サクラの歓喜とサスケの和解しつつある心
私はきっと昨日のサスケくんの言葉を一生忘れない。
『 三年前…戦後の再会を交えて…。
俺のような反逆者を…こんなにも長年深く愛してくれる女はお前しかいないと…俺は感動した…。
俺はそれまで恋愛に興味はなかった。
お前が想像する女遊びもしてない…。
お前が俺の心を溶かした。
お前が…俺の初恋だ。
だから、あの日から…俺はお前に人生を捧げると決意した。
誰でも良いわけではない。
一番酷い瞬間も…昔も…慕ってくれたお前だからこそ…。
お前と生涯を共にしたいと…戦後すぐ計画した。
プロポーズはこちらからする予定だった。
これからも側にいてほしい。
お前が見捨てなかったから…現在の俺がある。
恩は忘れない。
命に代えても幸せにする。
待ってくれてありがとう…。
お前を深く愛してる。
昔のことは詫びる。
信じてほしい。
これから罪は償う。
俺はお前のために…これから生きる』
どんなに嬉しいか分からない。
サスケくんの初恋は…17歳で…相手は私。
私の初恋は…7歳で…サスケくん。
本当に心臓が止まるレベルでビックリした。
気絶するかと私、思った。
サスケくんは確かに戦前まで恋愛には興味ない雰囲気で。
今みたいに性の話題をする人でもなかった。
あれからきっとサスケくんは変わったんだ…。
私。
サスケくんの口から卑猥な単語が出る度にビクッてしてたけど。
戦後から…私の知らないサスケくんに…この三年間で成長したんだね。
私がサスケくんの初恋で嬉しい。
昨日の出来事が…頭を余儀って。
職場でもニヤニヤしちゃう。
だって初恋だよ?
私が…。
サスケくんの…。
//気持ち悪いな。
含み笑いか?//
「うふふ。
綱手様」
私の口からこぼれるのは笑み。
//何だ?//
「昨日。
告白されました。
サスケくんの初恋は…。
17歳で…。
私なんですって」
//ええ。
それは…。
本当か?//
綱手様はもうビックリ仰天したみたい。
デスクの上の医療専門書を落とした。
「私、嬉しいです。
最近のサスケくん…。
すごく優しくて…」
と言うか。
エロい…。
ちょっと私の顔にも熱が上がる。
//良かったな。
サクラ…。
おめでとう//
綱手様も動揺しつつも私を祝ってはくれてる。
「あとでカカシ先生やイノにも自慢しなきゃ。
ナルトにも報告しなきゃ…」
一日、照れてるかも。
私。
//さ。
ノロケてないで仕事しろ。
たんまり貯まってる。
それにしても…サスケが恋愛か…。
似合わんな…//
綱手様が机の下に落ちた医療書物を拾った。
少し嫉妬してるみたいな顔。
綱手様も連日、髪の毛から子供が出来ないか調べるのに忙しそう…。
秘書のシズネさんも調べてるみたい。
でも悪いけど…私、今のところ、試験管ベービーに頼らなくても大丈夫そうな気配。
「もう涙出るぐらい嬉しくて…。
えへへへへへへ。
げへ」
もうデレデレ。
//黙れ…。
自慢は聞きたくかない//
綱手様ったら怒ってるみたい。
「グスン…」
☆☆☆
仕事を終えたら、足早にカカシ先生がいる火影室へと私は向かった。
カカシ先生には手紙も取り次いでもらった。
それだけじゃない。
第七班の頃から宣言してた。
サスケくんのお嫁さんになりたいって。
報告義務がある。
本音は…。
この自慢を広めたい。
ウキウキしながら、廊下を歩いた。
もう昨日の話は私にとっては…夢のよう。
「カカシ先生」
カカシ先生は机の上の書類と睨めっこ。
机の上には本が散乱してる。
ここは本棚ばかりの…火影室。
火影になってからカカシ先生もとても忙しそう。
「サクラか?
何の用だ?」
私を見ずに…下の書類を見詰めながら…。
声だけ私にカカシ先生は投げかけてる。
「当てて見てください」
私はカカシ先生のデスク前まで近寄って、エッヘンと喉を鳴らした。
「うーん。
どうせ、サスケのことだろ?
サスケの居場所づくりなら…全力尽くしてる。
アイツも頑張ってるらしいからな…」
カカシ先生は私を横目で見て。
顔をボリボリ手で掻いた。
カカシ先生がサスケくんに会ったのは…先週の金曜日頃。
サスケくんはカカシ先生から自宅での提出課題を貰ったのか…。
構ってくれず、いそがしそう。
「えへへへ」
だけど…もう私は笑顔しか出てこない。
「何かあったのか?」
カカシ先生は訝しむ表情で私を眺めた。
心配されてる表情でもあるみたい。
でも誤解だよ?
