アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

ああ巫女 様C



あれは…いったい…どれぐらい昔なんだろう?
もう10年に近い昔なのかもしれない…。
私が小学3年生か4年生ぐらいだったのかもしれない…。
正確に思い出せない…今は高校2年生だけど…小学時代の記憶は、最近では薄いから。
9歳か、10歳…それぐらいかもしれない…。
ハッキリ正しいか…自信がない。

昔は…私がキセキに近づこうとすると、唯一の友達が取られることに関して怒ってるのか…。
茶髪茶目低身長…涙がちな姫様――キセキを巡って、私とタリアで喧嘩になってた。

『キセキは俺の友人だ。
成績底辺な恋愛低脳女に落ちるわけない。
お前は離れてろ、屑。
邪魔すぎる。
俺はキセキと今から遊ぶ約束をしてる』

いつも、幼稚園、小学校、中学と…常に、このノリだった…。
私がキセキを奪おうとすると、いつも怒られてた…ヤツに。

怖いレベルで絡まれてた、別に幼馴染なんて…全く私は認めてない。
私は当時、可愛い美少女なキセキと仲良くなりたいだけだった。

「醜いタリアのことなんて無視で良いわ。
ねえ・…キセキ、泣かないで、私を頼って良いのよ?
いくらでも…。
ミルルが主犯だけど…クラスにいる女子たちが…全員、キセキを女の子みたいってからかうのも…。
キセキが素晴らしく容姿に恵まれて嫉妬してるのよ。
私はキセキが大好き。
将来、お嫁さんにしてくれたらな…」

いつも、キセキには…言ってた、幼稚園から。
それなのに…やっぱり、私は巫女様だけ。
キセキはどんどん男ムサイ…。

『俺はおまえの顔見るのも嫌いなレベルだ…。
アッチ行ってろよ。
男同士の話題がキセキとある・・・。
お前は性格まで最低だ。
キセキ、俺の味方だろ?
あんな勉強も出来ない女、キセキが好きなわけないだろ?
そうだろ?』

「そうだな…。
僕は…マナナとタリアと僕で幼馴染だと思ってる。
確かにマナナは僕へアタックしてる女の子で…。
タリアは僕の隣にいる男友達だが…。
そう感じてる・・・。

それから、僕はマナナには甘い。
マナナが勉強が出来るようになれたら、僕はきっとマナナを選んでも良いよ」

そういう時…こんなふうに茶色い目をウサギのように潤ませて、キセキも言ってくれてた。

「本当に?
キセキ…。
ありがとう、優しい・・・。
タリアは容姿最悪だけど…心まで狭い…嫌い過ぎる」

私はずっと、キセキしか見てなかった。
アイツの顔なんて見たら目が腐るレベル。
キセキだけが私の幼馴染に決まってる。
アイツが一方的に私を睨むだけ。
私は口では批判はする、醜いって…。
だって、正直者だから。

『分かったから。
もうマナナは去れよ。
おまえは道徳皆無なモンスター級の性格最低女だ。
俺はおまえ…嫌いに決まってる』

いつも睨まれる運命に私はある…目線すら合したくもないから…。
私は常に無視して、茶髪茶眼華奢な姫様――キセキを見詰めてた。
ずっと。

ヤツは怒ったまま、キセキへ視線を向けた。

『キセキも同じ気持ちだろ、俺の味方だろ?
俺達…友人だ、そうだろ?キセキ…』

「まあ、怒るなよ…。
タリア…。
マナナのこと、許してやれよ。
僕はマナナとも仲良くありたいし…。
タリアとも仲良くいたい…。
僕は3人でいる時、とても居心地がいい…。

学校で、僕は…ミルルやクラスメイト女子全員から…連日、苛められ続けてるが…。

君たち二人の存在に…僕は救われてる。
この恩を…僕は絶対に忘れない…。
僕はマナナもタリアも好きだ」

『キセキ…。
何言うんだ?
お前は俺だけで良い。
キセキは俺の友達だ!!』

いつもこの調子で怒り狂って私はヤツに威嚇されて歯向かわれ…睨まれてた。
目線は私が一瞬は見るけど、すぐに逸らして…美しいキセキを見てた。
キセキはまるで絵本のお姫様だった…。

