アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

ミルル@



私はミルル。
一人称はミルル。
ミルルっていつも自分で呼ぶ理由は…。
ミルルの名前を憶えてって意味!
キセキさんには長年ずっとアタックしてる。
足蹴りした過去もあるし…手で叩いてた過去もある。
あの頃はムカムカした、ミルルより可愛いなんて認めないって思ってた、でも…。
いつの間にかミルルの躾が効いたのか…キセキさんも男らしくなってミルルは大満足。
ミルルは絶対、キセキさんを今日こそ、落としてみるんだから!

今週末は3連休、日曜日のターシャ祭りと建国記念日と重なって、金土日とお休み。
それなのに…ミルルってばモデル教室がある…。
ミルルはCMにまで流出すれレベルの美貌がある。
眼鏡をしてて美人なのってミルルレベルぐらいなもの。
目も綺麗だけど…ミルルは鼻筋もとおってる…それから小顔だって褒められる…。
首も長いし…165pだけど…足が長くて座高が低いって褒められる。
お母さんが言うには…ミルルは…お父さん似らしい。
お父さんはミルルのお母さんより随分若い精子だったらしい…。
精子バンクだから…。

ミルルのお父さんって見たことない…だって、精子バンクだから。
お母さんとは似てないから…よく[貰い子ですか?]って近所中から皮肉を言われる…。
ミルルは眼鏡をしてるけど…そこだけお母さん似らしいの。
それから…ミルルのお父さんは眼鏡をしてないらしいの…。
お母さんは常にミルルの容姿をべた褒めしてくれる、それが嬉しい。
お母さんは仕事で忙しくて…一度も参観日も個人懇談すら家政婦さんで…学校へ来たことないけど…。
お母さんもきっと、あまりに似てないって全員から言われるから…悲しんでるんだと思う…。
ミルルってお父さん似らしい…。

ミルルは近眼だけど…本当に眼鏡が似合うねって全員に言われる。
ミルルが眼鏡なのはお母さん似…そこは嬉しい。

お母さんは…若い頃…モテなかったみたいで…それで・・。
高齢出産…45歳で…精子バンクになったみたい…。
相手の精子が20歳ぐらいだったらしくて…良いトコの学生さんらしい…。

お母さんは出産ギリギリだったけど…ギリギリだったからこそ、精子バンクって道をミルルのお母さんが選んだみたいで…。
初産で妊娠したのも運が良かったねってお医者さまから激励された域らしいの…。
だから、シングルマザー。

ミルルはお母さんのこと、怒る気になれない…。
モテないから必死で勉強、頑張ったみたい…。
弁護士試験が受かったのも…ミルルが5歳ぐらいの頃。
ミルルのお母さんは50歳でやっと受かったみたいで…。
それまでは本当に…貧乏だったらしいの…。

どっかの弁護士事務所で夢を追って…事務員をしていたらしくて…。
ミルルは子役、赤ちゃんぐらいからテレビには出てた。
あまり、良い役じゃなかったけど…。
最近、やっと…家も裕福になって来たと思う…。
お母さん、ずっと大変だったみたいで…。
[子供は子宝だ]ってミルルを激愛して…厳しい躾けになってるのも理解してる…。

ミルルは子供時代は本当に大変だった…。
家に家政婦さんもいないし…今ほど、裕福じゃないし…。
それなのに…ミルルには仕事があるし…。
ミルルほど、努力家もいない筈。
その代り、ストレスだってたまる…。
ミルルだって暴れたい瞬間もある。
テレビでも作り笑顔なんだから…!!
ミルルのお母さんは…ミルル、今…17歳に今年なるんだけど…。

お母さんは今年、62歳…。
お母さんにはミルルが子供を産むまでは元気でいて欲しいって願ってる…。

ミルルの御祖母ちゃんは因みに今、82歳…見合いで20歳の時…20歳も上の人のところへ行ったみたい…。
御祖母ちゃんの顔はミルルのお母さんに似てる・…。
ミルルのおじいちゃんはミルルが生まれる前に亡くなってる…見たことない…。
ミルルは御祖母ちゃんにも容姿を絶賛されてる…。
鳶が鷹を産んだって…言われまくってる…。

確かに…あまりにも似てないから…自分でもDNA鑑定すべきか悩むこともあるけど…。
お母さんには育ててもらった恩がある…。
そういうことは言わない…。

似てないって頻繁に全員から言われて…困る…。
眼鏡以外の項目が全く似てない…。
自分でも感じる…ミルルはお父さんに生き写しらしい…。

☆☆☆

男子たちですら、ミルルを呼ぶときは…”ミルルちゃん””ミルルさん””ミルル様”とても崇拝してるのが伝わってくる。
ミルルもそこは褒めてあげてる。

ミルルのCMが流れる度、ミルルは満足してる…。
青空の上…ミルルが白いモコモコの雲へ横になって…。
ミルルはいつものスタイル…横流しの前髪…背中まで伸びた茶髪で眼鏡をかけて…。
寝転びながら…ゴロゴロと動いて…。

