平和国からコンニチハアナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

…[社R18]見合の結末は?本命は来るのか?


 

平和国からコンニチハ17

「キセキ視点」


『……………………………』

 黒袴(くろばかま)なタリアの表情 も…心ここ(あら)ずな感じが(た だよ)ってる。

タリアは猛烈に母親から激愛されてるらしい、何故だろう?
素敵な話だと思うが…僕は反応に困って来る。

まあ、良いだろう。
今日は感動のストーリーだった。

☆☆☆

僕はターシャ神社から背を向けた。
あとはタリアとマナナで話し合いになるべきだ。
僕はこの場に邪魔だろう。
白着物姿なタリアのお母さんが僕を(にら)み付 けてる。
マナナは頬を(ゆる)めオカッパな黒髪を振り乱 し、感涙に(むせ)び泣いてる。
…これが一番、僕が見たかった光景だ。
マナナが幸せそうだ。

タリアが何を考えているのか謎だが…彼の従兄妹、金髪碧眼巨乳系美女―――月神(つきがみ)マ リアの一族を見て感じた。
全員、マリア以外無口だが…じっくり観察すれば、小さな仕草がある。

タリアなりに…何かを考えて生きているのだろう。
タリアの無口さは勘では一生、治らないが…僕が幼稚園時代から彼は大人しかった。
しかし、今また(さと)りを開いて…自らの運命 を受け入れた瞬間なのだろう。

(まだまだ遊びたい気分だったし、美人の敏子さんには猛烈に興味があったが…。
仕方ない、親戚にバレたし…とうとう認められてしまった。
腹をくくって、人生の墓場へ進もう。
悟りを開くしかないんだ、耐え忍ぼう…)

こう考えてる可能性もある。
タリアは確かに強い者に巻かれるタイプなのかもしれない。
(これで良いんだ…)と僕は自分に言い聞かせた。

それにしても…約束の時間に、僕の本命――レイカさんが来なかった。
ゆるフワ巻きな茶髪ミディアムを…軽やかに風に揺らしながら、ヒラヒラと手を振って…太陽を背景に、微笑みながらエレガントに出没すると期待してたが…予 想が外れた。

僕の隣にいる清楚系美女、美神敏子(みかみびんこ)さ んがこの場に取り残されて…戸惑(とまど)った様 子だ。

❂あの…えっと私は…その ❂

敏子さんは黒髪ショートカット、青いノースリワンピ、瞳が猛烈に綺麗で大きい女性だ。
鼻筋は通り、顎は細く…色は白く、頬は丸く…ミルルも確かに女優になれたが、彼女も清純系女優ならすぐに受かるだろう。

☆☆☆

僕は…敏子さんを残し、ターシャ神社の赤い鳥居を越えて…石段に座った。
ターシャ神社は…急な石段を登った先にある。

バス停からターシャ神社へ行くにはこの一本道を必ず、通らなければならない。
ターシャ神社には裏口もあるが…裏口はターシャ泉へ(つな)が る一本道だ。
レイカさんが、表玄関か裏口か、どっちの道から来るのか予想が付かないが…。
普通に考えて、こっちだと思う。

美神敏子さんも…僕も正面玄関へ続く石段からターシャ神社へ来てる。
神社の裏口は…ターシャ祭りの日、関係者専用通路になるからだ。
神社関係者は…一日を介して、ターシャ泉や神社を頻繁に行き来して…多忙極(たぼうきわ)め る祭りになるからだ。

あと、することがないから…。
石段で、1時間ぐらいなら待ってみても良いかもしれない。
レイカさんをだ。


☆☆☆



石段に座る僕の元へ追跡(ついせき)する女性がい る。
黒髪ショートカットを風に(たなび)かせながら疾 走(しっそう)して…敏子さんが頬から玉の様な汗をかきながら、ひと声 を僕に掛けた。
走って来た衝動で心臓が高鳴ってるのか…敏子さんは青いノースリワンピで(おお)わ れた胸元を(おさ)えた。
敏子さんの透き通るような肌は、頬の辺りが薔薇色で(きら)め いてる…。

