アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ゼロから見た世界

【ゼロ視点】




☆☆☆

朝の暗いうちに、ネットを通じて…予約した病院へ朝一に向かった。
ミルルとの待ち合わせの時刻は正午ダ。
それまでに時間ならアル。
その前にしたいことがアル。

大金払ってでも、体内のマイクロチップは取って貰ウ計画ダ。
邪神国内の病院でも亡命のためにレントゲンだけ既に撮影を完了シタ。
邪神国内の医者には、そのレントゲンを何に使うかは話してネエ。
亡命は邪神国民には黙ってるからダ。
しかし、亡命に関しては…将軍様から許可が下りてる。
足がついても大丈夫だからこそ…大きく動ける。

マイクロチップの場所は判明してる。
背中ラシイ。
手術で取るのは直ぐダロウ。

☆☆☆

説明はせずに…とにかく体内の異物を半身麻酔手術で取って貰った。
勤務医も邪神国内のスパイがバイトで侵入する病院ダ。
逆に頼みやすい。

将軍様から許可が下りて、行動することがココまで楽とは知らなかった。
ミルルがオレへの亡命金を邪神国に向けて収めたと言うのに…。
オレをミルルに会わさなかった場合・・起きうる揉め事を考えて、将軍様は律儀に約束を守ったラシイ。

しかし…。

〈キミが望むのなら、ボクからは斡旋しない。
現状は予想外に転んでる可能性もある。
キミの暮らす世界はココからも知れない。
フッフフフ。

まあ、邪神国はキミを歓迎しようか?
キミは有能なる部下だからだ。
ミルルの手前…約束は守るが。
別れとは惜しいものだ〉

と離別の言葉を受け取ッタ。

まあ、帰ることはなさそうダ。
どうにかなるダロウ。
平和国は涼しい。
近い距離にあると言うのに…邪神国とは大違いダ。

しかし、あんな故郷でも住めば都なのも確かダ。

☆☆☆
今日は9月8日。
ミルルが成人の誕生日ラシイガ…邪神国に誕生日を祝う習慣はネエ。
先日、7月の最初に税金を納め終わった所ダ。
誕生日と言えども…同じ月生まれは…全員、その月に歳をとる計算で。
名目上は税金を徴収するためだけにアル。
歳に応じて税金の額が設定されてる。

邪神国民なら、誕生日と聞けば震えだすダロウ。
ココラ辺は文化差がアル。



☆☆☆


平和国ヴァカンス島の”ハーブ酒屋”は3年前に数度、来たことがアル。
ターシャ祭りでのテロを終えた後…ターシャ国の港街パチンコ店の地下から、潜水艦邪神号で・・平和国ヴァカンス島、カジノ店の地下に潜水艦を一度、止 め…。

そこから平和国ヴァカンス島、サファイアで出来た屋根…ブルーモスクの付近にある”ハーブ酒屋”で会議が開かれた。
邪神教集団の素屈な筈だ。

店主は…オレンジ髪に鷲鼻、腹の出た白人系中年男だ。

それから、バーの内装も。
どことなく、邪神国王宮ロビー1階に似てる。

アメジストの原石が飾られている所と…。
壁面に巨大なテレビ。
それ以外には、複数のハーブを店内に飾ってイル。

煉瓦調の壁面に丸型時計が設置されているダロウ。

ハーブ酒屋のドアを開き、外から中へ入れば・・・冷房の空気が流れて来ル。
涼しい風だ。

黒い丸テーブルで座ってる女は、見知ったヤツだ。
見た感じ、殆ど…映画そのままだ。
白のパーティドレスに眼鏡が赤、茶髪も昔のままダ。
随分、良い衣装を着込んでる。

オレは悪いが服なんて着れれば何でもいいタイプだ、黒装束衣装のままだ。
半身麻酔手術後ダ…午前中に、邪神教のコネがある病院でシタあとダ。

《ゼロさん!
久しぶりね?
ミルルよ!
覚えてた?》

【ア…】

ミルルが邪神語で・・接近して、抱擁して来た。
全く顔は変わってないが、映画でもそうかとも思ってたが…。
映画で胸に谷間が出来てた、前より良い意味で少し成長した気がスル。
もう拒食症ではなさそうだし…今ぐらいがちょうどいいと感ジル。