≪眼鏡を買うならミルルと一緒に眼鏡屋へ♪≫

歌うCM。

あのCMに流れるためにどれだけ、ポージングも頑張ったか?
ダイエットだって頑張って…45kgが公式だけど…実は一年前まで…55kgだった。
根性で痩せたのよ?
そこから更に頑張り過ぎて…体重は秘密だけど…倒れちゃったわ。

マナナになんて助けられるなんて全然、嬉しくもないわよ?
キセキさんが助けてくれたら良かったのに。

ミルルを好きとか長年言い寄ってる気弱な男子、月神タリアの存在なら知ってるわよ。
キセキさんったら優しい男子だから…友達の手前…ミルルにアタックが出来ないみたいなのよ!
月神さんなんて…邪魔者でしかないわ。
その証拠に…幼稚園時代からの交流だけど…月神さんには…ミルル、一度も名前で呼んだことなんてないのよ?
だって、無口すぎでしょ?
誰があそこまで無口をスキになれって言う訳?
恋愛事、他人に任せすぎでしょ?


家に帰ったら腹が立つことならたくさんあるわ。
まず一つ、ミルルは勉強もだけど、学校も根性で休まず、死ぬほど…頑張ってる。
それなのにあのマナナ。
あんな平凡な子をキセキさんが一度でも選んだ事実…。
そのことについて…。
壁なら足蹴りするわよ?

ミルルだって、テレビや学校ではキセキさんから好かれるために良い子さんを演じてるわ?
清純派女優って言うのが公式プロフィールだからね?
でも、ストレスだってたまるわよ!!

≪うおりゃあああああ!
ぎゃ!!!≫

ドスドス・…。

壁なら穴まみれよ?
でもね?
ミルルの家は…お母さんも弁護士、ミルルだって子役から稼いでいるの!
だから、家政婦さんにすぐに修理なんてしてもらえるわけ!

≪何で、ミルルが看板モデルじゃないのよ!
ムカつくのよ!
何よ!
あの巫女様、ミルルよりCM時間が長いなんて!
ざけんじゃねえわよ!
ムカつきまくるのよ!
バッカにしてんじゃねえわよ!
ごりゃー!≫

息が止まるレベルに叫んで…壁なら穴開けるわよ?
お母さんが一瞬、怯えた顔でミルルを見るけど、お母さんには殴らないわよ?
当たり前。
壁に叩いてるの!

終わると・・・ぜーぜーはーはーよ。
これが良い運動になって、更に痩せる訳…。
食事制限で1400〜1200Kcalでボクサー並みに毎日、運動してるのよ?
ミルルもフラフラよ…。

[ミルル、無理してるんじゃないの?
モデル、辛かったら止めても良いのよ?
お母さんだけの稼ぎでも食べていけるから…。
ミルル、学校で倒れたんだって!?]

≪うるさいわね!
おかあさん、ゼーゼー。
ミルルは絶対に平和国まで飛ぶレベルのスターになるの!
そのためなら何でもするわよ!
ざっけんじゃねえよ!
何よ、あの女…ハアハハ…≫

[ミルル…頑張ってるのね…]

ストレスだってたまるわよ?
どれだけ…学校でもアイドルを演じてるか?
生まれつきの性格なんてね?
変わったモノじゃないわよ??

≪お母さん、見てて…ミルルは絶対に清純系女優として…全世界中に名前を轟かせてやるから…≫

[ミルル…]

この壁に足蹴りするとき…ズボンは履くわよ?
じゃないと…足に痣が出来たら…仕事が減るからね?
足蹴り…割りと…足が長くなるのに…効くわよ…。
これだけはミルル、ずっと…一日100回は脚を上げて…壁を蹴りまくってるわ…。
お蔭でミルルの美脚が出来てるのよ…。
雑誌には体操って嘘書いてるけど…。
真実なんて教える気はないわよ!
家では痩せるために常に動くし、多動だし…貧乏ゆすりだってするわよ!
どれだけ外でレディーを貫いてるか…。
壁なんて穴だらけよ!

☆☆☆

キセキさん以外に火曜日から…邪神教のメッカ、戦争激化で大変な邪神国から亡命者が留学生としてきたみたいよ?
そいつからも…ミルルが戦災孤児みたいって貶されて…ミルルはムカつきまくってる!!

