アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

イタチのサスケへの手記(独白)



サスケへ。
今まで悪かった。

己の絶命までの砂時計は…ごく僅か。
目の下に隈を抱えた8年前。
12〜13歳から…。
ずっと根性で延命のため暴走してきた。

この8年間…。
不治の病魔に蝕まれたが、ずっと頑張ってきた。
吐血は8年前より始まり…血は足らず、食は細く…栄養に乏しく…目眩もあった。
もう……瞳力でしか…実は…身体を動かせない。
しかし…大望と未練ゆえに…息長らえた今まで。
だからお前に瞳を捧げることにした。

お前を愛していた。
だから、もう限りない時間の全部を…。
お前のために使用する。
もうすぐマダラがお前を襲うだろう…。
それまでに強い力をつけてほしい。
それまでの辛抱だ。
今の不幸に耐えてチャクラを強力にしてほしい。
お前に生きてほしい。

実は病弱だった、
常に目の下に深い皺を抱え…体内の血に乏しく…血に飢え…。
5歳ごろより上は常に体は侵されてた。
自覚はあった。

けど、お前の笑顔が俺の宝で。
親は俺が優秀なのは当たり前のノリだ。
俺は虚弱より健康に憧れ、五歳で友と戦死を体験し、不満ゆえに…。
誰よりも求めるものが大きかったから…。
瞳の能力があった…。

お前は己を慕ってくれて、お前を姿を眺めると笑顔が零れた。

お前はペットのように愛らしく、心を慰めてくれた。
アカデミーでは、モテてたが…好きな人間も現れなかった。
最期までお前だけだった。

それは病気から来てるのだと思う。
戦争中結核患者の妻が夜とぎを出来ないから夫に浮気を公認し、浮気相手の女から夫が交際を求められた際、夫が浮気相手の女を殺したと言う小説…を…お前は 読んだことがあるだろうか…?

俺は…。
本当は体力さえ残ってれば恋愛がしたかった。
体の貧弱さのせいで女を抱けなかった。
あれは体力が要る。
おれは精力に乏しい。
血が足りない。

この目の力だけで生きた来た。

親も祖父も血族婚でうちはの血を守ってきた。
血が濃さが原因か。
先天性なのか不明だ。
俺の体質は栄養が身に付けず。
枯れ木のように揺れ、絶望に嘆き。
それでも愛を求めてた。
性を交わらない…無償の愛だ。
女を振る度、悲しみに咽び泣いてた。
健康体に臓器移植したかった。
病魔のせいで血が足りない。
俺だけ疎外感だ。

女にも男にも興味なく、話題に付いていけず。
お前だけが俺の孤独を癒してた。

あの小説は…。
その妻も俺と同じ悩みを抱えていたようで共感した。
とても劣等感だ。
健康と平和を欲求してた。

お前に頼みがある。
この瞳を…入れてほしい。

そして己の代わりに出来なかったことを全部してほしい。
この目に… 平和で…夢があり…愛もある…そんな世界を焼き付けて欲しい。
今、自分は盲目で…ずっと暗闇の中で生活してたから。


大蛇丸からお前のことは常に聞いてた。
お前に好きな女ができた話を耳にした瞬間。
嬉しさと羨ましさの両方が襲ってきた…。
お前が寝る前、
『サクラ大好きだ。
ナルトを殺す』
と呻いて抜いてるのが、大蛇丸の部下どもに流れて、みんな困ってる語りは…。

さすがに失笑した。
体力のなさから学生時代は下ネタに全くついていけなかった。
一人取り残されて辛かった。
男にはモテるゆえに友達ができず。
女には何も感じず。
血液に飢え、万年寒さに震え…温もりを求め…。
親と先生は優秀で当たり前の態度で。
お前だけが俺を暖かく抱きしめてくれてた。
『兄さん』となつかれる度、感動を覚えていた。
どこにも居場所がないのを、救ってくれた。
お前は宝だ。

もうじきなのだろう…。
大蛇丸にはお前の情報を…色々貰ってた。
お前の部屋にもお前が不在時に訪問してた。
大蛇丸を瞳の力で脅して。

今、実は目が見えない。
己たち兄弟は目を交換しないと…。
万華鏡を開いたあとは…使う度に失明するからだ…。
己は、もう7〜8年は暗闇の中で生活してた。
女の姿も見えない。
お前の姿すら分からない。
暗黒世界の住民だ。

お前の居場所へ接近しては…その気配を探索してた。
お前を回想してた。
大蛇丸からは細かく言葉で情報を得ていた。
部屋の香り、手触り…。
その方法でしか…姿形を想像できない自分が辛かった。
死期への階段は恐怖だった。

お前の服にもお前が外出時、触って、衣装を想像で組み立てたこともある。
我ながら変態みたいだが、盲目ゆえ聴覚、触覚、嗅覚でしか、人間を感知できなかった。
汗の香りなどで疲れてるのか?とか推測してた。
失明してるから。
兄としてお前に何も出来なくて…すまない。
出来る限りはしたが、まだ足りない気持ちだ。

