アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

温泉宿@



~サクラ視点~


今日は金曜日。

今日の昼間、職場…医療班にいるイノとこんな会話をした…。


☆☆☆

≪そう言えばサスケくんとアカデミー時代女子たちみんなで放課後ゲームをしたこと、あったわね≫

「あ・…」

私は都合の悪いことはすっかり忘れてた。

≪サクラの深い愛にサスケくん、落ちたのね。
あの頃は常に私がリードしてたのに…。
サスケくん女子たちにしたあの約束、覚えてたのね…≫

「・…。
そっか、だからサスケくん私からのプロポーズに受け入れてくれたんだ…」

≪サスケくんが里抜けさえしてなかったら…私もサイにも会えず…サスケくんと私がなってたのかもしれないのね…。
本当に運命って不思議ね。
やっぱりサイは私にとって運命の人なのね…。
あの時、あれがなかったら未来が変わってたなんて…≫

「そうなんだ…。
じゃあ…もしもなんて言葉ないけど…。
サスケくんがイノと一緒になってたら…私は…いったい…誰と???」

≪そうね…ナルトかしら?
やっぱり?≫

「ナルト?
ヒナタがいるじゃない?」

≪うーん。
ヒナタとナルトの取り合いだったかもしれないし…。
どうだったのかしらね?
サスケくんのこと、それでも諦めきれず、サクラは一人だったのか…。
そこも謎だわ?
サスケくん、あの約束…ゲームだって当時は思ってたけど。
あれこそサスケくんが求めてたものだったのね…。
感慨深いわ…≫

「…すっかり、都合の悪いことだし…覚えてなかった…。
あのゲーム毎回、私…負けてばかりで…。
下忍になってから私、能力値が上がったし…」

≪まあ、私も忘れてたのよ?
でも昔の戦友にメールで伝えたら…アカデミー時代の女子からそのこと、教えてもらって。
昔の記憶がよみがえったの。
色んな事あり過ぎて…、私はサイのことだけで精一杯で忘れてたけど…。
それで昔の戦友仲間実に100名以上の女子軍団も納得してくれたみたい。
他の学年にも当時はサスケくんファンがいたのよね…≫

「そうだったわ…。
本当に毎日、大変だったわ…」

≪最近はその子たち…結婚したナルトをヒナタから離そうと必死みたいよ?
ヒナタから子供が生まれる前なら間に合うって…≫

「まだあの壮絶な戦いが続いてるのね。
ナルトのどこが良いのかしら?」

≪やっぱり火影になりそうだからじゃないかしら?
権力に弱いみたいね。
あの女子たちも…≫

「そう…。
ヒナタも大変ね…」

≪ヒナタはああ見えて強いから…まあ、上手に交わしてるみたいよ?≫

「そうよね?
ヒナタも結構、能力者だものね?」

≪サクラは知らないのね、あんた本当昔からトロイわね…。
今、ヒナタが裏でナルトを狙ってる女に対して何て言ってるか知ってる?≫

「え?
何て言ってるのヒナタ…」

≪絶対、ナルトにだけは言わないって約束できる?≫

「出来る」

≪”わたしはナルト君のためなら命を捨てても良い、ナルト君に認められるためなら何でもする。
ナルト君が欲しいのなら、今ここで私と命懸けの闘いをしても良い。
私はアナタが私に近づけば…本気で殺してしまうかもしれない…。
それでも良いぐらいの気なら、そこから勝負しましょう。

私はアナタに、負けるのが…もし分かれば…その前に…ナルト君のためだけに命は断つ。
それぐらい愛してる…私以上にナルトくんを愛してる人がこの世界にいる訳ない、自信がある。
私の実家にはナルト君台詞全集が1000冊はノートで超えてる。
私を越えられる自信があれば…私を殺しにこれば良い。

私はナルト君のためなら何でもする、喜んで受ける…そんなアナタを私は命懸けで成敗する。
アナタも腕切り落とし…瀕死すれすれになれば目も醒めるはず…あなたの命は、ナルト君のために奪わない…それだけの話。
私はそのために誰かが犠牲になっても…何も感じない…そんな女…。
ナルトくんを宗教のように愛してる、私はナルトくん教の絶対的信者。

ナルトくんの魂を守るのは私…ナルトくんのために命を捧げるのは私の本望。
ナルトくんは神様。それをどこまでも陰から追い求め付け狙う女は私。
私はナルト君のためにナルトくんの理想とする世界を構築したい。
これが私の夢…。
今からあなたの腕を切ってあげる…まずはそこから…”

