ゼロC
翌日…水曜日、学校では休憩時間は…地図を作成するために徘徊してる…。
昼休みに近付くにつれて…調子が悪い・・。
今日はゼロの声が聞こえない…こんなことは…あの日以来、初めてだ…。
薬が効いたらしい・・・。
朝食後は飲んだが…昼飯後も飲む気だ。
昼休み、足早に廊下へ出た。
学食へ行く気だ。
廊下の真ん中まで行き…後ろがから女子どもがオレに接近してきたらしい。
Uゼロくん♪U
カンサイは低身長ロリ華奢体型…メイド萌え喫茶勤務ツインテールな女子…。
関西からの転校生で…まだ関西弁が抜けてない…。
オレの内部にいるゼロが萌え系だとうるさかった…。
その時だ、また…ゼロの声が…聞こえてきた…。
---<もう薬の効き目が切れて来たんじゃないか?萌え系だな。ここは楽園だな…>---
||ゼロ君はあたしのものよ!||
ナデシコは高校二年生女子平均身長平均体重…和風顔…実家が茶道らしい…。
昼間、女子たちが話す会話から知った情報だ。
---<和風も良いな、この国…僕は気に入った…。
君はどちらがタイプなんだ?
それとも僕の妹なのかぁ?>
【ウルセェ…】
オレは嫌そうな顔になる。
薬が切れて来たらしい…ゼロがからかってる…。
ミルルがキセキの手を持ったまま…オレへ近づいた。
≪ミルルも行く!≫
---≪ミルルはね、ゼロさんが嫉妬するところが見たいの!
本当はゼロさんと結婚する気なのよ!≫
「ちょっと、ひっぱるな…痛い…僕は…。
ゼロはクラスメイトと認めない!」
---<君は良かったな、ミルルに愛されてる。
ミルルは昨日のデーターでもうほぼ確定だ…。
僕の妹であることが…>
≪ゼロさんはこの中では絶対、CM流出女優ミルルが好きに決まってるよね?≫
ミルルがこちらを見てやがる。
キセキは…つまらなさそうにアッチ向いてら…。
---<どうするんだ?
君は・…好意に応じるべきだろ?>
---≪ミルル、ゼロさんが良いわよ。
ほら、素直になりなさいよ!≫
また聞こえてきやがった…。
オレは一瞬、素顔に戻り…舌を巻いて威嚇した。
【誰も要らねエ…絡むんじゃネエ・・ウゼェ】
Uな?
な?
邪神国ってどんなとこなん?U
||あたしも聞きたいわ?
ゼロ君…学食は何食べたの?||
≪ゼロさんて…どんな子が好みなわけ?
ミルル…聞きたいななんて…≫
「女子軍団…僕より…留学生なのか?」
キセキは泣きそうな顔だ…。
ミルルは嬉しそうな顔だ。
≪まあね?
気が多い、キセキさんより何者にも染まらないゼロさんに傾きかけてるわよ?
どうする泣いちゃう?
キセキさん?≫
---<良かったな、君はミルルに愛されてる>
---≪ミルルはゼロさんのためにCM女優を目指すの、ゼロさんに認めてもらうために…≫
頭の中で声が止まらない…。
あり得ない思考が流れて来てる…。
【邪神国はオマエらでは務まらネエ。
うどん食べる、
健康的で強い方が良い、当たりめえダ…】
Uそうなん?
ウチ、強いで!
健康いっぱいやでU
||あたし、そうよ?
女子平均身長平均体重って言うのがあたしの売りよ?||
≪ミルルは物凄く強いわよ、少々食べなくても元気だから!≫
---≪ミルルはゼロさんのために元気なフリするの!≫
---<これこそ君が望んでた世界な筈だ>
オレは瞬きした。
「ミルル…体調は大丈夫か?
君、昨日…倒れて保健室へ行ったんだろ?」
≪キセキさん…心配してくれるの?
ミルル嬉しい…≫
---≪ねえ?妬いちゃう?ゼロさん?
ミルルはね、本当はキセキさんよりゼロさんがもう好きよ…ぞっこんよ≫
---<良かったな、ゼロ…。君は僕の妹にも愛されてる>
(ゴチャゴチャ、ウゼエすぎだ)
【まあ、そこにいるヤツらみてえのが…。
オレの国にくりゃ…真っ先に身代金誘拐ダ…。
警戒した方が良いハズだ…。
ジャナ…】
Uくーーー!
クールやわ!U
||こういう系もいいわね?||
≪どうする、キセキさん…泣いちゃう?≫
---≪ねえ、ゼロさん・・・キセキさんに近付くと本当は怒ってる?
ミルルはね、ゼロさんの愛を試すわよ?
本当はミルル、ゼロさんが好きなの…。
キセキさんは当て馬も良いところよ!≫
「別に僕は泣かない…。
ミルルに泣かされるような男でもない…」
≪良く言うわ、キセキさん…≫
---≪どう?ムッとするでしょ?
ミルルのアピール効いてる?
ねえ、ゼロさん…≫
---<良かったな、君は…僕の妹に愛されてるらしい…。
僕の妹が君を試してる…>
オレは遠いところを見詰めた…。
空の上には…ヘリが飛んでる…。
---<君は悲しむはずだ、この日常が血に染まることを喜ぶはずもない♪>
(オレは任務を続行する気だ)
≪ヘリが飛んでるわね‥あれ、何かしら?≫
Uどうせ報道関係やろ?
ウチの国からも…自衛隊が…飛んで行ってるらしいで、邪神国関係で…。
それ以外にも…ジャシドンあったやろ?
あれの放射能を測定してるっちゅう噂もあるで…U
||ジャシドン…結局・…何だったのかしら?
あれ以来…テレビでは言わないけど…||
≪ミルルも見た…。
あれ、何だったのかしらね?
花火みたいだったけど…≫
「君も聞いたのか…僕も月曜の早朝に聞いた…」
【オマエらも聞いたカ…。
ミルル…おまえ、ターシャ祭りには行く気カ?】
---<ミルルは僕の妹だ、命に代えて君が守って欲しい…。
僕からも頼む>
薬の効き目が切れたのか…頭で…ゼロがうるさい…。
Uえ?