お前の声のテープなども貰ってた。
昔の声とは違ってた。
本当は見たかった。
でも視力が消えたから。
大蛇丸から特徴を詳細に説明させ、瞳の力で幾度も脅迫した。
(こうだろうか?)と…お前の想像図を…脳裏に紙で描写してた。

もし、己が亡くなれば…よく似たお前は…
復讐へ走りそうだ。
非常に不安だ。

お前がいなければ…きっと復讐へと暴れてた。
お前のためにお前の里を守った。
お前はサクラと言う子が好きらしいが…。
サクラという子は…お前の友といるらしいな。
それなら、諦めるな。戦って来い。
お前が負けても、サクラと言う子はお前にとって、大切な子だろう。
自分にとってのサスケだろうから。

もし、お前がサクラと言う子から心変わりしてもいい。
お前に大切な人がいることを願う。

そうすれば…。
お前は己がいなくても…復讐に走らずにすみそうだ。

一族を殺したとき…実は死にそうだった。
泣いて暴れて怒りそうだった…。
でも、そうしなければ。
全滅させられてたから飲んだ話だ。
お前がいたから…。
今日までお前を守るために生きて来た。
本当は長生きしたかった…。
視力も失いたくなかった…。

お前は里の勇者になってほしい。
希望の光だ。お前は輝いてる。
自分は弱く子もなせない。
お前は一族の血を残してほしい。

本音は女を抱き、子もほしかった。
本心は長寿でありたかった。
平和の中に暮らしたかった。
お前は一族のような悲劇が起きない里へ変えてほしい。

お前とこの目を通して生涯共になる。
お前の体の一部で生きる。
お前を愛してる。
お前も愛して欲しい。

死ぬのは怖い。
お前に殺されるのも辛い。
だが、存在は…忘れないで欲しい。
お前に手をかけられなくても…もうすぐ逝く。
死ぬときは側にいて欲しい。

お前が大好きだ。
この目は大切につかってくれ。
お前の好きな子の声もテープで聞かせてもらった。
割りと幼いがかわいい声だった。
大蛇丸から特徴も聞いた。
自分の想像ではとても素敵な女性だ。
お前が好きになった子だから、とても綺麗なんだろう、きっと。

自分も…元気であればお前とこの子を取り合いしてたのかもしれない。
そこら辺は…病身で盲目なので分からないが。
この子の顔が見てみたいと思った。
理由はお前が好きになった子だからだ。
一度この子と会ったことがあるらしいと気がついた…。
お前が第七班にいるとき。
あの時、既に失明してたから分からなかったが。

それから…。
もしかしたら。
お前の幼少期にお前を尾行してた。
…あの小さな女の子なのかもしれない。
あまり覚えてない。
家に殆ど居ず任務続きだったから。

「うちは饅頭」を当時、頻繁に買いに来ていた噂のあの子だ…。
俺は当時、一度しか会ってないが…。
違ってるかもしれない…。
瞳がキラキラ眩い一番星のような子で…一族では評判だった…。
寄ってたかって全員で毎日観察してたらしい…。
俺の友人、シスイも…何度も面白がって覗きに来てたらしいが…べた褒めだった…。
その少女かは…保証はない。



屋台にいる饅頭屋のおばさんが。
いつもどおり、その前を偶然通りかかった己とシスイを…優しげな声で包んできた時の話だ…。

「あら?
イタチくん。
それから…シスイくん」

いつも通り、元気に屋台の窓から、おばさんが柔らかに挨拶してきた。

「「おばさん、こんにちは」」
己とシスイの会話が重なった。
いつもの光景だ。

その時、向こうの方から…サスケが自宅へ消えて行くのが…己の視界に映った。
その10メートル以上後ろから…おぼこい女の子が出没し…己たちのいる『うちは饅頭屋』へ…足を忍ばせてきた。

髪がピンクでオカッパの…サスケと同じ年頃?6歳程度の小さな女の子だ。

道端にいる…己とシスイは…黙って、それを眺めてた。
噂の子だからだ…一族間で有名な子だが…己は初対面だ…。

屋台の内側にいるおばさんは…屋台レジ外側の女の子へふんわり対応した。
「今日はいくつ買うんだい?」
「4つ…」

女の子は桜色財布から小銭を出した。
おばさんが饅頭、4つを「うちは家紋」の入った小袋に詰めて、女の子に手渡す。

女の子は慎重そうに…饅頭が入った袋を、カバンへ収納し…それから身を翻して…髪を風に震わせた。
女の子が…刹那…屋台に背を向ける…。
己は…その日、初めて…女の子の顔を…見詰めた。
どんな子かと?


