アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

「序章」過去への懺悔

「キセキ視点」

僕が母国ターシャ国を捨てて…平和国へ留学をしたのは、高2の9月…。

明日は日曜日…。
王族財閥SP試験がある。
あれ…猛烈に難しすぎて、今までに高校3年生の9月、大学1年の19歳の9月と受けてみたが…。
今のところ…連続で落ちている。

今年、僕は20歳になる。
明日の試験に備えて、自宅で勉強をしていたが…。
夢見が悪かった。


今日もあの夢を見たらしい…。
僕の母国で開催されたターシャ祭での惨劇だ。
全身黒づくめの邪神教集団からテロが勃発して、ターシャ泉の近所で…爆発が起きた時の出来事だ。
あの事件は忘れられない。
あれは僕が母国ターシャ国を捨てて、留学を決意した出来事でもあるからだ。

それからココは正直に話そう。
僕は平等精神に溢れた男だ。
世界中の女性が好きだ。
しかし、誓って…本命は王族レイカさん一人だ。



「キセキが平和国へ留学してから3年間の軌跡」


僕は3年前のあの日のことを忘れられる筈もない。
戦争なんて大嫌いに決まってる。

3年前、僕の母国…ターシャ国でターシャ祭りが開催された日の出来事だ。
突如、邪神教集団からのテロが勃発し…惨劇へ発展したことは記憶に新しい。

その時、僕の両親が複雑骨折で入院した悲劇や…。
僕を好きだと告白していた女子…。
大和ナデシコと言う平均身長に平均体重、黒髪ロングストレートの女子と・・。
難波カンサイと言う、低身長ロリ体型に黒髪ツインテールの女子…。
二人ともが・…骨折でターシャ国立病院へ搬送されて1ヶ月にわたり…入院したことや…。

一度、邪神教集団から誘拐された僕の幼馴染、眼鏡ミルルが…無事に返還された時には、胸を撫で下ろした。

眼鏡ミルルは…僕の幼馴染で茶髪に眼鏡をした長身の女子だ。
僕は当時、連日…ミルルから告白続きで困っていた。
気乗りしてなかった。

あれは17歳、高校2年の夏だったか?
僕の懺悔を聞いてくれるだろうか・・。
僕は幼馴染の眼鏡ミルルへ申し訳ないことをした。

今から3年前の昔話に浸ってみたい気分だ。


幼稚園時代から親交があった眼鏡ミルルからは…。
告白されたし。

≪そう!
 ふん…。
 ミルルは…。
 はあ…。
 キセキさんに頼みがあるの≫
 
3年前の17歳当時…。
ミルルは鼻を鳴らして僕へソッポを向き、それから大きく肩で溜息を吐いた。
 
「何なんだ?」
 
≪キセキさん、ミルルへキスをしてくれないかしら?≫

「はあ?」
 

≪もうすぐ…。
 最近ね…キスシーンのあるドラマを斡旋されそうになるのよ。
 マネージャーは…ミルルにビジネスキスだからって耐えろって言うけど…。
 やっぱり最初はね?
 ある程度は好きな人じゃなきゃ?
 …。
 キセキさん…出来るわよね?≫

僕には無理難題だった。
正直、ミルルは恋愛対象外だった。
ミルルが顔にかけてる眼鏡が光った。
ミルルは茶髪ロングが良く似合い、眼鏡をかけた手足が長いインテリ系美女だったが…。
当時の彼女は僕には男勝り過ぎて無理だった。
毎日、猛烈に僕はミルルからアタックされ続けていた。

