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リアから見た日常@
第2部から新キャラが出るので…。
参考イラストなどはコチラ→←【第2部イラスト】
読むとイメージが分かりやすいと思います。
今日は早めに登校した。
実は…マナナと昨日、元の姿で初エッチ出来た。
とても嬉しい。
ホッコリしてる…このまま、仲良くなれたらなあとボンヤリもしてる。
機嫌が良い。
☆☆☆
今日は火曜日だ。
学校に着けば…。
いつも通りの光景だ。
窓際にいる俺の友、キセキの周りには…ミルルを他とする3人女子トリオがいる。
キセキは高身長で白人系クォーター、天然茶髪に天然茶眼、堀が深く、生まれつき色素が薄い。
ミルルは眼鏡をかけて腰まで伸びた染めた茶髪、スレンダー長身なCMに出演するレベルな容姿端麗さはある、クラスでは一番人気だ。
「タリア、おはよう…。
今日こそ、ミルルにも挨拶できるといいな。
僕も期待してる。
君はミルルが好きなんだろ?」
学ランを着た茶髪茶眼長身モテ男―――キセキは、今日も俺にチョッカイ掛けてくる。
ミルルが好きだと言う噂が流れてる。
俺からキセキにミルルが好きだと言った件が…相当、広がってる。
≪無理でしょ。
ミルルも呆れてるわ。
月神さんって…もう7年以上もミルルのこと、好きらしいけど…女々しいでしょ≫
ミルルにも失望されてる俺は。
ミルルは雑誌モデルまでするくらいでクラスの花的存在だ。
手足が長く茶髪は腰まで伸び、目鼻立ちがすっきりして小顔で美人系だ…知的で眼鏡が良く似合う女子だ。
恐ろしいことにマナナまでミルルに気があるらしい…。
マナナはミルルを追って…この学校を選んだらしい…。
俺はミルルをじっと見た。
これがマナナの好みらしい。
線が華奢で美人系ではある。
そういえば俺の女体化もミロのビーナスの可憐華奢版だ。
よく人形のようとは言われたり…マネキンのようだとも褒められるが…。
マナナの好みはそう言う系らしい。
マナナは俺の幼馴染、黒髪で前がパッツンで肩揃え、どこにでもいそうな平凡な容姿だって良く言われてるが…体型だけ、ボンキュボンだ。
それからレズらしい…。
最近、知った。
読者モデルをしてるミルルが好きな頃もあったらしい…。
Uウチも今日こそ、月神くんがミルルと喋れるの見たいわ。
っていうか・・ミルルの前では全く喋らなくなるんやってな、月神くんってU
コイツは転校生だ。
あまり知らないくせにうるさい。
カンサイと言って、関西から転校してきた黒髪ロングツインテールスタイルをしたロリ低身長華奢な女子だ、メイド喫茶で勤務してる苦学生と言う噂だ。
||そうよ、失語症も良いとこなのよ…あたしもドン引きよ。
キセキ君、あたし好きになってね?||
この女子、ナデシコとは…中学くらいからか?
ちょうど高2女子の平均身長平均体重と同じらしい、和風顔だ、ストレートな髪はセミロングで、銀行の窓付けにも行けそうな堅そうな雰囲気な容姿だ。
『…。
おはよう、キセキ』
まあ、いつもどおり。
キセキにだけ挨拶だ…。
挨拶されないと出来ない性格かも知れない…。
「まだダメなのか?
君も男になれ。
もう7年以上それか?
君のお母さんまで君を応援してるのに。
どれだけ気弱なんだ、タリア」
『…』
モテ男は上から目線でうるさい。
キセキに言われるとムッとはする。
どれだけコイツ、モテてる。
俺の気持ちが分かってないに決まってる。
毎日、茶化されてる…ミルルのことで…。
≪こんな男、ミルルが好きになる訳ないでしょ?
全く喋らないのよ?
ミルルの前で。
班の時でも…≫
U他の奴とは喋ることもあるのにな。
ミルルに照れるのも、ええ加減にせい…U
||まだ、あたしとの方が会話したこともあるのよ?
ミルルの前でだけ…停止するみたいなの…。
月神君って…||
マナナが登校したらしい…。
今日はジックリ観察することに決めた。
教室の扉を開けて入ってくる。
「マナナ、おはよう。
戻りたければ寄りを戻しても良いんだぞ?
君、成績、本当に大丈夫か?
そこは心配してる…」
キセキが積極的にマナナに声掛けしてる。
「おはよう、キセキ。
確かにキセキには御世話になったし、恩は返さないとダメだって…。
私も分かってるの…。
でも…」
マナナはキセキへ後悔を残すような…柔らかい瞳で見てる。
≪キセキさん狙う虫がやってきたわ。
ミルル腹立つ≫
ミルルが眼鏡の奥からマナナを睨んでる。
マナナはミルルを一瞬だけ見て、罰が悪いように…視線を逸らして…。
そのあと、俺をキツク睨んでくる…。
Uウチもマナナ嫌い。
キセキくんと仲ええなんて。
幼馴染撲滅するU
||マナナなんてどうでもいいわ||
「タリア、おはよう」
マナナは少し憎んでるような顔で…俺を見た。
『マナナ、おはよう』
今日は…マナナから挨拶があった。
珍しい。
「そう言えば…君はあのあと…。
マナナに殴られたのか?
何か睨まれて呼び出されてたが…。
本当にタリアとマナナは昔から仲が悪いな…。
僕も収拾に追えない…。
今もマナナはタリアを睨んでる…」
「タリアのことなんてどうでも良いわ。
キセキ…」
俺を睨んだまま、顔を引き攣って…マナナは怒ってる口調だ。
「そうか。
君たち二人は昔から犬猿の仲だ…。
タリア、君もマナナと和解しろよ。
どうせまた君はマナナを苛めてるんだろ。
マナナは君を憎んでる」
『…』
「素直になって、ミルルには声を掛けて落とし…。
マナナとも仲直りするんだな。
まあ、タリアには難しそうだが…。
僕は君に期待してる」
キセキは本当に上から目線な男だ。
モテ男の風格か?
コイツ、好きになれないかもしれない…。
昨日借りた”ハーレム全開物語”だけは凄いと認めるが…。
『…』
マナナは最後まで俺をキッと睨んで…自分の席へ行き、座り込んだ。
顔を真っ赤にして…俺を睨んで怒ってる。
そのあと…鞄から…下敷きを出して…。
マナナは溜息を吐いてる・・オカッパ黒髪が頬に張り付いてる、悩ましげな表情だ。
下敷きへ潤んだ瞳で見てる…あの顔はちょっと、エロい。
あれは教室で見せるの、良くないと思う。
ああ。
いつもの光景だ。
俺がマナナと昨日、関係持ったからと言って…何も変わってないらしい…。
マナナは下敷きに熱視線だ…。
☆☆☆
そこから…幼馴染のキセキが馴れ馴れしい。
そこへまた、マナナの席へ走って行く。
いい気は全くしてない。
当たり前だろう。
「マナナ、無理するな。
僕が教える…」
≪キセキさん、もう諦めなさいよ?
ミルルにしたら?≫
Uそう言えば、マナナ聞いたで。
ウチ、バイト先で。
マナナ巫女様と友達になったんやってな。
あの噂、ホンマなん?U
どうしてそんなことが噂になったのか?
まさか、マナナが流したのかと…マナナが座る席の方角を見る。
「なってないけど…。
それってメイド喫茶で聞いたの?
誰から?」
Uなんや、噂か・…。
いろいろな人から伝達してるらしいわ…。
最初、誰が言ったか知らんけど…。
結構な噂になってるみたいやで。
マナナって、あのミサ、連日通ってるらしいなU
≪そうなのよね?
