アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

……社RQ邪神国番外の外B潜水艦内にいる船員から注意を受けるミルル。ゼロとイチャイチャ旅行を楽しむ。

 

番外の外

《ミルル視点》


 ゼロさんはこの通り、優しいんだけど…。
怒りの沸点が分からない瞬間が多い。
そこだけが不満。
これだけ何とかならないのかしら?
本気でジェットコースターみたいに、感情の起伏が激しいんだけど。
社会主義国って、皆こうなのかしら?
温厚になれないのかしらね?
 生きて育った国が違うから、価値感が違うことは……理解しようと努めてるんだけど。
それでは、この国で生きるのは至難技。
ミルルが頑張って、一から教育しなおして躾けなおすつもり。
ミルルは気丈に、シッカリしなきゃ…。
 その後、暫くして…。
船員が潜水艦へ帰還したみたい。
黒装束姿なゼロさんを見るなり、相手の人が驚いた表情になった。
黒装束衣装を同じく着て、浅黒い肌に小太りな人。
 邪神国で小太りは珍しいかも―――上流階級なのかも。

[ちょ、ゼロかいな。
ありゃ?
平和国で解散任務ちゃうかったんかいな?
で…。
何か用かいな?
ちょ…]

 邪神語が訛ってる…。
これが、聞き取りにくい。
また、地方出身者みたい。
邪神語にも……独特の方言が存在してるみたいで…。
邪神国の西部都市訛にも似てる。

【隣に立つのが現将軍様の娘…ミルルだが、送迎してもらえねえダロウカ?
用件は以上ダ。
解答を求ム】

 まだ、ゼロさんの邪神語の方が…ストレート。
ゼロさんって、若干……早口だけど…。

[ちょ…そのサングラスをした女性が―――ミルル様かいな?
お安い御用でっせ。
今回の任務はミルル様生誕20歳を祝う食料調達でっせ。
ミルル様、ワテのこと…ヨロシクでっせ]

 イントロネーションがゆっくりで…訛ってる。

《やったわ!
嬉しいわ》
【恩に切ル…。
一つ真剣に聞くガ。
ジャシドンは…ドウナッタ?
ミルルは…平和国で暮らすのが最善カ…。
ターシャ国で暮らしたとしても安全ナノカ…。
意見だけを仰ごうカ?】
[昨日も同じ質問でっせ。
そうか…ミルル様がかいな?
ワテはやはり、超上層幹部ちゃうし…。
正直、分からんがな…。
ワテ、ミルル様は…平和国で暮らすべきだと、感じまっせ]
《え?
そうなの?
ミルル…》
[邪神国に関しては、ミルル様…。
これから何があっても、黙秘を貫くべきだと思うがな。
将軍様は・…大昔、ワテが知ってる時代とは変わらはった]
《え?
将軍のことを知ってるの?
大昔について》

 ミルルはサングラスの奥から瞬きをした。

[コレは、ワテが…遠目に聞いた話でっせ。
将軍様は17歳の頃、今のイチ妃やニ妃とは違う方と交際をしてはったらしいがな…。
子供が生まれへんと我が国では奥さん認定されへんけど・・。
将軍様なりに、その方へ愛情があらはったらしいわ…。
だか…。
いろいろあって、破局にならはったらしいでっせ… ]
《そうなの……それで?》
[ここから続きがある。
その後、その元カノは病死で亡くならはったって話だけど・・。
コレ、ちゃうらしいでっせ。
真実は…元カノがAVデビューしてるのが国内流出してしまわはったらしいわ。
で、将軍様へも発覚して、怒ってしまわはって…。
一番目の彼女を処刑なさったらしいわ…。
この頃にまず、将軍様は他人への懐疑心が芽生えなさったらしいわ]
《でも、それだけで?
分かるけど…まあ…》
[その後も…。
いろいろあって…。
何名かの庶民や側近を”人民の粛清”と題して、処刑送りなさって。
色々な法律を作成して、一時…将軍様は鬼にならはった……。
アラ人鬼や…。
邪神教で言う鬼神の化身とまで将軍様は歌われはった……。
悪魔崇拝に近い]
《……悪魔崇拝?》
 [それから…。
21歳の頃、将軍様はまた遊女――美女ドル軍団以外の鬱病を抱えた女性と交際なさったらしいけど…。
その方との子供はついぞ恵まれず、その方は酷い鬱のせいで…。
将軍様が25歳の頃、自殺をなさったって話だ。
噂によれば…。
将軍様の政治に関してついて行けず、口論へ発展し…頭を銃殺で死なはったらしい…]
《そうなの…ダークね》

 いろいろ深い陰鬱な過去が…ミルルの精子バンクを介したDNA上の実父にはあるらしい。
つまり、イチ妃と結婚する前に……2人の女性と交際してたみたい。
一人は……破局後、AV女優へ転じ、それが発覚し…処刑して。
もう一人は酷い鬱で、自殺したみたい。
その後、性格が急変して・…現在に至るらしい…。
どうなるのかしら?
これ?