≪ほら?
 頼むわよ…。
 ビジネスキスだって思って…≫

「怒らないで聞いてくれ…。
 悪気はないんだ…。
 僕は…」
 
「済まない…ミルル、ファーストキスは僕以外の相手を見つけてくれ…。
 僕が罪作りな男だと言う自覚ならある…」
 
≪キセキさん!
 往生際が悪いわね!≫
 
「すまない…。
 僕では力になれないようだ、ミルル…」

彼女は女優を目指していて…その時期に、"ビジネスキス"について悩んでいたらしいが。

僕に彼女からファーストキスを頼まれたが…どう考えても無理だった。
僕は眼鏡ミルルを振った。

どう考えても男勝りすぎて、僕には無理だったからだ。

そのあと、すぐだ…。

眼鏡ミルルが自らの足で…邪神国へ、僕と匹敵するレベルのイケメンを求めて、走って行ったときには。
顎が外れそうになった。

☆☆☆

3年前のあの日のことは…忘れられない。

教室中がテレビのニュースにくぎ付けになり…。
ミルルが邪神国へ逃亡した理由を知ってるのは…。
恐らく、僕を含める数名だけだ。
僕には他の理由が見付からなかった。

何故なら、僕が振った翌日に…ミルルは邪神国へ行ったらしいからだ。
ミルルならやりかねないと感じた。


「まさか…ミルルが邪神国に行ったなんて…。
ミルル、まさか…誘拐でもされて、殺されてないわよね?
あの国、集団レイプも普通なんでしょう?
猛烈に治安が悪い国だって聞くわ。
どうしてこんなことに…」

クラスの休み時間には。
机で、僕の幼馴染でもある…元カノ、異能マナナが落胆した表情だ。

異能マナナは黒髪パッツンで肩揃え…低身長巨乳、ヒョウキンな顔をしてる。
3年前、異能マナナは僕と同じく高校2年生だ、制服は…水色のセーラー服を着てた…。
記憶の中の彼女は、常に当時のままだ。

その隣にいるのは…僕の親友、月神タリアで無口な性格だ。
もう5歳から17歳…実にターシャ国で僕はタリアとは12年間も親友関係だった。

元カノ、異能マナナが…僕の親友、月神タリアと交際を始めたのは。
もう3年前の話だ…高2の夏頃から始まった。
しかもマナナはある日突然…彼氏である僕を振って、タリアに告白をして・…二人の交際が始まったらしい。

「僕が悪いんだ、僕がミルルからのビジネスキスを断ったばかりに…。
彼女は恐らく、ゼロを探しに行ったんだ…。
それしか浮かばない…」

ゼロと言うのは…。
僕のクラスへ一度、留学してきた僕と匹敵するレベルにモテた邪神国人だが…。
長身の体躯に緑の瞳、褐色の肌・・アラビア系な顔立ちの悪い雰囲気が漂う男子だった。
僕にとっては敵にも近い存在だった。

「ミルル、大丈夫かしら?
心配過ぎるわ…。

向こうの政府が…16億タ$もの大金を・・ターシャ国に要求して来たって…。
ミルルのお母さんから聞いたけど…。

どうなるのかしら?」

記憶の中のマナナは…3年前…。
セーラー服のままだ、白いシャツから胸が張り出て突き出てる。
僕とマナナは深い関係になる前に、マナナから振られた関係だ。

『…』

僕の幼馴染、タリアは本気で寡黙なヤツだ。
台詞に沈黙が多い。
時々、僕ですら親友の考えが読めない…。

しかし、随分昔は僕が女子集団から苛められた際に…庇ってくれたと言う果敢な過去がある。
タリアはある意味、恩人とは僕は認めてる。

タリアは長年、眼鏡ミルルが初恋で好きだった。
僕はもう7〜10歳ぐらいから…タリアの密かなミルルへの恋心について、連日…相談を受けていたのだ。
多分…10年近く、ミルルのことをタリアは好きだったはずだ。
きっと、ミルルがこんなことに巻き込まれて、心底…落胆したと言う意味だろう。

僕は…未だに、何故、タリアとマナナが交際したのか…謎だ。

☆☆☆

というのも、長年…タリアとマナナは、挨拶すらしないレベルの険悪な仲だったからだ。

マナナは「タリアの暗い性格と容姿は論外よ」と貶してた。
それから…僕へ「一目惚れよ、結婚してちょうだい」とアタックしてたし…。

僕の親友、タリアについては…。
『マナナは性格が最悪で、躾もなってなくて、成績も底辺で…しかも尻軽の子』と…。
マナナの悪口しか、僕は連日…聞かされてなかった。

マナナが家庭環境に過去においては…問題があったことは認めよう。
マナナの母親が14歳当時、AV女優として裏ビデオに出演したらしいのは…有名な話だ。
二人は…お互いにお互いを険悪しあう仲だった。
それから、ミルルへの密かな恋心について相談まで…僕は毎日、タリアから受けていたが…。

