こどもの日A
俺がヒナタを好きになれないのは当たり前だ。
教室の四隅にいるヒナタからの無表情は…。
″相手に不幸が訪れる″ために、行われているのだ…。
そう言えば…。
ヒナタがナルトを無表情で見たことは…一度もない…。
俺の母さんも怒ってるとき…。
無表情だった。
ヒナタは無表情で教室の四隅から…サクラも見ている…。
俺は…。
俺とサクラに不幸が訪れるのかと心配でたまらない気分になる…。
俺とナルト以外の…クラス中が…。
ヒナタは…ナルトに一途な慎ましげで内気の大人しい女だと、信じて疑わないらしいが。
教室の四隅にヒナタがいるのも…ナルトに相手されず、寂しいから…立ってるだけだと…男子どもへ誤解されてるみたいだが…。
俺だけ、知ってる。
ヒナタはサダコ並みに執念が怖い。
まるで怨霊のようにしか…。
俺には見えない。
ナルトの追い方が尋常でもねえ…。
変人の域は越えてる…。
黒魔術なんて存在しない。
そんなことする暇があれば術式を覚えるべきだ…。
精神的苦痛を俺に与えたいから…わざと…見えるように…。
ノートと黒魔術の中身を見せたと言うなら…科学的にもあるかもしれねえ。
そんな黒魔術があるのかは…知らねえが。
あれ以来…ヒナタを警戒してる…。
予想以上に…ヒナタはナルトを求めて愛してる…だが、怖い…。
ヒナタはナルトの絶対的味方らしい。
俺はナルトに嫉妬してる。
ナルトにはイルカ先生もいるからだ。
アイツは優遇され過ぎてる。
それなのに…俺のサクラをチラチラ最近、見てる。
俺からまさか…その上、サクラまで奪う気なのか?
ヒナタは怒ってる…。
ナルトではなく…サクラを恨み始めてきてる…。
俺はクラスではイノが好きなふりしてる…。
ナルトはヒナタより俺としか会話しねえ。
俺まで巻き添えを喰らって…ヒナタに恨まれてきてる…。
サクラにちょっかい出すな、俺はナルトにムカついてきてる。
まだ…本格的になってねえみてえだが。
アイツは優遇され過ぎだ。
シカマルも平等にめんどくさそうな反応してる。
アイツとシカマルはもう…俺から見れば友人だ。
ナルトを恨んでる。
ナルトには先生も友も女もいる。
それなのに…。
俺の唯一の…家族決定因子妹…サクラを手出ししにくる。
ドベの癖に…サクラはドベが大嫌いだ、サクラの私物にベタベタするな。
まだ、サクラ本人にベタベタはしてねえ。
サクラもそれは許さん。
しかし…最近、サクラの私物を触ってる。
サクラもそれを許し始めてる。
あまり、いい気してない。
☆☆☆
ナルトが狂気の目線に気が付いたのか…教室に孤立して自ら黒板の端…教室の四隅にいるヒナタをみる。
その途端…ヒナタはしけた面して…アッチ向いてホイだ。
ヒナタと俺は目が合った…お互いしけた面だ。
ヒナタと俺は遠縁の親戚関係らしい。
現在同じ班だが…日に日に幻滅してる。
昔は俺の母さんに似たタイプだったから…クラス2位にしてやってたが…。
今は断トツ1位サクラ、越えられない壁2位イノ、更なるランク差ヒナタだ。
他の女子だけは相変わらず顔の差すら判別付きにくい…。
キャラがかぶり過ぎてる…。
他里との恋愛を許した方が…顔面も差が出るのか…。
最近、俺はヒナタに恨まれてる。
ナルトは同じ班にいるとき…ヒナタを変人扱いで嫌ってるのに。
俺としかナルトは話さんからだ。
ナルトにはいつも「しけた面した面白くねえ男」呼ばわりをされてる…。
今日も課外授業があるが…楽しみでもねえ。
シカマルとチョウジとサクラの班の声を必死で拾い上げる日々だ。
お蔭で聴力が超人の域に達してる…。
ナルト達は…現在、教室最前列中央…イルカ先生の教壇前に集合してる…。
男子どもに構ってアピールだが…シカマルはめんどくさそうだ。
シカマルは…いつもこのノリだ。
誰にでも平等にめんどうくさそうなのだ…。
俺は…教室中央列の一番後ろの席だ…。
隣にイノがいる。
そこで…ナルトと目が合った。
目が合うなり…。
ナルトが俺へ向かって走って来た。
「サスケ、絶対…おまえは倒すってば。
おまえを倒して…俺は火影になるってば…」
そして、俺の隣にいるイノたち…女子軍団へ近づく。
「みんな、俺を好きになってもらうってば。
サクラちゃんもイノもみんな、俺を好きになるってば」
その瞬間だ…黒板の端にいる…ヒナタの顔が真っ赤だ…。
ヒナタの横へ男子どもが歩み寄り…何か会話してるらしいが…。
ヒナタは完全無視だ…。
「サクラちゃん。
この漫画。
俺が呼んでも良いってばか?」
「ダメに決まってるでしょ?
