アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

タ リアから見た日常A



☆☆☆

「そうか…。
好きな人が…。
実は隠してたが…僕にもまだマナナ以上に好きな人もいる。
今年のターシャ祭ではその人のことを祈るとしよう」

≪え?
マナナ以外にまだミルルにはライバルがいるの?
キセキさん…嘘でしょ?≫

Uえ?
誰?
ウチのこと?
ウチはすぐに交際オッケーやでU

||誰なの?
クラスメイト女子全員敵に見えるけど…クラスでは…マナナが一番とか言うことは…外なの?||

「それは言えない…。
この席は去る。
勉強で困ったことがあれば、マナナ。
僕を頼れば良い。
僕はいつも君のことを心配はしてる」

「ありがとう…キセキ」

≪誰なの?
ミルル、ムカつく≫

Uその女、ウチ、殴りたいかもU

||悔しい、イライラするわ||

俺は知ってる、2歳上の女子大生だ…水色ワンピースが良く似合う花手の女子アナアイドルと言った風情だ。
ゆるフワミディアムヘアーで髪は染めてて、柔らかい雰囲気がした女性だ。

あれはしかし…難しそうだと言うのが感想だ。
ミルルかナデシコかカンサイではダメなのか?
何人、コイツ狙いの女子ばかりか分からない。
そこから選べばいいモノを…。

キセキが茶い短髪を揺らしながらマナナへ嬉しそうに手を振る…やっとマナナから離れるらしい。
ホッとする。
今日は教室にいる間中、オカッパ黒髪低身長巨乳系女子―――マナナが座る席の監視はさらに続ける。

---キンコンカンコーン、キンコンカンコーン。
1限目が終わりました。
休憩の時間です…----

校内アナウンスが流れた。
休憩の時間らしい。

☆☆☆

マナナが教室を出て行った、トイレなのか?
マナナは昨日…俺が巫女様姿でエッチした時…。
「昼休みは常にトイレでオナってる」って告白してくれた。
今日もなのだろうか?
今は1限目との休憩だ、まだだろう。

もっとこちら側へ落ちれば良いが。
落ちるだろうか?
全然、視線が合わない。
俺ばかりヤツを見てる、ずっと何年もだ。

俺は今日もモテないらしい。
自覚はある…。
キセキは恨めしい。

確かに勘違いが始まってる…もう落とせたも同然だと思ってる。
モテないから図には上がってるかもしれない。
ストーカーが始まってる。

でも何故かそれを面と言われると嬉しくはない。
ムッともする。

モテ男ならまた話が変わるのか?
自分の身分を弁えろと言われるたびに怒り狂ってる。
俺も望んでモテないわけでもないからだ。
どうすれば、もっとコチラへ墜落してくるのか…。

やはり巫女様姿の時に先導する以外、策はないだろう。
って言うか。
アレがなければ、俺はまだあの現状だったのか?

少しショボンともしてる。

モテ男は羨ましい、ムカつく…一度は味わってもみたい、モテ男が見る違う世界を。
ここまでの屈辱を味わったことなどないだろう。

☆☆☆



マナナが教室から帰ってくる、着席する。
良い体のラインしてる。
放課後も出来るはずだ。

ちょっとモヤンとする。
モテないけどまあ、良いだろう。
機嫌が良い。
浮かれてはいる。

---キンコンカンコーン、キンコンカンコーン。
2限目です…----

そこで担任の先生が入って来た。
カンサイの親戚だ。
難波アニメって言う先生だ。
…オレンジ色オールバックショートカットに桃色ワンピなギャル系スタイル。
低身長、華奢で細いロリ体型だ。

本当にカンサイの親戚だけあって、体型までそっくりだ。
カンサイはメイド服ツインテールだが…アニメ先生は染めている。
そう言うロリ趣味なAVもたくさん流通してるが…俺はマナナ体型が好きかもしれない。
ここら辺は好みの問題だろう。
胸はまな板だ、外見がモロろり顔だ。

俺はマナナの乳と尻、気に入ってる…ミルルはモデル体型スレンダー長身だが…。
違う意味で…カンサイやアニメ先生は…マナナやミルルの逆だ…。
いろんな花があって良いとも思う。