僕の元カノ、異能マナナが僕を振って…。
タリアへ告白して、二人は交際スタートしたらしい。
ここら辺は未だに腑に落ちない箇所が数点ある。

僕は振られた原因もサッパリだが、確かにこの時…既に本命がいた。
僕の本命と言うのは…2歳上の女性…王族レイカさんだが、殿上人にも近い級の人間で…。
信じられないことにターシャ王の末裔とらしい。
僕は半ば、諦め気味だったが…。

王族レイカさんは・・髪がゆるフワ巻きで、ミス王立ターシャ女子大にもなった経歴のある女性だ。
水色のワンピースが良く似合う女性だ。
僕が長年、密かに慕う女性で…現在も告白なら続けてるが、僕は玉砕中だ。

僕の元カノ、異能マナナは…女の勘で僕の気持ちに気が付いて…僕の親友、月神タリアを選んだらしい。
僕と付き合ってても異能マナナは…僕の心が他へ浮ついてて、面白くなかったと言う理由らしい。

タリアはきっと、突然のことに迷ったんだろうが…。
ミルルは…、もう自分には高嶺の花と諦めて、マナナを選んだのだろう。

ミルルは当時すでに平和国で女優を目指してたし、眼鏡屋のCMにも出演する級に全国認知度はあった。
クラスでもミルルは既にモテていた。
対して…タリアはクラスで全然、モテてなかった。

タリアはそういう男だ。
ココラ辺は僕にも似てる。

マナナのことは、
『結婚するならいろいろ悪条件だ、あんな女…俺が好きなわけもない』
と連日…貶し、

『それに対して…ミルルは美人で頭も良くて、運動神経まで良くて…貶すところが一つもない。
クラスでも一番、モテてる。
好みのタイプだ、ミルルが好きだから協力してくれ』
と、ミルルを崇拝してたが…。

あの寡黙なタリアがココまで熱弁するんだ、死ぬほどミルルが好きだったんだろうが…。

自分の身分を弁えて…ミルルを諦め、タリアはマナナからの交際を受け入れたらしい。
彼はそういうキャラかもしれない…。

僕はモテてるが…タリアは校内でモテてなかった。
彼の容姿に関して、僕は友人だから一応、庇うが………まあ、イケメンではないだろう…。
平凡で人並みな雰囲気が漂い、温厚そうな人間に見えるか?と聞かれると…全員が首を傾げるだろう。
彼にしっくり来る単語は"冴えない"だが…僕はこれに賛成だ。
彼は地味を愛し、自ら目立たない場所へ駆り立てて…逃避する性格をした男だ。
彼はもしかして…その辺に存在する空気になりたいんじゃないか…?と疑うレベルに発言をしない。
決して、集団から外れようともしないし…悪目立ちすることを嫌がり過ぎる習性がある。

一番の弱点は、タリアは全く喋ろうとしない…そこにモテない原因があると思う…。
結局、初恋のミルルへは照れているのだろうか…全く、タリアは喋れてなかった。

僕からも盛大に協力したが、タリアは挨拶すらミルルへ出来てない状況だった。
彼は人生に妥協をしたのだろう、ミルルを諦めマナナを受け入れたのだ。
あそこまで連日、険悪だったのに…。
それ以来、以前にも増して…タリアは静かになった。

「ナデシコやカンサイが入院するターシャ国立病院へ見舞いしてあげたんだけど…。
さすがに、二人ともミルルのことを心配してるみたいなのよ…」

マナナは教室で、肩を落とした…。
実は自慢じゃないが…3年前から僕は、ターシャ国でもモテていた。
中2ぐらいから僕は何故かモテ街道一直線だ。
昔はあまりにも女子から苛められるから、ターシャ祭では泉の巫女様に”モテますように”と祈祷してもらった過去は素敵な話だ。
願い事は思い続ければ・・叶うモノらしい。
ここは喜ばしくもある。
確かに、世界は変わった…ミルルはもう僕を苛めなくなった。

ナデシコやカンサイという名前の女子からも、僕は高校時代連日…アタックされていたが。
彼女たちも、ターシャ祭で勃発したテロのせいで怪我をしたのだ。

「いったい、どうしてこんなことに…。
ミルルは真面目な優等生タイプだったのに…。
何が目的で…いったい…。
実は、ミルルのお母さんからミルルがドラマ降板された話も聞いたわ?
そのせいなの?」