❂あの…キセキ先輩、えっと・…私の縁談は…その…。
えっと…わ、私・・その…条件的には悪くないんですね…。

で、でも…あの国立ターシャ大学神学部まで出た才女のお母様と同居が…その・・耐えられそうになくて。
見合いの釣所書(つりしょがき)に…同居絶対と書 かれていて…。

あ…お母様を(けな)すわけではないのです が…。
その、私も一応、えっと…幼稚園から茶華道(さかどう)そ の他は習ってて、確かに習字や正座レベルなら出来るんですが・…。
その…お母様がシッカリし過ぎてて、私には…えっと、その…自信がなくて…。
キセキ先輩、どうしたら・…。

しかも見合い相手も写真以上に顔が好みじゃなくて…詐欺写で…。
もう、どういうふうにお断りしたら良いのか…。
今、頭が痛くて…その…❂

敏子さんはノースリ青ワンピから露出してる白い腕を抱え、黒目を泳がせた。

「見合いは破談になったようだ、僕の幼馴染(おさななじみ)が… 入籍する話へなったようだ。
僕の親友の従兄妹、マリア一家のお蔭だ。
その方が良いだろう。
マリアは平和国語しか(しゃべ)れないが…そん な話をして、役所へ走って行った」

❂じゃ…えっと…私は…その…❂

敏子さんはチワワに似た瞳をパチクリとさせた。

「別に帰っても良いだろう。
良かったな」

❂あの…えっと、これから私とその…御茶なんて…あの❂

敏子さんは潤む瞳をモジモジと左右に動かした。

「君はちゃんと男性に喋れるじゃないか?
大丈夫だ、僕は本命がいる。
僕のことは忘れて欲しい。
マナナとタリアがくっ付いたことは…まあ、旧友として嬉しくはある。
君と縁があれば、また会えるだろう。
そういうものだ。
君は家に帰るべきだ」

❂そうですか…。
えっと、私は・…キセキ先輩と・・その…。
また…縁があるように祈ります。
えっと…❂

敏子さんは赤面した。

「気持ちはありがたくいただこう。
君は僕から去るべきだ。
今日はそんな気分だ」

❂そうですか…。
えっと、その…キセキ先輩は…いったい、どういう人なんですか?
あの…えっと❂

「ありがとう、気持ちだけ受け取っておく」

僕はターシャ祭で昔、祈祷してもらったことが叶い過ぎて・・モテすぎてる自覚がある。
しかし、今からレイカさんが来るかもしれないのに。
また女性に(から)まれるのも困る。
僕は考えてみれば…レイカさんと二人っきりになった経験が(ほとん)ど と言って、ない。
モテすぎて逆に全然、本命と進まない。

❂えっと…私じゃあの…その…❂


「大丈夫だ、君ほどの美貌があれば、すぐに男は落ちる。
しかし…僕には本命がいる。
許してほしい、僕が君に行けないことを。
レイカさんから完全に振られて…もう(あきら)め が付いたときには考えてみよう。
君は自宅へ帰るべきだ。
他にきっと現れそうだ。
君ほどの美しさがあれば」

❂そう…ですか…;;。
えっと、またお会いできることを心よりお祈りしてます…。
はあ…❂

「気を付けて」

❂はあ…。
平和国語が(しゃべ)れるってことは…平和国と 関係してるんですか?
キセキ先輩はそれとも、そういうのは関係なしなんですか?❂

「はあ…。
君の親友、馬髪可憐(うまがみかれん)に自宅へ 帰ってから聞けばいい。
全てが分かる筈だ。
今日は僕から解散してほしい、頼む」

❂・・・そう…なんですか…。
可憐…。
はあ。
運命が(つな)がってるように…祈ってます!
それでは…❂

絶世の美女、美神敏子さんは石段を降りて行った。

敏子さんのカモシカ脚は女性的なラインで…肌が透けるようで、色が抜けてる。
ノースリ青ワンピから(のぞ)く腕も…スベスベ で艶やかで女性的だ。

腰は(くび)れ、(は かな)げで雪のように美しい女子だ、(うなじ)か ら細く白い首が見えてる。
ショートカットが似合い、少女のように可憐で…瞳がキラキラした女性だった。

