アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

クーデター



【イタチ視点】

今日は久しぶりに里を徘徊した。
里では…のんびり、中忍試験の最終トーナメントが開催されるらしいが…。
最終戦はサスケVS我愛羅らしいが…止めてもらうように頼んどいた。
砂隠れの我愛羅は強者で無慈悲だ…サスケを殺しかねん…。
大蛇丸がクーデターを起こす情報は…己に流れてる。

大蛇丸は…砂隠れへ飛び、砂隠れの長、現風影を暗殺したらしい。
それから風影に仮面変装して…砂隠れに『木ノ葉崩し』の依頼を住民共に頼んだらしい。
アッサリ砂隠れの忍者共は騙されて…今日は…侵略戦争を…木ノ葉で実行するらしい。
しかし…その魂胆は違う…。

混乱に乗じて…大蛇丸は、木ノ葉の現火影を暗殺するのだ。
大蛇丸の昔の師匠をだ。
ヤツは師匠が火影として出世した現在でも…過去の出来事を恨み続けてるらしい…。

大蛇丸にはいつも世話になってる…サスケに関する情報収集のだ。
あと大蛇丸配下の医療忍者カブトにも、薬の調合をさせ、己は毎回、手渡されている…。

たまには本望を果たさせてやるつもりだ。
…復讐に走りたいらしい。
止めもせん…。


今日は…事件のせいで里中の警備が手薄になるだろう。
里の忍者がほぼ、守備に回るからだ。
そこを狙って…大蛇丸は…木ノ葉現火影に接近するらしい、


恐らく、試験会場に注目が光り…他の区域が空白になるだろう。
この瞬間を付け狙って、己は久しぶりに里の機密情報を調べまわる気だった。
それ以外にもある…これが本題だ。

いろいろ知りたいこともあったからだ。
まず、サスケの生存確認と…呪印に耐えられたのか…精神は安定に向かってるか…。
いろいろ、気になって仕方なかった。
死んでしまってたら、どうしようか…と頭をクラクラ悩ませていた。
己の記憶で…サスケは6歳のままだ。
そこで終わってるのだ。

可愛いサスケが…大蛇丸が与えた呪印のせいで、絶命したら…己はやりきれない。
サスケが13歳に上がったとは言え、どれほどの実力かも…己は全く不明なのだ。

一番の目的はそれだった。
それと…日頃から耳に入れ、あまり良い印象を与えてない、ナルトを始末する気でいた。
理由はヤツは…調べればすぐ分かる。
ダンゾウも熟知してる。
親は火影。
それから…内部に九尾を飼う。

将来、サスケの敵になることは確定だ、この里でサスケが一番になるのを…阻害するのはヤツしかいない。
それなのに…己の可愛いサスケを目の敵にしてるのか…イジメまくってるらしい。
アカデミー時代かららしい。
聞いてて腹が立ちまくってた。

サスケは可愛そうに…先生に目も付けてもらえないのに、ナルトだけ…ドベの癖に、先生から寵愛を受け、ラーメンを毎回奢ってもらい…。
しかもナルトは、サスケに

「女侍らした、いけ好かんヤツだ」

と男子や女子どもの前で、悪口あることないこと…散々らしい。
これ聞いた瞬間から…己がナルトを成敗しなければなるまい…と決意してた。
そのせいで…サスケは余計に友達が出来てないらしい。
九尾と共存してるだけでも…己のサスケは、能力値にハンデがある。

己の命は刻々と迫ってる。
大蛇丸アジトでカブトから薬は戴けるが…もう延命治療の域に達してしまった…。
サスケを守ることも出来そうにはない。
一度…殺戮はしてる、もう手が血に染まっても良い、サスケさえ里で悠々と暮らしてくれれば…それでいいのだ。
一族には、遺言で「サスケのことは頼む」と両親に頼まれた。
己の身が絶える時、未練はなるべくなら残したくもない。
全力を尽くす気だ。
サスケが里で英雄となり、子子孫孫…栄えることを。
それが己の願いだ。

仕方なしに…今回は大蛇丸へ、サスケに力を授けてくれと懇願したが…。
あまりに…遅い。
サスケが…大蛇丸のところへ走ってくるのがだ。
己が大昔、施した術で…

『己に復讐しにやって来い…』

と言う夢の暗示も与えているはずなのに…。
サスケはまだ、里を捨てようともしない…。
これは…どういうことなのか?