マナナ、ミサだけは昔から毎日、通ってるみたいで…≫
「結局、君は未だに巫女様と友達になれてないのか…。
それは切ない話だな」
||無理でしょう?
巫女様はアラ人神、友達になんてなれる訳がないわ||
「キセキ、私…自分一人で勉強するから。
さよなら。
アッチへ行ってて」
マナナは困った顔でキセキへ促す。
悲しそうな瞳で自分の席へ戻って行く。
あの役目、前までは俺だった…しかし、まだマナナはキセキに優しい。
それから…キセキには女子3人も侍らしてる。
マナナがいる方は自然と見てしまう。
そこで、マナナからは顔を真っ赤にして…睨まれた。
いつも通りの日常だ。
マナナの睨み顔、可愛いかもしれない。
そんなふうに今日は感じる。
長年、全然…目線すら合わなかったし。
今日は挨拶まであった。
良いだろう、機嫌は良い。
目線を逸らす気にもなれずにいれば、マナナは怒った顔のまま…また鞄から…自分で自作した下敷きを出して見詰めてる。
あの下敷きには、ターシャ祭りのパンフレットが挟まれている。
金髪碧眼華奢妖精美女―――女体化して巫女様姿へ変貌を遂げた俺が映ってる。
マナナはエロい顔で溜息を吐いてる。
いつもヤッテル時と同じ顔だ、一瞬、ムラッとも来る。
マナナがレズで一番喜んでるのは、俺かもしれない。
マナナがあの日、ミサで告白を俺にしなければ、今頃、キセキへ落ちていたに決まってる。
今日も出来そうな気配がある。
楽しみにしてる…。
キセキに酷いことをしてるのは自覚ある、マナナを誘導して体で落としてる。
親友裏切りまくりも良いところだ。
これが一番、罪悪感がないと言えば嘘にもなるが。
アイツ、モテすぎだ、腹も立つ。
これで良い。
キセキも塾の子を諦めかけてる、マナナもレズから逃れるようにキセキを選んだ時もあった。
あの日、ミサでマナナから告白を受けなければ。
今頃、絶対…マナナとキセキが付き合っていたストーリーだろう。
それは防げた。
マナナは予想以上に体の快楽に弱すぎてる。
俺しか知らないと思う。
マナナの母がビッチなのと関係あるのか?
キセキにこれがバレタラ、さすがに危ない。
機嫌は良いかもしれない。
その時、朝礼のチャイムが鳴った…。
---キンコンカンコーン、キンコンカンコーン。
---みなさん…2年1組は一限目、ホームルーム。
ゆっくり待っていてくだたい…---
転校生、難波カンサイの親戚…ウチのクラスの女担任、難波アニメ先生の声だ。
赤ちゃん言葉ばかり話す…新米先生だ。
カンサイの親戚は変人だ、カンサイは…この先生のコネで転入できたらしい。
声が甲高い。
男子どもの声が広がる。
[やったぜ、遊びまくるぜ]
[何して遊ぶ?]
[やっぱ、懸けごとだろ?
今日こそ、タリアはミルル様に声掛けれるか]
[誰でもわかるだろ、無理だろう]
[他のネタにしろよな?]
[そうだな…。
いつになったら、高嶺の花にタリアは声がかけれるんだ…?
じゃ、連日ミサへ行ってるらしいマナナがいつになったら巫女様と友達になれるか懸けようぜ]
[あの噂、嘘だったのか…。
なんか、俺の家にも流れてたけど…]
[さっき、聞こえてた話では…マナナ、否定してたよな?
ああ…俺の両親も面白そうに話してたのに…その話…]
[何円懸ける?
友達になれると思うか?]
[無理だろう、何せ…神話の妖精様だ。
アラ人神だろ?
無理すぎるだろう…]
[そうだよな?
ミルルちゃんを落とすのも難しいが…更に無理だろう、友達になるなんて。
恐れ多い…俺の母も祖母も妹も姉も無理らしいから…]
[男はターシャ祭でしか会えないなんて…七夕かよ]
勝手にいろいろ言ってる。
俺はターシャ祭で男から気持ち悪い目で見られる瞬間ほど幻滅することもない。
まだ、女に言い寄られてる方が…相手がレズでもうれしい。
ターシャ祭…どれだけ男から色目線で見られるか仕方ない…。
気持ち悪くて…ブルブル震えそうになる域だ。
嫌がりまくってる。
男嫌いに決まってる。
当たり前だ。
お蔭でマナナとは良い思いが出来てる、レズは許してる。
レズで巫女様が好きだとしてもだ、良い思いが出来た。
教室では未だにモテてない。
今日もだ。
誰も悔しいが俺に挨拶する女子がいない。
モテないことなら知ってる。
自覚もある。
教室中の女子、ほとんど全部、キセキが独り占め状態だ。
俺の幼馴染の癖に何なんだ?
この格差は…ムカつきまくる。
しかし…今日はマナナから挨拶がもらえた。
昨日、巫女様姿でマナナとエッチの最中、
『明日の朝…タリアに挨拶しなさいよ』
と命令したお蔭だ。
アレが効いてる、ちょっと嬉しい。
良い気分は味わえてる。
これをもっと落とせたらなとホンワカしてる。
期待は上がってる。
☆☆☆
自習時間は…。
勉強にも専念はするが…。
俺の右向こう岸席にいるマナナの観察は抜かりない。
俺が巫女様姿の時に一生懸命まとめたノートでマナナは暗記してるらしい。
これは嬉しい。
それにしても、まだ分かってない。
幼稚園時代からの幼馴染の癖に筆跡は知らなかったらしい。
そうだろう、やはりモテないらしい。
視線は合わないが、まあ期待しよう、今度こそ暗記できることを。
マナナはまた欠点らしいからだ、欠点になられると余計に時間が取られる。
エロをする時間が削られる。
それは困る…。
☆☆☆
そこへ…。
マナナが座る席へまた馴れ馴れしくもキセキが…近寄る。
全く良い気してない。
「やあ、マナナ。
勉強、進んでるか?
分からないことがあれば、無理せずに僕に聞けよ」
「…」
横目で確認ならしてる、マナナを監視してる。
マナナは自席に座ったまま、下敷きを見詰めてる…。
あの下敷きには巫女様姿の俺がいるはずだ。
可愛い女ではあるが、学校であまりそれをすれば、マナナの性癖がバレそうではある…。
≪キセキさん、諦めなさいよ。
ミルルだけを見てよ≫
キセキにへばりつく女子3人組の主犯、ミルルが眼鏡をクイクイと指で動かしてる。
女子達が今日もウルサイ。
Uウチも同感や。
もう、マナナ、見捨てろや…。
ハア??U
カンサイも。
眼の下に力を込めて、カンサイは首を横へ動かした…ツインテールも揺れる。
||キセキ君、あたしも勉強で分からないところがあって…||
ナデシコもか…。
ナデシコはデレデレした表情で…自分の伸びた黒髪をモジモジ触ってる。
これはナデシコが枝毛を探してる時の仕草だ。
キセキ、モテすぎだろ?
おまえ…。
少しぐらい挫折を味わってみたらどうだ。
俺は毎日、挫折続きで生きてきた。
どれほど暗黒時代が何年続いたか…。
想像絶するレベルだ。
「マナナは落第まで…しかけてたんだ。
さすがに気になる。
それにしても僕と付き合うためにマナナは勉強をして…。
それから自力で一問、数学の問題を解いたのも僕のための筈なのに…。
マナナ、君はどうして僕と別れたんだ?