しかし…僕は今日もそっちに転ぼうと出来なかった。

何故なのか?
もうすぐレイカさんが来る。
今日は…そっちに懸けてみようかと思った。

タリアとマナナも和解が出来たのかは謎だが…親族の手によって無理やり、引っ付いたし・・。
僕も少しぐらいは恩恵があっても良いと思うのだが…。

石段の上のターシャ神社では…。
幼馴染のタリアは黒袴を着てた。
それから…マナナはオカッパ黒髪をセットして、オレンジワンピから突き出た巨乳は…丸襟(まる えり)から胸の谷間が見えてた。
二人…マナナが強引にタリアを抱擁してたが。

あのまま行けば、白い着物服なタリアの母が…僕を見るなり、蛇睨(へびにら)み して(うな)りそうだ。
今回も、僕がタリアの見合い相手を奪ったようなものだからだ。
僕は空気は読めるし…怖くて、石段に座ってる。

タリアのお母さんが…あそこまで怖いとは想定外だった。
昔は…僕とタリアのお母さんは仲良しだったのに。
僕が…タリアの見合い相手を取ってしまった件に関して、怒り狂ってるみたいだ。
どうすれば良いのか?

少し、後悔もしてる…。
レイカさんを諦めて…今の敏子さんからの誘いを受け取るべきだったかもしれない。
彼女もまた絶世の美女で申し分なかった。
儚げで白く手を差し伸べたくなるタイプの美しい美女だった。

もちろん、付き合えば肉体関係も築けるのかもしれないが…それで良いのだろうか?
敏子さんはターシャ国、僕は平和国。
超遠距離恋愛だ。
僕は確かにレイカさんには玉砕続きだが。
アドレスぐらい聞いとくべきだったのかと…頭がボンヤリしてる。
僕ももっと、柔らかくなるべきなのかもしれない。
そんな気が一瞬、した。
ターシャ国に彼女がいたとしても平和国ではバレナイ。
でも、それで良いのだろうか?

それって…悪い男なんじゃないか?
僕はそこまでする気になれない。
どうせ、平和国に戻っても、どこに行っても…。
モテまくってるに決まってるからだ。
新天地でも何故か、複数の女性が僕に言い寄って来る。
ここまで走って来られると、自分から行かなくても勝手に来るに決まってる。

☆☆☆

石段に座りながら僕は目を閉じた。
7月7日は外が暑くなってくる、神社の木々では…(せみ)の 音が泣き(わめ)いてる。
日陰を探して、石段に座り込む。
18歳以前、ターシャ(まつり)では…僕は泉の巫 女様(みこさま)と言う名前の女性に毎年、会っていた。

透き通るような金髪に…瞳が空を映したように真っ青で、体から(まばゆ)い 光を放ち…髪が妖精のようにキラキラ(きら)め き、ユラユラ後光が差し・・天女のように美しい女性だった。

今年で僕は22歳になる。
もう会えなくなって、実に4年の月日が流れる。
その女性には毎年、7月7日に「僕は絶対に女性からモテますように…」と祈り続けてた。
彼女はその願い事を聞くたびに、(おごそ)かな 表情で僕へ不思議な力を与えてくれた。
きっと、僕は会えなくなったとしても一生…忘れられないだろう。
次の巫女様はいつ現れるのか?

あれも不規則に出現するらしい。
泉の神童、巫女様は正統なる血族の18歳以下の男女とさせてる。
泉の下から()き出てくる妖精様とされてる。
次の巫女様が女性とも限らないし、男性かも知れないし…何人なのかも不明だ。

もし、次の巫女様が男性なら…。
泉の神子様(みこさま)が出勤するミサが今度は… ターシャ祭り以外、入室は男性のみに変化するのだろう。

もし、次の巫女様が女性なら、やはり神々しいレベルに美しい女性なのだろう。
しかし…僕は絶対、次の巫女様が決定したとしても…彼女の存在は忘れない。

タリアは勉強で忙しくて、一度も結局…ターシャ祭にも参加してないから知らないだろうが…。
僕と巫女様は特別な友達関係だった。
もう会えないのかと思うと、ターシャ祭のたびに・…あの美しい神々(こうごう)し かった少女を思い出す。