サスケが死んだのか…、呪印に耐えられなかったのか…精神崩壊したのか…と、心配で里に下りてみた。

ダンゾウには昔、里の機密情報を他里に横流しにするとして…圧力を掛けた。
サスケにだけは配慮するようにと。
一族の惨殺事件もサスケのクラスメイトにバレない様に脅しといた。
里抜けしたあとも…サスケが里の住民さえ殺戮しなければ…死罪にせず、元の木ノ葉に戻れるように説得してみせる。
脅して見せる。

己は…相棒に鬼鮫も連れ廻して、二人で木ノ葉をウロウロ巡り歩いた。

途中、バレて、里の連中と…猿飛アスマ、夕日紅、カカシと戦闘になったが…相手に殺意はないし、早めに去りたいので、瞳術も駆使して…なぎ倒してやった。
一番、手間がかかりそうな…カカシには写輪眼による幻術“月読”をした。
この中で一番強いことは明らかだったからだ。
時間が取られる。

それから…探索を続けた。
己に接触して…邪魔してきそうな、自来也の弱点が女であることは…昔から周知だ。
昔から里を抜けて、混浴温泉宿へ遊びに行き、望遠鏡で女の裸を覗いてたことぐらい有名な話だ。
里中全員、ヤツの性格なら見抜いてる。
幻滅してる。

だから、幻術で女共へ…自来也に足止めするように洗脳した。
コイツも強いことを知ってる…。
カカシ以上に己の足止めをしそうで厄介だ。
大策を打っといた。
一刻も早く…サスケに会いたかったからだ。
あと、サッサとナルトを始末する気だった。
サスケの前でナルトは殺さん…。
サスケの…目が汚れる。
そのあとに…サスケと会合する計画だ。

その時、サスケが我愛羅にヤラレタと情報を得た。
己は情報を得て、ムカムカした。
サスケは我愛羅にやられ…それから、我愛羅を倒したのは…ナルト。
やはり…思った通り、我愛羅やナルトなどの…化けキツネを内部に巣食う者たちは…強さが化け物級だ。
己のサスケが、里でトップになるのに…邪魔モノでしかない。

己は以前から…暁で奴らを血の祭壇へ送り込むことに、強く賛成してた。
我愛羅は今回、サスケをボコボコにしたらしい。
コイツから…一番、最初に内なるモンスターを奪う。
そうすれば我愛羅は消える…。
そう、暁でも宣言する。
その日が楽しみでならない。

そのあと…念願、叶って。
サスケに会えた。
ここは予定外だった。
サスケは己を追跡して、現場に直行したらしい…。

術で…洞窟に模して…周囲に危害が加えないやり方で、戦闘を交わらせた。
鬼鮫も側に連れ立ったままで。

本当は傷もつけずに、瞳術『天照』だけで…サスケを倒す気でいた…。
この『天照』と言う瞳術は…相手の精神を追い込むことで…幻覚を見せ、体には傷付けず…気絶が可能なので。
便利な術なのだが…その分、自分の体にダメージが来る。
己の病身の体では…これを使えば疲労で吐血が起きる…。
しかし、それだけして…サスケが元気なことも判明したし、大蛇丸の呪印にも耐えたみたいなので…撤退する気ではいた。

我愛羅との戦闘中、勝手にサスケが倒れた…という情報を得て…呪印で悪影響が出てるのか…と心配でたまらなかったからだ…。

が…己は既に盲目で触れることによってしか…体型も判別付かない。
その理由もあって、闘いを決意した。
それだけではない。
ずっと…あれは…サスケが6歳の頃だ…。

己とシスイは…毎日のようにサスケに

「お願いだ、イタチ兄さん。
シスイ兄さん。
俺のために…俺と全力で闘ってくれ。
俺は死ぬ気でやる。
自分の力が知りたい」

「…稽古をしてくれ。
力の差は歴然だ…それでも。
命懸けで戦ってみたい」

「力の差がありすぎるからこそ…俺は両方に傷一つ付けれねえだろうし…。
イタチ兄さんもシスイ兄さんも…俺のことは…ハムスター同然の弱さだろう。
それでも戦ってみたい」

