平和国からコンニチハアナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

平和国からコンニチハ4

「キセキ視点」

||「タリアには見合いをさせる、別れさせる」||と躍起になってるらしい…。

ちょっと…マナナが不憫にもなる。

それからマナナはターシャ村付近の短大に受かったとはいえ…通学だけで片道2時間半かかるらしい。
仕方なしに…マナナは現在、下宿をしてるらしい。
そのせいで、マナナはタリアと距離が開いてるように…感じてるらしい。
当初は離島か…飛行機で行く距離な地方だ…と言われてたのが、ココまで近場で見つかったのも…奇跡だと言われてる。
マナナは女子短大に関して猛烈に嬉しそうだが…タリアの母に関して不満があるらしい。

僕はタリアの母が息子激愛家なのは知ってる…マナナが大変そうだ。

僕の母は別に…そう言う堅苦しい性格じゃない。

マナナの母は幼少時代から…元々、僕とマナナをくっ付けることに対して、協力的だったからだ。

マナナの母は…常に、ミルルのことを 「マナナの親友」。
それから、僕のことを 「マナナの彼氏」…と呼んでいた。

僕の母と、マナナの母は…そのせいで親交がある。
正直、あのままで行けば…許婚いいなづけ)にも 近い関係だった筈だ。
僕は幼少時代、遅れてて…恋愛感情なんて分からなかったから…、マナナは僕の親友と言う認識だったが…。

マナナは幼稚園時代から…初対面で僕に対して、

「まるで神童。
神の奇跡,、美しい。
私をお嫁さんにして。
私好みなタイプ。
今から目を付ける。
一目惚れかもしれない…私。
私の名前はマナナ」

と言ってた過去がある。
素敵な思い出ではある。

マナナの母が…僕の母に対して、マナナが交際してるのにも関わらず僕を突然…振った件に関して、謝罪をした話を聞いた。
それ以来、僕の母と…マナナの母は疎遠になってる。

確かに…僕は大昔からマナナからアタックをされていたのだ…。
それなのに、僕に本命レイカさんがいることを、マナナの方が察して・・自らマナナが別れた形だ。

マナナも大変そうだ…。
マナナからLINEでの近状報告で教えてもらった情報だ。

しかし、タリアから僕へは一向に連絡がない…いったい、どうなってるのか?
今日、バイトが終わって帰宅したら…タリアへも久しぶりに聞いてみても良いかもしれない。
ターシャ国の近状報告についてだ。

どうするべきなのか…。

こんな感じで緩く…語学教室の個人指導、バイトが進んで行く…。
殆どの顧客が僕の場合、何故か女性客だ。
男性客が皆無なのが不思議だ。

☆☆☆


バイトが終わった後は、もちろん受付へ行くわけだが…。
というか、そう言う下心以外であまりこのバイトをしてないのだが…。

♞キセキ先輩…一緒に帰りましょうよ!!♞

「僕には本命がいる」

♞知ってますよ!
振られてるんでしょう!!!
もう、誰か一人に絞るべきですよ!!
可憐ちゃんって呼んでください!♞

僕は溜息を吐いた。
常に女性に絡まれる運命に僕はあるらしい。
可憐は黒髪ポニーテールを馬のように嬉しそうに揺らして、どこまでも僕に絡んでくる…突進しながらついて来る。

それに反し、レイカさんへは…声を掛けても、日に日に距離が離されているのは…気のせいなのだろうか?
女子アナ風水色ワンピ…綺麗にセットされたゆるフワ巻き茶髪ミディアム…僕の本命、レイカさんの笑顔が固まってる気がする。

「えっと…。
レイカさん…。
このあとは…」

☆「御稽古ごとがありますから…」

「え…。
あの…僕とのデートは。
連絡を待ってるんですが…」

☆「忙しいので」

「あの…」

レイカさんはコチラを振り返らずに去っていく。
いったい何を考えてるのかは謎すぎる。

♞キセキ先輩…今年も受けるんですか?
根性だけは認めますが・・。
諦めるべきじゃないですか?
レイカさんは住んでる世界が違う人ですよ☆
私なんて超楽ですよ!

