平和国からコンニチハアナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

タリアのマナナ躾帳D

『タリア視点』


☆☆☆

異能マナナ

既読
---『こんばんは』---

  ☺---「こんばんは…。
ちょっと今は放心してるんだけど」---

既読
---『連絡が来ないからどうしてるかと思って』---

  ☺---「今、夕飯直後よ。
あのあと…結局、すぐ寝たわ?
で…起きてから地獄の門攻め3時間を一人でして…。
さっき夕飯食べたところよ。
我ながら時間を無駄に費やしたわ。
ちょっと今・・頭がポケーとしてるんだけど?
何か用かしら?」---

既読
---『ポケーなのか?』---

  ☺---「体力的にはスッキリ、気分は晴れやかなんだけど…。
頭が朦朧としてるの…。
用件は何なの?」---

既読
---『分かった。
休む?』---

  ☺---「放心してるの伝わった?」---

既読
---『ごゆっくり』---

  ☺---「ありがとう。
ね…。
タリアってまさか、Sなの(><)…。
今回はなかったけど、前回…私、やってる最中に首を絞められてビックリしたんだけど。
割りと尻を叩かれたり、胸を鷲掴みまでは許すわよ?
あと、唾液飲むぐらいまでなら…あれも驚いたけど。

顔射は良いのよ?
ただね、眼隠しで首絞めはさすがに…首に跡が残るレベルは怖いわよ?
手加減してくれてるのは、知ってるけど。
ね、まさか…Sなの?(´;ω;`)」---

既読
---『どうだろう?』---

  ☺---「どこでそんなことを覚えたの?(ノ_・。)ノ
時々、心配になるんだけど‥。ρ(・ω・、)
まさか、どこかで浮気なんてしてないわよね?( ゚Д゚)!!」---

既読
---『してない』---

  ☺---「そう。
それを聞いて安心したわ?
毎回、ハードになってるから、少し疑問に感じて。(*◕ฺω◕ฺ)ノ。✿ฺ…
今日から絵文字も覚えたのよ?
どうかしら?」---

既読
---『絵文字なのか?』---

☺---「LINEにはいろいろなスタンプがあるのよ。(*´σー`)
タリアも使ってみたら?♥」---

既読
---『またで…』---
☺---「そう。
ちょっと切ない気分ね。
最近、LINEばかりだけどたまには✉もしてね?
じゃ、またね(✿◕ ‿◕ฺ)ノ))。₀: 」---

既読
---『じゃ…』---

 
☆☆☆

ここでLINEが終了した。
常に、このノリだ…。
ただ、余りマナナの本心が伝わった試しはない…。
ちょっと反応に困るが、今日も元気らしい…。
本当に地獄の門攻め3時間を自分でしてるかは謎だが・・。
時々、交流を断るために吐いた嘘かと思うこともあるが。
常にこの調子で…LINEは途中終了を繰り返してる・・。

確かに、Sなのかもしれない。
マナナが困ってる姿を想像して喜んでる…。
性癖が捻くれてる自覚もある。
モテないのにSなせいで余計に避けられ…モテてない気がする。

それに反して、キセキは究極のフェミニストだ…。
隣で、いつも女性へ優しいのはキセキだ…。
アイツは下心を隠して、女性にジェントルマンを気取ってる。
脳内では絶対、複数女性を愛して…毎日、誰にしようか…と悩んでる癖に。
ある意味、博愛精神に溢れてる。

アア言う人間を本当のモテ男と呼ぶのだろう…。
それに反して、学習兄弟は下心見せまくりで超肉食系になり、女性へ四六時中アタックしてる…。
アア言う芸当は…俺には無理かもしれない。
恥もないらしい…情けない。

☆☆☆

そんな感じで数日間は経過し…約束した日はすぐ到来した。
気が重いが…見合いが開始される日、俺は黒い袴へ着替えた…。
見合い相手、英子さんは赤い振り(そで)姿で、 このターシャ神社へ訪れるらしい。
まるで、成人式か何かだ。

||「タリア…。
この見合いはね?
タリアが生まれる前から決まってた事なの。
英子さんは母さんの実家とも親交がある御寺の御嬢様で…。
行儀作法から全て出来る優秀な方で、英子さんの母と私は…大昔から仲良しなのよ」||