『お前は俺とキセキの友情まで邪魔する屑野郎だ。
去れよ、ボケ…マナナ』

ここでタリアからは睨み目線なら感じた。
でも、私は怖いし…目線は美少女可憐なキセキを見詰めた。
絡む人には相手にしないのが一番だって、お母さんも言ってたから。

『俺はマナナは幼馴染とは認めない。
キセキは博愛主義すぎないか…?』

タリアは色素が薄く可憐なキセキを横目で見て、そこからまた私を睨む。
どうでも良いから…私は姫様なキセキに胸を高鳴らせ、顔が真っ赤になる。
可愛すぎてた、当時のキセキって…。
まだ…女装コンテストで余裕で優勝しそうな姫様風の見た目だった。
キセキの写真も持ち歩きたいレベルだった…。

キセキは今、180cmもあるけど…急に中2ぐらいから背が伸びた。
昔のキセキって…女の子にしか見えないタイプで…成長が遅れてるイメージだった。
よく女子に苛められて泣いてた。

いつから…キセキが女子へ興味を持ったのかも分からない…。
昔は全然、女子に興味のない子だった…。
恋愛って単語を聞いても分からないような顔して…超淡泊な性格だった。
女好きじゃなかった…恋愛の意味さえ理解できない顔してた。

キセキが女子へ興味が出た頃って…最近かもしれない…。
今では、何かムサイ…キセキが…。
キセキって…遅咲きタイプかもしれない…。

「タリアとマナナは本当に険悪だな。
見ればいつも喧嘩してる…。
僕はどうすれば良いんだろう…。

そう言えば…タリア、君はミルルが好きらしいな…。

ミルルは確かに…マナナと正反対のタイプだ。
君は…よっぽど、マナナが嫌いなんだな…。
僕はタリアもマナナも幼馴染と認めてると言うのに…。

僕はミルルからも女っぽいと苛められてる状況にある…。
僕は…タリアとミルルの恋を…全面協力しても良いかもしれない…。

マナナには…宿題丸写しを連日でも良いかもしれない…」

「キセキって本当に優しい…。
ねえ?
タリアなんて放置して…私とだけで遊びましょうよ?
公園でデートなんて♪」

『うるさいな。
キセキは俺の唯一無二な親友だ。
諦めろ、去れよ!』

いつもタリアは勝手に睨んで来てた、私のことを。

「まあ、怒るなタリア。
何で、二人はこんなに仲が悪いのか…。
僕は学校では女子に女っぽいとカラかわれて…ショゲテ…。
マナナが僕を唯一、好きでいてくれる貴重な女子だ。
タリアもマナナを大事にしてやってくれ…僕はマナナに感謝してる。

それにしても…マナナ。
君は僕に勉強は聞いてばかりで一問も解こうとしない。
それだけは頑張れ。
僕は君が心配だ…君は僕にとって家族にも近い存在だからだ…」

こんな雰囲気だった…。
タリアは普段、無口な癖に…親友のキセキが私に取られると知るや、嫉妬で怒り狂って罵倒する嫌な男だった。
姫様なキセキを…自分で独り占めする、悪い男だった。
まさか…タリア、キセキが好きなの?って言うぐらいのレベルだった。

確かに…どの女子よりキセキが可憐で華奢な御姫様に見えたから。
色素もキセキは色白で美肌…天然茶髪で猫毛で…瞳も茶色…それから線まで華奢で…背が低い…。
絶対、半袖な水色フリフリロングワンピースとか似合うタイプだった…。
例えショートカットでも…目がパッチリ二重で鼻筋が通った姫様に見えた、唇まで桜色だった。
私にとって宿敵はタリアに決まってた。