何で、ミルルに聞くん?U
||え?
あたしには聞かないの?||
≪遊びに行く気だけれど…どうして?
やだ〜まさか…ミルル、誘ってるの?
だって、CM流出美女と言えば…ミルルしかいないものね?
分かりやすいんだから…ゼロさんって…。
キセキさんが泣くわよ?≫
---≪キセキさんはどうでもいいわ、ゼロさん一筋よ。ミルルって≫
---<喜べ、君は…。僕の妹と仲良くなるべきだぁ>
【ダリィ】
オレはそこから走って行った…。
早く、飯食って…手洗いかどこかで…薬を飲むべきだ。
☆☆☆
オレは食堂で…カレーうどんを頼んだ…。
---<今日はカレーうどんか…昨日は…蕎麦だった…日本食が僕は食べたい♪>
学食に着席するなり…。
隣の上級生に絡まれた…。
[おまえ、邪神国からの亡命者なんだってな?]
[邪神国からなんて珍しすぎるぜ、目付きわるいな、オマエ]
[上級生にくらい、挨拶しろよ]
[おまえの国がジャシドンとか言うミサイルもどき発射して俺は困ってる…]
柄が悪そうな雰囲気の上級生だ。
【ウゼエんだよ、ゴラ…!
オメエの…脳天かち割ってやろカ…?!
死にたくなければ…去るべきダ…。
容赦はナイ…】
上級生が頼んだ…水の入ったコップを…上級生の頭からぶっかけた。
途端に上級生の顔が真っ赤になった。
これは…邪神国流の挨拶ダ。
やっと素に戻れそうだ。
---<頑張れ、僕は応援してる!負けるな!>
[なんだよ、オマエ!]
[止めとけ、邪神国だ…真面目に殺しかねん、偏見じゃねえ。
お前の国って食糧難で共食いしてんだって?]
【オマエに何が分かる?
オレはもう、腹に友がいる…死にかけの友なら食った…そうして生きた。
蔑むなら蔑め、オマエラをオレは恨んでる…。
今日は殺さないガ…いつかオマエラも血祭りダ】
---<君は大嘘つきだ、君の心は壊れてる…。
しかし、僕は君が生きることを祈る、僕の分まで生きてくれ…>
オレの脅しは嘘ではねえ。
上級生はビビったらしい…。腰が引けたみたいダ…。
[去ろうぜ…。
俺もう絡むの止めた]
[食べたってマジかよ]
[食人鬼なのかよ、邪神国って…]
食堂の遠くから声がする…。
「想像絶するらしいな…邪神国は…。
昨日、ゼロが…君に怒る訳だ…。
ヤツの前で弁当捨てるのは…ダメだっただろう・・」
キセキの声か?
≪…ミルル、アッチの席に行っても良いかしら?
キセキさん?≫
---≪ミルルはゼロさんのところへ走るわ。
さようなら、キセキさん≫
---<良かったな、元気出せ。僕の妹は素直だ>
(うぜえ…)
早く、薬を飲むべきだ。
頭がまた喚いてる…。
「ああ、君は昨日のことを謝るべきだ…」
キセキの声だ・・・。
Uそうやな、ミルル…U
関西弁なのはカンサイって野郎らしい…。
||あたし…どうすればいいのかしら?
それでも何かゼロ君が気になるみたいで…。
でも…予想以上に邪神国って…||
それから…ミルル達がオレの隣に座る…。
ミルルは豚カツを頼んだらしい、昨日…倒れたのに…雑草のように強い女らしいナ…。
≪えっと…昨日、ゼロさんの前でミルル…弁当をゴミ箱に捨ててゴメン…。
大変だったんだね≫
---≪ミルル、ゼロさんの前で空気読めなかった…ごめんね。
嫌いにならないで、ミルルのこと…≫
---<妹が謝ってる、許してやれ>
【オマエらに何が分かる?
無理ダロウ…】
Uウチもゼロくんの心が癒えるように祈るわ…。
何か想像絶するとこやねんな…邪神国って…U
||ジャシドンは…大丈夫なの?
とても気になるけど…||
【ノーコメントだ、オレもしらねェ…】
---<ジャシドンは核ミサイルだ…あれを飛ばす気だ…。
邪神国は・・・いつの日かだ…。
僕は怖い…そんなもの見たくない…>
「さ、会話は終わっただろ…女子3人達。
僕のあとに続け…」
キセキがオレから離れたそうな空気だ…。
コイツとオレは合いそうにねえ…。
---<キセキかぁ…君のライバルかぁ?
でも、大丈夫だろう…。
僕の妹は君にゾッコンな筈だぁ♪>
≪キセキさん、もう少しこの席にいましょうよ?≫
「僕は別に邪神国からの留学生だから差別する訳ではない、気に入らない…。
僕より後から来て…僕の女子を奪っていくゼロの存在を…」
Uウチも少しここで良いで?
今日はここで食おうやU
||毒のある花もたまにはいいわね…。
ラフレシアなんて花道では生けたことないけど…||
≪えっと…ゼロさんは…邪神国ではどうやって生きてたの?
家族はいるのかな?≫
Uウチも気になるわ…。
兄弟は?いるん?U
||あたしも気になるわ||
【友はイネエ、母もイネエ…。
父は…知ラネエ…。
兄弟は知らネエ…。
ほぼ、あの世ダ】
≪あの世?
ってことは…死んだってこと…≫
Uどこで、日本語覚えたん?
ってか…人間食べるんって嘘やな?
今の売り言葉に買い言葉やな?
そこまでなん、あの国って…U
||カンサイ…聞かない方が良いわよ、テレビでも言ってたけど…ありえそうだから…||
【平和ボケし過ぎダ、ココの人間どもハ…。
オレには近寄らない方が良い筈ダ…、オレもソレを望ム…。
ハハハハ…】
オレは黒く笑った。
「ミルル、ゼロは止めとけ…。
君のことは僕はどうでも良いが…。
何か危ない気がする…ゼロくんが邪神国の人間だからと言う訳ではない…。
まあ、君がそれでも良いなら、応援しよう…」
≪ミルルはキセキさんで良いわよ?
で、キセキさん…ミルルにしてくれるの?≫
‐‐‐≪ミルルはゼロさんを試すわ?