『…』

||「あの方が才女なのは母さんも知ってるわ?
タリア、女性は顔じゃないの・・母さんを見てたら、分かるでしょ?
脳なの。
タリアのお父さんはね、母さんの優秀さに惚れてるの。
そこは知ってるでしょう?
母さんは努力の天才よ。

父さんは母さんの根性を認めてるの。
だから、父さんは・・母さんに反論しない訳」||

『…』

||「ああ。
これで、英子さんの母とは大昔から文通相手として、今でも親交があったけど…親戚(しんせき)同 士になれるのね。
タリア、喜びなさい。
あの方ならこの神社を上手に切り盛りしてくれるに決まってるわ」||

『…』

||「もう、タリアちゃんは…性格だけが父さんに似て、静かなんだから。
お蔭でやりやすいけど。
まあ、英子さんなら浮気の心配はなさそうよ?
あの方の母とは…母さんも大昔から親交があるから。
そろそろ見合いの時間ね」||

『…』

俺の父が母を崇拝してるのは一目瞭然(いちもくりょうぜん)で、 知ってるが………。
月神家は母親が実権を握ってる…それは誰でも分かるが。
母は冴えない容姿で、俺も()えない容姿と評 され…見合い相手の英子さんは…何故か身長が俺より高いかもしれない…。
もしかしたら、170cmどころでもなく…180pも越えてるかもしれない、身長が逆サバを読んでる女性で、肩幅も凄く…ラグビー部の男性よりガタイが あって…声が低い。
どうしても、何故か…母には悪いが…断れないのか?

||「タリアちゃん?
タリアちゃんは母さんの味方でしょう?
タリアちゃん?
母さんはね?
若い頃、必死で勉強したの。
何故だと思う?
男性からことごとく…振られ続け、ムカつくから根性で頑張ったの。
タリアちゃん、容姿で人間を差別する人は最低だって今まで教えて来たでしょう?
タリアちゃん…まさか、英子さんを断る気なのかしら?」||

『…』

||「さ、見合いの時間だわ?
今日もまさか…あの 女狐(めぎつね)来るのかし ら?
本当に困るわ?
ああ、大金が必要になるわね‥あの手の女に効くのはこれしかないわ?
ねえ、アナタ?」||

父『……』


神父服を着た父は…情けなさそうな表情で、母から視線を逸らしてる。
父の性格は非常に温厚で、俺は父が怒ってる姿を一度も人生で見たことがない。

息子目線でも自分は容姿が母親似で…。
父の方が平凡ながらも、まだ容姿が優れてるように映ってしまう…。
父の容姿は例えてみるなら平凡だが・・温厚そうで、ボンボンな雰囲気が漂ってる。

常に謙虚で、後ろから母をソッと見守る性格だ…母の尻に()か れ過ぎてる。
しかし、この父が酒を飲むと…意外に笑い上戸へ変貌したりする。
父は本当に物言わずだ、俺の叔母さんもそうらしい…。
我が家はカカア天国も良いところだ。

父は仕事に追われ、俺へあまり喋ってくれない…。

幼少時代、父が俺へ話した名言は…。

――父『妻が良妻なら夫は英雄になり、妻が悪妻なら夫は思想家になる。
タリア、結婚とは素晴らしいものだ』―――。

突然だったから、俺は(またた)きしたが…父は 悟りを開いたかのように、始終…常に笑ってる。
あれは…母が

||「私はココへ嫁いできて、(しゅうとめ)(いじ)められたの…。
その時、父さんが(かば)ってくれて…(しゅ うとめ)は この家から出て行ったの」||

と説明した時にだ。

☆☆☆

母は今、白無垢な着物を身に(まと)ってる…。

||「さあ、タリアちゃんも黒(ばかま)へ着 替えたし…。
母さんも白い着物になったし…。
行くわよ?
タリアちゃんは温厚で、母さんに従順で…もう自慢の息子だわ?
英子さんと仲良くしなさいね」||