大抵の女性はここまで言われると…去るみたいよ?≫

「ヒナタ、やるわね」

腕を切り落とした戦いと言えば…ナルトとサスケくんの闘いがそう。
あれ以来…すっかり、サスケくんは改心したのか…別人になってしまった。
ヒナタがいうとおり…腕を切り落とすレベルの闘いをすれば…人間、感情も変わってしまうのかもしれない。
里の女性たちも…確かにナルトへの恋心を捨ててしまうのかもしれない。
ナルトとサスケくんの戦いで…突然、サスケくんは私への恋心がなかったのに…芽生えたんだから…。
今の私があるのは…きっと、ナルトのお蔭…ナルトには感謝してる。

//人間って想像絶するショックを与えると……感情が…豹変することがあるみたいだな…。
医学的には”ショック療法”って言うみたいだ…//

綱手様から聞いたことある…そんな話…。

確かに我愛羅もそれで…ナルトとの戦闘後に凶悪犯から善人に豹変した。
それから…戦死したけどネジも…凶悪人間から…人格者に豹変した。
ナルトは”ショック療法”の達人みたい…。

ヒナタの対応は…とっても参考になる…。
ヒナタは凄いな…強いな…。
尊敬しちゃう…。

≪これね…転身の術で…ヒナタの日記に書いてて…それで判明したのよ。
どうやって…ナルトに近づく女性たちが去っていくのか…不思議でたまらなかったから。
私もその術を教えてほしいって思ったけど…ヒナタに聞いても教えてくれなかったの。
それでとっても謎だったから…興味本位でやってみたら…。
分かったの…。
もっと凄いことだらけだったわ…。
文章も想像絶するわ…。
でも…まあ、あの里の女性たちもこれぐらいキツク言わないと…引いてはくれない雰囲気でもあるけどね…≫

「イノも本当、知りたがりやね…。
あの術もプライバシーを守りなさいよ」

≪もうしないわよ…想像絶する日記だったから…。
私にはこの台詞…ハッタリと思えないのが…怖いところだわ。
ナルトくん台詞全集の存在、アナタ…知ってる?≫

「知らないわ」

≪私ね、アカデミー時代も…イタズラ半分で…転身の術で…ヒナタに乗り移るみたことがあるの…。
サスケくんとかは隙がないからできたためしもないわ。
ナルトもしたこともあるし…クラスメイトなら…シカマルとサスケ君以外はしたことあるわ…。

机の上にあるもので…一番、驚いたのが…ヒナタよ≫

「どういうことなの?
イノ?」

≪良いわ。
この話は秘密にしておきましょう。
私は情報なら常にサクラをリードしてるのよ?
そういうことにしておきましょう…≫

「イノ…」

≪とにかく、ヒナタは見た目以上に強いのよ…可愛いだけの内気な女性ではないことだけは確かよ…。
サクラが心配しなくても大丈夫よ、きっと。
ナルトに近づく女性なんて蹴散らせてるわよ?≫

「そうなんだ、凄いな…ヒナタって…。
私も見習いたいな…。
ヒナタの強さ」

≪あまり…見習わない方が良い域かもしれないわよ?≫

「どういう意味…。
因みにそのナルトくん台詞全集って・…何なの?」

≪さっきの話は忘れて頂戴。
これからサイと私は結婚に向けてデートだから。
もう数日後だし…≫

「そう…」

≪絶対、ナルトにだけは言ってはダメよ。
今の話…。
サクラ、理解した?≫

「しゃーなろ!
分かった、イノ」


☆☆☆

ヒナタは…強いみたい…。
ずっと内気で弱い子だって思ってたから…とっても意外…。
私はヒナタと更に付き合いたい気持ちになったけど…。
何故か…イノは私と仲良くしてくれるけど…。
ヒナタは…私に素っ気ないような気もする…気のせいなのかな…。
私はイノとの方が合うのかな…??

ヒナタはナルトに近づく女性を蹴散らせるのに忙しいみたいで…私にはあまり構ってくれない…。
まさか…ナルトのことについて…ヒナタ…私を怒ってるのかな?
気のせいだよね?