≪ウォラ!ミルルの何が分かるってんだ、ザけんなよ。
テメエら…馬鹿にしてんじゃねえわよ!
ラ!!≫

壁なら殴る…蹴り倒す…。
ミルルは人から…忠告されるほど、嫌いなこともない。
ミルルにモノを言うのはミルルのお母さんだけで良い。

それにしても…あの留学生ゼロ、顔だけはミルル好みだわ?
これは許してあげる。

幼馴染―――オランダ系クォーター男子茶髪茶目のキセキさんにしようか…。
新入り―――浅黒い肌に黒髪緑眼エキゾチック系留学生ゼロさんにしようか…。
悩むところだわ…二人、対照的なのよ。
ミルルはね?
清純系なんかじゃ、ないわよ!
本当はそんな訳ないわよ!

好みの子を見ると…何故か…アタックしたくなるのよね?
こんなふうに怒りつつ…そこまで、ゼロくんは嫌いでもないらしいわ…。
ナデシコも…カンサイも…狙ってたしね…。
さすが、ミルルを崇拝して群がる女子。
男の好みまで似てる…。

友達同士で好みが被るってよく聞くけど…。
そうみたい…。
ナデシコまで…キセキさんが、あの不意に見せる涙にやられてたなんて…。
少し衝撃的。
キセキさんの不意に見せる涙は胸キュンものなのよね?

でも…ゼロさんって全く、苛め甲斐がなさそう。
そこら辺はつまらない。
好みの容姿なのに…。
ミルルはね?
ミルルが中心で動かないとつまらないの?
はああ…。

ミルルには…。
ミルルを好きだって長年言い寄って来てる気弱な男子、月神タリアがいる…。
それから、ミルルが好きな男子・…キセキさんがいる…。
それ以外にも根強いミルルファンが…教室中にウジャウジャいる。
あと、ミルル好みな容姿なのに…毒しかなさそうなゼロさんがいる…。
誰がミルルと一緒になるって言うの?
もう学園ドラマの始まりね?




水曜日、学校にてお昼休みの時間…。
キセキさんが語る…。

「僕の両親が平和国へ出張中だ…。
今週末は…ターシャ祭りで・・それを取引先に僕の両親が案内するらしい。
今日と明日は…僕は弁当なしで…学食になりそうだ」

≪そうなの?
ミルル、お弁当だけど…キセキさんのあとについていくわ?≫

||あたしもよ?
これで、ゼロくんにも近づけるわね?
ゼロ君って学食何食べてるのかしら?||

Uウチも一緒に行くで…楽しみやわ…。
実はどっちにつこうか悩んでたしな…U

全員、意見まで一致みたい…。
本当にカンサイも…ナデシコも…。
悪い意味で…ミルルに似てる…。

キセキさんが溜息を吐いて…茶色い髪をボリボリ掻き毟りながら、教室窓際席から…教壇を通って…扉の外へ行こうとする。

ゼロさんって…いつも授業が終わると足早に去ってる…。
もう、いないみたいで…。
でも…廊下の外に行けば…今日はいたみたい…。

Uゼロくん、ウチも今日は学食やで!U

||あたしもよ!||


≪ミルルもだからね!≫

二人につられてミルルも叫ぶ。
負ける訳にはいかない・・。

「君たちは…僕の味方なのか…それともゼロの味方なのかはっきりしろ」

≪キセキさんが悪いのよ?
いつも優柔不断で…。
ハッキリ、ミルルを選ばないから…≫

||そうよ?
キセキ君、早く、あたし、一人に絞ってよね?||

Uそうやで、キセキくん…ウチにしとけや、もうU

キセキさんが溜息を吐き、茶眼を右往左往に動かした…。
キセキさんっていつの間に…ここまで女好きになったわけ?
そこも怒ってるところ…。
でも、確かに何故か…あの留学生ゼロ…。
浅黒い肌に…碧眼…。それから堀深い顔に…日本人でも馴染みがありそうな容姿・・。
魅力があることはうなづける。

キセキさんが色白で白人系クォーター王子様系って女子たちが噂するなら…。
あっちは毒のある魔王って感じだわ?
でも、それも悪くないって言うか…。
ミルルも気が多いのかしら?
悪も悪くないわ…。

廊下の真ん中…カンサイとナデシコが…ゼロくんへ走って行く。

Uゼロくん♪U

カンサイは低身長ロリ華奢体型…メイド萌え喫茶勤務ツインテールな女子…。
関西からの転校生で…まだ関西弁が抜けてない…。

||ゼロ君はあたしのものよ!||

ナデシコは高校二年生女子平均身長平均体重…和風顔…実家が茶道らしい…。

いったい、どちらが…ゼロさんの好みなのか??