『…』

こんなやり取りを交わしてる。
袋のネズミ状態にある。
陰鬱とした顔で…神社境内へ向かえば、賽銭箱(さいせんばこ)の 向こう岸に救い船がいる。

「タリア!
今日も来たわよ!
ここ数日、連絡したのに…返事もないなんて。
どういうことよ?!
キセキが来てくれるらしいわよ!」

『…』

意気消沈して、心が半分死んでる。

||「また来たのね?
昨日も一昨日も…()れ馴れしい!
再三、言いましたが…。
もうこれ以上、ウチの可愛いタリアちゃんを付け狙わないでちょうだい!
マナナさんにはキセキさんと言う許婚(いいなづけ)が いるんでしょう!!
ウチのタリアちゃんにもいます!!
離れてちょうだい!」||

ウチの鬼母が赤面激怒してる。
割りと母親はヒステリックだ。

「お義母さん、私は確かに…大昔、タリアへ不細工など(けな)し、 悪い女でした。
しかし、今では改心しました。
どうかお願いです。
私たちの交際を認めてください」

||「何を言ってるの?
ウチのタリアちゃんがどれほど傷付いたことか…。
アナタみたいな不道徳な女性を選ぶわけないでしょう?
遊びに決まってます!
トットと帰ってちょうだい。
自宅へ!
さあ!」||

「タリア、お願い…。
反論してちょうだい。
お義母様へさあ…。
頼むわ?
タリア」

『…』

俺は 黒袴(くろばかま)で神社境 内(けいだい)にいる。
オレンジワンピを着た巨乳系低身長な肩揃え黒髪…俺の彼女、マナナが接近してきて熱い抱擁して来る。
これぐらいで良いが…。
ウチの母親、猛烈に鬼へ変化(へんげ)し始めて る。
(つの)が見えそうな域だ。

「タリア、どうしてなの?
私のことをどう思ってる訳?」

『…』

||「マナナさん、無駄です。
タリアちゃんはこの通り、母親の味方ですからね」||

『…』

今、心からパワーが…沸き出ない。

||「タリアちゃん、止しときなさい。
昔…自分を散々に苛めまくって、悪口最低な女なんて…シコリありまくりです!
御母さんは!

よっぽど、学校へ訴えて…ウチの可愛いタリアちゃんが学校で(しゃべ)れ ないのは・…この女のせいだと、先生へ訴えたかったのに…。
男の子が女の子に言い負かされてるなんて不名誉なのが…世間の風潮で…。

言える訳もなく…ウチの可愛いタリアのために耐え忍んできたのに。
よりにもよって、この女狐(めぎつね)

母さんが許せるわけもありません、しかもこのマナナさんの母は…ビッチも良いところ。
売春婦なんて、月神家に入れるわけありません!
母さんは本気で怒ってます!

正論に決まってます!
近所中、全員…母さんの味方に決まってますわ!!」||

「申し訳ございません…お義母様。
私も昔は…(しつけ)がなってなくて…確かに、 言いたい放題だった自覚はあります。
弁解ではないんですが…私が10歳の頃、母が売春の末に私が生まれた事実を知り…。
しかもクラスメイトからビッチと言われ…。
それに、母も癌治療に忙しく…私に構ってくれず、一時期…荒れて、八つ当たりにも近くなりました。
でも…私は浅はかでした。
しかし、今では必死に過去を(つぐな)おうと… 決意してます。
ずっと、タリアへも謝罪をしたいと思ってました」

『…』

これは初めて聞いた話で…。
タフそうに見えるマナナなりに…色々、悩んでいたのだな…と目を細めた。

||「言い訳は止してちょうだい!
幼稚園時代からウチの可愛いタリアちゃんを見るなり…不細工だと(けな)し まくって。
許せるわけありません!
八つ当たりするなんて、人間として…最低も良いところです!

もう、帰ってちょうだい!
ウチの可愛いタリアちゃんを体で(そその)かし て…金まで巻き上げて、最低女!
・・見てられません!