『マナナ…でも、俺とミルルの恋に協力するなら…。
お前とキセキの恋に協力してやっても良いかもしれない。
お前と友達になっても良いかもしれない』

私は突然の言葉にビックリして、タリアを凝視した。
この瞬間、初めてタリアをマジマジと見た。
ミルルを思い出してか…顔が赤くなってた。

『ミルルのことを…協力してくれるなら…。
お前と和解も良いかもしれない…。
俺は…そう思ってる…。
別にお前と友達になっても…。
ミルルと俺を協力するならだ…」

タリアは罰が悪そうに視線を逸らしてた。
眼鏡系女子ーミルルが好きでたまらないと言うのが伝わってきた。

「何言ってるの?
私は全くタリアと友達になる気はないわ。
容姿最悪だし、自分でキセキにはアタックできてるし。
タリアも自分でミルルに言いなさいよ。
人を頼らずに…」

私はさすがにタリアを睨んで叱った。

「マナナ、怒るな。
このとおり、タリアはこう見えてミルルの前ではシャイなんだ。
僕には分かる。
タリアって…結構、普段おとなしい。
そのお蔭で僕も癒されてる。
タリアはこう見えて良い男だ」

『キセキ、おまえだけが俺の親友だ』

タリアが横目でキセキを見てる。
私は一瞬、タリアを見て…キセキを見詰めてる…何とか引っ付こうとしてる。
だって…プニプニほっぺとか突いてみたいから・・。
キセキの茶髪に触れてみたい、柔らかくて気持ちよさそうだし…。
触ろうとした。
それなのに…ヤツは邪魔者。

『マナナは去ってろ!
邪魔だ』

こんな感じで威嚇される、タリアからは常に睨まれてた。

「キセキ…もう、タリアは捨てて、私とデートしましょうよ…。
ねえ…」

私はタリアは押しのけて、キセキに正面からスリスリした。
可愛いから…抱擁したくなった。
もう庇護欲が出て来て、キュンとなった。
茶目は輝いて美しいし…猛烈にキセキってお姫様だった。

『おまえは邪魔だ。
今からキセキと…恋愛相談する。
ミルルについての話だ。
コッチへ寄るな』

隣のタリアから睨まれた。

「マナナ、そう言う訳だ。
またあとで話そう。
僕はタリアとも友達だからだ」

「キセキ…待ってるから…私…。
本当に、タリアって他力本願なんだから。
呆れるわ…キセキも大変でしょ?
キセキ、本当に可愛い顔してるわ。
大好き」

『キセキと恋愛話する。
おまえには関係ないことだ。
向こう行け、邪魔だ』

私はキセキしか見てないのに…睨んでくる邪魔者はタリア。

「キセキ…私を選んでね、キセキのために勉強…頑張るから…」

「僕は君に期待してる」

どう見ても昔のキセキと私ってカップルだった。
私はタリアなんて幼馴染って認めてない。
キセキも博愛主義だと思う、それは…今もかもしれない。
私はいつだって…タリアが横にいようが、あの頃…キセキを見てたから…。

『キセキ、あんなヤツ・・どこが良い?
まさかキセキ、アイツ…好きなのか?
俺は反対だ、性格最低だ。
俺の容姿ばかり貶す道徳の少ない、しかも…勉強も底辺だ。
キセキ、こんな奴のどこが良い?
理解に苦しむ。
キセキ、俺の味方だろ?
おまえは…』

「僕は…タリアもマナナも同じくらい好きだ。
両方、僕の大切な幼馴染だ。
君たちがいるから学校が楽しい。
怒るな、タリア…」

こんな調子で私が去った後は…。

私を避けて、タリアとキセキは…タリアがミルルへ抱く恋愛話で盛り上がってたみたい…。
ムカつきすぎる、タリアは…。
初対面からして、私の好みな外見じゃないし…嫌ってたけど…ますます酷いって幻滅した。

クラスメイト全員に、眼鏡系女子"ミルル"と自分の恋路を取り持ってくれと…タリアは促した癖に…。
いまだにミルルへ・…率先して自らタリアはアタックできてない…。
アイツ・…本気で根暗すぎる…恋愛事を他人へ頼り過ぎてる。
私がどれだけ連日通い詰めて喋りまくって、巫女様を口説き落としたか…もう10年以上なのに…。
叱りたくもなる。
それから…それが無理だから、とりあえず…女体に抱く下心へ落ちてしまう最低男。
もうどうしようもない奴。