【ウルセェ…】

ゼロさんは嫌そうな顔だ、怖いオーラだ。
ミルルも負けずに走って行った…。
キセキさんの手を持ったまま…。

≪ミルルも行く!≫

「ちょっと、ひっぱるな…痛い…僕は…。
ゼロはクラスメイトと認めない!」

これはキセキさんを泣かせる魂胆もある。
ミルルがゼロさんに引っ付いて悲しめばいい…。
それを願ってる。

≪ゼロさんはこの中では絶対、CM流出女優ミルルが好きに決まってるよね?≫

キセキさん…泣くかしら?
キセキさんったら…つまらなさそうにアッチ向いてる…。
ゼロさんはミルルを見てる…不思議そうな顔してる…。

【誰も要らねエ…絡むんじゃネエ・・ウゼェ】

Uな?な?
邪神国ってどんなとこなん?U

||あたしも聞きたいわ?
ゼロ君…学食は何食べたの?||

≪ゼロさんて…どんな子が好みなわけ?
ミルル…聞きたいななんて…≫

「女子軍団…僕より…留学生なのか?」

キセキさんが泣きそうな顔になってる…。
もうこれがたまらない・・。
ミルル感激…。

≪まあね?気が多い、キセキさんより何者にも染まらないゼロさんに傾きかけてるわよ?
どうする泣いちゃう?
キセキさん?≫

【邪神国はオマエらでは務まらネエ。
うどん食べる、
健康的で強い方が良い、当たりめえダ…】

Uそうなん?
ウチ、強いで!
健康いっぱいやでU

||あたし、そうよ?
女子平均身長平均体重って言うのがあたしの売りよ?||

≪ミルルは物凄く強いわよ、少々食べなくても元気だから!≫

「ミルル…体調は大丈夫か?
君、昨日…倒れて保健室へ行ったんだろ?」

≪キセキさん…心配してくれるの?
ミルル嬉しい…≫

【まあ、そこにいるヤツらみてえのが…。
オレの国にくりゃ…真っ先に身代金誘拐ダ…。
警戒した方が良いハズだ…。
ジャナ…】

Uくーーー!
クールやわ!U

||こういう系もいいわね?||

≪どうする、キセキさん…泣いちゃう?≫

「別に僕は泣かない…。
ミルルに泣かされるような男でもない…」

≪良く言うわ、キセキさん…≫

ゼロさんは遠いところを見詰めてる・・。
空の上だ…。
空の上には…ヘリが飛んでる…。

最近、こういうのが多い…。

≪ヘリが飛んでるわね‥あれ、何かしら?≫

Uどうせ報道関係やろ?
ウチの国からも…自衛隊が…飛んで行ってるらしいで、邪神国関係で…。
それ以外にも…ジャシドンあったやろ?
あれの放射能を測定してるっちゅう噂もあるで…U

||ジャシドン…結局・…何だったのかしら?
あれ以来…テレビでは言わないけど…||

≪ミルルも見た…。
あれ、何だったのかしらね?
花火みたいだったけど…≫

「君も聞いたのか…僕も月曜の早朝に聞いた…」

【オマエらも聞いたカ…。
ミルル…おまえ、ターシャ祭りには行く気カ?】

Uえ?
何で、ミルルに聞くん?U

||え?
あたしには聞かないの?||

≪遊びに行く気だけれど…どうして?
やだ〜まさか…ミルル、誘ってるの?
だって、CM流出美女と言えば…ミルルしかいないものね?
分かりやすいんだから…ゼロさんって…。
キセキさんが泣くわよ?≫

【ダリィ】

ゼロさんが仏頂面で走って行った…。
これってまさかだけど…ミルルに春が来たの?