私のものなんだからね?
しゃーなろ!」
サクラがナルトをボコってる。
「俺、めげねえってばよ!
俺、この漫画の男役ぐらい頑張るってば。
女子どもみんな俺を好きになれってばよ」
黒板の前…端にいる…ヒナタの顔がバラ色だ。
アホらしい。
あれは絶対、無理だ。
ナルトも読んで頭痛を起こせばいい…。
「しゃーなろ!
ドベの分際で。
しない方がマシ」
≪あんたにしてもらいたくないわ≫
[期待してないから]
[同じセリフ言われてもビビってこないから]
[ドベには難しいから]
[諦めた方が良いわ]
[読ましてあげない]
[ダメよ、絶対]
[私は認めない]
「読ませてくれってばサクラちゃん。
俺、努力するってばよ!
俺は火影になる!
頑張るってばよ…」
いつものことだ…。
うるさい男だ…。
これが俺の日常だ…。
「お願いだってばよ」
隣のナルトが…無理やり…サクラから漫画を奪った。
サクラは顔がカンカンだが・・・。
≪まあ、面白そうじゃないの?
様子見ましょうよ?≫
珍しく、イノが乗ってる…。
[イノがいうなら]
[ドベには読解できない難解なストーリーよ]
[自分の身分を弁えなさい]
[まあ、読むぐらいなら]
[感想聞かせてよ?]
[仕方ないわね]
[ドベの反応も見てやるわ、興味ないけど]
「仕方ないわね。
純愛物の”指輪物語”からよ。
しゃーなろ!
ちゃんと読みなさいよ。
ドベ。
これ、私の愛読書なんだから汚さないでね」
「んん・・・」
また…サクラの私物に触ってる。
教室四隅のヒナタが…サクラを無表情で見て…そのあと、ナルトをウットリ見てる。
最近、ナルトはサクラの私物に触れてるのだ。
サクラも、それを許してる…。
ムカつく。
殺意とまでいかねえが…サクラはドベは嫌いだ…。
しかし、ナルトも馴れ馴れし過ぎだと怒ってる。
俺ももちろん、サクラの私物だけでなくサクラの体にも触れてるが…。
しかし、何故か腹が立つ…。
ナルトはヒナタの”ナルト君観察台詞全集”でも触っとけ。
俺はあれには触る気にすらならなかった…読めば世界の変わるノートだ。
ナルトにこそ読んでもらいたいノートではある…。
「うーーんとってば…」
ナルトの顔が難しそうな顔になった。
そうだろう。
俺も納得だ。
これは無理だ。
おまえも3日くらいは魘されるべきだ…。
「分かったてば。
要するに俺が”好きになってくれってば!”って言ってるのを…。
毎日、みんなに言いまくればいいんだってばか?
俺、やってるってば!」
違う…。
そこは少し、間違えてる・・・。
確かに漫画の男共のモーションは凄いが・・・。
もっと、他に感想あるだろ?
「”好きになってくれってば!”
を言葉変えて、この漫画言ってるだけだってばよ!
で、何回も言って…敵を何回も死に物狂いのド根性で倒して女の子助けたら…。
女の子が顔真っ赤にしたタイミングで。
また”好きになってくれってばよ”って宣言して。
女の子がさ、目を光らせたら。
見つめ合ってもう一回”好きになってくれってばよ!”って言ってさ…。
で…二人はキス。
そこで…サササっと、ポケットから用意した指輪を出して渡すんだってばか?
