アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

里の英雄伝説



【サスケ視点】


今日もアカデミーでは…術式の授業があった。
起爆弾をあつかう呪符の書き方と…使い方の講習だな。

「起爆弾は忍者が使う呪符の中で、最も基本的なものの一例だな…。
今日は…それを教える」

イルカ先生の説明だ…。

「この紙に…チャクラで練った筆でサラサラと呪文を書くだろ…。
すると…ほら、起爆弾の呪符の出来上がりだ。
まあ、初歩的だし、簡単だろう…」

イルカ先生が教卓で、半紙の上に墨汁で記号をしたため…実況している。
ボン!と音がした。
起爆弾が発火したらしい。

イルカ先生の結界に守られ…。
結界の中で…呪符が爆発した。

クラス全員の歓声が上がる。

「すげえってばよ!それ、俺にも教えろってば」

…ナルト…。

【めんどくせ】

…シカマル…

◎オヤツ食うぜ◎

…デブのチョウジ。

{ムシよ、俺にもできるか?}
ブーン

…シノ。

●赤丸、今回は簡単そうだな●
●バウウウ!●

…キバ。

≪まあ、いつもリードしてる私の手にかかれば?
簡単ね?≫

…イノ

今日から邪魔者イノは…心の耳栓で覆うことに決めた。
≪≫は…俺なりの…心の耳栓だ。

--シカマルには【】だ。
--それから蜂が大好きなシノには{}だ…蜂のトゲをイメージした。
--チョウジにはデブだから…◎だ。
--それから、赤丸とキバは●…黒丸で囲ってやった。

4人はつるみ過ぎて、声の分別が…まぎらしい。

「ナ、なるとくん…頑張って」

…かすれ声のヒナタ。


サクラの席を横目で見た…。

「うわあ…」

…サクラ…。

俺は…他人と比べたこともねえが、聴力…相当良いのか…?
全員の声が聞き分けられる…。
一度、聞いた声なら…何年でも覚えてられる…興味があれば特にだな…。
ナルトには…ヒナタの応援が聞こえてねえのか?

それから…昨日、俺がサクラへした命令がとても効いたのか…。

今日のサクラは…お星さま一杯の目で、イルカ先生を見てねえ。
星が3つだな…。
サクラの瞳にいる…お星様は…。
あれがゼロになるのを…俺は待ってる。

まあ、キラキラ星からここまで…減らせたんだ…。
努力は認めてやるが…まだ完全に消せてないらしい。
おまえは分かりやすすぎるから…本性を隠すんだな…。

「みんな、頑張って練習するように…」

少し、イルカ先生の顔が残念そうだな…。
まさか…あれ、期待してたのか?
ざまあみろ。

余りにも初歩的すぎる…。
前回習った小さい結界貼って…。
その中に起爆弾を扱う術式書いて、ボンと発火させる…。
俺は一発で成功だ…。
これは知ってた…悪いが。

「キャー!
サスケくん凄い!
ホレちゃう!
格好いい!
だいすき…」

教室に広がるサクラの黄色い応援は毎度の話だ。
他の女子の台詞は…邪魔だ。
省く。
耳がつぶれる…聴力も下がる…。

☆☆☆

サクラは…呪符の授業に手間取ってるらしいな…。

「筆が…上手に描けない…くすん…。
文字がずれちゃう…。
サスケくんは…すごいな…一発で出来て…」

教室を見渡せば…サクラが机の上に半紙広げて…筆で記号を書いてるのが確認できるが…。
字が上手に書けないらしい…。
腕に墨が…付いてる…。
不器用らしいな…。

リンゴの皮むきの練習、ちゃんとできてるだろうか?
俺は…毎度、丸かじり生活だ。
サクラに剥いてもらったリンゴを食べる…そんな日が来ることを期待してる。

それはナルトもらしいな…。
教室を見ればだ…。
ナルトは、机の上に白紙の半紙乗せたまま…頭を抱えて喚いてる。

「術式なんてよ…覚えられねえって…。
もっとドカンとデカい術おしえろってばよ…」

サクラは最近、ドベから脱却できたところか…。
ナルトは相変わらずドベだな。

そんなナルトを遠目に見詰めてる…ヒナタがいる…。
俺は…ヒナタのことには…全く触れてないが…。
いつ見ても、ヒナタはナルトしか見てない、根暗ストーカーのようにだ…。
ヒナタと俺の祖先は親戚らしい。
俺の血筋の一族は本当に一途だと思う…。

