平和国からコンニチハアナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

平和国S…今年の護衛試験も至難を極める。
月日は3年経過し、レイカさん(27)へ告白を…?


 

平和国からコンニチハ20


☆☆☆

馬髪可憐

♞キセキ先輩!
お祖父ちゃんの容態(ようだい)なんですが…大丈 夫だったみたいです。
お祖父ちゃんったら、こうでもしないと会ってくれないと思って、仮病を使ったみたいです。
キセキ先輩、大好きです!

平和国ではデートを代わりにしましょうね♪
美神敏子(みかみびんこ)から連絡が来ました!
情報なんて教えるわけありません!

キセキ先輩、美神敏子(みかみびんこ)に…「僕の 情報が知りたければ…可憐に聞け」って言ったんですってね?
ショックです!
私は大反対ですよ!!♞

月神(つ きがみ)マリア

❍キセキ!!
HANABI、一緒に見よ!!
アイ☆ラビュー☆キセキ!❤
アタシ、タリアとマナナのキューピットになった。
キセキが元カノヘリターンするの許さない!!
キセキはアタシのモノ!
イッツ マイン!❍

難波(な にわ)カンサイ

Uいや~死ぬほど、会いたかったで♪
もう夢で魘されるレベルでや。
正直な、アニオタの学習ニイ~はデブやし白メガネやし、キセキくんとは比べ物にならへんわ。
ウチのハートは最初からキセキくんのモノやで!
よう聞くで?
高校時代の人間とや、同窓会(どうそうかい)で話 があって・・結婚ってな!
もうウチにしいな。
ウチの胸へキセキくんが飛び込んで来ること祈ってるでU

大和ナデシコ

||キセキ君…相変わらず、イケメンだわ。
もう❤
あたしとどうかしら?
あたし、こう見えても大和ナデシコで・・尽くすわよ?
2年前はキスだったけど…今度は身を(ささ)げ ても良い気分よ?
大好きだわ…どうかしら?
あたしのこと||





☆☆☆

自慢ではないが・・これが、僕の日常だ。
しかし、ココまで(せま)られると…逆に僕はレ スをする気が失せて来る。
もう少し、下心を隠してもらいたい。
飛行機の中では寝ることに決めた。
どうせ、電波は通じない。

やはり、一番・・・まだ、マナナからのLINEが興味沸く。
だって、これ読んでみたら…。
僕はどう返事すればいいんだ?
猛烈にモーションを感じてしまう。

平和国の平和ヴァカンス空港へ着いたら…王族財閥ターシャ会話教室にいる(はず)の 王族レイカさんへ会いに行こうと思った。
彼女は常にいる筈だ。
どうだろうか?
さすがに…休日はいないだろうか?
あの塾もターシャ祭り前後は休校だ。
ということは…僕が到着するのはターシャ(まつり)翌 日、9時半ぐらいになるから…。
流石にいないかもしれないが…ちょっと、顔見せに行ってみたい気分だ。
僕のスマホに本命のレイカさんからのLINEだけが来てないのが悲しい話だ。

レイカさんならこんな内容のLINEをしない気がする。
そこら辺も興味があると言うのに…。

☆☆☆

飛行機14時間の旅はエコノミー症候群になるのかと思うレベルに長い。
飛行機の中ではスチュワーデスさんを見詰めてる。
全員、美女ばかり(そろ)ってる、僕はとても機 嫌が良くなる。
次、候補に入れるなら…スチュワーデス系も良いかもしれないという妄想も流れてる。
僕はあのLINE4名の中で誰か一人を選べなかったが…。
好かれること自体は別に嫌でもない。

こうやって、選択肢が増える瞬間が色々…想像できたりして心高鳴(こころたかな)る のだ。
ただ、あそこまで猛烈に言い寄られると…僕としては困って来るみたいだ。
飛行機の中のスチュワーデスさんは全員、美しい…もう観賞(かんしょう)だ けで癒される。
花が飛行機の中では乱れ()いてる、人生とは 素晴らしいモノだ。
僕は幸せだと思う、素敵な女性たちに優しくしてもらえて…これ以上、何を望むのか?
泉の巫女様には感謝してる。
僕がモテるようになったのは…きっと、彼女が持つ不思議な力のお蔭だ。
嫌われるより好かれる方が数倍、幸せだ。

