アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

ミルルA



☆☆☆

自宅に着いて…。
部屋には可愛い犬アザラシのヌイグルミがある・・。
コイツに殴る気にはミルル、さすがにならない…。

でも…壁に叩く気にはなる…。
ミルルはいつものように必死で足蹴りをした…。

今日は無言・・。

キセキさんの馬鹿!

鬼の形相!!!

[ミルル、どうしたの?
怖い顔して…。
学校で何かあったの?]

≪うっせぇんだよ!オカン、ミルルは…今日は怒り狂ってるの!!
ちょっとだけ出て行ってくれる!!
ミルルだって頑張り過ぎて・・怒りてえ日だってあんだよ!
ざけんじゃねえよ、キセキさんのカスが!!!

キセキさんのボケが!!!≫

[ミルル?…
モデルの仕事、辛いの…。
止めても良いのよ…]

≪ミルルの気持ちが分かんねえくせに!!!
キセキさんのあんぽんたんメが!!!!
協力するって!?
命懸けてみろってんだ、キセキさんなんて!!
イジメまくる!!!
泣かせまくってやる!!!≫

[ミルル…。
お願い、お母さんのために御嬢さんになって…。
何でもするから…お母さんは…。
ごめん、ミルルの気持ちに気が付いてあげられなくて…]

お母さんが部屋の外からウルサイ…。
そう言う意味じゃない!!
ミルルは失恋って言う…心が引き裂かれそうになるレベルの痛みが今、胸に走ってる…。

泣き狂ってる!!


≪ミルルは・…ミルルは…≫

そこから泣いて、壁をドンドンドンと手で叩いた。
壊れれば良い…壁なんて…。
ミルルだけが苦しいなんて許さない!
ミルルは…ミルルは…。

そこで・・今日、会ったゼロさんのことを思い出して…
ピタリと手が止まった…。

新しい男…ゼロさん…。
浅黒い肌に長身な体躯と緑眼…あとは、漆黒な短髪が特徴的なアラビア系男子留学生。
ヤツも捨てがたい…。

ミルルは大きく溜息を吐いた…。

何だろう?
ミルルはどうして・…突然来たゼロさんが気になるんだろう?
本当に不思議な感覚・・・。


ミルルはいつも家では暴れてる・…。
外ではかわい子ぶってる…。

でも…ゼロさんも同じな気がする…。
何か…あとから毒が出て来そうで…。
ゼロさんがいる邪神国がどんなところなのか…気になってたまらない…。
ミルルはひと暴れしてみたい・・・。

本当は暴走族になって…バイクに馬乗りして…。
暴れて走り回るのだって憧れてる…。
ゼロさんならそれを達成してもらえそう…。

少し、落ち着いた・…。

≪ミルルは…苛め甲斐のあるキセキさん…。
それとも突けば悪が出て来そうなゼロさん・・。
どっちと一緒になった方が楽しいんだろ?
ミルルは…どうすれば…≫

[ミルル、どちらも選ばなくていいのよ。
貴女は芸能人・・。
恋愛禁止ってプロダクションも言ってた筈よ]

≪うっせええ、オカンは黙っとけ!!≫

[ミルル…変な男なんて反対よ!
邪神国からの留学生だったっけ…。
お母さんね…さすがに邪神国だけは…大反対よ、お嫁に行くなんて…。
そんなこと、もししたら…いくら一人娘でも勘当しちゃうわよ]

≪うぜ〜ってんだーが…テメエ!
何様のつもりじゃ、精子バンクだけ登録して!
ミルルを孕んだ癖して!
どうせ子役を請け負わせたのも!
ミルルをダシに飯を食おうと思った癖して!!
大きい口叩いてんじゃねえよ!!≫

ミルルだって反抗期。
外でずっと清純系を強要されてるぶん、イライラする当たりたくなる!!