ヒナタに限ってそんなこと、あり得ないよね。
ヒナタは可愛くて慎ましげな女性なんだから。
ただ、意外に強いみたい…。

イノが教えてくれたから、そうなのかもしれない…。
口喧嘩で…女性軍団に勝ってるみたい。
私は…香燐さんに口喧嘩で言われっぱなしだったから…ヒナタ、凄いなって尊敬しちゃう。
あの内気で無口なイメージのヒナタが…恋をすると変わるんだから、人間って凄いなって思う。
ナルトは知らないみたい…私も今日、初めて知った。
ヒナタは毎日、ナルトに近づく女性たちを…陰からハッキリ断るのに忙しいみたい…。

ヒナタ、いつから…ハッキリ断れる人間になったんだろう…。
私のイメージのヒナタは…。
影が薄くて…ナルトへのモーションは…戦後からのイメージなんだけど…。
最近、豹変したのかな?
私の前では…昔のヒナタだよ?
慎ましげで可愛らしい女の子だよ、いつも…。
イノの話…本当なのかな…直接見てないけど…どうなんだろ…。


☆☆☆

イノと綱手様がいる職場…医療班でした会話が蘇った。

そう、今…私の隣にサスケくんがいるのは…奇跡…。
もし、あの時なんて言葉はないけど…。
サスケくんが里抜けをしなければ…明らかに常にイノがリードしてた…。
確かに…中忍試験、トーナメントではイノと引き分けになれた。
しかし…アカデミー時代は…常に、サスケくんが実施してるゲームに負けてた。
林檎の皮は剥けるようになった。
でも…まだ、マフラーが上手には編めない。
この指令も…サスケくんから女子軍団にしていた記憶がある…。
あの指令…毎回、私が苦手な分野ばかりで…明らかにイノに優遇されてる気がして…。
女子たちも…あの時代、サスケくんの好みはイノで決まりだと物凄い噂になってた…。

私はその記憶、嫌だからシャットアウトしてた…。
殆どの項目をイノはクリアーして…。
殆どの項目が…私には難しすぎる…そんな不遇な課題だったからだ。
私は本当に不器用だけど…。
今年の冬が来るまでに…頑張らなきゃいけない。

アカデミー時代…サスケくんはイノが好きだって噂が流れてたけど…。
サスケくんは・・・17歳まで初恋はなかった…。
って言ってくれてる…。
真相は謎だけど、信じたい…。
気にはなる…。

香燐さんのオナカにいつ子供が出来てもおかしくない状況だったのか…。
それから…イノのことをどう思ってたのか…。

でも聞く勇気がない。
香燐さんのことは何もない…と否定はしてくれた。
どこまでの関係だったのか…しかし、気になる…。
最近、頭がグダグダになる…。

☆☆☆

当たり前のようにイノは既にアカデミーでマフラーを編むことぐらい出来てた。

本当に奇跡なんだって思う…。
このストーリーになったのが…。

☆☆☆

今日は金曜日。

私はサスケくんの帰宅を”うちは家”の屋敷で待ってる。
結婚した日からはうちはの家紋…背中に中央に赤いウチワみたいな家紋が入った黒い服を着てる。
6月でそろそろ暑いから。
袖なしのノースリーブの服。

初夜を終わった日の朝に布団の隣に置いてあった服。

インターホンが鳴る。

昼間…職場でイノと交わした会話を回想してる場合じゃない…。

私は居間から玄関へ走って行く。

「サスケくん、おかえり」

『ただいま、サクラ』

最近、素直に行ってくれるこれがうれしくてたまらない。
サスケくんも背中にウチワみたいな赤いうちはの家紋が入った黒い服を着てる。
うちは一族の人は全員、この服装みたい。
私はサスケくんに、正面から抱き付きたくなる…。

「サスケくーん。
デートしたい。
デートしたい」

『家で良いだろ』

「家ばっかりじゃヤダ、一緒にデートしたい」

私はいつも毎日、サスケくんにダダをこねてる…。

「サスケくんとデートしたい。
いっぱいいろんな景色見たい。
一緒に行こうよサスケくん」

『…』

サスケくんに盛大に甘えた。

「ナルトはヒナタとデートばかりなんだよ。
羨ましい。
私もサスケくんとデートしたいよ」

『…おまえ、前から思ってたけど…どうして俺を選んだんだ?』

「え?」

『俺といても俺はあまり喋らねえ。
おまえ、つまらねえだろ…』

「つまらなくなんてないよ。
サスケくんは常にクールで格好良いよ」

『どうしておまえはナルトより俺を選んだ?』

「え」

『俺の言うことは正論だ。
俺は闇の世界では頂点になれたかもしれねえが…ナルトにした方がアイツの方が里で成功してる。
俺を何故、里におまえは引き止めた?
おまえが不憫で…俺を引き戻そうとした…その深い愛で、俺は里に留まってやろうと思い立った。
しかし未だに腑に落ちねえ…』