「人生でまだ一度も戦闘を経験してないからだ。
アカデミーに入れば…出来るのか…。
自分の実力が知りたい…」


と連日、うるさく頼まれてたが…拒んでた。
サスケが一瞬で倒れることなど、すぐ読み取れたからだ。

手裏剣も出来ないレベルで…赤子を倒すが如くだ。
シスイと一緒に…己は笑ってた…一丁前に強くなりたいんだなあと…。
だから、今回、腕調べをした。

予想通り、すぐに…サスケの肋骨にヒビがいった。
だから…もう瞳術で、すぐ気絶させることに決めた。

サスケ、強くなったな…と感慨に耽った。
己の記憶のサスケは…手裏剣一本出来ないほどで…よく怒って泣いて笑って忙しい男の子だった。
あの頃…サスケが6歳の時代…あの術を食らわせば…即時で、あの世逝きだっただろう。
己の不在時に、サスケは急成長したんだな…と己は涙ぐましかった。

サスケの前で…ナルトを仕留める気になれなかった。
己は…サスケの前で人殺しをしないように配慮してる。
あの一族惨殺事件の日ですら…時間はずらした、先に一族を天に送り届けてから…サスケと会った。
帰り際は…己は泣いてた…。
殺戮の瞬間を、サスケに覗かせたいとは…願わん…。

予期せぬ事件が起きたが…サスケと勝負できて良かった。
幸せだ、傷つけてすまん…サスケ。

ナルトは今回、諦めて、去ることに決めた。
瞳の力を駆使しすぎたせいもある。
フラフラだ…。

それからナルトより先に…我愛羅を殺す。
今回の調査で決めた。
我愛羅は…サスケを殺しかけ生死の境目に追い詰めたらしい…ナルトは、サスケを助けたらしい。
己はナルトが、いけすかんが…今回は見逃してやることにした。
サスケが己の目の前にいたからだ。

しかし、己は…もうそろそろ、サスケが大蛇丸のところへ訪れることを祈る。
あそこに。
サスケが来たら…己は毎日、サスケの情報がいただける。

己は目が見えないから…それだけが楽しみだ。
シスイの瞳は片目…己の懐にある。
これと己の瞳を交換すれば…己は片方の視力を戻すが…そんな気になれない。
シスイの瞳は平和利用に使いたい。
己は現在、サスケのために…サスケが将来、成長するとき…妨害する危険因子を殺戮してるが…。
それを…シスイの瞳に映したくない…シスイは死ぬまで…平和を祈ってたからシスイの遺志に反するからだ。


それだけではなく…大蛇丸のところにサスケが来れば…サスケの力の成長にも役立つ。
マダラが、サスケを襲うかもしれない…という情報を得てる。

それまでに…どんな手を使ってでも、己のサスケを強力にさせなければならない。
修行してもらいたい。

サスケ…もうそろそろ、大蛇丸のところに走って来い。
己は毎日、待ち望んでる。

可愛い子には旅をさせろとも、昔から言う…。
サスケには強くなってもらいたい…この弱肉強食の忍者社会を生き延びるためにも。







【サスケ視点】

とうとうだ。
恐れていたことが起きた。
俺の兄が…里に下りて…俺の仲間に接近してきたのだ…。
俺はこれを一番、恐れていた。
この里には俺の魂以上に大切な存在がいるからだ。

一番最初に…。
猿飛アスマ、夕日紅、カカシと兄は戦闘したらしいが…そのとき、目の前にサクラがいたらしいのだ…。
兄はカカシに瞳術を使い、倒した時に…サクラと接触してたらしい…。
サクラが…殺されなくて良かった。
俺の兄が…サクラを殺してたかもしれないのだ…。
サクラが将来、俺の家族になるべき人間であることはほぼ決まっているのに…。
俺はそう信じてる。

俺は…一族を兄に葬られたが…。
それ以上に…、サクラが殺されることを恐れてた。
何年もだ。
あの「うちは一族惨殺事件」以来、7年も兄とは全く接触はなかった。
だから、どんどん忘れたいのに…最近になって…『己へ復讐に来い』という悲惨な夢ばかりだ。

最終的にはナルトが目当てだと判明したが…兄は里の住人にも危害を加えたらしい。
今回も呪印のせいで暴走しかけた。
俺は…兄の暴走を止めようと頑張ったが…力は全く及ばず、肋骨を折り、気絶した…。

俺は非力だ。

呪印が与える映像は…俺にとって精神的に悪すぎる。
世界を殺して…サクラを性的暴行しようとする凶悪すぎる映像だ。
夢では『己へ復讐に来い』という兄が犯した一族惨殺事件の光景。
それから現実では呪印で力が出せず…能力の不調だ。