ナルトやサクラも見習うべきだな…。

☆☆☆


授業が終わった。

ま、サクラは…自宅で暗記してくるだろう。
サクラは暗記だけは人より得意だ…。
問題は…不器用さだが…。
まあ、リンゴの皮むきが出来るレベルなら…すんなりだろう…。

それから…サクラの最近の努力はとても認めてる。

☆☆☆

授業が終われば…。
いつもの光景だが…ナルトとイルカ先生が教壇の前で…つるんでるな。
俺のクラスの担任、イルカ先生はナルトの絶対的味方なのだ。
同じ孤児なのに俺との待遇の差は歴然で…。
俺はこれを…あまりよく受け取ってはいねえ。

☆☆☆

「おい、ナルト…。
おまえ、まさか…。
俺の本棚から教室に変な本持ち出したんじゃないだろうな?」

「え?変な本ってなんだってばよ?
もしかしてエロ本ってばか?」

「それは俺のモノじゃない。
去年、自来也様から無理やり押し付けられてだな…」

「あれ、すげえ本だってば。
見せたら友達出来るってば?って…思ってよ」

「おまえらが見ていいような代物でもない。
6歳児には悪影響だ。
俺ですら今年…18歳になって、やっと許されたんだ。
どこにあるんだ…?」

「教卓の下だってばよ?
もうみんな見てるってば」

「それはいかん。
教育に悪い…。
上にバレタラ…俺は職を失う。
大事件だ…」

☆☆☆

こうして…あわてて、イルカ先生は…教卓の下をあさってる…。
それが丸わかりだ…。
クラスメイト全員鑑賞してる…。

「悪かったってば」

「ナルト!
今回ばかりは俺でも怒ってる」

「すまねえってイルカ先生…ごめんよ」

「ま、おまえが必死で友達作りに励んでるのは理解してる。
そこは応援してやってる」

「ありがとうってば…」

「頑張れ、ナルト。
おまえの成績を俺は応援してる」

「追うってばよ!
サスケを倒して、火影に俺はなる!
俺はこの里で…家族つくるってばよ!」


いつもの調子だった。
俺を倒す気でいるらしい…。
その魂胆も昨日の…手洗い場での男子どもの会議で周知してる。
どうせ女争奪目的だ…。
アホらしい…。

それを…クラスメイト全員が眺めていた。

日向はうっとり…馬鹿な宣言してるナルトを見てる…。

教室の後ろにいる男子どもは…つるんで会議だな…。

【めんどくせ…】

…シカマル。

◎またナルト、あんなこと言ってる。
新味のポテチうめえ…。
サスケから女子奪い返すってか?◎

…チョウジ。

{サスケ倒ししかないのか…、ムシよ…俺の未来はどっちだ?}
ぶんぶんぶん

…シノ。

●ああ、俺は赤丸と散歩してる方が良いぜ…里の女子壊滅的…。
サスケと闘うってか?
ナルトとならいけそうな気もするのにさ…。
はああ…●
●くーーん●

…キバと、そのペットの犬…赤丸。

俺は…昨日から…男子どもに倒すべき壁だと認知されてる…。
他の男子の名前は…どうでも良いから覚えておらん。
一度も、サクラからの希望の光目線を頂いたこともねえからだ…。
クラスメイトでは…ナルトと男子4人の名前だけは覚えてやった。
女子ではサクラを含む3人だけだ…。
このクラスに残ったその他大勢、わき役レベルで結構いるが…その存在は無視だ…。
しかし…もうクラスで男友達も望めんだろう…。

