アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

ゼロA



それから暫く…1年間も…ヤツを看護する羽目になった。
金はいただいた。
情は持ってはいけないのは知ってるが…。
最後は・・・眠るようだった。

奴から貰った金で…別に空腹でもなかった…。

<頼む、僕を食べてくれぇ…。
この国で火葬は嫌だ、僕は…死にたくない…。
君の中で生きてみたい…>

【オレは気持ち悪い…特に腹が減ってない…。
オマエの金銭で食えてる…】

<そうかぁ…>

血を吐いた…。
そこから本気で死にかけてるのが分かった…。

【良いだろう、約束してやら】

瞬きだけして…そこからも汗を出して…もがいてた…。
数日それが続いてた…。

<君は嘘つきだ…。
僕は馬鹿じゃない、分かる…。
何故、また仕事を始めてる?>

【これがオレの生きざまだ、守銭道ダ】

<君は腹が減ってる、僕の治療薬は君が買ってる、金は尽きてる筈だ>

【オレは腹も減ってねえ】

<君は現実を理解できなくなってる…。
やせ細ってる、僕は直に亡くなる、ありがとう>

【何を言ってるのか、知らねえが…オレは別に…】

<いつも隣で寝てくれてありがとう…。
本気で君は優しい奴だ、僕はこの体で客すら取れなかった。
役に立てず申し訳ない>

【うぜえ、黙れ】

<僕の金は尽きたが…君からキスとハグが欲しい。
君は男でも女でもいつも客として迎えてた。
それを望んでる>

【前払いならオメエからいただいた…お蔭で数か月も食えてる…。
良いだろう】

オレはヤツにキスとハグをしたが…骨骨してる…。
生気が全くない…。

<௵ஹஇ…>

アリガトウとゼロは言った。

【オメエはゲイなのか?
オレの客でもそんな奴がいるが…】

<違う、僕は女の子が良い。
だが…君は血を分けた兄弟だ。
平和国式の挨拶が欲しかった…。
死ぬまでにキスとハグぐらいしたかった…>

【そうか…】

<君は勘違いしてるが…僕は君を家族と思ってる、愛してる、ありがとう>

【オレはこんな生きざまだ、自分が何かすら分からねえまま、赤子時代から仕事だ…。
男が好きか女が好きかすら分からねえ…。
しかし、オメエはオレのダチだ…。
オメエはオレに最初会ったとき、オレは女装して売り子してた…。
オメエはオレを女と勘違いして、オレが男と知り…ガックリ来たらしいが…】

<1年前だ…助けてくれてありがとう、あの時…僕は外で戦死してた筈だ>

【オメエが女なら惚れてたのはオレだ、オマエとオレはダチだ。
同じ気持ちだ】

<そうか…ありがとう♪
ゴホ…>

【オメエの薬代を稼ぐ理由はそれだけダ、ダチだからだ。
オメエは戦友だ…オレの理解者ダ】

<僕は生まれつきエイズに犯されてる…。
君はエイズにならない遺伝子らしい…羨ましい…。
僕に性欲なんてない、最後に看取るのが可愛い女の子でないのは不遇だ。
僕は20歳まで生きたかった>

【残念な話だな…売春婦でも買ってやろうか?
オメエのために】

<それは良い、僕はキスとハグなら君としたが…。
別に何故か買ってまでしようとも思わない…。
君に家族として看取ってもらうつもりダ>

【遠慮するな、女なら買ってやろう】

<良い>

☆☆☆

そこから数日、流れた。
結局、ヤツのために女は買ってやった…。

‐‐‐まあ、ガリガリね…---

肌が褐色で健康そうで気の強い女だ…。

女には隠してる…。

<僕は…>

【黙れ】

‐‐‐どういうプレイが良いの?---

【普通にしてやれ、コイツは弱い、無理はさせるな】

---そう…---

オレは本でも読んだ、ヤツが慌ててるのが分かったが…。
勝手にさせておいてやった。
大金なら渡した…女も最近、エイズに感染したらしい…。
お互いだから…大丈夫だろう。