で…また”好きになってくれってばよ”。
これで結婚だってばか?…。
このページで、この漫画、終わりかってばよ?」
ナルトの説明に俺は眩暈がしそうになった。
おまえにはそんな漫画に見えたのか?
今回の話は知らねえがどうせ似てるんだろう。
忍者文庫の漫画は大抵ワンパターンだ…。
〜少年よ大志を抱け〜が、スローガンだ…。
俺には〜少年よ強くなれ〜と言われてる気がして仕方ねえが…。
「勉強になったてばよ。
俺はこういうの得意だってばよ。
デートもやりまくるって。
計画しまくるってばよ。
女共、俺に任せろってばよ!
楽しませるってば!
俺は後悔させねえ!
悪いことは言わねえ…俺を選べ。
サスケは止めとくべきだってばよ…。
サスケにこんな台詞は無理だってばよ。
デートも無理だってば。
サスケに恋愛は似合わねえってば。
俺といる方が女子も、こんなしけた面して強さしか頭にねえ奴といるより…ずっと楽しいってばよ。
ここは、俺の勝ちだってば…」
今…なぜかドベの癖にナルトに殺意が芽生えてる…。
ムカつく。
「サスケは恋愛に興味もねえ。
見て分かるが、顔だけだってば…その顔もイルカ先生の方がずっと勝ってるてば。
俺、サスケの顔、どこいいか理解に苦しむってば…これ、本当だってばよ。
女子どもサスケの何が気に入ってるてばか?
俺は顔も自分の方が勝ってると思ってるってば…里の女共、美的センス悪すぎだってば。
こんな能面のような面、俺は面白くもねえってば…人情味すらねえってば。
本当、理解に苦しむってば…。
しいて言えば…サスケは現在、強いだけだってば?
ハートは俺がある…。
諦めろってば、女子どもも…」
サクラの言うとおりだな…。
クラスで一番、俺をぼろ糞なのは…どうやら、ナルトらしい。
いつもどこでもこのノリらしいな…。
「よっしゃ、俺、間違えてなかったてば?
女子ども、全員…俺をみろ!
俺は火影になる器の男だ!
サスケは倒す!
負けねえ!
好きになってくれってばよ。
それと強くなればモテる!
学習したってば。
俺は里の勇者になる!
皆に好きになってもらう。
そして、格好良く”俺を好きになってくれってば!”って言ってみる。
簡単に女子ども俺のトリコだってばよ!
理解したってば!」
ナルトにはやはり難しいらしい。
ドベの分際でうるさい。
コイツには好きって単語しか…インプットをまだされてねえらしいからだ…。
半分、当たってるのか…。
どうなんだ?
クラスメイトの女子どもよ…。
強くなれば…モテるのか?
里の勇者は魅力的なのか?
≪ドベの反応は予想外だわ≫
[やっぱりドベには私たちの繊細なハートは難解すぎたわよね…もう一度読み直してから言うのね?]
[一昨日出直しなさい?
里の勇者なんてなれるわけないわ。
ドベにはね?]
[日本語の勉強をもう一度してから言うのね?
強くもなれないわ]
[ドベの台詞には飽きたわ、強い人がいうから格好いいのよ?
ドベが言っても効力ないわ]
[期待外れの感想ね?
呆れたわ]
[そんなセリフでは私、グッと来ないわよ。
成績上がってから言いなさい?]
[他に言うことあるでしょ?
台詞を例え借りパクでも私は無理よ?
悔しかったら良い意味で成長するのね?]
「ドベには無理。
諦めろ。
しゃーなろ!」
サクラがナルトをボコっと殴ってる。
「俺は勝つ。
絶対火影になる。
みんな俺を好きになる。
みんなにドベって言われても負けた気がしねえ。
自信、最高にある。
いつかみんなわかる。
俺の凄さにだってばよ」
黒板の前にいる…ヒナタが…顔真っ赤にして…ナルトしか見てねえ。
ナルトは口は格好いい…。
それは認めてやろう…。
よくぞ、あの恐ろしい話を読んで。
頭を抱えなかった。
コイツは…精神的に本当に強いらしい。
最近、判明してきた…。
「俺はこの里で頂点になる。
一番になる。
自信マックスにある。
火影になる!