平和ウッド俳優…抱かれたい男NO1に君臨するハン=サムと匹敵するレベルの男性なら!!
私は地球の裏側まで走ってでも!どこまでも尽くします!!☆
超楽に決まってますよ。
プリンでもグラタンでもエロでも家事でもどうぞ何なりと申し付けてください!!
頑張りまくります!!
それぐらいのバイタリティーはあります!!
さ☆さ☆
なんなりと命令を下してください!!!♞

「可憐……………。
君が僕を真剣に愛してる、そんな気迫は伝わって来るが……。
悪いが、僕は諦めが悪いタイプだ。

それから…レイカさん…。
僕は今年もあのSP試験を受ける気なんですが…。
あれって、面接でまさか落とされてるのですか?」

SP試験とはレイカさんを護衛するためのバイトだ。
レイカさんはターシャ王の末裔にあたる家で信じられないレベルの良家の子女だったりする。
ココにバイトへ来てる理由は単純に庶民の生活を見るためだけらしい…。
性格は非常に真面目だと思う。

☆「さあ?
実力でしょうね?
それでは…自宅でペットのラッシーとキャッシーが待ってますので。
そろそろお散歩の時間ですわ」

「ラッシーは…犬イルカですよね?
えっと…キャッシーは??」

ラッシーとは僕も会った事がある。

犬イルカとは僕の祖国にいるアイドル的存在の生き物だ。
上半身が犬の顔、体がイルカ…メスはカンガルーのようにお腹に袋を持ってる。

性格は警戒心が強くて、ーバウ!ーと犬のように鳴く。
機嫌が良いと…喉をゴロゴロと鳴らす、摩訶不思議生物だ。

☆「キャッシーはね…、ラッシーの彼女です。
ターシャ泉で昔、ラッシーを自然動物と混浴させたでしょ?

その時に、ラッシーがキャッシーに出会ったみたいですわ?
平和国に来てから…ラッシーが急に元気を失くしましてね?

一度、ラッシーと里帰りも兼ねて、ターシャ国へ戻ったら…。
車が…ターシャ泉付近に来た途端、車内でラッシーが急に吠え出したのですわ?。

その時、あの泉で泳いでたのが…キャッシーですわ」

「レイカさん…。
えと、まさか…自然動物の捕獲を…」

☆「ちゃんと許可なら貰いましたわ…。
ラッシーのためならそれぐらいしますからね。
ラッシーにはちゃんとワクチンも打ってるし、キャッシーにも打ってます。
私は2匹を激愛してますからね」

「えっと…。
僕もラッシーやキャッシーと散歩をしても良いでしょうか?」

☆「もうすぐ婆ヤと車係の王族マモルが来ますので…」

「レイカさんの家から貰ったチャネルブランドの上下白スーツ…。
あんな素敵なものはめっそうもない。
僕はお返しを何かしたいんですが…。
えっと…その…」

もう3年前の話で、僕が17歳だった頃だ。
僕の地元、ターシャ村にあるターシャ国立公園敷地内、ターシャ泉へ動物を放流するのは罰金50万タ$だったが…。
レイカさんはそこへ自分のペットを混浴されて、自然動物と戯れてる最中だった。
その時に、僕はレイカさんのペット…犬イルカのラッシーから突撃されて、腕を噛まれた。
その後…見返りとして、レイカさんの屋敷で治療をしてもらった事がある。
あの当時は…僕もレイカさんもターシャ国で暮らしてたが、ターシャ国にあるレイカさんの本宅は…それは大豪邸だった。

僕が着てた安物の長袖Tシャツは、レイカさんのペットに裂かれ…代わりに、上下200万タ$しそうなチャネルのスーツが進呈された…。
僕はレイカさんのメイド、婆ヤさんからこの件に関して、200万タ$のスーツで黙るざますよ!”と口止めをされてる。
新聞記事へこの事件を売るなんてもっての外ざます!”
婆ヤさんの台詞は簡略化したが…こんな雰囲気で、念を押されてたりする。
レイカさんは割りとこんな感じに御茶目なところがある…しかし、あれは法律違反スレスレだった。
当時はレイカさんも19歳で未成年だった…。

