アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

こどもの日@



俺はアカデミー2年生になった。
窓の外は屋根から鯉のぼりが流れてる…。
今日は里中、柏餅を食べるのだろう…。
こどもの日だ。

菖蒲の風呂に入るのだろうか…。
窓の外から鯉のぼりが見えた。
青空に向かって風に流され泳いでる…。
地面には…菜の花畑も道の脇に咲いて…続いてる…。

もう衣替えの季節だ。
サクラの服装も袖がなくなった…。
サクラにはノースリーブが本当によく似合う…。
少し前まで…長袖だったのに。

☆☆☆

林檎を買いに行った。
果物屋へ行く。
学校も休みだ。

今日はいい天気だ。

;今日もおつかいかい?
偉いね;

ここのおばさんは…俺の亡きおばさんの雰囲気に似てる。

しかし、返事はしねえ。

黙って、小銭を出す。

;ありがとうよ、ぼく;

赤いリンゴが袋に入れられた。
同じ店ばかり利用すれば変に怪しまれる。
複数の店を転々と通ってる。

☆☆☆

道端に出た。

通りは…家族連ればかりだ。
柏餅屋を買うためか…団子屋の前では行列だ。
俺はこういうの見るの嫌だ。

早く家に帰るつもりだ。
家に帰っても誰もいねえが…。
ココにいるよりマシだ。
団子は…嫌いだ。

☆☆☆

その時、偶然に…俺の方を向いて手を振ってるヤツにあった。
サクラだ。

「サスケくーん」

相変わらず、俺を見るなり走って来て前面密着だ。
愛らしくもある。

「サスケくん、あそぼ」

無邪気だ。

俺は返事せん。

「休みの日に会えるなんて奇遇だね。
サスケくんは普段、何してるの?
やっぱりアカデミーの課題?
会えて嬉しい」

顔真っ赤にして、すり寄ってる。
今日は感傷に浸りたい。

知ってるやつはコイツ以外いねえ。

サクラの腕が俺の背中にある。
少し利用させてもらう。

俺もサクラを抱き締めた。

「サスケくん?」

何か言ってる。

(友情を戻せなくて悪かった。
少し泣かせてくれ)

顔見られたくないので、俺は抱きしめたまま…。
自分の首を下げ、視線をサクラの背中を向けた。

そのまましばらく経った。

「サスケくん、どうしたの?」

『黙れ』

他に言えなかったから、そのままだった。

「サスケくんは…知ってる。
男友達ほしいんだよね…。
男子に悪口言われて…トイレで泣いてたよね」

馬鹿だと思うが。
サクラの間抜けさに俺は救われてる。
そういうことにしてもらう。

静かに泣かせてもらった。
まだ6歳だ。
孤独は辛い。
休みの日が一番、堪える…。

「私に何かできないかな・・・」

返事する気すら起きない。
鈍いのも大概にして欲しいが…。
いきなり出会ってこれなら…。
こういうふうに誤解されても仕方ねえだろう。

「それとも誰かに叱られたの?
お母さんに?お父さんに?」

俺には叱ってくる相手もいねえ。

「私、お母さんに叱られてばかりで…」

ずっと泣かせてもらいたかった。
そのまま、3分は経過した。
その間、勝手にサクラは喋ってる。

「いつも成績もよくないし…私、ドベだし。
呆れられてるみたいで…。
私、強くはなりたいんだよ…。
弱い自分なんて大嫌い…」

「サスケくん、知ってるだろうけど。
私、一生懸命頑張ってるんだよ」

「それなのに全然反映されなくて」

「でもお母さんは許してくれないみたいで。
もっとやりなさいよって」

「遊んでたら漫画も買ってくれないって」

「私、少女マンガ買ってもらうのだけが楽しみなのに」

「サスケくんが漫画も読まずに必死に強くなろうとしてるの知ってる。
でも・・私、あれだけが生きがいで…。
だからドベなのかもしれない。
でもまだ6歳だよ…マンガ読みたいよね…」