本当の理由が知りたい。
どうして僕と距離を置く?」
その数学の問題を解いたのは俺だ。
勘違いも良いところだ。
金髪碧眼妖精な巫女様姿の時、マナナからオカッパ黒髪を床へ付けて、土下座までされ「教えて下さい」と頼まれた…。
マナナが座る席、目前にキセキ、3人女子トリオ…ミルル、ナデシコ、カンサイが立ってる。
それから、俺は…自分が座る席からマナナが座る席の方角…右向こうを横目で見てる。
「…。
キセキと私は釣り合わないと思って…。
だって、キセキはモテるから」
レズだと告白する気にはなれないらしい…マナナは目を横へ逸らしてる。
上手に断ってる。
「僕はカンサイ、ナデシコ、ミルルの3人トリオより君だと感じた。
まえはクラス全員同じレベルに見えた。
別れてから分かった。
君はこのクラスで僕の中では一番、輝いてる…」
「そう…。
でも…」
キセキは言いたい放題だ。
あんな男とマナナも付き合わなくて正解だと思う。
本気でそう感じてる。
俺が元の姿でいる時、どれほどモテない日常か…選べるような立場でもないのに。
キセキと来たら、上から目線過ぎないか?
いつからアイツはあんなキャラに変更したんだ。
モテるようになってから性格が変わり過ぎてる。
大昔は泣き虫な多動児で、面倒まで見てやった過去があったと言うのに。
腹も立つ。
調子に乗り過ぎてる。
≪あり得ないわ?
マナナのどこが言い訳?
逃がした魚は大きく感じてるだけじゃないの?
キセキさん。
ミルルにしなさいよ。
何で一番交流が長いミルルだけ…一番最後に呼ぶわけ…?
ミルル、幼稚園からなのに!
ミルル、ナデシコ、カンサイの3人トリオって訂正しなさい?
怒るわよ!≫
ミルルの眼鏡から覗く瞳が燃えてる。
腰まで伸びた茶髪ロングの背景に炎が見えそうな域だ。
Uウチ、さらにマナナなんて大嫌いや!!
もう、この女最悪やろ?
そりゃウチが高校からで…一番、キセキくんと親交が短いけど…愛は絶大や!
ノリで落として、尽くすで…ド根性やで!U
カンサイは拳を握って、ガッツポーズを決めてる。
黒いツインテールがピョン…とウサギのように揺れる。
||嘘でしょ…そんなキセキ君、マナナのどこを気に入ってる訳?
あたしは中学からだけど…どれだけ、キセキ君が好きか…。
いつも慎まし気なあたしなのに…キセキ君の前でだけ怒り狂ってでも戦ってるって言うのに・・。
あんまりだわ…||
純和風顔標準体型女子―――ナデシコは半泣きな表情で…伸びた黒髪を触ってる。
今日も…俺の親友だけが、このクラスでモテすぎてる…楽しくない。
当たり前だ。
「マナナは心配になるんだ。
勉強できないのに…また落第になるんじゃないかと…。
それと長年の付き合いもある」
キセキは茶髪をボリボリと掻き毟り、茶色い瞳を左右へ動かし…4名全ての女子へ平等に視線を送ってる。
博愛精神が過ぎるヤツだ。
キセキの視線は…常に一点に留まらない。
様々な種類の女性達へ随時…注がれてる。
俺と二人っきりで官能小説に関する下ネタで花を咲かせてる時ですら、キセキは隣に女性が来れば色目線を送り出す。
俺は会話が苦手すぎる分、どうしても…話すネタが変になる。
自分でも変人な自覚もある。
まあ、男子高校生…集まれば、殆ど会話は勉強や進路に関する話題か、下ネタへ行く。
俺の将来はもう既に…実家が神社なせいで決まってる、会話が重くなりがちで…嫌がってる。
ライトで良いが…普通の下ネタが逆に苦手かもしれない。
というか…俺はキセキ以外と下ネタをしたことがない。
異常に無口なのは父譲りでもある。
≪マナナ…あんた…やっぱり、ミルルの敵ね?≫
Uウチ、マナナなんて世界の果てまで苛めてやる。
この泥棒猫U
||どうしてなの?
ああああ…||
マナナはキセキから視線を外して…下敷きにいる俺の巫女様を見詰めて…ハア…と溜息を吐いてる。
マナナの左向こう岸席から…横目で見てる俺のことはどうでも良いみたいだ。
これは昔からで慣れっこでもある。
茶髪茶眼長身モテ男なキセキより、金髪碧眼系妖精姿な美女…巫女様らしい。
機嫌は良い。
「どうしたんだ?
マナナ、下敷きを見詰めて…。
そう言えば、今週末、日曜日・…ターシャ祭が開催されるが…君も行きたいのか?
一緒に。
そうならそうと僕を誘えば良いものを…。
ターシャ祭は僕、行く気だ。
今週は建国記念日と兼ねて…3連休か…楽しみにしてる、ターシャ祭」
ムカつくことにずっと、毎年…まるでアベックのようにターシャ祭にコイツら参加してた。
俺は男性客からセクハラの連続であの祭りほど大嫌いな行事もないと言うのに…。
コイツらはイチャイチャで…。
殺意すら芽生える瞬間でもあった。
コイツらの願い事を叶える行事は。
毎年、マナナは「成績が上がりますように」
キセキは「僕がクラスで女子からモテますように」
ムカつきまくってた。
キセキ…おまえはモテすぎてる、既にだ。
他に願い事はないのか?と痙攣すら起きてはいた。
大昔はキセキだけ、確かに女子から苛められてた…。
キセキだけが変質者な男性から…飴やプラモを奢ろうか?と登下校時に絡まれてた時代もあった。
しかし、いつの間にか…キセキがしてた願いは叶い過ぎて…モテ過ぎも良いところだ。
キセキだけ、願い事を聞きにくるメンバーから外そうかとも思ったが…。
そこはやはり許した、俺はこう見えて優しいからだ。
長年の付き合いもある…。
「…。
キセキは私と別に来なくても…」
「え?
マナナ…何故だ?
毎年、一緒だっただろ?」
≪キセキさん、マナナなんて放置してミルルとだけ行きましょうよ?
ターシャ祭りへ…今週の日曜日。
それと3連休だし、デートなんてどうかな?≫
Uウチ、関西からやし…。
ターシャ祭、楽しみやわ。
金、土はメイド喫茶でバイトやけど…日曜やったら行けるわ。
そう言えば…巫女様には会ってきたで。
昨日の月曜に。
物凄く混んでたわ、あそこ…メッチャ、別嬪さんやな、巫女様。
ウチ、マナナとキセキくんが永久に別れるように祈っといたで。
あと、ウチとキセキくんが一緒になれるように祈りたかったのに…。
何か、巫女様…体調悪いのか…『仕事は一人につき、ひとつ』って言われたわ。
特に…あの日だけ…多いみたいでU
昨日は…台風の日に営業休止にしたせいで客が多かった。
2回目は断らせてもらった。
結構、精神的に来る。
一番、疲れるのは知り合いが願い事をする瞬間だ。
白黒メイド服姿で黒髪ツインテールしたカンサイだった。
バイト帰りだったらしい…。
俺はメイド喫茶には行ったことがまだないが…新鮮ではあった。
マナナとキセキが永久に別れる願い事こそ、俺の本望だ。
物凄く力が入り過ぎて…次が疲れすぎた、グッタリ来た。
俺は自分がした願いは叶えられない仕組みらしい…。
そこが切ない。
もし、俺の願いが叶えられるなら…是非とも『モテますように』と願ってみたいが…。
成功した試しがない。
鏡に映る自分へ向かって、やってみたが…逆に何故か、どんどんモテなくなる・・・。
泉の巫女は…自分で願い事を出来ない宿命らしい…。
≪行ったの?