みんなついてこい、俺にだってばよ!」
いつも明るすぎる…。
俺とは合わねえ。
クラス全員が馬鹿にした目線でナルトを見てる。
ヒナタだけがウットリだ。
俺は…ナルトが羨ましい。
なぜか、ムカついてもいる。
そこで…理解したのか
「ドベには無理。
ナルト、ぶっ殺す!」
サクラがナルトをボコってくれる。
これがスッキリする。
柄にもなく…口元が緩む。
「サクラちゃん、酷いってば」
「しゃーなろ!
あっちへ行って!
男子たちのところへ行きなさいよ?
しゃーなろ!」
「怖いってば、サクラちゃん!」
「フンっ」
これが・・・
俺の日常だ。
もうそろそろ…授業も始まる。
俺は…。
教室、中央列…。一番末尾席だが…。
隣のイノの席に…人間が集まりすぎて…。
騒がしくて全く、俺の机にある術式暗記に集中できない。
離れてもらいたい…。
-----キンコンカンコーン…みなさん、朝の朝礼が始まります…着席するように…--------
チャイムが鳴った…
全員、慌てて席へ戻る…。
サクラとナルトは…。
左の窓際最前列に仲良く隣同士だ…。
ナルトの後ろはヒナタ…。
ヒナタのとなりは…キバと赤丸…。
ヒナタはキバと赤丸に話しかけられてもしけた面で返事してる。
ヒナタはナルトの台詞を必死にノートに書いてる…。
ヒナタの机の上には黒い表紙の本がある…。
あれが黒魔術の本であることを知ってるのは…。
たぶんクラスで…俺だけだ。
サクラがナルトをボコり…。
斜め後ろのヒナタに声掛してる。
一緒に少女漫画を読まないかと…。
誘ってるらしい…。
ヒナタは返事すらしない…。
しけた面だ…。
サクラは諦め…。
先生の話は全く聞かず…。
指輪物語かハーレムの物語…。
どちらかを読んでる。
読み込んでるらしい…。
ヒナタはナルトしか見てねえ…。
ずっと…。
ノートにナルトの台詞を書いてる…。
俺の席からは全部丸見えだ…。
イルカ先生が必死で警告してる…。
「最近は出没しなくなったが。
数年前までは…。
頻繁に大蛇丸と言う里の元抜け忍が…。
ウロウロしてた。
里抜けの道には近付かないように。
ミタラシアンコ上官も一度、大蛇丸に浚われ記憶喪失になった。
充分、警戒するように…」
クラスメイトは幼いのか…。
誰も聞いてない。
多動児ばかりだ…話を聞くとき、集中すらもたないらしい…。
今日もイルカ先生は…忙しそうだ…。
☆☆☆
俺は…。
今日…。
アカデミーが終わったら、したいことがある…。
昨日からサクラが余計に愛らしくもある。
ずっとサクラのことは抱き締めたいとも思ってた。
まだ俺も今年7歳になるぐらいの子供だ。
ナルトには羨ましいことにイルカ先生に慰めまくられてるらしい。
俺だって甘えたい。
友達がいなくて悲しんでるフリして構ってもらう。
それでいいかとも思う。
確かに格好の悪い男だ。
サクラと同レベルとも思われるのは癪だが。
家に帰ると寂しい。
昼飯も夕飯も朝飯まで一人だ。
休みの日ほど嫌なこともない。
勘違いすればいい。
俺に深い愛を与えれば良い。
今日の課題でもそれを言った。
学校では女子軍団が邪魔すぎる。
偶然、外で会ったときぐらいで良い。
サクラが俺に全面密着してきたら。
盛大に甘える。
ナルトに苛められてるフリをしてだ。
これで良い。
完璧な計画だ。
サクラはそれでも許してるらしい。
今日の反応で分かった。
俺を幻滅した顔で見ず…ナルトを更なる敵だと認めたらしい。
俺は被害者のふりをする。
昨日は良い日だった。
あまりやり過ぎると・・さすがに、見損なわれるかもしれんが。
本当の理由を話す気にはなれない。
家族がいなくて寂しいとも言えない。
昨日の抱擁は本当にあたたかった。
またしたい…。
まだ6歳だ。
苛められてと言う理由なら許されそうでもある…。
今年が限界な気もする…。
8歳になればさすがに弱い人間だと判を押される。