カカシ先生。
「実は昨日、サスケくんに告白されました」
声が大きくなる。
突然、カカシ先生の瞳が見開いてる。
「本当か?
サクラ」
カカシ先生が目を大きく開けてる…。
もう快感、こんな日がまさか来るなんて?
私は朗らかな笑みを広げた。
「サスケくん…。
あの戦後から私の熱意にやられて…。
落ちたみたいです。
私…。
サスケくんの初恋らしいです。
もう、死ぬほど嬉しくて」
ちょっと嬉しすぎて顔真っ赤かも。
体がモジモジするかも…。
「そうか…そうか、
サスケの初恋はサクラか…。
17歳で初恋は遅いが…アイツならあり得る。
そんなものかも知れん。
アイツは一生恋愛には無縁なイメージもあった。
女遊びは豪遊しても…だ」
カカシ先生が思案するように上目がち…。
そっか…。
カカシ先生から見るサスケくんってそんなイメージなんだ。
実は私もそうだった。
「サスケくん…。
女遊びしてないって否定してくれました。
全く香燐さんとは何もなかったみたいで」
もうたぶん、そうだと思いたい…。
しかし…実は…怪しいとも思ってる。
完全否定ではないけど…。
前、イノの前でこの件を話して…サスケくんの里での評判がガタ落ちしそうになったから。
私は黙ってあげる。
カカシ先生は火影。
サスケくんの醜態は黙らなきゃ。
と言うより…真実どう何だろ…。
私はもう縁が切れてるって信じたい。
「そうか…。
信じられんが…。
アイツなら有り得そうだ…。
何せ復讐と戦闘しか頭にない野郎だったからな…。
良かったな、サクラ…」
カカシ先生は涙ぐんでうなづいてる。
「これから、イノやナルトにも自慢してきます」
私は…自慢が終わると早々に立ち去った。
里中にこの自慢を広めるつもり。
☆☆☆
イノがいる医療班へ乱入する。
いつもは花屋で会話するが…。
待ってられない気分だ。
医療班でも同じこと言ったけど…。
何回だって、言う。
ついでに今日の花を貰う。
「イノ」
≪サクラ≫
昔、サスケくんを巡る恋敵だったのが、最近では、ほぼ和解をイノとは果たせた。
「サスケくんに告白されたの。
イノの戦友にも広めてほしい」
≪え?
サクラ…。
おめでとう。
でもさっきもその話…聞いた気が…。
で、サスケくんに何て言って?
さっきは任務中で詳しく聞けなかったけど…。
どういう話なの?≫
「要約すると…。
初恋は戦後すぐ17歳で相手は私で。
プロポーズは元々私にする気だったらしいの。
私の深い愛に落ちたんだって。
もう夢みたいに嬉しくて。
ドラマチックでしょ?」
≪そうなの。
おめでとう…。
長年の思いが伝わって良かったわね≫
イノも勝ち誇ったような顔はしてくれてる。
昔とは大違い。
私はうなづいた。
「うん…」
期待を込めてイノを見詰める。
≪戦友にも広めとく。
17歳で初恋は遅いけど。
サスケくんに恋愛は似合いそうにもないから。
サクラ、落とせて良かったわね。
サスケくんの居場所作りにも全面協力するわ≫
「ありがとう…。
じゃ、他にも告げたい人がいるから…」
イノに手を振って医療班をあとにする。
イノからさっき、渡された花も持って…。
≪ナルトね…今頃、ヒナタといるかもよ≫
「ヒナタにも報告しとく」
私はバタバタと…ナルトのいる任務室へ向かった。
☆☆☆
その部屋の前には頬を赤らめたヒナタがいた。
少し自分は邪魔者なのかもしれないが。
ヒナタとナルトのキューピッドになったのは私。
私にだって、ナルトにはいろいろ相談に乗って貰ってた。
報告ぐらいしたいのが本音。
実は浮かれてるかも…。
「ナルト!
ヒナタ!」
「サクラちゃん?
何だってばよ?」
||「サクラさん?」||
ナルトとヒナタが仲良く私を見た。
二人とも新婚さんって雰囲気。
「朗報ね。
私…。
サスケくんに告白されちゃった」
少し、私…今、顔が火照ってるかも。
「おめでとうってばよ」
||「サクラさん、おめでとう…」||
ナルトもヒナタも嬉しそう。
何だか…ハッピーエンドって感じ。
「サスケくんの初恋は私なんだって。
戦後すぐ私の気持ちにビビって来て、プロポーズする気だったらしいの。
嬉しくて…」
「戦後すぐだってばか?」
ナルトの顔が不思議のそうに目が細い。
「サスケくんの愛を疑うって言うの?