それなのに…まだ、里に未練がある…。

サクラともう少しいたい。
一度里を出たら…帰ってはこれないだろう…。

実は、この里に…まだ甘えていたいのだ。
俺には分かっている、抜け忍が重罪であることぐらい。
一度、里から抜けた忍者は…死罪だ。

忘れもしない、俺の初任務がそうだった。

俺は…、里を追われ抜け忍となり…里から随時、処刑刺殺隊を送られ…、仕方なしに自分たちの住みやすい社会を構築するために悪事を働いた…白と再不斬の討伐を…、木ノ葉の上から命じられ…班で処罰したのだ。
一度、里を抜ければ…どこまで逃げても追ってくるだろう…、暗部がだ。

あれは、苦い思い出だ。
奴らと同じ道を歩むことになる…このままだと…。

だからこそ…里を出たいとも願わない。

毎日、頭を悩ませてる。
呪印は精神修行で…『サクラを好いてない』と信じきることで止まる。
俺の内部の狂気が…サクラのことを思った瞬間…呪印は暴走してる…。
今回は我愛羅の攻撃からサクラに守られ…兄がサクラと接触して、サクラの命に危機が及んだ。

それなのに…俺はまだ…里にいたいのだ…。
毎日、八方塞がりで頭を抱えてる。

呪印の映像が酷いので…カカシやサクラ、ナルトにも相談が出来ない。
どうすれば解決するのか…。

いっそ、サクラは犯すべきなのか。
それから里を抜けて、兄は殺すべきなのか。

毎日悩んでる。
ナルトはほっといても…兄が殺しそうな気配だ…。
俺が兄へ復讐に行った場合、誰がサクラを守るのか。
悔しいがナルトしかいないだろう。
どうせ、ヤツは兄に殺されるんだ、それまでナルトは…生かしておいても良いのかもしれぬ。

最近、サクラとナルトの距離が縮まってやがる。
俺が我愛羅に瀕死の重傷を負わされ、サクラに庇われ…ナルトに助けられた…あの一件以来。
サクラは、ナルトへの態度を改めやがった。
俺はナルトが憎くて仕方ない。
最近、千鳥で殺す夢ばかり見ている…。

しかし、喜ぶべきことに…アイツは兄に殺される運命にあるらしい…。
俺の手を血に染めなくても良いのかもしれぬ。
だが…見るたびにムカついてたまらない…。

また狂気が来た、『俺はサクラを好いてない』強く念じる。
そうすることで、サクラは犯さずに済んでる…。
ナルトは殺さずに済んでる…。

それにしても…サクラは随分、昔から俺のことを好きで…アカデミー前から接触もあったというのに…。
俺の家の近所で饅頭も買ってたのに…。

「うちは一族惨殺事件」を知らなかったらしい。
それから…兄貴とも一度会ってるのを目撃したことがあるというのに。
俺に兄がいることすら…サクラは知らなかったらしい。

俺は…サクラは俺のことなら何でも調べてると思っていたが…。
勘違いなのか。
サクラは俺のこと、どうでもいいのだろうか?

長年、俺のファンだっていうから…俺が情報をクラスに流さなくても…。
俺の好物、嫌いなもの、血液型、身長の類は…全部、勝手に知ってるものだと…思い込んでたが…。
違うのか…?
そういうものだと思ってた…。
兄弟、家族、住所の項目は…。
一家惨殺事件は上から押し隠しにされてるから仕方がないにせよ…。
兄弟の存在ぐらいは…知ってるかとも…思ってた。

俺の両親が現在、死んでるにせよ。
家族構成もバレてると…思い込んでた…。
アイツが知らないということは…クラスの奴らも…俺の情報は、あまり知らないのか…。
どこまで、俺はクラスで…認知されてるのか…。
自惚れだったのか…他の女子らからも、そこまで注目もされてなかったのか…。
時々、むなしく感じる。

髪が長い女が好みだと、面白がってクラスで流したこともあったが…。
俺が言わないと…流れないのか…。
勝手に調べてくれる訳でもないのか、里の女共も…。
ただ、学園で強いから群がってただけなのか。
確かに忍者社会、強さが全てだ。
女は強い男に群がる…里の英雄に女共は弱い。
弱い男に寄る女などいない。

