

サクラは俺が泣いてる時ですら、胸元にすり寄って頬が真っ赤だ…。

「少女漫画でも男の子は泣いちゃダメだって描いてた。
そんな男はモテない、魅力ないって。
サスケくんが強くなること、期待してる」

『…』

少し、ブチ切れそうでもある…。
それから…泣きそうでもある…。
ドベから3番になれたぐらいで図に乗ってる…。
いつも通り、ありがとうなんて言わねえ。
言い分が通ってるのも腹立つ。

「サスケくん…大好き。
強くなれること、応援してる。
しっかりして。
私、強くないサスケくんなんて好きになれない。
サスケくんは絶対、強くなる…」

違う意味で泣きそうな発言だ。
これは…俺を説得してるつもりなのか…??
振ってるのか?
それとも応援してるのか?
涙が違う意味でボタボタあふれ出た。

「サスケくん、ファイト」

おまえは…俺の気持ちを…何もわかっちゃいねえ。
どれだけ一人の弁当がつまらないか…。
しかし、それでも俺は続けてた。
サクラに呆れられてもいい。
今一番ほしいのは親のように甘えられる存在だったからだ。
サクラを利用してた…。

俺は、サクラを引きはがし…反対向いて走り出した。

「サスケくん…。
期待してるから…。
私でもドベから3番になれたんだもの。
サスケくんなら絶対、できる」

後ろで何か言ってる…。
期待している…そういう意味らしい…。
しかし、何故か上から目線に感じる。
母親目線だ…まるで、妹と言うより…。
余程、ドベから3番目が嬉しいらしい…。
俺も祝福はしてやる。

サクラは良い母親になれそうな気がする…。
嫁さん候補として誰からも愛されそうなキャラでもある。

お陰で心は少し回復した。
連日だったから…。
泣くのも大変だった。
最初の頃は本当に泣いてた。
だんだん演技で泣いてた。
最後の方は泣いてないのに顔を見せず泣いてるフリしてた。

夕日が…空に落ちて行くのが見えた…。

☆☆☆

雨の日は…放課後の抱擁が出来ないからつまらない…。
雨の日は家で寂しく…一人でいる、弁当を食べて…泣いてる…。
飯がおいしくない。
あの事件から1年2か月…まだ俺の心は、完全に癒えてない。

俺の誕生日の7月23日も…寂しくて泣き狂った、サクラの胸で…俺だけ家に帰ってもどうして祝ってもらえないのかと…兄と天を恨んで。
俺は…何故かサクラに…ナルトのように”今日が誕生日なんだ”と言う気になれねえ…。
ナルトは言いまくりだ…10月10日だったらしい…。

「10月10日…今日が俺の誕生日だってばよ。
サクラちゃん、俺のこと好きになってくれってばよ。
祝ってくれってばよ」

しかし…サクラに

「ドベの誕生日なんて祝う訳ないでしょ」

と強い力でボコられてる。

俺はサクラが…不安でたまらない…どうして俺の誕生日すら…知らないのかと…。
俺の家族のことはまだ言ってねえが…。
俺の兄弟関係も知らないのか??
サクラが一人っ子で両親に甘やかされてることは…サクラから聞いて既に知ってる…。
誕生日、おめでとうと…手紙ぐらい…期待してたのだが…なかった…。
言わなくても調べて欲しかった…俺は言えない性格だからだ…サクラに伝えるのは、何故か照れるらしい…。

”サスケくんが好きでたまらない。
私、大好き。
何があっても愛す。
私はサスケくんにベタ惚れ。
サスケくんだけ常に特別扱い”

こんなラブレターの連日、攻撃や、愛妻弁当を…毎日、待ってるのだが…まだない…。
もうそろそろ来ても良い頃だと思ってるのだが…。

まだ、靴箱にいっぱいのラブレターのシーンがないのだが…これはどういう意味なのか??
疑問はある…。
この里の女子どもは変だ。

それは、この里に住む大人たちは道徳に乏しいと…俺が入院中の精神病棟でも猛烈に感じたが…。
サクラは…親に洗脳されて強い者に群がってるだけなのか?
不思議でたまらない。
しかし、それでも利用させてもらう。
俺の武器は誰よりも強い成績ぐらいだ。