ナルト…。
しゃーなろ!」
「ごめん、サクラちゃん。
疑って悪かったてばよ…」
いつものノリでナルトを殴りそうになった。
そこで…。
||「サクラさん…。
おめでとう」||
ヒナタからおめでとうと言われて。
手を止めた。
ヒナタもしんみり嬉しそう。
私とサスケくんが引っ付いたことが…。
ヒナタとナルトの交際も19歳だったりするし…。
ナルトもサスケくんも恋愛なんてキャラでもない。
私はとにかく嬉しお。
やっと人生に薔薇が咲いた気分かも。
「伝えたし…。
お邪魔になっても駄目だし…。
サスケくんの家に帰るね」
ナルトにはバイバイって手を振った。
「おうよ。
サスケと仲良くな…」
ナルトも手を振ってる。
||「サクラさん、
さよなら」||
ヒナタも笑顔。
報告を終えて私は…ウキウキと家路を辿った。
俺は自分の気持ちを伝えるのは苦手だし、したいとも願わない。
うざいほど他人にすがり付くナルトとは違う。
俺にはプライドもあるし、弱味も握られたかないし、バレるのも嫌だ。
いつも台詞は考えて伝えてる。
俺の本心なんてそうとう酷い…。
バレれば失笑でもされて舐められるのもオチだ…。
本心そのままなら…。
《お前は光のエンジェルだ。
俺はお前が俺以外の男と接触すると気が狂う。
殺しそうになる。
お前はいつもそれを庇う。
俺は発狂しそうになる。
お前のことを殺そうとしたわけではない。
うろちょろされると傷付くし気絶させた。
構って欲しいから絡んだ。
俺はお前のことが大好きだ。
昔から。
愛してる》
《お前は俺のものだ。
お前は俺の孤独に気が付いて救ってくれた。
俺は気が付いたらお前に夢中だった。
だからお前を狂い抱きたいほど欲してる。
悟って欲しい。
俺はお前のことをとても激しく熱く愛してる。
お前を狂い求めてる。
言わなくても分かれ》
《俺はお前から去ったがお前のいない人生は孤独そのもので地獄だ。
俺には…死んだ方がマシだった。
いっそ殺して欲しいと願った。
だから命を懸けて闘った。
お前の鈍さにはウンザリしてる。
早く分かれ。
悟れ。
そして激しく俺を求めろ》
俺はお前に本心を明かすのが怖い。
まだその時ではないと感じる。
いつか暴露するかもしれない。
墓まで持っていくかもしれない。
どちらに転ぶかは…知らん。
どちらでもいい。
俺の気持ちには鍵をかける。
俺は…。
いつもお前が大好きだ。
~
ずっと…力さえあれば何でも解決できると確信してた。
無力さに絶望してた。
昔はよく一族惨殺事件の夢ばかりでうなされた。
あのとき力さえあれば…と目覚める度に…痙攣して項垂れた。
そうすれば惨劇を免れたのにと。
兄が他界してからは…。
兄が泣く夢で…失望し、落涙した。
その時も悶絶した。
それもこの瞳を入れてから見ない。
俺は…。
里を抜けて力をつけたら…力付くでもサクラは奪還する気だった。
里から去ってから自覚したが。
それぐらいの気で里を捨てた。
負ければ…また挑戦すればいい。
全てを終えたら…。
元々そういう算段だ。
力さえあれば大抵の欲しいものは入手可能だ。
俺はあの時、力が欲しかった…。
里抜けまでに今ぐらいの自覚があれば…。
俺は…里抜けの道で…サクラを気絶させたあと…。
サクラにキスして…。
俺は…ナルトの生命を完全に奪ってたかもしれん…。
将来、俺を脅かす危険因子になりそうだったからだ。
そして… 平然と…里に帰っていたかもしれない…。
ナルトは大蛇丸傘下に殺られた話にすり替えてでも。
今の俺ならしそうだ…。
そのあと、サクラは
「ナルトが殺された…。
大蛇丸に…」といって泣こうが…。
俺は「ヤツのことは忘れるしかない…。
これからを生きよう…」
と説得しただろう。
そしてサクラからの告白でゴールインしてただろう。
サクラ…。
アイツは予想を遥かに上回る鈍さだから…。
あの当時は…。
毎日、怒り狂う理由も謎だった。
大蛇丸に噛まれた辺りからは…ナルトを千鳥で殺す夢ばかり見てた。
今は把握できる。
自覚あるか…ないかが…ナルトの命運を別けたらしい。
俺は…。
サクラのことなら狂おしいぐらい熱く愛してる。
どれほど慕ってるか…表現できない。