お願いです!
タリアと別れてください!
金輪際(こんりんざい)、視界から消えてちょうだ い!」||

「タリア…。
お願いよ、反論してちょうだいよ。
確かに…私も…口が過ぎた…のは、自覚してるけど」


マナナが泣いてる、ウチの鬼母は…ボスを張れるぐらい強い。

『…』

||「どうせ分かってます!
貴方の魂胆(こんたん)ぐらい…ウチの可愛いタリ アちゃんへ近寄らないでちょうだい!
タリアちゃんに相応(ふさわ)しい相手は…母さん が決めます!
どれだけ、母さんが…学校や父兄参観(ふけいさんかん)(うった)えて…泣きまくりたかったか…。
タリアが必死で、『学校で言うのは止めて欲しい』と…無口なタリアが(つぶや)い たから…我慢して飲んだもの・・。
今までどれだけアナタを(うら)んでいたか…」 ||

「申し訳ございません。
過去は消せませんが、未来に(つぐな)います」

『…』

マナナが号泣してる。

||「タリアが精神的に思いつめて…悲観して、自殺なんてしたら…貴方のせいだったけど‥。
ウチの可愛いタリアちゃんは…無口で大人しい可愛らしい性格で…誰にも文句すら言えなくて…。
どれほど、見ていて…痛ましかったか…。

母さんが必死でタリアは不細工なんかじゃない、と連日、登下校後も、一生懸命・・今まで(は げ)まし来て…。
どれほど、アナタを(にく)んでたか・・。

タリアは…母さんにとっては可愛すぎる息子に決まってます!
今更、何の用事なの?
帰ってちょうだい・・!!」||

「すいませんでした…。
でも、今では私はタリアを愛してるんです。
言い過ぎたのは知ってます。
許してください」

||「帰ってちょうだい!!
こっちが訴えたいレベルだわ!
ウチの可愛いタリアちゃんに!!
消えてちょうだい!
貴方なんて二度と顔も見たくないわ!
胸がキリキリするわ!!」||

母親が金切り声で怒り狂ってる…。

||「ミルルちゃんをタリアが一途(いちず)(し た)ってた話は…母さんも知ってるわ?
ミルルちゃんとタリアが一緒になるなら、まだ考えようもあったものを…。
まさか、こんな悪い女に…たぶらかれるなんて。
反対です!
どうせ、誰にも相手…されなくなって、キセキ君は留学したみたいだし…。
ウチのタリアを体で落としたんでしょう?
何円、必要なのかしら?
ウチは…こう見えて、そこまでお金持ちじゃないわ?
バイトの方もあまり雇わず…私がこの庭を掃除してるの!
檀家(だんか)の寺はね、古い家 屋(かおく)修築費(しゅ うちくひ)が意外に()か るの!
帰ってちょうだい!」||

「お義母さん…私は別にそう言う目的じゃ…」

『…』

何故だろうか…。
今、情けなくて、全然…嬉しいわけもなく…ボーとしてる。
マナナは今では改心してるらしい。
それだけが救いだ。

||「ウチの可愛いタリアちゃんが貴女なんかに本気になる訳ないです!
きっと、私と同じに決まってます。
ヤリ捨てポイをして、今から復讐(ふくしゅう)す る気だと思います。

いったい…貴女…ウチの可愛いタリアちゃんへ何年間、誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)し て来たの?
1年どころじゃないでしょう?
私の記憶では…10年は越えてた筈よ。
恨まれて当たり前です!

帰ってちょうだい!
タリアちゃん…可哀(かわい)そうに…。
こんな最低な子に(だま)されて…。
ウチの可愛いタリアちゃんの将来を…これ以上、滅茶苦茶にしないでちょうだい!」||

「すいませんでした…。
タリアがまさか、家でそこまで困ってたなんて・・。
私、全然…気が付かなくて…」

『…』

死んだフリしたい。
もう、ここから帰って…早く見合いでも始まって、この話が終了してほしい。
空を見上げた。

||「タリアに貴女の名前を出すたびに…。
小学時代も、中学時代も…どれほど、暗そうな顔をしたか…。
参観日に学校へ行けば…必ず…貴方が!!
ウチの可愛いタリアちゃんへ悪口散々で…「不細工だ」の、「根暗」だの…「悪いのがうつる」だの!
母さんがタリアちゃんが学校で(いじ)められて るのが…見抜けないとでも思いますか?
その時にタリアを(かば)ってくれたのが…親友 のキセキ君。