カンサイ。
でもミルルはあまりオカルトって好きじゃないのよ。
まあ、ミルルは読者モデルしてるし、巫女様も出来るだろうけど…。
でも、あの光るのが変わるの…。
トリックがある気がして仕方ないのよ。
それにミルルより綺麗って言うのが腹立つわ!
それになによ、あのCM…。
ミルルがどれだけ努力してCM女優になれたか…巫女様ってだけで…図に乗って!
何の苦労もなしにCMまで流されて…私がどれだけ…。
ミルルは…宗教とか、あまり信じない派だからね?
この村ではそんなこと、許されないけど…。
平和国でミルル、キセキさんと暮らすのも良いかもね?≫
ミルルは眼鏡をキラキラ光らせてる…言われたい放題だ。
||え?
ミルル、ターシャ教、信じないの?
信じられない、そんな人がいるなんて。
あたしは巫女様、綺麗だとは思ったわ…。
3連休か…デート出来たらな、キセキ君と||
いつも通りキセキだけモテてる。
「ミルルはターシャ神を信じないのか…。
でも、あまりその話はダークだ。
村で言えば…ミルルは捕まる。
僕の心に留めておこう。
デートは無理だ、僕は塾に忙しい、勤勉だからな」
キセキは茶髪をクルクルと指で触り始めた。
≪デート無理なの…ミルルも実はモデル教室が…。
ごめんね、キセキさん。
えっと、将来…ミルルと戦争と宗教がない平和国で暮らすなんてどう?
もちろん、戦争ばかりする邪神国とか論外よ?
今日もニュースで邪神教のメッカ、邪神国の報道がされてたわ。
何なの?あれ?
アソコの国の住人、イカれてる訳?≫
確かに…最近、テレビでは邪神国のニュースばかりだ…。
客からもそんな情報を得た。
キセキが密かに好いてる…2歳上の女子大生。
女子アナ風で、ゆるフワな濃茶ミディアムヘアーの人だ…。
俺のミサへも通うが…。
邪神教からのクーデターを恐れて…平和国へ見合いしに…来年には飛ぶかもしれないらしい…。
物騒ではある。
U邪神国な…仕方ないんちゃう?
アア言う国や。
あとな、キセキくんはウチと一緒になるべき人や。
ウチはこの学校で運命の人に出会えたんや、転校して来て正解や。
まあ、ウチはこのターシャ国で感謝してるで♪
この国好きやわ…特にターシャ村は一番スキやで。
だって、キセキくんがいるから、オアシスやわ♪U
||あたしが…キセキ君を…。
この二人は潰す…あたしは怒らせると怖いわよ?
普段、大人しい分ね?
あたしも同感ね?
ターシャ村で、キセキ君と抹茶でも飲んで…蜜月タイムするわ?
三連休、あたしの実家にこれば良いのに…。
ターシャ祭では抹茶を私、出す役よ?||
ミルルとカンサイが…ナデシコの逆鱗に触れたみたいだ…純和風顔のナデシコは白目まで向いてる。
ナデシコはふだん、慎まし気だが…キセキがいる前でだけこうなってる。
俺も無口だが・・・マナナの前でだけ暴言タラタラになってしまう。
ずっとそうだ。
何故かは分からない、勝手に口が動く。
何故かマナナをつつきたくもなる、反応を見るのが面白すぎてる。
「カンサイ、ナデシコ、ミルル…僕を巡って喧嘩するな、親友だろ。
見苦しい…。
それにしても…どうしたんだ?
何故、マナナは突然…最近…僕に冷たいんだ。
あれだけ僕に言い寄ってたくせに。
僕は失望してる、君に…」
「キセキ…」
マナナ、キセキはハッキリ振った方が良い。
どうせモテる。
こんな奴、痛めつけまくれば良い。
どれだけ俺にばかり攻撃されてるのか分からない。
全然、平等じゃないと思う。
容姿が違うと言うだけで酷くないか?
お前は…。
「…」
≪こんな女、もう良いでしょ?
キセキさん。
ミルルがいるから≫
Uウチも同感や。
ってか…何なん。
マナナはもうキセキくんを手に入れた途端、興味なくしたん?
どんだけ目移りしまくる女や。
ウチがキセキ君のこと、慰めたるでU
||ミルル。
もうキセキ君はあたしが貰うから||
≪何言ってるのよ?
ナデシコ。
キセキさんはミルルのモノに決まってるでしょ?≫
Uウチやって。
何言ってるん?
はあ?U
モテすぎてる、今日も。
マナナが苛めるぐらいで…俺とキセキは釣り合うに決まってる。
それなのに、何故かマナナがキセキにまだ甘い。
ムカつく。
俺は自習時間、自分の席へ留まり…マナナが座る右向こう岸席を見詰めてる…。
そこに長身男キセキの周囲に、女子三人トリオが集まって陣取り作戦が開始される。
「僕を巡っての喧嘩は止めろ。
カンサイ、ナデシコ、ミルル…君たちは親友だったんだろ。
それからミルル。
君はタリアと一緒になるべき女だ。
僕も応援してる」
≪キセキさん…そんな…。
ミルルにとって辛いことを…≫
ミルルは眼鏡の奥から悲しげだが…どうでも良い。
Uミルル。
そのとおりや、キセキくんが好きなら、キセキくんに従うべきやでU
||と言うことは…あたしとのライバルは…カンサイね?||
U望むところやで、ナデシコ?
ウチ、勝つ自信あるで。
ウチは夜も尽くすぐらいなんでもヤリまくるで。
大道芸人並みにU
||何言ってるの?
まな板ロリコン体型な癖して。
キセキ君はあたしの方が好きに決まってるでしょ?||
≪ミルルに決まってる、ミルルは落とす。
月神さんなんて、ミルル…どうでもいい≫
どれだけ俺の友達…モテてるのか、楽しくない。
「ミルル。
タリアの気持ちになってやれ。
アイツは小学時代から君のことが好きなんだぞ…」
悪いが本気でもうどうでも良い。
アレは、あまりマナナが俺ばかり苛めるから逆切れで言っただけだ。
もう訂正するの疲れる。
噂もそのままに流してた。
≪知ってるけど…。
でも…ミルルは…キセキさんが…≫
マナナは下敷きにいる…巫女様姿の俺を見てる。
マナナはキセキや女子3人トリオから視線を外してる。
「マナナ。
まさか…今週末にある今年のターシャ祭りは…誰かと行くのか?
僕以外の?」
「まだ分からないわ。
キセキには悪いと思う。
でも…私…キセキ以上に好きな人への気持ちに気が付いて…。
ごめん。
これしか・・言えない。
私のことは忘れて欲しい。
ごめん…」
マナナが下敷きから目線を離して、またキセキを見てる。
俺だけ離れた、マナナから遠方の左向こうの席だ。
キセキが女子3人侍らしたまま、俺の右向こう席…マナナへ近寄ってる。
キセキも諦めが悪い男だ。
マナナは巫女様、つまり俺が好きだ。
もう諦めても良いと思ってる、キセキがだ。
「マナナ」
≪キセキさん、こんな奴。
もう落第してもサヨナラしましょう?