☆☆☆

事が終わって、ヤツはどう思ったのか?
女は帰って行った…。

オレはヤツの元へ近づいた…。

<別に要らないことだった>

【オメエはいつもオレが客を取った後、恨めしそうな顔だった。
冥途の土産も必要だ】

<悪趣味だ>

【少し肩の荷が下りた…あんな女で良かったか?
オメエの趣味が謎だった】

<割りと同じ歳の良い子は選んでくれた、高かった筈だ…。
君はまた稼ぐのか?>

【もう忘れろ、良いことも知ったはずだ。
根性で生きろ、楽しみもある筈だ】

<疲れた>

【オメエが男が好きならオレとしても別に良いが…。
女が好きなら買ってやってもいい、まただ】

<それなら君と次はしてみよう>

【そうか・・・また翌日な。
疲れただろう、今日は】

☆☆☆

その翌日、ヤツとすることになった…。
その時の記憶まで蘇る…。
事が終わって聞いてみた。

【オメエはどっちが良かった?】

<そうだな…君は僕の家族だ…。
体は僕は女の子の方が良いらしい…。
男の体では立たない…。
君は優しい奴だ、君のお蔭で分かった…。

でも気持ちは良かった、フェラや愛撫…うますぎてる・・・。
プロ級だ、君が客を取れるわけも理解した>

【これで生きるストリートチルドレンだからな…それ以外、稼ぎ道もねえ。
女、買うべきか?】

オレは本気でどっちか分からねえ。
もう感情も捨ててる。
しかし、目の前にいるヤツを幸せにしてえだけダ。

オレは正直、男や女…別にどっちでも良い…。
爺さんや婆さんでも誰でも金のためなら尻の穴まで舐めて生きてきた。
生きるために手段は選ばねえ…家賃稼ぐのも邪神国に孤児院なんて楽園はねえ、大変だった。
物貰いをしたところで稼げねえ、バイトすら差別がある…戸籍がねえだけでだ。
コイツがストレートなら…女を与えたいだけだ。

オレには…恋愛とは虚像で…何かすら分からねえが…。
コイツはオレに素敵な言葉をくれた、愛してると…。
お蔭で魂が救われた。

<もう十分だ、とても楽しかった>

☆☆☆

数日後、奴は亡くなった…。

自宅だった…。

その間は魘されるように奴はうわごとだった…。

<僕を食べてくれ…君はもう働くな…>

<僕の代わりに幸せになれ…>

泣きそうになった…。
シッターの時は泣かなかったのに…。
1年だった…。
オレは13歳になり…奴から貰えた金のお蔭で…スパイへ道へと進めつつあった…。
入学試験にも受かりそうなノリだ。
しかし…金がつきたら…やはり、売り子は続けなければならない…。
そんな生活だ。

約束はしたが…食う気にはならなかった…。
ヤツも頭がいかれてた筈だ…。
奴は死ぬ間際、臓器までやられて…頭にまで最後は毒がまわっていた…。

---<迷うな、僕を食え。
君はこの国では悪を演じないと…郷に入れば郷に従え…。
父に殺される…。
悪に徹しろ…!>---

何故か…涙を流すオレに死んだはずのゼロの声が聞こえた…。

食いたいとは思わなかったが…。
オレは悪人だから…心もない…。
声に従うようにして…実行した…。

スープにして食うと決めた…顔にはタオルだ…。
この町に倫理はない…。
そんな料理すら流通してる・…。
しかし、やはり…痙攣が起きそうになった…。
ただ、泣いてた。

---<君は寝るべきだ…僕が調理する…。
  君は寝るべきだ…>---

何故か…死んだはずのゼロが喋り始めて…。
オレは怯えて…震えた…。
そこから…次、目を覚ませば…。

ゼロの死体がなかった…。

骨だけが…あった…。
それから…何日経過したのか…遠い時間に思えた…。
正気に返ったのが…その頃だ…。

☆☆☆

ミルルと別れた今…これを思い出して…。
オレは泣くことももうできない。

☆☆☆

---骨は良い、身は君に入った…。
  君は優しい人間だ、僕の約束を守った…。
  これを父へ報告するべきだ…。
  君の評価があがる…。
  僕の代わりに君は生きるべきだ♪---

