平和国からコンニチハアナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。


社RQタリアの躾帳G2年流れ、再度試練発生。奴の思考回路は?躾教室でナデシコに相談するマナナ。

 

タリアのマナナ躾帳G

『タリア視点』

それから月日が2年、流れた。
マナナは本当に大昔を考えれば…見違えるように貞淑な女性へ進化した。
最近、2年間は平穏な毎日だ。
交際5年目へ突入するらしい。

「タリア、ねえ。
私と結婚する気あるの?
ねえ?」

最近ではオカッパな黒髪を揺らして、会うなり抱き締めてこれを言う。
特に苛め返してるという事でもないが、まだ完全信用でもない。

「タリアは私のこと、好きよね?
ねえ…」

マナナは上目使いで黒目がちだ。

「この二年間はタリアのために頑張ったのよ。
ねえ…」

『……』

俺は相当、根に持つタイプだと思う。
未だに…。
マナナが昔、俺を苛め…まるでゴキブリみたいに扱ってた過去が大嫌いなレベルに憎い。
猛烈に反省しまくれば良い。
まだ完全和解は無理だ。

「私のこと、体だけなの?
ねえ、私たち…ただのセフレなの?」

『違う』

「付き合ってるのに将来の話が出ない関係なんて嫌。
セフレと一緒でしょ?
しっかりして頂戴よ。
もう怒って解雇するわよ?
それでも良いの?」

『…』

「それならね・…?
お義母さんにも言い返してよね?
そりゃ、私も昔は躾がなってなかったし、悪行が過ぎたのはそうかもしれないけど。
実はもうあれから何年もたつし、覚えてないでしょ?
今が大切でしょ?
ね、タリア…。
私のことを許して頂戴よ」

『…』

マナナが俺を嫌ってた年月は12年。
まだ俺は許してるわけもなく…。

「タリア、お母さんの前で本当に毎回…。
黙り込むんだから。
そんなにお母さんが怖いの?
大丈夫よ、私が守ってあげるから…」

『…』

「お母さんがまた、次は敏子さんとか言う人と見合いを斡旋(あっせん)してるけど…。
タリア、断ってよね?」

『…』

「タリア、まさか…。
敏子さんのこと、興味があるの?
私と付き合ってるんだから断ってよね?」

敏子さんは…。
俺がまだ泉の巫女として任期してた時に会ったが。
見目は良かった。
ただ、願い事が…。

❂ 不細工ストーカーから逃げられるように力を下さい❂

だった…。
どうも向こうから断られるような気がして仕方ない。
モテナイ自覚は未だにある。
そこは溜息になる。

「タリア、駄目よ!
今回は!
見合いになんて参加しないでよね!
今度こそお義母さんへ反論してよね!」

『…』

今回もどうせ…。
マナナが壊しに来てくれるような気がして仕方ないが…。
その方が楽だったりするが…。

「駄目よ!
はっきりしてよね!
私のことが好きなら断ってよね?
まさか、お義母さんも酷いわ。
大昔の私が忘れてしまったような過去を引き合いに出してきて責めてくるんだもの。
覚えてないこと言われても困るわよ。
何年前の話よ。

3年越えたら、都合悪い記憶は消えるでしょ。
そんなものよ、捏造(ねつぞう)してるんじゃないの?
タリアのお母さん…私、本当にタリアを(いじ)めてた訳?
子供時代の頃でしょ?
タリアはもう許してるでしょ?」

『…』

マナナが記憶力が弱いことは知ってる。
3年で忘れられるらしい。
ある意味、素晴らしい。

「タリアも忘れてるでしょ?
お義母さん、うるさすぎて困るわよ。
言い返してよね?
『今ではミルルよりマナナが好きで真剣交際をしてるから…』
こう、お義母さんへ言い返すだけで良いの!
できるでしょう?」

『……』

「本当にタリアはお義母さんのことに関すると…。
黙り始めるんだから。
私しかタリアの寡黙なのに付き合ってあげられるのはいないんだから。
(ねぎら)ってよね!
私に感謝してよね」

『………』

この二年、可愛かったが。
そろそろ、やはり…躾直さなければならないようだ。

「タリア、分かってるの?
私と別れたら絶対に後悔するわよ!
アンタは根暗ストーカー人生まっしぐらよ!
人生一人ボッチは寂しいものよ。
私のことをもっと大事にすべきよ」