ミルルと向こうの席へ行きましょうよ。
イチャイチャしたいわ、ミルル≫
Uそうや。
もうマナナは敵じゃない。
腑抜けヤロウ、ビッチ。
キセキくん、ウチ選んでやU
||キセキ君、マナナはこういう女なのよ。
浮気女なんて忘れるべきだわ||
女子達も同感らしい。
もうキセキも近寄らない方が良い、マナナがいる場所へだ。
←【第2部イラスト】
小説目次
タリアから見た日常A
参考イラストなどはコチラ→←【第2部イラスト】
読むとイメージが分かりやすいと思います。
今日は早めに登校した。
実は…マナナと昨日、元の姿で初エッチ出来た。
とても嬉しい。
ホッコリしてる…このまま、仲良くなれたらなあとボンヤリもしてる。
機嫌が良い。
☆☆☆
今日は火曜日だ。
学校に着けば…。
いつも通りの光景だ。
窓際にいる俺の友、キセキの周りには…ミルルを他とする3人女子トリオがいる。
キセキは高身長で白人系クォーター、天然茶髪に天然茶眼、堀が深く、生まれつき色素が薄い。
ミルルは眼鏡をかけて腰まで伸びた染めた茶髪、スレンダー長身なCMに出演するレベルな容姿端麗さはある、クラスでは一番人気だ。
「タリア、おはよう…。
今日こそ、ミルルにも挨拶できるといいな。
僕も期待してる。
君はミルルが好きなんだろ?」
学ランを着た茶髪茶眼長身モテ男―――キセキは、今日も俺にチョッカイ掛けてくる。
ミルルが好きだと言う噂が流れてる。
俺からキセキにミルルが好きだと言った件が…相当、広がってる。
≪無理でしょ。
ミルルも呆れてるわ。
月神さんって…もう7年以上もミルルのこと、好きらしいけど…女々しいでしょ≫
ミルルにも失望されてる俺は。
ミルルは雑誌モデルまでするくらいでクラスの花的存在だ。
手足が長く茶髪は腰まで伸び、目鼻立ちがすっきりして小顔で美人系だ…知的で眼鏡が良く似合う女子だ。
恐ろしいことにマナナまでミルルに気があるらしい…。
マナナはミルルを追って…この学校を選んだらしい…。
俺はミルルをじっと見た。
これがマナナの好みらしい。
線が華奢で美人系ではある。
そういえば俺の女体化もミロのビーナスの可憐華奢版だ。
よく人形のようとは言われたり…マネキンのようだとも褒められるが…。
マナナの好みはそう言う系らしい。
マナナは俺の幼馴染、黒髪で前がパッツンで肩揃え、どこにでもいそうな平凡な容姿だって良く言われてるが…体型だけ、ボンキュボンだ。
それからレズらしい…。
最近、知った。
読者モデルをしてるミルルが好きな頃もあったらしい…。
Uウチも今日こそ、月神くんがミルルと喋れるの見たいわ。
っていうか・・ミルルの前では全く喋らなくなるんやってな、月神くんってU
コイツは転校生だ。
あまり知らないくせにうるさい。
カンサイと言って、関西から転校してきた黒髪ロングツインテールスタイルをしたロリ低身長華奢な女子だ、メイド喫茶で勤務してる苦学生と言う噂だ。
||そうよ、失語症も良いとこなのよ…あたしもドン引きよ。
キセキ君、あたし好きになってね?||
この女子、ナデシコとは…中学くらいからか?
ちょうど高2女子の平均身長平均体重と同じらしい、和風顔だ、ストレートな髪はセミロングで、銀行の窓付けにも行けそうな堅そうな雰囲気な容姿だ。
『…。
おはよう、キセキ』
まあ、いつもどおり。
キセキにだけ挨拶だ…。
挨拶されないと出来ない性格かも知れない…。
「まだダメなのか?
君も男になれ。
もう7年以上それか?
君のお母さんまで君を応援してるのに。
どれだけ気弱なんだ、タリア」
『…』
モテ男は上から目線でうるさい。
キセキに言われるとムッとはする。
どれだけコイツ、モテてる。
俺の気持ちが分かってないに決まってる。
毎日、茶化されてる…ミルルのことで…。
≪こんな男、ミルルが好きになる訳ないでしょ?
全く喋らないのよ?
ミルルの前で。
班の時でも…≫
U他の奴とは喋ることもあるのにな。
ミルルに照れるのも、ええ加減にせい…U
||まだ、あたしとの方が会話したこともあるのよ?
ミルルの前でだけ…停止するみたいなの…。
月神君って…||
マナナが登校したらしい…。
今日はジックリ観察することに決めた。
教室の扉を開けて入ってくる。
「マナナ、おはよう。
戻りたければ寄りを戻しても良いんだぞ?
君、成績、本当に大丈夫か?
そこは心配してる…」
キセキが積極的にマナナに声掛けしてる。
「おはよう、キセキ。
確かにキセキには御世話になったし、恩は返さないとダメだって…。
私も分かってるの…。
でも…」
マナナはキセキへ後悔を残すような…柔らかい瞳で見てる。
≪キセキさん狙う虫がやってきたわ。
ミルル腹立つ≫
ミルルが眼鏡の奥からマナナを睨んでる。
マナナはミルルを一瞬だけ見て、罰が悪いように…視線を逸らして…。
そのあと、俺をキツク睨んでくる…。
Uウチもマナナ嫌い。
キセキくんと仲ええなんて。
幼馴染撲滅するU
||マナナなんてどうでもいいわ||
「タリア、おはよう」
マナナは少し憎んでるような顔で…俺を見た。
『マナナ、おはよう』
今日は…マナナから挨拶があった。
珍しい。
「そう言えば…君はあのあと…。
マナナに殴られたのか?
何か睨まれて呼び出されてたが…。
本当にタリアとマナナは昔から仲が悪いな…。
僕も収拾に追えない…。
今もマナナはタリアを睨んでる…」
「タリアのことなんてどうでも良いわ。
キセキ…」
俺を睨んだまま、顔を引き攣って…マナナは怒ってる口調だ。
「そうか。
君たち二人は昔から犬猿の仲だ…。
タリア、君もマナナと和解しろよ。
どうせまた君はマナナを苛めてるんだろ。
マナナは君を憎んでる」
『…』
「素直になって、ミルルには声を掛けて落とし…。
マナナとも仲直りするんだな。
まあ、タリアには難しそうだが…。
僕は君に期待してる」
キセキは本当に上から目線な男だ。
モテ男の風格か?
コイツ、好きになれないかもしれない…。
昨日借りた”ハーレム全開物語”だけは凄いと認めるが…。
『…』
マナナは最後まで俺をキッと睨んで…自分の席へ行き、座り込んだ。
顔を真っ赤にして…俺を睨んで怒ってる。
そのあと…鞄から…下敷きを出して…。
マナナは溜息を吐いてる・・オカッパ黒髪が頬に張り付いてる、悩ましげな表情だ。
下敷きへ潤んだ瞳で見てる…あの顔はちょっと、エロい。
あれは教室で見せるの、良くないと思う。
ああ。
いつもの光景だ。
俺がマナナと昨日、関係持ったからと言って…何も変わってないらしい…。
マナナは下敷きに熱視線だ…。
☆☆☆
そこから…幼馴染のキセキが馴れ馴れしい。
そこへまた、マナナの席へ走って行く。
いい気は全くしてない。
当たり前だろう。
「マナナ、無理するな。
僕が教える…」
≪キセキさん、もう諦めなさいよ?
ミルルにしたら?≫
Uそう言えば、マナナ聞いたで。
ウチ、バイト先で。
マナナ巫女様と友達になったんやってな。
あの噂、ホンマなん?U
どうしてそんなことが噂になったのか?
まさか、マナナが流したのかと…マナナが座る席の方角を見る。
「なってないけど…。
それってメイド喫茶で聞いたの?
誰から?」
Uなんや、噂か・…。
いろいろな人から伝達してるらしいわ…。
最初、誰が言ったか知らんけど…。
結構な噂になってるみたいやで。
マナナって、あのミサ、連日通ってるらしいなU
≪そうなのよね?