男らしくもない。
他力本願過ぎる。

それに反して…キセキは見た目女子で…女子にはモテず、女っぽいとカラかわれて泣くけど…心まで優しい男の子だった…。
巫女様も好きだけど、キセキのことは…当時は本当に意識してた…。

私は…女子から苛められてしょ気てるキセキを…助けに行く果敢な女子だった…。
その対価として、キセキからは連日、勉強丸写しをさせてもらってた…。

でも、最近…キセキが日増しにムサく感じる…キセキが女子からモテるようになってから、特に…。

私もタリアも…中学時代までは…激しく、キセキの取り合いだった。
確かに今もタリアは一人でいる…。
タリアはキセキがモテるようになってから面白くないのか距離を置いてるみたい…。
確かに…最近のキセキは…タリアを他とする女子全員にも…上から目線が酷い…。
昔はそうでもなかった…。
何人、キセキには好きな女子がいるのか…。
私には分からない…いつからここまで女好きになっていったんだろう…キセキは…。

昔は…女子の前で…堂々とランキングを付ける男子じゃなかった…キセキって…。

☆☆☆

☆☆☆

中学時代、タリアとは今と同じようにクラスも同じしかも隣の席になった時が一度だけあった。
中二だった、あの頃から…少しキセキはムサクなり始めてた。
茶目は勇ましくなり、茶髪は剛毛になり…背が伸び、肩幅が広くなって来た。
中一では別クラスだったけど、中二、中三は…タリアとキセキと私は同じクラスになった、偶然。

私は頻繁に忘れ物をするし、仕方なしにタリアへ見せて貰ってた。
私は何故か勉強をしようとすると力が抜ける…当時も赤点で大変だった。
アイツのことは嫌いだけど、頼るしかなかった…私の前席に座るミルルに頼んだら、断られた。
私の後席に座るナデシコに頼んだら、断られた。

多分、これぐらいから…眼鏡系女子ミルルや純和風系ナデシコがキセキに目を付け始めて、私が恨まれ始めた頃。
私はイヤだけど、頼み綱としてヤツを利用しようとした。
ヤツは嫌がりつつも、見せてくれた。

その時も言われた。

『俺とミルルの仲を協力するなら。
おまえとキセキの仲を協力してやっても良い。
それなら、おまえと友達になっても良い。
俺には女心が全然分からない、女友達も必要だ。
おまえと和解しても良いかもしれない…』

私は腹が立った。
ミルルにだんだん、気が出始めてたから…この辺りからミルルの女体に私は恋慕してた。

「自分で言えないなんて最低も良いところ。
私は自分の恋は自分で解決する。
人に頼らない」

そして激怒して、私は机をタリアから1mは離した。
元々、タリアを頼るなんて気乗りしてなかった。

それなら孤立して、授業についていけない方がずっとマシ。
そんな感じで隣の席になって、3日で席は離れて授業することになった。

私のことを男子たちにも含めて、

[おまえ…険悪な仲のマナナに頼まれて教科書、貸してるんだってな]

[いつの間にアイツと和解したんだ?]

[タリア、ミルルを好きなのに。
アイツのこと、許したのか?]

と聞かれたら…。

『アイツはキセキだけじゃなくて他の男にも色目線を送る男タラシのだらしない女だ。
もう嫌がってる、そうに決まってる。
俺はああいうタイプの股の緩そうなフシダラな女は最低だ。
好きになれるわけもない。
しかも頭も悪い、良いところなしだ。
更に忘れ物までする、もう救いようのない馬鹿も良いところだ。
和解なんてしてる訳もない、向こうから一方的にだ…』