「どうしてって当たり前じゃない?
サスケくんの方が無限倍も格好良いからよ…」

『まあ、そうだな。
ナルトは不細工だな…』

「そうよ、あんなヤツとサスケくんは比べ物にならないわ…」

『…』

「サスケくんの方が性格だってクールで男らしいし…。
比較にならないわ…」

『…』

「でも…サスケくん…デートしたいよ。
しようよ…。
ねえ。
いつも家でヤッて私が寝たらサスケくんは課題ばっかりしてる…。
してない時は任務の課題ばっかり…」

『おまえは…他にすることないのか…』

「サスケくん…私のこと、すき…?」

『…』

「いつもしてる時にしか言ってくれない。
サスケくんは私のことすきなの?」

『…』

サスケくんは溜息を吐いてる…。
いつもこの調子…。
渡り廊下越えて居間に着いた。
サスケくんが…自宅に帰ってすぐ…仏壇の前に座り込み、手を合わす。
いつもの行事だ…。
何を祈ってるのか…。
きっと、里で認められるようになるように…亡くなった一族に祈ってるんだって思う…。

仏壇にはサスケくんのお兄さんとサスケくんのツーショットカラー写真。
それからサスケくんの家族写真が飾ってる。
今日は仏壇にうす紫色のアジサイの花を入れたんだよ?
サスケくん…気が付いてくれた?
アジサイが綺麗な季節だよ…デートしようよ。

毎日、仏壇の花も変えてるんだよ?

「サスケくん、今日は金曜日で。
土日おやすみなんだよ。
どこか行こうよ。
アジサイとか綺麗だと思うよ。
今の季節。
サスケくんと一緒に旅行してみたいな…。
なんて」

『忙しい』

サスケくんが仏壇の座布団から立ち上がった。

「ええ…」

『けど昔、お前が泊まってた温泉旅館、俺だけ泊まってねえ。
気になる…』

「あ?
ナルトと今は…亡くなったけど…自来也様と…泊まったところかな?
あそこの温泉、気持ち良かったけど…混浴もあるんだよね…。
ちょっと…そこは困るけど…」

『班で俺だけが行ってねえ、そこにする』

「サスケくん!
うれしい…。
いつ?
明日?だよね?
行こうよ♪
だいすき」

『仕方ねえ予約しとく』

「サスケくん、ありがとう。
だいすき」

私はサスケくんにすり寄った、サスケくんは最近、とても優しい。

☆☆☆

サスケくんとの旅行に備えて準備をする。
寝室のタンスを漁る・・・。

要るものって…特にない気もするけど…。
ガイドブック持っていきたいな。
サスケくんとグルメもしてみたい。
いっぱい楽しみたいな。

「サスケくん。
えっと…旅館でどこかおいしいところに食べに行っても良い?」

『好きにしろ、出前が良い』

「出前?」

『ふつう、旅館に食事ついてるだろ?』

「そうだよね…」

確かに正論。

「サスケくん…」

『…』

サスケくんが黙ってこちらを見てる。
こういう時は私からいかなきゃダメだって最近、学習した…。

「サスケくん、今日も抱いてくれるかな…」

もう言うの恥ずかしいけど、これをしないと進まない…。
因みに言わないと完全無視される…。
今日は更に酷いみたい。

猛烈に困るけど、私から軽いキスはした。
そしたら応じてくれる。

サスケくんは割りと静か…。
常にクールで格好良い人。
抱擁も私からする。
ホッとする。

「サスケくん、私…キスとハグが一番好きかもしれない…」

ゆっくり、深いキスしたら…。
何だかサスケくんの服の下も反応してくれてるみたい。
サスケくんに抱き締められる…。
ギュってされるの好き…。

「サスケくんは…キスとハグ好き?」

『すきだ』

こういうときだけ言ってくれる。
普段出てこない…この単語…。

「じゃ、私。
服ぬぐから…サスケくんも…」

言わなくても勝手に脱いでくれるんだけど…。
照れもあって言葉にする。
もうここら辺はクラクラ。

『おまえももう随分したんだから慣れろよ』

こういうことだけサスケくんはハッキリ言える。
サスケくんはもう慣れてるみたい。
私だけ困ってるみたい・…。

「えと」

『明日の予約、してやるからおまえから奉仕しろよ』

意味は理解できる。
言わなくてもそこは出来る。

サスケくんが私の頭を撫ででくれる。
私はいつも通り、サスケくんに深いキスして…。
それから、サスケくんのアソコを奉仕する…。
ある程度したら…。
大体、サスケくんが私の胸を舐めてあと、押し倒されて。
好きなように弄ばれてる…。
サスケくんは…目がとても穏やか。
少し前までの目と違う。