目に入れても痛くない。
闇世界≒{(ナルト+その他の住民)=里}<俺<サクラ≒イタチだ。
俺の…。
この瞳は…強い何かを求める衝動で…増すのだ。
果たして…この里でサクラと共にして満たされて…俺の能力が増したのかは…予測不可能だ。
ナルトがいなくてもどちらにしろ。
俺は…。
ココで伸び悩めば…。
自分より力の出た野郎へ…サクラが崇拝の熱視線でも送ろうものなら。
大蛇丸の元へ走ってた。
里に未練など微塵もない。
それも自覚があれば…。
サクラが意識を失ったあと接吻して…その野郎の息の根を仕留めて…里へ戻っていたかもしれんが…。
ナルトがいなくても俺の人生は…たいして変化なかった。
俺に力がなければ。
マダラに殺されてただろう。
そこはともかく。
ただ。
俺の力もナルトの力もなければ。
サクラは…。
第四次忍界対戦で戦死してた。
俺が死ぬより、サクラが亡くなる方が…俺は辛い。
俺の人生は間違えてもなかった。
あの時、里から離れて正解だった。
ナルトに罪もない。
俺は…。
ナルトを少しずつ許しつつある。
確かに…当時は悪目立ちしてたが。
俺にとってもお前にとっても成長として必要なエピソードだった。
そう実感できたのは。
サクラへの半分以上嘘の告白で。
やっと手に入れた気になれたからだ。
俺の心の隙間が埋められた…。
先々週は…。
終わったあと…。
旅先で空虚が襲った。
あとになって悟った。
サクラの気持ちを…考慮してなかったからだ。
俺は…。
昨日、待望の光景が望めた。
サクラの笑顔だ。
そのために何回も試行錯誤した台詞だった。
全部は…。
俺のイメージをサクラの中からこれ以上墜落させないために…語らないが。
サクラの笑顔を観望したかったからだ。
感涙に咽び泣き、歓喜する様子が眺望できた。
サクラがいるお陰で余裕ができた。
隣にサクラがいなければ。
ナルトの件は逆鱗に触れただろう。
それでも許したフリしないのは…。
少しこらしめて。
これを種にサクラを徹底的に警備するように脅したいからだ。
アイツにはヒナタがもういるからだ。
それでも木の葉の額をしないわけは…。
一族の悲しみは消失したわけでもない。
サクラのいる里を見守ってる。
一時はサクラを連れて里を捨てることばかり計画してた。
しかし、兄が望まないから。
兄のこの瞳に里崩しは写したくないから。
だからしてない。
夢枕でも…。
兄は俺に里の勇者となり子々孫々存続するを希望してた。
兄のこの瞳には兄の待望する人生を映写さてあげたいからだ。
穢土転生で出会えたとき頼まれた。
俺は…。
今でもあの瞬間、力があればと後悔してる。
それもこの瞳になってから封印されたかのように…夜中、悪夢が起きない。
俺は…。
今、ナルトのことを許しつつある…らしい…。
アイツが俺のいない里でもサクラを保守してくれたからだ。
昨日の告白から。
だいぶ心が癒されたらしい。
サクラの笑顔のお陰だ。
これからはサクラの幸せを俺が守りたい。
☆☆
さらに思考を巡らせた。
俺は…。
一族の惨殺…。
あの悲劇…。
あれがないと…辛いが…俺は今、強くなってなかったのかもしれん…。
サクラが忍界対戦で絶命し…一族も里と共に滅亡してたのかも知れん…。
でも…あの事件は…それでも痛く悔恨される。
あの時、俺に現在程度の力さえあれば…と悔やまれる。
まだ…サクラやナルトには悪いが…。
少しだけ木の葉の額を装備しないでいる…。
いつの日か自分の無力さを忘れる…時が来るのだろうか…。
里の判断を承諾できる日が訪れるのだろうか…。
この屋敷いったい…。
人は住んでない…。
墓ばかりだ。
俺は…。
これからはサクラを力がけで死守する。
同じ惨事を繰り返さないためにも。
そのためならどんなことでもしたい。
サクラは…俺の宝だから。
しかし…何故か未だに全員から…俺がサクラへ向ける愛については…心配されてるが…。
俺の兄貴も…死ぬまで…。
俺はイタチに愛されてることにすら気が付かなかった…。
この性癖も何とかしたいものだ。
俺は…。
どうして最初の頃、サクラちゃんが気になって仕方なかったのか、わからない頃もあった。