って。
裏で貶しまくってるヤツと仲良くなる訳なんてない。
ムカつきまくってる。
毎日、裏で私の悪口散々で

『俺はマナナだけは大嫌いだ、勉強も出来ないし、本気で良い迷惑してる…。
俺は嫌がってる、隣の席になったこともだ。
ミルルが好きに決まってる』

と言ってることも知ってる。
私も嫌い過ぎてる。


『俺はマナナなんて論外も良いとこだ、正反対のミルルが好きだ、当たり前だ。
協力してくれ、ミルルのことを…これからも』

とずっと言ってることも。

その頃…私は授業中、前の席にいるミルルを見てた。
ミルルは難しい高校を受けるみたいで…当時は焦ってた。
金髪碧眼妖精様スタイルな巫女様は…高嶺の花過ぎて…。
近場でいる…茶髪が腰まで伸び、眼鏡をかけたインテリ系美少女――ミルルへ一瞬、心変わりを起こしてた。
その間も、密かに慕う…巫女様へ通って、成績が上がるように…。
ミルルと同じこの高校へ入れるように祈ってもらった。

キセキは…だんだん、見た目が女性ではなくなっていった…。
それでも、まだノーマルで一緒になれるなら、昔の美少女なイメージもある…キセキしか男では考えられなかった。
でも、さすがに最近は…無理かもしれない…もう昔の美少女御姫様ではない…キセキは王子様とは噂されてる。
しかし、お姫様ではない。


  

☆☆☆

今でも男子たちから…タリアは、ミルルの件に関して…懸け話のネタとして…いろいろ話しかけられてるみたいだけど…。

[今日こそ、おまえ…ミルルを落とせよ。
どれだけ気弱なんだよ。
オレ、期待してるぞ。
それにしても、オマエにはキセキだけじゃなく…ゼロと言う名前の留学生の敵まで現れたな…]

『…』

[ミルルは無理だろ。
ボクも好きだし…高嶺の花過ぎる。
どうするんだ?
オマエがボケボケしてるから新たな敵が現れたぞ。
ボクも実はあの留学生、歓迎してない。
一緒に潰さないか?]

『…』

[オマエの勇気は認めてやる…。
結果が知りたい、告白が無理ならミルルに接近するぐらいはやれ…。
今日は憂鬱だ。
キセキだけではなく…新たに嫌な男が学校に来た。
全くつまらない…]

『…』

[まあ、タリア、おまえより俺はモテてると思いたい…。
オマエがきっと、最下位だ。
俺は一度も女子に不細工と貶されたことはないからだ。
ココは自信を持っている…オマエの好きなミルルも俺とは会話してくれてる]

『…』


男子数人から…絡まれても反応が薄い。
そんな奴。

私がタリアの唯一の友人。
キセキを奪った件に関して…大昔は…喧嘩になってたみたい。

そう言えば、私がキセキと別れた日を境に…タリアはもうおとなしい。
私に反抗もしてこない。

というか、コッチばかり見てくる…今日は…、絶対…モテないから勘違いされまくってる…。
巫女様、私はどうすれば…。

特に今日は…男子たちと同様…アラビア系男子留学生の存在で凹んでるのかもしれない…。
なんか男子たちの空気が暗い…。
反対に女子の空気が明るすぎる…。

☆☆☆

しかし…教室で勉強しても欠伸が出てくる。
捗らない。
今は時刻5時ぐらい。
ミサが7時からだし、6時まで粘れば…ギリギリだからアレはしなくて済むかもしれない。
それが狙い。
ここから、ターシャ泉へ着くまでに…ターシャ公園を経由するから…1時間ぐらい掛かってもおかしくない。

裏山で昨日はなったけど…アレの往復時間だって、含まれる。
少し、ここで時間を潰せば…きっと、巫女様に許してもらえる。

キセキは塾へ行くみたい…。
タリアの席にいたキセキが…本だけタリアから借りて…。
話題も終わったみたい…。

「マナナ、さよなら。
キセキ、さよなら。
また明日…」

『キセキ、さよなら』

「キセキ、バイバイ」

キセキの周りには…ミルルを含み女子3人がくっついてる。
キセキはタリアの席から離れ、教室の扉前で立ち止まってる。

≪ミルル、キセキさんを塾までお見送りするね?
ミルルって細やかな気遣い上手な人間だから…。
ミルルと気軽に付き合いましょうよ、キセキさん。
ミルルは優しいわよ?≫