マナナ、ミサだけは昔から毎日、通ってるみたいで…≫
「結局、君は未だに巫女様と友達になれてないのか…。
それは切ない話だな」
||無理でしょう?
巫女様はアラ人神、友達になんてなれる訳がないわ||
「キセキ、私…自分一人で勉強するから。
さよなら。
アッチへ行ってて」
マナナは困った顔でキセキへ促す。
悲しそうな瞳で自分の席へ戻って行く。
あの役目、前までは俺だった…しかし、まだマナナはキセキに優しい。
それから…キセキには女子3人も侍らしてる。
マナナがいる方は自然と見てしまう。
そこで、マナナからは顔を真っ赤にして…睨まれた。
いつも通りの日常だ。
マナナの睨み顔、可愛いかもしれない。
そんなふうに今日は感じる。
長年、全然…目線すら合わなかったし。
今日は挨拶まであった。
良いだろう、機嫌は良い。
目線を逸らす気にもなれずにいれば、マナナは怒った顔のまま…また鞄から…自分で自作した下敷きを出して見詰めてる。
あの下敷きには、ターシャ祭りのパンフレットが挟まれている。
金髪碧眼華奢妖精美女―――女体化して巫女様姿へ変貌を遂げた俺が映ってる。
マナナはエロい顔で溜息を吐いてる。
いつもヤッテル時と同じ顔だ、一瞬、ムラッとも来る。
マナナがレズで一番喜んでるのは、俺かもしれない。
マナナがあの日、ミサで告白を俺にしなければ、今頃、キセキへ落ちていたに決まってる。
今日も出来そうな気配がある。
楽しみにしてる…。
キセキに酷いことをしてるのは自覚ある、マナナを誘導して体で落としてる。
親友裏切りまくりも良いところだ。
これが一番、罪悪感がないと言えば嘘にもなるが。
アイツ、モテすぎだ、腹も立つ。
これで良い。
キセキも塾の子を諦めかけてる、マナナもレズから逃れるようにキセキを選んだ時もあった。
あの日、ミサでマナナから告白を受けなければ。
今頃、絶対…マナナとキセキが付き合っていたストーリーだろう。
それは防げた。
マナナは予想以上に体の快楽に弱すぎてる。
俺しか知らないと思う。
マナナの母がビッチなのと関係あるのか?
キセキにこれがバレタラ、さすがに危ない。
機嫌は良いかもしれない。
その時、朝礼のチャイムが鳴った…。
---キンコンカンコーン、キンコンカンコーン。
---みなさん…2年1組は一限目、ホームルーム。
ゆっくり待っていてくだたい…---
転校生、難波カンサイの親戚…ウチのクラスの女担任、難波アニメ先生の声だ。
赤ちゃん言葉ばかり話す…新米先生だ。
カンサイの親戚は変人だ、カンサイは…この先生のコネで転入できたらしい。
声が甲高い。
男子どもの声が広がる。
[やったぜ、遊びまくるぜ]
[何して遊ぶ?]
[やっぱ、懸けごとだろ?
今日こそ、タリアはミルル様に声掛けれるか]
[誰でもわかるだろ、無理だろう]
[他のネタにしろよな?]
[そうだな…。
いつになったら、高嶺の花にタリアは声がかけれるんだ…?
じゃ、連日ミサへ行ってるらしいマナナがいつになったら巫女様と友達になれるか懸けようぜ]
[あの噂、嘘だったのか…。
なんか、俺の家にも流れてたけど…]
[さっき、聞こえてた話では…マナナ、否定してたよな?
ああ…俺の両親も面白そうに話してたのに…その話…]
[何円懸ける?
友達になれると思うか?]
[無理だろう、何せ…神話の妖精様だ。
アラ人神だろ?
無理すぎるだろう…]
[そうだよな?
ミルルちゃんを落とすのも難しいが…更に無理だろう、友達になるなんて。
恐れ多い…俺の母も祖母も妹も姉も無理らしいから…]
[男はターシャ祭でしか会えないなんて…七夕かよ]
勝手にいろいろ言ってる。
俺はターシャ祭で男から気持ち悪い目で見られる瞬間ほど幻滅することもない。
まだ、女に言い寄られてる方が…相手がレズでもうれしい。
ターシャ祭…どれだけ男から色目線で見られるか仕方ない…。
気持ち悪くて…ブルブル震えそうになる域だ。
嫌がりまくってる。
男嫌いに決まってる。
当たり前だ。
お蔭でマナナとは良い思いが出来てる、レズは許してる。
レズで巫女様が好きだとしてもだ、良い思いが出来た。
教室では未だにモテてない。
今日もだ。
誰も悔しいが俺に挨拶する女子がいない。
モテないことなら知ってる。
自覚もある。
教室中の女子、ほとんど全部、キセキが独り占め状態だ。
俺の幼馴染の癖に何なんだ?
この格差は…ムカつきまくる。
しかし…今日はマナナから挨拶がもらえた。
昨日、巫女様姿でマナナとエッチの最中、
『明日の朝…タリアに挨拶しなさいよ』
と命令したお蔭だ。
アレが効いてる、ちょっと嬉しい。
良い気分は味わえてる。
これをもっと落とせたらなとホンワカしてる。
期待は上がってる。
☆☆☆
自習時間は…。
勉強にも専念はするが…。
俺の右向こう岸席にいるマナナの観察は抜かりない。
俺が巫女様姿の時に一生懸命まとめたノートでマナナは暗記してるらしい。
これは嬉しい。
それにしても、まだ分かってない。
幼稚園時代からの幼馴染の癖に筆跡は知らなかったらしい。
そうだろう、やはりモテないらしい。
視線は合わないが、まあ期待しよう、今度こそ暗記できることを。
マナナはまた欠点らしいからだ、欠点になられると余計に時間が取られる。
エロをする時間が削られる。
それは困る…。
☆☆☆
そこへ…。
マナナが座る席へまた馴れ馴れしくもキセキが…近寄る。
全く良い気してない。
「やあ、マナナ。
勉強、進んでるか?
分からないことがあれば、無理せずに僕に聞けよ」
「…」
横目で確認ならしてる、マナナを監視してる。
マナナは自席に座ったまま、下敷きを見詰めてる…。
あの下敷きには巫女様姿の俺がいるはずだ。
可愛い女ではあるが、学校であまりそれをすれば、マナナの性癖がバレそうではある…。
≪キセキさん、諦めなさいよ。
ミルルだけを見てよ≫
キセキにへばりつく女子3人組の主犯、ミルルが眼鏡をクイクイと指で動かしてる。
女子達が今日もウルサイ。
Uウチも同感や。
もう、マナナ、見捨てろや…。
ハア??U
カンサイも。
眼の下に力を込めて、カンサイは首を横へ動かした…ツインテールも揺れる。
||キセキ君、あたしも勉強で分からないところがあって…||
ナデシコもか…。
ナデシコはデレデレした表情で…自分の伸びた黒髪をモジモジ触ってる。
これはナデシコが枝毛を探してる時の仕草だ。
キセキ、モテすぎだろ?
おまえ…。
少しぐらい挫折を味わってみたらどうだ。
俺は毎日、挫折続きで生きてきた。
どれほど暗黒時代が何年続いたか…。
想像絶するレベルだ。
「マナナは落第まで…しかけてたんだ。
さすがに気になる。
それにしても僕と付き合うためにマナナは勉強をして…。
それから自力で一問、数学の問題を解いたのも僕のための筈なのに…。
マナナ、君はどうして僕と別れたんだ?