≪ほら、キセキさん…。
ウカウカしてたから…ゼロさんにミルルを奪われるわよ?≫

Uなんで、ミルルなん?
聞いてみただけやろ?
あれはU

||あたしもそうだと思うわ…||

「ミルル、仕方ない…僕は…君とゼロの恋を応援しても良いだろう…」

≪そんなことを言って泣きたい癖に≫

ミルルはキセキさんの脚を蹴った。
キセキさんは痛そうな顔で涙を流しかけた。
これが割と胸キュン。

||キセキ君、ミルルに苛められて泣いちゃダメ。
ああ…かわいいわ||

Uなるほど、キセキくんって泣くんや。
これはツボやわ…。
ウチ、萌えたで…U

「泣いてなんかいない…ウルサイ…。
ミルル、君は…どれだけ粗雑な女なんだ。
あの公式プロフィール…変えた方が良い…。
絶対、清純系ではない、僕が保証をする」

≪何を言ってるのかしら?
ミルルほど正統派の清純系な性格の芸能人もいないわ?
もっと他は壮絶なんだから…≫

Uミルル、それってほんまなん?U

||なんでもありで…暴走族でも清純系のフリするって話…あたしも聞くけど…。
ミルル以上なんているの?||

≪あんたたち、ミルルの崇拝者な癖して…ミルルのこと、どう思ってる訳?
怒るわよ?≫

Uウチ、ミルルの崇拝者ちゃうから。
キセキくんの崇拝者や、あと…ゼロくんのやU

||あたしも同じよ?
ただ、ミルルとは好きな男の好みが一緒だからつるんでるだけよ、毎日||

≪うるさいわね?
知ってるわよ、まあ、ミルルに敵なしだけどね?≫

「学食着いたぞ…ミルル…。
少しは慎め…。
君はテレビでは清純系で通ってるんだ…。
クラスの外を出れば…そこはテレビと同じに振る舞え…」

≪キセキさん…≫


ゼロさんは食堂で…カレーうどんを頼んだみたい…。
学食に着席するなり…。
隣の上級生に絡まれてる…。

[おまえ、邪神国からの亡命者なんだってな?]

[邪神国からなんて珍しすぎるぜ、目付きわるいな、オマエ]

[上級生にくらい、挨拶しろよ]

[おまえの国がジャシドンとか言うミサイルもどき発射して俺は困ってる…]

柄が悪いで有名な上級生だ。
不良で…退学処分の恐れがあるラシイ…。
それなのに…家が金持ちだから…お金で毎回、揉み消してるって言う噂。
ミルルはこういうヤツ、嫌い。
足蹴りしてやりたいかも。

【ウゼエんだよ、ゴラ…!
オメエの…脳天かち割ってやろカ…?!
死にたくなければ…去るべきダ…。
容赦はナイ…】

上級生が頼んだ…水の入ったコップを…上級生の頭からぶっかけた。
途端に上級生の顔が真っ赤になった。

[なんだよ、オマエ!]

[止めとけ、邪神国だ…真面目に殺しかねん、偏見じゃねえ。
お前の国って食糧難で共食いしてんだって?]

【オマエに何が分かる?
オレはもう、腹に友がいる…死にかけの友なら食った…そうして生きた。
蔑むなら蔑め、オマエラをオレは恨んでる…。
今日は殺さないガ…いつかオマエラも血祭りダ】

さすがのこれに上級生ですらビビったみたいで…。
腰が引けたみたい…。

[去ろうぜ…。
俺もう絡むの止めた]

[食べたってマジかよ]

[食人鬼なのかよ、邪神国って…]

これはミルルですらビックリした…。
暴れたことより…そっちの方が目が点だった…。
あのニュース…デマじゃなかったらしい…。

ミルルはキセキやナデシコ、カンサイと…目が合った…。
ゼロさんだけ・・明らかに一人浮いてる…。

「想像絶するらしいな…邪神国は…。
昨日、ゼロが…君に怒る訳だ…。
ヤツの前で弁当捨てるのは…ダメだっただろう・・」

≪…ミルル、アッチの席に行っても良いかしら?
キセキさん?≫

「ああ、君は昨日のことを謝るべきだ…」

Uそうやな、ミルル…U

||あたし…どうすればいいのかしら?
それでも何かゼロ君が気になるみたいで…。
でも…予想以上に邪神国って…||

ミルルは豚カツ定食を頼んだ、キセキさんやカンサイ、ナデシコは今日の定食…。
一度、倒れた分…食べないと頭が動かなくて…。
今日だけよ?
明日からはうどんミニなんだから!