教室の真ん中でセーラー服姿のマナナは困り果てた表情になった。
3年前の出来事の回想だ。

「僕が悪いんだ…。
僕がミルルを振ったばかりに彼女は…」

その時、僕は自分が責められてるように感じて、涙が出て来た。
僕は何故か涙腺が弱いらしい。
これは昔からの悪癖だ。

「キセキ、泣いてる暇なんてないわ。
私たち全員で…ミルルのために募金を集めるのよ!
ネットを通じてよ。
キセキも学内ではモテるんだから、女子達に頼んで頂戴。
タリアも協力しなさいよ」

『わかった…』

珍しく、タリアが言葉を発するのは余程のことだ。
当時はまだ、タリアもミルルへ未練があったのかもしれない。
僕はマナナとタリアがデートしてる姿をこの当時、一度も目撃したことがないからだ。

「僕のせいだ…僕が断ったばかりに…。
ミルルはあんな恐ろしい国へ自らの足で・・。
僕に責任がある、僕からも募金は・…するし、他の連中にも頼みこもう…。
まさか、こんなことに…。
ミルルぐらい心臓が強ければ、あれぐらい強く断っても大丈夫だと思ったが…。
まさか…こんなことになるなんて」

「キセキ、泣いてるだけでは解決なんてしないわよ!
私はミルルの無事を祈ってるんだから!」

『…』

「しかし、僕が1万タ$募金したところで…全く、16億タ$には届かない…」

あの当時、僕は無力だった。
無謀とも感じた。
それを説得して、宥めたのは…僕の元カノ、マナナだ。

「馬鹿ね?
全国民から集めて来るのよ。
1億人はいるんだから…1人、16円として…。
助かるでしょう?」

「協力してくれるだろうか?
ミルルが助からなければ・・僕は一生、自分を責めて泣きながら生きる羽目になるだろう…。
ミルルは帰って来るだろうか?」

『…』

僕はそれが地獄のように感じた。

邪神国が普通ではないことは・・・今やTVNEWSを通じて、全国民が知ってる。
普通に国家ぐるみで麻薬を密売してたり…偽造貨幣を製造して、他国へばらまいたり・・。
それ以外にも他国から人間を拉致したり。
集団レイプに殺人。
内戦が絶えなく…あり得ないレベルに危険な国だ。
ミルルは僕から振られた傷心のせいで、その危険な国…邪神国から亡命してきた男子、印度ゼロを…。

確かに、印度ゼロは…スケこましでも通用しそうなレベルの危険な香りがしてる男子だった。
褐色の肌に緑の瞳と長身な体躯に黒髪短髪…ミルルが大歓喜して彼の容姿を一目で褒めていた。

奴を追って、ミルルはマフィア団のような素屈の国へ走って行ったに決まってる。
ミルルは頭脳は明晰だが、滅法イケメンに弱い。
あれは止めとくべきだと僕も忠告したのに…寄りにも寄って、邪神国へ走るなど…。
誰が思うだろうか?

というのも、印度ゼロは…。
あの恐ろしい邪神教集団からのテロ事件が起きたターシャ祭の日を境に。
学校に来なくなって、転校したと言う話だ。
誰が聞いても怪しすぎる人間だ。
テロ事件にだって、何らかの形で関わってるに決まってる。

これは邪神教への偏見もあるのかもしれないが・・。
僕の家も邪神教と対立するターシャ教の信者だからだ。


誰が考えても、あんな危険な独裁者の国…邪神国なんて行くべきではない。
生きて帰れるのが奇跡なレベルの国だ。

それなのに、ミルルは…何故、あんな国へ行ってしまったのか…!?
今でもその件については…後悔してる。
僕がミルルを止められなかったことについてだ。


「何で、私の幼馴染は二人ともこんなにも弱気なの!?
情けないわ!
とにかくね、幸運なことに・・ミルルはCM女優級のアイドルな訳。
子役時代からの稼ぎだけでも…貯金で1億タ$あるらしいわ…。
ミルルのお母さんが募金するって言ってたわ!」

「ミルルは…そんなに稼いでいたのか…」

ミルルはあの当時から芽が出ていた。
それには全く、気が付かなかった。
僕にとっては、近すぎて…空気も同然だった。

「”風と共にミルル”は結構、子供の頃…流行ったドラマじゃない?
私も何回も見たわよ。
ミルル、あれで子役デビューしたんだから…。
それから…最近では、”眼鏡屋CMミルル”。
いろいろミルル、稼いでたでしょう?」