繋がってる時は私はサスケくんの顔を見てる。
目をつぶることも多い。

いつも気が付いたら終わってる…。
流されてる気がする。
やってるとき、いつも『好きだ』とも言ってくれてる。
知ってるけど、知らないふりしてる。
いつも言ってくれないから拗ねてる…ダダこねてる。

サスケくんは結構、コレ好きみたい…。
家に帰ったらいつもなし崩しに会話する暇なくコチラに転ぶ。
サスケくん…もしかして…私と…会話することから逃げてる?
って気分に時々なる…。

してる時は…私は何故か饒舌にならない。
自分だけで必死で…。
そんな新婚生活が続いてる…。

サスケくんは常にクールで格好良い人。
してる時も格好良い。
クールって訳じゃないけど求めてくれる。
それが嬉しくもある。
最近、されるのがドンドン好きになってる気がする。

「サスケくん…私、サスケくんにされるの好き…。
最初の頃、変態なんて言ってゴメンね。
もしかして…怒ってる?」

サスケくんの動きがピタッと止まった。
胸を鷲掴みにされて少し噛まれた。
結構痛いかも…。

「ごめんね、サスケくんのどんな要求にも私、のむから」

怒ってるのかもしれない…。
そんな気がした。
今度は舌で噛まれたとこを舐めてくれた。
キスマークになったかも…。

「サスケくん、だいすき」

『ありがとう』

してるとき、本当に素直。
いろいろ毎回クラクラ来てる…。

☆☆☆

サスケくんと一緒に翌日は出航することになった。
歩いてる時、私はベタベタ密着したい。

「サスケくん、だいすき」

何も言わずに密着しようとする。
いつも叱られる。

『普通に歩け。
隣里まで辛抱しろ』

「うん…手をつなぐのは?」

『歳を考えろ…子供でもあるまいし…。
旅館着いてからだ』

「え…。
でも、新婚なのに…」

『旅館着いたら好きなだけしてやる…。
少し耐えろ。
そんなにしたいなら走れ…旅館まで』

「え…。
そんな意味じゃサスケくん…」

何だろ…顔が真っ赤になった。
私がサスケくんを誘ってるって勘違いされてるみたい…。
訂正する気にならない。
というより…こんなに人通りの多いとこで…そんなことを言う気にはなれない…。

サスケくん、私のこと勘違いしてる…。
私はサスケくんの体じゃなく、心を求めてる…愛してる…香燐さんとは違う。
私はサスケくんと心さえ繋がっていれば、関係がなくても別にいい…。
年中発情期にいる香燐さんと私を…サスケくんに一緒にしないでもらいたい。

今は分かる…サスケくんと私、心が繋がってる…凄くうれしい。
この幸せがずっと続いて欲しい…。

木ノ葉の緊急病棟で…私と会話を交わした…香燐さんとサスケくんの関係が知りたくて…私はたまらない…。

沈黙が続いたけど…空気を破ってくれたのはサスケくん。

『おまえ、道…覚えてるか?』

「だいたい…」

『おまえのあとに続く。
歩け』

「うん…」

旅館までなら覚えてる。
自来也様の顔が…浮かんできた。

亡くなったなんて…。
綱手様はあのことを堪えまくってるみたい…。
当たり前…。






~サスケ視点~


俺は毎日、サクラにデートしようと誘われ続けてる。
その時、ナルトと比較されるのが腹立たしいから…。

昨日は台詞を考えて…帰宅後すぐに聞くことにした。

『俺の言うことは正論だ。
俺は闇の世界では頂点になれたかもしれねえが…ナルトにした方がアイツの方が里で成功してる。
俺を何故、里におまえは引き止めた?
おまえが不憫で…俺を引き戻そうとした…その深い愛で、俺は里に留まってやろうと思い立った。
しかし未だに腑に落ちねえ…』

一昨日の夜。
適当に考えた台詞だ。
強がってはいる。

解答は貰ったが…あまり納得はいかなかった。
サクラは…ナルトを直接不細工とは言ってねえからだ。

「そうよ、あんなヤツとサスケくんは比べ物にならないわ…」

俺が『不細工だ』と言ったことに関して「そうよ」と返答してるだけで…。
「ナルトは不細工よ、絶対に論外よ」とは貶してねえ。
サクラは結構口がキツイ癖にナルトに不細工と言ったことはねえ。
リーの眉毛が濃いのが無理と言った程度だ。