俺の席には…女子どもが群がってくる。
授業が終わればすぐ。
そんなことしてる暇があれば…術式覚えやがれ。
いつも怒りそうにはなる…。

そして…好いてもない、イノが正面から密着だな。
成績順で…決まってるらしいからな…密着面積も。
掟を破ればメンバーからリンチという制裁が女子トイレで行われる…。
俺はよほど、女子を殴りたいが…それをすれば…俺が里に裁かれる。
この里を捨てねばならんことになる…。

成績の香ばしくないサクラは…肩にポンと一回、触れるだけ…。
最近、ドベから1番と2番を争ってるぶん…以前よりマシだが…。
サクラ、おまえは早く術式覚えて…この女子どもを抜かすんだ。
俺は期待してる…。



≪あらら?
イルカ先生に没収されたみたいね?
私が…サスケくんの全てを…一歩リードする気だったのに…≫

イノだ。

[今日からサスケくんの反応見れないわ…]

[って言っても毎回無反応だったけどね…]

[サスケくん、反応薄いからつまんないわね…]

[今日は何して落とそうかしら?サスケくんを]

[サスケくんは私のものよ]

[サスケくんはみんなのモノよ。

独り占めしたらボコる]

「サスケくんには…まだ早すぎだったと…思うの…。
サスケくん、ごめんね…。
サスケくんはいつまでも…清いままでいてね…。
サスケくん、大好き」


椅子に腰かけた俺の…机手前で微笑むのは…サクラだ。
サクラの顔さえ確認すれば…俺の視線は机の上に送る…。
全員を無視してるフリだ。


≪イルカ先生に…エロ本は没収されたし…、
恋愛小説は読めない漢字ばかりで、イラストぐらいしか分からないし…。
今日は…漫画と保健体育の教科書を持ってきたわ…。
家にあった両親の古いやつだけど…≫

配置場所がウザいが…俺に正面から密着するのは…イノだ。
これのせいで余計に男子どもに嫌われる、それから、サクラも嫉妬してるだろう…きっと。

「えと…。
私も漫画持ってきたわ…。
サスケくんには…。
エロはまだ早いって気がして」

サクラが会話の横から入って来た。

[サクラの漫画なんてサスケくんが気にいる訳ないでしょ?]

[ドベの癖に]

[生意気よ]

[イノが持ってきた奴だけで良いわ…]

≪みんなこう言ってるでしょ?
発言権は私にあるのよ?
分かったかしらサクラ…≫

イノだ。

「サスケくん…。
アクションものだし…。
気に入ると思うんだけど…」

サクラだ。
なるべくサクラの方は視線すら送ってねえ。
女子どもにとやかく言われるのもウザすぎるからな。

≪私がサスケくんに聞いてからにしてあげるわ…。
サスケくん…。
サクラの漫画なんてどうでもいいでしょ?≫

イノが突っかかってくる。


『そうだな…』

(俺は空気は読める…)

視線は机の上にしかない。
こんな生活が…ずっと続いている…。
一つの花を除けば…まるで地獄の拷問だな。

≪ほら?
サスケくんこう言ってるじゃない?≫

イノだ。

「ええ?
そんなぁ…。
せっかく持ってきたのに」

サクラだ。

≪サスケくん…。
どうでもいいでしょ?≫

イノが絡んでくる。

毎回、俺への発言権は…サクラにはないらしいな…。
俺は非常に…サクラの成績が上がることを毎日期待してる。
イノ以外の…誰か一人に…俺が返事すれば、あとから女子全員に…集団リンチされる…仕組みらしいな…。
イノが独自に作成した…”女子の掟”ぐらい読めてる…、そこまで俺も愚か者でもない…。

『家に漫画内から二冊読んでも良い…』

本音はサクラの漫画だけでいい。

≪サスケくん…。
無理しなくてもいいのよ?
サクラの漫画なんてショボいわよ…≫

イノだ。

『…』

(よみたい…)

俺は…無言に徹した。

[そうよ、そうよ…]

[サクラが持ってきたと言うのが気に入らないわ]

[私も持ってくれば良かった…漫画]

[ドベの分際で…]

