アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

紫陽花A



「サスケくん。
私が力になれることなら何でもしてあげる」

俺はサクラと同じ布団にいる。
服は着てない。
それからサクラが上目遣いで、俺の頬を掌で撫でてくれる。

サクラが、俺の首元に…自分の腕を廻し、ピッタリ密着してくれる。

「サスケくん、だいすき」

サクラの乳房が俺の胸元に当たってる。
いつものことだ、癒される。

「初めて泣いてる顔、見せてくれた。
いつも隠すから」

『…』

返事できねえ。

これも家族が出来て俺が感激して泣いてると誤解されてるんだろ。

「サスケくん。
昔ね」

『昔のことはもう良い。

俺は過去は振り返らない。

未来のために生きてる』


最近の決まり文句にもなってる。

「違うの…。
サスケくんが随分昔、アカデミーの頃、6歳ぐらいのとき、よく泣いてた…お手洗い場で。
私、知ってる。
思い出した」

その時代の話か。

「あの頃、どうして気が付いてあげられなかったんだろ。
私の責任かもしれない、サスケくんが苦しんだの」

『違う。

関係ない』

「サスケくん、覚えてる?…」

『昔過ぎて忘れた』

「そうだよね。
偶然かもしれない。
それから一年後、いつも私、サスケくんのあとを追いかけてた…放課後はいつも。
その時のこと、覚えてる?」

『俺にはアカデミー時代の記憶はもうない』

「そっか。
大変だったものね、サスケくん。
忘れたのも無理ない」

『…』

サクラの心臓の高鳴りが分かった。

「サスケくん、発見したらいつも私はサスケくんに引っ付いてた。
放課後、楽しかった。
サスケくんはいつも修行に明け暮れて。
定時に決まった時間にいて。
放課後は公園の前の曲がり角にいた。
サスケくんはそのとき、泣いてた…公園で悪口だらけで仲間に入れて貰えなくて」

『…』

「私はもっと昔、サスケくんに女友達の集団の輪に入れてもらえたことがあって。
それで、サスケくんに説得した」

『…』

「サスケくん、覚えてる?」

『…』

「泣いてる、あの時、きっとサスケくんは…。
家族を失って辛かったんだね」

俺は何も言わずサクラを抱き締めといた。

「そうなんでしょ?
サスケくん。
きっと。
もう、本当に覚えてないの?」

『あの当時の記憶なんてほとんど俺にはない』

「そっか…」

サクラの目がパチクリだ。

「サスケくん。
私、サスケくんが里で認められるよう。
全面協力する。
サスケくんが職にもつけるように頑張る。
サスケくんは出来る。
絶対、大丈夫。
私が保証する。
サスケくんは強いから誰よりも。
忍者世界でもサスケ君ほど強い人なんてそういない。
サスケくんのことは何年でも私待つ。
決めてる。
サスケくんを私は愛してる。
誰よりもきっと。
私は絶対、サスケくんが私を選んだことを後悔させない。
幸せにする」

『ありがとう』

昔から言うことも変わってない。
お互いに。

昔から本気で変わらない。

泣いてる俺に
「少女漫画でも男の子は泣いちゃダメだって描いてた。
そんな男はモテない、魅力ないって。
サスケくんが強くなること、期待してる」
「サスケくん…大好き。
強くなれること、応援してる。
しっかりして。
私、強くないサスケくんなんて好きになれない。
サスケくんは絶対、強くなる…」
こう言ったこと覚えてるか?

俺はしっかり覚えてる…違う意味で泣いてた…。
あの当時は連日泣いてたが、最後までサクラは俺の側にいてくれた。

俺はそんなサクラが大好きだ。
サクラが全うだから俺は闇に行かずに済んでる。
あの頃もそうだった。

俺はくじけて今…闇世界へ戻ろうかと悩んでた。
サクラは必死に里で認められる道へ行くように説得してる。
俺は長期任務なんて嫌でたまらない。
しかも年単位なんて苛めも良いところだ…。
自分の罪は何年でも償う気でいたが逃げ腰だ。
さすがに…。
サクラと関係を持った日から欲が出てしまったらしい…。

今、苦しい。
俺は逃げたいからだ。

「サスケくん、あの当時…。
本当にナルトに苛められて泣いてたの?
確かに公園で仲間に入れて貰えなかったけど。
先生もサスケくんに冷たくて。
確かに…サスケくん、家族もいないのにあれでは…辛かったよね?
女の子のセクハラや物取りで…。
サスケくん、教科書なくて大変そうだった」