ナデシコは純和風顔で…超平均身長体重らしい…。
あれも密かに根強い人気だ、銀行の窓口でも通用しそうな堅い系の顔立ちでもある。

しかし、マナナ押しにしておこう…。
顔は平凡で、どこにでもいそうだが…気に入ってる。
クラスで一番人気は、断トツでCM出演美少女ミルルらしいが…。
敢えて残ったマナナは俺で良い。

キセキは幼馴染のマナナ押しらしいが…。
このクラス…ミルル以外はことごとく、好みが別れまくってる…。
マナナは人気にならない方が俺としては嬉しいかもしれない。

メイド喫茶勤務のカンサイか…着物姿で茶道をたしなむナデシコへ男子たちも走るべきだ。
今はCM流出眼鏡系インテリ美少女ミルルばかりだが…。
それ以外の奴はそっちへ行くことを願ってる。

*みさたん、良い子にしてまちたか?
自習できまちたか?*

アニメ先生は緑の黒板に白いチョークで…。

”自習(>_<)”

と書いた。

*今日、この学級に新しいクラスメイトがやって来ます☆
仲良くしてやってくだたい。
ほら、恥ずかしがってないで来てくだちゃい…*

新任先生でまだ若いが…。
さすがにカンサイの親戚、突っ込みどころばかりだ。

新しいクラスメイトが来て、教室中の女子が…ざわめきだった。

男子だ。
…背が高い、アラビア系なのか?

肌が浅黒くて…堀が深く、シビアな雰囲気を醸し出した留学生だ。
ゲンナリする。
アラビア系エキゾッチク巨乳美少女か、巨乳美女系なら歓喜だったのだが…。

俺はマナナ体型を気に入ってる。
それなら喜びもしたが、嬉しくはない…。
教室ではミルルが一番人気だ。
別にアラビア系スレンダー美少女か、スレンダー美女でもまだ良かった。
こんな男、求めてない。
俺の青春には要らない存在だ。

*戦争が激化する邪神国からの留学生でちゅ。
ニュースでもヤッテまちたけど、最近、亡命を図って留学生が増えてまちゅ。
仲良くしてやってクラタイ*

【印度ゼロと言う名ダ。
亡命者ダ。
ヨロシク・・・】

予想通り、女子がウルサイ。
何であんなのがモテるのか?
ムカついてる。
更にムカつくのが、何故か・…俺が座る右向こう席マナナがいる方角ばかり見てる。
マナナも黒板前、教壇に立つヤツを見てる…。

二人の視線が合致してるのに…。
俺とマナナは全然、視線すら合ってないことにある。

何なんだ?
この時期にヤツは…。
ムカついてる。

人の女にまた手を出そうとするヤツが現れてる。
俺がモテないことは認めよう、確かに勘違いが始まってる。

Uうわああ、エキゾチックやわ。
キセキくんは王子様って感じやけど、こういうのもウチ、ええわU

||そうね、外人って言うのがツボね…。
それにしても…何人なの?||

≪ミルル、キセキさん、一筋だけど…たまにはいいかもね?
本当、ミルルのクラスメイトはダメなのばかりよ?
取りあえず、この留学生、顔は通過ね?≫


*それでは印度くん、開いてる席へすわってくだたい。
ないから今日は特別に用意しまちた。
一番前の中央席です、嬉しいでしょ?*


無言で留学生が着席する。
男子たちからブーイング嵐喝さいだ。

[キセキだけでも敵だったのに…また敵が増えるのかよ?]

[って言うかミルル、譲れよな]

[まあ、タリアには落とせないに決まってるが…]

[誰だよ、アイツ…。
って言うか何人だよ?
あの目・・コンタクトか?]

マナナが…俺ではなく、奴を見てる。
俺はずっとマナナを見てると言うのに。
ムカつく。
マナナもだ。

☆☆☆

それから4時間目は体育だった。
更に嫌なことにあの留学生…徒競走で信じられないタイムだ。
邪神教のメッカから亡命するだけある。
余りの速さにクラス中がビックリだ。