まだ…木ノ葉の額宛てを…今日もする気にはなれねえ…。
サクラがナルトより俺を選んだ理由が、本気で全く分からねえ。
自分に言い寄ってたナルトをヒナタに奪われただけなのか…。
もっと確実な答えを求めてる。

「あの顔を見ると寒気がする…どれだけアイツがサスケくんよりもし…強くなったとしても…論外。
ナルトのあの声…あれは好みじゃないわ…私には性的には無理。
どう考えても…サスケくんだけしか見れない」

これぐらいのレベルで貶して初めて俺は納得する。

帰宅後は、いつも仏壇で

(この平和がずっと続きますように。
ずっとサクラと一緒にいれますように…。
俺は他に何もいらねえ…)

と…ひたすら祈ってる。


☆☆☆

今日は旅館へ行くため…二人で道を歩いてる…。
今…里抜けの道付近まで到着した。

昨夜は俺のことを変態呼ばわりした件に関してようやく俺が責めなくても自覚したらしい。
サクラはワンテンポとろい気がする…。
どんな要求でも飲むからとサクラは申告してるが。
俺は自分から言う気もねえ。
サクラから求められたらする気だ、えげつな過ぎるレベルになることが予想されるからだ。
サクラは未だに子供のノリだ。
手を繋ごうと誘ってくるが、あれもなしだ。
里抜けの道、草むらで犯しても良いなら許すが、自分から言わねえ限り、俺は手を繋がん。

俺に『この草むらで押し倒してサスケくん…』と言えたならしてやろう。

常に昔からそのぐらいの気だ…。

里抜けの道が無理なら、少し外の竹藪でも良いが…。

まあ、外でサクラが求めることは永久に…あり得んだろう…諦めにも近い…。
最近、やっと家では自分から言えるようになったらしい、そこは喜んでる。

俺は会話は苦手だ。
会話よりしたい、触れてる方がスキだ。

俺が求めてる言葉を貰うには…サクラの食事に変な薬盛るしかねえのかもしれねえ。
ああいうのって効くのかは知らねえが…。
香燐ならこういう方法やりかねん…。
俺は卑劣手段ばかり…頭につくらしい…。

家でヤッテる方が楽だ。
外に出てる暇があるならサクラの裸でも見ときたい。

里抜けの道付近で、アジサイの花は毎年咲いてる…。
アジサイなんて雑草みたいにどこでも咲いてる。
どうでもいい…。

☆☆☆

里抜けの道付近まで来た…。
更に旅館へ行く途中だ。

「サスケくんは何してたのあの頃?」

サクラが…手を合わせて可愛く甘えてくる。

『旅館着いてからでいい…』

「ちぇ…。
見て見て。
里抜けの道…アジサイでいっぱいだね。
紫色や水色…綺麗だね。
サスケくん…アジサイ、仏壇に生けてるの知ってた?」

『ありがとう』

知ってた。
幼少時代のイタチと俺のツーショット写真、それから家族の写真…。
その前におまえは…毎日、花を入れ替えてくれてる。
きっと、俺の亡くなった一族もあの世があれば喜んでくれてる筈だ。
感謝してる…。

「サスケくんとあの旅館に行けるなんて嬉しいな…」

『どうも…』

もともと多弁な性格でもねえ。
そっけねえがこれで許してもらう。


「昔、ここ…よく来たこと覚えてる?
イノともよく遊んだけど…。
サスケくんとよく遊んだよね…」

『第七班の頃、よく来たな…』

「ううん、もっと前…。
アカデミー入学前…。
それから…。
アカデミー半年ぐらいに…。
サスケくん、一時…この里抜けの道へ頻繁にウロウロしてたこと…。
あったの…覚えてる?」

『あったかな…』

もう知ってるから良い。
俺の家族が亡くなった時期の話をコイツは言ってるのだろう…。
俺があの頃、何を考えてたのかも分かってるのだろう…。
里抜けする気でいた…。

「私、あの時、サスケくんのお嫁さんになりたいって宣言したこと、覚えてくれてる」

『覚えてない、昔すぎて…』

「そうか…だよね。
私も昔すぎて自信ない…」

サクラの瞳は…道端のアジサイを見詰めてる…。

ありがとう…。

覚えてねえわけがない…俺は自分に関係する記憶については超人級だ。
一度で覚えてる。
サクラの方がいろいろ忘れてる…。
毎回、忘れてるから…俺は驚いてた…。

リーのことも…。
ネジのことも…。
里抜けをして里中に知れ渡ったイビキのことも…。
忘れてる…。
ペーパー良いのに…おまえは…何故なんだ?