胸は大きさじゃねえが、まあ…健康そうで何よりダ。
ミルルは顔の血色が最高に良イ、色香がアル。


《知ってる?
ミルル…今日は…。
ミルルの誕生日なのよ!
ミルル、これで成人なわけよ?
フフフフ》

ミルルは邪神語で続けてるが、オレは平和国語で返した。
ここに来てた時代もアルカラダ。
今日も仲間は麻薬を売り捌き、砂糖と小麦に変えて…。
午後9時頃、日没後に邪神海を渡って…潜水艦”邪神号”でターシャ国まで荷物を運送し、潜水艦泊まりでそこから邪神国へ帰還するダロウ。
聞いてるだけでハードソウダ。

ミルルに昔の任務についてはこれ以上、黙秘したいのも本音ダ。
全部、あの国の仕事は…犯罪関係しかネエ。
将軍様も他言不要だと念を押して、亡命が許可された訳だからダ。

【邪神国に祝う習慣はネエ】


《あら?
ゼロさん…。
平和国語はどこで覚えたのかしら?》

ミルルから平和国語で返って来た。
まあ、平和国女優だ。
現在では平和国語で生活してるのだろう。

【ウゼエ】

《ゼロさんの誕生日は…えっと、7月ごろだったかしら?
8月から来る熱期の1月前に政府に拾われたって聞いたわよ?》

【邪神国に誕生日記載習慣もネエ…。
7月生まれは全員、7月一日に年齢と共に…税金が発生するだけだ。
誕生日なんて楽しいわけもネエ】

オレもこれから先は暮らしてる国に合して、言葉を選ブ。
平和国言語で良いダロウ。

《じゃ、ゼロさん…。
7月1日に…税金を払ったわけ?
自分の誕生日なのに?》

【もう収め終わった。
3歳、5歳、7歳、13歳、17歳、20歳と言う順番に税金が増エルダケダ。
邪神人に誕生日なんてタブーだ…恐怖でしかネエ…。
チ・…】

《そうなの…。
ターシャ国では平和国でもそうだけど…。
誕生日は盛大なセレモニーよ?
儀式なのよ?
じゃ、ゼロさんの誕生日は…ミルルが邪神国へ飛んで、到着した…7月12日にしましょう!
ミルルがターシャ国を出たのは…3年前の7月11日だったけど、翌日に邪神国に着いたからね?
ミルル、乙女座だから…割りとこういうのロマンチストなのよ?》

【ハア?】


ミルルがオレへ接近して抱擁シテル。
3年ぶりだから…会話が進まねえかと思ってたが、意外に進むものダ。
まあ、女心は謎だが…。
付き合っても良いダロウ。
無信教者の癖に変なところで、子供ラシイ。
オレは別に誕生日は真面目にどっちでも良イ。
税金が増える儀式でしかネエ。

《ノアは元気にしてるかしら?
時々…手紙も入ってるけど、ミルルの女優として活躍してくれてる姿、ゼロさんも見てくれてる?
ノアはミルルのことを応援してるとは聞いてるわ??》

【あの女…ウゼエエ】

[ミルル嬢ちゃん、20歳の誕生日…おめでとう]

ハーブ酒屋のバーカウンターにいる、オレンジ髪に鷲鼻…腹が出た中年男マスターは、既にミルルと仲見知りらしい。
嬉しそうに声掛けしてきやがった。
周囲のメンツもミルルに対して、拍手してるが…。
大方、下心しかネエ筈だ。

全員、ここの酒屋…男性客しかいねえ。
ミルルも事件へ発展しなくて幸いだが、将軍様が制圧する酒場だ。
どうせ、ミルルへ手出しすれば…オレの二の舞で…、性犯罪の烙印と将軍様への軽反逆罪が邪神人に限り、下りそうダ。
少し、舌打ちしそうになった。
3年前に牢獄に3日間も収容された件についてダ。

やはり亡命して正解ダッタ。

《ほら、ゼロさんもミルルへ何か言わなきゃダメよ?
今日はミルルの誕生日なんだから!!》

ミルルはオレへ抱擁してる、慣れた調子で恥ずかしがろうともしねえ。
ハーブ酒屋の客達は少し悲しそうな表情でもアル。
全員、ミルルを見てる気がして仕方ねえが…。
気のせいダロウカ?