余計に女子から点数稼いでる…。
また、マナナがヤツを見てる。
ムカつく。

今日一日、俺の方は全く見てないと言うのに。
マナナのことも今朝は可愛く見えたのに。
急に憎たらしく見えてくる。

その時、ミルルが眼鏡ごと地面へ激突して……倒れた。
凄い倒れ方だったが、ミルルの眼鏡には亀裂が入ってない。
ミルルの腰まで伸びた茶髪に砂が交る。

Uどうしたん?
ミルル、死んだふりしても助けてやらへんでU

||まあ、どうせ男達への点数稼ぎでしょうけど…||

「ミルル、どうしたの?」

マナナがオカッパ黒髪を揺らしながら、倒れ込むミルルへ駆け寄ってる…。
ミルルより俺を見れば良いのに。
なんかそんな気分になってる。
ミルルは放置していても元気だろう。
そんな女だ。
雑草のように食べなくても強い。
ビックリしてる、いつも。

≪ちょっと眩暈がしただけよ、大丈夫だから≫

ミルルは長い茶髪へ手を当てて、眼鏡の位置を正した。

「ミルル、大丈夫?」


[ミルルが倒れたらしいぞ]

[俺たちが運びに行くか…]

[いや、それはさすがに丸わかりだろ…欲が…]

[どうせ、タリアは声掛けれないし…良いんじゃね?]

≪元気だから、大丈夫よ?
アンタは邪魔よ、マナナ!≫

---そうか…ミルル大丈夫だったのか…。

体育の男性教師が労いの言葉。
どうせミルルファンだ。
あの教師、ミルルを保健室へ連行する気だ。

女子達から

[点数稼ぎなんでしょ?]

って批判の嵐だ。

男子は全員―――誰が茶髪ロング眼鏡系女子、ミルルを介抱するかで喧嘩を始めてる・…。
このクラス、ミルルファンが割りと多い。

ミルルがモテることは別に良い。
マナナがモテなくて安心してる。
少数派で良い、俺は…。
クラス全員、CM流出眼鏡系美少女ミルルへ走れば良い…。
もちろん、モテ男キセキや留学生ゼロもだ。
敵は少ない方が嬉しい、俺はモテないからだ。

「先生、私…ミルルを保健室に連れて行きます。
私、授業抜けても良いですか?
ミルル一緒に歩こう」

≪いい迷惑よ、マナナに送ってもらうなんて…≫

大丈夫だろうか?
また、マナナがレズに走らないだろうか?
心配はする。

「ミルル、友達なんだから私たち」

≪ミルルはマナナなんて友達って認めてない。
私の幼馴染はキセキさんだけ≫

「私はキセキとミルル…あと私の3人で幼馴染って思ってる…。
私が送る」

俺は一応…俺、マナナ、キセキで幼馴染だと思ってたのに…。
マナナは酷い女でもある。

キセキは俺、マナナ、キセキの3人で幼馴染と思ってる筈だ。

ミルルはどうせ、キセキ、ミルル…2人の幼馴染だと思ってるんだろう…。

別にこの4人、幼稚園から親交はあるが…仲が良いとは言い難い。

☆☆☆

まず、最初に入園式で…俺とキセキが仲良しになった。
その当時のキセキは、泣き虫で多動児気味な色素が薄い低身長もやしっ子だった…子供子供し過ぎてた。
そこへキセキ目当てで求婚するオカッパ黒髪な女子―――マナナが乱入し…俺だけ「不細工」と攻撃し…。
それからキセキが「女っぽい」と長髪の眼鏡女子―――ミルルが…キセキ苛めを開始した。

4人の関係図はこれだ。
昔はマナナとミルルがキセキを巡ってバチバチだった。

俺だけキセキの友達で隣にいると言う認識だったが…。
一応、マナナは幼馴染仲間に俺も、キセキも、入れてやっていると言うのに…。

マナナの中では俺は幼馴染ではないらしい、本当に憎たらしい奴だ、マナナって…。

☆☆☆

---美しい友情だ。
行って来い、任せた異能---

この独身男性化学教師、絶対…ミルルへの下心しかない。
何か分かる・・。
今の目線で伝わってきた。

「はい、先生」

「ミルル、行くわよ」

≪ミルルはアンタと違って運動大好きなのよ?
勘違いしないで…≫

マナナがトンとミルルを押すと…ミルルの伸びた茶髪が揺れ、体の軸が揺れてる。
眼鏡の奥から覗く瞳も生気に乏しく、ミルルの頬も血の気が薄く…唇が真っ青だ。

ずっと、マナナを俺は目線で追ってると言うのに…。
マナナはミルルへ上目遣いだ。
絶対に故意に目線を合わそうとしてくれない。

昨日、初めて俺達は関係を持ったと言うのに。
どう考えてるのか、あの女。
酷くないか?
まだレズなのか?
まさか…。

「ミルル、行った方が良いと思う…。
私のために行こう…」

≪マナナのために行くなんて最悪だわ≫

「ミルルって最近…昼ご飯食べてないけど…いつ食べてるの?」

≪うるさいわね?
分かったわ、保健室に行くから黙りなさいよ…≫


ミルルが長い茶髪をうねらせて、ヨタヨタ歩いてる…。
眼鏡が地面との激突のせいで曇ってる…。
俺には分かる。
そんな女、放置してても元気だ、雑草並みに決まってる。
すぐ回復するだろう。