あと…大蛇丸がウロウロしてるから里抜け付近では遊ぶなとアカデミー時代…イルカ先生が…何度も注意してたはずだ。
ミタラシアンコ教官も被害にあったと…。
不審者がいるから…誘拐されないように…近づくな…と…。

しかし、カカシの説明で…サクラはまるで初めて聞いたかのような反応だ…。

第七班時代…俺は毎回、里に関する今更説明しなくても良いレベルな大切なことを聞いて…新鮮な反応をするサクラに対して、俺は…驚いて、血相を変えてたのだ…。
そこを理解してるのか…?

ナルトは馬鹿だから許す。
サクラは…天然なのか…??

木の葉丸ですら…アカデミーで既に知ってる重要事項に関して…。
ナルトとサクラは…ビックリしたような顔になって…俺はいつもサクラの身を案じてた…、大丈夫なのかと…。

抜け忍が死罪。
隣里との恋愛も有罪。
里に不審者がいて誘拐の可能性がある。

こんな大切な話を普通に考えて…俺が13歳まで黙っているはずもねえ、イルカ先生がだ。
知らずに掟を破って…知りませんでしたでは…許されないのが忍者の世界なのだ…。
イルカ先生も…少し…可哀そうではある…、全く話を聞かれていなかったという証拠だ。

「ナルトにばかり期待するイルカ先生の話なんて、あまり聞いてあげない。
ナルトだけラーメンおごってずるい…」

サクラは…俺の前でこう言ってた頃もあったが…。

サクラ…。
おまえは…授業中、俺のことしか見てなかったのか…アカデミー時代…。

『うざい…立ち話せず、行くぞ』

「私、サスケくんが木ノ葉の額宛てを出来るようになる日待ってる」

『ありがとう…』

こうとしか言いようもねえ。
しかし…まだ許したわけでもねえ。

「サスケくん、”ありがとう”か”うざい”しか言ってない…。
くすん…」

『行くからついて来い。
おまえはトロイ』

「あれ?
サスケくん…旅館の道…知らないんじゃ?」

『ナルトじゃない。
地図ぐらい読める…』

「ナルト読めないよね…。
未だにそうみたいで…。
毎回、ヒナタに頼ってるみたい…。
私の家に来て、サスケくんとナルトが会った時も…そうだったらしいの…。
もう私の家はサスケくんの家でもあるんだね…キャ。
ヒナタの百眼、凄い術だよね・・・。
いいな、あれ…。
私もあの術、できたらなあ…」

サクラの顔が赤い…。
それから…またサクラの”他人の術…褒めまくり”が始まった。
俺はサクラの口から”ナルト”の単語が出る度に嫉妬してるらしい…。
ヒナタの口から俺の名前など出ねえだろう。
俺の口からもヒナタの単語は出ねえ。
サクラは…そこを理解してねえらしい…。
それでも良いが。
本性を晒す気もねえが…。

『ナルトは馬鹿だ。
苦労するだろう…』

これは皮肉だ。
これぐらい言いたい。
強がりでもある…。

「そうだよね…。
ナルトは馬鹿だよね」

今、最強にうれしい。
サクラがナルトを認めるストーリーなんて俺は認めん。
それを見る度、俺はムカつきまくってる。
もっと貶せ。

『じゃ、行くぞ』

「待って、サスケくん」

サクラがナルトを褒める前に俺は走った。
聞きたくねえ。
最近ではナルトに負けまくりだからだ。
サクラは空気を読めねえ。
本気で俺の前でナルトのことを褒めなおすことがありえまくる…。
ココがムカついてる…。
サクラは俺だけの絶対的味方で良い。

ナルトにはイルカ先生…ヒナタまでいる。

サクラはナルトを貶すぐらいでいい…。

俺が何をしてもだ…。

「あ…そう言えばヒナタも大変みたいなの…。
ナルトが里で功績残したから…。
里の女の人がナルトに群がって…毎回、ヒナタがそれを…裏で倒してるみたいなの・・・。
私はそんな大変なことにならなくて良かった。
私…強くなったとはいえ…ヒナタにまだ負けるレベルだから…」