それから…。
ゼロさんの隣に座った…。

≪えっと…昨日、ゼロさんの前でミルル…弁当をゴミ箱に捨ててゴメン…。
大変だったんだね≫

これ話すときでも、怖かった。
さっきまでミルル、怖くないのに…今のやり取りでミルルですら恐怖を感じた。

【オマエらに何が分かる?
無理ダロウ…】

Uウチもゼロくんの心が癒えるように祈るわ…。
何か想像絶するとこやねんな…邪神国って…U

||ジャシドンは…大丈夫なの?
とても気になるけど…||

【ノーコメントだ、オレもしらねェ…】

「さ、会話は終わっただろ…女子3人達。
僕のあとに続け…」

≪キセキさん、もう少しこの席にいましょうよ?≫

「僕は別に邪神国からの留学生だから差別する訳ではない、気に入らない…。
僕より後から来て…僕の女子を奪っていくゼロの存在を…」

Uウチも少しここで良いで?
今日はここで食おうやU

||毒のある花もたまにはいいわね…。
ラフレシアなんて花道では生けたことないけど…||

確かに…猛烈にゼロさんには毒がありそう・…。
今の会話でもそう…。
それにしても…邪神国って想像絶する国らしい…。
深くは怖くて聞けない…。

≪えっと…ゼロさんは…邪神国ではどうやって生きてたの?
家族はいるのかな?≫

Uウチも気になるわ…。
兄弟は?いるん?U

||あたしも気になるわ||

【友はイネエ、母もイネエ…。
父は…知ラネエ…。
兄弟は知らネエ…。
ほぼ、あの世ダ】

≪あの世?
ってことは…死んだってこと…≫

Uどこで、日本語覚えたん?
ってか…人間食べるんって嘘やな?
今の売り言葉に買い言葉やな?
そこまでなん、あの国って…U

||カンサイ…聞かない方が良いわよ、テレビでも言ってたけど…ありえそうだから…||

【平和ボケし過ぎダ、ココの人間どもハ…。
オレには近寄らない方が良い筈ダ…、オレもソレを望ム…。
ハハハハ…】

ゼロさんは黒く笑った。
どう考えても…あの話…真実かどうかミルルには分からない…。
でも、出て来そうな毒がたまらないかもしれない…。
何故なのか気になる…。
ミルルが平和ボケしすぎたせいなのか…知らない世界を知ってみたい気分…。

「ミルル、ゼロは止めとけ…。
君のことは僕はどうでも良いが…。
何か危ない気がする…ゼロが邪神国の人間だからと言う訳ではない…。
まあ、君がそれでも良いなら、応援しよう…」

≪ミルルはキセキさんで良いわよ?
で、キセキさん…ミルルにしてくれるの?≫

「僕は申し訳ないが…ミルルは何故かスキになれない…。
タリアが君を好きな筈だ…今日こそ落とすはずだ」

≪そうかしらね?
ミルルは月神君なんんてどうでもいいわ≫

これは誰にも言えない話…ミルルは疲れてた。
清純系を演じることを…ミルルには凶暴性がある…。
悪い世界へ惹かれてる…それなのに…お母さんの手前、耐え抜いてる…。
ストレスもある、暴れてみたい…。

「タリアなら、良いだろう…アイツは無口だが…良い奴だ…。
僕には分かる…。
しかし…何故か…ゼロは僕、気に食わない・・」

月神さんは平凡すぎる…全然、ミルルの胸に届かない…。
ミルルは平和国で女優になるステータスにも憧れはある…。
でも大暴れがしたい瞬間がある…口から炎を吐きたいぐらい、暴れまわりたい…。
泣き顔が見たい、いろんな人の…。
ミルルを見て怯えて泣く人…あれが快感で仕方ない…どうすれば良いんだろう?
この衝動?

Uキセキくん…モテるからゼロくんが嫌いなだけちゃうん?
嫉妬してるん?
可愛いな?
ウチ、慰めるで…U

||泣いても良いのよ??
あたしの胸で…だって、あたしは大和ナデシコだから…。
慎まし気で良い女よ?||

「どうして、僕に群がる女はここまで気が強いんだ…。
それから…信じられないことに…留学生が来る途端、そちらへ走るなんて。
僕は全く面白くない…。
どれだけ僕が小遣いのほとんどを…モテるためのテクニック本に費やしたことか…。
それを一瞬でこの男は…。
こんな奴のどこが良いんだ?
君たちは…」

||う〜ん…。
なんとなくだわ…モテそうな雰囲気が漂ってるのよね…||

Uそうなんや・…やっぱりこれは実際会ってみんとな…U

≪そうなのよ、ミルルも…。
苛め甲斐がなさそうなのに…何故か…ゼロさんが気になって…。
どうしてなのかしら?≫

【良い迷惑ダ】

「気に食わないのは素直じゃないところだ。
僕ならモテることを誇りに思ってるのを盛大にアピールすると言うのに・…。
こいつは皮肉しか言わない…。
こんな人間、僕が好きになれる訳もない…」

≪キセキさん…泣いてる?怒ってる?≫

そうなのよね…。
何故、気になるって…。
やっぱり容姿なのかしら?
割りと容姿がゼロさん…ストライクで…。
キセキさんにすべきか本当に悩んで…。

【オマエら邪魔ダ、オレは去る。ウゼェ】

何か…引っかかる…。
どうしてなんだろ?