[ミルル、ごめん…。
お母さんが悪かった・・ミルルはもう働かなくて良い…。
学業に専念してくれたら]

≪ふん!
ミルルのために高級ダイヤモンド買ってよね?
それぐらい出来るでしょ!!≫

ミルルの家は今、お金には困らない筈…。

[良いわ、買うわ…。
だから、ミルル・…清純系でいて…。
お願い…悪の道になんて走らないで…。
邪神国の子よりキセキさんと一緒に…。
お母さんも協力するから]

≪関係ねえってんだよ!≫

これぐらい絡んだし、少しは気分もまぎれた…。
でもキセキさんは…攻略が難しそう…。
キセキさんなんて大昔は色素は薄いし茶髪茶目で泣き虫だし、背が低いから女児に間違われてたのに…。
いつの間に、大きく育ったのかしら?
ミルルが根性で心を鬼にして、ビシビシ育てた甲斐があったわ?
男らしく育ってくれたわ?

それからゼロさん…。
どうするべきか…質問をいつも上手にかわされて…手ごたえなし…。




ターシャ祭のパレードが開始された…。

キセキさんは…一番最初の方に並んだのかしら?

途中から来たけど…。

Uなんや、キセキくん…おらへんのかいなU

||まあ、あたしが出す、抹茶でも飲んで||

≪ナデシコの出す抹茶は美味しいわね≫

ナデシコは黒髪を上で結って、青い着物姿…。
全員にフロントで振る舞ってるみたい…。

≪ナデシコ、頑張ってるじゃないの?
キセキさんは…来たの?≫

||来たわよ。
あたしの抹茶、美味しいって飲んでたわ。
これで点数が上がったわね。
この服になってからモテモテよ。
キセキ君の次の客にはナンパされまくって困ったけど…。
デブなアニメオタク風の男と・・・それから金髪でサーファー風の柄の悪い男客よ。
対応に困ったわ、あれ…巫女様も対応に困るんじゃないかしら?
何か、女好きって雰囲気だわ…||

Uくうう…あったんかいな!
キセキくんに…。
ウチな、苦学生で朝のバイトに忙しくて…!!
ところで、その男性二人客、ウチ…知ってるで!
もしかしてやけど…ウチのとこの喫茶店にきてる常連客ちゃうか?
まさかな…。
ウチ、朝も会ったで…。
アイツらどれだけ女好きなん?U

||え?
カンサイ…知ってるの?
あたし一人で対応するの…大変だったわよ。
モテるのも罪ね…||

≪ミルルは知らないわよ…≫

Uまあ、クラスではミルルがモテとるけどな…。
モテるのはミルルだけチャウっていう話やU

||美しさは罪だわ…。
この和風着物姿の時はあたし、異様にモテるのよね…。
これからは学校へもこれで出勤しようかしら??あたし…||

ミルルは猛烈に面白くない、一人だけ話題に取り残されてる。
機嫌が少し悪い、しかもキセキさんにも会えなかった…。
ミルルの方がナデシコやカンサイより…前からずっと一途にキセキさんだけを狂い愛してると言うのに。
蹴り殴っても構って欲しいレベルに。

≪カンサイ…それ、バイト服?
メイド服で目立つけど…≫

ミルルの声は最強に低い。
怒ってるという意味。

Uウチはな、キセキくんとゼロくんにや、この姿を見てもらいたかったんやU

カンサイはフリフリな白黒メイド服…黒髪ツインテールはそのまま。
カンサイは低身長で華奢だから、メイド服が若干ブカブカめ。
それから、ナデシコは青い着物に黄色の帯、黒髪は上に結ってる。

ミルルだけ…眼鏡のCMに使ったノースリーブオレンジワンピ…。
結構シンプルだったかも…。
もっとおしゃれしてもよかったかも…。
腰まで伸びた茶髪は…常通り、綺麗に美容室でセットしてもらったわ。

因みに…モデル教室の帰りで…行列、朝から並べなかった…。
ミルルは売れっ子モデルになりつつあるから…。
休みの日だって用事が埋まってる…。

ミルルは外では良い子さんを貫いて…家に仕送りまでする、出来た女性。
ミルルがぐれずに真っ直ぐ育ってるのは奇跡だって感じてる。

≪ゼロさんは来たのかしら?≫

Uウチも気になるで、カンサイ…ゼロは来たん?U

||まだよ、きっとゼロ君もあたしのこの姿に惚れるはずよ||

Uいや、ゼロくんはウチのメイド服に萌えるはずやU

≪ゼロさんね…キセキさんとどっちにすれば…≫

その時、ミルルは…何が起きたのか…。
後ろから突然…ハンカチで口を押えられた…。
誰になのか…分からない…。
後ろを見ようとすると…視界もボーとする…。
全身黒ずくめな人間だったかもしれない…。