飛行機の窓から見る夕焼けはまた、格別の味わいがある。
スチュワーデスさんたちは目の抱擁(ほうよう)に 良いが…そろそろ僕も誰かとエロがしたいとも思う。
いつまでも官能小説の世界に浸ってるだけで良いのか?
僕もそろそろ冒険がしたいとも感じる。
しかし…世間体から別に全員から(うら)まれて まで実行しようとも思わない。
どうすべきなのか?
ボンヤリいろいろなことを考えながら、飛行機は進んで行く…。

今年はターシャ神社へ御賽銭(さいせんばこ)をし て…−――レイカさんと今年こそエロが出来ますように!−――と、不純な願い事を必死で祈ったが…。
叶うだろうか?
神頼みでは難しいのだろうか?

☆☆☆

随分…長時間、寝たと思う。
飛行機はようやく、平和ヴァカンス空港に到着した。
7時30分発のフライトで日付変更線を(また)い で、夕方9時30分前後頃になって来る。
偏西風の影響で…時間に誤差があることも多い。
着いたら、欠伸(あくび)()れ た。

平和ヴァカンス空港は目前に遠浅な海がある、ヤシの木が連なり…カジノシティの看板が(きら)び やかに光る。
空港のコンビニで食材も調達して…僕は空港付近の商業ビルへ向かった。
隣に書店もある。

”ハーレム全開物語”を平和国語で読むとまた違う味わいがある。
僕は毎回、ターシャ語と平和国語…両方のハーレム全開物語シリーズを購入してる。
今回は、”ハーレム全開物語X”の平和国バージョンが書店で売ってる。
これを買う目的で、書店へ入った。
閉店が10時だ、急がなくてはならない。

本に緑色のブックカバーを店員さんにしてもらい、青いショッピング鞄へ本を入れて…僕は黒いトランクケースをガラガラガラと道へ転がして移動する。

隣の商業ビルには”王族財閥ターシャ会話教室塾”という看板が上がってる。
商業ビルエントランス、自動ドアを越えて…館内のエレベーターへ向かう。
エレベーター内部で3階のボタンを押した。

エレベーターが3階へ付けば、塾のフロントだ。
常はここにレイカさんが受付嬢として待機してる。
しかし、今日は塾は臨時休校だ。
軽やかな茶髪ミディアム…水色ワンピを着て笑顔で、レイカさんがコチラへ視線を送る気がしたが…。
 (まぼろし) だったらしい。
レイカさんも今日はゆっくり休んでるらしい。

エレベーターが開き、3階のエントランスが…僕の視界に映った。
館内が暗い…やはり、今日はさすがにいなかった。
僕はガックリと来た。
当たり前の話だが…レイカさんなら休校日ですらいるような気がしたからだ。
エレベーターに戻り、1階のボタンを押し…僕は大人しくトランクケースを引っ張って…バス乗り場へ向かった。
夜空に星が(きら)めいてる。
天の川な季節だ。
平和国際大学行きのバスに30分ほど乗り、僕はうたた寝をした。
終点で下車して、オレンジ煉瓦(れんが)マンショ ンへ進み…エレベーターは6階ボタンを押し…自分の一室へ向かう。
僕は6階最奥部屋だ…。
赤い廊下を進み、漆黒色ドアの狭い穴へ鍵をねじ込んで…部屋へ入った。
帰宅すると、ホッとする。

緑色な布団が敷いたまま、散乱してる。
トランクケースを部屋の片隅へ置いて、熱い溜息を吐いた。
しかし…もう、別にスマホの返信をする気になれなかった。
今日も早めに寝ることに決めた。

☆☆☆

マナナはタリアを寝取ったのか?
茶髪ロング眼鏡系女子ミルルを絶大に支持していた…僕の親友、タリアから。
いろいろ妄想すると…、僕は寝にくかった。

マナナのエロ度とはどれぐらいのものか?
それもまさか…マナナから罰ゲーム的な軽いノリでエロを(せま)っ たのか?
偏見は駄目だが…マナナの母がAV女優まで勤めてた人間だからどうしても、まさかそうなのか…。
と想像してしまう。
悪いが、あり得そうで…仕方ない。