構ってよ!ねえ、ゼロさん…。
本当はミルルが好きな癖に。
ミルルもゼロさん、好きよ?
愛してるわ≫
‐‐‐<君は良かったな、僕の妹に会えて、僕も感激してる>
(少しは黙りやがれ…いかれてるのか?オメエらは?アアン?)
「僕は申し訳ないが…ミルルは何故かスキになれない…。
タリアが君を好きな筈だ…今日こそ落とすはずだ」
≪そうかしらね?
ミルルは月神さんなんんてどうでもいいわ≫
‐‐‐<月神タリアか…。
ノーマークだったが…。
冴えない男だ、大丈夫だろう…君の完勝だ>
(ウゼエすぎだ)
「タリアなら、良いだろう…アイツは無口だが…良い奴だ…。
僕には分かる…。
しかし…何故か…ゼロは僕、気に食わない・・」
(オレも何故か…この平和ボケしたキセキは苦手ダ…。
くぉおりゃ!死にやがれ、糞ボケヤロウ!
っざけんじゃねえよ!このっ、うすのろの泣き虫が!
テメエは偽善者ダ…密告してオレが処刑を決行してえ!オレは人間を殺してえ!!オリャアアアア)
‐‐‐<まあ、怒り狂うな…君が大変な人生だったのは僕は分かる…。
恨めしく感じるのも仕方ないことだ・・・>
Uキセキくん…モテるからゼロくんが嫌いなだけちゃうん?
嫉妬してるん?
可愛いな?
ウチ、慰めるで…U
||泣いても良いのよ??
あたしの胸で…だって、あたしは大和ナデシコだから…。
慎まし気で良い女よ?||
「どうして、僕に群がる女はここまで気が強いんだ…。
それから…信じられないことに…留学生が来る途端、そちらへ走るなんて。
僕は全く面白くない…。
どれだけ僕が小遣いのほとんどを…モテるためのテクニック本に費やしたことか…。
それを一瞬でこの男は…。
こんな奴のどこが良いんだ?
君たちは…」
||う〜ん…。
なんとなくだわ…モテそうな雰囲気が漂ってるのよね…||
Uそうなんや・…やっぱりこれは実際会ってみんとな…U
≪そうなのよ、ミルルも…。
苛め甲斐がなさそうなのに…何故か…ゼロさんが気になって…。
どうしてなのかしら?≫
‐‐‐≪運命の赤い糸で繋がってるからに決まってるでしょ!
ミルルはゼロさんと結ばれるべき女なの!
ゼロさんが良いからなの!≫
【良い迷惑ダ】
「気に食わないのは素直じゃないところだ。
僕ならモテることを誇りに思ってるのを盛大にアピールすると言うのに・…。
こいつは皮肉しか言わない…。
こんな人間、僕が好きになれる訳もない…」
≪キセキさん…泣いてる?怒ってる?≫
‐‐‐≪ねえ、試すわよ?
ミルルは…。
実はSなのよね?
ゼロさんが好きだからこそ…反応が見たくなるの!
ねえ、ミルルのこと…好きかなぁ?
キセキさんを好きなフリするミルル、気になる?
どうなの?
ゼロ??≫
【オマエら邪魔ダ、オレは去る。ウゼェ】
「ミルル、君は僕の絶対崇拝者だった筈だ…。
どうしてそんなゼロなんて留学生をボケーとした顔して見詰めてる…。
止しておけ、タリアが泣く…。
奴なら良い奴だ、協力もしよう…」
Uウチも悩むわ…キセキくんとゼロくん…どっちに…U
||あたしもなのよね・…||
「どこがいいんだ?
食糧難の邪神国から来て…今、友人まで飢餓のせいで食べたって言うレベルの…何やって生きているか分からないレベルの人間だ、止しておけ。
邪神国は凶悪すぎて…ヤリタイ放題の恐ろしい国だと聞く…。
本気で、僕は君たちのことを心配してる…。
あのジャシドンだって…核兵器ミサイルの可能性が…」
Uキセキくんって心配しすぎちゃう?U
||あたしも同感…||
「僕は君たち、3人の将来を心配する…」
【ウゼェ、ココはノウノウとしてらァ…】
オレは突然、立ちあがった…。
一瞬、ミルルと目が合った。
‐‐‐<どうだ、妹のアピール気に入ったか?
君を試してるらしい…>
(どうでも良いことダ)
オレは気に食わないゼロの妹…ミルルは睨んだ。
それから…食堂へ食器を返しに行った…。
その後、そこから去り…薬を手洗いで飲んだ。
飲んでる場面をバレルわけにはいかねえ…。
注意は払いまくる…。
☆☆☆
オレの仕事も非情でなければならない。
クラスメイトとつるむ気は全くない。
旅行者気分を味わっている暇があれば…地図を作製しなければならない・・。
この村の地図や…情報だ。
パレードの最後が勝負だ。
いろいろ大変でもある。
ゼロの声が聞こえねえと…不思議な感情だ…。
任務は捗るが…重い空気だ…。
木曜日…。
学校に着く。
≪初日はあんなのだったけど、苛め甲斐もないヤツだけど、気に入ってあげてるわ?感謝しなさい?≫
Uなあ、ゼロくんってどこに住んでるん?
どこで日本語覚えたん?
寮生ちゃうらしいなU
||あたしはナデシコよ?名前で呼んでね?
ゼロ君…。
キセキ君、遅いわね…。
つまらないのかしら?||
【ハン?
ノウノウとしたヤツらだ…。
オマエら全員ソウダ…】
≪このブラックな感じも良いわね?
で、どんな家なの?
家族構成は?≫
Uミルル、アンタはキセキくんだけにしとき。
ウチはゼロくんとキセキくん両方戴くわU
||何言ってるの?
カンサイ、アンタには…メイド喫茶のお客様もいるでしょ?
お客様が知ったら泣くわよ?
バイトしないと…下宿への仕送りだけではキツイ癖に||
Uウチ、苦学生やで・・・!
ココがウチのポイントや!
ゼロくん、ウチにしとけよ!