今、巫女様の木像がターシャ神社に収められてる。
ターシャ祭はただの参拝するのと、木像を見たり…神父様にお(いの)り をしてもらう行事となった。

それでも大勢の人で(にぎ)わう。
僕はボケーと昔、出会った少女のことを回想していた。

☆☆☆

彼女が最後の任期で…ターシャ祭へ参加した時、依頼した内容は…。

「今年こそ、本命から僕は言い寄られますように」

これだった。
わざわざ、平和国からターシャ祭の日だけは帰国して、祈祷(きとう)し てもらった。

『それでは…瞳を閉じて、手をこちらへ。
汝に力を与えましょう』

僕は…対面テーブルを挟んで、魚模様(もよう)水 色ドレスを着た金髪碧眼長身華奢な妖精様―――泉の巫女様(みこさま)か ら手を握られた…。
その時、確かに…熱い何かを感じた筈だった。

『終了しました。
瞳を開けて下さい』

「巫女様…僕はこれで君と会えないのですか?
巫女様はこの任期が終了したら…いったいどこへ?」

僕は急に寂しくなって尋ねた。
僕の隣では…マナナが肩揃えな黒髪を手で触り…水色セーラ服を着て座ってる。
僕の代わりに、マナナがフォローした。

「あら?
キセキ…泣いてるの?
大丈夫よ。
巫女様は…泉の中から常にキセキのことを祈ってるわ」

「マナナ、君は寂しくないのか?
もう、一生…巫女様と会えないんだぞ。
君だって…連日、ミサへ通っていた筈だ。
本当は寂しいんだろう?」

「確かに、巫女様の姿が見えなくなるのは…切なくもなるわ?
でもね。
思い出は心にあるでしょう?
ね?
巫女様」

(なんじ)に神の御加護がありますように…』

「それにしても…。
僕の親友、タリアへは今年も携帯で連絡したのに…。
ターシャ祭に来なかった。

どんな理由があるにしろ、来るべきだったのに…。
タリアは結局、最後まで巫女様へ会いに来なかった。

マナナ、タリアとちゃんとデートしてるのか?
君はタリアから大切にされてるのか?
僕は心配だ。

タリア、ちゃんとミルルを諦めきれてるのか?
タリアは僕へ常にミルルのことしか相談してなかった。
大昔からだ。
死ぬほど、ミルルが好きだったタリアが、ちゃんと諦めきれてるのかも心配だ」

「そうね…。
どうなのかしら?
そこは…。
まあ、タリアも忙しそうだから」

『次のお客様が見えますわ。
()しいただいてありがとうございます』

「巫女様、僕は絶対…君のことを一生、忘れません。
君は僕の友達です。
巫女様も僕のことを友達と認めてますよね?」

『私はアラ人神…。
神の(つか)い…万人に平等なので・…。
気持ちだけありがたく頂戴いたしますわ』

「キセキ…泣くのは止めて・・。
次のお客様が来るわ?
次のお客様は…えっと、ええ?
学習イッチーと学習二イ〜なの??
この名簿(めいぼ)では…。

また、巫女様が(から)まれるわ?
痴漢(ちかん)されないように…キセキ、巫女様の ボディーガードになってあげて!」

「分かった。
僕で出来ることなら、何でも協力しよう。
巫女様にはいろんな恩がある。
僕は巫女様のことが忘れられる訳もない」

こうして、学習イッチーや学習二イ〜の魔の手から…僕は巫女様の貞操(ていそう)を 最後の年も死守してあげたのだ。
学習イッチーは焼けた肌に金髪のサーファー風男。
学習ニイ〜は白デブ眼鏡のオタク男。
両方とも一卵性の双子で、超絶女好きだった。
絡まれて、神々しき美しさの天女…巫女様は大変そうだった。

僕はそのあと、その年のターシャ祭で…レイカさんとも会って…。
マナナからも…レイカさんへ直接、僕のことを眼中に入れるように協力してもらったし…。
僕は巫女様へレイカさんと交際できるように祈祷してもらってる…。と伝えたが…。
何故か…、まだ叶ってない…。
マナナとレイカさんが知り合いらしいことを…その時、発覚した。
マナナの説明では、あのターシャ泉付近のミサへレイカさんは…週一レベルに御稽古事(おけいこ ごと)のように通っていたらしい。
マナナはターシャ泉付近にあるミサ施設に毎晩7時から10時に鎮座(ちんざ)す る泉の妖精様…金髪碧眼美女な巫女様(みこさま)会 合(かいごう)するために…。
毎日、熱狂的に通い詰めるターシャ教の信者だった。