【チ、ハア…オメデト】

《キャア!
ありがとう!祝ってくれて!!》

オレは表情は崩さねえ、長年の慣れダ。
しかし、機嫌は最高に良イ・・・。

そこは認めヨウカ…?

その時だ、拍手喝采する聴衆たちが声を上げた。

[コホン…。

ミルル嬢ちゃんに朗報がある。

わしらがミルル嬢ちゃんへ貸した20億タ$のうち、10億タ$は既に返済を受けたが…。
残りの額を将軍様が全額で返済して下さった]

ミルルがオレから意識を逸らして声を上ゲタ。

《その話…本当なの?
じゃ、ミルルはもう…借金がないの?
嬉しいけど…。
なんか、魂胆があるんじゃないの?》

[いや…。
将軍様からミルル嬢ちゃん、成人の誕生日へのサプライズのようだ。
ミルル嬢ちゃんが、将軍様へ感謝をするように…込めてしたサプライズのようだ。
そう伝えてくれと頼まれている]

《本当かしら?
ミルルは全く信用ならないわよ!
逆に恐喝された方が安心するわよ!》

[わしらとしても少なめに今回は言わせてもらったが、利子だけで何百万タ$か儲かった。
ミルル嬢ちゃんへ、これから先は取り立てにはいかねえが…。
またこのハーブ酒屋へは寄ってくれよな!
少し寂しい気分だ]

《ま…将軍からは黒邪神パンを何本か進呈されたこともあるけど…。
ミルルは猛烈にうれしいわよ?
最初から、無理なら半額に交渉してもらえないかしらと…。
思ったころもあったからね?
でも、本当なの?
それって…》

[将軍様の御厚意だ。
ゼロの亡命金として…20億タ$。
ミルル嬢ちゃんへのサプライズとして、10億タ$。
差し引きで…10億タ$になったらしい]

《そうなの?
意外に太っ腹じゃないの?
まあ…受け取っておくわよ?
好意はね?》

[そうか…。
それは将軍様もきっと喜ぶはずだ。
ミルル嬢ちゃんはもう、邪神国へ戻る気はないのか?]

《ある訳ないでしょ!
ミルルはゼロさんとあの国から出ようと決めたんだから》

ミルルは意識はオレから逸らしたものの、オレに抱擁したまま…視線だけ酒場にいる客に向けて威嚇シテル。
この周囲の客達から、金を借りたと言うノカ…。
いったい、どうやって返済したのかとは…謎に思ってイタガ…。
きっと、苦労したダロウ。

《分かった?
ミルルはね、まあ…。
ミルルへの10億タ$分のサプライズは置いといて。
ゼロさんの亡命金のために20億タ$も頑張ったのよ!!

もちろん、ゼロさんもそれぐらいミルルへ恩返ししてよね?
ツルでも恩が返せるのよ!
祈ってるわよ!!》

【ハア、ウゼ】

異常に重い空気が流レタ。
オレは舌打ちをシソウニナッタ…。
この余興が…困ル。

もう、何でも良いから…どこか寛げる場所へ行きたいダケダ。
照れもアルガ…早くベッドへ行キタイガ…。
別に感動の再会とか全く要らネエ気分ダ、今ハ。
スッキリしてから、会話で良イ…。

ミルルは色んな意味で変わってない、ベッドシーンまで演じるからドウナッタノカと危ぶんでたガ。
未だにエロは薄そうな感ジダ。
半分、安心シツツ…不思議な心地ダ。
これなら、多分…浮気はしてねえ気がスル…。

しかし、今日もまさかエロを逃げられそうになるのダロウカ?
それだけが心に残ル…。
ドッチナノカ?

もうそろそろ20歳も越えた訳だし…エロに踏ん切りが付いても良い気がスルノダガ…。
ドウナノカ??

映画共演俳優のハン=サムと何もなかったと言う噂も真実かもシレネエ。
週刊誌の情報通り、スキャンダルがないのも本当なのかもシレネエ。

《ミルルは諦めないわ。
さ、今からターシャ国へ一緒に帰るのよ。
これから先はミルルの命令に従いなさいよ!
ミルルの誕生日もだけど…7月はゼロさんの誕生日だったんでしょう?
それも兼ねて…ミルルからもゼロさんへサプライズがしたいのよ!》

【ハア?
邪神国に誕生日を祝う習慣はネエからナ…】

《それもだけど、その前に…。
どうしても、会いたい人がいるわ?