『…』

「もう忘れたこと言ったら悲しいよね。
これからは私が守る」

『ありがとう』

「サスケくん、どうしてあの時、教えてくれなかったの?
家族のこと。
話してくれたら。
そしたら…」

『うざい、覚えてない』

「そっか。
ごめんね、蒸し返して…」

『俺は会話は好きではない。

話したければおまえが勝手に話せ。

俺は聞き流す』

「サスケくん、私に何が出来るんだろう。
サスケくんのこと、早く里の人たちに認めてもらいたい。
そのためなら何でもしたい」

溜息を吐いた。
この話題は重い。
今日は特にだ。

「サスケくん、私…明日も…」

『うざい、黙れ』

この続き、言うことは分かった。
俺は怒った。

敷き布団を拳でドスンと叩いた。
それでも足りず…上布団は引きはがし、向こう側に放り投げた。
上布団が…床の間の花瓶に当たり…花瓶が倒れ…布団が濡れたが知らねえ。

花瓶には花が生けてある。
紫の花だ。
衝突で、花も一緒に…花瓶から…水と共に、飛び散った。

紫陽花(あじさい)
      (花言葉:辛抱強い愛情)

俺は最近、紫陽花が嫌いになってる…。
耐えなければならないのか???
この花を見る度にイライラしてる。

サクラは紫陽花の花言葉は知らねえだろう。
見る度に…ゾゾッとしてる。
長期任務に耐えなければならねえ未来をだ。

俺はまだ、6月の青い花ならアヤメの方がスキだ。
花言葉が”希望”だからだ。

サクラは殴る訳ねえ。
どうせ明日も説得しに行くとでも言うのだろう。
俺も必死だ。
おまえに言われると余計に俺は辛い。
目は座ってる。

『もう、その話は俺の前で言うな。

うんざりだ』


キレ気味になった。

「サスケくん」

サクラは動揺してる…目が泳いでる。

『察しろ』

「ごめん…」

他に言葉が出ねえ。

『ほら、時間があるなら来い』

「え…」

俺は悪いがやってる方が楽だ。
会話は疲れる。
おまえに認められるためにしてるだけだ。
里で認められる系の会話になるたび、俺は疲れてる。
俺も必死だからだ。

刑を放り投げて闇世界へ一緒に逃げようか…。
そんなことばかり考えてる。
姑息手段しかさっきから思いつかない。
本当のことは話せない。
これも悪癖でもある。

サクラにはキスをした、もう喋らさないためにだ。
深いキスしたら。

『おまえから来い。

おまえはうざすぎる』


命令した。

サクラは目を泳がせて、俺へ口づけしてそれからいろいろ…

「どうすればいいの?」

と尋ねてくる。

『…』

勝手にしろと言う意味で頭には痙攣だ。

サクラは俺の胸元を撫でたり、舐めたり、体を触ったり、頑張ってる。

そんな態度を見てるのが愛おしい、可愛い。

この瞬間が一番、俺はスキだ。

サクラをあと、抱いてる時もだ。

会話なんて苦手だ。

また里を崩すことを考えてる。
里さえなければと考えてる。

俺はサクラのために耐えなければならない。
サクラは俺が里で認められ職に就けることを望んでるからだ。

俺は強くならねばならねえらしい。
いつかは知らねえが。
カグヤが現れる気配が出る日までは俺はもう、演技は止めた。
抱きまくらせてもらう。

少し前まで遠慮してた。
何年先かは知らねえ。
しかし、仕方ない里のために動くことに決めた。
本気で今日は逃げようか。
里を壊そうか。
そのことしか頭になかったが。
サクラがうるさい。
仕方ねえ。

外でもする。
ヤリまくる。
結界貼って遊びまくる。

サクラがマフラーを編み終わる季節まではいれることは祈る。
上手に編んでもらえることを祈ってる。
それも任務先へ持っていく。
というよりもう平和でいてもらいたい。
カグヤには自殺でもして消失してもらうことを念で送りたい。

俺はここで暮らしたい。
里は捨てたい、カグヤのために何年も走る…そんな任務はおりたい。
嫌がっている。

これ以上、俺とサクラを引き離さないでもらいたい。

☆☆☆

翌朝、サクラに何も告げず、俺だけ5時に屋敷を出た。
時間がねえからだ。

(行ってきます、サクラ)