それから…僕とマナナは幼少時代、まるでアベックのようにターシャ祭に参加していた。
レイカさんも…あの村の人なら、全員…殆ど、ターシャ祭に参加するだろう。
確かに、あの村の女性なら…ミサへは一度は通ってるだろう。
ミサは通常、女性しか入れず…泉の妖精様に祈祷料1000円で不思議な力を授けてもらえる場所で、雑誌にも載って…凄いスピルチュアルな観光スポットとし て、色々な客がゾロゾロ押し寄せていた。

(僕も入りたいなあ。
どうして、年に一度の祭りの時しか男は入れないんだろう?)
と思いながら…市内循環バスに乗っては、バスの窓からミサを見詰めていた。

もしかしたら、僕とレイカさんが…大昔にも、どこかで会っていた可能性もあるが・・。
僕がレイカさんの存在を知ったのは、17歳ぐらいの頃だ。

あの美しい人間味が漂わない妖精にしか見えない巫女様は…今、どこへ消えたのだろうか??
泉の下に存在するとされる世界から見守ってるのだろうか?
確かに、人間離れしてた。
全てにおいてだ。

しかし、あれから4年が流れてるが…。
不思議なことに巫女様から祈祷してもらった願い事が叶ってない。
僕は神頼(かみだの)みが過ぎるのだろうか?
だが…信じられないレベルにモテてるのは認める。
神がかり並みだ。


☆☆☆

その時、僕は石段の前に素敵な女性がいるのを発見した。

だいぶ、待った気がする。

☆「あら?
待ってくれたの?」

「レイカさん?」

☆「ごめんなさいね…。
用事のせいで、遅れちゃって。
えっと…マリアさんの和解は…どうなったのかしら?
まだ、最中なの?
それとも…?
キセキ君、どうして…石段に座ってるの?
集合場所はターシャ神社の前でしょ?」


水色ワンピに茶髪ゆるフワ巻き…ふんわりした雰囲気の女性だ。
不思議なことに…僕はこの女性からだけ、言い寄られてない。
それ以外のほぼ全ての女性と言う女性から、一度は(せま)ら れてる。
ココが(なぞ)だ。

それから…僕は数多(あまた)の言い寄って来る女 性から何故、この女性にピーンと来たのだろうか?
確かに美人でふんわりした雰囲気だ。
しかし、もっと美人もこの世にはいる…僕の中で泉の巫女様を越える美女は存在しないが、彼女は僕の友達だ。
何故か性的には興奮した試しもない、絵の中の絵画(かいが)の ようだった。
泉の巫女様は…。

レイカさんといるとホッとする。
マナナとは違う意味でだ。
マナナは僕の母親で、ミルルは僕の妹で、泉の巫女様は僕の友達だ。
マリアや可憐、ナデシコやカンサイは僕を(した)う 女性のウチだ。
敏子さんも美人だったが、まだ日が浅い。

「マリアは…もう用事を終えました」

僕は瞬きをした。

☆「え?」

レイカさんは困ったような表情になった。

☆「そうなの。
悪いわね。
じゃ、可憐は?
今、いる?」

「可憐は…祖父の容態(ようだい)が悪いみたい で…そちらへ向かいました」

☆「そうなの。
じゃあ…私、帰ろっかしら?」

「え?」

僕はショートした。

「あの…僕とこれからターシャ神社へ参拝でも」

☆「参拝だけならね?
参拝したら、私はすぐに帰るわ?
それでも良いかしら」

「はい…」

僕は声が小さくなった。

「あの…そんなに僕と二人デートは嫌なのですか?」

☆「今日は可憐さんとマリアさんと私…合して4人だったでしょ?
突然だとビックリするわよ」

「そうですか」

僕は石段を登った、レイカさんと一緒に。
レイカさんの丈が長いワンピースが風に揺れて…ユラユラしてる。
シフォン調の柔らかそうなワンピースだ。
レイカさんは全体的に柔らかい雰囲気で、抱きしめると柔らかそうだ。

足も白く柔らかそうだ。
雰囲気全体が柔らかい。

エロを誘われてる訳じゃないのに、何故かエロい雰囲気が(ただ)っ てる。
これは何なんだろうか?
レイカさん特有から出てるフェロモンなのか?