タリアと僕の両方に当時、本命がいたわけだ。

タリアは…TVCMに出演する茶髪ロング眼鏡美人ーミルル。
僕には…ミスターシャ王立女子大に君臨する茶髪ミディアムな2歳上の女性―レイカさん。
同じ条件な中、…何故か、幼馴染の低身長巨乳オカッパ黒髪なマナナが選んだのは…タリア…。
これが不思議でたまらない。

彼女は・…モテる僕と交際することで、女性から酷い目に()い… それに疲れて楽な方を選んだのだ。
僕は現在、微妙だ。
タリアとマナナが今回…破局したら一瞬、元サヤに戻ろうかとも思ってた。
よく考えて見れば…レイカさんは憧れの人だが、あまり人となりを僕は知らない。
僕と会話があうのは明らかにマナナだ。
 
それに…マナナには知らなかったが、凄いレベルな寝技があったらしい。
今日はポケーとした心地だ。
確かに、マナナと交際してたのに…本命へ心移りして、デートは乗り気じゃなかった僕に非がある…。
それは認める。

 いろいろ、悩むこともある。
まず、レイカさんが何を考えてるのか…僕には不明だ。
不思議なことに、マナナとするlineが一番、(はず)む 事実に悄然(しょうぜん)としてる。
僕は実際、誰が好きなんだろう?
憧れのレイカさんなのか?
レイカさんからは絵馬に

☆「sp試験、頑張って!」

とエールをもらった。

しかし、僕は…元カノのマナナと憧れのレイカさん、どっちへ執着(しゅうちゃく)し てるんだろう?
もしかして、どっちもなのか?
僕は気が多いのは認める。
レイカさんは…どう思ってるんだろう?
どうすれば、今より距離が縮むのか。
困惑してる。

もしかして、僕は勘違いかもしれないが…。
マナナのことを(した)ってた時代もあったん じゃないだろうか?
(あこが)れのレイカさんより前に。
今回のターシャ祭でそんな気がしたのだ。
好きといっても友情に近いのかもしれないし、近すぎて察知できず目移りしてしまったが。
マナナといると猛烈に(なつ)かしい気がしたの だ。
彼女といると童心そのもので…。 それは初恋に似た感情だ。
僕は途中でレイカさんへ心移りしたけど実はやっぱり初恋はマナナだったんじゃないか?
錯覚(さっかく)かもしれない、そうじゃないとお かしい。

この胸騒(むなさわ)ぎはなんなのだろうか?
どうして僕は今、陰鬱(いんうつ)なんだろうか?
素直に、二人の結婚が祝福(しゅくふく)できな い。
隣の芝生(しばふ)が青く(う つ)り、自分が小さく感じ…卑下(ひげ)し てしまう。
僕が幸せへ突入出来たら…この感情は(ぬぐ)い 去れるのか?

僕は情欲(じょうよく)(お ぼ)れてる。 次、同じ(あやま)ちを犯さなければ良い。
マナナに伝える気にはなれないが…僕は随分昔、性に芽生(めば)え るよりもずっと前にマナナがスキだったんじゃないだろうか?
そんな気がした。

理由は、僕を(しか)って(な ぐさ)める長髪眼鏡女児ミルルから守ってくれたのは…果敢(か かん)なオカッパ女児マナナ。
泣きじゃくる僕を(なぐさ)めたのはマナナ。
会話が(はず)んだのも…マナナだったからだ。
側にい()ぎて、分からなかったのかもしれな い。
年に一度しか会わなくなって…初めて気がついたのかもしれない。
マナナと友情で(きず)いた素敵な記憶を忘れ ないだろう。
僕は…レイカさんを落とせるのか自信がない。
レイカさんの思い出も…マナナ以上にこれから増えれば良いんだが。

僕は…強引に言い寄られると…引いてしまう性格かもしれない。
マナナからは長年、求愛されて…有頂天(うちょうてん)に なっていたのは真実だ。
だが、今回…マナナに濃厚な寝技があったことを察して、激しい後悔の渦に襲われてる。
僕は今、エロエロな気分だからだ。
情けない理由でもあるが…。

何故か、本命のレイカさんより元カノのマナナをズリネタにしたい心地になってる。
僕が元カノマナナに落ち着き…塾にいるレイカさんへ走らず、まともにマナナとデートさえしていれば・・。
今頃、寝技がありそうなマナナと…エロエロな日常を()ご せた思えば…。
僕はもう脳内が桃色になって変わるのだ。
後悔とは先に立たずだ、失敗は次に生かせばいい。