玄関出るときは心では告げた。
それからすぐ、開店前の忍者書店へ赴いた。
ガレージのシャッターが閉まってる。
外はまだ日が完全に昇り切ってるとも言いきれず、薄暗い。

ガレージの前で俺だけ一人つっ立ってる。
傍目に見れば、不審者だろう。
しかし、その道を偶然通ってる。
とも見える。
俺は立ち止まり、空を見上げてる。
今日は雨が来ないか…天候確認だ。
それから、そんなフリをして…中忍試験の時、カンニングしたあの技をする。
誰にもバレてはいかねえ。
自来也の本なら18禁、コーナーだ。
本棚に書籍が並んでるのが写真のように瞼に映る。
題名が陳列してる。
カカシの大好きなイチャイチャシリーズ…、まだ愛蔵版として、売られてるらしい。
忍者秘蔵出版で間違いないらしい。
個人出版を主とする会社だと聞いたことある。

溜息ついた。
あとは…6時には来てる筈だ。
カカシのいる火影室へ行かねばならねえ。
アイツは昨日、確か…今日は会社泊まりかもしれねえ。

「予想以上に火影は大変だ」

と漏らしてたのを思い出した。
カカシも大変らしい。

そこへ足を忍ぶことにした。

火影室の前まで、進み…鍵は締まってる。
どうせ、まだ寝てる。
俺も寝たい。
ドアをノックした。

「誰だ?
起こすのは。
まだ、時間がある。
寝させてくれ」

俺も同感だ。

『用がある』

これだけで誰の声か分かるだろう。
扉の前から伝えた。

「サスケか?
珍しい。
仕方ねえ、開けてやる」

カカシが出て来た。
寝ぼけ眼だ。
ここでどうにか俺の刑を速めてくれるように説得をしなければならねえが。
俺は辛いことにナルトとは違う、直接は言えねえ。

『来週からの俺の勤務の話だが…』

「本当におまえはよく働いてくれてる。
お蔭で情報が集まって来てる」

断りにくくなった。

『今、図書館が使いたい』

「どうしてだ?
何の用事だ」

『カグラの情報について、漁りたい。
木の葉の秘蔵文書にしかねえものだ』

「それならお安い御用だ」

何とか通じた。

「俺が見張ろう」

まだ信用されてねえらしい。
鍵だけ渡してほしい…。

『鍵だけで良い』

「まあ、良いか。
しかし…実はあれ、許可証がいる。
その欄に見張り役と使用人のサインもだ。
あと、俺の判子と指紋もいる。
一応、術で監視されてる…。
秘蔵文書の区域はそうだ」

やはり…木の葉がそこまで管理が薄かったわけでもねえらしい。
当たり前だ。
情報とは機密なのだ。
里外への流出は許されねえ。
どこの里でもそうだとは推測してた。
カカシを通して正解だった。
カカシなしでも俺一人で出来たかもしれねえが。
トラップに万が一、発動でも起こせば…また罪が増える。
トラップも現在の俺なら見切れるかもしれねえが。
渡らんで良い橋なら安全を望む。
カカシの許可が下りねえ場合は強行手段もあり得た。

「今日じゃなきゃダメなのか?
俺はまだ眠い」

『今、頼む』

「仕方ねえな」

カカシが付いて来るらしい。
俺もサインをしなければならないらしい。
ややこしい。

図書館へ通された。
俺もサインはする。
カカシは判子とサインと指紋だ。
入口につくなり…俺は術を発動する。
”木の葉の住所録”。
本のありかは判明した。
本のある場所へ進み…”忍者秘蔵出版”を探す。
な行の項目だ。
見ればすぐに暗記は出来る。

カカシはデスクで寝てる。
怠慢な野郎だ。
終われば、俺はカカシのいる机へ戻った。

「もう終了か?」

『ああ』

「寝ても良いか?
ここで」

『・…』

俺も眠いが耐え忍んでいると言うのに。

「来週からのおまえの勤務…サクラがなしにしろと
俺にうるさいことをおまえは知ってるか?」

『…』

「サクラには悪いとも思ってる。
結婚したと言うのに…」

『…』

「しかし、会議をしなければ俺だけの発言で決まる話でもねえ。
サクラは綱手やナルトにもうるさいが」

ナルトと会ってるのが気に食わねえ。
知ってるが。
ヤツだけは許せねえ。

「おまえはサクラのことをどう思ってる?」

またその質問か。

『・…』

「返事なしか。
サクラは不憫な女だ」

おまえが俺に遠征任務ばかりさせるからだ。
少し怒りはある。
逆切れともいうが。
俺が悪いのは周知だ。

『カカシ…』

「何だ?」

『おまえ…俺が贖罪の旅による、遠征任務で明け暮れてた去年。
里の仕事を数日間、放り投げて、女豪遊旅行へ逃げたらしいな』

「…」

カカシの目が瞬きだ。
やっと目が覚めたか?