暫く、待ち伏せにして慰めてもらう。
まだアカデミー2年生だから許されそうでもある。
サクラも昔の恩を返したいらしい。
返してもらうならそれでもいい。
イノには黙ってもらうように促す…。
クラスメイトにもだ…俺の恥だ。
子供のふりをして、ここは演技しまくる…。
俺のストーリーはこれだ。
ナルトに俺は苛められてる、被害者だ、男子どもに阻害を受けてる。
独りで耐えてる。
そこへサクラが来る。
俺がサクラを助けたこともあった。
サクラはその気持ちならとても理解できるらしい。
8歳ぐらいまでは泣く。
そして…9〜10歳で突然、悟りを開いて大人になったフリをする。
完璧だ。
俺の弱みは…絶対、クラスメイトや家族には黙ってもらう。
少し俺が幼いフリさえすれば…出来そうでもある。
ナルトを見れば分かる…。
アイツも学校で泣いてばかりだ。
アカデミー2年生と言えば成長に個人差がある。
まだ許される。
3年生になると…さすがに弱い男だとレッテル貼られそうだ。
今年中にしなければならない。
手裏剣、下手な演技をしたこともあった。
サクラを尾行して…独りの瞬間を待ち構えて。
今日も慰めてもらう。
楽しみでもある…。
独りの瞬間がなければこれは成功しない…。
そこは諦める。
あまり、毎回だとサクラにも怪しまれる。
回数も考えないといけない。
尾行の修行にもなる…。
俺はまだ6歳だ、甘えたい。
イルカ先生もナルトしか構ってない。
罪もある。
俺はサクラに甘える。
手裏剣下手な演技をしたこともあった…。
ある日突然、うまくなった…。
サクラに見捨てられそうな気配が出てきたら…。
その時、突然、強くなればいい…。
適当に言い訳すればいい…。
言い訳も今から必死で考えなければならない。
ナルトに苛められてるのではなく…。
ナルトは…ドベだと見下せば…悲しくもなくなった話にすり替えれば良い。
あまり、泣き虫だから…見限られそうになったら…大人になったフリをするのだ。
絶対、俺は甘える。
昨日で味を占めた。
やりまくる…。
今、サクラは俺をとても愛してるようだ・・・。
少しぐらいの弱みを見せても許してくれそうな気配でもある…。
たまには子供に戻りたい。
こどもの日なのに俺だけ祝ってくれる人がいない。
ナルトが羨ましくてたまらない…。
俺は演技はうまいと思う。
今のところ、成功し続けてる。
誰にも本性がばれてねえ。
サクラは鈍い。
ばれそうにもねえ…。
あの事件から8か月。
敬愛してた兄に裏切られて…誰も信じねえと決意して…冬休みの孤独にも耐えたのに。
俺は弱さに染まって来てる。
春休みも耐えられたのに…独りのほうが楽だったのに…。
サクラに気を許し始めてるらしい…限界らしい…。
それに昨日、気が付いた。
子供のフリして甘えられるのも時期がある…。
今のうちにしまくらねえと、俺はきっと後悔する…。
俺は家族がいなくて部屋ではいつも泣いてる。
しかし…さすがに大きくなれば苛め程度でサクラに泣いて甘える訳にはいかねえ。
許されるうちにしときたい…。
今日は5月6日…。
アカデミーが終わった。
昨日はこどもの日。
サスケくんに密着しに行ったら…。
突然、泣き付かれて驚いた。
でも…私はすぐに分かった。
サスケくんがアカデミーに入って半年目を境にお手洗いで泣いてたことも知ってた。
クラスでナルトがサスケくんの悪口散々で優しいサスケくんの居場所がなかったことも。
サスケくんは一人で耐えて…いつも泣いてた。
サスケくんの心を慰めるのは私。
この話はイノには言わない。
イノにはリードされまくってる。
どうしてもサスケくんは私に落としたいから…。
私も昔、女子に苛められて集団に入れず泣いてた時代、サスケくんだけが私に喋ってくれて…。
それがあったから…何とか、輪にも入れた。
イノが私に語りかけてきたのは…。