目の前にいる…ナデシコやカンサイの顔が引き攣って…。
動いたのは分かったけど…。
そのあとの記憶が全くない…。

目が真っ白になって気持ち悪くなった…。
そこで…意識がなくなったみたいで…。

☆☆☆

目が覚めたら・・病室のようなベッドにいた。

そこに・・・黒装束な集団がいた。
フードを被った衣装…目の部分だけ穴が開いてて…。
異様に驚いたような雰囲気の瞳を全員してる…。

≪ここはどこなの?
何をしたの?≫

動こうとしたけど…ミルルは手と足が…手錠でハメられていることに気が付いた…。

≪ミルルに何かする気?
噛みつくわよ!≫

反応が全くない黒装束の集団…。
目だけが衣装から見えてる…。
邪神国のシンボルマークが刻まれた衣装…。

ミルルは手足を思いっきり動かした…。
ベッドがガタガタと揺れた…。

カタカタとなる…動かし過ぎて…ミルルの腕に手錠のあとが…しっかりと残った…。

≪ざけんじゃねえよ!
オメエら、ミルルに何かする気?
してみろ!
ミルルに何かすれば!!≫

ミルルは暴れ狂った…。

<¢£ ¤ ğß ĂĀ Ց>

[Ä ´ Ƣ Д ğß  ա]

[ɠɡ ա、 ʁʀ ג…]

[فق؁؃ كل  लळ ஒஔ  ฒ]

[ᄢሒ Ց]

ここまでの声…。
全員…まるでロボットのように機械音だ…。
何かで音を変えてるみたいな…。
聞いたことある言語…まさか、邪神語なの?

ミルルは平和国語しか…学校で習わないし…知らない・・。
何だか騒がしい…。
ミルルを指差して…ヒソヒソ、驚いたような瞳…。
意味が分からない…。

【ᚃᚃᚃᛁែ… 
فققءؑأ كل ´ ঠডণ」લળ Ց。

ୀୁ ਢ ऒओ ಡಢಣ、۴۳۲۱ے كل ᵀẠ Ằằ ´ ẀẂ ಡಢಣ】

黒装束をしてる集団のうち一人だけ…聞いたことのある生身な声…。
これは知ってる…。
緑の瞳をしてる…。

<@à … ᠁៲០。 
فق؁؃ كل πς ៲០ ΐϑ ॠी ৳ ੴઓ … ᠁ऐ Д ğß Ցͣ͡ՑՓ。
᧢᧣᧤ ᧰ ௵ஹஇ >

[᠀ ᠡᠢᠢ កខ ែ…]

[᠁៲០ … ᴂᥑ ᧢᧣᧤ ᧰ ទកធ ័ ᚠᚢ Ց៑]

[᧰᧠᧡ … ᛂᛃ ᛤᛣ ᛐᛄ ᛰᥱ]

[ᐁᎲᏀ Ꮑ৳ঠ ฒ…]

≪テメエらは何者だ!?
その声はゼロさんか?
黒装束の下はまさか…オメエは…≫

〈ᛂᛃ ᛰᥱ ՁԱՃ ৳、1Հ ᛄ ು ᛰᥱ …。 
ౠఠఐ Ԑ ́́ ಡಢಣ  ៑…〉

【᠁ Ցͣ͡ՑՓ…】

[0  ᛰᥱ  ᛂᛃ¤ ĂĀ ¤ ऑओऒ ´ ಠಡಒ ᛰհբ бР ඐ൱ ৳ ൠ ৳ ࿂]

[᠁០ ஔஇ ਢ ऒओ ౠ០…]

[ᛂᛃ ᛰᥱ 1 ఱ ৳ § ´ ՁԱՃ ৳ Ցͣ͡ՑՓ]

[ŠŐőš Ցͣ͡ ৳ ᧰᧠᧡…。 
ĠĢ ġ ÐÑ Ց͡…]