そう思ってたが…判明した。

このクラスで俺の誕生日に…。
女子たちが離れた後、”おめでとう”と、祝ってくれたのは…イノだけだった。

不思議に感じて、俺は聞いた。

『どうして、おまえが俺の誕生日を知ってる?
それから他の女子は何故、知らねえ…』

≪それはね…常に私がサスケくんのことならリードしてるからよ。
私はマフラーも味噌汁も出来る、固い良い女よ、サスケくん?
サスケくん、7歳の誕生日…おめでとう≫

この瞬間、俺は悟った。
イノが情報を操ってる。
イノがサクラに…俺の誕生日に関する項目も流さないように仕向けた。
そう信じたいと願った。
イノならやりかねん…。
サクラと友達になるふりをして…俺の恋をサクラに協力されたような女だ…。
しかねん。

違う可能性もある…。
サクラが純粋にアホで知らずに・・・イノが情報に関してリードしてる。
イノが…転身の術で…誰かに乗り移り…名簿を見たという可能性もだ。
イルカ先生がそこまで抜けてるのかは知らねえ…。
どこで知ったのかも分からねえ・・。

だが…何故か、イノに祝われて嬉しいとは感じなかった…。
俺はイノがしてることを”深い愛”と認める気はねえらしい…。
真相は謎だ。

サクラは俺に…

「私の誕生日は3月28日なんだよ?
サスケくんの誕生日はいつなの?」

と聞いてるが…、俺は返事をした試しもねえ…照れると”うざい”しか言えねえ…それか無視だ。

一族の命日の9月も…サクラに抱き締めてもらい…泣き怒りまくった…俺だけどうして家族を失ったのかと…兄と天を恨んで。

俺は…サクラと俺の帝国をつくりたいと…最近、願ってる…。


☆☆☆

確かに…昨日はサクラにも叱られたが…俺はまだまだイタズラしまくる気だった。
今日も空は青空が広がってる…晴れで良かった。
外は木枯らしで…枯れ葉が…曲がり角に風で旋回してる。
マフラーが欲しい季節だ。
手編みのマフラーとか欲しい。
サクラには不器用すぎて無理そうだが…。

不思議なことがある。
数日前の11月初旬、サクラがいない女子すらいねえ席で…イノから白いマフラーを渡されそうになった。

≪サスケくん、これ…サスケくんのために編んだのよ?
私、才色兼備でしょ?
味噌汁も花の入れ替え、手編みのマフラー完璧よ?
強い人見ても目を光らせるなんてフシダラなことしたこともないわ?
お嫁さん候補に最高でしょ?
私の美貌と芸に屈したかしら?≫

しかし…断ってしまった。

『俺のゲームに勝てたら貰う、まだ決まったわけでもねえ。
開始して…2年も経ってねえ。
結婚まで時間はまだまだある…』

≪サスケくん、受け取るだけでも.
常に私がリードしてるでしょ?≫

イノは怒った顔だった。

『ほぼ確定だが。
最後まで勝てたらだ。
イノがしろ、そのマフラーは』

≪ふん?
その瞬間までお預けって訳ね?
まあ、良いでしょう?
私の圧勝に決まってるから…。
常にリードしてるからね?
サスケくんが放課後与える課題は…私…全問楽勝クリアーしてるわよ?
私しか出来ないことだらけよ?
本当はサスケくん、私が好きなくせに。
本当にシャイね…知ってるのよ、私?≫

俺は最後まで無表情だ。

正直、家に置くのが…重いと感じた。
俺はサクラから欲しいらしい。
イノが編んだマフラーをする気にはなれねえ。
イノに首を絞められて、絶対に結婚することを脅迫されてる気分になりそうだと感じた…。

不思議な感覚だ。

イノのマフラーをすれば…俺は絶対、イノと一緒にならなければならない気がする。
まだこのゲーム…決まってないらしい…イノがしてることを”深い愛”だと認めてねえらしい。


☆☆☆

今日も放課後になれば…俺は恒例のように…定時に垣根の下で潜伏する。

「サスケくん…今日もいるかな?
もうすぐだよね?」

サクラの声だ…。

》俺は木の葉、一番の天才だ。
日向は木の葉にて最強。
リーに俺は倒せねえ《

<わかりませんよ?
ネジ。
僕は努力家です、強くなります…。
あの子に認めてもらうためにも…>

…男子二人組の声…。

あと、3人の足音だ…。

(今日は…サクラだけではねえらしい…)

最近、執念の成果か…足跡で人間の数まで判別できる。

公園沿いの道に…一学年上のリーとネジ…それとサクラが…。
曲がり角の前にいるらしい…。

俺は…垣根の隙間から…覗いてる。
垣根には少しだけ穴が開いてる…。
曲がり角の前の垣根にも…穴が開いてる。
俺は…公園入口に面する道の向こう側にある廃墟にいる…。