タリアのミルル好きは相当なものだった…。
彼は四六時中、ミルルを『才色兼備』と崇拝し褒め称賛し…マナナを『ビッチの子、低脳』と(け な)し続けていた。
それを正反対へ改心させるレベルのマナナの寝技(ねわざ)と は…どれほどレベルなのか?
今ではタリアは全く、ミルルへ見向きせず…マナナへの悪口も止まった。
あれではただの無口男(むくちおとこ)だ。
マナナの情事中に現れる痴態(ちたい)とはいかな ものか…を想像すると僕は不眠症になりそうだ。
僕は今、性的なことに溺れ…性的な話に弱いのかもしれない…。

今回のラインを通して、僕へマナナが今では完全にタリアへ行ってしまったことを感じた。
マナナはどうして…僕よりタリアへ軽い気持ちで…体を張りエロ光線を仕掛け、墜落(ついらく)さ せたのか?
マナナがあの高校へ入学できたことは確かに、奇跡に近い。
マナナの母が良く、この高校で男をゲットしろと説教してた話は…僕も聞いてる。
マナナは親から男はその辺で寝とって奪い落として来いと躾けられてるような娘だ、あり得そうで仕方ない…。

別に、僕にしてくれてもよかったのに…。
そうすれば今頃、僕はレイカさんからマナナへ転んでいた可能性もあるのに…。

平和国語で執筆された官能小説”ハーレム全開物語X”だけ読むことにした。
エロ本を外国語で読むのは新鮮だ。
官能小説って素晴らしい…読み進めれば、ドキドキする。
これぐらいの楽しみしかない。
今年こそ、願い事が(かな)えば良いのだが。
こうして、夜は()けていった。

レイカさんも悪い、僕を困らせ続けてる。
溜息(ためいき)を吐いた。



「レイカさん護衛SP試験にて」


それから2か月流れ、悪のレイカさんsp護衛試験が開始された。
その年に行われた実技も想像を絶してた。
ボクシングだった。

それでは…赤コーナー、灯台キセキ(22)。
白コーナー、頑丈ツヨシ(20)
整列して、笛の音が鳴ったら…戦うザますよ!
開始ザマス!”

―――PIIIIIIII.

僕は頑丈ツヨシという岩のように屈強そうな男を睨み付けたが…。
巨人並みに大きい、僕の苦手な頑丈英子さんに似てる。
全身筋肉でムキムキなマッチョマンだ。
まさか…親戚なのか?

ボクシングサックを手に付けたが…彼は瞬時な神業で…こちらへ疾風のごとく、接近し…。
僕に近付き、ニタリ…と不敵な笑みを浮かべた。
僕はゾクリと身震いがした。
次の瞬間…僕の体が宙に舞い…リングの場外へ凄い速度で飛んで行った。
世界がグルグル回る…無重力の境地を味わう。




床へ着地した時…何が起きたか、理解が出来てなかった。
あまりの格差にすぐに勝敗が決定した。
目前に閃光が放たれ…頭がクラクラとして…暫く、気絶しかけてた。

勝者…頑丈ツヨシ!
一回戦、KO勝ちザます!”

周囲の観客がウォーウォー叫び始める。
音が遠く聞こえる…。
耳へ単語が入って来ない。

気が付けば…僕の顔は蜂に刺されたかのように腫れ上がってた。
僕は彼に顔をボコボコにされたらしい。
KO負けだ。
あのSP護衛試験、やはり難関どころではない…命懸けな試験だ。
救命隊が僕へ接近して、桃色看護服を着るナースの美女から顔にバンドエードを貼られたが…。
半分、頭が死んでる。
それから、メンソレ―タームを打撲で腫れる僕の頬へ塗ってくれた。

幸い、軽傷だったらしいが…僕にとっては生死を彷徨う事件だった。
鞭の後の飴は甘い。


☆☆☆

面接試験では・・。
僕は1回戦で落ち、言われることが分かり…気落ちしてた。
半泣き状態にもなってた。
()められるに決まってる。

“また来たざますか?
性懲(しょうこ)りがないざますね!”