この教室は本当に…騒音がうるさいな…。

「忍者文庫の漫画で…結構人気なんだけどな…。
‘里の英雄伝説‘っていう少女漫画で…。
サスケくん…知らない?」

サクラだ。
視線を…机から上に向けて…。
顔を覗けば…頬を赤らめてやがる。
しかしだ…。

『…』

(ここで返事すれば…。
あとで絶対サクラがトイレでリンチされる…。
俺は知ってる…)

≪サスケくん…。
ドベとは喋らなくても良いのよ?
みんな…。
この漫画どう思う?≫

仕切るのはイノだな。

[まあまあ有名ね。

私も家に持ってるわ]

[ちょっと王道だけどね]

[ベストセラーだし…。

今回は許してやってもいいわ]

[サクラが持ってきたって言うのが気に食わないけどね]


「しゃーなろ!
サスケくん…。
読んでみて。
えへへ」

机の手前にいるサクラが…愛らしくガッツポーズだ。
少し口元が綻んだ。

≪みんなのお許しが出て良かったわね?
サスケくん…蔑んだ笑顔になってるけど。
両方読んでみて。
サクラが持ってきたっていうのがムカつくけど…。
この漫画…。
私も家に一応あるから。
ま、参考までにね?≫

イノの声は…俺にとって騒音だ…。
存在の配置場所すら説明は簡略してる、どうして密着してくるのか…知らん。

『俺は知らなかった…。

読んでみる…』

イノの漫画から強制的に読まされた。
毎回だな…。
これは…。
順番は全部成績順だ…。
女子の強者、”イノ”が作った掟に…皆の者どもが従ってるらしい…。

どうでも良いが、机の上に漫画広げて…パラパラ読んでる演技だ。

イノが正面から…御丁寧に説明だけしてくる。

≪この”転校生はスパイ”って漫画のあらすじは…。
突然やって来た美少年はとってもレデイーファースト♪
とにかく優しいってお話よ?。
歯の浮くような台詞で…主人公の美少女をベタ褒めまくりなんだけど。
さあ?
モテそうなヤツを落とすのは…誰かしらねぇ?
っていうお話ね?
どう面白いでしょ?
サスケくん?≫

[どう思う?]

[結構イカスでしょ?]

[その漫画。

私、まだ持ってない]

[やっぱり癒しは少女マンガよね?]

[サスケくん、生まれて初めての漫画はどう?]

[感想、聞きたいな?]

「私は…その漫画より‘里の英雄伝説‘の方が好きで…。
えとね…サスケくん」

机の前にいるのは…サクラだ。
漫画を読破したフリを終え、顔を上げれば…。
サクラは正面で…モジモジしてる。

「…」

俺は無反応だ。
毎回だ。
茶番劇に付き合ってやってるだけでも…良しとしろ。

≪反応ないわね。
じゃ、私の家にもある…。
この漫画ね。
サクラのだけど…。
私が生まれて初めて読んだ漫画なのよ?
感想はまあ、ありきたりね≫

イノがまた細かく説明だ。

[ありきたりだけど…。

ベストセラーだから私も持ってるわ]

[私もあるわ]

[王道過ぎるけどね]

[まあ、入門書よね?

これ?]


「私、大好きで…何回も読んでて…。
気に入ってくれたらいいな…サスケくん」

サクラだ。
愛らしく頬を染め、微笑んでる。


サクラが持ってきたという意味で…興味は沸いてた。

教室にある…俺の机に目的のブツを広げて、読んでみたが…。
いかにも少女マンガで…俺は、途中で頭が痛くなった。
俺の家には…こんなものは存在しない…。


端的に要約すればだ…。

☆☆☆

主人公(女)が里で…敵に襲われている。
敵の顔は見えない…全身黒の人影のような強敵だ…。
主人公を殺そうとしてる…。
命の危機だ…。

「キャア誰か助けて」

そこへ里の英雄が現れる…。
男だ…。
年齢は何歳か知らん…20歳前後か?
映画のワンシーンみたいなコマだな…。

「キャア!
里の勇者様!!」

主人公は喚起する…。

それから…里の英雄は敵を瞬殺する。
どんな能力で消したのかは知らんが…。
隠し技を持っていたらしい…。
この漫画…少女マンガだけにアクションシーンは薄い…。

「キャア!
素敵!
格好良い!!!」

里の英雄はとてもモテるらしい…。
というより…敵を倒して…里の英雄になってから…突然モテてる…。
これは何だ?
”おまえたちは里の英雄を目指せ”という里からの道徳漫画なのか?