【オレは…食ったのか?
 覚えてない】

---僕が食ったことにしよう…。
  君は忘れるべきだ…。
  きっと辛い過去に決まってるからだ---

【アアアア…】

そこでまた映像が流れてきた…。
包丁を持って…友を捌こうとする自分の姿…。
腹が満たされて…それから…。

---忘れるべきだ、僕が望んだ。
  遺言だ、ここで死ぬより…君と生きることを祈る。
  君は勇者だ---

【オレは…アアア】

---お蔭で、食費になったはずだ…。
  しばらく男娼もせずに済んだはずだ。
  僕は役に立てて嬉しい。

【黙りやがれ!ボケが!カスが!ふざけんな!わめくなよ!出て行け!うぜえ!疲れんだよ!オメエは!アアアア!】

---感謝してる、僕は君といて楽しかった。
  君は生きろ、絶対、海外へ飛ぶべきだ…僕の代わりにだ---

【うぜえんだよ!オメエは!オレへ邪魔しにばかり!アアア】

そうして数日も放心を続けた・・。

ゼロは今もなおオレの腹にいる、すでに血肉になってる。



☆☆☆

ゼロが死んだことを知って…。
そのあと、すぐ将軍に目を付けてもらえた…。

骨は将軍に渡した…。
せめて墓に入れてやってくれという意味でだ。

〈ゼロは役立たずの息子だった…。
オマエがヤツの最後を見とったNo.6668か?>

【そうだ。
オレに心はない…。
金を戴いたから面倒を見た。
それから…死んだあとには腹が減ったから食った…。
お蔭で働かずに済んだ。
ヤツの戸籍が欲しい、ヤツもそれを望んでた】

〈なかなかの悪人だ。
見直した…そうかゼロを食ったか、ハハハ!>

当時、初めて…お供と連れ立ってる将軍とオレは面会した…。
普段はテレビの世界にいる人間だ。

【骨だけは墓に入れろとヤツの遺言だ】

<仕方ない…不出来な息子だが…墓に入れよう…。
しかし、名もなき戦死者Zとしてだ…王家に入れる気はない。

その代り…おまえは…役に立ちそうだ…。
スパイの仕事を…どんどん入れてやろう…。
働きまくれ、この国のためにだ…>

【オレの名前は今日から…ゼロで良いのか?】

〈良いだろう、あの役立たず…。
別にどうでも良い…。
死亡届は出さず、更新をしてやろう…
ボクの権力で>

【ありがたき、お言葉】

生前、ゼロが語った言葉を思い出した…。

---<僕は知ってる、父に逆らうな…。
君の体にも僕にも…政府から目を付けられた段階で…。
邪神国国民…全員に…猫や犬に入れられる…。
マイクロチップが入ってる…。
どこへ逃げても…発信機で…分かる…。
元々はペット不法投棄のために作成された技術が…。
悪用されてる…。
3×10mmだ…、からだのどこかは…レントゲンしないと判明はしない…>---

---<僕は平和な世界を見てみたい…。
君なら出来る、優秀なのが伝わってくる、節々で…。
僕には分かる…。
君に託したい…僕の夢を>---

【オレは将軍様、専属のスパイになるのが夢ダ。
悪で世界を染めたい】

〈良い心意気だ〉

---<父は根からのサディストで…本物の悪だ、警戒しろ。
それに対し、僕はこの国では先天的に変人扱いだ…。
国民も悪が多い…善を殺し続けてきた結果…そういう人種ばかり優先して生きてるからだ…。
変な進化が…この国では起きてる…。
どんどん治安が悪い…ガラが年々悪い…>---