『俺は犯罪者、おまえは火影…里の名誉職でもあるが…。
あるまじき行為だ。
理解はあるな?』

「どこでそれを・・。
何がしたいんだ?
おまえは…。
俺を脅してまさか、また里崩しを…。
サクラのためにそれは慎んでくれ…。
あの子があの時、どれだけ泣いてたか…おまえは知っているのか?」

盛大に誤解してやがる。
御都合主義な野郎だ。

『おまえの犯した罪は…里の住民が知ればクーデター並みだ。
無断欠勤を数日…報告書には、おまえが発動する術を利用して偽ったらしいが…。
最近は…真面目に仕事してるか?』

「何が目的だ?
今までおまえは俺に忠実に…カグヤの件についても調べてくれた。
それから、今日も突然、それを調べるために俺を叩き起こした。

まさか、サスケ。
内部から木の葉を侵略するなど、馬鹿なことはもう考えてねえだろう?
サクラの…愛まで利用して…おまえは…」

『…』

誤解を解く気にならねえ…。

「おまえは…本当にサクラが好きなのか?
結婚のプロポーズもサクラかららしいじゃないか?」

『…』

照れて何も言えん…。
頭は停止状態らしい。

「もうよせ、止めろ。
おまえが最後にナルトを殺し、革命を引き起こそうとしてた話は全員に黙っといた…。

おまえの失った腕はカグヤにヤられた話に里ではすり変わってる…。

リー、綱手…イノ、サイ、ガイ、我愛羅、チョウジ、シカマル、イルカ、キバ、シノ…。

その他、全員にも秘密にしてやってる…。

復讐しても良いことなど何もねえ。
俺も無断で休んだのは悪かった。
この件は水に流せ」

『里に流す』

ここは睨んだ。
さっきの照れ隠しもある。

「分かった。
何だ?
何が目的だ?
俺がおまえを扱き使っていることへの反抗か?
確かにおまえを頼って遠征任務ばかり全部、おまえに押しつけてる。
里の住民が嫌がる仕事をだ」

理解してるらしいな。
自分の罪を。
わざと今までしてただろ?

『会議で今より強く言え。
俺は遠征任務疲れてる。
おまえは火影、俺は犯罪者。
おまえは里を捨てて、豪遊に走った。
それも一週間も替え玉の術だ。
俺がおまえを見逃す訳もねえ。
俺はおまえを恨んでる』

「サスケ、悪かった。
許せ。
里を恨むな。
サクラのためだ。
おまえはもう、善人になってくれ」

盛大なる解釈だな。

『おまえの権力を最大限に利用しろ。
おまえが俺に永住権を命懸けで与えぬ限り、俺は里崩しを再び決行する。
贖罪の罪は捨てて、反逆行為に出よう。
締め切りは日曜の夜だ。
回答を出せ。
この件は他の人間に言うな。
おまえの罪を里中に俺はバラス。
里は火影が一週間も任務を捨てて、豪遊に走った件を恐らく許しはしねえ。
おまえを牢獄に入れる。
おまえも俺と同じになる。
道を選べ』

「サスケ、思い直せ。
耐えろ。
サクラのためだ。
俺も悪かった、確かに火影が予想以上に大変で。
遊びたいとも願った」

『おまえには期待してる。
回答次第で俺は行動を変える』

カカシは動揺しまくってる。
俺には前科がある。
疑いすらしてねえらしい。

『カカシ、俺は里のため…おまえのために…。
おまえを隕石から去年、救ったことを覚えてるか?
おまえの命の恩人だな、俺は…』

「サスケ…。
それは…。

まさか、今日…。
この瞬間が目的で…。
あの時…。
俺をおまえは…助けたというのか…?」

サクラがいる里を守るために助けた。
しかし、この会話からも俺がどれだけ里でまだ不審者がられてるかが…すぐ悟れる。

俺は最初の会話でカカシが任務をサボり、女豪遊旅行をした件について責めてるだけにも聞こえるのに…。
勝手に、俺がまた里崩しをするための脅しだと…誤解してる…。

俺のまだ味方…カカシですらこれだ…リーやサイ、ガイ先生はもっと酷い。

ほとんど里に俺は帰らせても貰ってない…。

戦後から3年経過したが…里の住人は、俺と大蛇丸は大差ないような扱いだ…。
キバ辺りは…首を傾げてるらしい…。
悔しいことにナルトぐらいらしい…。
あとサクラは絶対的味方だ。
シカマル辺りは…ナルトに釣られて、信じるとか言ってるらしい…。