キセキ君の許婚(いいなづけ)だと聞くから、今ま で必死に耐えて来たけど…。

帰ってちょうだい!
最低女!
御金目当てで、ウチのタリアちゃんへ接近し…体で落としてくるなんて…。
本当に貴女の御母さんとやってることが違わないわ!
ウチのタリアちゃんとは、ココで別れてちょうだい!」||

「すいませんでした…。
私が悪かったです・・。
タリア、何か言ってちょうだい。
お願い、お義母さんに…」

『…』

マナナが激動の涙を流してる。
俺は今、心がここになく…空へ飛んで行ってる。

||「アナタなんて信用するわけありません!
ウチの可愛いタリアちゃんへ「不細工菌がうつる」だの…「邪魔よ、アッチへ行って」だの…。
散々、ボロ(くそ)で…机を離して!
言いまくって!
認めません!

参観日に、机が離されてたのは…ウチの子だけ、それも女の子から。
どれだけ、目立ってたか。
あとで、父兄(ふけい)を交えた親 睦(しんぼく)会で…そのことが噂になって、私がどれだけ(は じ)をかいたか!」||

「ごめんなさい…お義母さん」

『…』

||「ウチのタリアちゃんが…どれほど、家で
(自分は不細工なんじゃないか…。
ミルルちゃんにも相手にされないんじゃないか)と悲観して。
ずっと、おとなしかったか…。

いつも、家で鏡ばかり見て…溜息を吐いてたか…。
アナタのせいで、ウチのタリアは自信が沸かず・・本命のミルルちゃんへも最後まで(しゃべ)れ ずに終わったのよ!
分かってるの?

母さんが家で、ミルルちゃんのことを聞いたら…タリアはいつもソッポを向いて、知らない顔して…。
母さんがタリアの情報を知らない訳ないです!
最低女!」||

「ごめんなさい…」

『…』

||「近所中でもタリアちゃんがミルルちゃんを大好きなことは有名なのに・…。
よくどうして、声掛けが出来ないの?って聞かれて…。
自宅へ帰った後、タリアちゃんが…鏡へ向かって、溜息を吐いて…。
全部、アナタのせいです!
アナタがうちのタリアちゃんの自信を奪ったの!
分かってるの?」||

「ごめんなさい…もう二度と言いません。
私も昔とは違います。
成長しました。
最近、どう言う訳か…タリアが可愛く見えて仕方ないんです…。
もう不細工なんて思ってません。
本当です」

『…』

最近か…。
いつからだろうか…?
それが…聞くに聞けない。
マナナはいつから俺を好きになったのだろうか?
そこが未だに伝わってない。

||「母さんが…無口な可愛いタリアに変わって、本当の気持ちを伝えてあげます!
タリアは貴女を憎み…復讐(ふくしゅう)するため に根性で頑張って生きてきた筈です!
貴方のことはココでサヨナラする気です。
タリアへは大昔から、母さんと父さんが…見合いで出会い、タリアへも二十歳前後で見合いをする話なら伝えてました。
アナタのことは遊びも良いとこで、これが無口なタリアなりの復讐(ふくしゅう)で す!

母さんにはタリアの気持ちが痛いほどわかります!
だって、タリアは…母さんの息子なんですから!!!
思考回路も同じに決まってます!!!」||

「タリア…。
本当なの?
私のことを…今でも恨んでるの?」

『…』

恨んでる訳ではない…しかし、根には持ってるし・・完全信用とは言い(がた)い。
全然、自信がないし…こういうふうに確かめる行為にしか出れないのも本音だ。
だからこそ、今まで聞いて来なかった。
マナナがどう思ってるかを…。

||「今、ココへ土下座(どげざ)を百回して、過 去に懺悔(ざんげ)しなさい。
それぐらいの悪いことをアナタはしてきてる(はず)で す!
いくら子供時代のことだとしても許される訳もありません!
タリアは今でも貴女を(うら)み、許してませ ん!」||