メイド服見せたるから♪U
☆☆☆
本音は隙があり過ぎじゃないか?と突っ込みたくもなる。
更に情報ならここ数日で得てる。
しかし、非常ではあるが…数日の余暇は楽しかった。
恩赦と言うことで見逃してやろう、もう少し警戒すべきだろう。
巫女様についての情報項目は…オレだけが知った。
ヤツが月神タリアで…その交際者が異能マナナだ。
休み時間も昼休みもほぼ、教室にはとどまらず…マナナを尾行してた。
そうすれば…イモヅル式に…裏山の廃墟地へ辿り着いた。
目撃はする気もない、声でだいたい理解できる。
そう言う意味だろう。
外で私語は慎むべきだろう。
オレはスパイとしてここへ侵入してる…尾行さえ成功すれば…あとは楽だ。
オレの脚は誰よりも早い。
しかし、これは報告しない。
何かのとっておきのネタにつかえそうだ。
毎回、こういうふうに情報を振り分けてる。
情報を残しておくことで脅しにも使えるし…命乞いの際にも見逃してもらえることも多々あると学習してるからだ。
知らないフリした方がオレにとってはメリットだろう。
そういうことだ。
話せば、まあ…今日にでも…タリアは邪神教へ送られる。
すぐだろう、誘拐だ。
手に取るように未来なら想像できる。
オレは非情だが…割りと、ターシャ国も楽しくはあった。
ただ憎い、恨めしいとも相反する感情だ。
どっちに付くか決めかねてる…。
ある日、将軍様から逃亡できる際にも…情報は使えるかもしれない。
それは難しそうだ。
知らないフリをした方がこの情報は良いと判断した。
あとは地図を作成しよう・・それと更なる情報だ。
因みに…邪神国からの留学生…オレに留まらず…全員、マイクロチップが入ってるだろう…。
あれほどオレにとって邪魔な文明もない。
本当にターシャ国は平和ボケしすぎてる。
疑いすらしない…。
あれなら空港で…銃は反応しない。
スパイだとすら疑わない。
あんな国から逃げれる人間なんて…骨となって…海外か、臓器となって海外へ・・逃げれる程度で…。
今のところ、誰もいない筈だ。
この国で流れてる情報も悪いが1割だろう。
惨すぎて文章にしにくい面もある。
あれが普通だったから、本気で拍子抜けしてる。
こんな日常も良いかと甘えも出てるが…。
クーデターは起こさないと、命に係わる…。
オレは任務を遂行する気だ。
将軍様のために。
それにしても、やはりこの国の奴らは恵まれすぎてる。
オレは任務で体を繋げることはあるが、愛のある行動なんて無縁ではある。
友人も何回亡くなってるか分からない。
執着はしないのが鉄則だ。
しかし、オレが関係を持った金持ちの女…や男は無理だろうが…。
それにも既にオレの子がいる可能性があるらしい。
将軍様はミルルの存在に大喜びなさってる。
☆☆☆
机でのうのうと勉強しかしてないのも…分からなさすぎる。
徒競走も別には知らなくても、爆撃から逃げる場面で自然と足など速くなるだろう…。
ここは退屈だなと感じたのも本音だ。
予定では、ターシャ祭り当日、テロを仕掛ける。
その時にオレも扇動しなければならない。
この学校への留学生として転入も当たり前だが…スパイ活動だ。
噂なら流れてる。
異能マナナがターシャ教布教活動に関わる…ミサへの祭壇者…泉の巫女と…。
友達で親密だと言う噂で…張っていた。
しかし、良くある話だが…。
熱狂的ファンによる勝手に流したデマだったらしい・…。
報告書にはそうまとめておいた。
泉の神子はアラ人神と…村人が信じきって疑わない…。
アレを利用して、ターシャ教から邪神教へ勧誘するのも一つの目的ではある。
☆☆☆
午後、科学の授業が開始される。
[キャーまたゼロくんが100点だわ]
[徒競走も一番だったわね]
[悩むわ]
オレは…教壇の中央、最前列にいる…。
【ウルセェ】
[良いわ、もっとしゃべって!]
[どうして、休み時間、ほとんど教室にいないの?]
[ねえ、何やってるの?休み時間は…]
[学校が終わったら…瞬間移動並みにいないけど…。
どこが家なの?
私だけに教えて]
【ダリぃ】
[ゼロくんて…日本語もだけど…漢字もカタカナもどこで覚えたの?]
[邪神国で日本語の科目ってあるの?]
[こっちでは邪神国の言葉って知らないけど…。
独自の言葉があるって聞く…本当?]
[あの国のニュース、報道されてるけど…。
どう思ってるの?
ゼロくんは]
【平和ボケすんな、ゴラァ】
[そう…あたしたちのこと、好き?]
[この国気に入った?]
[両親はどこにいるの?ターシャ国?]
[兄弟とかいるのかな?]
【スキになれっかよ、オマエラ…敵ダ。
ウゼェ】
☆☆☆
教室右側から声がする…女子どものだ。
≪困ったわね…苛め甲斐がある、キセキさん。
苛め甲斐がないけど…オールマイティで逃げ足まで早すぎる、ゼロさん。
どっちが良いかしら?≫
Uうん、ウチも悩むけどな、完璧すぎるとまたこれはおもろないんやU
||少しぐらいの毒を見せないとね?
だって、顔良し、頭良し、運動神経良しになると…。
なんか逆に興味なくすのよね?
真面目すぎも詰まらないでしょ?