『…』

倒れてもタダでは起きない。
凄い生命力を秘めた女だ。

「タリア、君はミルルが好きなんだろ?
今がチャンスだ…走るんだ!
ポカーンとしてる暇はない、僕は応援してる!」

走る訳ない。
キセキが走れば良い、ミルルは大歓喜になる。
俺もそれでも良いかと思ってる。

マナナをキセキは諦めるべきだろう。
ミルルの気持ちもそろそろキセキも受け取るべきだ。
好きじゃなくても別に良いだろう?

【チッ…興醒めも良いとこダ】

転入してすぐからマナナばかりチラチラ見てた腹立つ留学生が舌打ちだ。
褐色の肌に碧目黒髪で…アラビアかインド系か?
ちょっと柄が悪いヤツだ。
あと、日本語の語尾が機械的で固い…まだ流暢とは言い難い発音だな。
まあ、現地人だ…仕方ない。

しかし、どこで日本語を覚えたのか?
この時期に転入する意味は何なのか?
邪神国から…。

まさか…邪神国からのスパイとかじゃないだろうな?
と一瞬、疑いもする。
何でもありの世界らしいからだ。

他の男子たちは茶髪眼鏡系女子ミルルを誰が送るかで…喧嘩になってる…。

[ミルル様を送るのは俺だ]

[ミルルちゃんは俺のモノだ、邪魔だ、どけ]

[何を言ってるんだ、ミルルさんは俺が送り届ける…ついでに触りまくる]

マナナがミルルを保健室へ運びに行ったらしい…。
クラス中が全員、それを見詰めてる…。
最後まで、俺の方角をマナナは見てくれなかった。
切ないかもしれない。

マナナはミルルを見てる。
まさかミルルへの恋心が再熱などしてないとは願う。
レズはもう終わったはずだと思いたい。

マナナってどんな思考回路なんだ?
俺はレズの思考回路、全く理解できない…。
マナナは…毎日、どんな世界を見てるんだ???
女として生きているのに…。
まさか、毎日…楽園なのか??




昼休みになった。
マナナとミルルが保健室から帰って来た。
紺色ジャージはいつの間にか着替えたらしい。
水色セーラー服だ、ミルルとマナナが教室扉を開き、クラスへ入って来た。

≪どうせ、あんた。
今日もミルルの弁当食べるでしょ?
食べないなら捨てるわよ≫

マナナは肩揃えな黒髪を首を振って揺らしながら、美味しそうにミルルのお弁当を食べてる日常が続いてる。
最近…マナナはミルルと仲良しで嬉しそうだ。
良いのだろうか…あれ、放置しておいても…。
マナナは完全にミルルへの恋心は切れたのだろうか?
そこだけ心配だ。

昨日、マナナとはエッチしたが…良い体だった。
毎日、弁当2つ食べてるのにどういう仕組みなんだ?
今のところ、別にそこまで差が分からない…。
それからミルルも別にそこまで痩せてるように感じない。
顔は丸い。
俺は鈍いのだろうか??

毎日見てるからこそ差が分からない…。
クラスメイトもそうらしい。
久しぶりに見ればまた違うのか??