[勇者様!]

[強くて凛々しい]

[格好良い]

[痺れる!]

[里を守ってくれて…ありがとう…]

[アナタは英雄よ!]

[里の平和に万歳!]

そこもまた主人公の心をくすぶるらしい…。

しかし…里の英雄は…主人公だけに言う。

『おまえの瞳に惚れた。

天使だ。

これからも…おまえを守る』

「え?
そんな?」

主人公がタジタジだ。

『俺は去る』

「待って!
去る前に私の…ファーストキスをアナタにあげたいの。
命の恩人だから」

『良いだろう…』

こうして里の英雄と主人公はキスをして…物語は終える。

仲良く手を繋いで…お月見に行くシーンで終焉を迎える。

『君の瞳に完敗だ…一目惚れだ…天使だ』

一夜を明かし…何事もなく…風のように去っていく里の英雄。
里の英雄は紳士的なのだ。

「いつかきっとまた会えるよね?」

『こんな美しい女性を忘れられるわけなどない…。

絶対帰ってくる…』

里の英雄は…甘い言葉と…甘いキスを主人公に残して…どこかに去って行った。

それからも、主人公のピンチには…必ずかけつける里の英雄。

助けられるたびに…主人公は助けてもらったお礼に…自分から身を捧げ…
1回目にはキス…。
2回目には「Bをあげる」と…胸触り→
3回目には「Cをあげる」と…全部…。
3回目にして…関係が最高親密レベルに深まり……。
そして4回目には…子供が…。

里の英雄は…主人公のいる、里で暮らすことに…。

そしてハッピーエンドで終わる。

途中の臭すぎる台詞は極力説明は省いた。
読めば俺の頭は混乱する。
特にラブレターのシーンは全面、無理だった…。
読み飛ばした…。


【完】



しかし、少女マンガだけに…性描写は全カットされてるのだけは…好評価だが…。
これは作者が途中で話つくるのに…断念してスピードで…くっ付けたかっただけなのか???
展開が早すぎる…。

というのも…この漫画…主人公と里の勇者が子供が出来るまでに4回しか会ってない。

俺はサクラにだけは…こんな大人になって欲しいとは願わない…。

これが…本当に忍者界のベスト少女漫画なのか…?
俺には理解できない…。
これを何回もサクラが読んでいることに関してもだ…。

サクラの将来が心配でたまらない…。

まさか…将来、おまえは…神出鬼没な里の勇者から迫られたら…おまえは…簡単に貞操を許すんじゃないよな?と…。
違うことを祈る。
この話はフィクションだ…あまり感情移入してはいかんのかもしれんが…。
少女マンガって全部こんなものなのか?

ストーリーがいろいろ突っ込みどころあり過ぎる…。

4回しか…里の危機はねえ…。
その間に猛烈に関係が進んでる…。
2時間、映画モノの謎と同じレベルだな…これは…。

☆☆☆

≪この漫画はね?
主人公が敵に襲われ…命の危機になるの…。
そこへ里の英雄が突然、現れて…。
恋に落ちるって話ね。
甘い台詞を語り合って…キスしてゴールインってね?
ありきたりよね?≫

イノは邪魔者だ…。

[似たような話。

あり過ぎて]

[斬新さに欠けるわよね]

[転校生物の方がサスケくん…好みかしら?]

[サスケくん…頭を押さえてるわ…?