--人肌は温い…。

「私も強くなりたいんだよ。
そのためにイルカ先生の学級に入ったんだよ…。
サスケくんもそうだよね…。
それなのに…私は忍者文庫の少女コミックスに嵌まってて…。
時々、サボりたくなるの…。
サスケくんのことは強くて尊敬してる。
神様みたいにも思ってる…。
私は凡人で…」

「えと…呆れてる?
私のこと…。
怒ってる?
もしかして…」

--泣いてる。

「サスケくんは強いから…。
きっと家で褒められまくってるんだろうな。
サスケくんはすごいもんね…。
私の親がサスケくんを息子に持ってたら…どれほど褒めるか分からない。
親が怒って泣いてる訳じゃないよね。
全科オールマイティにトップだし・…。
これで叱ってたら、他の人間はどうなるのって話だよね?」

--褒めるヤツはいない。

「私はいつも親にドベドベ言われる。
本当のことだけど…ショック。
サスケくんに幻滅されるのも仕方ない…」

「それからいつも強い男を落とせって洗脳されてる。
アンタはドベだから強い人と一緒になれないと長生きできない。
こればかり…。
子供はアンタしかいない…一人っ子なんだから、死なれたら困る…こればかり…」

「確かに言い分も理解はできるけど…うるさい」

「親には自分の身を守れるレベルにまでは強くなって欲しい…こればかり祈られてる…。
毎日、私の成績表見ては、泣いてる…」

「もう一人子供生まれたらいいのに…とか嫌味まで言われてる。
私、それ言われるとさすがに…しゃーなろ!って怒る」

「親なんてうるさい…。
どこの家もそうなのかもしれないけど…。
今日も、今朝…泣いてたんだよ?
私の成績表を見て…信じられる?
私の親…酷いよね?」

--羨ましい。

「私だって、強くなりたい。
人に頼ってばかりの人生なんて嫌なのに。
親は…そんなことしか言わない…」

「私ね、サスケくんの新技見てるの大好き。
何でだろう。
胸がホワアってなる」

「女子たち、みんなそうみたいだけど…。
私も新技覚えられたらいいのにな…」

「サスケくんが頑張り屋さんなの知ってる。
あったかい性格なのも」

「サスケくんはたまたま強かったけど…。
それだけじゃない、私には恩がある」

「最近、泣かなくなったのはサスケくんのお蔭。
サスケくんがいなかったら…しかも私、泣き虫だった」

「サスケくんに選んでもらえない理由もよく分かる。
イノが好きって言う噂も流れてる。
イノは全部できる、勝ち目がないことも知ってる」

「イノは料理、生け花、茶道…全科オールマイティ、しかも友達100名。
私が男でもきっと、惚れそう。
イノのことは認めてる…私…。
常に勝気で貶すところなんてない、イノがいたから女友達の輪にも入れた。
でも今はライバルでもある…」

「確かにイノにはリードされまくり…それでもいい。
私は、サスケくんに恩返しがしたい…。
ずっと願ってる…」

--あったかい。

「サスケくんが悲しんでる本当の理由…私だから、分かる…。
イノには理解できない、友達もいっぱいいるから…。
私だからこそ、分かる…」

「今までのは言い訳。
私は…なんて慰めたらいいのか分からない…」

--まだ甘えたいけど…。

(抱き締めさせてもらえてありがとう…)

(ずっと寂しかった本当は…。
家族を失ってから…)

サクラは勝手に話してる。
俺が返事一切しなくても…。
これに救われてる…。
言葉に強弱があるのは…動揺してるらしい。

「何も出来なくてごめん、サスケくん。
今日も男子たちに仲間に入れてもらえなかったことだよね…。
私も…サスケくんに女友達の輪に入れてもらえたのに…。
私…サスケくんのことなら…何でも知ってる…」

(違う…)