俺は…サクラが男軍団と共にいる場合は定時に…、曲がり角の先にある道路へ降り立つことにしてる。
廃墟の垣根をよじ登り、リーとネジとサクラが…道を曲がる前に…道路へ着陸して降りてみた。

サクラと偶然、会ったような感じで…俺は公園の方へ歩いてるふりだ。

俺を確認するなり…サクラは手を振り出す。
サクラの手元には懐中時計がある…。

「サスケくん。
今日の手裏剣の授業も凄かったね。
サスケくん…いつも強くて格好良い。
痺れちゃう。

私、サスケくんが強くなるの絶対、信じてる…。
私、強い人が大好きだから。

ナルトなんてドベ…全く魅力なし…弱い男なんて最低。
ドベなんて何言っても格好悪い…説得力すらなし。

サスケくん、私に何でも言ってね?
サスケくんは主席、別格…だいすき…もう絶対特別扱い…」

サクラが走って来て、俺の胸元へダイビングだ…サクラの頬は薔薇色だ…。
サクラが…俺をべた褒めだ。
愛らしい妹だ。

イルカ先生もこれぐらい、ナルトを盛大に貶し…俺を褒めまくれば良いものを…。
成績で寵愛が手に入るのならそれでもいい。
俺にはそれぐらいしか手段なんて残されてねえからだ。

この忍者社会、成績ですべて決まれば良い。
他人からの評価がだ。
俺の努力が…反映されてる証拠でもある。
俺はナルトみたいに他人の心を落とす方法なんて知らねえからだ。
サクラも里の女子たちも…俺の味方らしい…。
何やってもこのままなら許されそうだ。
昨日まで…めげてたが、急に自信が沸いた。

周りに男子がいれば、俺は泣かない。

その時…。

リーが…俺とサクラの方角をチラチラ見てたので、必死で遠ざかった…。

『俺は今から修行に忙しい』

こういう時は…サクラの顔を睨む。

「サスケくん?
今日の新技も凄かったよね。
もう私…感動して」

サクラが前、メモした時刻に行った場所へ歩いて行く。

「サスケくん、ずっと探してたんだよ。
今日はスケジュール通りじゃなかったんだね。
いつもこの時間はこの場所なのかな?」

…サクラと女子たちがこの時間に垣根の前にいて…出て行けないことに怒り狂って…サクラが一人になる瞬間まで尾行して。
偶然、会えたフリをした場所へだ。
忍者書店の前だ。

「一緒に行っても良い?
強いサスケくん、大好き…。
サスケくん常に…全科トップだよね?
サスケくんは何やっても許される…私にとって偉人だから。
その修行…私も付き合っていいかな?」

俺は返事しねえ。

「サスケくんて幻術の才能も忍術の才能もあるんだってね。
すごいな。
サスケくん、もう格好良すぎる…痺れる。
しかも体術も…サスケくんだいすき」

男共2人の前でも、常にサクラは俺をべた褒めだ。


この男子二人組…リーとネジは…ひとつ上の学年なのは知ってる。
イルカ先生から飛び級、進められたときに、こっそり教室を偵察しに行って、名前と顔も知った。
俺が一学年上のクラスを窓から覗いたときも…リーはサクラのことを