やはり…サクラの漫画は気に入らなかったのね…]


「サスケくん…ダメだった…。
ショボーン」

漫画から上へ首を動かし、視界に入った…サクラの瞳が潤んでる…。

サクラ、すまんが…絶対、俺に…こんなアホらしいセリフは無理だ。
俺は恋愛に向いてないのだけが理解できた…。
今日一日でだ。
…少女漫画は全部こうなのか?…どれもこれも台詞が臭すぎる?
誰が考えて作ってるんだ?
俺には絶対、無理すぎる…。
現実世界には存在しないような世界観だ…、あり得ない。

あと…主人公の貞操感が緩すぎる。
里の英雄も台詞が…チャラ過ぎる…。

≪サスケくん、感想なんていらないわ?
サクラの漫画には…。
それにしても…余程、嫌がってるのね。
サスケくんが頭を抱えるなんて…≫

イノが喋ってる…。

『俺は疲れた』

頭を抱えて…脳の痙攣を止めた。

[サクラの漫画は疲れたらしいわ。

やっぱり…イノの漫画の方が良いのね]

[サスケくんには両方、難しいかもね]

[サスケくん、無理させてごめんね]

[私たちのこと好きになってね]

[私たちはいつでも、サスケくんの味方よ]

「サスケくん…」

視線だけ…手前に送れば…サクラは困った顔だ。

≪次、保健体育の本ね?
私が持ってきたわ…。
ママとパパの本棚からね?
私は常にサスケくんをリードしてあげる気でいるわ?≫

イノだ。
別にリードして貰わなくていい。

[イノ、凄い…]

[イノそれ高学年のモノよね?]

[サスケくん、今回は反応してくれるかな?]

[サスケくんの困った顔や照れた顔、私たちみたいな…]

[サスケくん、いつも無反応だし…]

[実は私もあんまり知らないのよね…イルカ先生のエロ本で知ったけど…]

「サスケくん、嫌がってるんじゃ…」

サクラだ。
おまえぐらいだな…俺の気持ちが汲める女は…この中で…。

≪サクラ、男は色仕掛けに弱いのよ?
私がこれから、サスケくんをリードしてあげるわ?
だってもうほぼ、サスケくんは私のことが好きなことは確定だからね?≫

イノが何か間違えてやがる…。

[イノは潰す]

[イノ、叩く]

[イノと今日も喧嘩する]

[イノはリンチする]

[しゃーなろ!イノは倒す!]

サクラだ。

全員だな。
怒りの矛先がイノに向かってるらしいが…これは正解だ。

そのあと、文字も読めんのに…保健体育の本をだ、見せつけられた。
セクハラだと…。
昨日まで感じてたが…。
まあ、他の女子の存在はよけて、サクラと読んでることにしよう…。
俺なりの自己防衛術だな…。

≪サスケくん?
この本凄いでしょ?
私もよく知らなかったけど、大人になるとこんな体になって。
それから子供作る方法まで書いてあるわ?
妊娠月齢期まで載ってるわよ?≫

イノの指導が始まる…。

[すごい、イノ?]

[私も知らなかった]

[文字が読めないのだけ辛いけど]

[図だけね]

[これ本当なのかしら?]

「私も初めてで…。
サスケくん…えと」

教科書から視線を上にして…見れば、サクラの頬は真っ赤だな。

≪サスケくん、これでも反応してくれないの?
困ったわね?
次に何しようかしら…?≫

イノが思案してる。

[料理はどうかしら?]

[前、食べてくれなかったわよ]

[サスケくんって何したら…落ちるのかしら?]

[イノはとりあえず、今日もなぐり合う!]

「サスケくんには…エロは…まだ早いと思うの…」

サクラだ。
その通りだ、おまえだけだな…俺を理解できる女は…この里で。


≪明日も私は頑張るわ?
サスケくんが…私のリードに負けて、落ちる日はもうすぐね?
まあ、ファンクラブのメンバーには、お蔭で毎日殴り合いの喧嘩になるけど。
喧嘩上等よ。
掛かってらっしゃい?
どうせ、アンタたちはヘボなんだかね?≫

イノが喧嘩を受けてる。

[きーーー]

[イノ潰す]

[イノ倒す]