キセキ君のような時々泣いてくれるぐらいでも…。
うーーん、まだ足りないわ。
キセキ君の涙顔を越えるぐらいの胸キュンが欲しいわ。
あれ、あたしも好きなのよね…||
男性の化学の先生が物凄く呆れた顔してる。
---眼鏡ミルル、おまえは、CMにまで出たからって調子に乗り過ぎだ。
学校でもお前だけは茶髪を許してやってる。
この学校の成績を上げるためにもだ、成績が良いのも知ってる。
しかし…授業ぐらい集中しろ。
男子どもも呆れてる…---
≪先生、ミルルは完璧過ぎないからモテるんです。
このSキャラな切り口が更にモテるんです。
この意味、分かりますよね?≫
Uそうや、ゼロくんにはそれがまだ足りん…。
だからキセキくんとウチも悩んでしまうんやU
||どっちにつけば、あたし…良いのかしら?||
ゼロB
小説目次
ゼロD
昼休みに近付くにつれて…調子が悪い・・。
今日はゼロの声が聞こえない…こんなことは…あの日以来、初めてだ…。
薬が効いたらしい・・・。
朝食後は飲んだが…昼飯後も飲む気だ。
昼休み、足早に廊下へ出た。
学食へ行く気だ。
廊下の真ん中まで行き…後ろがから女子どもがオレに接近してきたらしい。
Uゼロくん♪U
カンサイは低身長ロリ華奢体型…メイド萌え喫茶勤務ツインテールな女子…。
関西からの転校生で…まだ関西弁が抜けてない…。
オレの内部にいるゼロが萌え系だとうるさかった…。
その時だ、また…ゼロの声が…聞こえてきた…。
---<もう薬の効き目が切れて来たんじゃないか?萌え系だな。ここは楽園だな…>---
||ゼロ君はあたしのものよ!||
ナデシコは高校二年生女子平均身長平均体重…和風顔…実家が茶道らしい…。
昼間、女子たちが話す会話から知った情報だ。
---<和風も良いな、この国…僕は気に入った…。
君はどちらがタイプなんだ?
それとも僕の妹なのかぁ?>
【ウルセェ…】
オレは嫌そうな顔になる。
薬が切れて来たらしい…ゼロがからかってる…。
ミルルがキセキの手を持ったまま…オレへ近づいた。
≪ミルルも行く!≫
---≪ミルルはね、ゼロさんが嫉妬するところが見たいの!
本当はゼロさんと結婚する気なのよ!≫
「ちょっと、ひっぱるな…痛い…僕は…。
ゼロはクラスメイトと認めない!」
---<君は良かったな、ミルルに愛されてる。
ミルルは昨日のデーターでもうほぼ確定だ…。
僕の妹であることが…>
≪ゼロさんはこの中では絶対、CM流出女優ミルルが好きに決まってるよね?≫
ミルルがこちらを見てやがる。
キセキは…つまらなさそうにアッチ向いてら…。
---<どうするんだ?
君は・…好意に応じるべきだろ?>
---≪ミルル、ゼロさんが良いわよ。
ほら、素直になりなさいよ!≫
また聞こえてきやがった…。
オレは一瞬、素顔に戻り…舌を巻いて威嚇した。
【誰も要らねエ…絡むんじゃネエ・・ウゼェ】
Uな?
な?
邪神国ってどんなとこなん?U
||あたしも聞きたいわ?
ゼロ君…学食は何食べたの?||
≪ゼロさんて…どんな子が好みなわけ?
ミルル…聞きたいななんて…≫
「女子軍団…僕より…留学生なのか?」
キセキは泣きそうな顔だ…。
ミルルは嬉しそうな顔だ。
≪まあね?
気が多い、キセキさんより何者にも染まらないゼロさんに傾きかけてるわよ?
どうする泣いちゃう?
キセキさん?≫
---<良かったな、君はミルルに愛されてる>
---≪ミルルはゼロさんのためにCM女優を目指すの、ゼロさんに認めてもらうために…≫
頭の中で声が止まらない…。
あり得ない思考が流れて来てる…。
【邪神国はオマエらでは務まらネエ。
うどん食べる、
健康的で強い方が良い、当たりめえダ…】
Uそうなん?
ウチ、強いで!
健康いっぱいやでU
||あたし、そうよ?
女子平均身長平均体重って言うのがあたしの売りよ?||
≪ミルルは物凄く強いわよ、少々食べなくても元気だから!≫
---≪ミルルはゼロさんのために元気なフリするの!≫
---<これこそ君が望んでた世界な筈だ>
オレは瞬きした。
「ミルル…体調は大丈夫か?
君、昨日…倒れて保健室へ行ったんだろ?」
≪キセキさん…心配してくれるの?
ミルル嬉しい…≫
---≪ねえ?妬いちゃう?ゼロさん?
ミルルはね、本当はキセキさんよりゼロさんがもう好きよ…ぞっこんよ≫
---<良かったな、ゼロ…。君は僕の妹にも愛されてる>
(ゴチャゴチャ、ウゼエすぎだ)
【まあ、そこにいるヤツらみてえのが…。
オレの国にくりゃ…真っ先に身代金誘拐ダ…。
警戒した方が良いハズだ…。
ジャナ…】
Uくーーー!
クールやわ!U
||こういう系もいいわね?||
≪どうする、キセキさん…泣いちゃう?≫
---≪ねえ、ゼロさん・・・キセキさんに近付くと本当は怒ってる?
ミルルはね、ゼロさんの愛を試すわよ?
本当はミルル、ゼロさんが好きなの…。
キセキさんは当て馬も良いところよ!≫
「別に僕は泣かない…。
ミルルに泣かされるような男でもない…」
≪良く言うわ、キセキさん…≫
---≪どう?ムッとするでしょ?
ミルルのアピール効いてる?
ねえ、ゼロさん…≫
---<良かったな、君は…僕の妹に愛されてるらしい…。
僕の妹が君を試してる…>
オレは遠いところを見詰めた…。
空の上には…ヘリが飛んでる…。
---<君は悲しむはずだ、この日常が血に染まることを喜ぶはずもない♪>
(オレは任務を続行する気だ)
≪ヘリが飛んでるわね‥あれ、何かしら?≫
Uどうせ報道関係やろ?
ウチの国からも…自衛隊が…飛んで行ってるらしいで、邪神国関係で…。
それ以外にも…ジャシドンあったやろ?
あれの放射能を測定してるっちゅう噂もあるで…U
||ジャシドン…結局・…何だったのかしら?
あれ以来…テレビでは言わないけど…||
≪ミルルも見た…。
あれ、何だったのかしらね?
花火みたいだったけど…≫
「君も聞いたのか…僕も月曜の早朝に聞いた…」
【オマエらも聞いたカ…。
ミルル…おまえ、ターシャ祭りには行く気カ?】
---<ミルルは僕の妹だ、命に代えて君が守って欲しい…。
僕からも頼む>
薬の効き目が切れたのか…頭で…ゼロがうるさい…。
Uえ?
何で、ミルルに聞くん?U
||え?