<一年下に天使みたいな女の子がいる…髪が桃色の女の子だ>。


たぶん、サクラしかいねえと俺は思ったからリーを覚えた。
ネジは…昔、サクラが奇声を発して、手裏剣技を感激してたから、知ってる…。


後ろから

ネジと一緒に…。
リーは
<僕は中忍試験、一年送らせて受けてみたいな…。
一年下にあんな子がいるなんて…>
と漏らしてた。

ネジは
》忍術幻術の才能のないお前など中忍試験など無理だろう…《
としけたことを返してた。

<分かりませんよ?
僕は努力します。
君は天才でも僕は努力の天才です…。
あの子は僕の強さを認めるはずです>

リーは宣言してる。

》あの子とは女か?《

ネジの声だ…。
男であれば…俺である可能性もある訳だが…。

<そうです、あの子のために実力がそのときあっても敢えて一年送らせて試験に挑みたいです…。
あんな天使を見たのは初めてです>

あの子は…サクラしかねえ。
この場にいた女はサクラだけだ…。

俺への戦闘目的ではなく。
サクラを落とす目的だと確定した…。

》一年送らせるのか…。
まあ、二年送らせるのは待たない。
一年送らせて中忍試験ぐらいなら待ってやろう《

<嬉しいです…。
僕は中忍試験では強くなって…あの女の子にアタックしますよ?>
と宣言してた。

かなり遠くまで、俺は歩いた。

もうすぐ忍者書店だ。
道に看板が見える…。
”この先、忍者書店”と書いてる…。
サクラは俺の隣でウットリ顔を染めて引っ付いてる。

「サスケくん、私ね?
ドベから3番目になれたんだよ。
もうお母さんもお父さんも泣いて喜んで…。
昨日はご褒美に餡蜜まで…。
だから、忍者書店にある漫画3冊買っていいんだって…。
この話は前、言ったよね?」

「もう嬉しくてうれしくて
3冊許されてるの。
ドベから4番になれたら4冊買っても良いんだって。
ドベになったら漫画の数、減らされるみたい…」

「でも嬉しすぎて…まだどれにしようか…決められないの…。
サスケくん、選ぶの付き合ってくれる?」

『うざい…』

「サスケくん…」

サクラは相変わらず…少女漫画の世界にいるらしい・・・。

サクラは…俺に夢中で聞こえなかったようだ…。
やはりサクラは…この学校で注目されてるらしい…。

リーと俺とでは…話が合いそうだ…。

俺はサクラに抱き締めて貰った途中で女子が来た。
邪魔だから去った。
サクラはまだ忍者書店でずっとウロウロしてるらしい…。

☆☆☆

翌日、アカデミーが始まれば…普通に対処してる。

≪サスケくん…おはよう。
マフラーぐらい私は編めるわよ?
今日も放課後、ゲームお願いね≫

[くうう。おはよう]

[グッモーニング]

[サスケくんに密着するの大好き、おは]

[おはよう、今日もナイスガイ]

[いつもすぐ帰るのね?おはよう]

[おはよう、すぐ読書かな?]

[私をお嫁さんにしてね、おはよう]

[おはよう、会いたかった]

「サスケくん…おはよう」

サクラは真っ赤な顔で…走って来て…俺の背中に平等に密着だ。

女子どもの様子を見るに…。

サクラもこの件については誰にも言ってねえらしい。
自分だけが秘密を知ったと信じて疑わず、大はしゃぎしてるらしい。
本当に無邪気だ。

『おはよう。
離れろ。
俺は席で本に集中する』

≪頑張ってね、応援してる≫

[キャー]

[ガンバ]

[ファイト]

[見守ってる]

[また構ってね]

[大好き]

[愛してる]

[私はサスケくんのモノ]

「サスケくん…強くなるのに必死なんだね。
いつも偉いね。
すごい…」

サクラはこの通り、褒めてくれる…。


サクラは…授業中もだが…。
俺が朝礼前に必死で術式を覚えまくってる時も…。
隣でイノと漫画を読んでる。

ナルトと同様、毎日女子の友達獲得引付けに忙しいらしい…。
いや、パシられてるだけかもしれねえ…女子軍団に。
サクラは積極的にコレクションしてるらしいが…。

≪サスケくんは隣の席で・・本に集中してるみたいだし…。
声を潜めましょう?
サクラ…。
新しい漫画、私たちが本屋から帰ってから…結局、買ったの?
どうなの?
今回はどんなのよ、最初に私に読ませなさいよね?≫

隣の席のイノが挑戦的にサクラに頼んでる…。

[成績底辺の選ぶ漫画がどんなものか私が見てあげるわ?]

[恋愛漫画は心のオアシスよ?
私の心に召さなかったら…怒るわよ?]

[料理漫画とかないの?
恋愛もので?]

[王道以外私は許さないわよ]

[サクラは成績悪いけど漫画の趣味だけは認めてあげてるわ]

[恋はときめき…。
人生に欠かせないものよ]

[早く見せなさいよ?]

[私の知ってる漫画は止めてよ?…]

「物凄く迷ったけど。
買ったわ、しゃーなろ!
今日の漫画は…”ファーストキスはレモンの味”と、”5歳で純愛物語”。
ドベから3番記念にお母さんにたくさん、漫画買ってもらえてもう嬉しくて。
ご褒美があるから頑張るんだよね?
しゃーなろ!
さあ、どちらから読む?」

題名からしてアレだが…。
席が隣のせいで丸聞こえだ。
俺はサクラが来たとたん、隣で溜息ついてる。

≪それ新刊よね?
この私ですらまだ持ってないわ…。
常にどのジャンルでもサクラの一歩前をリードしてるのに…。
少女マンガだけはサクラ…オタクの域ね…≫

隣の席のイノが驚いた声だ…。
別に忍者に必要な特技以外で…リードしなくていいと思う…。
サクラは恋に恋する乙女らしい…。

[題名からして王道だけど…気になるわね…]

[まとめて早く解説お願い]

[サクラの推薦図書は、割りと王道で気に入ってるのよ?]