[ൡഐ ഏട ޓޓओ ख़क़ ਞਬ …。
ഈഈ ᛰᥱ ಢಱ ´ ฑฐะ ಡಢಣ ੴઓ Ց͡]

≪そこの男や女どもは誰だ!
フード外しやがれ、このヤロが!
ふざけてんじゃねえ、ミルルをどうする気!
手錠外しやがれ、この!≫

【ੴਸ ¤ ਡਐ ¤ ૠ ᛰᥱ ॠॐल ਞਬ…】


〈॥॥ ᛰᥱ ᛂᛃ ០ॲ ρςΣ ե…〉   

[װװ Ѡ ѨѬ ´ …ӁӂӃ ᛰհբ]

[ऐऑ ऒओ 、॥॥ Ѡ]

〈0… शऴ যএ ആ൮ ᛰᥱ ཁག ৳ ੴઓ …。
ᄠᄡ ख़ ᄓᄒᄔᄕ אב ৳ ੴઓ …。
ᄠᄡ ÑÁ ŐŠš ᧰ فढऒऔ ख़क़ Ց͡ ৳ ᧰᧠᧡…。
ŲŰ、शऴ যএ ᠁ ख़क़ ğß  ០  ᠀ ॠी ৳ …。
0 ðá ¤ ÀÂ ´ᛰᥱ … ŴŶŷ ᄠᄡ ÑÁ ŐŠš ᧰ فढऒऔ…〉


≪聞けば分かるってんだろ!
ゼロさんもいるんだろ!
テメ。
ざけてんじゃねえ!≫

ミルルは暴れ狂った。

〈0 ´ᛰᥱ ఱÑ ᧰ £¢¡ ե …。
0 Д ഈഈ ᧰ £ఱ ৳ Ց͡០
௵ஹஇ ե〉


[ᛂᛃ Ց͡០ 0 ᛰᥱ ÐÑÒ ± ńŅ Ց͡]

[ฑෲ、ුේ ᧰ ඐඃඓ ե]

[චඐ ඃ ෴ ᛰᥱ ༕༖༗ ទកធ ័ ࿂]

【॥॥ ᛰᥱ ཐཀ ༒༂ ෲෳඣඣ ආඇ ඌඍ ᠁ ğß 】

<ੴઓ … ᛂᛃ¤ ĂĀ ᛰᥱ …ඐඓඔ、 ཡ༃༂ ৳ ॥॥  ´…。
༓༓༓、ᛂᛃ ༖༖ ᛂᛃ ༼༽ ᧰ ࿂࿃ ե>

[Ä དྷདྷདྷ ฒ‥]

[ᛂᛃ¤ ቃቂ ¤ ᧠᧡ ឡᛰᥱ …Ä ´ ᠁´…]

[᧰᧠᧡、 
فققءؑأ كل ´ ঠডণ ¤ དྷདྷདྷ ០ ?]

<॥॥ Ѡ ហឡ ᧰᧠᧡ …  ᛂᛃ¤ ĂĀ ᧰᧠᧡ ᠁ ᧰ ᎢᎣ ᏡᏰ、۴۳۲۱ے كل ᵀẠ Ằằ ğß Ցͣ͡ՑՓ、॥॥ ᛰᥱ… ᐐᐑ ᧰᧠᧡…>

【۴۳۲۱ے كل ᵀẠ Ằằ ğß Ցͣ͡ՑՓ、ق؁؃ كل ğß Ց͡ …】

≪話が見えねえってんだ、ゼロさん…なの?
本当に・…。
ゼロさんはどうして…ターシャ国へ…。
いったい、ミルルはどうしてこんなところに…。
祭りはどうなったの?
皆は…≫