「ごめんなさい、お義母さん。
これから私は生まれ変わります。
違う人間になったと思って生きていきます。
もう二度とタリアを苦しめません。
だから、お義母さん…私を月神家(つきがみけ)の 人間として、認めてください。
私はタリアのために頑張ります。
過去の私は死んだと思って下さい、お義母さん…。
私はこれから月神マナナとして、生きていきたいです」

||「冗談はやめてちょうだい!
何を言ってるの?
アナタ」||

「これから改心します。
全く違う人間へ生まれ変わるぐらいの気持ちです。
信じて下さい、お義母さん」

||「帰ってちょうだい!
御実家へ!
道化師(どうけし)も良いところだわ?
誰がそんなことを信じられますか?」||

『…』

マナナは俺へ抱擁(ほうよう)するのを一端、止 め…神社の黄畳(きだたみ)へ土下座を…し始め た。
白い着物姿な母親が仁王立(におうだ)ちしてる。
マナナは泣いて…ボタボタ(たたみ)へ涙が落ち てる。

確かに、未だにシコリがあるのも本音だが…。
それは不信感に近い感情だが…。
今でも、心に大きな傷跡が残ってるが…。
俺は地面を見詰めてる。
マナナも土下座を複数回した後・・床を向き、小さな声を発した。

『…』

「タリアは…いつも何も言わないけど、どう思ってるの?
私のことを…」

『…』

「どうして、何も言ってくれないの?
何故、私へ…『俺のこと、好きなのか?』とも聞いてもくれないの?
ねえ?」

『…』

「考えてみたら・・私たちの関係は…。
私が…タリアへ促して…『マナナが好きだ』って、言わせてばかりで…。
本当は…お義母さんの言うとおり、復讐するためだったの?」

『…』

「ねえ、返事してよ・・タリア!」

『…』

||「そのとおりです。
ウチの可愛いタリアちゃんは無口な性格で・…勘違いされることが多いけど、私が代弁しました。
タリアは貴女が大嫌いです、帰ってちょうだい。

母さんは貴女の顔を見る度、嫌いです…。
タリアも同じに決まってます。
タリアの幸せを壊さないでちょうだい」||

「タリア、お義母さんへ言い返してちょうだいよ。
そんなまさか…3年間も私へ復讐(ふくしゅう)す るためだけに交際して来たなんて、嘘でしょう?
タリアは…私の味方じゃないの?
ねえ」

『…』

マナナは俺を揺さぶった。
何故か俺は・…声帯を失ったかのように音が出ないカナリア状態だ。

||「アナタは3年間、タリアと交際したと言ったけど‥・。
アナタがタリアちゃんを苛めたのは何年なの?
その計算なら、12年近くよね?」||

「…」

『…』

マナナが絶句してる。
そうだ、確かに…12年近く暗黒時代にいた。
だからこそ、今でも心につっかえ(ぼう)の如 く、引っ掛かりがある。
物心ついてすぐから…ずっとだ。
だからこそ、マナナへ直接…聞かずに3年間いた。

||「ウチのタリアがどのレベルで…貴方を恨んでるかしら?
だいたい、アナタ…何が目的でウチのタリアちゃんへ接近したの?
やっぱりお金目的なのかしら?」||

「違います!
お義母さん…」

『…』

||「タリアが貴女なんて信じられる訳ありません!

タリアは違う女性を選ぶに決まってます!
お義母さんには分かります!
タリアにとってはその方が幸せに決まってます!
帰ってちょうだい」||

「タリア…今、何を考えてるの…。
ねえ…。
タリアが見合いの時間と待ち合わせ場所を話したから、来たけど‥。
間違いだったの?
ねえ、答えてよ…。
ねえ」

『…』

いや…来てくれて、正解だ。
来なければ、破局だろう…これが今生(こんじょう)の 別れになってしまう。
待ってた。

それにしても…マナナや母に…全然、(さと)ら れてないが。
この一連の会話…俺がマナナをどう思ってたかで、全ての解釈(かいしゃく)が 変わってしまう。
マナナにはどう考えても大罪(たいざい)がある、 マナナは一生…苦しめば良い。







タリアのマナナ躾帳C

目次

タリアのマナナ躾帳E




タリアがモテないのにSなのは初期設定からありました。
創作第一話で根暗陰湿なタリアを怖がって近寄らないマナナへ…積極的に苛め返してたのがタリアですね?







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