ゼロさん、キセキさんのこと…覚えてるかしら?
ミルルの友達だけど‥。
白人系クォーターで茶髪碧眼…って言ったら、思い出してくれるかしら?》


【アア?】

《これから、ゼロさんをキセキさんへ、ミルルの彼氏として…紹介して来るから付いて来てくれないかしら?
ターシャ国に帰ったら、キセキさんには会えないでしょう?》

【ハ?】

顔が色んな意味で固マッタ。
これから悪いが、エロ辺りがドコかで始まるのかと期待してた折に…寄りにヨッテ、会いたい人間が奴ナノカ…?

《キセキさんにはね?
ここ、3年間…本当にいろいろ助けになってもらったの。
その前に彼氏ぐらい紹介するのが筋でしょう?
もちろん、ターシャ国に帰ってからも…全員にお披露目するわよ。
まさか、ミルル…邪神国のことは喋っては駄目って念を押されたけど。
もう、ゼロさんは亡命が出来た訳でしょう?
紹介ぐらいしても良いでしょう?
ダメなわけ??》

【イヤ…。
良いんジャネエカ?】

《ゼロさんの許可が出たってことは良いのね?
ミルル…こっちに来てからも、全員に紹介ぐらいしたかったのに…。
ゼロさんの亡命が終わるまでは…ゼロさんのことも含めて話すなって、将軍から念を押されてたし…。
つまらなかったわよ?
これで晴れて自慢が出来るわけね》

【ウゼ】

《じゃ、キセキさんに会いに行くわよ。
今は…そうね?
キセキさん、また本命のレイカさんに振られたんじゃないかしら?
きっと…。
ミルルが暮らすマンションの上の階で…泣いてる筈だわ…。
慰めに行きましょうよ?》

【振ラレタノカ?】

《そうなのよ…。
キセキさんって一度、泣くと止まらないのよ…。
ミルルも慰める暇なんてないし、構ってないわ?
けどね…。
まあ、よかったわ。
今からミルルの部屋に行くついでに、キセキさんへお披露目をしてきてもいいかしら?
ゼロさんの…》

【ソウダナ】

今からミルルの部屋に行けるラシイ。
ココは機嫌が良い。

ミルルはオレへ抱擁シテル。

《嬉しいわ。
ミルル、ゼロさんとイチャイチャ出来るの…3年ぶりでしょう?
ゼロさん、ほとんど変わってないんだから。
それにしても今日も黒装束衣装なの?》

【今、来たトコダ】

《そうなの…。
このまま、肩を寄り添って歩きましょうよ。
平和国は涼しいでしょう?
邪神国と比べて》

【ソウダナ】

ミルルがオレへ抱擁しながら、鞄を持って…ハーブ酒屋から出るように促シタ。
まあ、機嫌は良イ。
キセキに会ってヤルカ。
ミルルの部屋に行くツイデニダ。


☆☆☆

ハーブ酒屋から出る時、ミルルは鞄の中からサングラスを出してきた。

《ゼロさん…えっと…。
ミルル、サングラスをしても良いかしら?》

【良イガ?】

《ミルルね…。
有名人になってるから絡まれると困るの。
あと、麦わら帽子もするわよ?
少し不細工になるけど良いかしら?
スカーフもするから》

【勝手二して良イ】

ミルルはもう既に有名人ラシイ。
ソウダロウ。

ミルルはサングラスと大きな麦わら帽子、それからスカーフ。
茶髪は団子にして…さらに上から黒いフードつきのパーカーを着タ。
確かにココまでされると…変装の域ではある…。


《ゼロさんと一緒のときはね?
ミルルもオシャレをしたいんだけど…。
ダサくないかしら?
これ?》

【良いんじゃネエカ…】

《そう、いつもはキセキさんに送ってもらってるんだけどね?
絡まれると大変なのよ。
本当に…》

【オメエの暮らすマンションは…。
この近所カ?】

《そうなのよ…。
キセキさんがとても気に入ってね?
やっぱり知らない国でしょう?
知ってる人がいるマンションの方が防犯上、安心だから…》

【どんなマンションナンダ?】

《そうね…。
エレベーターがあるわよ?
それから、下はオートロックだし。
カードキーだし。
防犯は大丈夫だと思うわ。
そんなに広いマンションじゃないわよ?
ミルル、質素にしてきたからね?
返済、大変だったし…》