Uウチもやで。
ウチは尽くしまくる女やからな…。
アハハハ。
ウチを便りや、キセキ君?
にしても…ゼロくんって、ウチと同じ寮生やろうか?
気になるわ!U

黒髪ツインテールでロリ体型なカンサイは…茶髪王子様スタイルとか言われるキセキの背中に向かって、大阪に暮らすおばちゃん風に叩いてる。
キセキは少し痛そうだ、突然でビビったのか…キセキは茶目を一瞬…潤ませて、泣きそうなりかけたけど…すぐに生意気顔に変わった。
もしかして…男らしいフリしてるだけで…未だに性格はそこまで変わってないのかもしれない。
昔は女子から苛められるキセキを救い出すのは…私の役目だったから。
まだ熱烈に苛められたトラウマをキセキも背負ってるのかもしれない…。
いつも女っぽいと女子からキセキは貶され、叩かれまくる運命にあったから・…。

キセキが可愛すぎるから女子たちもキセキの泣き顔が見たかっただけなのかもしれない…。
確かに、姫様なキセキの泣き顔は可愛かった。

私の家にも、キセキの泣き顔写真がある…隣で勝気な私がキセキを慰めてる写真…後ろにはそれを睨むタリアが映る…臨界合宿写真だ。
臨界合宿では、自然が綺麗な森でカレーを作った。
その時に撮ったモノだ。

||あたし、キセキ君だけのために積極的になるわ。
でも、ゼロ君も今後の態度次第では有力候補にしてあげるわ。
ミルルは月神君のために教室に残りなさいよ?||

「そうだ、ミルル。
僕は長年、タリアとミルルの恋を応援してる。
君もタリアを好きになれ。
僕は残念だが…ミルルには脈もない…。
それにしても…カンサイ、ナデシコ…君たちは…あのゼロとかいう留学生に心移りし始めてるのか?」

≪ミルルは夢を追いかけるタイプなの。
絶対に聞きいれないから。
そんなこと。
キセキさんこそミルルの理想なの。
ゼロさんね…ちょっとは悩むけど…さっきのあの態度で…減点ね?
ミルルは苛め甲斐がある方が好きだからね?キセキさん…。
キセキさんも一緒にモデルスナップに…ミルルと…≫

あの臨界合宿時代は…ミルルまでキセキに女っぽいって猛烈に苛めてたのに。
いつから…ミルルはキセキが好きになったんだろう?
ミルルってSなんだろうか?
Mなんだろうか?
どんなプレイが好きなんだろ?
一瞬、エロを考えそうになって、止めた…私にはもう巫女様がいるから。
フシダラな浮気を想像でしてはダメだから…。

Uミルル、諦めろや。
もう、キセキくんはウチのものや。
にしても…ミルルはゼロにまで嫌われてもうて不憫ではあるわ。
確かにアイツの言う話も確かや、顔は丸いけど…頑張り過ぎて痩せすぎたんちゃう?
ホンマ、あの国ってガリガリ貧民街らしいわ。
戦争中でモノ食えへんらしいから…ゼロくんは亡命者やし、まあ、仕方ないんちゃう?
ミルルが反感買ってもや。
あとはウチ、ナデシコを派手に倒したら…もうキセキくんはウチだけ見るはずや。
まあ、ゼロくんも捨てがたいわ…ウチ、悩むわ〜U

||受けて立つわ?
コツコツ勉強して、キセキ君のためにこの学校も受験して受かったし…。
全てはキセキ君を手に入れる野心のため。
あたしには忍耐力もあるし持続力もある。
やや暗いとか言われることはあるけど…。
キセキ君のために…時間を無駄に使わず…ずっと黙々と努力だってしてきた。
キセキ君の…マナナ以上に好きな人…誰か気になるわ…。

にしても邪神国って将軍様に逆らうと死刑らしいけど…何、食べて国民…生きてるのかな?||

≪ミルルは努力なんてしなくても成績優秀だし…。
すぐに受かったけど…でも…キセキさん、その好きな人ってどこにいるの?
そうか…ゼロさんの言うことも一理ね。
本当にミルルはターシャ国生まれで幸せ。
でも、いつか絶対平和国へ飛ぶんだから!
もちろん、キセキさんと一緒にね?≫