「しゃーなろ!
サスケくんは私のもの!!」

サクラだ。


俺の日常なんぞ、こんなものだ。

☆☆☆



帰宅して…今日一日を振り返った。

嫌なセクハラも…何とかサクラ以外の女子全員を…シャットアウトすることで身を守ってる。

俺の今日一日は…。

「キャー!
サスケくん凄い!
ホレちゃう!
格好いい!
だいすき…」

まず、起爆弾の術式を成功出来て…褒められて。

「筆が…上手に描けない…くすん…。
文字がずれちゃう…。
サスケくんは…すごいな…一発で出来て…」

サクラには出来なくて…また尊敬されて。

授業が終わった後には…。


サクラが…俺が座る椅子の前にやってきて…机の前で会釈し…。


「サスケくんには…まだ早すぎだったと…思うの…。
サスケくん、ごめんね…。
サスケくんはいつまでも…清いままでいてね…。
サスケくん、大好き」

連日の”エロ本”強制勉強事件について謝罪され…。


「えと…。
私も漫画持ってきたわ…。
サスケくんには…。
エロはまだ早いって気がして」

「サスケくん…。
アクションものだし…。
気に入ると思うんだけど…」


『そうだな…』

俺がこれしか言わずに…う〜んと考えて…黙っているとだな…。


「ええ?
そんなぁ…。
せっかく持ってきたのに」

机の前にいるサクラは…可愛く困り始めて…。


『家に漫画内から二冊読んでも良い…』

と言ってやれば…。

『…』

俺が黙っている間に趣旨を理解できたのか…。


「忍者文庫の漫画で…結構人気なんだけどな…。
”里の英雄伝説”っていう少女漫画で…。
サスケくん…知らない?」

林檎ほっぺのサクラに説明を受けた。

『…』

俺がいじわるで無反応でいれば。


「しゃーなろ!
サスケくん…。
読んでみて。
えへへ」

サクラが愛らしくガッツポーズして…少し口元が綻んだ。
最初から、サクラとしか会話する気はない…。
他の台詞は無視してる。
このクラスは…騒音がうるさいな?
サクラ…。

『俺は知らなかった…。
読んでみる…』

イノの漫画から読まされた。
毎回だな…。
頭には入らん…。

「私は…その漫画より”里の英雄伝説”の方が好きで…。
えとね…サスケくん」

サクラは身をモジモジしてる。

『…』

ここはイノのモノを読んでる演技だな…。
嫉妬したか?サクラ…??


「私、大好きで…何回も読んでて…。
気に入ってくれたらいいな…サスケくん」

サクラだ。
愛らしく頬を染め、微笑んでる。

そして、言われたままに読んでみた。


サクラの漫画は…俺の予想通り…ヒーローとヒロインものだったな。
昨日、トイレでシカマルがしてた考察はビンゴだったらしいな…。
ヒロインの命の危機を救われそれからというもの恋に落ちたヒロイン話だ。

王道だな…。

しかし…理解するにつれて頭が痙攣だった。
俺には難しい…期待に応えそうにもない…。
特に台詞や甘いムードは気持ち悪いほど最悪だ。
サクラ、すまん…。

俺は頭を抱え始めた…。
体が勝手に動いてしまった…。


「サスケくん…ダメだった…。
ショボーン」

サクラの瞳が潤んでる…。


『俺は疲れた』

恋愛は向いてないらしい…。
少女漫画の恋愛感だけは俺に求めるなよな?
これは絶対無理だ…。
メルフェンすぎる…。


「サスケくん…」

サクラは困った顔だ。

そのあと…イノの保険体育の本をサクラと読むことになった。

「サスケくん、嫌がってるんじゃ…」

読むのを嫌がってる?と心配された…、凄い図解が目に付く…。
信じられないが、いつかサクラと俺もこうなるのだろうか?
全く理解できないが…今はまだ…。
俺が反応に困ってると…やっと俺の敵が分かってくれたらしい…。

「しゃーなろ!
イノは倒す!」

俺がイノを嫌がってることを察したのか…サクラがイノを倒すと宣言してくれてる。
そうだ、お前が女子で一番になってくれ。
祈ってる…。
少し前までイノと協力して…イノと俺の恋を協力しようとしてた馬鹿なおまえを思えば…大した成長だな…。
まだ、俺はおまえを完全に許してない…。
俺を一度は捨てて諦めて、イノとの友情に走ろうとしたお前のことを…。