俺の信用ガタ落ちなのは理解できる。
さらにサクラからの求婚で…結婚したことについて…サクラの密かなファン共の嫉妬が来てる…。
サクラがモテることぐらい知ってる…、いろんな連中から毎日、これだ。
人殺し、里崩し宣言、クーデターの罪は…3年程度で…里の信用は戻せないらしい…。


『あの時、俺がいなければ。
カカシ、おまえは今頃、絶対死んでた…。
この意味が分かるな?

俺はおまえに恩を与えてる…。

里にとっても、おまえにとっても俺は必要な人間のはずだ。
なるべく優遇した方が自分の身のためでもあるだろう。

おまえにとって、火影として一番の仕事は…俺の里崩しを二度とさせねえことだ。
それ以外に何がある?』

「分かった。
なるべく…協力はする」

『カカシは頭が良い。
話が通るから俺はおまえに期待してる。
ここまでだ。
俺は今日の任務へ飛ぶ。
おまえは緊急会議を開始し、俺の永住権に関する項目で強く叫べ。
″俺はサスケに命を助けてもらったアイツは悪人ではねえ″と』

「…」

『俺は再三話すが、里崩しをする気はサクラの手前もうねえ。
しかし、おまえの返答次第では次の行動が変わるのは確かだ。
おまえは火影を捨てて豪遊した。
俺も遠征任務はなるべく断り、平和なうちに里で永住を望む。
おまえも里が危機に晒されれば連日休みすらねえ。
そこは理解できてる筈だ、だから…安心してサボったはずだ。
俺がこれを言う気持ち、罪を犯したおまえだからこそ…理解できるはずだ』