あたしには聞かないの?||
≪遊びに行く気だけれど…どうして?
やだ〜まさか…ミルル、誘ってるの?
だって、CM流出美女と言えば…ミルルしかいないものね?
分かりやすいんだから…ゼロさんって…。
キセキさんが泣くわよ?≫
---≪キセキさんはどうでもいいわ、ゼロさん一筋よ。ミルルって≫
---<喜べ、君は…。僕の妹と仲良くなるべきだぁ>
【ダリィ】
オレはそこから走って行った…。
早く、飯食って…手洗いかどこかで…薬を飲むべきだ。
☆☆☆
オレは食堂で…カレーうどんを頼んだ…。
---<今日はカレーうどんか…昨日は…蕎麦だった…日本食が僕は食べたい♪>
学食に着席するなり…。
隣の上級生に絡まれた…。
[おまえ、邪神国からの亡命者なんだってな?]
[邪神国からなんて珍しすぎるぜ、目付きわるいな、オマエ]
[上級生にくらい、挨拶しろよ]
[おまえの国がジャシドンとか言うミサイルもどき発射して俺は困ってる…]
柄が悪そうな雰囲気の上級生だ。
【ウゼエんだよ、ゴラ…!
オメエの…脳天かち割ってやろカ…?!
死にたくなければ…去るべきダ…。
容赦はナイ…】
上級生が頼んだ…水の入ったコップを…上級生の頭からぶっかけた。
途端に上級生の顔が真っ赤になった。
これは…邪神国流の挨拶ダ。
やっと素に戻れそうだ。
---<頑張れ、僕は応援してる!負けるな!>
[なんだよ、オマエ!]
[止めとけ、邪神国だ…真面目に殺しかねん、偏見じゃねえ。
お前の国って食糧難で共食いしてんだって?]
【オマエに何が分かる?
オレはもう、腹に友がいる…死にかけの友なら食った…そうして生きた。
蔑むなら蔑め、オマエラをオレは恨んでる…。
今日は殺さないガ…いつかオマエラも血祭りダ】
---<君は大嘘つきだ、君の心は壊れてる…。
しかし、僕は君が生きることを祈る、僕の分まで生きてくれ…>
オレの脅しは嘘ではねえ。
上級生はビビったらしい…。腰が引けたみたいダ…。
[去ろうぜ…。
俺もう絡むの止めた]
[食べたってマジかよ]
[食人鬼なのかよ、邪神国って…]
食堂の遠くから声がする…。
「想像絶するらしいな…邪神国は…。
昨日、ゼロが…君に怒る訳だ…。
ヤツの前で弁当捨てるのは…ダメだっただろう・・」
キセキの声か?
≪…ミルル、アッチの席に行っても良いかしら?
キセキさん?≫
---≪ミルルはゼロさんのところへ走るわ。
さようなら、キセキさん≫
---<良かったな、元気出せ。僕の妹は素直だ>
(うぜえ…)
早く、薬を飲むべきだ。
頭がまた喚いてる…。
「ああ、君は昨日のことを謝るべきだ…」
キセキの声だ・・・。
Uそうやな、ミルル…U
関西弁なのはカンサイって野郎らしい…。
||あたし…どうすればいいのかしら?
それでも何かゼロ君が気になるみたいで…。
でも…予想以上に邪神国って…||
それから…ミルル達がオレの隣に座る…。
ミルルは豚カツを頼んだらしい、昨日…倒れたのに…雑草のように強い女らしいナ…。
≪えっと…昨日、ゼロさんの前でミルル…弁当をゴミ箱に捨ててゴメン…。
大変だったんだね≫
---≪ミルル、ゼロさんの前で空気読めなかった…ごめんね。
嫌いにならないで、ミルルのこと…≫
---<妹が謝ってる、許してやれ>
【オマエらに何が分かる?
無理ダロウ…】
Uウチもゼロくんの心が癒えるように祈るわ…。
何か想像絶するとこやねんな…邪神国って…U
||ジャシドンは…大丈夫なの?
とても気になるけど…||
【ノーコメントだ、オレもしらねェ…】
---<ジャシドンは核ミサイルだ…あれを飛ばす気だ…。
邪神国は・・・いつの日かだ…。
僕は怖い…そんなもの見たくない…>
「さ、会話は終わっただろ…女子3人達。
僕のあとに続け…」
キセキがオレから離れたそうな空気だ…。
コイツとオレは合いそうにねえ…。
---<キセキかぁ…君のライバルかぁ?
でも、大丈夫だろう…。
僕の妹は君にゾッコンな筈だぁ♪>
≪キセキさん、もう少しこの席にいましょうよ?≫
「僕は別に邪神国からの留学生だから差別する訳ではない、気に入らない…。
僕より後から来て…僕の女子を奪っていくゼロの存在を…」
Uウチも少しここで良いで?
今日はここで食おうやU
||毒のある花もたまにはいいわね…。
ラフレシアなんて花道では生けたことないけど…||
≪えっと…ゼロさんは…邪神国ではどうやって生きてたの?
家族はいるのかな?≫
Uウチも気になるわ…。
兄弟は?いるん?U
||あたしも気になるわ||
【友はイネエ、母もイネエ…。
父は…知ラネエ…。
兄弟は知らネエ…。
ほぼ、あの世ダ】
≪あの世?
ってことは…死んだってこと…≫
Uどこで、日本語覚えたん?
ってか…人間食べるんって嘘やな?
今の売り言葉に買い言葉やな?
そこまでなん、あの国って…U
||カンサイ…聞かない方が良いわよ、テレビでも言ってたけど…ありえそうだから…||
【平和ボケし過ぎダ、ココの人間どもハ…。
オレには近寄らない方が良い筈ダ…、オレもソレを望ム…。
ハハハハ…】
オレは黒く笑った。
「ミルル、ゼロは止めとけ…。
君のことは僕はどうでも良いが…。
何か危ない気がする…ゼロくんが邪神国の人間だからと言う訳ではない…。
まあ、君がそれでも良いなら、応援しよう…」
≪ミルルはキセキさんで良いわよ?
で、キセキさん…ミルルにしてくれるの?≫
‐‐‐≪ミルルはゼロさんを試すわ?