本当の理由が知りたい。
どうして僕と距離を置く?」
その数学の問題を解いたのは俺だ。
勘違いも良いところだ。
金髪碧眼妖精な巫女様姿の時、マナナからオカッパ黒髪を床へ付けて、土下座までされ「教えて下さい」と頼まれた…。
マナナが座る席、目前にキセキ、3人女子トリオ…ミルル、ナデシコ、カンサイが立ってる。
それから、俺は…自分が座る席からマナナが座る席の方角…右向こうを横目で見てる。
「…。
キセキと私は釣り合わないと思って…。
だって、キセキはモテるから」
レズだと告白する気にはなれないらしい…マナナは目を横へ逸らしてる。
上手に断ってる。
「僕はカンサイ、ナデシコ、ミルルの3人トリオより君だと感じた。
まえはクラス全員同じレベルに見えた。
別れてから分かった。
君はこのクラスで僕の中では一番、輝いてる…」
「そう…。
でも…」
キセキは言いたい放題だ。
あんな男とマナナも付き合わなくて正解だと思う。
本気でそう感じてる。
俺が元の姿でいる時、どれほどモテない日常か…選べるような立場でもないのに。
キセキと来たら、上から目線過ぎないか?
いつからアイツはあんなキャラに変更したんだ。
モテるようになってから性格が変わり過ぎてる。
大昔は泣き虫な多動児で、面倒まで見てやった過去があったと言うのに。
腹も立つ。
調子に乗り過ぎてる。
≪あり得ないわ?
マナナのどこが言い訳?
逃がした魚は大きく感じてるだけじゃないの?
キセキさん。
ミルルにしなさいよ。
何で一番交流が長いミルルだけ…一番最後に呼ぶわけ…?
ミルル、幼稚園からなのに!
ミルル、ナデシコ、カンサイの3人トリオって訂正しなさい?
怒るわよ!≫
ミルルの眼鏡から覗く瞳が燃えてる。
腰まで伸びた茶髪ロングの背景に炎が見えそうな域だ。
Uウチ、さらにマナナなんて大嫌いや!!
もう、この女最悪やろ?
そりゃウチが高校からで…一番、キセキくんと親交が短いけど…愛は絶大や!
ノリで落として、尽くすで…ド根性やで!U
カンサイは拳を握って、ガッツポーズを決めてる。
黒いツインテールがピョン…とウサギのように揺れる。
||嘘でしょ…そんなキセキ君、マナナのどこを気に入ってる訳?
あたしは中学からだけど…どれだけ、キセキ君が好きか…。
いつも慎まし気なあたしなのに…キセキ君の前でだけ怒り狂ってでも戦ってるって言うのに・・。
あんまりだわ…||
純和風顔標準体型女子―――ナデシコは半泣きな表情で…伸びた黒髪を触ってる。
今日も…俺の親友だけが、このクラスでモテすぎてる…楽しくない。
当たり前だ。
「マナナは心配になるんだ。
勉強できないのに…また落第になるんじゃないかと…。
それと長年の付き合いもある」
キセキは茶髪をボリボリと掻き毟り、茶色い瞳を左右へ動かし…4名全ての女子へ平等に視線を送ってる。
博愛精神が過ぎるヤツだ。
キセキの視線は…常に一点に留まらない。
様々な種類の女性達へ随時…注がれてる。
俺と二人っきりで官能小説に関する下ネタで花を咲かせてる時ですら、キセキは隣に女性が来れば色目線を送り出す。
俺は会話が苦手すぎる分、どうしても…話すネタが変になる。
自分でも変人な自覚もある。
まあ、男子高校生…集まれば、殆ど会話は勉強や進路に関する話題か、下ネタへ行く。
俺の将来はもう既に…実家が神社なせいで決まってる、会話が重くなりがちで…嫌がってる。
ライトで良いが…普通の下ネタが逆に苦手かもしれない。
というか…俺はキセキ以外と下ネタをしたことがない。
異常に無口なのは父譲りでもある。
≪マナナ…あんた…やっぱり、ミルルの敵ね?≫
Uウチ、マナナなんて世界の果てまで苛めてやる。
この泥棒猫U
||どうしてなの?
ああああ…||
マナナはキセキから視線を外して…下敷きにいる俺の巫女様を見詰めて…ハア…と溜息を吐いてる。
マナナの左向こう岸席から…横目で見てる俺のことはどうでも良いみたいだ。
これは昔からで慣れっこでもある。
茶髪茶眼長身モテ男なキセキより、金髪碧眼系妖精姿な美女…巫女様らしい。
機嫌は良い。
「どうしたんだ?
マナナ、下敷きを見詰めて…。
そう言えば、今週末、日曜日・…ターシャ祭が開催されるが…君も行きたいのか?
一緒に。
そうならそうと僕を誘えば良いものを…。
ターシャ祭は僕、行く気だ。
今週は建国記念日と兼ねて…3連休か…楽しみにしてる、ターシャ祭」
ムカつくことにずっと、毎年…まるでアベックのようにターシャ祭にコイツら参加してた。
俺は男性客からセクハラの連続であの祭りほど大嫌いな行事もないと言うのに…。
コイツらはイチャイチャで…。
殺意すら芽生える瞬間でもあった。
コイツらの願い事を叶える行事は。
毎年、マナナは「成績が上がりますように」
キセキは「僕がクラスで女子からモテますように」
ムカつきまくってた。
キセキ…おまえはモテすぎてる、既にだ。
他に願い事はないのか?と痙攣すら起きてはいた。
大昔はキセキだけ、確かに女子から苛められてた…。
キセキだけが変質者な男性から…飴やプラモを奢ろうか?と登下校時に絡まれてた時代もあった。
しかし、いつの間にか…キセキがしてた願いは叶い過ぎて…モテ過ぎも良いところだ。
キセキだけ、願い事を聞きにくるメンバーから外そうかとも思ったが…。
そこはやはり許した、俺はこう見えて優しいからだ。
長年の付き合いもある…。
「…。
キセキは私と別に来なくても…」
「え?
マナナ…何故だ?
毎年、一緒だっただろ?」
≪キセキさん、マナナなんて放置してミルルとだけ行きましょうよ?
ターシャ祭りへ…今週の日曜日。
それと3連休だし、デートなんてどうかな?≫
Uウチ、関西からやし…。
ターシャ祭、楽しみやわ。
金、土はメイド喫茶でバイトやけど…日曜やったら行けるわ。
そう言えば…巫女様には会ってきたで。
昨日の月曜に。
物凄く混んでたわ、あそこ…メッチャ、別嬪さんやな、巫女様。
ウチ、マナナとキセキくんが永久に別れるように祈っといたで。
あと、ウチとキセキくんが一緒になれるように祈りたかったのに…。
何か、巫女様…体調悪いのか…『仕事は一人につき、ひとつ』って言われたわ。
特に…あの日だけ…多いみたいでU
昨日は…台風の日に営業休止にしたせいで客が多かった。
2回目は断らせてもらった。
結構、精神的に来る。
一番、疲れるのは知り合いが願い事をする瞬間だ。
白黒メイド服姿で黒髪ツインテールしたカンサイだった。
バイト帰りだったらしい…。
俺はメイド喫茶には行ったことがまだないが…新鮮ではあった。
マナナとキセキが永久に別れる願い事こそ、俺の本望だ。
物凄く力が入り過ぎて…次が疲れすぎた、グッタリ来た。
俺は自分がした願いは叶えられない仕組みらしい…。
そこが切ない。
もし、俺の願いが叶えられるなら…是非とも『モテますように』と願ってみたいが…。
成功した試しがない。
鏡に映る自分へ向かって、やってみたが…逆に何故か、どんどんモテなくなる・・・。
泉の巫女は…自分で願い事を出来ない宿命らしい…。
≪行ったの?