ミルルの頭が付いていかない…。

黒装束の集団がミルルがいる病室から去っていく…。
一名を覗いて…。

〈0 ´ᛰᥱ ఱÑ ᧰ £¢¡ ե 〉

【ឱឰ Ց͡】

<शऴ 1 ᛰᥱ ខ ᧰᧠᧡ ២១ ០ ?…> 

【॥॥ ᛰᥱ ៰ ᠠ 1  Ց͡、1 ğß…】

〈᠁០〉

☆☆☆

≪ゼロさんなの?
ミルルはどうしてこんなところに…。
何でなの?
ミルルだけ…。
皆は…パレードは…≫

【黙れ…オメエは監禁されテル】

≪フザケンナってんだ!
ミルルはここを脱出する…。
意味が分からない!
あの集団は何?
ミルルは!!!≫

ゼロさんは黒装束のフードを外した。

ゼロさんの表情は覇気に乏しく、緑瞳は生気が灯ってない…。
いつものようだ・・。

ゼロさんの闇って…。
何なの?
ミルルにすら分からない…。

≪やっぱりゼロさん、ミルルはどうなるの?≫

【帰れる筈ダ、オレのことは忘れろ…
テメエとオレは交わることのねえ線にいるようダ。
警察には多くを語るな、テメエは常に邪神国から狙われる身ダ。
オメエが一言言葉を漏らせば…テメエの体は大破するかもしれねえ…。
それぐらいの気でいやがれ…】

≪ゼロさん…。
意味が分からない…。
でも、ゼロさんとミルルはお別れで…。
ミルルは…帰してくれるって意味なの?≫

【それを全員、お望みダ。
他言不要ダ。
命が欲しくば…】

≪どうして…さっきの人たちの会話…。
ミルルの何を見て、驚いたって言うの?
ゼロさんが…≫

【一つだけ情報を与えてやろう、オメエの兄…オレが最初に食った人間ダ】

≪嘘でしょ…あの話は…≫

そこで…暴れ狂うミルルの口元へまたゼロさんから白いハンカチで…口を押えられた…。

≪さっき…ミルルにハンカチを当てたのは…≫

一生懸命話そうとするのに…ハンカチのせいで声が出ない…。
それから…また眩暈がした…。

【それには薬が入ってる…オメエは寝るべきダ…。
忘れろ…】

そこで視界が消えて声だけが聞こえる…。

【オメエは兄に見た目がソックリだが…性格は似てねえらしいな…】

もっと遠くで物音がする…。
部屋のドアが開いた音…。

<@à、0… ᠁ ᧢᧣᧤ ᧰ ഈഈ ´ទកធ ័ ౠ០?>

誰かの声…機械で変声されてる・…。
年齢もこれでは判別できない…。

その先の記憶が一切、ない…。


☆☆☆

次に目が覚めたら…。

ミルルはまた病院のベッドにいた…。

今度はミルルの周りは・…お母さんがいる…。

ここはどこなんだろう?

≪ここはどこなの?
ミルルは…≫

[目が覚めたの?
お母さん、心配で…。
ミルルだけ…邪神国のヘリコプターから…戻されて…。
ヘリは空へ上がって行ったって…。
聞いたときは…もう…]

≪ここは…どこ??≫

[ターシャ国立病院よ。
ミルル…]

お母さんは疲れた様な顔…。

≪ミルルは…。
邪神国に拉致されてたの?
まさか…≫


[ミルルが生きてて…それだけで…]

≪お母さん、ゼロさんは?
ミルルの隣にさっきまでいたんだけど…≫

[ゼロさん? 
帰って来てないわ…。
あのターシャ祭りに来たのかも謎だけど・…。
ゼロさんって確か…ミルルのクラスに来た肌の浅黒い留学生よね?
ミルルから聞いた程度で、母さんは面識ないけど…]

≪そう…≫

[ミルル、どうしたの?
まさか…ゼロさんは…邪神国のスパイだったの?
もう、邪神国からのテロで…ずっとパニックで…。
テレビ見てみる?]

≪うん≫

[今、ナースコール押すわね…。
きっと…ミルルにいろいろ質問が来ると思うけど…大丈夫?
もう少し寝てても良いのよ…]

≪大丈夫…≫

[ミルル、乱暴はされなかった?
ミルルのことが心配で…。
体には傷はないみたいだけど…。
大丈夫?]