[サクラは”少女マンガオタク”って科目があれば満点取れそうね…]

[前から思ってたけど…サクラ、何冊家に漫画があるの?]

[いいな…お母さんに買ってもらえて]

[お母さんに…甘やかされ過ぎなんじゃないの?サクラ…。
いくら一人娘だからって。
ドベから3番記念に、漫画買ってもらったことなんて…ウチの親ではないわ…ウチは兄弟いっぱいいるし…。
羨ましすぎる…。
でも漫画は気になるわ]

[サクラの両親、よっぽど、サクラがドベじゃなくなったの…嬉しかったのね・・・。
あと…その漫画、知らないわ、…解説お願い]

「”ファーストキスはレモンの味”は・…。
物語でアカデミー3年の時、学校で強くて有名で激モテな男側からキスされて…女の子はシャイだから…それから照れも手伝い疎遠になってしまうの。
女の子はこっそり裏から男の子を追ってるの…。
で、一年ぐらいして…今度は女の子からキスをしてクラス公認の中になるの…。

そっから先は、ひたすらイチャイチャしかない…ホッコリする少女マンガ。
途中で…女の子を好きだとやって来る邪魔者な男子や…男の子を好きだと来る邪魔者女子が来るけど…。
どれだけ、二人を引き裂こうとしても…男の子が見たこともないような新技で、死に物狂いに敵を倒してくれて…。
そして、二人は最後まで一緒で…結婚になる。

そんなドラマチックな話。
シャーナロ!ってなっちゃう。

”5歳で純愛物語”は…。

5歳で女の子は、男の子に命を助けられるの…。
そして…女側から頬にキスをして奪い、将来の約束までするほど…両親公認の中になるの。
でも…男の子は、家族の関係で…遠方に引越ししてしまうの。
離れる時も…女の子は男の子にサヨナラのキスをするの。
ちょっとシャーナロ!ってなるよね?

で、これも再会で恋に落ちるんだけど…再会の時には、男側が交通事故のせいで…記憶喪失になってるっていう話。
男側は昔より更に強くなって、モテモテになって…しかも別の好きな女性が…。
さあ、どうするの?って話。

今回は…両方、幼馴染もので揃えてみたわ。

どちらから読む?」



俺は毎回、サクラが隣でしてる解説内容に…むせそうにはなるが耐えて…机の上にある術式の本を…首を下向けて…必死で読んでるフリをしてる…。
趣味が最悪すぎる。

≪幼馴染ものね?
いいわね…。
ねえ、サスケくん。
サスケくんが放課後出す…”俺の与える課題をクリアーし…深い愛を与えたら結婚してくれる”ゲームに…。
今のところ、私…全部クリアーで…。
常にリードしてるの?
サスケくん…私とこんな恋愛、どうかしら?≫

[サスケくん…こんな恋愛したいよ…。
やっぱり忍者文庫の漫画だけあって、男の子は強いのね。
まさに王道漫画の男役って感じ。
サスケくんに相応しい配役だわ]

[漫画も良いけど、サスケくんとこんなことしたいな?
王道漫画って素敵よね…。
忍者文庫はひたすら、男の子が強くてモテてるのが前提なの多いけど…]

[聞いてる?
サスケくん]

[サスケくん…遊ぼうよ]

[構ってよ、サスケくん]

[サクラの漫画…。
今回は”5歳で純愛物語”でお願い。
今年…7歳だけど…歳が今、6歳で近いから…気になるわ。]

[私は”ファーストキスはレモンの味”で。
今、アカデミー2年生で来年3年生になるけど…気になるわ…]

[ファーストキスは…本当にレモンの味なのかしら?]