「ミルル、倒れたんだから・・食べた方が…」

≪食べないなら、捨てるわよ?
今…≫

「ダメよ、ちょっと待って」

マナナが自ら…キセキが座る席へ走ろうとしてる…。
俺が今日一日、ずっと見てると言うのに、俺の元へは走っても来ない。
何なんだ?
この格差は…。

これがモテなさ男の現実なのか?
ちょっと怒りまくってる…今、ブチ切れが始まった。

そこへ…アラビア系碧眼浅黒い肌な留学生まで現れた…。
マナナの前に立ちはだかるように…マナナと留学生は目線が合ってる。

俺が自席から…マナナを見てるのに何故か…マナナはコチラを見ない…。
どういうことなんだ、これは…。
マナナに尋問をかけてみたい気分になる。

「あの…そこ、通してくれる?」

【学食行くカラ】

「そう、今の会話…聞いてた?」

マナナは上目づかいで罰が悪そうな顔だ。
マナナと留学生が教室黒板前教壇辺りにいる…。
それから…留学生は茶髪ロング眼鏡系女子―――ミルルを睨んだ。
ミルルは俺が座る右向こうに近い席…マナナ指定席の前な席だ。
そこにいる。

【本当にターシャ国は平和ボケしてる。
そこの女、骨と皮だ。
オレの国もそうだ、全員死んだ。
そこの弁当、やれば何人…生きれたか…。
そこの女、弁当は舐めてでも残すな。
食えなくなった瞬間、オマエは死を持って後悔するだろう…】

ミルルを見るのは許す。
ミルルは見られて、眼鏡の奥にある瞳が嫌そうに変わった。
そうだろう、叱られてる。

俺の右向こう岸なミルルと黒板前教壇にいる留学生ゼロとの目線がバチバチだ。

「これからはゼロって呼んでいいかな?
なんか印度くんって変な名前だね。
芸名みたいで」

マナナが教壇で留学生には馴れ馴れしい。
俺は見ないと言うのに…。
何なのか?
この差は…。

【…】

浅黒い肌した長身な留学生は…俺右向こう席にいる茶髪ロング眼鏡系女子―――ミルルを睨みながら、教室を去る。
俺の俺右向こう席側に位置するミルルは…眼鏡の奥から困った瞳だ。

それから…黒板前教壇に立つオカッパ黒髪な低身長巨乳系女子―――マナナは…留学生ゼロを…見詰めてる。

さらに…学ラン着た茶髪茶目モテ男―――キセキのところへ…マナナは肩揃えな黒髪を揺らして接近してる。

俺が見てると言うのに…一度もコチラを見ない。
何なんだ?
あの女?
やっぱり全然、可愛くない。
憎たらしすぎる。
これは制裁を喰らわせるべきだろう。

ここまで可愛くないとは…。
ムカつく。

昨日、俺の姿で…関係まで持ったはずだ。
それなのにシカトを決めてる。
酷過ぎる、最低女だ。
血管が切れそうにもなっても来る。
可愛くなんかない。
やっぱり子憎たらしい。

≪あんた、まさか。
ミルルの好きなキセキさんに告げ口する気?≫

俺の右向こう席からミルルが眼鏡の奥から瞳を燃やして、教壇に立つマナナに向かって大きな声だ。
絶対元気に決まってる。
どれだけ良く通る声か…。
マナナは肩ラインな髪を揺らし、首をクルリと廻し…背後を振り返った。

「え…。
だってミルルはそれ以外では…。
私の言うことなんて聞かないでしょ?」

≪うるさいわね。
弁当ぐらい食べるわよ≫

ミルルは弁当に箸を付けた。
俺右向こう岸席なミルルは…眼鏡の下から涙を落とし、泣きながら食べてる。
ミルルの長い茶髪が震え痙攣してる。

これぐらいで良い。
ミルルは少しは頭を冷やすべきだ。
飯は粗末にするな、それは当然だ。

って言うか…。
それよりこっち見ろよ、マナナ。
最低最悪も良いトコだろう?
何考えてるんだ、アイツは…。
イライラもする。

「ミルル、良かった。
気が付いてくれて」

マナナは教壇からオカッパ髪を揺らしながら…俺右向こう席のミルルがいる席へ歩み寄る。
俺がずっと痛いほど見詰めてるのに…コチラを見ない。
『見ろ』と言う意味も込めていると言うのに…。
絶対、わざとしてる…性悪だ、この女。

≪何よ、ムカつくわ。
私のことを死にかけのボロボロ戦災孤児とでも言いたかったわけ?
ムカつきまくるわ。
あの留学生≫

「ミルル、怒らないで。
でも…まあ、本気で…ゼロくんのいた国はそうなんだと思う。
亡命してきたらしいから…邪神教のメッカから・・・」

オカッパ黒髪な低身長巨乳系女子―――マナナは…俺右向こう側、ミルル席目前で立つ。

≪…。
ミルルはね、この国も邪神国も嫌いだわ。
いつか平和国へ行って、スターになるのが夢なのよ≫

「ミルル、応援してる」

≪ふんっ、だから体力いるわね。
ムカつくから、前ぐらいになってやるわよ。
腹立つ≫

「うん、ミルル…応援してる」

≪アッチ行ってなさいよ。
邪魔よ≫

そこへ…ミルルのキセキを巡る戦友?カンサイやナデシコも…ミルルが座る席へ近づく。
あの3人トリオって…友達なのか?

