アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

サス ケの贖罪の旅A



茶屋を出るとき、たくさんの御手洗団子の箱をぶら下げたサクラの両親とすれ違った。
やはり、茶屋でサクラにモーションかけないで正解だった。

ナルトも去ったし、一瞬迷ったが…。
サクラの両親を隣の御手洗団子屋で見掛けてたし、サクラの両親は…俺にとって将来の家族だ。
なるべくなら点数稼ぎをしたい。

どうも隣の御手洗団子屋の味を…サクラの家は贔屓してるらしい。
長蛇の列なのだが…美味しいのだろうか?
俺は煩悩を消すためお手洗いを外で借りて抜いてから、団子屋へ並んだ。
木の葉の里の土産として持ち帰っても良いだろう。

しばらく並んで、やっと俺のところまで清算が来たところで、辛口御手洗団子を選んだ。
甘口と辛口があったが、俺は甘口が苦手だからだ。
サクラの家は甘口がすきらしい。

サクラの両親がぶら下げた買い物袋には甘口と表記された箱が入っていたからだ。

勘定を終えたところで…。
サクラの両親とサクラが隣の茶屋から出てきた。
とても興味が沸いたので、今日は1日サクラを尾行することに決めた。
今日ぐらいしか暇がない。

柄ではないが、昔、サクラもよく俺の家の近所を徘徊していたからだ。
それもかなり幼少期から。
俺の兄もそれを見て、
『お前、学校でモテるんだな』と。
よく…からかわれてた。

兄は…うちは一族稀代の天才で、兄は学園ではモテモテだった。
懐かしい記憶だ。
その頃は正直、いつもサクラにつけられてたので知らんフリしてたのに…。
変わるものだ…。
この暗部のマスクがあるからやり易い。

バレないよう気配を消し、電柱に隠れ、サクラをつけ狙う。
俺は特殊暗部だから、こういうのは得意だ。

サクラたちは割りと広いホワイトハウスに入っていった。
春野という表札がある。

俺は確認して、ここがサクラの家であることを初めて悟った。
サクラはたぶん俺の家なら熟知してるだろう。
ここまでで良いか。

俺の刑期は今朝、会ったカカシによれば…。
随分減ってあと8年はないらしい。
当初の予定では
『10年20年でもサクラは待つと言っている…』と。
報告書にあったから…。
ヒヤリとした。

が、この分だと…もっと功績残せば半減するはずだ。
早く帰って手柄を立てたい。
俺の境遇も考慮されて、元火影、幹部暗殺、惨殺、抜け忍などの重罪が相当減刑されてるらしい。
カカシも頑張ってるのだろう。
カカシは一見、俺に親身だが…違う…。
『本当に大切なヤツはいない』
カカシは…口にしてる。
カカシの仲間はあの世にいる。
俺のためというより、自分の過去の過ちの清算のために俺の力になっているのだろう…。
それこそがカカシにとっての、罪の償いなのだろう。

さて。
サクラの家も判明したことだし、俺は本屋に寄ることにした。
木の葉の里でしか売ってない本がある。

俺はいつもこれが楽しみで通販で取り寄せてる。
通販だと1カ月遅れるが、こちらの方が発売日が早い。

買うとき表紙がアレなので…レジに行きにくいが…。
表紙のイラストの子がサクラにそっくりだ。
しかもヒロインの名前もサクラ。
作者のペンネームもサクラ。
主人公の設定までナースコスチュームで忍者。
因みに18禁小説だ。

カカシ大好きのイチャイチャシリーズは作者死亡のため、続編はないが。
この小説は売れ筋かは知らんが…俺が非常に好んでる。
というか…。
絶対サクラをモデルにしてるんじゃないかと時々、怒りで震え出しそうになることもある。
しかし、癒されるので許してる。
俺も堂々と買える歳になったのだ。

この暗部のマスクは顔を隠すためのカムフラージュに利用できるので、かなり便利だ。
今日は帰ったら、絶対これを読み込もう。
ポンチョの中に3冊ほど入れた。
1冊は地方発売前の新刊。
2冊目は持ってない巻、3冊目は番外編。

サクラは…。
この本の存在を知っているのだろうか?
挿絵の子までサクラに似ていて心配だ。


俺は用を終えたので帰路に着いた。

夜も深まってきた。
月が煌めく。

里から帰るには、この一本道を通らなければならない。
暗部のマスクを外し、収納する。
外の空気が気持ちいい。

と、そこにサクラとイノがいた。
何やら話し込んでいるらしい。
俺は木陰に隠れて、話の内容を盗み聞くことにした。

≪サクラ、あなた、またこの場所に来てたのね≫
「イノ」

≪ここは昔、私たちがよく遊んだ場所でもあるでしょ。
それからサスケくんが出て行った場所でもあるけど≫
「…。
ここに来るといろんな思い出がよみがえって…。
サスケくんに会える気がして…」
≪あんたも偉いわね。
私は昔はサスケ君、好きだったけど…。
今はサイ一筋になってしまったわ。
サスケくんの刑期はどれぐらいなの?≫
「何年でも私、待ちたい。
そう決めた」