[それ以来…。
将軍様は、何かに駆り立てられるように…立派な悪人を演じるようにならはった。
将軍様の部屋には…未だに将軍様が25歳の頃、自殺なさった人の肖像画が飾られてるらしいがな…。
あれも…自殺ではなく、他殺で…。
将軍様が自分の政治に対して反発するその女性を衝動的に殺したという噂も立ってるがな…。
真相は未だに謎でっせ ]
《殺したの?
どう思うの?
アナタは?》
[分からん…。
ただ、 その鬱病を抱えた女性は…心優しい方で処刑が実行になるたびに涙を流さはる方やった。
きっと、将軍様に目をかけてへんかったら…鬱病になった段階で…もう、ガス室送りでっせ。
我が国では病気=働けない=処刑送り決定でっせ?。
あれは仕方なかったと思う、我が国ではそうだ。
善人ほど、長生きは望めない―――邪神国の諺でっせ?
ただ、強みを目指すのみ―――これも邪神国の諺でっせ?
馬鹿は早死にする―――これも邪神国の諺や。
あと…別れたら次の人―――これも我が国の諺や]
《毎度、カルチャーショックがある国ね…。
本当に…》
[将軍様はその方が自殺しはった後、その人の写真を眺めて号泣しはったって話でっせ。
んで…。
あれ以来、将軍様は…地区ごとに処刑のノルマを決めて…セッセと真面目に殺戮なさってる…]

 そこで大きな溜息を…目前に立つ中年船員が…吐いた。
中年船員の浅黒い肌は埃にすすけ…着ている黒装束衣装もところどころに傷が付いてる…。

[ワテ…それは、よう知っとる。
ワテも処刑のノルマには貢献してる者でっせ。
ワテの仕事でっせ、これも…。
ワテ、真面目によう働く人間でっせ]

 そこで……浅黒い肌した中年船員は、黒装束衣装に付着した汚れを手で払い…咳払いを”コホン”とした。

[例えばでっせ・・・。
我が国の秘密項目に当たる情報を他国のスパイへ漏らした内通罪…。
その他、諸々の余罪で…連日、国民は処刑所へ送られてるんでっせ…。
それがワテの任務でっせ。
まあ…。
――〈悪人と題されて、処刑されたモノの中から…5パーセントでも本物の偽善者がいれば、それで良しとする〉――
これこそ、将軍様のポリシーでっせ?。
最近では、それも少し以前よりマシになってるがな…。
いつ戦争に突入するかは…ワテにも分からん。
ワテとしても、戦争…大賛成でっせ]
《そんな……まあ、あの国なら何でもありそうだけど……》
[我が国の酷い食糧難を…更生するには、それしかあらへんと…。
ワテも、強く将軍様の意見に強く賛同でっせ。
他に道なんかないでっせ。
邪神国万歳!!
将軍様に幸あれでっせ!!!
ワテ、ガンバリまっせ]

 黒装束衣装に浅黒い肌した中年船員の…熱望が伝わって来た。
ミルルの精子バンクを介したDNA上の父―――邪神国の現将軍も変わった人生みたい。
確か、3番目の息子は・…DNA判定で実子ではなく、母子共に処刑送りになったと聞くし。
1番目の息子、イチミルの母…イチ妃。
それから―――二番目の息子、ニミルの母…二妃…。
二人の妻へ…両方ともミルルの実父は…愛情が薄いみたいだし…。
妻たちは宦官を侍らして、男遊びに耽ってるみたいだし…。
ちょっと、不思議な関係だわ?
あれは…。