何だか茶髪茶目長身モテ男―――キセキを落とすために…ミルルと勝手に結集された集団に…俺は映る。
勘違いか?
これは?

☆☆☆

誰も…女がこちらを見ない。
キセキばかり見てる。
それは日常だ。
慣れてるから許してやろう。

俺ってやはりモテないのか?

しかし、というか…。
昨日、初めて関係持ったと言うのに。
童貞捨てたのに。
マナナがシカトしてる、酷くないか?
切れてる、今…。
何なんだ、あの女?
血も涙もないのか???

Uミルル、ごはんたべたんかいな?
ウチもホンマは心配はしてたで。
まあ、ミルルはウチの潰すべきライバルやけどな…U

||それにしても…ミルルはキセキ君にもだけど…。
ゼロ君にも嫌われたみたいね…||

他の女子まで留学生を褒め称えてる空気だ。
俺はモテないって言うのに。
つまらない。

[運動神経まで良いなんて…ゼロくん]

[今まで似たような顔で飽きてたけど…。
別の種類も良いわね?
ゼロくんって良いわ]

[邪神教のメッカも美男美女が多いのに…もったいないわね?
ゼロくん狙おうかしら?
キセキくんにしようか悩むわ…]

[それにしてもどこでゼロくん日本語を覚えたのかしら?
うーん、キセキくんも捨てがたい]

マナナはどうあっても俺を見ないらしい。
それから…あの浅黒い肌した長身の留学生ゼロ、時々…マナナを興味があるように見てる。
何なんだ?
それからマナナは留学生を見ることはある・・俺は見ないのに…。
どういう意味だ?
これは…。

あの留学生、目的は何だ?
その割に…マナナへは全くアタックはしてない。
なんか変な空気だ。
どうして、この時期にこの学校へ転入してきて、マナナに目を光らせる。
クラス一美人なミルルにしてくれ。

っていうか…アイツの目的は亡命なのか?
まさか…邪神国からのスパイじゃないだろうな?
と疑ってしまう。

近いうちに…キセキが好きな女子大生から…邪神教からのクーデターが起きそうな流れがあると。
悪い噂なら聞いてる。

どうして、マナナを見てる?
あれは色目線か?
そうでないと俺は祈る。

それとも…別の狙いか?

どちらに転んでもあまり嬉しい結果ではない…。
邪神教のメッカ邪神国を…警戒しすぎかもしれない、俺も。


☆☆☆

そのあと…。

昼休み。

俺が座る席へミルル、ナデシコ、カンサイを連れたまま…モテ男キセキが来た。

勘違いされてる。
親友だと…。
親友かもしれないが…キセキがモテるようになってから距離を置いてる。
嫉妬もする、俺も人間だからだ。
また女子がアイツの絶対的味方状態だ。

留学生、ゼロは今頃…学食デビューなのか?
それともまさか…学校をスパイなのか?
変な妄想が広がってる…。
どうしてマナナを見てる・・。
色目線か?
それとも誘拐目的か?

何が魂胆だ?
疑い過ぎか?
邪神教を。
マナナ狙いとは思いたくない、否定したい線だ。
新たに虫が増えるなんて、邪魔でしかない。

俺はコイツら4人に絡まれるよりマナナを見てる方が楽しい。
昼休みはいつも…トイレでオナるらしい…マナナは…。
これから行くのだろうか?
ちょっと可愛いかもしれない、そこは。

「ほら、今、君の前にタリアが好きなミルルがいるぞ。
今日こそ君はミルルへ声を掛けろ」

俺が座る前へキセキが来た、女子3人侍らして。

Uもしかして月神くんってミルルに対して臆病なん?
月神くんって…考えてから行動して、人の目を気にしすぎちゃう?
かっこわるいわ…。
ああ、それにしてもキセキくんもやけど・・ゼロくんも捨てがたい…。
学食行くか今日は悩んだわ‥はあU