勘違いされまくってる…。

「私、その気持ち…よく分かる。
サスケくんは優しいのに、男子たち誤解してる。
私も昔はそれで泣いてたから…。
同じだよね、サスケくん…だから…」

『うざい』

「さっきも公園で男子たちがサスケくんの悪口言ってるの聞こえた。
サスケくんのこと、”冷たい野郎だ”って批判してた…。
”無口で何考えてるのか分からないってば”って…。
”女侍らして女好きだ”って。
あれじゃ、公園に近づきにくいよね…。
男子たち、誤解ばかりしてる…特にナルトが酷い。
私にはサスケくんの気持ち、痛いほどわかる…私もそうだったから…」

『…うざすぎる…』

(俺に構うな…)

「確かにナルトうざすぎるよね。
いつも教室でもそう…。
いつも、サスケくんの代わりに…私、ナルトは殴ってるんだよ。
アイツ、酷いよね…本当、ムカつく。
サスケくんの何が分かってるのかって話だよね。
いつも男子たちに一番、悪口言いまくってるのは…ナルト」

(サクラに”うざい”と言ってるのに…通じてねえらしい…。
俺はナルトのことはどうでもいい…。
サクラに甘えてるのに…通じてねえ。
俺の”うざい”は…甘えでもある…)

泣く気力すら抜けた。
何分間も泣いてスッキリしたから。
顔は見られたくないが…抱擁しながら言った。

そこから…突き放して、顔見られる前に背中向けて走り去った。

「サスケくん、私はサスケくんの常に味方。
サスケくんの気持ち、理解できる…だから…。
友達づくり、私も協力したい。
ダメかな?
迷惑かな…。
サスケくんの笑顔を守りたい。
サスケくんがだいすきだから…」

本当にアホな奴だ。
どれだけ俺は格好の悪い男に映ってるのか…。

やはり、もうアイツの前では泣かん。

☆☆☆

家まで走って。
溜息が出た。
走ってる間も…どこ見渡しても…今日は、屋根の上に鯉のぼりが…青空に向かって泳いでる。

寮室に着くまでに涙は乾いた。
右手にはリンゴの入った袋…。
鯉のぼりなんて大嫌いだ。
余所の家だけ家族がいて…祝ってもらって。

サクラはあんなんだが…。
救われてはいる…。

明日からも変なレッテルを張られ、サクラからは”友達がいないから寂しがってる”とでも思われながら生きていくらしい。

訂正する気にすらならねえ。

あの鈍いとこ、気に入ってはいる。

苦笑モノだ。

俺を笑わせるのもヤツぐれえのモノだ。

本当に、どこまで賢くないのか。

☆☆☆


サクラの親が泣いて怒る気持ちもよく分かる。

今、俺はアカデミー2年生。
現在、5月だが…。

アカデミー1年生時代は…サクラは新年2月までドベだった…。

今年、3月…4月はやっとドベから脱却できて・・・親も大歓喜だったのだろう。

それなのに…最近、机で漫画ばかり読んでる。
恋愛漫画だ…ウツツに抜かしすぎてる。
そのせいで急にまたドベだ。

サクラはドベだが…。
俺の班は…男子ドベのナルト、平均のヒナタ、トップの俺だ。
この班組ほどつまらんものはねえ。

ドベのサクラは…クラスの2/3シカマル、クラスの2/3チョウジだ。
嬉しくもねえ…。

シカマルは毎回、相変わらず…サクラの成績に合わせて変動し続けてる。
チョウジがこの点数だったのは偶然だ。

シカマルはアカデミーの授業をゲームとしか思ってねえらしい。
そういう人間だ。

俺はサクラの両親の意見には賛同だ。
自分の身を守れるぐらいは強くなれ。
ウツツには抜かすな…。
まだアカデミー2年生だ…。
特にサクラは…誕生日が3月28日…遅れてる…子供時代の数か月は大きい。
ちょっと幼いのも許す。