☆「微々たるものですわ?
それでは」

レイカさんはスタスタとフロントから歩き出した。
ターシャ会話教室の照明を消し始めた。

♞キセキ先輩…。
今の話、ついていけなかったんですが…。
レイカさんと何か昔、あったんですか?
あとで教えてくれないかなぁなんて♪

キセキ先輩ってきっと優しいから、レイカさんのことも好きですが…私のことも好きですよね?

ね?
ね?
遊びましょうよ!!
きっと、楽しいですよ!!
ね?♞

「はあ・…。
レイカさん、あの…。
何か…えと…」

僕もレイカさんと一緒にエレベータに飛び乗った。

レイカさんは今日も王族財閥ターシャ語教室ビル前に泊まる黒いベンツに乗るのだろう。

あのベンツに車係と女中さんがいるのを僕は知ってる。

この調子で3年間、全く進展がない。

お手上げになりそうになる。

エレベーター内部で何か話さなくてはと焦り始める。
僕の隣には後輩の馬髪可憐がいる。
僕の顧問客、月神マリアは…帰ってくれた。
しかし、バイトが終わると…馬髪可憐に絡まれる。
全く…僕はモテすぎて、本命のレイカさんと二人っきりになれる時間がない。
どういう運命のいたずらなのか?

♞キセキ先輩…。
私とこのあと…一緒に…デートでも!
失恋、慰めますよ!
ねね!!
キセキ先輩って凄いですね!
何もしてないのに…スッピンなのにイケメンだなんて☆
もう尊敬しちゃいます!
私、メロメロです!!
ささ、デートを!!♞

「レイカさん、あの…。
お見合いがあったんですよね?
えっと、断ったんですか?」

ココは聞きたかった。

☆「連日、お見合いで嫌になるわ。
私はね…。
まだ、自由でいたいわよ。
あまり乗り気じゃないのよね…」

「そうなんですか…。
えっと…。
じゃ、僕にも望みが??」

エレベーターが1階に到着した。
扉の前に黒いベンツが止まってる。
肩にかかる程度の茶髪ゆるフワ巻きスタイルを風に揺らし、水色ワンピの(すそ)(ひ るが)して…レイカさんが、黒いベンツへと進みだす。

☆「どうかしらね?
じゃ…迎えの車が来たわ。
さよなら。
キセキ君?」

僕からはレイカさんの背中しか見えない。

「えっと」

♞キセキ先輩・・・。
レイカさんのお迎えが来ましたよ。
いつ見ても凄いですね。
私、このバイトに受かったの…猛烈にうれしいです♪
キセキ先輩と一緒に働けるなんて…。
私、キセキ先輩と一生一緒に働く…永久就職なんて!!
結婚を前提に是非とも御付き合いを!!
私のこと、好きですよね?
キセキ先輩!!
愛してます!!♞

渋い色合いのワンピースを僕の胸元へ寄せ…黒いポニーテールを風にしならせ、馬髪可憐は僕の手を引いた。

また変な虫ざますか?
今年もSP試験を受けるザますか?
呆れてるザます。
ささ、御嬢様・…お車へ”

腰が曲がり白髪を頭の頂点で結い上げた年配女性は…レイカさん専属の女中さんだ。
黒いベンツを運転してるのは…タキシードにサングラス、顔に傷が付いたイカつい男、王族マモルだ。
王族財閥のSPも兼ねてるらしい。

「えっと…。
婆ヤさん…僕はどうして、毎年…落とされるのでしょうか?
他にレイカさんと接点を持つ方法は?」

あるわけないざまっしょ。
甘いザます。
ササ、行くザますよ”

レイカさんは何故か…僕には冷たい。
ココはお手上げになる。

「えっと…。
僕には望みがないのですか?
レイカさん?」

☆「また明日、キセキ君…」

最後にそれだけベンツの車から窓を開けて…伝えてくれた気がする。
唇から読んだ、レイカさんは車内でヒラヒラと手を振った。

黒いベンツが夜道を走って行く。
平和国のヴァカンス島は歩道にどこまでもヤシの木が連なる。
僕はアロハTシャツを着てる。

今日も何が悪かったのか…。
僕には分からない。
どうすれば良いのだろうか???