ゼロを食った瞬間だ。
ゼロの声が聞こえた…。

---<迷うな、僕を食え。
君はこの国では悪を演じないと…郷に入れば郷に従え…。
父に殺される…。
悪に徹しろ…!>---

あの日から…たまに…オレの耳に幻聴が聞こえる…。
食った瞬間の記憶が薄い…。
幻聴はゼロの声だ…。

---<僕は君の体の一部になれた嬉しい…。
僕は世界を見たい、君は勉強をすべきだ>…---

あと、記憶が飛ぶ瞬間すらある…。
相当のトラウマになってるらしい…。

しかし、戦地では毎日が血なまぐさすぎる…。
これが日常で…発狂を起こしたものは優先的に…自爆テロへ送られる…。

オレは頭で叫ぶ・・・。

【ゼロ、黙ってくれ…オレが発狂を起こし、精神に異常をきたしてるとみなされると…自爆テロにまわされる…。
オレは長生きがしてえ!!】

---<君は黙れば良い…。
僕は傍観するだけだ…。
僕の夢を叶えて欲しい、金なら前払いしたはずだ…。
そのお蔭で…君は今、いい仕事を貰えてる筈だ>…---

これが日常になってる…。
頭のゼロは善人過ぎる…。
オレは偽善者とバレレバ…即に公開処刑を将軍様からされる運命だと言うのに…。
極悪人をシッターが言うとおりに演じる気なのに…。

ゼロは…偽善者過ぎてる…。

ゼロは偽善で弱く儚い男だった、しかし…その妹、ミルルはあれは…分からねえ…。
気丈で強いかもしれねえ…。





ゼロって呼ばれるようになってからも…。
色々悪行ならした。
記憶が走ってくる。

[ようこそ、いらっしゃいませ、邪神国書店へ]

【ターシャ国から密漁される漫画を頼む…。
ほのぼのとした愛のある漫画で良い】

[ハードボイルドなら…]

【外へ出れば…嫌と言うほどハードボイルドなら溢れすぎてる…。
飽き飽きしてる…】

[さようですか…]

【余りドラマのような漫画は好かねえ…】

[愛ですか・…これは…国民の少数派も…。
悪いことをしてると言う背徳感で…嵌まる人間もいらっしゃるみたいですが…]


【読めばすぐに売るか捨てる…。
愛には興味ねえ、ただ悪いことをしてる背徳感から密漁漫画を買っただけダ】



店員は…。

[取りようによっては…偽善者だと通報するところでした。
ちぇ、儲からねえぜ…。
人の弱み見るのは好きでしてねえ、ウヘヘヘ]

【ハン?
ナンだ?
テメエ、フザケンナ。
オレを冒涜する気か!?

それなら、今…ココで邪神の元に、オメエは公開処刑ダ、良いダロウ。
その脳天かち割って…上から血祭りにして神の祭壇へ送ってヤラ、ゴルァ。
ハハハハハ。

末期の言葉だけ許そう…オレハ腹が減ってる、飯寄越せ、コノ野郎。
フッ…クハハハ】

[背徳感っていうのはたまりませんね…。
確かに…18禁を10歳で買うと言うスキルにも似てますね?
まあ、この国では18禁なんて合法ですが…。
しかし…この漫画は…確かに…違法も良いところですね…。
将軍様が読めば発狂を起こしカンカンでしょうな…]

【チッ。
悪に徹し、背徳感を味わうのがステータスだ…。
それ以外に理由はねえ】

[ふうん?]

【通報されたら困る…。
監視カメラにも映ってる…。
常に自分の言動には…責任を持ってる…。
毎日が…ハードボイルだ…、オレは敢えてスリルが味わいたいだけだ】

[はいはい、またの利用を]

ターシャ国の漫画は新鮮で面白すぎる…。
特に学園物が…ツボだ。
邪神国に学園などない…オレは当時、スパイ学校で軍事訓練してるだけだった。

☆☆☆

それも…実況は…。
偽善者の死刑囚をマトにしてた…。

[良いか!?

邪神国は男尊女卑が酷くて女子は文盲だ…。
せいぜい、将軍様に目を付けられなければ…。
あとは踊り子か…。
それもダメなら・・・。
芸能人か…。
残った人間は…売春婦の道ぐらいだ…]

[成績上位者には…17歳でターシャ国へ留学生として飛んでもらう…。
もちろん、スパイ目的でだが…。
それまで4年はある…。
成績最下位者…それか、自殺志願者…あとは…偽善者面した死刑囚には…自爆テロへ回ってもらう…肝に銘じ解け!

オマエら、男は…さあ。
今日、今、この大罪人…偽善者の死刑囚をマトに発砲をしろ!!
度胸を見せてみろ、将軍様への忠誠心をだ!]

 [うわあああ!
できない、無理だ!
人殺しなんて!]

[この国罪人が!
今から、公開処刑を実行する!]