サクラの手間ないと、しっかり伝えた…。

「…。
サスケ、おまえは…本当にサクラのために…里崩しはしないんだな?
あの子をもう泣かせないんだな」

『うるさい。
おまえの一言でサクラの未来は変わる。
回答次第では復讐に走る可能性がある。
おまえの発言力は重い。
そこを…わきまえろ』

この言葉は真実だ。

サクラ、サクラ、うるさい。
俺は…カカシとサクラを引き離したい。

「分かった。
サスケ…。
復讐しても何も良いことなんてない…おまえは学習したはずだ、身を持って…」

『…』

「しかし…俺は…サクラのために。
あの子をもう泣かせないために…助力しよう…」

『…』

サクラから離れろ。

「あの子は…おまえの人生を不憫に感じ…涙を流し…。
おまえが悪人に転んでもなお、おまえを待ち…今も、この里でおまえが…認められるためだけに…必死だ…。

親のように…おまえを愛してる…」

『…』

今、切れてる。

「おまえを…息子のようにあの子は思ってる…。
俺には…分かる。
サクラは正義感の強い子だ」

『…』

さらに怒ってる。

「サクラのために…俺は…協力しよう…」

この言い方、最強にムカつく。
頭に痙攣すら起きてる…だんだん、沸点だ。

サクラは親のようになど愛してない、俺を男として愛してる。

カカシの勘違いも甚だしい。

『おまえとはココでさよならだ。
俺は今日の任務先へ飛ぶ。
この件は誰にも他言不要だ。
すれば、おまえの罪を流す。
おまえの首は飛び、牢獄に入れられる』

「…」

カカシの目が泳いでる。
これで良い。
俺はここを去ることに決めた。

次は…綱手だ。
今、7時か…。
いるかもしれねえ。
昨日は上層部で会議があったらしいから。
綱手もここで泊まってるかもしれねえ。

医療班へ飛ぶことにした。

☆☆☆

医療班に着いた。
また叩き起こさねばならねえらしい。
綱手とは面識が、俺は少ない。

『指令だ』

扉の外で叩いた。

//何のようだ?
ヒック。
今、朝だぞ?//

朝から酒飲んでたらしい。
綱手らしいな。

//サスケか。
サクラと結婚したんだってな。
おめでとう。
で、何の任務だ?//

俺は綱手の前に無言無表情で…レシートを見せびらかせた。
途端に綱手の表情が冷め始めた。

//おまえ…これをどこで?//

綱手の借金の肩代わりの保証人欄が…木ノ葉金融だ。

掛け金も一部…木ノ葉から出ている。

『おまえは金と酒に弱い』

//目的は何だ?//

綱手の顔が突然、冷めた。

『俺の遠征任務を取りやめる会議が今日結集されるはずだ。
”賛成だ”と強く、叫ぶだけで…これを黙る。
この件を水に流す。
もし、俺の遠征任務を取りやめられなかったら…。
その時は里の上空から、このレシートの山を俺は落とす…。
複写を術で何枚もしてだ。
どちらか未来を選べ』

//…//

『じゃあな』

それだけ言い捨てて去った。
もう用はねえ。

まだ次がある。
里一番の俺が恨んでる人間…ナルトだ。

ヤツはこの時間…里抜けの道近所の森で最近は精神修行してる…。
そこへ駆け込む。

前、俺が不在の折には、ヒナタよりサクラを優先しろと脅した場所でだ。


☆☆☆



アイツはもう俺の本性も全部ばれてる。
逆にやりやすい。


ナルトには会いたくもねえ。
しかし…あとはコイツに未来が残ってる。

俺はムカつきまくってる。
しかし、サクラにも昨日、応援された。
昔のように里崩しするわけにもいかねえ。
俺はサクラの忠実なるシモベだ。

アイツは俺を見るなり、声を掛けた。

「サスケ」

今度は動揺してねえ。
前回の会合で仲直りしたなどとまだ勘違いをしているらしい…。

『ナルト』

「サクラちゃんのことなら俺に任せろってばよ。

命に代えて守るってばよ。

俺はサクラちゃんもヒナタも両方同時に守るってばよ。

おまえが里にいなくても安心だってばよ。
おまえはゆっくり遠征任務をすれば良いってばよ」

相変わらず、俺の地雷しか踏めねえらしい…。

俺は…遠征任務、嫌がってる。

「男の約束だ。
守るってばよ。
俺は火影になる」

いつものことだ。

『ナルト。
俺はまだおまえを完全には許してねえ。
サクラをダシに俺との成績争いをした件についてだ。
まだおまえは部が悪い』

「ええってば?
まだだってばか?」

『おまえはサクラをラーメンのように愛してるらしいが…。
それも許してねえ』

「本当、執念深い野郎だってば。
おまえはよ」

『俺に従え。
今日、俺の永住権に関する会議が結集される予定がある。
そこでおまえは強く賛成すると発言しろ。
今週末、日曜日までにおまえはそれを承諾させろ。
火影になれる程度の力があるヤツならこの問題、すぐに解決できるはずだ』

これでいい。
コイツは火影にこだわってる。

「分かったてばよ。
俺、サクラちゃんのためにもサスケのためにも頑張るってばよ」

少し、ナルトへの罪は減った。

『ありがたい』

「しかし、サスケ…。
俺さ。
実は第七班結成初期はサクラちゃんがもし俺に来てくれたら…。
俺、違う未来だったかもしれねえってばよ。
別にサスケを陥れるためにサスケに敵意を向け続けてたわけではねえってばよ。
そこを理解してくれってばよ。
俺のこと、許せってばよ、サスケ」

『…』

俺は逆にブチ切れた。
返事もしねえ。

違う未来…。
とは…。
ナルトとサクラが…引っ付くという…意味か?

…。
俺にとっては…最悪も良い話だろ…。
それは…。

ナルト…。
おまえは…。
まだ俺の本性、全てを理解してねえらしい…。

半分程度しか、わかってねえだろ?