【ソウカ…。
じゃ、防音ハ…】

《下の階のキセキさんが泣いてる声…。
聞こえないってことは大丈夫なのかしら?
ミルルもね?
そこは気にしたわよ?
ミルルのシャワー音がキセキさんへ聞こえるなんて・・さすがにね・・》

【オメエは今、大学ダッタカ…】

《そうよ、キセキさんと同じ大学に通ってるわよ》

【オメエとキセキはそこまで仲が良いノカ?
オレを紹介してえラシイガ…】

《そうね…。
幼稚園以来の付き合いだから…今で15年目だから…。
もう、キセキさんとは家族も同然だわ。
ミルル、お母さんは祖国に残してきたし…。
キセキさんはある意味、第二の家族にも近いわね》

【ソウナノカ…】

《さすがにそのキセキさんに紹介もせず、ミルルがゼロさんをミルルのお母さんへ紹介しに…。
ターシャ国へ帰る訳には行かないわよ?

ミルル、帰国の前にやっぱり上の階に暮らしてるキセキさんへ紹介するのが・…。
筋だと思うの…15年来の旧友だし…。

ゼロさんはどう思う?》

【イインジャネエカ…】

ミルルはオレの手を握ったり忙シイ。
平和国のヴァカンス島は街路路にヤシの木がどこまでも続き・・。
空は真っ青だ、白い雲が流れてる…。
隣に遠浅な綺麗なビーチがアル。

しかし…遠方の方が霞んでるのは…邪神海ダロウ。
そこより先は・・邪神国からの砂風が飛んで、視界が悪イ。

ミルルはずっと浮かれた声ダ。

《そう。
きっと、キセキさん…ビックリするわね?
将軍から言われて…ゼロさんのことも話してなかったから…。
連日、キセキさんからはゼロさんのことを邪神国から帰ってからは聞かれ続けてたのよ?
ミルルもあれはちょっと困ったわ》

【ソッカ…】

《なんていうかしらね?
キセキさん…。
あ、この今着てるパーティドレス。
キセキさんに見立てて貰ったのよ》

【ハ…ソレカ?】

《そうよ、その代りにミルルはキセキさんが本命のレイカさんへアタックするようの服を見立てた訳。
で、この服…似合ってると思うかしら?》

【オレは別に服など着れれば…良いダケダ。
何でも良いダロ?】

《そうなの・…。
似あってないの?》

【別二イインジャネエカ?】

《そう、良かったわ。
やっぱり、キセキさんに聞いて正解だったわ。
男受けの服なんてミルル…分からないから・・》

ミルルはこの通り、キセキのことしか歩いてる最中にも話さないガ…。
全く楽しくはネエ。

【オメエのオレの誕生日へのサプライズとは…。
キセキとオメエの母へオレを紹介スルって事ナノカ?
アア?】

《まあね?
それもあるけど…。
他は秘密よ、ターシャ国に行った時に話すわよ》

【まさか…昔のクラスメイト全員に広めるって話じゃネエダロナ…。
チ】

《うーん…マナナ辺りにはしたいけどね?
それからきっとナデシコとかにも…。
カンサイは地方の国立大へ行ったみたいだから会えないけど…。
紹介しても良いけどね?》

【ウゼエ…】

《ゼロさん、嬉しくないの?》

【別二ダ】

《そうなの…。
えっと・…ノア、どうしてる?》

【アア?
奴カ?】

《元気かしら?》

【知らねえ、今頃…。
ターシャ国地方にある赤ちゃんバンクへ走ってる筈ダ】

《え?
どうして、ノアが?》

【アア、ダリ。
捨てた子を拾いに行くんだとサ】

《そうなの…。
あれ?
ゼロさんはどうして、その話を…》

【また、あとで部屋に着いてから話す。
マンション、まだか?】

《えっと、あれよ?》

ミルルは指差した。
割りとこじゃれたオレンジ煉瓦の高層マンションだ。
今日はココで泊まることになるラシイ。
正直、キセキの部屋へ今から紹介されるのは気乗りシネエ…。
事が終わってからではダメなのだろうか?