それは日々、学習してる。
無心になり、強さをこれからも求める。
それしか居場所を掴む方法なんてない…。
甘えてる暇などないことは理解してる…。

しかし…時々、不思議に思う。
アイツの俺への愛はどれぐらいのものかと…。

普通、気になる相手の素性ぐらい…家族経歴など調べないか…?
俺は時々、からかわれてるだけかと…不思議に感じる。
凄く疑ってる。

俺が言うこともそこまで間違ってないと思う。
一般的に…アイツは無知すぎる。
あれは…天然なのか…。
照れて知らない演技をしてるだけなのか…その割りにサクラの表情は…素顔だが…。
アイツ滅茶苦茶分かりやすい奴なのに…。
表情豊かすぎるのに。

昔、会ってたはずだ。
俺は自室の窓の外から…目撃した。

その時、サクラが俺の兄に崇拝の視線を送ったから。
あれ以来、兄貴は兄弟ではあるが…超えるべき壁だと絶対的に認知したというのに…。
サクラは俺のことをどうでもいいかのように…兄弟が存在してることすら…長年、俺のことを恋い慕ってた筈なのに調べてない。
そこは普通、俺から説明しなくても…全力で調べ上げるべきだろう…第七班に所属する前から。
普通、本当に好きだったら、どんな手を使っても全力で調べるものだと思う…。
この里に、俺の兄貴を知ってる人間なんて…俺より5歳も上の奴らは…殆ど知ってる筈だ。
兄貴は昔、この里で有名人だったから…強者としてだ。

確かにアカデミーに一年ぐらいしか在籍はしてなかった、俺の兄は。
しかし噂は轟いたはずだ。
それは俺が生前に会った戦争でもだ。
兄は活躍できたらしいから…わずか4〜5歳にして写輪眼を開眼したのだ。
有名にならないわけがない…。

第七班に所属してから、カカシを経由して聞いたということは…。
サクラのアカデミー時代の…俺へのモーションは…あれは嘘偽りの姿だったのか。
恋に恋する乙女だったのか。
ライバルと闘う青春に、憧れてただけなのか…。
少女漫画のヒロインの気分に、浸ってたのか…。
ただ、クラスで注目されてる男子だから、女友達と一緒に取り合う恋愛ごとに没頭してただけなのか。

ただの遊戯の一環として、『恋愛ごっこ』を楽しんでいただけなのか…真剣みに足りない気がする…。
俺が理想とする『熱く激しい恋愛』ではない気がする…何か足りない気がする…。
何故かそんなふうに感じる瞬間があるのだ、軽々しく「好き」と言い過ぎてる…。
言われて悪気は全くないが、肝心なところが抜けてる…。
俺の情報を他の奴が知らなくても関係もないが…サクラが知らないのが苛立つ。
あと、サクラが正面からくっ付いたり、夜のデートに誘うのは…アレはどういう意味なのか。
どうして軽いノリで出来るのか、見てると不思議だ、遊びなのかあれは?
誰が一番最初に落とせるか?とでも競い合ってるのか…理解に苦しむ瞬間がある。
それとも関係を求められてるのか、乗った方が良いのか…毎日悩む…。

くのいちで成績bPの…イノに負けたくないから、俺をダシに戦っていただけなのか…。
昔、サクラとイノとの成績差は歴然だったからだ。
高みを目指して…ライバルの好きな子を好きだと挑発しかけてただけなのか…。

友達の好きな子は、自分の好きな子だったのか…。
いろいろな可能性を考えるにつれて…俺はサクラと言う人間が、謎でならない。

信用してもいいものか…。
何を考えてるのか…。
サクラは…俺に関する情報を知らなさすぎる…。
将来を共にしたいほど好きであるなら…どうして俺のことを…全部、調べてくれてなかったのか。
興味がないのか。
アイツの愛が分からない。

本当にアイツは、俺のことが昔から好きなのか…アイツの好きは、ライクじゃないか?
いろいろに腹が立ってる。
精神的に荒廃したアカデミー時代、確かに俺から人間に話しかけたことなど…皆無に近かったが…。
居場所は突き止められない様に早足でアカデミーは抜けてたが。
それにしても…だ。
俺は求めすぎてるのか…しかしだ…。
そういう面も含めて、俺はサクラの愛を…生ぬるく長年、感じてた…。
カカシから聞けば分かる程度の情報なら…俺が言わなくても…サクラには知っていて欲しかった。
命懸けで調べろとも責めないが…。
話せなかった俺にも責任はある…ただ、おまえの愛を時々、確かめたくなる…無性に。