白髪を頂点で結い上げ、黒いメイド服を着た年配女性…婆ヤさんは僕を(にら)み 付けた。

☆「今年の実技試験…。
キセキ君は最下位よ…」

レイカさんはいつもの調子で軽やかな茶髪ミディアムはセットされてる…水色ワンピも常通りだ。
棒読(ぼうよ)みでレイカさんが僕へ声掛けして る。
僕は絶望にガクリと頭を下げ、誤魔化すように茶髪を()(む し)って…茶目を動かした。
作り笑顔になった。
半泣きの境地で僕の頬にはバンドエードが張ってる。
僕に護衛艦は絶対、合ってないと肌で感じた。
殴られるのは痛い・・。

「レイカさん、僕は今年で大学も終わるし、ターシャ国へ帰ろうかと思います。
僕の暮らす場所は祖国な気がするんです」

“別に良いざますよ。
ね?
レイカお嬢様”

婆ヤさんはチラリと横目でレイカさんを見た。
レイカさんは…数秒黙り、机を叩いた。

☆「キセキ君が塾に来なくなると…。
マリアさんを他とした女性客が塾から来なくなるのよね?
経営にも影響するわ。
ウチとしては、キセキ君はあの塾で正式採用する気だったんだけど。
それなら、仕方ないわね。
さようなら、キセキ君」

「え?
それ、本当ですか?
レイカさん!」

僕は驚いて、レイカさんを見詰めた。
レイカさんは困ったように微笑を浮かべた。
僕は何度も瞬きをした。

“勘違いをするなど、厚かましいざます!
確かに、あの塾へ通う客…はコイツを慕う女ばかりざますよ?。
顧客全員、名前が覚えられないぐらい…ウジャウジャいるざますが。
あそこは、ホストクラブじゃないざます!”

「女性の美人講師だとね?
客から講師へのセクハラで事件に発展する可能性があるけど。
キセキ君の場合はまあ、殺人事件には発展しないでしょうし。
そういう意味では…安心なのよね?」

“まあ、コイツが客からセクハラに()おう が…知った話じゃないざます!”

「わかりました。
僕は来年も頑張ります」

僕はコクコクと頷いた。
レイカさんは柔和に頬を緩めた。
レイカさんの水色ワンピから判別できる胸元も柔らかそうだ。
レイカさんって全体的な雰囲気が優しそうだ。
おっとりしてそうに見えるんだが…。
期待を裏切られてばかりだ。

隣に座るー白髪を結い上げた黒いメイド服の年配女性ー婆ヤさんは機嫌が悪そうだ。

☆「以上ですわ」

“帰るざます!
次の面接があるざます!”


僕は少しデレデレと()かれた。
顔にはメンソレも塗り、打撲傷を少しでも早く治すために手当をしてもらったが…。
顔は痛いが、心が軽い。
やっと…苦労が報われた気分だ。
月神(つきがみ)マリアを他とする大学内で結成さ れてる女生徒軍団に感謝しなければならない。

面接室を出終わった後に、毎年…面会してるレイカさん護衛軍団からも労いの言葉が頂けた。


[まあ、ボクシングで一回戦KO負けなのは恥ずかしいが…。
負け犬なりに評価はしよう]

[しかし、レイカさんは高嶺の花だ。
まだ、懲りないのか?]

[今年の試験もハードだった。
来年に期待してる…]

黒いタキシードに胸元に名札を振った職員から激励はされた。


☆☆☆

こうして、僕はsp試験は落ちたが、あのターシャ会話塾で正式採用が決定した。
例え不純な動機でも、バイトをしていて本当に良かった。
継続は力なりだ、途中で諦めて…止めなくて良かった!
本当に色々、努力を重ねた結果だ。
見向きされなくても根性で、ココへは通い・・・連日、アタックの数を繰り返した。
下手な鉄砲でも打てば当たると言う(ことわざ)は 本当らしい。
願えば…かなうと言うのも本当らしい。
だいたい、真面目な理由で続く訳もない…僕はそう言う人間だ。
レイカさんに貢献できて…これほど、喜ばしきこともない。