自分の初恋なのかと思い込んでる頃もあった。
サクラちゃんも俺もサスケに認めて貰いたくて同士に思えて。
俺とサクラちゃんは似てるように感じて。
このままサスケから奪ってサクラちゃんと一緒になるのも悪かぁねぇかと思ってた時代も初期にはあった。
俺は…。
サスケが羨ましかった。
アイツは女にもモテ、学業優秀で俺と同じ孤児なのに将来が約束され…。
俺はイルカ先生以外誰もおらず、劣等感だらけだった。
俺も家族を求めてた。
戦後、判明したがサスケも同じだ。
俺にはアイツが何故俺より寂しそうに見えたのか不思議で仕方なかったが。
アイツにはアイツなりの悩みを抱えていた。
アイツは自己表現が出来ねぇ野郎だから。
甘えられないやつなのだ。
俺は…。
いつも根性でドベでも仲間に入れて貰おうと必死だった。
だから対人スキルはたけてる。
ヤツにはそれがない。
今だからヤツの孤独も理解はできる。
人に心を許せねぇ野郎なのだ。
俺は…。
サクラちゃんのことが好きか分からず…。
サスケがサクラちゃんを刺そうとしたあの瞬間まで悩んでた。
でも…。
あの時、あれ?と感じた。
サスケ、明らかにサクラちゃんに手抜きしてた。
少しそこで疑問に感じた。
あの時、サクラちゃんに告白された。
でも…。
何故かサスケを落としてまでサクラちゃんを欲しいとも思えなかった…。
そんなサクラちゃん、駄目だ。
アイツの側にいてやれと感じた。
その後、ヒナタから告白されてすごく嬉しかった。
やっと俺にも家族が持てるのかもしれないと…。
ウキウキしてた。
でもヒナタにはネジが付きっきりでいる。
俺は…。
ネジを殺してまでヒナタを取ろうとも思えない…。
俺はずっと…里全員の幸せを…祈ってた。
でもヒナタは少しは意識してた。
ネジが亡くなったことは…今でも悲しい。
ヒナタから告白されて…。
月日が流れ、他の女にも告白されたがピンと来なかった。
俺はその時、初めてヒナタが自分のタイプなのだと気がついた。
サスケもだが、俺も自分のことには鈍い。
アイツと俺は…。
少し似てる。
いつか和解できることを祈る。
サクラちゃんが最初から俺のことが好きだったら…。
俺は落ちたかもしれない。
サクラちゃんは俺のおかんみたいで。
サスケに接する態度と全く違う。
サクラちゃんはサスケの前でだけ女らしくなる…。
俺の前では完全におかんだ…。
まず殴ってくる。
小馬鹿にしてる。
面倒見は良い。
サスケの前ではサクラちゃん、顔赤らめる。
モジモジしてる。
変な色気出てる。
この差は何だってば?
俺は分かりやすいくらいの愛情に飢えていた。
俺のお袋に会ってみた。
本当、態度が俺のおかんそのままで。
余計に無理だった…。
サクラちゃんはずっと、俺に冷たく。
俺に優しかったのはヒナタだ。
ヒナタは女だ。
俺の母親には似てねぇが…。
色っぽい…。
その時分かった。
俺は子供の頃、おかんとしての愛情をサクラちゃんに求めてたのだと。
そのことに気がついてすぐそっちへ転んだ。
人に深く愛されたかった。
ヒナタは俺の前で愛らしい。
俺は今、幸せだ。
暖かい家族を求めてた。
俺はずっと寂しくて暴れて構って欲しくて全員に声かけてすがってた。
今、サスケに猛烈に恨まれてるが。
いつの日か第七班で和解できることを、祈るってばよ。
俺はヒナタもサクラちゃんも…。
サスケに頼まれた通り守るってばよ。
ヒナタは俺の奥さん。
サクラちゃんは俺のおかん。
里の住人は俺の仲間。
誰ひとつ欠けたくもねぇ。
俺は木の葉の里を愛してる。
サスケが戻ってきて嬉しい。
きっとサクラちゃんがサスケを諦めなかったからだこそだと。
俺は知ってる。
その事を知るのは恐らく…。
この里で俺だけだ…。
サスケ…。
サクラちゃん、苛めるなよ…。
俺はお前の本性よく知ってる。
だからこそ、心配なんだってばよぉ…。
お前の愛は重く…。
分かりにくい…。
お前はいつも力付くだ…。
とても愛情深い野郎だってことも知ってる…。
サクラちゃんのことは頼んだぞ…。
俺はヒナタを愛してる。
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