「ミルル、君は僕の絶対崇拝者だった筈だ…。
どうしてそんなゼロなんて留学生をボケーとした顔して見詰めてる…。
止しておけ、タリアが泣く…。
奴なら良い奴だ、協力もしよう…」

Uウチも悩むわ…キセキくんとゼロくん…どっちに…U

||あたしもなのよね・…||

「どこがいいんだ?
食糧難の邪神国から来て…今、友人まで飢餓のせいで食べたって言うレベルの…何やって生きているか分からないレベルの人間だ、止しておけ。
邪神国は凶悪すぎて…ヤリタイ放題の恐ろしい国だと聞く…。
本気で、僕は君たちのことを心配してる…。
あのジャシドンだって…核兵器ミサイルの可能性が…」

Uキセキくんって心配しすぎちゃう?U

||あたしも同感…||

毒がありそうなのに…何故か気になる…。
どうしてなんだろう??

「僕は君たち、3人の将来を心配する…」

【ウゼェ、ココはノウノウとしてらァ…】

ゼロさんは突然、立ちあがった…。
一瞬、ミルルと目が合った。
睨まれた…。
それから…食堂へ食器を返しに行った…。

☆☆



翌日木曜日…。
今週末はターシャ祭りの関係で3連休になる。

帰宅後、ミルルはターシャ神社へ向かった。

ここに巫女様を祀る神社がある…。

巫女様の姿が彫刻された像がそびえたってる…。
男の像と、女の像。

女の像は…いつもミサにいる巫女様の姿にそっくり…。

ここで祈ることは稀だけど…ミルルには叶えたい夢がある…。
平和国でスターになること。

巫女様のところで祈ってもらえば…叶いやすいらしいけど…。
それはミルルのプライドが許さない、だから神社で祈るって訳。

その時、偶然…ゼロさんを発見した。

ゼロさんって邪神国からの留学生だからターシャ国の文化には興味がある雰囲気…。

確かにターシャ国立公園って外国からの観光客が多いから…。

特にターシャ泉に生息してる…犬イルカにせんべいを与えるのが…人気みたいで…。
ミルルも犬イルカのぬいぐるみは持ってる…家に飾ってる。

犬イルカクッキーとか割りとお土産に人気みたい…。

キセキさんの長身で茶髪碧眼…白人系クォーターな顔立ちも気に入ってるけど‥・。
ゼロくんのエキゾチックで、肌が朝黒くそれから瞳は緑、長身なスタイルもミルルは気に入ってる…。

出て来そうな毒が溜まらない・・・。

ミルル、実は…悪いタイプも好きなのかもしれない…。

今まで周りは平凡なタイプばかりで…キセキさんも泣き虫で面白いけど…。
毒はなかったから…。

ミルルは清純系を貫くことに日々、疲れ果ててる…。
お母さんのためにヤンキーにならずに品行方正を貫いてるって感じで…。


≪あら?
ゼロさんもここで願い事?≫

【チ…オマエか…。
ガイドブックにも載ってた…この神社】

≪確かに…この神社…有名みたいで。
泉の妖精を祀る神社みたいだけど…。
そこはね?。
ここにあるのは…仏像だけどね?
男の仏像と…女の仏像…。
女の仏像は…確かに…今、ミサで儀式をしてる巫女様にそっくりだけど…≫

【こういう顔なのカ?
巫女様とは…】

≪そうよ、あそこ…女性しか通過できないけど…。
ターシャ祭りでは男も行けるわよ?
ゼロさんもターシャ祭りは行くの?≫

【行く気ダ…】

≪ミルルもよ?
それから…どうしても倒したいライバルがいて…。
巫女様よりCM時間が長くなりたいのよ、ミルル。
それをここで願ってやったわ。
叶えば良いんだけど‥≫