僕は全く、3年前…ミルルに興味がなかった。

「でも、それでも…まだ15億タ$も足りないわけ…。
ミルルのフォロワー数が…1月辺り10万名いたとしても…まだまだ、足りないわ?
とにかく…私はミサでもいろんな人に頼み込むから。
キセキも募金活動しなさいよ。
カレー配ってる暇があったら、被災者の方からでも100円で良いから没収してきなさいよ!?」

僕の元カノ、マナナは怒り出した。
意外にしっかり者な女性だった。
僕はマナナとは仲が良くて、会話が割りと弾んでいた。
性格については…馬が合ってた。

「ヒ、被災者の方からなのか…!?
それはいくらなんでも悪いだろう…。
僕はそこまで厚かましいことが言えるわけもない・・。
家まで燃やされて大変だろう…それもターシャ祭りの時、邪神教テロ集団に燃やされて…」

「じゃあ、ミルルが死んでもいいって言うの!?
薄情者!」

「タリア…君はどうする気なんだ。
夜も全く、ボランティアにも参加せずに…自宅で家にこもりっきりなのか?
僕だけの責任なのか?
これは…」

『…』

タリアは黙り込んだ。
あの当時の…タリアはどうだったのだろうか?
ミルルを完全に吹っ切れていたのだろうか?
全く、マナナとのデートについては無関心で…自宅にこもりっきりだった。
今にして思えば…勉強に燃えていたのだろう。

「タリアには私から別件で協力してもらうわよ。
キセキはボランティア活動の方でお願いよ?
学習兄弟と面識があるんでしょう?」

学習兄弟と言うのは、当時…僕が参加していたボランチィアで知り合った兄弟だ。
学習兄弟の…兄は顔黒金髪サーファーで、弟は白デブ眼鏡のアニオタだ。

当時、僕は邪神教集団から起きたテロのせいで被害にあった人達へボランティア活動をしてた。
バイトも兼ねてカレーを配って…メンタルヘルスをしてた。
その時に、改めて・・僕は戦争が嫌いだと認識したのだ。

「もうッ。
あの学習兄弟の実家…。
お父さんがTVでも良く出てる学習博士でしょう?
金銭、カツアゲしてきなさいよ。

サーフィンとかアニメとかに金、費やしてる暇があったら・・ミルルへの募金でしょう?
二人、ミルルの大ファンらしいし…。
協力するわよ?」

「僕がそんな厚かましいことを…あの二人に言うのか?
僕一人でなのか?」

僕は沈黙した。
僕の幼馴染、タリアも同じ表情だ。

僕はある日を境にタリアと疎遠になって来てるが・・。
いったい、いつだったのか…不明だ。
僕がモテ始めてから、どうもタリアは僕から距離を置いてる気配が漂ってる。
これは気のせいなのか??
僕がモテ始めた中2くらいから…タリアと僕は疎遠になりつつある。

『…』

「他に案はあるかしら?
私はミサで…巫女様にもHPを通じて、ミルル救済募金が集まるように作成してもらえるように祈り込むわよ」

当時のマナナはこの通り…熱狂的な泉の巫女様ファンだった。
泉の巫女様は…僕の祖国、ターシャ国では妖精とも歌われる方で。
願い事を叶えて下さる天女様だ。
金髪碧眼華奢長身系美女だ。

「君は…巫女様と結局、友達になれたのか?
それからどうして…タリアだけ何もしなくて良いんだ?
僕一人の責任なのか?
これは…」

『…』

「巫女様とはね?
巫女様はアラ人神よ?
普通に考えて、人助けはしてくれるに決まってるでしょう?」

僕の中の記憶…異能マナナは女子高生で、3年前のままだ、水色のセーラー服を着てる。
低身長で黒髪にオカッパ、顔は平凡だが…巨乳だ。

僕の元カノでもあるが…。
回想すると不思議な気分だ。
僕は気が多いのかもしれないが…。
あらゆるジャンルの女性に弱いのかもしれない…。

「そうか…。
そうなのか…。
僕は実は…来月中旬には平和国へ留学する気でいたんだが…。
まさか、こんなことに…」

当時の僕は平和国へ留学する前だった。
理由はいろいろあるが…世論調査で邪神国との戦争の危険があると聞いて、怯えまくったのも真実だ。
こんな危険な国、逃げてやると思ったのも本音だ。