♞キセキ先輩…ササ、途中まで一緒に帰りましょうよ!
女の夜道は物騒ですからね?
ここら辺…邪神教集団からの拉致もあるみたいで・・。
私も先輩がいないと怖くて…。
送って欲しいな…なんて♪
手、繋ぎませんか?
それとも…寂しいし、別れ際に握手だけでも…♞

「仕方ない、その辺までなら送ろう…」

僕は基本、フェミニストだ。
ミルルの悲劇を繰り返すわけにもいかない。
しかし、手は繋がない。



☆☆☆

平和国のヴァカンス島は夜は百万ドルの夜景都市だ。
カジノシティが並び、映画の看板も連なる。
ファーストフード店や、土産物屋さん。
ヤシの木がどこまでも連なり、道行く外人も多種多様な人ばかりだ。
足が長く、腰が括れ、胸が突き出して…オレンジ色の髪の女性は…カジノ店前に立っている。
バニーガールだ。
どうしても色々な人を観察してしまう。

道の脇には海が見える。
砂浜は白く、遠浅で透明なビーチだ。
ここは安全な場所だが・・島でも反対側の端は…邪神海に面してる分、危険だとも聞く。
海水浴客で昼間は賑わうビーチだ。
夜もサーフィンをしてる人の姿が目に映った。

夜空には満月がポッカリ浮かび、船が海の上に光ってる。
潮の匂いがする。

♞キセキ先輩!!
来週は…はあ…。
キセキ先輩、仕事…来ないんですよね?
ターシャ国に帰るみたいで…。
私もバイトのヤル気失くします。
どうしよっかな?♞

「君は頑張れ、僕には僕の用事がある。
じゃ…気を付けて帰れよ」

♞ありがとう!
キセキ先輩、先輩って本当に紳士ですね!!
あの…別れ際に握手だけでも!!
お願いです!
キセキ先輩!!

それとも・・私と今夜…。
えっと、もちろん…子供が出来たら責任は取ってくれますよね?
ね?
キセキ先輩。
キャ♪♞

馬髪可憐とは無視して解散した…。
これぐらい強めに断らないと彼女は僕のマンションまで押しかけて来る。
僕は自慢ではなく本当にモテてる、もう自覚してるから他人へはあまり公表してない。
まだ僕は彼女一人に決めていない…彼女を選べば、強引に既成事実へ持ち込みかけられて結婚を申し込まれかけない・…。
僕の周囲には何故か、どの瞬間も女性が付きまとう。
僕が願わなくてもだ。

もう少し、歩けば…ミルルも暮らす高層マンションに付くだろう。
ミルルはまだ仕事中かもしれない。

ミルルほど、稼いでいれば…もっと良い賃貸マンションへ移れそうな物なのに。
ここへ来てから3年が経過し、ミルルは今では時の人とも呼ばれているのに…。
未だに僕が暮らすマンションの下の階で暮らしてる。

マンションの表玄関を越えると、エレベーターがある。
エレベーターに乗って、6階のボタンを押した。
僕の部屋の下の階がミルルの部屋だったりする。
ミルルとは不思議な縁だ。
結局…幼稚園時代から一番、長い付き合いになったのはミルルだった。
こうなるのは昔は予想しなかった。

そんなことを考えてると、エレベーターが6階へ到着した。
一番奥の部屋が僕の暮らすマンション部屋だ。

鍵を開けて、中に入る。
部屋の電気を付ける。
最近、少し忙しくて…部屋の掃除をサボってる。
適当に寝転がって、スマホを見た。

今からもう3年に渡り…連絡が来なくなってしまってる旧友へLINEで送るつもりだ。
マナナからは来るのに、何故か…タリアからは来ない。
マナナは僕が慣れない土地で言葉の差を感じて泣いてないか…心配してる様子だ。
タリアは旧友と言うのに…全く、冷たい奴だ。

☆☆☆

月神タリア
既読
---「タリアへ…。
あれから、何故か…。
全く連絡がないが…。
僕は何か失言しただろうか?