しかし、このバイトも…教材カード作りが残業日課なのが大変だ。
僕はミミズ文字で、絵もうまくないが…女性顧客がそれでも苦笑(くしょう)し て許してくれてる。

☆☆☆


「僕は今日も男性上司から…字が下手だと責められた。
この仕事に向いてないのだろうか…」

夜道、金髪巨乳碧眼美女ーマリアと…黒髪ポニーテール美女ー可憐を…見送るのは恒例だ。

❍キセキの文字、ファンタジックね…。
WOW。
惚れちゃう〜★❤
グッドルッキングガイキセキ❤❍

マリアはこの調子で…肩ラインなクルクルの金髪を街灯に煌めかせ、白いドレスから胸元を大胆に僕の胸元へ付き付ける。
それから、僕へ挨拶代わりに頬へキスを落とす。
マリアの赤い口紅が頬へベッタリと付く。

♞何、平和国式の挨拶をしてるんですか?
キセキ先輩に!
キセキ先輩、ササ…一緒に手を繋いで…帰りましょう!
女の夜道は危険ですから!♞

可憐は首を動かし、馬のように黒髪ポニーテールをしならせて…僕の手を強引に繋いだ。

前まで、彼女からの握手を拒んでいたが…。
レイカさんの非情さに嘆き悲しみ、今…心に隙間風が吹きつつある。
レイカさんだけが頼み綱なのに。

モテてて良かった…。
僕の敵は男性上司だ。

女性の上司は僕が課題をこなせなくても甘く、熱烈に肉体関係を求めて来る…。
裏でセクハラ被害だけはあるが…それを上手に交わせば後は問題なしだ。
男性上司は僕へ厳しく激怒だが…女性が絶対的に擁護(ようご)し てくれる、かなり助かる。
味方がいないと精神的にめげそうでもある。

昔、僕の願い事を(かな)えてくれた…金髪碧眼 長身華奢(きゃしゃ)な美女ー泉の妖精様へは感謝 してる。
お蔭で大学内で僕のファンクラブが結成されたり、大学へ通う女子軍団が軒並みにココへ通いに来たり…。
ストーカーに逢ったり…今まで人とは違う体験がたくさん出来た。
泉の巫女様は…僕の中では天使に近い…神々しき守護霊(しゅごれい)だ。
きっと今でも泉の下から見守って下さってる筈だ。
僕は割りと信心深い。





「留学してから6年目のキセキ視点」



その後、僕が王族財閥(おうぞくざいばつ)ター シャ会話教室塾の講師へ正式採用された年から…月日は3年も流れた。
僕は25歳、レイカさんは27歳になった。
時の流れは…あっという間だった。
レイカさん護衛SP試験の日が近付くと…毎年、僕は心臓が止まりそうになる。
あの試験、やはり…難しすぎる。

現在、ターシャ国にいるマナナは不妊治療へ通ってるらしい。
お義母さんから||「2年子なきは去る」||と苛められてるらしい。
神社の跡取りは絶対必要らしい。
月神家(つきがみけ)(と つ)いだマナナは大変だ。
旧家(きゅうか)は色々、試 練(しれん)があると思うが…これからも僕は幼馴 染(おさななじみ)のマナナを応援してる。
頑張れ、マナナ。

ミルルとゼロ夫妻は…ミルルが遊びたいらしく、子供はまだ良いらしい。
ミルルは現在、ゼロから10億タ$分の恩返しをしてもらってるらしい。
家でのんびり主婦になってる。
ただし、ゼロは子供がもう欲しいらしい。

僕は25歳。
レイカさんは27歳。
信じられない話だが、毎日、塾へ通ってるのに……全然、僕はレイカさんと進展がない。
レイカさんの婆ヤさんを他とした護衛軍(ごえいぐん)や、 塾へ通う僕を恋慕する女性客達が…凄すぎて、ガードのせいで関係が進まない。
レイカさんにもファンクラブが結成されてる。

僕はある日、塾の受付で…根性を出して告白した。
というか…これ、何度目だろうか?



←平和国からコンニチハR

目次

→平和国21






こちらの続編はもう少しあとで…。
次は…タリアとマナナ視点の見合い撲滅話、秘話。
それから…。
ゼロとミルルが入籍までの階段。
を推敲し終わった後に、キセキとレイカの結婚生活その後が綴れたら良いなと願います。
愛読ありがとうございます。

実はゼロの返還金がミルルの二十歳誕生日に半額安くしてもらえた件については…。
続きの展開があるのですが…。
そこまで執筆できる自信が…あるかどうか…。
だいぶ、このシリーズも長くなってるので…。

初期の文章手直しが大変で、特に描写に関して補足説明を加えて行ってる感じです。







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