アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

贖罪 の旅(カカシ)



あの第四次忍界対戦から二年。
少し前、また里は襲われて隕石が落ちてきそうになった。
その時、ちょうど森の中にいたが、俺は数年ぶりに遭遇したサスケに命を救われた。

使い古した布で作られたポンチョとフード、ターバンに、伸びた髪に、伸びた身長。
見た目が随分と変わっていたので、最初誰かと思った。

『ナルトがいなければ里を救うのは俺しかいない』

とヤツは返答して、眼力だけで隕石を木っ端微塵に大破してくれた。

すぐに、サスケだとその眼で判明したが。

少し前まで革命だの、里崩しだと、のたまってた時期を考えれば…。
サスケも、大した成長を遂げたようだ。

ヤツにどんな心境の変化があったのか、俺には分からないが、今回の功績で里に呼んでやることにした。

現在、サスケは…里のレッドリストに乗ってる。
前はブラックリストで抜け忍として、危険人物ゆえに刺殺命令が出ていた頃もあったが…。
二年前の戦争での功績。ここ二年間の極秘調査による功績。
今回の功績などで、下げられつつある。

レッドリストとは里に常住は許されないがたまに帰省は許される者のことだ。
ホワイトリストにまで下げられて里の永住居住権を得る日ももうすぐだろう。
そこまでサスケは重い任務を頑張ってくれた。

サクラは…まだサスケのことを慕ってるようだ。
俺としても…教え子の未来が幸せになれるように協力したいのが山々だ。

☆☆


早朝、サスケを俺のデスクに呼び出した。

『元気そうで何よりだ』
『報告書を渡す』
サスケが報告書のファイルを机に広げた。

サスケは…相変わらず、継ぎはぎだらけのポンチョに身をくるみ、
ターバン巻いて、横かけの鞄をしてる。

『服が相当汚れてることを考えれば…。
毎日激務なんだろうな…。
髪も伸びてる。
本当によくやってくれてる。
お前の報告書はとても細かく丁寧で分かりやすい。
お陰で俺もいろいろ役に立ってる』
『当然だ』

『ありがとよ…。
ま、座れよ』
サスケは眉ひとつ動かさず、座らなかった。

『お前の刑期ももうほとんど減ってきたからな』
『…そうか』

『お前、久しぶりなんだから、ナルトとサクラに会ってやれよ。
喜ぶぜ』
『会わん』

即答か。
少し引き伸ばすために話題変えるか…。

『お前、背が伸びたな』
『見たらわかる』

サスケの背が伸びていることは前、隕石激突の時、目撃してるから知ってる。
今、180センチは越えてるだろう。
ナルトもだが、コイツも大きくなったなぁ。
少し前まで、俺より随分小さかったことを考えれば…感慨深い。

『ま。
さっきの話に戻すが…。
そう言わずに…サクラに返事してやれよ。
俺から伝えても良いがな』
『…』

全く…サクラの告白に対する返事がない。
相変わらず見てられん。
これはサクラのためにも、もう少し深く聞いてやるか…。

『サクラも返事もない相手を待つのも不憫だろ。
サクラだってモテない訳じゃないし、いつもお前のために断ってるんだ。
お前は今、交際してる相手とかいるのか?
それとも交際はしてないが…。
他に女がいるのか?』

サスケは以前、香燐という、敵の女を侍らせていた。
サクラが待ったところで…。
他にいる可能性もある。
そんな場合、サクラに伝えるのが俺の師匠心だ。
サクラが可愛そうで、俺は胸が痛む。

『愚問だ』
サスケが部屋の扉へと足を運ぶ。

『おい、待てよ…』

俺は止めに入った…。
今のやり取り…。
どうなんだ?
どっちなんだ?
俺には分からねぇーな…。
何もしてやれねーか…。

『も少し聞けよ。
あとな…。
先日の功績でナルトが更にモテ期に入ったんだ。
お前も戦争と先日の援助で、この里での評判がグッとアップしている。
喜べ』
『そんな情報は要らん。
俺は忙しい。
帰る』
『おい…』

バタンと扉が閉められた。
あぁ。
ナルトの話題は余計だったのか?
サスケとナルトは死闘を繰り広げた仲だからな。
ライバルの恋路には興味はねぇよな…。

ああ。
今日は祝日だが、俺は忙しい。
きっとサスケ以上に。
火影としての業務が貯まってる。
専念するか。

☆☆☆

その翌日だ。
久しぶりにサクラとナルトが俺の仕事場に来た。

『お前らか…。
今、忙しい。
構ってやれん』
『そー言わず』
ナルトが明るい。

『久しぶりー』
『何のようだ?』
『ゴメン、カカシ先生。
自宅に財布忘れたの。
奢ってくれる?』
『そー言うことだってばよぉ…』
『ナルトが貸してくれたら良いのに』
『俺、ギリギリしかいつも持ってねぇし』
『ナルトー』
『ひー、だって。
日向とのデートで底付いて来てるし…』
『と言うわけでカカシ火影。
お願いします』
『俺からもお願いだってば…』

俺にタカりに来たのか。
ヤツららしいなぁ。
仕方ないなぁ。
お前らには前の隕石の時にも協力して貰ったからな。

『はいよ、返せよ。
締め切り明日だぞ』
『ありがとうございます♪』
サクラが浮かれてる。
元気そうだな。

『昨日、お前ら、珍しい人物に会わなかったか?』
『何の話だってばよぉ?』
『誰のことかしら?』

あちゃー。
アイツ、あのまま、本気で誰にも会わずに帰ったみたいだなぁ。
コイツら喜ぶだろうに…。
言うべきなのか。
ま、教えてやるか…。

『昨日、サスケが帰ってきた』
『ええええ、俺、会ってねぇんだけど…』
『私もよ…』

サクラの顔が暗い。
ナルトの目がビックリ真ん丸だ。
そうか。
もう少しサスケの帰省を引き伸ばすべきだったかな。

『カカシ先生、サスケくん…。
帰ったってことは…。
里抜けへのあの一本道を通ったはずですよね』
『だろうな。
お前はよくあそこに行ってるんだってな。
人影でも見えたか?』
『いえ…』
何だ?サクラの顔が赤い。

『どぉしたんだ?
突然、サクラちゃんでば』
ナルトも気がついたらしい。

『えと…。
昨夜、イノとあそこを探索してたら…。
寝ちゃって…』
『何だ、サクラちゃん。
タイミング悪ぃー』
『ま、その時間か、どうかも分からないがな。
サスケは早朝にここを出たからな…』
『…。
そうですか…。
実は夢で会えたーなんて…。
えへ』

『サクラちゃん。
さっきから顔真っ赤てばよぉ。
もしかしてエロい夢なのかよ』
『ナルト殺す』

ナルトがサクラの怪力で顔をぶん殴られた。
ナルトは涙目で相当痛そうだ。

『ゴメンってばよぉ…。
イデー!』
『用が終わったら出てけ。
俺は火影としての業務が忙しい。
お前の茶番に付き合ってられん』

『カカシ火影、お金貸してくれて…ありがとうございます♪』
『俺からも言うぜ』

バタバタと二人仲良く出て行った。
まるでアイツらは…血の通った兄弟みたいなノリだ。

あんなに仲の良い二人なのに…
ナルトの方には日向と付き合うし、

サクラは自分につれないサスケを恋慕ってるらしいし。

サクラが慕うサスケは…。
何考えてるのやら…返事すらしないし、
ナルトとサクラを殺そうとするし、
ナルトとサクラに会おうともせん。

世の中…分からん。

俺は今日も仕事が命だ。




12サスケの贖罪の旅A19歳。

目次

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