成績上がって浮かれて気を抜く気持ちは理解できる。
しかし、心配過ぎる。
手裏剣5キロは持てるようになってもらいたい。
どれだけ里の外では強敵だらけか分からない。
サクラなんて瞬殺レベルだ。
蟻を潰すが如きだ。
俺が親でも心配する。
アイツ、まだ…起爆札すら上手に書けないレベルの不器用さだ。
どうやって護身するのか…最後までイノに守ってもらう気なのか…。
お願いだ、器用さも身に付けてもらいたい…。

いつまでもイノに書いてもらったお札を…懐に忍ばせる訳にもいかんだろう?
最低限ってものがある…。
ペーパーばかりすれば良いわけでもねえ。
真面目に心配してる。
最近は平和だが…俺の生れる前は里は襲われてばかりの戦場だったらしいからだ。
事件が起きる前に力を付けてもらいたい…。

四六時中、人間が亡くなってたらしい。
俺が生まれる前までは…最近は誰も里崩しを決行する者もおらず…。
平和になったとはイルカ先生も言ってた。
サクラが授業中…必死に恋愛漫画を読んで…。
ナルトがシカマルに構ってアピールをしてる時の説明で…。

「少し前までは…”大蛇丸”と言う恐ろしいヤツが里を襲っていた…。
ここしばらくは身を潜めているのか…。
里に危険は及んでないが…」

と話してた。

平和ボケして…クラスメイトも真剣にイルカ先生の余談は聞いてねえことも多いが…。
俺は全然平和ボケしてねえ。
しっかり聞いてる…。

クラスメイトは術式や剣道…手裏剣の時だけ…目を覚ましてる。
余談はアクビしてる…シカマル辺りもだ…。
チョウジはオヤツの裏を見て…美味しい食べ方を模索しかしてねえ…。

自宅に帰って学校の回想をしてた…。

☆☆☆

俺の涙も消えた。

こどもの日…。
学校がねえ。

今日も自宅に着いたら、果物屋で買ってきた赤いリンゴは丸かじりだ。
昼になれば…宅配ボックスに弁当が入るだろう。
こんな生活だ。
どうせ、夜も弁当だ。
朝も宅配ボックスに弁当だ。
ぐれそうでもある…。

最初は兄に裏切られ人間不信から…誰とも会いたくねえとも思った。
しかし…最近、一人はつまらない。
イルカ先生がナルトと一緒に来いとは思わねえ。
アイツら仲良しで、俺の入る隙がねえ。
俺も誰かに甘えたいとも願う…嫉妬が湧き起る…。

自分の部屋でリンゴ食べてると…、
俺の脳裏に…ナルトと仲良しなイルカ先生…二人の顔…。
それから…サクラの顔が頭に浮かんだ…。

今、サクラが…どんな漫画に嵌まってるのかは知らん。
毎回…読まされそうになって…俺は頭痛が起きてる。
サクラの趣味は相当悪い。

明日もナルトとヒナタと班が同じだ。

サクラと同じでもねえ。

寂しくはある。

可愛いとも感じてる、サクラはだ。

ナルトとヒナタの同班なんか全く楽しくもねえ。

俺はヒナタに恨まれてる…。

ヒナタはしけた面で俺の隣ではいる。
ナルトの方しか見てねえ、ナルトがヒナタの方角を振り向けば…ヒナタはしけた面で俺を見る。
ナルトとの会話に…ヒナタは全く反応せん。