俺は毎日、こんなふうに昔から他人の愛を分析してしまう、それが長年、癖になってる…。
求めすぎてることは分かってる…人からの愛をだ。
それも強くなることで手に入る。
俺は高みを目指さねばならねえ。

ナルトの方が悔しいことに、俺が孤児であることに、アカデミー時代から知ってたのだ。
しかし、俺はナルトは好かん。
サクラにウザいほど引っ付くのもだ、アイツは軽すぎる…ナルトだ。

サクラとナルトは少し似ている…。
仕草も、分類もだ…。
班ではいつも俺だけ浮いてる、あわしてる…、違う人種だ…。

ナルトの愛も理解に苦しむ。
どうしてサクラの命をダシに、俺と勝負を持ちかけられるのか…。
そこらへんは、言わなくてもサクラに危機があれば、勝手に救出すればいいだろう。
懸けに出て良い内容とも思えない…。
アイツも軽々しく「好き」と言い過ぎてる。
ナルトの好きは…「ライク」かとも思う。




サクラが俺の兄に脈がなくてよかった、全く記憶の片隅にすらないらしい。
俺の兄貴はどうなのか…知らんが…。
しかし、兄貴は狂乱してしまった…おそらく大丈夫だろう。
現在は兄貴に関してはサクラの命を奪わないかと心配でたまらない。

俺は強くなりたい…、誰よりも…そう願う。

俺は他人の愛を、簡単に信じる気にはなれない。
絶対的に信じてた兄は…ある日突然、一族を虐殺して犯罪者に転落したという過去がある。
兄は
「良き兄をおまえの前で演じてただけだ、見抜けなかったおまえが悪い」

と冷笑してた…。

「己の強さを図るため…一族は殺した」

「おまえは将来、己と同じ瞳を開眼する可能性が高いから生かした」

「己の元へ復讐に来い」

「親しい友を殺せば…己と同じ瞳が開眼する」

「おまえが万華鏡を開眼したなら…その瞳は役に立つ…そのために己はおまえを生かす…」

俺が万華鏡を開眼したなら…何の役に立つのかは知らん。
どうせ世界征服に利用されるのだろう…。
シスイ兄さんの目も奪われてたのだ。
その証拠に…。
シスイ兄さんの死体には…両目がなかったらしい…。
兄は…いったい何が目的なのか。
更に…現在、ナルトの中の九尾も狙ってるらしい。
全ては…己の力を試すためだけなのだろうか…。

俺は…あの一件以来、全てにまず疑う。
他人から、自分への好意…全てをだ。

だから…我愛羅から命懸けで、サクラから守られたとき。
サクラの身に危険が及んで、苦しかった反面。
ここまで自分のことを愛してくれた人間がいたのか…と感動したのだ。

それは…大蛇丸に呪印をつけられて、気絶した後…サクラが大蛇丸の部下どもに殴られてるときも感じた。
あの場所には…俺のことを長年慕ってたらしい、イノもいたが…俺の近くには近寄ろうともせず…無傷だった。
しかし、サクラだけは身を挺して…俺を守ってくれたのだと知って…悔しさ反面、とても嬉しかった。

過去はもういい、現在、やっとサクラの愛が信じられつつある。
だから、もう少し里にいたいのに…。
サクラは腹立つことに…ナルトに助けれると、頬を染めて喜んでる。
あれは止めてもらいたい。
本当に優柔不断な女だと感じる。
ただの男好きかと時々思う。
違うことを祈る。

しかし…俺の代わりに、ナルトをいつもボコってくれた。
そんなサクラが好きだ。
怒る訳にもいかない、十分感謝してる。

ただミーハーで、俺の嫁になりたいと軽々しく言って来てるだけなのか…と長年、疑ってたこともあった。
どちらでもいい、結果が同じなら別にかまわない、俺はまだ里に未練がある。
サクラの命に、危害が加わりかけてるというのに…。
ナルトは…サクラの心を奪う危険因子だと感じるから、俺が里から離れる前に殺したい。
そんな危険思想に…最近、襲われる。
俺は疲れてきてる…いろいろにだ。







愛ゆえに…13歳(中忍試験から里抜け最後の任務まで)

目次

大蛇丸レポート13歳(イタチからの依頼)
















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