月神マリアは…君の従兄妹なのか?
それだけで良い、教えて欲しい。
この前、ターシャ祭で僕が帰省した時には…『可能性が高い』と、タリアは口では言ったが…。
絶対とは言ってなかった。

僕とのLINE関係を戻してほしい」---

これで良い。
父に聞くとレスが来てから…長い年月が流れてる。
僕は親友のことは悪く言う気はないが…僕がモテるのに反して、彼は何故か女性から不評らしい。
確かに、僕が猛烈にモテ始めた時を境に…友情が壊れつつある気がするのだ。
僕とタリアは小学時代はコンビが結成できると唄われたレベルの仲だったのに。
僕はタリアから絶縁されつつある。
僕としては…モテるのは仕方ない話だ、どうしようもないと思う。

高2時代には、彼から
『おまえばかりモテて俺は恨みまくってる…』とハッキリ言われて自覚してる。

彼は、もう小学生時代から長年大好きだったミルルが………中学2年ぐらいから豹変したかのように、僕にだけ熱烈な特別扱いをして…・・・嫉妬を起こして た。

『おまえはモテすぎだ、腹立つ』
『うるさい、キセキ…おまえは最近、上から目線が酷過ぎる』

またおまえのせいでクラスから女子が減ったと…タリアに僕が責められかねない…と感じたこともあった。

僕がマナナからメール一つで振られた時ですら、彼は

『俺は慰める気にすらならない。
お前はモテすぎだと前から思ってた…。
俺には自慢にしか聞こえなかった、ずっと… 』

こうと言い、余り慰めてくれなかった…。
それ以来、僕は彼から徐々に距離を置かれてる関係だ…。
僕は彼のコンプレックスを刺激しないように努めてきたつもりなのだが…。

しかし、今ではタリアも本命のミルルを諦め…彼の初恋の相手、ミルルも僕からゼロへ心変わりを起こし…全てが変わった。
もう、僕の罪を許してくれて良いと思うが…。
彼は今でも、常にモテて女性を侍らせてる僕が好きではないみたいな感じだ。
どうすれば良いのか…。

LINE関係を戻したいとも願うし、月神マリアについての情報も欲しい。
彼女はタリアの従兄妹なのか…それだけで良い、教えて欲しい。

既読
---「何で僕に返事がないんだ?
月神マリア…。
それは…君の…」---

既読
---「僕は月神マリアには毎日、アタックされてる。
それ以外にも後輩の馬髪可憐にもだ。
毎日、大変すぎる。
レイカさんとはしかし進展がない…。
マリアは何者だ?」---

既読
---「君に聞いて、返事がないのなら…。
僕はマナナへ聞くべきだろうか?
マナナは君のことを何でも知ってるだろうか?
はあ…」---


僕はLINEをした。
まさか…タリアはLINEの使い方が分からないと言うオチなのか?
しかし、最初・・返事はあった。
だんだん僕は心配にもなったが…国際電話は電話料金が高い。
たまにターシャ国へ帰国する際、年に一度のターシャ祭では…18歳になる時も帰ったが・・。
タリアがいなかった…。

その後、去年と今年は祭りでタリアに会えてはいる。
しかし…泉の巫女様がいないターシャ祭はつまらない・・。
短冊に願い事を書くだけだ。

☆☆☆






「今年のターシャ祭回想(始)」

あれは…今年の7月7日。
ターシャ祭の出来事だ。

「マナナ!
久しぶりだ!
僕のことを覚えていただろうか?
君は今、下宿をしてるんだったか?」

「覚えているに決まってるでしょ?
そうよ…いくら、ターシャ村から近い短大と言えども…通学で片道、2時間半だもの・・。
下宿してるわ。
実はタリアとも今日…久しぶりの再会なのよ?
今はデートの途中よ?
ターシャ村は相変わらず、平和ね?」