『……』

今回も小さく凝らしめてみたい。
失言がまだ過ぎる。

マナナからスッと離れて、ターシャ神社奥へ進んだ。
関係者以外立ち入り禁止ドアがある。
そこで、鬼母が…今した会話を全て立ち聞きしてる。

というか。
マナナが一方的に俺へ話してる。

||「タリアちゃんはこの通り、今回の見合いに乗り気なの。
帰ってくれないかしら?
マナナさんは」||


「約束が違います!
お義母さん…!」

『…』

||「ウチの可愛いタリアちゃんを…苛めてたような人間を、月神家の嫁にする訳にはいきません!
それから、ウチのタリアちゃんへ…。
「根暗ストーカー」などという暴言を。
ウチのタリアちゃんは貴女じゃなくても、他にもいっぱい相手ならいます!
お母さんが見合いで、相手ならすぐに見つけます」||

『…』

「お義母さん!
今のは売り言葉に買い言葉で…。
タリアが…全く無反応なので…。
その悪気はないんです…。
えっと…。
タリアが悪いんです。
全く喋ってくれないので…。
お義母さん…」

||「帰ってちょうだい!
貴女、何様のつもりなの?
貴女と別れたあとに、ウチのタリアちゃんは幸せになります!
帰ってちょうだい!
ウチのタリアちゃんが…温厚で優しい性格なのを良いことに!
言いたい放題なんだから!

本当に…悪い家の悪い女は困るわ!
ウチのタリアちゃんを体で落として!!
結婚にもつれ込もうとするなんて!
どうせ、ウチのタリアちゃんへお金目当てなんでしょう?」||

母が金切り声を上げて、関係者以外立ち入り禁止ドアを閉めた。
外で慌ててマナナが弁解してる。

『…』

||「タリア、あの子のことは忘れなさい。
お母さんがいい相手を見つけるから」||

『…』

||「お母さんには分かる。
タリアはまだ昔のことを根に持ってるんでしょう?
お母さんも同じよ!
お母さんはあんな子がウチの嫁になることを許しません!」||

『……』


||「アリオさん…。
どうしたら良いのかしら?
まだ別れてくれないのよ…。
どうしたら…。
目的はお金じゃないみたいなのよ、あの子。
ウチのタリアちゃんと結婚することを狙ってるの。
きっとウチの家の財産を狙ってるのよ。
どうしたら…。
アリオさん、あの女狐(めぎつね)…怖いわ。
頑張って、別れさせましょう」||

父『…』

神父着姿な父は…寡黙に徹してる。
父が何を考えてるかは、息子である俺ですら不明だが。
常に、父は母へ味方する人間だ。

||「タリアちゃん!
今回は両家の子女でミスターシャ女子短大にもなった子だから、とっても美人さんなのよ。
きっとタリアちゃん、あの子以上に気に入るわよ?
実家の良い躾のなったお嬢さんよ」||

『…』

俺は激化する母から去るため、自室へ向かった。

||「アリオさんもタリアちゃんとマナナさんが別れるように協力してちょうだい!
黙ってるだけで、アリオさん…。
何もしてくれないんだから…」||

父『自然の流れに任せなさい』

||「もう!
アリオさんったら、他人任せなんだから!」||

珍しく父が発声してる。
これは…余程だが、父は自然に任せるらしい。
父らしい意見だ。

言葉を変えれば、傍観者に徹すると言う意思表示だ。

部屋で…溜め息を吐いた。



「マナナ視点」

 どうして、私がまた走らなくちゃ駄目なのよ!
遠距離になってからと言うもの、エロが月一単位よ!
そうなるとね、こっちとしては死活問題なわけ。

正直、事前にオナッとかないと…男の人と普通に会話するだけで、エロしか頭に沸かないわけよ。
私より大分若い子供みたいな中学生カップルが、キスしてる姿を目撃しても…エロがしたくなるし。
老カップルが、手を繋いで歩いてるのを発見しても…エロが恋しくなるし…。
高校生ぐらいなカップルが、手を繋いでるのと遭遇しても…(きっと夜はエロしてるんだろうなぁっ)て、そんな妄想しか沸き起こらないわけよ。

色々、精神に異常を来してるし…。
私としては毎日、エロができる環境になりたいのに…。
どうして…試練ばっかり発生するのかしら?
タリアが何を考えてるかは謎よ。
人より性欲が強い自覚ならあるわ?
他人がどうかなんて知らないわよ?