僕はそういうの大嫌いな性格だからだ。
平和主義だと思う。

「ミルルが邪神国に拉致されたって言うのに…逃げるつもりなの?」

「それは…」

僕は全く当時、ミルルに興味がなかったが…。
さすがに罪悪感は漂った。

「戦争が怖いからってね?
戦争を放棄した平和国へ逃げることまでは許してあげても良いけど…。
ミルルが…こんなことになってるのよ、きっと…キセキの責任もあるわ。
ミルルはね、ああ見えて…ガラスのハートなのよ・・。
きっと、失恋のせいで…」

セーラー服姿のマナナは怒った。
突き出した胸が印象的で良い女だった。
僕はしかし、振られた。
本命のレイカさんも大好きだが…マナナへも当時は少しは気があったと言うのに…。

実は…僕の母とマナナの母は仲良しで…。
もう既に親が公認の仲で、僕とマナナは許婚(いいなづけ) にも近い関係だった。
しかし…僕が性に芽生え…初恋したのはレイカさんだ。
それでマナナとは関係が終わってしまった。

僕は幼少時代…猛烈に精神年齢が遅れてるで有名だった。
実は中学時代にしてまだあまり恋愛に関してピーンと来なかった。
高校ぐらいから理解に至り…背の順がずっと前だったのに、急に背も伸びた。

僕は二次性徴が猛烈に人より遅れていた自覚がある…ずっとカラかいのネタにされてた。
もう成長ホルモンを打とうかと悩んだこともあったが…骨端線があるから大丈夫とは言われてたが…。
中学時代、同級生がみんなエロ本に興味がある中で、まだどうでも良いノリでいた。
早い人で小学生…もう既に中学ぐらいでは全員、エロ本の話しかしてない中で…。
高校ぐらいまでは…明らかに僕だけが付いていけずにいた。

それまではトコトン…幼馴染のミルルからは馬鹿にされていた。
正直、自分でも背が伸びないことに関して…昔は困ってた。
人より3年ぐらい二次性徴が遅かった気がする…。
僕は一応、白人系クォーターだ。
茶髪碧眼で、今では長身になった。

「僕の性なのか…。
僕が…モテることは認めよう。
今日も、僕が留学する件について女子から問い合わせが来た。
しかし…やっぱり、どう考えても…僕は自分の気持ちに正直になって…。
分かってる、僕が…」

僕は頭がパニックになって、涙もこぼれて来た。
隣でタリアが沈黙しながら溜息を洩らした。

『…』

☆☆☆

この後のことだ。
何とか…1ヶ月もしないうちに、全員の協力でミルルの返還金は集まった。

平和国のヴァカンス島で、国民全員から集まった16億タ$を…相手の邪神教集団へ、 ターシャ国の外交官が…手渡す映像が、世界中へ流れた。
TV映像ニュースの中で、ミルルは桃色ノースリーブのワンピを着込み、根元は黒いプリン頭の長い茶髪…眼鏡は傷が付き曇り、それから肌は若干焼けていた。
全員が"ミルルは激痩せしてる筈だ…"とネット民予想速報で騒がれてる中、意外にミルルが激痩せしてなかったのが印象的だった。

相手の邪神教集団は…頭にはフードをして全身、黒装束だ。
一人はライフルガンを手に掲げて、もう一人は受け取った金銭を白い巨大な機械で数えてるNEWS映像だ。


本気で壮絶なNEWSだった。
よく、殺されなかったと思う。
報道関係の人もだ。

報道したのは…ミルルのマネージャーを勤める、根性レポ子さん。
根性レポ子さんは髪が茶髪巻き髪で腰まで伸びた上下白スーツな女性だ。
TVに向けて最後まで、マイク片手に報道していた。

この時に対応したターシャ国の外交官は…王族レイカさんの家で勤めてるSPでもある、王族マモルだ。

王族マモルは…タキシードにサングラスと顔に傷。
ガタイが広くて…いかにもやくざ風の男だ。

NEWSでミルルがターシャ国のヴァカンス島で返還される映像は凄い視聴率だった。
あれも含めて…ミルルの認知度は上がった。
この件に関しては、賛否両論だったが…。

ミルルは持ち前の根性で芸能界から消えることなく、1ヶ月もしないうちにまた平和国ヴァカンス島へ飛んで行った。
僕も留学するつもりだったし、同じ飛行機だ。

ミルルへ批判的なファンの意見も、最初は多かったが…。
ミルルが必死に平和国女優を目指すために…平和国にてレッスンに通う目的の途中で、高級レストランに入った際…。
突然、邪神教集団から拉致をされて…祖国からの熱い募金活動により返還がされた不憫な女優。