また俺の地雷を後ろから踏んでいる。
どれだけこの女、俺を怒らせる台詞が言えるんだ。
少し機嫌が悪くなった…。

ナルトを認めているという話題がどれほど俺にとって…。
それもサクラの口から出ることが…屈辱的なのか…。
理解してないらしい…。

俺は返事すらせん。
前進だ…。
表情も変えん。


「待ってサスケくん。
私は…サスケくん、一筋だから…。
ナルトのことなんてどうでも良いわ。
でも…ヒナタは大変そうみたい…」

ナルトが里でモテて、ヒナタが大変だって意味なら。
俺は怒る。
あの話題…俺にとっては何も面白くもねえ…。

「サスケくん…。
サスケくんは…私の何が好きなの?
やっぱり深い愛だよね?
そうだよね?
昔、サスケくんとそんなゲームしたよね?」

やっと、当時のことも思い出したらしい。
俺は返事はしねえ。

「ねえ。
サスケくん。
この辺の竹藪…下忍になってから…一緒に歩いたよね。
あの時もナルトがいたけど…。
カカシ先生とナルトとサスケくんで…。
里からの指令で…敵を倒したこともあったよね…」

この台詞ですら…サクラの口から余計な邪魔者・・・”ナルト”が出てきてることに関して。
まだムカついてる。
まだトラウマらしい…。
当たり前だ、俺はサクラが万が一でもナルトを選べば…。
俺は反逆者としてナルトに殺され…ナルトは勇者となり更に出世してサクラとなることを望んでたのだ。
消える訳のねえトラウマだ。
未だにナルトを許してはいねえ。
ネジではなく、俺がナルトとサクラのキューピッドとして役目を終えてた可能性もあるからだ。
第七班で明らかにナルトだけ邪魔者に決まってる…。
昔は…ナルトが”将来有望な妹のヨメ”サクラが”可憐貞淑な妹”俺が”殺人狂の兄”に…第七班の写真が見えて苦しんだこともあった。

現在は…あの写真…。
明らかに俺の瞳には…ナルトだけが邪魔者にしか映らねえ。
俺は”夫”、サクラは”妻”…。
間から邪魔するナルトだ。
ナルトは俺のことを兄弟とも言ったが…。
ナルトがそう言うからまあ、一度は認めた相手だ。
サクラを捧げてもヤツなら信用できるとも感じた相手でもある…。
ムカつくが…勝手に体が…白と再不斬の対決の時…。
俺は勝手に体が動いて…それを悟った。

”邪魔者お節介な弟”と言うことにしてやろう。
俺は7月23日生まれ、ナルトは10月10日…俺の方が早生まれだからだ。
兄弟の座なんて早い者勝ちだ、早く生まれた方が兄で…遅く生まれたのは弟だ。

しかし…サクラは”俺の妻”だ。
第七班の写真では明らかに邪魔をしてる…ナルトだけ浮いてる…要らない存在でもある。
弟が…兄嫁に横から手出しをしてる、悪い弟だ。
確かにサクラの言うとおりだ…全く、躾がなってねえ弟だ。
俺は第七班、サクラと俺だけで良い。
ナルトは別に要らなかった。


『白と再不斬だな…』

「サスケくんと一緒に歩いてるといろいろな思い出がよみがえってくる。
楽しいね。
サスケくん」

悪いが…俺にとっては苦しい思い出ばかりだ…。
そこも伝わってねえらしいな…。
白討伐について…サクラはどういう感想を持っているだろう…。
同情はしてると思う…。
白に…。
しかし、結局、白と俺が非常に似ていたことに…気が付いているのだろうか…。
そこは言う気もねえ。

俺は…班結成して…この竹藪で任務続行中…その前から…。
サクラと二人の理想世界を構築するためには生死も問わぬ意志だった・…。
革命ぐらい起こす気ではいた。

そこも言わねえ。

イメージを守るからだ。

『おまえは白のことをどう思ってる…?』

「大変な事件だったよね。
少し…同情もしてる…。
やっぱり、ダンゾウは悪い奴だったよね。
サスケくんに殺されて当たり前だよね。
ダンゾウの指令だったものね…あの指令も…」

よし、俺の味方らしい…。
サクラは…。

『ダンゾウの件については後悔している。
これから先も罪を俺は償う気でいる』

いちおう、こう言う。

「サスケくん…。
本当に優しい。
そんなサスケくん、私…大好き」

これで良い…。

機嫌も収まった。

竹藪を抜けた先は…視界が明るい。

海が見える…そんな街だ…。

この里の温泉旅館に今日は泊まる。

「サスケくん、見て見てカモメ」

サクラは未だに…幼い。
カモメを見て喜んでる…。

旅館着いたら…俺もやっと安らげそうだ…。


紫陽花B

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