またなの??
この話が出て以来はね?
和装姿に黒髪を結ったナデシコと茶華道授業中は…連日、この件に関する愚痴ばかりよ?

数日経過し、刻々と今年のターシャ祭が近付く…。
その間もタリアと連絡は取ってるけど…何を考えてるのか…掴めない。
信じられない話だけど…また見合いに参加するみたいで。

こういう場合、私に頼れる助っ人と言えば…あの人しかいない。
またなの?
連絡するには奴ぐらいしか…。
タリアの気持ちなんて全然、意味不明だけど…。
一応…アイツしかいないの…タリアの唯一無二な親友は…。
あいつが来ないと…今回の見合いも破談にできる自信がないわよ。

☆☆☆

灯台キセキ

既読
---「キセキ。
今年のターシャ祭も帰るんでしょ?
聞いてちょうだい!

私、やっと花嫁学校まで…
今年、卒業できそうなのに…。

この()(お よ)んで、
タリアのお義母さんが
私を
||「別れさせる」||
って怖いのよ。

タリアがもう言いなりで。
私はどうしたら…」---

☺ ---「君は…
去年も一昨年も、同じことを言ってなかったか?

一昨年は
「タリアが許婚いいなづけ)の英子さんと見合い になる」
と言ってたが・・。

あれ、
破談になっただろ?

またなのか?」---

既読
---「キセキ…
どうしたらいいのかしら?

はあ・・。
私なりに戦ってるんだけど…
全然、タリアはお義母さんが
(から)む と無言なのよ。

困ったわ…。

このままじゃ、
私・・

結婚なんて一生出来ないのかしら?

タリアのお義母さんが
また

||「タリアへ
見合いの相手を見つけて来た」||

って言うのよ。

どうしたら…。
はあ…。

聞いてくれるかしら?
タリアのお義母さん、
私とタリアを別れさせたいがために…。

キセキの本命、
レイカさんとまで
タリアを見合いさせる
って言い始めてたのよ。

ついこの間よ」---

☺ ---「は?
嘘だろ?
確かに、レイカさんは連日、見合いで忙しいらしいが…。
僕はそんな話、一回も…」---

既読
  ---「そうでしょうね?
それはさすがに…
レイカさんの実家から
丁重にお断りが来たみたいなのよ。

コッチへ
興信所(こうしんじょ)が付けられて
全 部、
資産から全てを調べ上げられて…。

最後に、
学生時代から交際が続いてる
私の存在が先方にバレタみたいで…。

それをネタに
レイカさんの実家から
丁重にお断りが来たみたいだわ‥。

知らなかったけど・…
キセキの本命、
レイカさんの家って・・。
凄い家なのね?

ターシャ王の末裔(まつえい)の家なんですって ね?
あれでは釣り合う家なんて中々ないわよ。

タリアのとこ以上に、
あの家…
うるさそうよ?

キセキ、
勤まるの?

ビックリしたわ、
電話係さんや車係さんや
メイドさんや複数のSP達までが…。
ターシャ神社に詰め寄って来て…
私へも質問攻めで。

すぐに向こうから破談になったわ。

でね…
タリアのお義母さんが

||「次こそは…
タリアに美人で、
しかも実家に
何不自由がない見合い相手を
斡旋
(あっせん)
し て来たから」||

って…。
うるさくって…。
私はどうしたら…。

今回は…
私立ターシャ学園幼稚舎(ようちしゃ)か ら
エスカレーターで上がって来た…
私立ターシャ短大では
ミス私立ターシャ学園短大まで(つと)め た…
女性みたいで…。

美神敏子さんって人みたいで…
1歳年下の女性なの。

もう私、
胃が痛くて…。

またなの?

タリアが
普通に見合いに行くみたいで…。

どうしたら…」---

☺ ---「ミス私立ターシャ学園短大か…。
今回は猛烈に美人そうだな。
レイカさんはミス王立ターシャ女子大だ。
確かに、ミスコンに優勝しただけあって類まれなる美貌だ。
君も大変だな…。
同情する…。
今回、タリアが期待に燃える気持ちも僕は男だ、理解できる…。
僕でも興味が沸いてしまう」---

 既読
---「またなの?
大和ナデシコ茶道、
教室に通ってくる
ガングロ金髪サーファー男の
学習イッチ―ね‥。

あいつも、

{今度の美神敏子(みかみびんこ)さん が
気になってたまらないっス}

ってウルサイのよ!