構ってよ!ねえ、ゼロさん…。
本当はミルルが好きな癖に。
ミルルもゼロさん、好きよ?
愛してるわ≫
‐‐‐<君は良かったな、僕の妹に会えて、僕も感激してる>
(少しは黙りやがれ…いかれてるのか?オメエらは?アアン?)
「僕は申し訳ないが…ミルルは何故かスキになれない…。
タリアが君を好きな筈だ…今日こそ落とすはずだ」
≪そうかしらね?
ミルルは月神さんなんんてどうでもいいわ≫
‐‐‐<月神タリアか…。
ノーマークだったが…。
冴えない男だ、大丈夫だろう…君の完勝だ>
(ウゼエすぎだ)
「タリアなら、良いだろう…アイツは無口だが…良い奴だ…。
僕には分かる…。
しかし…何故か…ゼロは僕、気に食わない・・」
(オレも何故か…この平和ボケしたキセキは苦手ダ…。
くぉおりゃ!死にやがれ、糞ボケヤロウ!
っざけんじゃねえよ!このっ、うすのろの泣き虫が!
テメエは偽善者ダ…密告してオレが処刑を決行してえ!オレは人間を殺してえ!!オリャアアアア)
‐‐‐<まあ、怒り狂うな…君が大変な人生だったのは僕は分かる…。
恨めしく感じるのも仕方ないことだ・・・>
Uキセキくん…モテるからゼロくんが嫌いなだけちゃうん?
嫉妬してるん?
可愛いな?
ウチ、慰めるで…U
||泣いても良いのよ??
あたしの胸で…だって、あたしは大和ナデシコだから…。
慎まし気で良い女よ?||
「どうして、僕に群がる女はここまで気が強いんだ…。
それから…信じられないことに…留学生が来る途端、そちらへ走るなんて。
僕は全く面白くない…。
どれだけ僕が小遣いのほとんどを…モテるためのテクニック本に費やしたことか…。
それを一瞬でこの男は…。
こんな奴のどこが良いんだ?
君たちは…」
||う〜ん…。
なんとなくだわ…モテそうな雰囲気が漂ってるのよね…||
Uそうなんや・…やっぱりこれは実際会ってみんとな…U
≪そうなのよ、ミルルも…。
苛め甲斐がなさそうなのに…何故か…ゼロさんが気になって…。
どうしてなのかしら?≫
‐‐‐≪運命の赤い糸で繋がってるからに決まってるでしょ!
ミルルはゼロさんと結ばれるべき女なの!
ゼロさんが良いからなの!≫
【良い迷惑ダ】
「気に食わないのは素直じゃないところだ。
僕ならモテることを誇りに思ってるのを盛大にアピールすると言うのに・…。
こいつは皮肉しか言わない…。
こんな人間、僕が好きになれる訳もない…」
≪キセキさん…泣いてる?怒ってる?≫
‐‐‐≪ねえ、試すわよ?
ミルルは…。
実はSなのよね?
ゼロさんが好きだからこそ…反応が見たくなるの!
ねえ、ミルルのこと…好きかなぁ?
キセキさんを好きなフリするミルル、気になる?
どうなの?
ゼロ??≫
【オマエら邪魔ダ、オレは去る。ウゼェ】
「ミルル、君は僕の絶対崇拝者だった筈だ…。
どうしてそんなゼロなんて留学生をボケーとした顔して見詰めてる…。
止しておけ、タリアが泣く…。
奴なら良い奴だ、協力もしよう…」
Uウチも悩むわ…キセキくんとゼロくん…どっちに…U
||あたしもなのよね・…||
「どこがいいんだ?
食糧難の邪神国から来て…今、友人まで飢餓のせいで食べたって言うレベルの…何やって生きているか分からないレベルの人間だ、止しておけ。
邪神国は凶悪すぎて…ヤリタイ放題の恐ろしい国だと聞く…。
本気で、僕は君たちのことを心配してる…。
あのジャシドンだって…核兵器ミサイルの可能性が…」
Uキセキくんって心配しすぎちゃう?U
||あたしも同感…||
「僕は君たち、3人の将来を心配する…」
【ウゼェ、ココはノウノウとしてらァ…】
オレは突然、立ちあがった…。
一瞬、ミルルと目が合った。
‐‐‐<どうだ、妹のアピール気に入ったか?
君を試してるらしい…>
(どうでも良いことダ)
オレは気に食わないゼロの妹…ミルルは睨んだ。
それから…食堂へ食器を返しに行った…。
その後、そこから去り…薬を手洗いで飲んだ。
飲んでる場面をバレルわけにはいかねえ…。
注意は払いまくる…。
☆☆☆
オレの仕事も非情でなければならない。
クラスメイトとつるむ気は全くない。
旅行者気分を味わっている暇があれば…地図を作製しなければならない・・。
この村の地図や…情報だ。
パレードの最後が勝負だ。
いろいろ大変でもある。
ゼロの声が聞こえねえと…不思議な感情だ…。
任務は捗るが…重い空気だ…。
木曜日…。
学校に着く。
≪初日はあんなのだったけど、苛め甲斐もないヤツだけど、気に入ってあげてるわ?感謝しなさい?≫
Uなあ、ゼロくんってどこに住んでるん?
どこで日本語覚えたん?
寮生ちゃうらしいなU
||あたしはナデシコよ?名前で呼んでね?
ゼロ君…。
キセキ君、遅いわね…。
つまらないのかしら?||
【ハン?
ノウノウとしたヤツらだ…。
オマエら全員ソウダ…】
≪このブラックな感じも良いわね?
で、どんな家なの?
家族構成は?≫
Uミルル、アンタはキセキくんだけにしとき。
ウチはゼロくんとキセキくん両方戴くわU
||何言ってるの?
カンサイ、アンタには…メイド喫茶のお客様もいるでしょ?
お客様が知ったら泣くわよ?
バイトしないと…下宿への仕送りだけではキツイ癖に||
Uウチ、苦学生やで・・・!
ココがウチのポイントや!
ゼロくん、ウチにしとけよ!