饅頭屋のレジ外側には女の子がいる。
清算を終えたようで、こちらを不思議そうに見詰めてる。
最近、一族の間で話題になってる……幼い女の子だ。
…瞳はピンクだったと思う…。

「凄いわね…。
聞いたわよ。
今年から暗部でしょ?
おばさん、期待してるわよ…」

己へ向かって、屋台内部に立ったまま…おばさんがいつもどおり…軽やかに接してきた…。

『ああ…ありがとう』

己の声は少し暗かった。
あまり暗部の仕事は…気に入ってない。

その瞬間、屋台前にいる女児の…己へ向ける視線が変わった。
目を…少女マンガ並みの明るさで…キラキラに輝かせたのだ。
瞳の中に数千モノ星が存在してた。

『あとね…。
そっちは…ダンゾウ様からの任務でしょ?
おばさんは誇りに思ってるわ…』

おばさんは…シスイにも続けて愛想する…。

『ありがとう』

シスイも己と同じような…口調の返事だ。
疲れているらしい…。

これは会うと毎度の行事で…おばさんなりの…社交辞令だが…。

更に、目の前にいる、少女の瞳が…続けざまに光り出した…今度は、己の隣にいるシスイへ放ってる。
女の子の仕草は…とても分かりやすい…。
どうも褒めてくれてるらしい…。
『凄いね』という意味なのではないだろうか?

これは…シスイが『癒される子だ』とべた褒めしてた理由も判る。

ここのところ連日、嫌なこと続きで…疲労困憊してた中の、一輪の花か。
シスイもダンゾウ様の元で、人畜外レベルに扱き使われてるのが伺える…。
ダンゾウ様は無慈悲で…残酷な面もあり、厳しいからだ。
最近、シスイの表情が白く血色に乏しい…。
一族も気丈に振る舞ってるが…心に闇を抱えたものばかりだ…。
女の子を絶賛する訳が身に沁みた。
しかし…誤釈かもしれないが…。

己とシスイは、目を見合わせて…。

それから…己は、その女の子に尋ねた。

「君は…サスケの友達なのか…?」

シスイも質問した。

「それとも…饅頭屋の常連さんなのか?」

女の子はビクッと震えだし泣きそうな顔になり、サッ…と『うちは一族』の街から離れ去って行った。

しかし、最後まで…己とシスイへ向ける視線は…お星さま一杯だった。
あんなに眩しい瞳を…初めて俺は見た。

一族でも、あの子のことは、割りと評判だった。
瞳が印象的だと…。

「おばさん…あの子が…噂の子なのか?」
己は、おばさんに聞いてみた。

「そうよ、可愛い子でしょ」

「そうだな」
俺は賛同した。

「いい子だな」
シスイも同感らしい。

「サスケくん…目当てなのかしら?
それとも…近頃、饅頭を買う数が増えてるけど…家族から頼まれてるのかしら?
どちらなのかしらね?」

おばさんは嬉しそうに…ホッコリと顔を綻ばせた。


☆☆☆

当然、一族の間で一気に話題になった。
名前は尋ねるのを忘れた。
あまり…口数の少ない子だった…。
「うちは饅頭屋」の叔母さんの説明では…。
いつも怯えたように饅頭を買ってるらしい。
内気な子なのか…。





その子ならいいと思うが…随分昔だ。
他里の子の可能性もある。
それから…同じアカデミーに通ってる子とも限らん。
学年も知らん。
サスケにファンはたくさん…数えきれないほどいるらしいからだ。
特定も今となっては難しい…。

『サクラ』と言う少女は随分昔からお前のことを気に掛けてた節があるらしい。
大蛇丸の説明だ。
お前のすきな子はどんな子なのか相当脅して聞いてやった。
忘れてるだけで自分も何回か遭遇してる可能性もある…この里の住人なら。

お前が第七班の頃。
一度切りの戦いの最中…。
その時のあの子を声を思い出した。
割りとかわいい声だったと思う。
あれがお前の好きな子の声なんだな。
凄く興味が沸いてる…。

己たち兄弟は目を交換しないと見えない。

この瞳に光を灯して欲しい。
それが自分の第二の人生だ。

昨日までは泣いていた。
時々、早く解放されたいとも願うこともあった、しかしお前という未練があったから…俺は強く生きてた。

死ぬのは怖いし嬉しくもない。
怯えてるし、暴走したい。
その体力すら最近は吐血でない。
目も見えない。

己のことを忘れるな。
お前を愛してる。

お前を一目見たかった。
昔のように抱擁されたい。

この目は平和に使って欲しい。

忘れないでくれ。

今までよく戦って来たと思う。
お前のために戦ってきた。
これからもこの瞳でお前を守る。
監視する。
見守ってる。







全ては己の器を測るため、道化師となる。15〜16歳
一度書いてみたかったあの頃漫画に出て来ないあの人は何を考えていたのか?を勝手に妄想する小説。


目次

精神崩壊を起こした理由
























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