「そうか…。
下宿生活、上手くいってるか?
寂しくないか?
君は…」

「少しは寂しいわよ…。
下宿って猛烈に寂しいわ…。
一人暮らし、向いてないかも…私って」

「そうか、寂しければ…いつでも僕へLINEしていい。
僕ならいつでも構ってやる。
それにしても…タリアは本当に僕に構ってくれない。
君はタリアに構ってもらってるか?」

「まあまあよ」

「そうか…タリアは君へもまあまあなのか。
素が静かなのは僕も知ってる。

毎年、ターシャ祭にはマナナと来てたが…、その頃は巫女様もいた…。
今は巫女様が泉の下の世界に帰ったんだと思うと感慨深い…。

タリア…それにしても…。
君からのLINEレスは一向に来ないな…ハア…」

「タリア…キセキにもたまには返事しなさいよ。
サボっちゃダメよ。
可哀そうじゃないの」

『…』

「今年もタリアと一緒に来てると言う事は…。
マナナとタリアは別れてないんだな。
通学2時間半を隔てて遠距離になると聞いたときにはどうなるかと思ったが…。
そうか、今日が久しぶりの君たちのデートなのか…。

全く、一昨年までは…タリアは毎年、ターシャ祭に参加せずに自宅で籠ってたようだが…。
勉強を自宅でしてたのか?

ターシャ祭のことをタリアは殆ど知らないだろう…。
泉の巫女様に会えなかったことだけは人生の失態だ」

「まあ…。
タリアも去年と今年は、祭りにも来たんだから…。
あまり、責めないであげて」

『…』

「ところで…マナナ。
今日は君は赤いワンピか?
割りと似会ってるが・・この僕のアロハTシャツは似合うだろうか?
これで、レイカさんを落とす気なんだが…。
雑誌にも載ってたTシャツらしいが…」

「似合うわ。
キセキ、センスが良いわね!」

「そうか・・ありがとう。
実はミルルに見立ててもらったんだ。

ミルルはタリアが死ぬほど好きだった女性だったのに、不思議な話だ。
今では僕の元カノ、マナナとタリアが交際するなんて…僕はまさか、大昔…思いもしなかった。

それにしても、ミルルは女優だから・・センスがあるからな。
僕は子供の頃からタリアからはミルルへの恋心について相談に乗っていたと言うのに…」

「そうなの…。
知ってるわよ?

タリアがミルルを好きだった件については…クラス中、有名な話よ?
まあ、キセキだけじゃなく…全員、ナデシコやカンサイからも不思議がられてるんだけどね?

ミルルのセンスなら抜群ね。
よく似合ってるわ」

『…』

「えっと…ミルルは今でも、キセキのことが好きなのかしら?
そんなミルルにキセキも本命のレイカさんを落とすために、服を見立てて貰ったわけ?
ミルルの心はガラスのハートよ。
いたわりなさいよ」

「どうだろうか…。
ミルルは邪神国から帰って来た一件から男性不信になったかのように全ての男性に距離を置くようになった。
共演俳優のハン=サムにも冷たいらしいが…僕にも冷たい」

「え?
そうなの…。
ミルル…。
そっか…」

『…』

「あんな事件があったのだから、仕方がない。
ハア…。
僕はどうするべきなのか…ミルルを支えるべきなのか…。
それとも玉砕続きのレイカさんに力を注ぎ続けるべきなのか」

「そうね…。
ミルルのことも心配なのよ?
ミルル、無理しすぎてるでしょう?
映画”スパイ007T”と”スパイ007U”は、見たけど…。
まさか…あのミルルがビジネスキスだけじゃなく…ベッドシーンまで…。
ファンとしては…」

「そうだ、ミルルは今や必死で稼いでる。
不憫にもなって来る、あんな事件があった後は…。
タリアは長年、ミルルが好きだったらしいが…。
ミルルを不憫だと思うだろう?」

『…』

「ミルルの傷心が癒えることは私も祈ってるわ。
自宅にはミルルのサイン色紙は飾ってるのよ。

映画”スパイ007”はファンとしては素敵な映画だったわ?
ミルルの眼鏡なし映像や…水着シーンや…。
入浴シーンやベッドシーン…でも、あれ…水着で撮影なんでしょ?