ナデシコも(あき)れてるわよ。

キセキ…
(なぐさ)
めになってないわよ…。

本当に嫌になるわ…。
いつまでこれが続くのかしら?
タリアは何を考えてるのかしら?
私が不服なのかしら?

私…
キセキと一緒になった方が
幸せなのかもしれないわ。
そんな気がするの…
本当は…。

ねえ、
キセキもレイカさんなんて大変そうよ。
だって、レイカさん・・
ターシャ王の末裔(まつえい)の 家柄なんでしょう?

キセキ・…
もし、
今回…

私がタリアと別れたら・・。
私と寄りを戻してくれる気なんてある?

それとも、
レイカさんに行く気?

どっちなの?
(;;)」---

☺ ---「うーん…。
そうだな…。
僕もレイカさんにはふられっぱなしだ。
それでも良いのかもしれない。
君たちが完全に別れるのなら、僕とマナナでもだ」---

既読
  ---「興味本位で聞いただけよ!
失恋したら…
私はしばらくは恋する気になれないわよ。

もうあと5年はしたくない気だわ…。

はあ…。
また見合いなの…?
はあ…」---

☺ ---「元気を出せ、マナナ。
そうだ、今年…。
タリアの従兄妹、月神マリアがターシャ神社へ行くらしい。
僕も帰国する」---

既読
---「タリアの従兄妹?
何の用事なのかしら?

また…
お母さんが

||「従兄妹同士で
婚姻させます」||

なんて言い出さないかしら?

私、元気がないのよ…。
最近」---

☺ ---「マナナ、元気を出せ!
君が元気がないなんて珍しすぎる」---

既読
  ---「さすがに見合いなんてされると、
こたえるわよ…。

私がいるのに断ってちょうだいよ。

タリアもいったい
何考えてるのか不思議よ。

私は今年も頑張って、
破談にさせるんだから」---

☺ ---「君も大変だな。
君の苦労が報われるように僕は祈ってる」---

☆☆☆☆

これで良しだわ。

きっと今回も来てくれるはずよ。

キセキが来ないと…さすがに、私一人でこの見合いに戦える自信なんてないわよ。
前回も英子さんを虜にして、かっさらって行ったんだから。
そんなことが出来るのはキセキぐらいよ。


また元サヤに戻るなんて…思いもしないことを言ってしまったけど。
これぐらい言わないと、キセキは動かないわよ。
悪いけど利用させてもらうわよ。
キセキはね?
悪気はないけど…気が多い男なの。
そこだけが…問題点なのよね…。
幼馴染だけに、奴の性癖なら知ってるわよ?

キセキの部屋は…女性のツーショット写真で溢れ返ってるのよね・…。
因みに複数あったわ?
連日のように、その写真に見詰められながら…キセキと勉強会を開始した過去もあるのよ?
中間試験と期末試験の対策よ?
誓って、何も起こらなかったわ?
意外に…キセキは紳士なのよ?
そこは好評価よ?
でも…ちょっと、凄い部屋だったわよ?
そこは衝撃的だったわ?

逆にタリアの部屋って…私、まだ一回も上げて貰えたことがないんだけど…。
どんな部屋なのかしら?
タリアのお義母さんがうるさすぎて、実家へは潜入できないのよ。
どうすれば良いのかしら…?
求めてないのに・・試練が発生したわ??


そこから、ムカムカしてたら。
ムラムラして30分ぐらいしてオナり終わって冷静になれた頃、タリアへもラインをしたわよ。

タリアも自分でちゃんと抜いてるのかしら?
何故か…私からタリアへ下ネタする方が多いんだけど。
タリア、聞かなきゃ…。
抜いてるか、どうか教えてくれないし。
はあ…。
私はほぼ、生理が起きてる時も休まず連日なんだけど…。
タリアはどれぐらいの頻度なのかしら???