カンサイ。
でもミルルはあまりオカルトって好きじゃないのよ。
まあ、ミルルは読者モデルしてるし、巫女様も出来るだろうけど…。
でも、あの光るのが変わるの…。
トリックがある気がして仕方ないのよ。
それにミルルより綺麗って言うのが腹立つわ!
それになによ、あのCM…。
ミルルがどれだけ努力してCM女優になれたか…巫女様ってだけで…図に乗って!
何の苦労もなしにCMまで流されて…私がどれだけ…。
ミルルは…宗教とか、あまり信じない派だからね?
この村ではそんなこと、許されないけど…。
平和国でミルル、キセキさんと暮らすのも良いかもね?≫
ミルルは眼鏡をキラキラ光らせてる…言われたい放題だ。
||え?
ミルル、ターシャ教、信じないの?
信じられない、そんな人がいるなんて。
あたしは巫女様、綺麗だとは思ったわ…。
3連休か…デート出来たらな、キセキ君と||
いつも通りキセキだけモテてる。
「ミルルはターシャ神を信じないのか…。
でも、あまりその話はダークだ。
村で言えば…ミルルは捕まる。
僕の心に留めておこう。
デートは無理だ、僕は塾に忙しい、勤勉だからな」
キセキは茶髪をクルクルと指で触り始めた。
≪デート無理なの…ミルルも実はモデル教室が…。
ごめんね、キセキさん。
えっと、将来…ミルルと戦争と宗教がない平和国で暮らすなんてどう?
もちろん、戦争ばかりする邪神国とか論外よ?
今日もニュースで邪神教のメッカ、邪神国の報道がされてたわ。
何なの?あれ?
アソコの国の住人、イカれてる訳?≫
確かに…最近、テレビでは邪神国のニュースばかりだ…。
客からもそんな情報を得た。
キセキが密かに好いてる…2歳上の女子大生。
女子アナ風で、ゆるフワな濃茶ミディアムヘアーの人だ…。
俺のミサへも通うが…。
邪神教からのクーデターを恐れて…平和国へ見合いしに…来年には飛ぶかもしれないらしい…。
物騒ではある。
U邪神国な…仕方ないんちゃう?
アア言う国や。
あとな、キセキくんはウチと一緒になるべき人や。
ウチはこの学校で運命の人に出会えたんや、転校して来て正解や。
まあ、ウチはこのターシャ国で感謝してるで♪
この国好きやわ…特にターシャ村は一番スキやで。
だって、キセキくんがいるから、オアシスやわ♪U
||あたしが…キセキ君を…。
この二人は潰す…あたしは怒らせると怖いわよ?
普段、大人しい分ね?
あたしも同感ね?
ターシャ村で、キセキ君と抹茶でも飲んで…蜜月タイムするわ?
三連休、あたしの実家にこれば良いのに…。
ターシャ祭では抹茶を私、出す役よ?||
ミルルとカンサイが…ナデシコの逆鱗に触れたみたいだ…純和風顔のナデシコは白目まで向いてる。
ナデシコはふだん、慎まし気だが…キセキがいる前でだけこうなってる。
俺も無口だが・・・マナナの前でだけ暴言タラタラになってしまう。
ずっとそうだ。
何故かは分からない、勝手に口が動く。
何故かマナナをつつきたくもなる、反応を見るのが面白すぎてる。
「カンサイ、ナデシコ、ミルル…僕を巡って喧嘩するな、親友だろ。
見苦しい…。
それにしても…どうしたんだ?
何故、マナナは突然…最近…僕に冷たいんだ。
あれだけ僕に言い寄ってたくせに。
僕は失望してる、君に…」
「キセキ…」
マナナ、キセキはハッキリ振った方が良い。
どうせモテる。
こんな奴、痛めつけまくれば良い。
どれだけ俺にばかり攻撃されてるのか分からない。
全然、平等じゃないと思う。
容姿が違うと言うだけで酷くないか?
お前は…。
「…」
≪こんな女、もう良いでしょ?
キセキさん。
ミルルがいるから≫
Uウチも同感や。
ってか…何なん。
マナナはもうキセキくんを手に入れた途端、興味なくしたん?
どんだけ目移りしまくる女や。
ウチがキセキ君のこと、慰めたるでU
||ミルル。
もうキセキ君はあたしが貰うから||
≪何言ってるのよ?
ナデシコ。
キセキさんはミルルのモノに決まってるでしょ?≫
Uウチやって。
何言ってるん?
はあ?U
モテすぎてる、今日も。
マナナが苛めるぐらいで…俺とキセキは釣り合うに決まってる。
それなのに、何故かマナナがキセキにまだ甘い。
ムカつく。
俺は自習時間、自分の席へ留まり…マナナが座る右向こう岸席を見詰めてる…。
そこに長身男キセキの周囲に、女子三人トリオが集まって陣取り作戦が開始される。
「僕を巡っての喧嘩は止めろ。
カンサイ、ナデシコ、ミルル…君たちは親友だったんだろ。
それからミルル。
君はタリアと一緒になるべき女だ。
僕も応援してる」
≪キセキさん…そんな…。
ミルルにとって辛いことを…≫
ミルルは眼鏡の奥から悲しげだが…どうでも良い。
Uミルル。
そのとおりや、キセキくんが好きなら、キセキくんに従うべきやでU
||と言うことは…あたしとのライバルは…カンサイね?||
U望むところやで、ナデシコ?
ウチ、勝つ自信あるで。
ウチは夜も尽くすぐらいなんでもヤリまくるで。
大道芸人並みにU
||何言ってるの?
まな板ロリコン体型な癖して。
キセキ君はあたしの方が好きに決まってるでしょ?||
≪ミルルに決まってる、ミルルは落とす。
月神さんなんて、ミルル…どうでもいい≫
どれだけ俺の友達…モテてるのか、楽しくない。
「ミルル。
タリアの気持ちになってやれ。
アイツは小学時代から君のことが好きなんだぞ…」
悪いが本気でもうどうでも良い。
アレは、あまりマナナが俺ばかり苛めるから逆切れで言っただけだ。
もう訂正するの疲れる。
噂もそのままに流してた。
≪知ってるけど…。
でも…ミルルは…キセキさんが…≫
マナナは下敷きにいる…巫女様姿の俺を見てる。
マナナはキセキや女子3人トリオから視線を外してる。
「マナナ。
まさか…今週末にある今年のターシャ祭りは…誰かと行くのか?
僕以外の?」
「まだ分からないわ。
キセキには悪いと思う。
でも…私…キセキ以上に好きな人への気持ちに気が付いて…。
ごめん。
これしか・・言えない。
私のことは忘れて欲しい。
ごめん…」
マナナが下敷きから目線を離して、またキセキを見てる。
俺だけ離れた、マナナから遠方の左向こうの席だ。
キセキが女子3人侍らしたまま、俺の右向こう席…マナナへ近寄ってる。
キセキも諦めが悪い男だ。
マナナは巫女様、つまり俺が好きだ。
もう諦めても良いと思ってる、キセキがだ。
「マナナ」
≪キセキさん、こんな奴。
もう落第してもサヨナラしましょう?
ミルルと向こうの席へ行きましょうよ。
イチャイチャしたいわ、ミルル≫
Uそうや。
もうマナナは敵じゃない。
腑抜けヤロウ、ビッチ。
キセキくん、ウチ選んでやU
||キセキ君、マナナはこういう女なのよ。
浮気女なんて忘れるべきだわ||
女子達も同感らしい。
もうキセキも近寄らない方が良い、マナナがいる場所へだ。
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タリアから見た日常A