≪ミルル…いい加減な人って嫌い。
月神さんもミルル好きなら思いやりのある態度で接しなさいよ?
カンサイ…あんた、キセキさんの前でどうどうと浮気宣言?≫

||あたし、会話能力のない人って好きなれないわ。
どうして、月神君ってミルルに話せないわけ?
うーん…確かに学食に付いていこうか悩んだわ…。
カンサイ、同感だわ、キセキ君も良いけど…ああいうタイプも良いわよね?||

全然、俺の前にいる奴ら4人の会話が…頭に入らなかった。

『…』

マナナが今日もトイレでオナるのかと…。
そんな想像に今、耽ってた。
マナナは…まだ俺を見ようとも声掛けしようとしない。
関係は昨日、持ったが…。

俺が座る右向こう席、マナナは下敷きを見詰めてる…。
そこに巫女様姿の俺がいる。
まるで俺から見れば…コントだ。

それから…俺が巫女様姿でまとめたノートでマナナが暗記を始めてる。
可愛い奴だ。
応援はしよう、成績が上がるようにだ。


それからマナナは立ち上がった…。
まさか、トイレでオナるのか?
肩揃えな黒髪を振り乱して、痴態を手洗い場の個室で演じているのか?
きっと突き出た巨乳が嫌らしい映像だろう。

そんなことがボケーと頭に付いた。
俺はマナナの方角だけに集中してた。
勝手に、俺が座る前で…女子達3人がキセキを巡るバトルだ、全く面白くもない。


☆☆☆

マナナが…トイレから帰って来るの長かった…。
そうなのかもしれない。
今日も放課後出来るはずだ、期待してる。

☆☆☆

こんな雰囲気で一日見てると言うのに…。
俺の真横…右側を分かりやすく見つめてるのに…。
全く視線は合わない…。
イライラもするが…。
放課後、出来るはずだ。
とても楽しみだ。
嬉しくてたまらない。
ウズウズする。

学校が終わりに近づく。
今は休み時間、終礼の前。

[ねえ、邪神国ってどんなところ?]

[お話聞かせて]

[どこで日本語覚えたの?]

[カラコンしてるのかな?
おしゃれだね?]

[今…彼女は…]

【オマエらに関係ねえ話ダ】

[キャー、クール]

[渋い声]

[良いわね?]

[まったく、キセキくんとタイプが違うわ]

[さすが邪神国。
王子って言うより魔王ね…]

私のクラスの女子、言いたい放題…。

【オレは去る】

[さよなら]

[明日もクールで渋くいてね?]

[ちょっとキセキくんと悩むかも…]

[ブラックな感じがたまらない…]

留学生がモテるのはどうでも良い。
きっと、放課後…マナナと出来る。
そこが俺の幸せだ。

モテないことはよく分かった、いつもの日常だ…そこは慣れてる。
それでも仕方ないのか???
分かってる。
しかし…もうすぐ出来る、ちょっと嬉しい。

☆☆☆

マナナとは列が違う…横並びになってる。
俺は窓際前から5番目、マナナも中央席の前から5番目。


教壇に立ち、担任の先生が終わりの号令をかける。
俺右向こう側…マナナが巫女様姿の俺が映ってる下敷きを眺め、切なげに沈黙する。
ちょっと可愛く見えた。

授業終了と共に、教壇近く中央最前席…留学生ゼロは一目散に教室を走り出る。
その瞬間、…やはりマナナと奴の目線が…合致してた。

何なんだ?
奴は。
それから何故、俺が目線すら合わない?
撤回だ、やっぱりマナナは可愛くもない。
ムカついた。

終わりのチャイムが鳴った後に、…モテの茶塔―――キセキがマナナの席へ向かう。
今日ずっと…未練たらたらすぎだろ、女々しすぎだ、キセキは。

「マナナ、勉強は進んだか?
僕が教えても良い」

「大丈夫よ。
キセキ、ありがとう。
相変わらず、進まないけどね…」

マナナは何を考えてるのだろうか?
この時間。
良い体してる…物凄くムラムラもする。
溜息も出る。
早くキセキも離れるべきだ。

「無理するなよ。
マナナ。
君のことは女だけではなく、友達として…僕の家族にも近い存在だ。
僕はタリアと君は僕の幼馴染と認めてる。
幼馴染のことは大事にする性格だ。
ミルル、君はタリアを好きになってやれ。
タリアは君を愛してる」