Uウチも気になるで。
見たら、ボコってやりたいわ…目立つぐらい。
まあ、ゼロくんでも良いけど…うーーん…U

「君たちには話せない…。
塾への見送りは断る。
僕一人で良い。
ココでサヨナラでも…。
君たちは僕よりまさかゼロで悩んでるのか?
どれだけ優柔不断なんだ、君たちは…」

≪ミルル、絶対…どこまでもキセキさんと一緒になる夢を追いかけたい、諦めない。
キセキさんの塾へもついてく…。
でもね…ちょっとは留学生も悩むわよ、ただ苛め甲斐のなさそうな性格なのよね…ゼロさんって≫

||キセキ君の彼女って言う地位や名誉を手に入れるためなら情熱だって燃やす。
非社交的な私だって…自由奔放にキセキ君のこと…追い掛け回す。
どこの塾へ通ってるの?
同じところへ…あたし、移っても…。

うーん…確かに…ゼロ君は苛め甲斐はなさそうね…って言うか…ミルルが逆に言い返されてたわ||

Uウチ、勤勉やで?
転校生やからって…コネやから…勘違いされたら、困るで。
しかも明るいで、ウチのペースに合わせや、キセキくん。
今日は塾サボってウチと派手に浪費して遊びまわらへん?
デートしようや!

ミルルってウチ、転校生やから知らんかったけど…苛めっ子やったん?
へえ…。
キセキくんってまさか、昔、ミルルに苛められてたん?U

いつもどおり…キセキはモテまくり…。
キセキは困った顔で…溜息を吐いて…何も言わずに教室から出て行った…。
大昔、女子から苛められて泣いてた時と比べて…あまり成長がない気もする。
女子から詰め寄られると…情けなく逃げる性格みたい…。

しかも、今日からキセキに対抗するゼロくんと言う強敵まで現れたみたい…。
キセキは白人クォーター茶髪茶目王子様系男子。
ゼロくんはアラビア系美男子。
クラス中の女子に熱気が溢れてる・・・今日はお祭り騒ぎ。
次こそ、ターシャ人系のイケメンを女子達が熱望してるみたい。

このクラス、何故か…女子の方が顔面偏差値が圧倒的に高い。
女子は割りと可愛い子で満ち溢れてるけど、男子たちは…凡人クラス。
女子の花園状態。
それに反し、男子達から漂うのは暗い陰鬱なオーラ−。

☆☆☆

女子が去れば・・。
まだ、タリアは教室にいる。
それ以外にも男子や女子は数名いる。
私もタリアを捨てて帰っても良いかもしれない…。
それとも…夜6時最終までココで座っても…。
寝てても良いのかもしれない…。

それなのに…。
ずっとタリアからは痛い視線も感じる。

今、キセキがミルルやナデシコ、カンサイに教室扉前で絡まれてるのを私が観察してる間もずっとだ。
きっと、ヤリタイから見て来てるに決まってる。

見たくないから…下敷きを見詰めた。
そこに私と交際してる巫女様が…おごそかにいる。

数分もしないうちに…。

嫌なことにタリアから私がいる席へ近づいてきた。
私は逃げたいから…。
帰り支度をした。

タリアが来る前に逃げようとした。
それなのに怖い、ついて来る。
靴箱へ行かず…違うところへ行こうとした。

『時間がない。
ココでお前の秘密をばらす。
嫌なら早く来い』

私が立つ背中から声がした。
溜息も出る。

早く終わらせて・・巫女様へ今日も走るべきかもしれない。
そう感じた。

渋々、靴箱へ走った。
終わったら3秒で帰る。
もう嫌だから。

タリアが昨日と同じで裏山へ行く。
昨日したけど…やはり、逃げたい。
反対向いて逃げてみたい。
タリアが先に裏山へ行ったし…。
もう、逃げようかと…民家がある方角を見た。
裏山から抜ければ…そこは学校敷地外。

辛い気持ち。
もう駄目。

その時、また昨日と同じで。

『マナナ。
おまえが嫌がってる事実をここでバラス』

私は溜息ついて…裏山へ走った。
裏山にある裏庭だろう。
廃墟あとだ。

☆☆☆




ああ巫女様B


小説目次


ああ巫女様D






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