【先に荷物、置いてからだナ…。
キセキのとこへ行ってもダ…。
別に夜でもイインジャネエカ…?
いつでもダ】

《ダメよ、ミルル…夜はね?
眠いんだから》

【ソッカ、眠いカ…】

《そうよ、だからね?
今から行きましょうよ?
今日はキセキさんの本命、レイカさんをSP警護するバイト面接試験の日なんだけど…。
きっと、落ちて凹んでると思うわ?
だけど、キセキさんに紹介もせず…ターシャ国に帰るなんて出来ないわよ?
ね?
ゼロさん》

【落ちてるんなら、放置した方が良いんじゃねえノカ?
アア?】

《ううん…ミルルが紹介したいの、ゼロさんを。

その代り、きっと…ミルルが用意するゼロさんの誕生日サプライズは大歓喜な自信もあるし。
ココはミルルの言う事聞きなさいよ》

【チ…】

仕方なしに…付き合うことにした。
ミルルはエレベーター内で6階のボタンを押した。

《6階がね?
キセキさんの暮らす部屋なの。
で、ミルルがその下の階なわけ》

【ソッカ…】

ミルルはずっと、オレへ抱擁してる。
ミルルが言うのも正論だ。
ミルルは茶髪を団子頭にして大きな麦わら帽子にスカーフと、黒いフード付きパーカーを白いドレスの上から羽織ってる。
オレは全身黒装束だ。
街角歩いたが…逆に悪目立ちして、来る人が不審げに見て来る。
オレもそろそろこの国で服を慎重スベキなのかもシレネエ。
服なんてどうでも良いが・・。

早く面会は終われば良い…そんなことを考えてる内に、エレベーターは6階へ到着シタ。

【6階の何処ナンダ?
ヤツの部屋は…。
早く終わりやがれ、コラ。
暑いダロ。
部屋入りてえ】

半分、本当だが…半分は嫌がってるってコッタ。

《待って。
キセキさんの部屋の中なら冷房が効いて涼しいから》

【入るのか?
コラ】

さすがに突っ込みたくもナッタ。
というか、どこまで親密な仲なんダ…コイツラ。
オレの国では・・男女は別が基本ダ、男と女の友情など成立する訳もネエ…。

廊下をのんびりとポケーとした顔で歩いてる男…。
もう半分以上忘れかけてたが…すぐに分かった。
長身に茶髪碧眼・…白人系クォーター、水色のアロハTシャツにジーンズ。
なんか、いかにもチャラそうに見えるのは…気のせいカ?

「ミルルじゃないか!
 今日は女優の仕事がないのか!
 そうか…。
 確か、今日は君の誕生日な筈だな…おめでとう」
 
《お祝いの言葉…ありがとう、キセキさん。
 で。
 レイカさんのSP試験受かったのかしら?
 まあ、その顔を見れば…一目瞭然だけど‥・》

「ハア…。
聞いてくれるか?
僕は面接で…酷い目にあった。
今、元気がない…」

《そうなの…。
キセキさん、辛いときは泣いても良いわよ?
今回は許してあげるわよ?》

「ううう…。
ミルル、君は最近…働きすぎだ。
僕からの誘いも断って…僕は最近、寂しい思いをしてる…。

ところでだ…。
隣にいるその黒装束の男は…まさか、ゼロなのか?」

失恋をシタラシイ…。
キセキはボタボタ泣いて、それからオレへ凝視シタ。

《そうよ!
ゼロさんよ!
ターシャ国の時に留学生として、来てたゼロさん!
相変わらず、イケメンでしょ?
ミルル好みの男よ!》

「何で、君の隣にゼロがいるんだ?」

《ミルルの彼氏なのよ!》

「嘘だろう?
本当なのか?
しかし…君は騙されてるだけじゃないのか?
ゼロにだ…」

【チ】

最強に今、機嫌が悪イ。

【ミルル、帰るゾ】

《ちょっと、待って。
まだ自慢したりないわ!
キセキさんは今からバイトなのね?
大丈夫よ、ゼロさんは亡命したのよ!
ミルルね、そのために女優として働いて来たのよ!
ゼロさんの亡命金、20億タ$はちゃんと邪神国に収めたのよ》