聞いてて身が詰まりそうになった。

≪そう…。
私は…アンタのこと、見守ってるわ。
私、これからサイと夜のデートだから。
アンタもあまり遅くなる前に家に帰りなさいよ≫
「…」

イノは去っていった。
今日は幸せな日だ。
ナルトはヒナタとくっ付いた。
イノはサイとくっ付いた。
サクラだけ一人だ…。

サクラの瞳がとても寂しそうなのが伝わってきた。

会いたい。
急激に思った。
チャクラを練って木の上にいた。

俺は弱い。
俺の大切な兄さんーーイタチは絶命の瞬間まで俺を騙し、俺のために俺を案じ生を全うした。
それなのに…。
俺は強くはない。
イタチがあの頃、俺に本当のことを教えてくれたなら…と俺は何度も悩む。
イタチが真実を告げれば…。
俺はイタチについていっただろう…。
しかし、当時とても…俺は非力だ。
すぐ殺されていただろう。
今ならイタチの気持ちも理解は出来る。

俺が大蛇丸のとこにいても…。
殺されず。
木の葉の里でも差別されなかったのは…。
全部イタチが罪を被ったから…。
後から知った。

イタチは力があるから、後ろから俺に危害を加えないように…常に圧力かけてた。
それから俺にこの瞳をくれた。
俺はイタチの生きざまを理想としたいが、イタチは俺に
『孤独に追い込むな、仲間をつくれ。
俺ができなかったことをしてほしい。
俺を完璧と崇拝するな』
と、自分の行動を全否定している…。

俺はこういうとき、ただ抱き締めたい…。
俺はイタチに騙されず…。
ただ抱き締められたかった。
連れて行ってもらえなくても。
たまに会うときだけで良い…。
ただ甘えたかった…。
イタチを憎みたくはなかった。
イタチに深く愛されてることは、イタチの死後…体感した。
でも…。
俺は…。
悲しい。

サクラは月を眺めてるようだ。
でも今の俺にお前は眩しくて会う勇気もない。
だから、気配を消して背後を瞬時にとった。

そして、暗部専用の細針で気絶のツボを押した。

サクラはグッタリ倒れる。
俺は卑怯だ。
これは以前、白もしていた方法だ。
最近、俺もこれを覚えた。
とても軽い麻酔だから、大丈夫だろう。

俺はサクラに近付いて、背後から片腕で抱き締めた。
周囲に人影がないのを確認した。

それからサクラへ軽く接吻した。
昔、事故でナルトとした感覚とは全く違う。
もっと欲しくなる。

それから、服の上から胸の膨らみを触った。
俺は何をやってるのだろう…。
バカだとおもう。

そこでサクラが少し動いた。
慌てて後退する。

向こうの方から誰か近付く足音がする。
木の上に登ってみれば…イノがこちらに向かっているようだ。

(イノは…サイと付き合ったらしいな…)

俺は先ほどのサクラとイノの会話を反芻してた…。

(イノは…≪私は…アンタのこと、見守ってるわ≫と言ってた…。
サクラを応援する気でいるらしい…)

☆☆☆

≪サクラ、あんたあまり遅いから心配で…≫
「私、寝てた?」

≪もう、疲れてるんでしょ。
帰るわよ。
女一人の夜は物騒よ≫
「ありがとう、サイは?」

≪仕事入ったみたいで断られたわ。
はぁー≫
「そう…。
別に起こさなくても良かったのに」

≪はい?≫
「今、サスケくんの夢、見てた」

サクラの頬が赤いのが、木の上から判別できた。
サクラはいったいどんな夢を見てたのだろうか。
内心、かなり焦ってる。
あれでは俺がサクラに甘えただけだ。

俺も帰路に着くべきだ。
ここにいてもサクラを犯すだけだ…。
この里にいると、俺はどんどん自分が弱くなるらしい。
決心が鈍り始める…。
だからまた暫く帰らない。

足早に飛躍する。

ありがとう。
この瞳も明かりが灯った気がする。

きっとお前を迎えにいくから。
その時に…。
また会おう。


Jサスケの贖罪の旅19歳。

目次

13サスケの贖罪の旅@Aカカシ目線(当日朝+翌日)

















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