やはり…。

ヒナタの存在が薄く…ネジすら登場もしなかったその頃、本気で危なかったらしい。
いつから…それが変わったのかもわからねえ。

ナルトのその感情。
おまえは…いつからヒナタに転んだ?
まさか…俺が里抜け後なのか?
それとも戦後なのか?
俺はそれが…怖くて…ナルトには聞けねえ。
知らねえほうがマシだ。
最初、気があった話だけでも俺は怒りが沸くレベルだからだ。

『…』

サヨナラの挨拶すらせず、俺は任務先へ行くことにした。
時間もねえ。

「サスケ、許せってばよ。
俺は火影になる」


完全に許せるわけもねえ。
動揺しまくりだ。
サクラにこの件だけは絶対話さねえ。
耳に入れさせる気はねえ。

ナルトが…サクラに気があった時代があったなんて、サクラへ知らせてたまるか。
サクラはライクと信じて疑わねえからだ。
サクラはいろいろ鈍すぎる。

俺は洞察力あるかもしれねえ。
写輪眼がそういう類だと聞いたことある。
日向の眼力の方が更に洞察力は上らしいが。

まさかだから…。
ヒナタはナルトを即座に認めたのか?
ネジもそうなのか?
俺は白との死闘で危機を感じたが。

俺が里抜けしない未来などないと思うが。

あのまま里にいれば…ナルトとサクラがどうなったのか不思議でたまらない…。

大蛇丸には

〜里にいれば…サスケくんは強くなれない、弱い男を里の女は見捨てる。
当たり前のことでしょ?
恨みなさい。
私が良い例よ。
私の班の関係と、サスケくんの班の関係はそっくりで。
サスケくんは私に似ている…。
それが天からの答えよ?
醜く生にすがり付いて、復讐に燃えるのね?
サスケくんは強くなれるわ…。
保証してあげる〜

とは毎回、アジトで諭されたが…。
俺は大蛇丸には似てねえと思う…。
あんなにナヨナヨして女言葉を話さねえ…。

同類にされるたび嫌悪感が沸く…。

あと…まだナルトが許せないらしい…。

また明日も俺は課題山積みだ。

☆☆☆

遠いところで任務も終えて、自宅へ帰る。
今日は夕飯食べる暇もねえ。
金曜は忙しい任務だからだ。

土日から休みが入る分、俺だけ仕事内容が多い。
いろいろキレそうにはなる。
木曜のうちに終わらせたい。

自宅に着くと。

”うちは”家紋入りの服を着た俺の嫁が出迎えてくれる。

「サスケくん、おかえり」

『ただいま、サクラ』

「今日は朝のキスなかったね。
なんか仕事早かったんだね。
私が起きたら…隣にサスケくんがいなくて…ビックリした。
ね?
サスケくん。
帰りのキスして良い?」

『まだ、仕事がある。
帰ってからで良い』

キスしたら俺は反応する。

「そっか…。
ちゃんと、言われた通り、お酒買って来たよ。
それと、アサリの味噌汁と塩サンマと鳥のササミ。
テーブルに4人分、置いてるよ。
今から、配りに行くの?」

俺は自宅に着けばいつもは仏壇で拝むが、
その暇もねえ。
サクラの顔も見ねえ。
忙しすぎるからだ。

返事すらせずに机の上にある。
弁当を二つ持って。
味噌汁はサクラは出来た女だ。
蓋の付いた水筒状の容器に入ってる。
酒も地酒だ。
それを鞄に入れて、玄関へ戻る。

「サスケくん、日ごろの感謝をこめて仲間に送るって言ってたけど…。
サスケくんの家を探してたら…こんな写真が…。
香燐さんとサスケくんと…もう一人…男性の写真が…」

『水月か?』

「友達?」

『違うな』

下を向いて靴はいてる。

「この人たち、昔の仲間?
それとも…これは香燐さんとサスケくんの…旅行写真?
水月さんだけ、現地のガイド人?
違うよね」

『昔、大蛇丸時代の仲間だ』

知らねえとそう見えるのか?
サクラ…。

「お弁当、この人たちに配るの?」

『どうとでも思えばいい』

これだけ伝えて俺は自宅を去った。
奴ら、カカシと綱手が飯を食うまでに配らねばならねえ。
会議もどうだったか聞かなければならねえ。

「サスケくん。
今日は帰り遅いの?」

俺は返事すら出来ねえ状況にある。
そのまま、背を向けて…木ノ葉の職場施設へと向かった。

☆☆☆




サクラ視点



私は毎日、仏壇の前で拝んでる。
里抜けの道ではアジサイの花が綺麗に咲いてる。
私は積んできては毎朝、変えてる。
季節の花だし。
綺麗だから。

リーさんには…結婚翌日、つまり結婚2日目に…。

<君は里を襲った犯罪者だ。
絶対に…僕は許しません。
里は君の一族を奪った。
それから君も処刑する気だった。
どうして帰って来たんですか?