☆☆☆☆

月神タリア

既読
 「今回もキセキに頼んだわよ。
見合いの破談を手伝ってくれるみたいよ
(✿ฺ◕ฺ‿◕ฺ)♥」

☺ --- 『アイツ、来るのか?』

既読
 「今回の人、美人みたいだし…。
まさか期待してるの?
彡(-_-;)彡

キセキが来るわよ
(*◕ฺω◕ฺ)」

☺ --- 『…』

既読
 「何考えてるのよ?
( ´_ゝ`)
 
お義母さんに見合を断ってくれなかったけど…。
きっと潰れるわよ
(*´σー`)」

☺ --- 『おやすみ』

既読
 「ちょっと待って。
Σヽ(゚Д゚○)

寝るの?
もう少し話が
Σ(´□` ) 」

☺ --- 『今、眠気が来てる。
おやすみ』

既読
 「ええ?
Σ(゚ロ゚;)

今回はまさか…。
期待してるの?
私と言う彼女がいながら…
゚。・゚(つω✚ฺ`)。゚・」

ここから…。
暫く待ったけど、ラインが来なかった。

既読
 「寝たのかな?
il||li(つд-。)il||li」

再度送ったけど…。
既読がつかなかった。
今回は本気で危ないのかもしれない。
キセキには本気で頑張って貰わないと…。

翌日も私は大和ナデシコ躾教室へ深夜に通った。
それから、この件に関して愚痴を漏らした。

☆☆☆

「信じられると思う?
タリアの許婚、英子さんの一件から…ナデシコの躾教室へ通い始めた件は…もう忘れられる訳もないけど。
また同じことの繰り返しなのよ?
いったい…どういうつもりなのかしら?
その前から、ナデシコはターシャ村にいるし…何かの折には会ってたけど…。
あれから真剣に御稽古事をしなければならない羽目になったのよ。
文句が出るわよ。
キセキがまたターシャ祭で帰って来るみたいで。
それは幸いだけど」

||キセキ君が帰って来るのね?
それは…嬉しいわよ。
でも、困ったわね?
ターシャ祭には…カンサイも地元からここへ押し寄せて来るんでしょう?
ライバルが多いわよ。
キセキ君、どうなの?
女性と交際してるの?
キセキ君の初めての貞操を奪うのは…あたしって、言う話になってるんだけど…。
中学の頃の一目惚れで意地でも首を縦に振らせて、ツーショット写真まで撮影したんだけど…。
どうなのよ?||

「キセキね…。
ナデシコ…諦めるべきよ?
大変よ。
もう、言い寄ってくれてる人がいることに感謝して、イッチーとかどうなの?
駄目なのかしら?」

||何なの?
マナナ、非協力的ね?||

ナデシコは和装して黒髪を上へ結い上げて、今日は銀色の着物に紫の帯を締めてる。

{そうっすよ…。
そうすべきっすよ…}

隣で金髪姿にピアスが開いたイッチーが…盛大に頷いてる。
イッチ―の顔は年中焼けてる、海の男って感じ。

この御稽古教室…男性客が殆ど存在しない…それを狙って、やって来てるのはイッチーくらいなもの。
{男性客ばかりの御稽古事へ通ったところで、女がゲットできないっす}
イッチ―の動機は筋が通ってるけど・…ナデシコは嫌がってるみたい…。

||イッチー君ね?
あたし以外の稽古へ通うお客様にも言い寄ってるじゃない?
ハッキリ言って真剣みが足りないわよ?
まあ、全員に声掛けしてるのに…未だに誰も引っかかってないのは可哀そうだとも思うわよ?
でもね?
キセキ君はそんなことしなくても…向こうから女性が良い寄って来るでしょう?
あたし的にはレベルが違い過ぎるのよね?||

ナデシコが茶器に入った抹茶を唇で啜って飲む。
それから作法通り、3回半…反時計回りに茶器を回して、赤楽茶碗を床へ置き・…両手をついて右往左往から茶碗を眺めてる。
ナデシコの仕草は美しい。
私とは別格。
一応、私も最近に入って出来るようになったけど…正座だけがまだ慣れない。

||キセキ君とターシャ祭では花火が見れると良いわね…。
帰国するのね。
その日は…お茶を振る舞うのに・…あたし、忙しいけど…。
花火の時間は開いてるわ?
胸を熱くして、キセキ君の帰国を心待ちにしてるわよ?||

「そう…。
キセキって…どうしてモテるのかしら?
私にはサッパリ…。
近すぎるからか…分からないわ?
どこら辺が魅力的なの?」

||あのね?
モテる男性とモテない男性…。
見れば…一目瞭然よ。
キセキ君なら芸能人にもなれるわよ。
太鼓判よ?
でも・・そんな話になったら、あたしは寂しいわね…。
何とかして、今年こそ落とすわよ||