 [やめてくれ!]

ーーーバババン!

その授業が嫌だと暴れ狂った生徒は…射殺だ…。
すぐに白目剥いて息絶えた…気の毒だ…。
しかし、ココに涙など存在しない…。
将軍様絶対の恐怖政治だ…。

クラスメイト全て…固まったような表情だ…。
歩く時ですら…手足も全員揃えないと…あとから怖い…。
鉄の棒で…尻叩きの刑だ…。
監獄行きのケースすらある…。

---<君は人殺しが怖いのか?
  死刑囚と言えども…偽善者・・・君の仲間だ…。
  しかし震えるな…。
  バレルと…君も犯罪者だ…。
  心は殺すべきだ>…---

あの日を境にオレの精神はいかれてる…。
頭の中に時々、死んだはずのゼロの声が聞こえる…。

---<悪になれ、演じるんだ…。
  冷たい瞳で…事を終えろ!>---

  3人、百発百中だ…。
  オレは射撃が一番になった…。
  無表情だ…。
  うれしくなどない・・。
軍事訓練の日、オレは練習として…初めて人を殺した…。
死刑囚だ、しかし…国の反逆者で…別に倫理の通った良い人間だった…。

[さすが、ゼロ…勉強だけでなく。
射殺すときも冷酷に…忠実にことを終えてる…。
即死だ、あれなら…苦しまずに死んだだろう…スパイとして上出来だ]

【当たり前ダ…。
オレはこれぐらい簡単ダ】

[しかし…間違ってる!
 殺すときは…もっと苦しめろ!
 敢えて…即死を避けて…生きながらみじん切りにするくらいで良い!
 分かったか?]

【力があるもんで…オレはやったぜ】

[そこは減点だ!ハハハ。
それに対して…オマエの前のヤツ…。
泣きやがった…。
これでは私の価値が下がる…どれだけ低脳な生徒を持ってるかと…。
将軍様に蔑まれる…。
私が選抜して入れた生徒なのに…度胸すらないなんて!
これでは危ない…私の職が!!!!]

オレの前の人間は…オレたちの前で公開処刑された…。
これが日常で…泣いた人間も今日は1名…殺された…。

[本当に将軍様の精神を分かってない不届き者には制裁を!
泣いたヤツにも命は奪ってやった、ハハハハ。
これで将軍様にも私の能力が認められる筈だ…。
劣悪遺伝子を淘汰するそれこそ、私の存在意義だ!
あと、この訓練場は私の縄張りだ…ここで私の掟を破るモノには…制裁を!
私のテリトリーが汚れる!
ウハハ]

オレたちの教師は灰色の軍事服を着てる…鬼教官も良いところだ…。
逆らえば…即殺される…問答無用だ…涙すらねえ。
さすが…2000年以上、善人だけを殺し…悪人だけを生存させただけある…。
そう言う歴史がなせる業だ…。

しかも…殺した人間を再度…鬼教官は撃っている…。

[殺した人間が実は生きていたなんてオチが一番、私にとっては最悪だ!
悪夢も良いトコだ!
全員、笑え!喜劇だ!
泣いた者は次の殺しのターゲットだ!!!]

【ハハハハ】

ターシャ国では…オレ達、邪神国を…妖怪のようにすら感じてるらしいが…。
確かに好戦的で…非情な集団だ、認める。

---<君は演技がうまいなぁ…。
  君なら出来そうだ…。
  世界を見てくれ…。
  僕はこんな日常見たくない…。
  平和が好きに決まってるぅ>…---

ゼロの声が聞こえる・・・。
オレは…この国に馴染めてない気がする…。
脳に欠陥があるのかもしれない…。
話が合わない気がする…将軍様には殺されたくないだけだ…。


(オレ、一人でもできらア…。
オメエは天国へ帰りやがれ、ゴラ!)

---<君には愛が必要だ。
  愛が欲しいんだろう?
  僕には分かる>---

(うっせえ)

---<漫画がある…ターシャ国が良い…。
  そこに行ってみたい>---

(平和国ではないのか?)

---<平和国も捨てがたい…。
  しかし、萌えの文化…アニメ発祥の地は…ターシャ国だ…。
  本場のコミックスに憧れが僕はあるぅ…。
  可愛い子がいっぱいいれば良いが…>---

(黙りやがれ!ゴリャ?)