≪何もない…≫

[もしもレイプになってたら…隠さず言うのよ、邪神国って恐ろしすぎる国なんだから・・。
お母さんがお医者さまからピルでも今、貰うから…。
もう、ミルルのことが心配で…]

お母さんが泣いてる…。

≪大丈夫…≫

実は全く記憶がない…。
空白の間、何があったのかも…。

[そう、それならいいのよ…]

お母さんがナースコールを押そうとする…。

≪待って、もう少し…ミルル、ゆっくりしたい…。
まだ眠い…≫

[そう…。
じゃ、もう少し後でも…。
でも、みんなお医者様も心配してて…。
そうね‥・。
生きてただけで母さんは…]

お母さんは泣いてる…。
でもミルルは頭が働かない。

☆☆☆

頭の整理がミルルでもしてみたい。
ゼロさんはミルルの兄を食べたって話してた。
信じられない。
ミルルには兄はいないと思う。
でも、お母さんにはいなくても…ミルルは精子バンクの子。
もしかしたら…ミルルには兄弟や姉妹がいてもおかしくない。

ゼロさんが食堂でガラの悪い上級生に絡まれてる時…。
ミルルも見た。

【オマエに何が分かる?
オレはもう、腹に友がいる…死にかけの友なら食った…そうして生きた。
蔑むなら蔑め、オマエラをオレは恨んでる…。
今日は殺さないガ…いつかオマエラも血祭りダ】

この言葉…死にかけの友をミルルの兄を指すとすれば…。
ミルルの兄は邪神国へ自らの足で進んだってことになる…。
確かに最近、ネットを介して邪神教と接点を持った若者が…邪神国へ逃亡する事件が相次いてるみたい…。

ミルルには平和国でスターになる夢がある…。
ミルルは邪神国や行きたいって別に思わない…。
読者モデルなんてイヤ、ミルルは有名人になって名声を手に入れる。

でも…。
ミルルの兄はともかく…。

何故かミルルはゼロさんが気になる。
平和国で清純系女優を目指すより…ミルルは邪神国に呼び寄せられてる。

ゼロさんには助けてもらったんだって思う。
そんな気がするけど…全く理由は分からない。

ミルルが…精子バンクを介して生まれてるミルルの兄と容姿が似ていると仮定して…。
それは当たり前。

ミルルの見知らぬ兄が自らの足で邪神国へ走って…。
それから死んで…。
そのあとにミルルを邪神国へさらおうとした理由…。

何故か…驚いてるような…瞳を…黒装束の人たちはしてた。
ゼロさんだけ瞳が緑で…分かった…。

ミルルの見知らぬ兄は邪神国で重要だったの?
わざわざミルルだけをターシャ祭りで最初に気絶させて…。
ミルルだけ違う場所へ運ばれた…。

それは何なの?

ミルルにはまさか…自爆テロじゃないけど…。
既に爆弾でも入れられてるの?
全然、分からない…。

これは話すべきなの?
話せば…ミルルの体が吹き飛ぶぐらいに思え、黙れって…。
ゼロさんには説得されてるけど…。

☆☆☆

そのあと、お医者様やテレビ関係から取材が相次いだ…。
しばらくして、母の願いで帰ってもらえた。

ミルルはまだふらつく頭で…お母さんから聞いて、ナデシコやカンサイ、キセキさんの両親がいる病室へ進んだ。

和風顔なナデシコは…頬に痣。
ナデシコの病室机には生花が飾られてる。

Uミルル、帰って来たんか?
もう、うち…死んだとばかり…U

≪カンサイ、貴女…ミルルの前にいたわよね?
ミルルに何が起きたの?
ミルルは誰に気絶されたの?≫

Uウチも分からんわ。
突然やで…邪神教の全身頭まで黒づくめの人間が来て、ミルルに変な薬かがして…。
そのあと、発砲したんや、空に向かって・・U

≪それで…≫

Uテープだけ…その辺にばらまいて…。
近付けば、ミルルを殺すって言ってな…。
そのテープから音声が流れたんや…。
もう怖かった、ホンマ…。

数秒後にやで…。
爆発や、そのテープ…・U

≪ミルルは…その時…≫

U分からん…テープから煙も出たわ…。
もう、全員パニックや…。
ミルルは気が付いたら…いいひんかった…U

≪そうなの…。
ナデシコは?≫

U骨折してるわ。
今はまだ寝てるで…。
ナデシコは隣にいるわU

この病室は2人部屋みたい…。
相部屋の住人がカンサイとナデシコらしい…。

≪ナデシコ、寝てるのね…≫

||起きたわ、ミルル…。
本当に良く帰って来たわね‥。
テレビでは・・無事帰って来たことしか言ってないし…。
あまり何故かミルルのコメントがながれてないけど…。
どうなったの?||