メイド服見せたるから♪U
☆☆☆
本音は隙があり過ぎじゃないか?と突っ込みたくもなる。
更に情報ならここ数日で得てる。
しかし、非常ではあるが…数日の余暇は楽しかった。
恩赦と言うことで見逃してやろう、もう少し警戒すべきだろう。
巫女様についての情報項目は…オレだけが知った。
ヤツが月神タリアで…その交際者が異能マナナだ。
休み時間も昼休みもほぼ、教室にはとどまらず…マナナを尾行してた。
そうすれば…イモヅル式に…裏山の廃墟地へ辿り着いた。
目撃はする気もない、声でだいたい理解できる。
そう言う意味だろう。
外で私語は慎むべきだろう。
オレはスパイとしてここへ侵入してる…尾行さえ成功すれば…あとは楽だ。
オレの脚は誰よりも早い。
しかし、これは報告しない。
何かのとっておきのネタにつかえそうだ。
毎回、こういうふうに情報を振り分けてる。
情報を残しておくことで脅しにも使えるし…命乞いの際にも見逃してもらえることも多々あると学習してるからだ。
知らないフリした方がオレにとってはメリットだろう。
そういうことだ。
話せば、まあ…今日にでも…タリアは邪神教へ送られる。
すぐだろう、誘拐だ。
手に取るように未来なら想像できる。
オレは非情だが…割りと、ターシャ国も楽しくはあった。
ただ憎い、恨めしいとも相反する感情だ。
どっちに付くか決めかねてる…。
ある日、将軍様から逃亡できる際にも…情報は使えるかもしれない。
それは難しそうだ。
知らないフリをした方がこの情報は良いと判断した。
あとは地図を作成しよう・・それと更なる情報だ。
因みに…邪神国からの留学生…オレに留まらず…全員、マイクロチップが入ってるだろう…。
あれほどオレにとって邪魔な文明もない。
本当にターシャ国は平和ボケしすぎてる。
疑いすらしない…。
あれなら空港で…銃は反応しない。
スパイだとすら疑わない。
あんな国から逃げれる人間なんて…骨となって…海外か、臓器となって海外へ・・逃げれる程度で…。
今のところ、誰もいない筈だ。
この国で流れてる情報も悪いが1割だろう。
惨すぎて文章にしにくい面もある。
あれが普通だったから、本気で拍子抜けしてる。
こんな日常も良いかと甘えも出てるが…。
クーデターは起こさないと、命に係わる…。
オレは任務を遂行する気だ。
将軍様のために。
それにしても、やはりこの国の奴らは恵まれすぎてる。
オレは任務で体を繋げることはあるが、愛のある行動なんて無縁ではある。
友人も何回亡くなってるか分からない。
執着はしないのが鉄則だ。
しかし、オレが関係を持った金持ちの女…や男は無理だろうが…。
それにも既にオレの子がいる可能性があるらしい。
将軍様はミルルの存在に大喜びなさってる。
☆☆☆
机でのうのうと勉強しかしてないのも…分からなさすぎる。
徒競走も別には知らなくても、爆撃から逃げる場面で自然と足など速くなるだろう…。
ここは退屈だなと感じたのも本音だ。
予定では、ターシャ祭り当日、テロを仕掛ける。
その時にオレも扇動しなければならない。
この学校への留学生として転入も当たり前だが…スパイ活動だ。
噂なら流れてる。
異能マナナがターシャ教布教活動に関わる…ミサへの祭壇者…泉の巫女と…。
友達で親密だと言う噂で…張っていた。
しかし、良くある話だが…。
熱狂的ファンによる勝手に流したデマだったらしい・…。
報告書にはそうまとめておいた。
泉の神子はアラ人神と…村人が信じきって疑わない…。
アレを利用して、ターシャ教から邪神教へ勧誘するのも一つの目的ではある。
☆☆☆
午後、科学の授業が開始される。
[キャーまたゼロくんが100点だわ]
[徒競走も一番だったわね]
[悩むわ]
オレは…教壇の中央、最前列にいる…。
【ウルセェ】
[良いわ、もっとしゃべって!]
[どうして、休み時間、ほとんど教室にいないの?]
[ねえ、何やってるの?休み時間は…]
[学校が終わったら…瞬間移動並みにいないけど…。
どこが家なの?
私だけに教えて]
【ダリぃ】
[ゼロくんて…日本語もだけど…漢字もカタカナもどこで覚えたの?]
[邪神国で日本語の科目ってあるの?]
[こっちでは邪神国の言葉って知らないけど…。
独自の言葉があるって聞く…本当?]
[あの国のニュース、報道されてるけど…。
どう思ってるの?
ゼロくんは]
【平和ボケすんな、ゴラァ】
[そう…あたしたちのこと、好き?]
[この国気に入った?]
[両親はどこにいるの?ターシャ国?]
[兄弟とかいるのかな?]
【スキになれっかよ、オマエラ…敵ダ。
ウゼェ】
☆☆☆
教室右側から声がする…女子どものだ。
≪困ったわね…苛め甲斐がある、キセキさん。
苛め甲斐がないけど…オールマイティで逃げ足まで早すぎる、ゼロさん。
どっちが良いかしら?≫
Uうん、ウチも悩むけどな、完璧すぎるとまたこれはおもろないんやU
||少しぐらいの毒を見せないとね?
だって、顔良し、頭良し、運動神経良しになると…。
なんか逆に興味なくすのよね?
真面目すぎも詰まらないでしょ?
キセキ君のような時々泣いてくれるぐらいでも…。
うーーん、まだ足りないわ。
キセキ君の涙顔を越えるぐらいの胸キュンが欲しいわ。
あれ、あたしも好きなのよね…||
男性の化学の先生が物凄く呆れた顔してる。
---眼鏡ミルル、おまえは、CMにまで出たからって調子に乗り過ぎだ。
学校でもお前だけは茶髪を許してやってる。
この学校の成績を上げるためにもだ、成績が良いのも知ってる。
しかし…授業ぐらい集中しろ。
男子どもも呆れてる…---
≪先生、ミルルは完璧過ぎないからモテるんです。
このSキャラな切り口が更にモテるんです。
この意味、分かりますよね?≫
Uそうや、ゼロくんにはそれがまだ足りん…。
だからキセキくんとウチも悩んでしまうんやU
||どっちにつけば、あたし…良いのかしら?||
ゼロB
小説目次
ゼロD