「サスケくんは強くなるのに忙しいの。
構ってくれる暇なんてないわよ。
しゃーなろ!
漫画で我慢しなさい。
しゃーなろ!」

隣のイノが座る席で…サクラは女子軍団に吠えてくれてるらしい…。
放課後…

「私がサスケくんの女子軍団がするセクハラ活動や物取りから守る。
泣かないでサスケくん…」

とは…俺に言ってたが…。
こういうことらしい…。
漫画で釣って…止めてくれてるらしい…。

サクラの漫画は王道らしい…。
俺は王道ほど無理なものはないと感じた。
あらすじだけでもアレだということは…。
台詞を読めば…また寝込むレベルなんだろう…。
俺は女子の趣味は理解できない…。







しかし、アカデミー4年4月になってから…今年9歳だし…。
さすがに放課後の…”不思議のアリスごっこ”は、止め始めてる…。
さすがにあの技は去年で終わりだ。

今となってはいい思い出だ…。
アカデミー2年5月から3年の頃は…あれで遊んでた。
周りの生徒も7歳、8歳児のように子供らしかったからできた。
子供時代を謳歌させてもらった。
7歳の誕生日にもだが…8歳の誕生日にも…サクラは俺の誕生日を知らなかったらしい。
情弱だ…きっと、情報収集スキルが低いのだろう。

とても、楽しかったが…。

サクラの少女漫画を意識すると止めた。

何か生々しくて…。
無理になった。
漫画ではキスの味はレモンの味と書かれてたらしいが。
俺には理解できん。

俺も一人で留守番が可能レベルにはなれた。
サクラには最後の方は叱られた。

「サスケくんは強くなれる。
弱音なんて吐いてちゃダメ、格好悪い。
私には分かる。
サスケくんは強くなれる人…期待してる。
本当に、ナルトは躾がなってない…ドベで家族がいなくて最悪な男。
サスケくんは強いの、出来る…成績もトップなんだから、あんな奴の言葉に乗っちゃダメ。
ナルトになんて負けない…私には分かる。
アイツは私が叱る・・・殴りまくる、何回でも躾ける。
しゃーなろ!」

サクラは妹でもあり…母親でもある。

よくぞ、ここまで縋って見捨てなかった、天使だ。
こんな不甲斐ない男でも期待しづけてくれた、まるで無償の愛だ。
ここまで怯えて泣いてばかりでも…サクラは成績がトップであれば許してくれた。
イルカ先生とは大違いだ、サクラは俺の救世主だ。
俺は寮で一人生活が耐えきれなかった…。
俺のためにこんな言葉を言ってくれるのはサクラだけだ。
家族がいないことはまだ…心が癒えてない…話す気にもなれない。

サクラはいまだに漫画ばかりだ。

それ以外にも漫画の主人公が5歳の時に男へホッペヘキスをする物語とか真剣に読んでる割りに…。

サクラは未だにそういうことは俺にはせん。

恋愛漫画をサクラは真剣に読んでるが…。
恋愛を勉強してるわけではねえらしい…。
サクラは夢を見てるだけらしい…。


「サスケくん…最近、冷たいよね。
放課後、公園の曲がり角に定時に来なくなったけど…。
スケジュール変えたのかな?
私にだけ教えて…」

久しぶりに二人っきりになれた。
課外授業のあとの教室で…一目散に言われた。


『うざい』

「え?」

『俺ももう幼児でもねえ。
ナルトの件は水に流せ。
お前も漫画ばかり読んでねえで修行しろ。
俺はお前のこと見損なう。
嫁にもせん。
イノは真面目に授業に集中してる…。
おまえも強くなれ』

「サスケくん…」

この言葉を最後に水に流してもらった…。

『俺も強くなる…。
全ては復讐のためだ』

「復讐?
何の話?
ナルトへの?」

『ナルトはドベだ。
負け犬の遠吠えでしかねえ。
俺はもっと壮大な話を見詰めてる…。
今までのことは忘れろ。
今日からお互い、一から新しい道を行くだけだ。
ここから全てがまた始まる…』

「サスケくん…。
格好いい…」

サクラの少女漫画で趣味は理解した。
命の恩人に弱い。
新技にも弱い。
強い男に弱い。
単行本は…。
自分好みの話しか買ってねえみてえだ…。

サクラは妹…俺の愛くるしい家族だ。
俺はサクラのことをこっそり慕ってる。






うちは事件から一年が経過し…二年が経つ頃…。
俺に表情が戻ってきたらしい。
今年で八歳になる。

引き離しても引き離しも接近する集団に…俺は諦めた。

二年前まで致死の念に襲われてたのに…それが…消えつつあった。
俺に感情が戻ってきたのだ。
相変わらず、不信感はあるが…。
突き放しても根性で接近するサクラに押されたのか…疑うことも止めた。
毎回、アホらしい方法で来るからだ。



サクラとの遊び@


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194年後@10歳、9月













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