≪ナデシコ…貴女…右手を…≫

||骨折よ、別にすぐ元に戻るわ||

≪そう…まあ、これでアンタたちが寝てる間に、キセキさんへ点数稼ぎしに走れるけど‥・。
病人はベッドで寝ときなさい≫

Uミルル、冷たいな…。
まだ競争かいな…にしても…ゼロくんは…きいひんかったわ…。
祭りに…。
邪神教の国って壮絶やなU

||本当ね…ゼロ君…このニュース、どう思いながら…見てるのかしら・・・||

≪・・・。
じゃ、寝ときなさいよ…。
ミルルはキセキさんのところへ行ってくるから≫

Uウチもすぐに走れるように元気になるで!U

||あたしもよ、今は安静だけど…。
脚も捻挫してるし…。
でも行くわよ!||

ミルルはその病室を出ることにした、ミルルにとって・・・。
カンサイもナデシコもミルルを崇拝するライバルっていう感覚。

キセキさんの病室は…両親でいるらしい・・・。

複雑骨折なのか…包帯がグルグル・・・。
それから顔もやっぱり痣、点滴もしてる。

「ミルルか・・・君は無事に帰って来たんだな…。
良かった…」

キセキさんが泣いてる…。
思った通り・・・。
キセキさんの両親は…寝てる…。

≪寝てるの?
ミルルは邪魔だったかしら?≫

「寝てるんじゃない…。
少し、頭を打ったせいで…意識が朦朧としてる…。
医者には安静を言われてるが…。
僕はどうすれば…」

キセキさんが茶目を潤ませ静かに泣いてる…。

≪大丈夫でしょう?
きっと・・・≫

ミルルは確かにキセキさんの泣き顔は大好き・・・。
でも…。

何故か、ゼロさんのことが気になる…。

隣にキセキさんがいるのに…どう言う訳か…。
ゼロさんの死んだ緑眼を思い出す。

「君は…いったい・・・どうして帰って来れたんだ?
ニュースなら見たが・・・全く肝心なことが・・・流れてなかった」

≪きっと運が良かったのよ≫

ミルルは黙るようにゼロさんにも、テレビ関係にすら言われてる…。
それぐらい重要な話らしい…。

ゼロさんの件も含めて全部、テレビで話したわけでもない…。
ゼロさんに助けてもらったことだけは言ったけど…。
あとは記憶がない話で通してる…。

「運なのか?
そうか…。
僕の両親は…どうなるんだ?」

キセキさんはボタボタ泣いてるけど…。
大丈夫そうで仕方ない…。

≪キセキさんが泣けば泣くほど、きっと祈りは届くわよ。
泣きなさい、きっと目覚めるわよ≫

「僕は泣いてる、ずっとだ…。
今日はもう大変な日だった…」

その時、キセキさんの両親が少し・・・口元が動いたのが分かった…。
そろそろ目が覚めそうな気配がする・・。
キセキさんってお母さんがハーフなのね、キセキさんが色素が薄いのは母譲りみたいだわ?
ミルルはお母さんのいる病室へ戻ることにした。