キセキが茶色い瞳でマナナへ目くばせした…俺右向こう側マナナの席に接近してる…。
キセキの席は…俺、左向こう側席…わざわざ、マナナの席へ慣れ慣れしい。
俺は中央列前から5番目だ。

≪キセキさんの思いやりがあって優しいところ、ミルルは好きだけど。
マナナって本当に自分勝手。
冷静に分析してみたら…月神さんって、無口で控えめ過ぎるし…何考えてるのか不明だし、キセキさんといる時ですら大騒ぎしないし…印象薄すぎだし。
執念深くミルルを好きなことは知ってる…けど、陰湿そうだし…ミルルの理想じゃない。
ミルルはキセキさんの精神、気に入ってる≫

ミルルは分析は当たってる。
俺は親にすら暗すぎだとよく言われる。
無口だろう…近所でも有名だ。
それも個性だ、ウルサイ。


☆☆☆

Uミルルって…ほんま、理想高いからな…。
まあ、本当にキセキくんって頼りがいあるし、流石やわ…とは思う。
ウチなら色仕掛けも、キセキくんに大胆にするで。
ウチにしときや、もう…。
でも…悩むわ…もうゼロくんも全く逆のタイプやからな。
あこまで逆やともう…どっちがええやろ?
ウチに合うのは…U

||キセキ君って…顔だけじゃなくいろんな才能まであるのね。
それに対して、マナナって軽薄だし、感情が薄いって思うの。
キセキ君への宿題写しの恩もまだ返せてないわけでしょ?
しかも…メールで振るなんて最低。

行動力まであるキセキ君は…あたし、好き。
あたしなら…キセキ君を束縛しない。
あたしを選んでって言いたいけど…。

今日のゼロ君も悩む…うーーーん。
ああいうタイプ、今まで周りにいなかったから新鮮かも。
突けば毒が出て来そうでそれがまた良いと言うか…。

邪神国ってどんな国なんだろ?||

最近、テレビで…邪神国特集ばかりだ…あれは惨い。
真実かは謎だ。

「君たち、マナナを攻撃するな。
マナナは僕の家族にも近い幼馴染だ…幼稚園時代からの付き合いだ。
大切にしろ。
分かった、マナナ。
僕は…タリアのところへ遊びに行ってくる。
たまには僕を頼れよ。
この女子達、堅苦しくて…気をつかいまくる、僕は大変だ。

それにしても今日から僕にはライバルが出来たらしい…。
ゼロ…ちょっと一日でモテすぎてないか?
僕はマナナがクラスで一番と気が付く前は…クラス全員の女子…平等に愛していたと言うのに…。
まさか、僕の敵が現れるなんて…。
不思議と僕はあの留学生、あまり面白くない…」

茶髪茶目長身モテ男―――キセキが学ランの袖から手を出し、盛大に振りながら、俺の席へ接近する。
どうやら留学生ゼロの存在で…キセキが挫折を味わい始めてる。
これは良い。
俺は喜んでるが…。

別に俺の席へ来なくても良い。
女子3人も侍らせて、自慢にしか見えない…。
俺だって人間だ、嫉妬だってしても別に悪くないと思う。
何で、アイツばかりモテる??
この差は何なんだ?

ムカつくことに…俺右向こう席…マナナはまだこちらを見ない。
相変わらず良い体してる。
声掛け待ってると言うのに…。

そこが気に食わない。
アイツも少しは可愛げのある女になれば良いモノを。
なんか可愛くない、アイツ。

マナナが自分の席から離れないまま…下敷きにいる巫女様姿の俺を見詰めてる。
肩揃えな黒髪を頬に張りつかせ、切ない顔してる。
これは何か可愛い。
癒される。

マナナが溜息を甘い吐いてる…。
下敷きにいる巫女様姿の俺を見詰めたまま。
あれはどういう意味なのか?
気になる…。

俺は今日一日…目線が右ばかりある。

( ■) ( ■)

図に現せば…こんな感じだ↑

目の筋肉が固まって…右にそれた目になりそうだ…。


☆☆☆

タリアから見た日常@


小説目次


タリアから見た日常B







【ゼロ】
…邪神国からの留学生。


*難波アニメ*
…カンサイの親戚。
担任の先生、衝撃的にアニメ声。



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