ナルトは怒って、俺と会話する。
俺はしけた面でナルトと話す。

ヒナタはその間、俺をしけた面で見て、ナルトへは頬を染めてる。
ナルトは自覚してねえ。

俺は常に怖い女に恨まれてる…。
じっとりしていて…どんどん狂気を感じる…。

☆☆

あれは同じ班行動の時だ。
ヒナタの服からバサリと黒い本とノートが落ちた。
ページがその拍子に開いた。
ひとつのノートは″ナルトくん観察日記台詞全集第180冊目″

「何言ってるんだってばか?」

「俺のこと殴るなよ、サクラちゃん…俺のこと好きになってくれってばよ」

「女共俺を好きになれってばよ」

「サスケは倒す、俺の敵だってばよ」

「俺は火影になる」

「俺には自信があるってば」

「みんな俺を信じろってばよ」

「サクラちゃん、俺のこと好きになってくれってばよ」

「サスケは好かねえってばよ」

「ヒナタ…変人だってばか?」

「俺は…強くなるってば。
ドベでも諦めねえ。
みんな、俺のこと好きになるってば」


全部…。
今日したナルトの台詞が…。
ヒナタの字で…たぶん鉛筆をつかって…ノートに書かれていた…。

俺がアカデミーに上がって…丸一年1か月経つ。
その間に…ノートは180冊目だ…。
いったい…どれぐらいのペースで進んでるのか…自宅に帰ってから必死に綴ってるのか?
休み時間、手洗い場の中で…メモされてるのか…謎だ…。
あれで…ナルトを手に入れた気分にヒナタは浸れてるのか???
常時、鉛筆が所持されてるのか…。
俺はヒナタの狂気を感じた…。

ヒナタがナルトを好きなのは理解できる…しかし、怖い域だと感じるのは俺だけなのか…?
可愛らしい乙女心の模範は越えてる…。

もうひとつの本は…。
黒い表紙の本…。

これも…。
中身が見えた…。

〜これは絶対効く黒魔術の基本〜
〜相手に本心を伝えることのできない気弱なアナタは…是非つかってみよう〜

″”アナタが嫌い”と言えない人に…。
→部屋の四隅から無表情で憎い相手を見る…相手に不幸が訪れる″

″”アナタが好き”と言えない人に…。
部屋の四隅から好きな相手を力一杯見る…落とせる、好きになってもらえる、相思相愛″

俺は…。
落ちていることを伝えようとして。
そこで固まった。

ヒナタは無表情で…俺の元へ本とノートだけ拾って。
ポケットに収納した。

「何かあったんだってばか?」

ナルトがこちらを向けば。
ヒナタは無表情で俺を見てる。
俺はヒナタから視線を反らしナルトの方を見た。

『何もねえ』

ナルトに返事を俺はした。

その瞬間も無表情でヒナタは俺を見てる…。

ヒナタは…。
ナルトのいないときは…真剣に黒い本を読んでる…。
あれは…。
そうなのかもしれない。


☆☆☆

翌日…5月6日になった。

いつもどおり、学校へ通う。
猛烈に一人は寂しい。

俺は誰より遅く学校へ行く。
居場所がばれないようにだ。

学校へ着けば。

≪サスケくん、おはよう≫

イノが最初に発声し…

[おはよう]
[遅かったね]
[今日も遊ぼう]
[今日も放課後課題与えてくれる?]
[ねえ、ご褒美ってなんなの?]
[サスケくん]
[会いたかった]

女子軍団が全員密着してくる。

その中にサクラもいる。

「サスケくん、おはよう」

サクラだ…。
また、ドベに戻ったから…最後に喋ってる…。
少し前まで順位が上がっててこれも…順番が変わっていたというのに…。
最近、ウツツに抜かしすぎてる…サクラがだ…。

いつもどおり、変わらない。
複数の女子たちも挨拶はしてる。


『おはよう』

俺も挨拶を返す。

またドベだから…背後密着だ。
成績早く上がれ。
昨日の今日で照れはする。

≪それ、私も気になるわ。
ねえ、サスケくん…。
どんなご褒美くれるのかしら?
愛してるわよ。サスケくん?≫

俺に最初に話しかけるのもイノ。
前面密着はイノ…。
最近、面積は平等に譲り合ってるらしい…。

[おしえてほしい、サスケくん、ラブ]
[会いたかった。褒美って何?]
[私が一番よね?]
[私と結婚して]
[ねええ]
[イノに負けない]
[サスケくんの味方]

「サスケくん、だいすき…。
ご褒美くれる?」

サクラは相変わらず…可愛い。
昨日のことを水に流してくれてるらしい…。

『ありがとう…』

≪ご褒美がないと命令に従わないわよ?
おしえてよ?≫

[気になる]
[ご褒美何?]
[ゲームしてくれる?]
[遊んで]
[構って]
[ねええ]
[私のこと好き?]