あと…衝撃的だったのはビジネスキスかしら?
ファンとしては嬉しくもあり、痛恨でもあるわ…」


「そうだな…。
ミルルの演技は確かに光ってた。

マナナは長年、ミルルのファンだったが…確かに彼女は大物女優になった。
それからタリアもミルルが初恋だったが…今やミルルは時の人となった。

僕にもミルルは冷たいし…。
ミルルは昔の事件のせいで…男性恐怖症になってしまったようだ」

「ミルルが男性恐怖症に…。
私に何か出来ないのかしら?
私に出来ることは何なのかしら?」

『…』

ここで3人共に陰鬱な空気が流れた。
タリアがこの間、一回も会話をしない…。
昔はマナナへ突撃して、

『キセキは俺の親友だ、おまえは邪魔だから向こうへ行け。
これからキセキとミルルに関する恋愛相談会議をする』

と言っては僕と恋愛話で盛り上がっていたのに…。
タリアとはエロ本まで貸し借りをした仲なのに…。
ミルルのことは未だに…タリアもシコリがあるのかもしれない。
タリアは実に7年以上はミルルにゾッコンで大好きだったはずだ。

僕は話題を変えてみることにした。

「それにしても…。
巫女様は18歳以降、どこへ消えたのか…泉の下の妖精様は…どこへ行ったのか…。
僕は悲しい」

マナナへ聞いてみたが…マナナも悲しそうな顔になった。

「本当よね…キセキ。
巫女様が・・消えて、祭りは寂しいわ。
もっと、巫女様の写真を懇願してでも撮りまくっとくべきだったわ‥。
そこが心残りなの…」

マナナは辛そうな表情だった。
記憶の中のマナナは水色セーラー服が鉄板だったのに…。

その日は赤いワンピースで胸元から谷間が見えてた。
マナナは昔より化粧気が出てる。
唇は口紅でポッテリと赤く、目の周りを黒いアイラインで少し囲んでるだけだ。
元々、巨乳だったが…さらに大きくなった気がする、気のせいかもしれない。

若干、前よりそれでも何故か色気が出てる。
しかし、あまり変わってなかった。

『…』

タリアは何故か、祭りに興味がないのか…やっと、参加した。
あまり話について行ってないような様子だった。

「そうか…。
今年もレイカさんのことについて、巫女様に祈祷をしてもらうつもりだったというのに…。
任期が下りたのか…。
もう戻ってこないのか…」

「キセキ、元気出して。
きっと、巫女様に2回もレイカさんのことを祈ったんだもの。
叶うわよ。
それから、きっと…巫女様もキセキのことを忘れないわよ」

「そうか…」

僕は少し涙ぐんだ。
これは僕の長年の癖だ。

『…』

「タリア…。
僕へかける言葉はないのか?
僕の気のせいかもしれないが…最近、君は冷たくないか?
僕に対してだ」

『気のせいだろう…』

「そっか、そうなのか!
それなら、良かった!
僕の勘違いだったのか…」

「そうよ、キセキ…。
私たち、幼馴染仲良しなんだから。

タリアはね…ただ、ちょっと無口なだけなのよ。
そういうことよ」

「そうなのか…。
まあ、そうだな。
それは僕も長年の付き合いだ、知ってる」

『…』







平和国からコンニチハ3


目次

平和国からコンニチハ5




前話が30KBを越えて、少し長かったので…分割してコチラへくっ付けました…。
冒頭以後は平和国第4話目の話になってます。






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