《それは困るわよ…。
えっと…ミルルは…他言不要なのよね?
これを…。
まあ、あの国…何を考えてるか予想不可能だったし・・・。
あり得そうとは心配してたのよ?
ドンピシャな訳?》
[ワテ、ココだけの話でっせ?…。
将軍様が唯一、ご寵愛なさるミルル様だから我が国の刑法…伝えたけどな…。
これ、他人へ言わへんほうが身のためでっせ…ミルル様]
《大丈夫かしら?
これからミルル…ターシャ国へ帰るんだけど…。
まさか、ジャシドンを落とすんじゃないでしょうね?
今回…。
何の任務なの?
本当に卵かけごはんの食料を調達して来るだけなの?》
【チ…】

 ゼロさんは舌打ちを一回したわ?
今日は大丈夫みたいと祈るけど…。

[今回はなしでっせ。
まあ、助言はするがな…。
あまり行かへん方が身のためでっせ。
将軍様は邪神教を崇拝し、邪神を自ら演じ…悪へ駆り立ててる方でっせ?
いっそ、潔いくらい…何事においてもカリスマ性があらはる。
有言実行な人間でっせ?
ワテ、将軍様を尊敬してまっせ]
《そうなの…》

 ミルルは眩暈がしそうになった。
サングラスを指で抑えた。

《ミルル…そろそろ、夜だし…。
眠いわ。
このカプセルホテルのベッドで寝ても良いかしら?》
[どうぞお好きにな。
他の船員らももうすぐ船へ戻ってきまっせ]

 ミルルはカプセルベッドへ入った。
隣へゼロさんも寄って来るはずなんだけど…。

▣◙▣◙▣◙▣◙▣◙

 カプセルベッドって、予想外な狭さだけど…ミルルは夜9時に就寝する派。
潜水艦出発と同時に…口から大きな欠伸が漏れた。
唇を手で抑えた。

《フワァ…出発なの?
今…九時よね?
少し眠いわ?》
【ハン?
眠いノカ?
寝るカ?】
《ううん…。
一緒に窓の外から魚を眺めましょうよ。
廊下の丸窓から。
今なら潜水艦が潜ったみたいだし…魚が何匹も見れそうよ?
それにしても…船、結構揺れるわね…》
【オメエだけで見テロ。
オレは船員仲間と会議がアル…】
《何の会議なの?
ミルルは参加したらダメなの?》

 ミルルは眠くて目から涙が出かけた。
度入りサングラスの奥を抑えた。
夜は強烈な眠気が襲い来る。
頭痛がするレベル。

[ミルル様…残念だが…。
ミルル様は参加は無理でっせ。
どうか、廊下で静かに待機して欲しいでっせ。
ワテらは渡り廊下先の会議室で話しますよって。
ミルル様は渡り廊下で大人しくしてくだせえ]
《そうなの…。
まさか…ジャシドンについてなのかしら?
さっきの流れでは…》
[いや…それは黙秘でっせ。
ミルル様、ワテを困らせねえで下せえ。
頼みまっせ]
《分かったわ。
ゼロさん、終わったら…一緒に寝ましょうね?
ミルル、待ってるから》
【ジャ…】

 これだけゼロさんが言い残して、潜水艦の寝室から廊下へ出て行く。
ミルルも廊下までは一緒だし、ゆっくり付いていく。
黒装束衣装を身に纏ったゼロさんの長身な背中が映る。
ゼロさんの緑眼は暗く、一点を凝視し…据わってる。
 不穏な空気が現場に流れてる。
浅黒い肌に乗る唇も心なしか…いつもより、固く締められてる気がする。
何だか…心配になる。
ゼロさんが何かを考えてる。
余り良い流れじゃない気がする。
これはミルルの勘だけど…。
 ゼロさんは船員達と渡り廊下最奥にある会議室へ入って行った。
ゼロさんと距離を置き、ミルルだけ一人で気楽に渡り廊下の窓から海底を鑑賞してる。
少し寂しい気分。
ミルルだけ除外されてる。




番外の外2


目次

番外の外4





初期はやる気マックスで更新速度もサクサクだったのですが。
再読してみて、1ページあたりの文章量が多いんじゃないかと見直してる最中です。

今日から一日に更新できる文章量は半分ぐらいが限界じゃないかな?ということで、更新量を減らしてみました。
愛読ありがとうございます。


✩✩✩

今までのあらすじ。

売れっ子アイドルの《眼鏡ミルル》は、高校時代アラビア系留学生【印度ゼロ】に一目惚れを果たし……根性でストーカーの上、落とす。
その後の話。





《眼鏡ミルル》

売れっ子アイドル。



【印度ゼロ】

高校時代、邪神国から留学して来たアラビア系男子。







inserted by FC2 system