「サスケくん…ご褒美って何かな?
おしえてほしいな…」

『そうだな…全部クリアー出来たら。
嫁にする。
約束する。
俺に忠誠つかわせて”深い愛”を俺に捧げれたら…。
与えた”深い愛”を…信じてやる…返してやろう。
幸運は祈る』

≪私よ、私。
常に今のところ、私がリードね。
サスケくんのファーストキスを奪うのは私ね≫

イノの口癖は”リード”らしい…。

[だめ、私が奪う]
[サスケくんは私のもの]
[私に決まり]
[きたわ]
[独り勝ちよ]
[良いご褒美ね]
[約束よ]

「サスケくん、頑張る…
しゃーなろ!
イノに負けない…」

可愛くガッツポーズをサクラがしてる。

『じゃ、術式の読書する。
もう、散れ…』

何とか…俺の周囲に密着する女子軍団から離れてもらえた…。
俺は自分の席に着席して…術式の本を机の上に広げた。
どんどん上の学年もその上の学年も…範囲は制覇する。
人の知らない技をこっそり覚えて、グッとタイミングで披露をする…。

≪サクラ、ドベの分際なんだから…机に戻ったら?
私はサスケくんの隣の机だから?
去りなさいよ≫

[そうよ、私はイノの机にいるわ]
[私もよ?]
[だってサスケくんの隣だし]
[ここ特等席よね?]
[サスケくんの邪魔はしないわ…]
[サクラは最近…ちょっと気を抜きすぎじゃないの?でも許してあげるわ?]
[いいのよ?サボっても?ドベでいてね]

「イノ、私もこの席にいる。
今日も漫画持ってきたから…」

俺の隣に位置する…イノの席で…ヒナタ以外の女子ども全員が会話してる…。
実は俺が会話を拾ってないだけで…。
このクラス、女子が何名いるのか分からねえ。
毎回、顔も変わってる…。
20名は女子がいる…。
里では他里と恋愛が許されてねえせいか顔が姉妹並みに似すぎて…覚えきれない…。
黒人、白人、ラテン系がいれば・・判別も付くのだが…。
人種も顔も似てる…。

声が重なり過ぎて…耳で文字を拾うのも大変だ。
俺の耳は繊細だからだ…。

サクラ…おまえはまだ、漫画の世界に没頭してるのか。
漫画を読むなとは俺は言わねえ。
しかし、ドベは挽回しろ。
成績底辺に近い女子はサクラがサボってうれしそうだが…。
ドベはダメだ…。

≪どんな漫画かしら?
私、ダントツトップで時間有り余ってるし。
付き合ってあげても良いわよ?≫

[少女マンガ?]
[冒険もの?]
[サクラのことだから恋愛漫画でしょ?]
[良いわ。読んであげるわよ?]
[まあ、楽しみも必要よね?]
[今度はどんな話?]
[私は画風にうるさいわよ?]

「”指輪物語”って言ってね。
子供の頃に男の子から、おままごとで求婚されてるの。
でも主人公は本気にしてないの。
だけど…男の子は遊びじゃなくて真剣だったみたいで頑張るの。
そして…感動のラストは、最後に指輪貰って求婚される素敵な話。
しゃーなろ!
あとね、”逆ハーレムの物語”、持ってきた…。
とにかく主人公が言い寄られてばかりの漫画で読んでて楽しくて……」

≪いかにも忍者文庫の少女マンガね…≫

[サクラ…少女マンガ何巻持ってるの?]
[今回もストーリーだけでもわかるわ。王道ね…]
[まあ、乙女に夢は必要よね]
[漫画は娯楽。癒しよ]
[”逆ハーレムの物語”の気になるわね]
[”指輪物語”から読ませてもらうわ]
[トキめければ…絵はどうでもいいわよ?サクラ推薦の本は王道だけど…。もう一冊も解説お願いするわ、サクラ?]