「ちょっと待て…。
君はそんなに稼いでいたのか?
嘘だろ…ゼロは本当に…亡命を?
君は騙されてるんじゃないのか?」

《ううん、えっと…。
亡命金は半額にまけてもらったわ?
今日がミルルの誕生日だからね?
あまり邪神国のことは言えないけど…何があったか…。
でも…。
ゼロさんはもう悪人じゃないの。
ミルルが買ったも同然なの!
これから、ゼロさんのミルルへの恩返しが始まる筈なの》

「ちょっと待て。
僕は全然、納得いかない。
君は騙されているだけに決まってる」

【帰るゾ、コラ。
ミルル】

《自慢は終わったし…。
これだけね?
じゃ、ゼロさん…。
行きましょう?
えっと、キセキさん…バイト頑張ってね?》

「ミルル…君はなんて…見る目がない女なんだ…。
僕は呆れてる・…」


後ろでキセキが煩いが…ミルルと連れ添って、赤い螺旋階段を下りることに決めた。
一階ぐらいなら徒歩の方が良いだろう。
ゼロの部屋の下の階にミルルの部屋があるラシイ。
絡まれるのが嫌過ぎダロ、コラ。

「君は何も知らない!
僕がどんな思いで…君が邪神国へ拉致された時に・・・。
向こうの政府から要求された君への返還金、16億タ$を募金活動までして…かき集めたか!
君はゼロに騙されているに決まってる!
早く目を覚ますんだ!
大反対に決まってる!
幼馴染として当たり前のことだ!
僕は君のことが心配だ!」

階段の上からキセキがキャンキャン吠えてうるさい…まるで犬のようだ…。

《これで、キセキさんへの紹介は終わったわ?
ゼロさん、ごめんね?
キセキさんが勘違いしてるみたいだわ?
ターシャ国に帰ったら、今度はしっかりミルルのお母さんへ紹介してあげるから。
サプライズも用意してるから》

【ウゼ】

サプライズ…何なんだ?
エロじゃねえのか?
他に要らねえダロ、コラ。

ミルルの部屋に到着して、ミルルが部屋の鍵を開けた。
中は割りと広くはネエが…綺麗に片づけられている。

ミルルは鍵を閉めた。
ミルルはベッタリ、オレへ抱擁したままだ。
オレはそのまま冷房を付けた。

【夜、オメエは寝るんだろ?
ジャ、今から…エロしねえか?】

《待って…。
ゼロさん、エロは別になくても良いわよね?
だって、ミルルが一生懸命、ゼロさんの亡命金を払ったんだもの。
これからはミルルの命令に従ってくれるでしょう?
ね?
今日はイチャイチャだけにしたいわ…》

【ハ?】

やはりミルルは全く変わってなかったラシイ…。
しかし、オレは悪いが…今日もエロをすることに決めテル。

――Happy Birthday,Miruru!

そう言うコッタ。




@Fin@







ゼロから見た世界5


目次

番 外の外



いやあ。
どうなることかと思いましたが。
最終話です。
自分と違う性格のキャラは書くのが難しかったですね。

管理人は
ミルルほど、強いわけでもないし…。
ゼロほど、凶暴性な訳でもないので。
いろいろこういう人間だったら、多分…こんな性格だろう…。
こういう状況でこういう生き方の人間ならこういう思考回路かな?
と考えて模索して…創作したので、大変でした。

キャラの性格は毎回変えて、違う世界観へ感情移入をしたいと思ったのですが。
思い通りに動かないのがまた良いところですね?

最後まで楽しんで読んでもらえると嬉しいです♪

オリジは初めてなのでもう大変でしたね…。
次はキセキ×レイカシリーズにやっと突入です。
今度は年齢を少し上げて書いてみようかとも思いますね。
色々な年頃で執筆するのがまた面白いわけですよ。

あ。
キセキ×レイカシリーズでもミルルやゼロ、タリアやマナナが出演します。
それぞれのその後が入ってます。
キセキシリーズはほぼギャグになる予定ですね…。



この話の続き…ミルルがゼロにしたいサプライズとは…も、平和国シリーズでネタバレする予定です。

まとめるのが大変ですが…あらすじの推敲中です。

いつもありがとうございます♪









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