足のラインが(なま)めかしい。

☆「キセキ君、去年もSP試験…落ちてる訳でしょ?
仕方ないから、私が神社で今年は参拝してあげるわよ。
キセキ君の隣で」

「僕は実技試験が本当に苦手で…。
今年の実技試験とか…。
分かってませんか?」

☆「そういうのが甘いの。
死ぬ気で頑張りなさいよ。
人間、根性を出したら何とかなるものだわ?」

レイカさんはターシャ神社の賽銭箱の前に行き、1000タ$札を3枚入れて…パンパンと手を叩いて、お辞儀をした。

それにしても、さっきまで神社境内…お賽銭箱の向こう岸、黄畳に立ってたタリア一行がいない。
どこへ消えたのか?
ターシャ泉の方角、巨大な青竹(あおたけ)が飾っ てあるミサ施設へ向かったのか?
それとも、マリア一族を追いかけて、入籍の妨害(ぼうがい)に 走ってるのか?

そう言えば…さっき、タリアのお母さんが||「今日は行事事で忙しいんだから」||とは話してたが。
逆に助かった。
僕はタリアの白着物姿なお母さんから(にら)ま れることで、ターシャ祭だと言うのに…ココへ参拝しにくかったからだ。
ターシャ祭開催時のみ、関係者通路になる神社の裏口から…ターシャ泉の方角へ進んだらしい。

☆「この祭りも寂しいわね…。
私も週1単位で…泉の巫女様のミサへは通ってたのに」

「レイカさんは…そう言えば…ミサへ通い詰めていたんですね」

レイカさんのスカートのライン…水色のワンピースから柔らかい曲線ラインがある。
レイカさんって、身長160cm くらいか?
スタイルが良いと思う。

それにしても…僕はいつになったら、レイカさんとエロが出来るのか?

僕も神社へ…僕は1000タ$札も入れないが…。
5タ$を入れた。
ご縁がありますようにと言う意味だ。

それにしても…ココまで違うと、僕とレイカさんはやっぱり…一生、無理な可能性がある。
金銭感覚も僕とは違いそうな雰囲気だ。

それでも神様に祈祷してみた。

――――「神様、今年こそ…レイカさんとエロが出来ますように!」――――

神様に願うことだからこそ、願い事がストレートになる。
僕は真面目な願い事などしない。
下心があることしか、基本…しない。

一生懸命、頭に念じて…神社の(かね)(ひ も)で揺らした、ガラガラガラと良い音が鳴り渡る。
それから両手をパンパンと叩き、お辞儀をした。
何故か、神社とは心へパワーが湧いて来る気がする…割りと好きかもしれない。
勇気がみなぎって来る。
レイカさんが隣で微笑んでいる。

☆「私は神社へキセキ君のSP試験が受かるように祈ったわよ?
キセキ君は何を祈ったの?
神社へ?
あ…これは、聞いちゃ叶わないのよね?
私へは内緒かしら?」

「あ…えっとそうです…。
秘密です」

☆「そうなの。
キセキ君が何を祈ったのか…気になるけど、聞かないで起きましょう。
ふふ」

レイカさんは賽銭箱(さいせんばこ)から背を向け て…僕から離れようとしてる。


「あの…レイカさん…。
えっと、これから」

☆「私ね、この神社へは今まで色々なことで参拝に来たこともあったわ。
最近、祝日は見合い事で忙しすぎるけど…私に素敵な人が現れますようにって連日、通い詰めた過去もあるわ?
それでも、何故かまだ私には恋人もいないのよね?
いったい、私は誰と結婚するのかしら?
って時々、思うのよ。
私の指は…誰と運命の赤い糸で(つな)がれてる のかしらね?
うふ。
ココは思い出の神社よ、ふふ」