しかし、読んでる間に…。


「私も初めてで…。
サスケくん…えと」

サクラの頬は真っ赤だ…。


「サスケくんには…エロは…まだ早いと思うの…」

そうだよな、俺らにはこの図解はまだ早すぎる…、それは俺も理解した。

ありがとう。
おまえだけが俺の味方だ。
あとのクラスメイトは…先生もだ…里の住人も敵しかおらん。


「しゃーなろ!
サスケくんは私のもの!!」

サクラだ。
まあ、頑張れ…おまえの努力を祈ってる。
まずイノを抜かし…その崇拝の瞳を送る性癖を消すんだ…。
おまえに俺は期待してる…。

この里も花がある…。
悪くはない。
留まっとくか…。
サクラ苛めに精を出そう…。

サクラを苛めるのは…何故か可愛いな。
今日も俺に苛められて…サクラは…泣いてるのだろうか…?




☆☆☆

あと…俺が自宅に帰って、サクラ以外で考えることと言えば…。
復讐のことだ。
この二つしか俺にはもうない。


兄さんは…どうしてそこまで強くなりたいのか?
モテたいのか?
戦争でたくさんの人間を失ったとは聞いたが…。
いったいどうして、そんなに強さにこだわるのか?
捨て身タックルで飛び級してエリートコースいったあと…。
どうして力のために一族を殺したのか?
不思議でたまらない…。

最近、特にそう思う。
サクラと過ごしてから特にだ…。

兄さんの動機は何だったのか?
何のために力をそこまで求めるのか…。
女なのか?
もうモテてるのに…。
魂胆は何なんだ?

最近、そんなことばかり思う…。
一族を殺し…里を捨て…すべてを捨ててまで…。
何を手に入れたいのか?

世界征服なのか?
何のためなのか?
自分の理想国家が欲しいのか?
兄さんの理想世界は…。
どんな社会なのか?

どうして…優しかったのに…。
あんなに突然、変になったのか…。
毎日、不思議で仕方ない…。
一族を犠牲にしてまで…兄は何を求めてるのか…?

俺の血継限界の能力は…感情の激しい起伏が起きたり…。
何かを強く求める力で発現される類らしいが…。

ナルトを好いてる…ヒナタの”日向一族”と、俺の”うちは一族”は…。
元を辿れば同じだと…父さんから聞いたことがある…。

というか…。
この世界にいる血継限界の人間は…。
元を辿れば…。
みんな同じ一人の人間に…辿り着くんじゃないか?とも思うが…。
それは論理の飛躍しすぎか?

血継限界は昔、昔…。
誰かが…突然変異して現れた能力らしくて…。
そこから…いろんな分家に別れていったんじゃないか?
と父から聞いたこともある…。

しかし、謎が多くて…父もよく知らんらしい…。
俺の憎き兄もだ…。
そこは知らんらしい…。

割りと、ヒナタも一途だ…。
ナルトしか常に見とらん。
このクラスでは、サクラの次に顔が良いと思う。
俺のうちは一族からくる血筋の者で顔の悪いヤツなどいない…全員硬くて強い。
俺は自分の家を誇りに思う。

腹立つが…。
ネジもだ…あいつとも俺は…遠縁の親戚に当たるらしい…。
あいつは…強敵だ。
あまり…上の学年に上がりたくもない。
兄さんも、女遊びはしとらんかった。
それに比べてナルトは…女見るたびヘラヘラ…。
あれではヒナタが不憫でならん…。
クラスの顔面偏差値三位は…イノか…。
あまり好いてはおらん。

あとの女子の顔が…全員同じに見える。
というより…興味すら沸かん。
サクラのライバルということで、イノは注目してやった。
日向は、俺の親戚らしいから…覚えた。

サクラ…。
やつは軽すぎる…。
今日もまだ懲りずに…イルカ先生を星3つの瞳で見ていた…。
あの仕草は…俺の力で封印せねばなるまい…。
絶対、俺がしつける…。








いつかきっと…「友好関係が戻ること、祈ってる…」

目次

三角関係…始まりの予感6歳「人間不信」「サスケくん?何故?」「俺がサスケは潰すってば!」






















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