サスケくんと私を引き離す目的だってわかったのは…イノと友達になってから。
輪には入れた。
でも、ずっと…サスケくんと仲直りしたいとも願ってた。
私としてはサスケくんの弱みを握れたことが嬉しくてたまらない。
確かにナルトは酷い。
サスケくんを知りもしないのに…女好きだとばかり言ってる。
これから毎日、私にサスケくんが頼ってくれればいい。
私はそれを願ってる。
イノに勝ちたい。
昨日も公園でナルトはサスケくんの悪口散々。
男子たちも。
確かにあれでは…私たちまだ6歳。
アカデミー2年になったところ、サスケくんが可哀そうすぎる。
男子の中で孤立してる。
女の子たちだって…サスケくんにとっては邪魔みたい。
一時、女の子の集団から逃げてる時もあった。
あれも男子たちと友好関係を築きたいみたいだったのに。
ナルトは。
「今更、女子から離れたからって言って仲間になんていれてやるかってばよ」
こんな憎たらしいことを言ってた。
サスケくんの気持ちも汲まずに。
私はどうしてもサスケくんに点数稼ぎがしたい。
私はサスケくんが優しい人間だって知ってる。
イノは知らないみたい。
サスケくんが女の子に冷たい理由も本当は…男友達が欲しいから。
これ以上モテないためにサスケくんなりに突き放してるのに。
それをイノは分からないみたい。
私には分かる。
サスケくんが泣いてるの知ってるから。
昔、お手洗いで知った。
壁をドンドン叩いてた…。
中の音はふつう聞こえない仕組みなのに…。
呻き声だった。
あれは去年の9月だったと思う。
サスケくん、相当こたえてるみたい。
その時もナルトは酷いことを確かに言ってた。
あの日から私はナルトを叩くことに決めた。
その前日、サスケくんには…「サスケくんのお嫁さんにして欲しいから頑張る」って宣言もした。
私はイノには負けたくない。
☆☆☆
5月6日…。
学校ではナルトはボコッた。
サスケくんはいつも通り、アカデミーが終わると…。
誰より早く去っていく。
私が追いかける隙すらない。
最近、私は…公園に寄ってない。
公園に寄るより家で漫画を読み漁るのに嵌まってる。
公園にいてもイノと喧嘩になるだけ…。
マンガ読むのが楽しくてたまらない。
同じ漫画何回も読んでる。
独りで歩いてた。
そこで…角を曲がろうとしたら…。
偶然、サスケくんに会えた。
もう私、嬉しくてたまらなくて。
すぐに走って密着しに行った。
「サスケくん…」
『サクラか』
サスケくんに密着できるのうれしすぎる。
「サスケくん、昨日の話。
誰にも言ってないから。
私とサスケくんの秘密だよね?」
もうドキドキ。
これで親密になれたらと願う…。
「サスケくん?」
サスケくんにまた抱擁された。
少し頼られてうれしい。
『そうだ…』
サスケくんが…また…泣いてるみたい…。
確かに今日もナルトは…。
酷いことを言ってた。
”しけた面して強さしか頭にねえ奴"
”こんな能面のような面、俺は面白くもねえってば…人情味すらねえってば。本当、理解に苦しむってば…”
こんな憎い言葉をサスケくんの前で平然と言ってた。
サスケくんはこんなにもクラスで人間関係について悩んでるのに。
女をたぶらかすことしか頭にないナルトとは大違いも良いとこ…。
本当にサスケくんは真面目なのに…いつも漫画も読まず、必死に強くなろうとしてるのに。
人間関係についても泣くほど悩んでるのに。
ナルトは女遊びしか頭にない…学校にエロ本まで持ってきてる…ダメなのに…。
学校中の人間をエロで染めようとしてる…みんな、そんなこと興味ないのに。
しかも勉強もドベのくせして、下ネタばっかり…。
サスケくんに人情味がないなんて…大暴言も良いとこ。
こんなに人間関係で悲しんでるのに…。
お手洗いでだって、壁を叩いて泣いてたの…私、知ってるのに。
また私の中でナルトへの怒りが沸いた。
「しゃーなろ!