≪キセキさん、サヨナラ≫

「ミルル、まだ本調子じゃないんだってな。
僕は君が元気になれるようには祈ろう」

≪ありがとう・・・でも。
キセキさん、約束したわよね?
ミルルとゼロさんをくっつけるように協力するって≫

「した。
僕は君とは残念だが…何故か無理だ…。
でも君はそれを利用して僕を落とす気なんだろ?」

≪そうね。
それも良いけど…。
ミルルがゼロさんに会えるように計らってくれないかしら≫

「どういう意味だ?
学校へ行けばゼロには会えるだろうに…」

≪今は良いわ。
学校に行けば、分かる筈だから…。
キセキさん、サヨナラ≫

ミルルはキセキさんがいる病室を去った。

キセキさんを泣かせるのは相変わらず好きだけど…。
何故か、ゼロさんの言葉が気になってる。
出てくる毒が溜まらなくて・・・。

ミルルとミルルの兄は…性格が全く似てないと…。
ゼロさんから教えてもらった・・・。
そのことも含めて、気になってたまらない…。

もう会えないと…ゼロさんは話してた…。
すると何故だか余計に気になってくる。

ミルルは苛め甲斐のないゼロさんが何故か気になる。
キセキさんよりどうしてか…ゼロさんの死んだような瞳が気になってくる…。

ゼロさんはどうして・・・ミルルをターシャ国へ帰還させるように頼んだんだろう・・・。

病院の窓から外を見た…。

雨が降ってる・・・土砂降り。

もう外も暗い、夜みたい・・・。

☆☆☆

ミルルの兄って・・・ミルルに見た目が似てるみたい・・・。
そう言えば…ミルルのお父さんもミルルに写真では似てたってお母さんが話してた…。
ミルルの兄ってどんな人だったんだろう…。

ゼロさんの友達だったみたいだけど…。
気になってくる…。

ミルルの兄は…眼鏡はかけてたのか…。

お母さんがいる病室へ帰った。

[ミルル…突然、歩き回って大丈夫なの?]

≪ミルルのお父さんは…お母さんの話では…。
肌が浅黒くて…髪は黒くストレート、それから筋肉質、眼鏡はしてないんだよね?

今、37歳なんだよね?

お母さんは62歳で…還暦も過ぎてるけど…。
精子バンクでとても若いのを選んだって話してたから…。

ターシャ国出身の医学生だよね!?≫

[どうしたの?
ミルル、突然…そんなことを聞いて…]

≪キセキさんの病室に行けば…両親がいて…。
ミルルも急にお父さんについて気になって…≫

[ミルルは子供ね…。
お父さんがいなくて…寂しい気分に未だになる?
子供の頃、幼稚園時代は・…よくそれでお母さんに怒ってたけど‥・]

≪ううん、興味が沸いただけ。
お母さん、精神バンクを介してお父さんを知った時の話…全然しないから。
それでも一応、気になる≫

[その通りよ。
医学生って書いてたわ、ターシャ国出身は当たり前よ。
経歴もそうだったわ…]

≪どこの村出身なの?≫

[探しに行くのは止しなさい…。
医学生と書いてたけど…大学名は書いてなかったわ…。
本人の特定を防ぐ目的かしら?
それからターシャ国出身なのはそうだろうけど…。
それも村がどことまでは…]

≪それって信憑性あるの?≫

[ターシャ国立大学病院よ?
間違いないわ]

≪そう…≫

病室の窓の外…遠くで雷が鳴ったのが分かった…。
外がピカリ!っと一瞬光る…落雷が遠いところであったみたい…。

何故だろう、ミルルは…。

ゼロさんがいる邪神国がどんどん気になってる…。
ミルルは…このままだとゼロさんを追って…。
ミルルの兄と同じように…邪神国へ自らの足で行ってしまうかもしれない…。

ミルルはこの世界より闇が似合う気がしてたまらない。
ミルルは何故かゼロさんの生気が灯らない緑眼が…忘れられない。

あの意味不明な言語は…勘では、ニュースで聞いたことがある。
邪神国の言葉…。
ミルルは邪神国の言葉を覚えたいかも…。
心残りがある…。
何の話してたのか…全く分からなかった…。

ネットで邪神語について…取り寄せたい気分…。
専門書になってくるみたい。
ミルルは邪神国へお母さんまで捨てて飛びたいと思ってる…。
ミルルの闇が何故か邪神国を呼ぶ。
知的好奇心が疼いて仕方ない。

ミルルはゼロさんが危険って知ってるのに…何故か惹かれてる。
ミルルよりも深い闇がゼロさんにはある。
ミルルは邪神国の現状を知りたい気分…。
お母さんには内緒、絶対反対するから…。
ミルルは邪神国で暴れてみたい…。







☆☆☆



ミルル@


小説目次

ゼロの項目イラスト




















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