【オマエは…平和国でスターになりてェらしいナ】

≪そうよ、ミルルはなるわ。
この国は捨てて、絶対…平和国へ飛ぶの。
ゼロさんも一緒にどうかしら?
それかキセキさんか…悩むわね?≫

【オレは平和国もこの国も好いてネエ…】

≪じゃ、どこが好きなの?
邪神国は?≫

【どこも好かネエ…】

≪えっと…ゼロさんってどこが…家なの?≫

【オメエには関係ねえ…】

≪そう・・・。
ゼロさんって…毒がありそうよね?
いったい、邪神国はどういう国なの?≫

【知らねえ方が良い筈だ】

≪ミルルはターシャ国も邪神国も好きではないし、平和国へ飛ぶのが夢だけど…。
知らない世界は知ってみたいわ≫

ここは建前、実は悪にあこがれもある…。
清純系を貫くのって本当、大変…。
時々、爆発しそうにもなる…。

火を付けてみたいような衝動すら走る…。

【こことは全く違う世界ダ】

≪ターシャ国と違う?
価値観も違うの?
ミルルとゼロさんは会話できてるわよ…。
ねえ、ゼロさんが友人を食べたって話…本当なの??≫

ミルルは身を乗り出した…。
知らない世界へ飛んでみたい気分。
悪と分かっていて飛び込みそうになる。

【そうだな…分からない方が良いだろう。
オメエは邪神国に興味があるのカ?】

≪ないに決まってるわ、話題作りのためよ。
テレビでね、話すの…。
そしてミルルが更にテレビに出る訳≫

【命が欲しければ話すべきではねえ…
そういうトコだ、オレの話も言うな…。
オメエが平和国でスターになりたければダ】

≪そうなの…≫

ゼロさんって何故か暖簾に腕押し…。
毎回、質問から逃げる…。

≪ねえ、ゼロさん。
ミルルとデートなんてどうかな?
このあと…≫

【却下ダ、オレのことは忘れろ】

≪ちょっと待ってゼロさん…≫

ゼロさんはミルルの前から去って行った…。
その足が猛烈に早い…。

ゼロさんが走って行くのを見て、ミルルは呆然となった。
ミルルは分からない…。

キセキさんとゼロさん、こんなに違うのに…。
ミルルはどっちが好きなんだろう…。

ゼロさんが去って行ったあと…ターシャ神社にキセキさんが来た…。

≪あら?
キセキさん…。
珍しいわね…≫

「ミルルなのか…。
しまった、来るべきではなかった」

≪ミルル、怒るわよ!
どういう意味よ≫

「君はタリアのところへ走るべきだ…」

≪だから、月神さんは何故かマナナとくっついたんでしょ!
ミルルを諦めて!
キセキさんも往生際が悪くない!?≫

「はあ…。
マナナはどうして…タリアと…。
あんなにミルルとタリアの恋を応援していたと言うのに…。
僕は…。
はあ…」

≪あんな弱気な男のことなんてもうキセキさんも忘れて…!
ほら、ミルルに告白しても良いのよ?
ミルル、僕と付き合ってくれ!って≫

「ミルル、君は…ゼロにも気があるんだろ?」

≪まさか…また月神さんとミルルを無理やりくっつけようとしたときみたいに、
ミルルとゼロさんをくっ付ける気なの!?
キセキさんは!!≫

「ミルル、僕の勘では…ゼロは止した方が良いと感じるが…。
君はゼロとくっ付くのならまだ良いんだろう??」

≪そうね‥。
悩むわ…ミルルはキセキさんが良い筈なのに…。
うーん≫

「僕がゼロと君の恋を応援しようか?」

≪キセキさん、どうやってくっ付ける気?
キセキさんの力では無理でしょ?
ミルルはね、まだ諦めてないのよ!
キセキさんのことを!
キセキさんがゼロさんとミルルを協力する気なら…。
協力してもらってるふりして相談にも乗ってもらって…ミルルはキセキさんをコッチへ落とすわよ!!≫

「ごめん…僕はミルルを女に見れない…。
僕よりも強い男のようだ…」

≪ミルルのような清純系に向かって何て言い草なの…!
キセキさん!
土下座しなさい!
怒るわよ≫

「ミルル、怒るな・・。
僕は正直な感想を話したままで・・・」

≪ミルルはね、キセキさんのことだけを長年好きだったのよ!
そんな簡単に心移りなんてする訳ないでしょ!≫

「とか言って、君は気が多い女だ…。
ゼロにまで…さっき、嬉しそうにアタックしてたじゃないか?」

≪見てたの!キセキさん…悪趣味ね!
声掛けてくれてもミルルに!≫

「僕は協力しよう・…男に二言はない」

≪情けない!なんて情けないの!キセキさんは!
ミルルの女心が分からないなんて!
キセキさんの分からず屋!≫

ミルルは余りに怒り狂って…キセキさんの背中を足蹴りした…。

「ミルル…痛い!
ハイヒールは痛い!」

ミルルはそのままツカツカと走り去った・・。
このままではミルルが清純系じゃないってバレル・・。

ミルルはキセキさんのために清純系を演じる乙女なんだから…!

でも、本性なんてアバズレも良いところ…。

目が怒り狂ってる…。
今、ミルルの心に荒波が立ってる…。

「ミルル…君は変わってない・・・。
僕は君が少しは女らしくなったのだと…。
テレビでアイドルとして流れてる時は感動したのに…。
君はSキャラで売った方がテレビに残れるんじゃないか?」

後ろでキセキさんの声がする。

これが腹立つ・・。。

ミルルはキセキさんのために身を挺して演じていると言うのに…。


タリアE


小説目次

ミルルA






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