ナルトは潰す。
アイツは殺す」
『ありがとう…』
サスケくんが私を抱き締めたまま、泣いてる。
猛烈にナルトに対して怒りが奮闘した。
何回殴っても足りない。
私には握力が足りない。
それから、椀力もない。
でも・・・滅茶苦茶腹が立った。
サスケくんを困らせてるナルトに。
「私だからサスケくんの気持ちがよく分かる。
私もまだアカデミー2年生。
漫画ばかり読んで叱られる。
サスケくんだってまだ子供。
あんなひどいこと言われて…跳ね子にされてる。
先生もナルトしか見てない」
サスケくんが…更に泣き出した。
やっぱり私の…考えは合ってたみたい…。
「ナルトのエロ本所持には甘い。
サスケくんの成績アップには先生、冷たい…あまりサスケくんに先生…絡んでない。
サスケくんが女子侍らす悪い人間だって先生まで偏見してる…。
サスケくん、泣いても良いんだよ?」
嗚咽を上げてサスケくんが泣いてる…。
今、分かった。
サスケくんは女子侍らしたい訳じゃない。
クラス中全員偏見してる…こんなにサスケくんは嫌がってるのに…。
先生までサスケくんに冷たい…。
これは私なりの慰めだ。
私はサスケくんに認められる。
サスケくんを深い愛で包んで。
それから…嫁に選んでもらうのだ。
イノに勝つ。
しゃーなろ!
『ありがとう…』
サスケくんが泣きながら私を抱き締めてる。
「サスケくん、私で良かったらこれからは泣きたいときに…。
抱き締めてあげる。
いつでも言ってね。
駆けつけてあげる。
サスケくん、大好き。
私もサスケくんの友達作りに全面協力する。
私のこと、好きになって欲しい…」
ここは必死に言ったのに…返事がない…。
サスケくんの顔が見たいけど…何か、抱擁がきついから…見えない。
よほど、苦しい状況みたい。
サスケくんもきっと、耐えて来たんだと思う。
サスケくんはもしかしたら…成績はトップだけど…精神的にはそこまで…強くないのかな?
私と同じなのかな?
って一瞬思った。
「サスケくん…いくらでも泣いても良いんだよ。
私はサスケくんの味方。
先生はナルトの味方しかしてないみたいだけど。
男子たちもサスケくん、跳ね子だけど。
女子もセクハラや、物取りに近いけど…。
私はこのクラスで、サスケくんを守る。
サスケくんには恩があるから…。
サスケくんのこの話は黙っておく。
約束する」
『ありがとう…』
サスケくんがずっと泣いてる。
私の肩が濡れてる。
全然。
気が付いてあげられなかった。
サスケくんはいくら女子の軍団がいても…。
女友達って認めてなかったんだって…。
教室でいつも孤立して…ここまで追い詰められてたんだって…。
いつもサスケくんを見る反応ばかりしてごめん。
確かにエロ本なんてサスケくんには合わない。
サスケくんは女子たちに苛められてる立場で…。
セクハラされてる気分だったんだって…。
理解した。
止めてあげられなくてごめん。
「サスケくんは…女子のエロ本見せられたり…。
それから恋愛漫画見せられることも嫌なのかな?
嫌だったら言ってね」
サスケくんからの返事が全くない。
サスケくんは泣いてるだけ…。
サスケくんの口からは…当たり前だよね、言いにくいよね。
「サスケくん、ごめんね…。
確かに去年は頻繁に筆箱や教科書がなくなって大変だったよね…。
女子達にも私から言っておく…。
私、結局…喧嘩で負けて一度もとれなかったんだよ。
イノの家にサスケくんの教科書ある…イノが授業中に今、使ってる…。
サスケくんはイノが好きみたいだから…それはどう思ってるのか分からないけど…。
他の女子も持ってる…。
サスケくん、ごめんね…ドロボウ運動に私まで参加して…」
言いにくかったけど…謝った。
サスケくん、授業中…教科書もなく…ノートも筆箱すらなく…。
可哀そうなことがよくあったから。
サスケくんは泣いてる。
私も悪い…。
サスケくんをここまで追い詰めた…。
「サスケくん、ごめんね。
もう、しない…絶対、女子たちの泥棒は止める。
サスケくんって…何が好きなのかな?