「”逆ハーレムの物語”って少女漫画は…。
里にいい男性がいなくて毎日、つまらなくて溜息ばかりの主人公の話。
ある日、喫茶店で光り輝く男子軍団に出会うの…
そこから話が展開して…あとで分かるけど…その人たち、表の顔は忍者、裏の顔は…忍者レストランのホストだったってことが判明するの。
ひょんな事件から主人公は、男子軍団の私物を破壊してしまい…弁償することに…。
それが高価で…。
仕方なしに…忍者レストランのホストクラブで・…バイトすることになるの…。
それからというもの毎日、言い寄られてばかりの漫画よ…。
しかもそのホスト軍団は強いの…」

≪いかにも漫画らしい漫画ね…。
私、イケメンには弱いから…気になるわ…。
優しくてファーストレディーな少しだけダークのあるキャラを希望するわよ。
”転校生はスパイ”って言う少女マンガ並みのキャラクターが良いわ。
ホストね…どんな画風かしら?≫

[忍者文庫の漫画らしいわ]
[面白そうね…]
[キャラクター数は多いの?]
[やっぱり恋よね?]
[里にもいっぱいイケメン欲しいわ]
[花はたくさんほしいわよね?]
[どっちもおもしろそうね…?]

サクラの好みが筒抜けだ…。
サクラも女子の友達を獲得しようと必死らしい。
サクラの少女漫画は…王道らしい…。
俺は王道の少女マンガほど難しいのはねえ…。

だれか…少年漫画忍者アクション辺り読ませてほしい…。
男子どもが羨ましくてたまらねえ…。
恋愛ものは…不可解すぎて無理だ…俺にはだ…。
同じフィクションなら…冒険漫画の方が楽しい。
ここら辺は女子軍団しか俺の周りにはいねえから…いつもこれだ…。
俺の歳を考えてもらいたい…6歳だ…。
少女漫画の気分でもねえ。
向こう岸の席では懲りずにナルトがイルカ先生の自宅から盗んだのか…。

「これ、大人の気分が味わえる本だって。
本当凄いんだって。
読めってばよ。
今度は新しいのだから…。
友達になってくれってばよ…」

--ナルト。

またエロ本を…教室に持ってきてるらしい。

【めんどくせー】

--シカマル

◎イルカ先生に怒られるぜ。ボリボリ◎

--デブのチョウジ

{おまえの根性だけは認めてやろう。
しかし無視してやろう。
虫どもよ}

--虫使い眼鏡男シノ

●まだ俺らには早すぎるぜ。
ナルト…冒険漫画に留めてくれよ●
●バウバウ●

--キバと赤丸

「イルカ先生でも今年に入って許されたすげえ本なんだってば。
大人になった気分になれるってばよ。
少年漫画ってばか?
実は俺、持ってねえってばよ。
イルカ先生の家にもねえってば。
週刊誌なんてどうだってばか?
忍者メンズファッション雑誌あるってばよ?
俺、早く変化の術覚えて…この女性たちに化けてみたいってばよ。
俺に興味持ってくれってばよ…」

【めんどくせ…】

◎ドベの癖に無理だって。おかしうめえ◎

{冗談も大概にしとくんだな。
蜂を飛ばそうか?}

●ナルトが女に化けるなんて…寒々しいぜ●
●くーーーん●

いつもの調子だ…。

ナルトとサクラは…。
していることが…似ている気がして…たまらん。
顔面偏差値は圧倒的に違うが…。

そんなナルトを教室の四隅から…ウットリと見詰めてるのは…ヒナタだ…。

ヒナタだけ明らかに浮いてる…。

今日も教室の黒板端…四隅に何故かいる…。

☆☆☆



















イルカ先生の野望ナルト、サクラ、サスケ…(6歳児)を…他とするクラスメイトを受け持って…の感想。

目次

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