香燐さんが里で…サスケくんのことを言って泣いてました。
君は女泣かせな酷い男です。
君は闇世界の方が似合う。
僕はあれから強くなりました…サクラさんに認めてもらうために…ずっと修行してました。

今の君を越えてる自信もあります。
役職も僕の方が上です…君は僕より下です…僕は里で認められ、両親もいるし…将来性もあります。
ガイ先生にも愛されてます。
里の住人も君をまだ歓迎してません…僕だけじゃない…サイも、君を疑ってます。
他にもアカデミーや忍者学校の出身の…僕の男友達数名が…君を疑ってる…。

里は君をまだ認めてない…僕を憎んでいいです。
闘ってください。

僕と真剣勝負しましょう…。
僕には分かる…里をまだ、君は恨んでる筈です…。
ナルトに負けたから…留まっただけだ…。
その証拠に…ナルトの結婚式には、君は来なかった。
ナルトの結婚式で集合写真にも映ってない。
木の葉の額宛てもしていない…。

僕はここで…君と力比べします…。
闇世界に帰って下さい…。
君は…期を伺って里崩しを決行する気です。
額宛てを未だにしてないのが証拠です。
里はまだ完全に君を認めてません。
君の居場所はここにはありません…。
僕は既に忍者学校の教師です、君とは全く違います…里で全員に認められてます>

サスケくんと一緒に歩いてる時…こんなことを言われて…。

それから…。
今日も、言われた。
サスケくんのいない席で私に。

<サクラさん、サスケくんはちゃんと家に留まってますか?
香燐さんとの仲はどうだったんですか?
結局?>

「いるわよ。
何もないって。
初日に否定してくれたわ」

こう返事はした。

<それならよかったです。
サクラさん、お幸せに。
僕も先生になってからは大変で。
教え子って良いものですね。
まるで自分の子供が出来た気分で…>

あまり、リーさんの話は心に入らない。

サスケくんのことだけで精一杯で。
今日はサスケくん、朝起きたら隣にいなくて…。

それから…家の中で…。
香燐さんの写真を見てしまったの。
私との写真は撮ってくれないのに。
知らない男の人と、サスケくんと香燐さんの写真。

一瞬。
旅行写真に見えてしまって。
動揺した。
私はサスケくんのために…昔は母のように。
サスケくんが失った家族のように愛そうと努めようとしたのに。
どんどん欲にまみれて来てる。

サスケくんには否定されたのに。

夕飯、サスケくんが日ごろお世話になってる仲間に弁当を二人分余計に作るよう頼まれて。
私は作った。

これがまさか香燐さんのために作ってるのだとしたら。
私はイヤみたい。

サスケくんは何もないって初日に否定してくれた。
それなのに…二日目にリーさんに言われて、更に今日は写真まで発見して。
私の写真は写真記念館で撮ってくれないのに。
物凄く嫉妬してるみたい。

サスケくんと昔の話をしようとするといつも交わされる。
私は家ではほぼヤッてるだけ。
サスケくんは結婚してからあまり普通の会話をしてくれない。

だから動物園なら話が弾むかと思って、企画したのに。
断られた。
私もデートしたい。
香燐さんとはデートしてたみたい。
二人っきりで里の茶屋を歩いてる姿をリーさんも昔、目撃したことがあるみたい。

それも今日、教えてもらった…。

<サクラさんは知らないんですね。
あれは僕が16歳ぐらいの頃の話です。
サスケくんと香燐さんが茶屋でベッタリ引っ付いて。
一緒に何かを頼んでました。
僕たちはサスケくんを里に引きとどめるために戦いを挑んだのですが…。
サスケくんに幻術を掛けられ…逃げられました。
二人の仲がどこまでなのか…僕は気になります。
どう見ても僕たち全員の目からカップルにしか見えませんでした>

私はサスケくんと茶屋にベタベタ入ったことなんて一度もない。
しかも、写真まである。
悔しい。

聞きたいのに。
聞く前にいつもなし崩しに関係になってる。
サスケくん…どこでこんなに慣れたのか。
気になって仕方ない…。

サスケくんは飽きるまで夫婦生活をするって。
二日目に言ってくれた。
サスケくんが家族が欲しくて頑張ってる気持ちも分かる。
でも、会話もしたい。
それなのに、サスケくんはまるで逃げるように。
私との会話を拒む。
私はどうすれば良いんだろう…。
サスケくんとデートがしてみたい。
こんなに大好きでたまらないのに…。


紫陽花@

目次

紫陽花B










inserted by FC2 system