サスケくんが好きなものを見てもらいたい…。
やっぱり冒険漫画なのかな?
男子たちもそれに嵌まってるみたいだし…。
私のこと…もしかして…怒ってる?」
サスケくんからの返事はない…。
「サスケくん、漫画好きじゃないかもしれないよね?
何をすればよろこぶんだろう…」
昨日もそうだったけど。
私は一方的に喋ってる。
これでいいのかな?
「サスケくんと密着するの大好き。
何だか、ホッとする。
私、サスケくんのお嫁さんになれたらな…」
「サスケくん、私…サスケくんのこともっと知りたいな…。
サスケくんの教科書盗もうとしてごめんね…。
許してほしい」
『さようなら…』
そこでサスケくんにキツク抱き締められた。
怒ってるの?
「え?サスケくん…」
『来るな…』
サスケくんは…私に顔を見せてくれないまま、スタスタ去っていく。
私は慌てて追いかける。
「サスケくん、待って。
サスケくんは私のこと…友達?なの?
友達でも良い、戻りたい…。
まだ私たち6歳だし…。
えと…」
サスケくんは猛スピードで去ってしまった。
ついて来るなって意味みたい。
そうだよね。
サスケくんは男友達を今、望んでるんだよね。
私じゃ、ダメだよね。
サスケくん…やっぱり…私がサスケくんの教科書を盗もうとしてたこと…。
怒ってる。
当たり前だよね。
もう私たち友達になんて戻れないよね。
男友達なら…私物盗まないものね…。
謝ったけど、許してもらえなかったみたい。
強くなるのに必死で真面目なサスケくんにとって…。
手裏剣がなかったり…竹刀がない事件は大変だったと思う。
そのたびに…職員室でサスケくん、借りてたみたい…。
ここまでサスケくんを追い詰めたのは私のせいでもある…。
どうすれば…昔のサスケくんと私みたいに仲良くなれるんだろう。
サスケくんと密着するのうれしい。
友達に戻れたらな。
で、そこから…もう少し大人になったら…恋人になれたらな…。
で、さらに大きくなったら…結婚出来たらな。
そんなことがポワアアンって一瞬、なった。
これって漫画の読み過ぎかな?
サスケくんは…私のこと、どう思ってるのかな?
そんなことばかり考えてしまう…。
サスケくん私物ドロボウの件、言わなきゃよかった…。
考えてみたら…元友人がドロボウ…。
ドン引きだよね…サスケくん…。
前は友達だったけど…。
今は…何なのかな?
サスケくんは男友達が欲しいみたい。
私に何が出来るんだろう…。
サスケくんと私の秘密をバネに…イノに勝てたらな…。
今のところ…サスケくんが放課後与える課題は…全部、イノがリード。
私は成績までサボって…少女漫画に夢中。
サスケくんを諦めたわけじゃないけど…。
これが生きがいで…。
私もまだ子供だから…。
サスケくんだけ神童だって思ってたけど…。
私と同じ子供だったみたい…でも泣くのも当たり前だと思う…。
サスケくん、物がなくなって…お父さんやお母さんには何て言い訳したんだろう…。
きっと裏で余計にお金使ったと思う…。
大変だったと思う…。
お父さんやお母さんは…サスケくんに物が取られるようでは忍者として甘いと…叱ったのかもしれない…。
サスケくんは私が知らないだけで・・・いろいろ大変なんだって。
今日も分かった。
サスケくんが泣くのはよっぽど堪えてる。
ナルトは子供子供しすぎる…。
いつも泣いてる。
泣きながら友達になってくれってばよ、構ってくれってばよ、エロ本読めってばよ。
サクラちゃん、苛めるなよ…好きになってくれってば。
泣いてるけど・・・台詞がアレだから全然、同情しない。
☆☆☆
今日も帰ったら…甘い少女マンガ読み返す。
今日は”月刊忍者☆少女ウララ”の発売日。
付録も楽しみで仕方ない。
しゃーなろ!
私は6歳。
こども真っ盛り。
お母さんに叱られようが遊びたい。
サスケくんは偉人。
こどもの日@2015年こどもの日記念小説、アカデミー2年生。
☆目次
サクラとの遊び@6〜8歳