[次、撃て…]

 […]

[どうした?
顔が真っ赤だ…]
 
 [教官…塩をコップ一杯飲みました、将軍様万歳、邪神教に幸あれ!]

そうして、オレの次は自殺しやがった…。

[毎年、入学早々、こんな弱いヤツがいやがる!
今日は…何人、死にやがるか…ヒヒヒヒヒ!!
この訓練場は私の縄張りだ!
このテリトリーでは私の規則に従ってもらう!
これで私の能力値が将軍様にも認められる筈だ!
それこそが私の存在価値だ、ハハハハ!!!]

教官は嬉しそうに笑い転げてる…。

☆☆☆

自宅の寮へ帰る…。

オレは軍事仲間誰にも言えねえ…。
ターシャ国は男女共学らしい…。

普通に嫁になるのも…悪人だらけで、無理だ…。

漫画との価値観が違い過ぎて…頭が痛くなる瞬間があるが…。
憧れがある…。
毎日、戦場だ…。
時々、逃亡したくなる…。
平和でのほほんとした、浮かれまくった…。
ターシャ国でだ…。

吹奏楽部にでも入って…可愛い女子軍団から言い寄られまくる学園ほのぼのハーレム漫画の日常に憧れている…。

しかし、これがバレレバ…オレは処刑される運命ダ…。
愛国心を持っているフリをしなければならない…。
悪人ばかり…優遇して…善人を皆殺しにしてるせいで…。
オレの周りは凶暴な人間ばかりダ…。
毎日、縄張り争い…。
刃物沙汰の死を伴う喧嘩…。
強い者だけが・・生きる世界…。
凄まじい…全員…怒り狂ってらァ。

可愛い漫画に癒されたし…テレビニュースを付けてみることにした…。
テレビは過激なモノばかりだ…。

記憶の中…邪神国はすさまじい…。

---邪神国内でも旧派と新派で…水のオアシスを巡る利権で…戦争が勃発してしてるのはご存じだと思います…。---

---この邪神国に最近では…ターシャ国から…自殺や野望を求めて…訪れる人たちが絶えません…。
 まあ、初日に自爆テロへ回されるのが…オチですが…。
 政府は喜んで歓迎してるようです…

---次のニュースです…。
 今年も4月、この時がやって参りました。
 入学制の4月、軍事パレードの4月、入隊の4月…。あと、生命の4月ですね…。
 生まれつき…偽善者として欠陥がある人間は神の意志にそぐわない子供…天に返す儀式…。
 4月返しの儀式です…---

・・・テレビは消した…癒されない。
ガス室の前の大行列…見るのも不愉快になる…恐ろしい光景だ。
それがバレレバ…オレは国罪人だ。
異端者とみなされる…。

漫画へ視線を戻す…現実逃避が始まる…。

しかし…ターシャ国の漫画は基本、愛で溢れてる…。
グロイと言えども…ここまでではない…。
これが2000年以上も代々の将軍様によって続いてる…。
ここは独裁者の世界だ…。


☆☆☆

オレの夢は成績上位になって17歳でターシャ国へ留学生として飛ぶことだ…。
もちろん、政府のスパイだが…。
それでも良い、憧れがある。
ずっと、そうだった…。
数日間だが…何とか…夢はかなった。

射撃の的で軍事施設で銃殺をした日の夜…。
幻聴が聞こえた。

---<希望は失うな、君なら出来るはずだ。
  期待してる。
  きっと、素敵な世界な筈だ。
  見てみたい…外の世界が…>

(黙りがやれ!)

---<本で読んだことがある。
  ターシャ国には遊園地があるらしい…。
  それからパレードでは花火が上がって・・風船も空へ飛ぶらしい…。
  菜の花が綺麗で素敵なところらしい。
  とても気になる…。

  平和国も捨てがたい…>

(寝れねえ)

---<本当に夢のような楽園だ。
  きっと、幸せの境地になれそうだぁ♪>

(勝手に叫んどけ!)

オレの心の声はずっと浮かれてる…。




ゼロ@


小説目次

ゼロB







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