「そう…。
ごめん、私には差が分からないわよ」

{俺も同感っス。
この世は悲劇に満ち溢れてるッス}

||じゃあ…モテる女性とモテない女性の差なら分かるかしらね?
モテる女性を見詰めてると…見れば分かるでしょう?
そう言う話よ。
キセキ君も同じなの||

{結局容姿なんッスかね?}

「キセキ…そんなに容姿が良いかしら?
あまり分からないんだけど…。
モテる女性とモテない女性の差なら…私でも分かるけどね?
同性だけどね?」

||まあ…容姿だけじゃないわ?
雰囲気よ、雰囲気!
あと性格も加味されるわよ。
トータルでモテるの!
キセキ君は・・。
そこら辺はモテる女性も同じでしょう?||

{納得いかないっす}

「キセキね…博愛主義だわ、確かに・・。
マメよね?
それも認めてるわ。
あと…変なところで泣くのよね?
意外にあれが…母性本能をくすぐるみたいだわ…。
ヤツが異常に気が多いのは知ってるわよ…。
猛烈にストライクゾーンが広いのよね…。
年齢不問で女性のすべてに対して、優しすぎるのも特徴だわ…」

||そうよ、キセキ君は色んな意味でバランスが取れてるの!
強いだけでもないし…弱いだけでもないし…。
社交性にも長け、まるで少女マンガの中のイケメンのように輝いてるのよ!
しかも気配りに長けて…!
会話も面白くてたまらないのよ!

あと…堀も深い顔立ちだし、背丈も高いし…何せ、異国の血が1/4混じってるし・・。
それでいて、太くないし・・完璧だわ?
どうしてモデル業へ転身しないのかしら?
キセキ君って…。
ワールドモデルになれそうな域よ!

それなのに…身持ちが固い!
ここも好評価なのよ!!!!
逆に聞きたいわ!
キセキ君がモテない理由は…何なの?||

「ナデシコのキセキ崇拝が開始されたわ…。
キセキが女性だけじゃなく…モーホからもモテてることは私、知ってるけど…。
何なのかしらね?
アイツは…。
私、不思議で仕方ないわ」

{そうっすか…。
キセキ、ホモからもモテてるんッスね‥。
それは初耳っす…。
俺、全然…理解できないっす}

「ナデシコがキセキ信者なのは知ってるわよ。
常に…この調子でキセキを褒め称えてるんだから…。
言わせてあげて。

ま、頑張って、イッチー。
私は…陰ながら応援してるわよ」

{ありがたく受け取るッス。
頑張るッス!}

「イッチーも頑張って、連日ナンパはしてるけど…。
見てるとちょっと強引過ぎて、女性客の皆様方が引いてるのよね?
えっとね…ガツガツし過ぎてるのよ。
もう少し、下手に行ってみたらいいんじゃないの?」

{そうっスかね?
ガツガツっスかね?
体育会系っスからね。
俺は。
駄目っスか?}

「見てると…イッチーが一方的に言ってるだけで…。
全く空気が読めてないのよね?
相手の人、怖がってるわよ…突然でしょう?

それにしても…タリアの見合い相手…。
今回はなんと…あの花手で有名な良家の子女しか通わないところ…。
私立ターシャ短期女子大のミスコン優勝者なのよ」

||私立ターシャ短期女子大…。
レベル的にはあれだけど…確かに、入学金が高いで有名で・・。
猛烈に良家の子女しか通わない花手の短大よね?
見合の条件が良いらしいけど…。
科が確か…家政科しかないことでも有名だけど‥・。
そこの御嬢様なら、確かに…ターシャ神社で何不自由なく勤まりそうだわ…。
それにしても昨日も同じ話を聞いたわよ?
相当、堪えてるのね…マナナ…||

和装姿なナデシコがシットリした瞳で…下を見た。
赤楽茶碗を見詰めてるみたい。
ナデシコは普段、不意なタイミングで慎まし気な仕草をする。

「写真を見せてもらったけど…今回は…。
本気で美人で…女優が余裕で勤まりそうな人だったの。
今、絶体絶命で…。
私は実家も悪いし、頭もよくないし…容姿もミスコンで優勝なんてしたこともないし…。
どうすれば…」

{そうっすか…。
それは確かに、俺も気になるッス。
美神敏子って名前ッスよね?}

「そうよ、美神敏子さんよ。
漢字で美しい神様って書いて…美神って苗字なの。
私より1歳下の女性よ…。
見るからに美人そうな名前よ」

{そうっすか…。
俺も会いたいっすね‥。
何時からの見合いなんっすか?}

「昼の3時からよ。
まさか…来てくれるの?」




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