「そうなんですか…あの…。
休日は見合いで忙しいんですよね…えっと…その…」

☆「じゃ、用事が終わったし。
私は帰るわね。
遅刻して御免なさいね。
最近、用事が詰まり過ぎてて」

「え…その」

☆「ターシャ神社、石段の下で婆ヤが待ってるから」

「レイカさん…。
その…」

☆「今日は楽しかったわ。
私にとっては…初めての男の人とのデートだったわ。
でも、婆ヤが男の人は危険だってうるさいのよ。
ありがとう、じゃ。
また、塾で会いましょう!」

「レイカさん…石段の下までなら・・見送りましょうか?」

☆「下に車係さんが来てるわ?
良いわよ、別に…。
一人で帰れるから」

「いえ、階段は僕も下りますから」

☆「そう…」

僕はレイカさんと石段を下りた。
レイカさんの体のラインが何故か気になる。
神社で変な願い事をしてしまったせいだ。
もう少しマトモな願い事にしておくべきだった。
逆に頭が冷静になりにくい。

☆「ターシャ国は涼しいわね…。
平和国とは全く違って肌寒いわ…。
ココに帰るといろいろなことを思い出すわ」

「レイカさん、僕とその…真剣交際とか駄目でしょうか?」

☆「私は別に30歳ぐらいまで独身でも良い気なのよ。
そんなに焦って結婚なんてしなくても良いでしょう?」

「レイカさん…」

☆「そうね、キセキ君が本気出して…全ての女性と清算出来てからの話でしょう?
それまで論外だわ」

「レイカさん…えっと、あれは。
誤解です。
僕は別にそんな多数の女性と交際してる訳では」

☆「キセキ君といるとね、常に女性侍らしてるじゃない?
私は疲れるのは嫌だわ?
ごめんなさいね。
それに絶対、年下が良いなんて私は思ってないわ。
歳は近いのは嬉しいけどね…。
キセキ君といると自信を無くすのよ、私は」

「そうですか…僕はレイカさんが好きなんですが…ダメなんですか?」

ちょっと、ションボリなったかもしれない。
今日も何故か振られてる。

「じゃ・・その、僕がその他さまざまな女性から手を引けたら…。
レイカさんは僕に脈があるようになるということなのですか?」

☆「それは分からないわ?
だって、今の方が気楽だもの。
結婚って大変そうでしょう?
自分のことだけで精一杯だわ。
相手の家や相手のことまで絡んで…。
いろいろ縛られそうじゃないの?」

「そうですか…」

☆「まだ、実はピーンと来ないの。
お父様もお母様も説得して来るけど。
私、気楽な方が好きなのよ」

「そうですか…。
それは、僕もです。
気楽な方が良いです」


☆「はあ…。
私は運よくミスターシャ王立女子大になれたし、キセキ君だけじゃなく数名の男性から言い寄られてるのよ?
でも、ピンと来ないのよね…。
キセキ君は私の何処が好きなわけ?」

「容姿もですし、性格も好きです。
美人で優しいと思います。
僕はレイカさんのことが好きです」

☆「当たり障りがない答えね。
ありがとう、気持ちは受け取っておくわ。
好かれるのは嫌いじゃないわ」

「レイカさんは…その…僕のことは…。
将来的には…えっと…」

☆「ごめんなさいね。
ただ、まだ恋愛がピンと来ないの。
私、ずっと女子大しか行ってないし…兄弟すらいないからね」

「そうだったんですか…」

☆「一つ、忠告するならキセキ君ってなんか…真剣みが足りないように感じるわ。
たまに騙されてるんじゃないかって思う瞬間があるのよ。
婆ヤがね、王族財閥の財産を付け狙う悪い男だって…キセキ君のこと、疑ってて。
私はそうとも思わないけど…。
ウチは養子しか無理なのよ。
キセキ君で(つと)まると思うの?
ウチの家が。
最初から言っておくけど、年間…殆ど平和国とターシャ国を行き来して…睡眠時間を(けず)ら れることを余儀(よぎ)なくされるわよ?
出来るの?
そんなこと?
ウチのパパは仕事中毒症で猛烈に働いてるけど…」














平和国からコンニチハ16


目次

平和国からコンニチハ18





あと数話でこの話も終わる予定です。
まとめるのが大変でした。
一応、ターシャ国シリーズや平和国シリーズの続編と言う訳でもないですが、その後を入れられたのは嬉しくあります。






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