そんな話に、解釈が変更し…。
同情票の方が上がった。

確かに平和国付近の高級料理店で、監視カメラに…ミルルが突然、複数の邪神教手段から拉致をされる瞬間の映像も世界中に流れたのだ…。
今度は誰もが拉致されないように…そう言う形で認知度が高まったのも事実だ。
小学校の頃の卒業文集にも”将来の夢は平和国で女優になることです”とあったとも報道された。
あの監視カメラが捉えたミルルが…拉致された瞬間の映像を見た瞬間。
誰もがもうミルルは…邪神国で息絶えたのではないかと…そんな悪い情報まで流れていたのだ。
連日、NEWSはそればかりだった…充分、話題性はあった。

ミルルが拉致されて無事、返還出来て…1ヶ月もしないうちにまた平和国に行く件については…。
炎のチャレンジャーともあった…。
ミルルはターシャ国内では眼鏡屋CMの看板女優だった。

僕は本当の理由は話す気になれない。
彼女はビジネスキスが嫌だから逃げたのだ。
せめて最初はイケメンが良いと思い…邪神国にいるミルル好みの男に会いに行ったが…。
逆に集団レイプに会い、男性恐怖症となって帰還したなんて誰に言えると思う?
僕がミルルからのビジネスキスさえ、受け入れていれば…彼女は被害者にはならなかった。

ミルルがこれから先、邪神教集団から拉致されないように、僕は見張るつもりだ。


それから、僕は今年も…レイカさんの屋敷SP試験に受けるつもりだが…。
王族マモルは素晴らしい対応だった…。

☆☆☆

ミルルがターシャ国へ無事、帰還できた翌日。
学校へミルルが水色のセーラー服で登校して来た。
ミルルはTV映像NEWSでは根元が黒いプリン頭だったが…帰国と同時に、美容室で髪の根元を染めたらしい。
それから伸びすぎた髪もカットしてもらったらしい。
ミルルの腰まで伸びた茶髪は元に戻っていたが…肌は若干、焼けて…TV映像の中で傷が付いた眼鏡は新品へ変わっていた。
僕はミルルを見るなり・・土下座して謝罪した。



















ゼロから見た世界6


目次

平和国からコンニチハ2

新キャラの挿絵はこちら→絵


シリーズ3作目の第一話です。
以前のシリーズを読まずとも理解できるように編集しました。
あと、各キャラのその後などが盛り込まれてます。
ターシャ国シリーズや邪神国シリーズと見比べてみると、また違う味わいがあるかもしれません。

今回の話に社R要素は殆どないです。
平和国シリーズではホノボノとギャグ要素満載になる予定です。
愛読いただきありがとうございます。

今回やっとキャラの年齢が上がれたのも他のシリーズとの違いですね。
色々な年代で綴ってみたいと願ってたので、嬉しい限りです。

序章は過去の回想から始まり、ターシャ国シリーズ最後からの続きになってきますが。
2話目からは平和国での日常話へ突入します。



「灯台キセキ」…このシリーズの主人公。
モテ男。


☆「王族レイカ」…キセキの本命、2歳上。



「異能マナナ」…キセキの幼馴染にして、
許婚(いいなづけ)で もあり… 元カノでもある。
今では…キセキの無口な親友、『月神(つきがみ)タ リア』と交際してる。




《眼鏡ミルル》
キセキへ告白した女子。一度、邪神教集団から身代金
拉 致(らち)誘拐された経験がある。テレビでも活躍してる女優。



||大和ナデシコ||

キセキとは中学から会い、それ以来…キセキを崇拝してる。



U
難波(な にわ)カ ンサイU

関西から転向して来て…キセキとは高校から。絶大にキセキへ一目惚れしてる。



【印度ゼロ】

高校時代、邪神国からの留学生として来た謎の多い人物。
キセキとは馬が合わない。



{学習イッチ〜}

キセキとはボランティア活動で知り合った。女好き



◎学習ニイ〜◎

キセキとはボランティア活動で知り合った。女好き。



=根性レポ子=

NEWSアナウンサーや、リポーターなど、何でもこなす仕事の鬼。ミルルの凄腕マネージャー。





  





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