アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ゼロから見た世界

【ゼロ視点】

オレは今、棺桶部屋と呼ばれる部屋にイル。

部屋の天井には七色に輝く透明なシャンデリア。
部屋の中央には漆黒の6畳ベッド。
それから部屋の扉付近には墓石がいくつか並ぶ部屋ダ。

ミルルはオレへ抱擁してる、その表情は緩んデル…ミルルに緊張感の欠片はネエ。
夢見る乙女そのものダ。

 今日は…。
クライ。

ミルルはオレの亡命金まで稼ぐ気らしいが。
当てがあるのかと…ダークな気分にもナル。
これでまさか、サヨナラの可能性すら完全否定もしがたい…。

  《ゼロさん、邪魔者は退散させたわ。
  ねえ…これだけ恩は売ったんだから。
  もちろん、ゼロさんはミルルをフィアンセ認知してくれるわよね?
  当たり前だけど‥ミルルがいない3年間は、浮気なんてしないわよね?
  約束したわよね?
  ミルルと関係持ったら、無条件で付き合うって話にするって。
  今度は恋人から婚約者に昇格よね?
  約束してよね?
  分かってるの?》

 【ウゼ…】
 
ミルルの自信はどこから湧いて来る?
ミルルは猛烈な自信家ラシイ。

《じゃ、ゼロさん…。
  寝ましょう?
  もう遅い時刻だわ。
  ちょっと今日はショックすぎて・・・頭がね?
  賢者タイム降臨なわけ。
  上手く働いてくれないのよ?
  大丈夫よ、ゼロさんの命なら救出して見せるから》
 
 【ウザ…】

今、寝ましょうとか…アホなこと、言わなかったか?
アア?
 
 《ミルルが好きなら…。
  今日は婚約者になれた暁として…。
  結婚するまで、エロはなしってことで良いかしら?
  ミルルが本気で好きなら…。
  それぐらい出来るよね?
  お願い、ゼロさん…。
  もちろん、今朝怒ってたみたいだけど…。
  フェラとかミルルはAV女優じゃあるまいし?
  論外なんだからね?
  さあ、明日に備えて寝ましょう?》
 
 【オメエ、天然チャンか?】
 
今…ブチ切れかけた。
ミルルは可愛いが…時々、こういうふうに逆鱗に触れて来ル。

 《え?》
 
 ミルルはベッドの布団に入って…今、まさに寝ようとシテル。
どこからそんな自信が沸くノカ?
これで最後になる可能性の夜に…ミルルは寝ようとシテル。
アホなのか?
 
 《ターシャ国ではね?
  そうなのよ?
  本気で好きなら、結婚するまでエロを耐えることが男には義務付けられているのよ。
  さあ、怒らずに寝ましょうよ。
  その方が良いわ》
 
 【フェラは良いから、ヤルゾ。
  コラ】
 
 《え?
  待ってよ。
  ミルルのこと、好きなら耐えて欲しいわよ。
  ミルルはね。
  悪いけど未成年で。
  ターシャ国ではね?
  未成年同士の性交渉は禁止されていて・・。
  ミルルが通う成績優秀高校では…退学なのよ?
  バレたらね?
  それから…ミルル、一応…ターシャ国では清純系アイドルだし、事務所でもエロは禁止されてるのよ。
  ミルルはターシャ国人なんだから。
  ターシャ国の法律に従わなきゃ。
  じゃ、寝ましょう?》
 
 ミルルは黒い布団を頭まで被った。
 
ミルルはオレへ抱擁したまま、オレのオナカ辺りを触って…。
スヤスヤ眠りにつき始めた。
ここで怒りが沸き怒ッタ。
寝息が聞こえてる。
信じられねえことに…抱き枕にして、本気で眠りに就こうとした。

【起きろよ、コラ】

《何なの…?
ミルルはこの時間、寝てるのよ。
フワァ、大丈夫よ。
3年後にまた会えるから》

ミルルは眼鏡を外して、ベッド付近の机に置いた。
それから…ミルルは今度は、ベッドの側にある点灯スウィッチへ白い手を伸ばし、部屋の電気を消した。
部屋は闇へ包まれて…何も見えなくなった。

【分かった…じゃ、生で勝手にさしてモラウ。
オメエ、寝てろ】

《え?》

【オレはゴムして今までしたこともねえ。
あれするとヤリニクイ。
出来たら、認知で良いダロ?
ジャ、寝とけ】

暗い中で電気のスウィッチを押して、ミルルが勝手に消した部屋の明かりを戻した。
勝手に進めば、楽ダロウ。
その方が良イ…。

《待って…電気つけるの、反対よ。
消してよ。
冗談でしょう?
止めてよ…。
ミルルのこと、好きじゃないの?》

【電気してるとみえにくい…。
長くナル】

《電気は許すけどね?
冗談じゃないわ》

いろいろ文句言われるのも段々、面倒くさくなって来たし…。
ミルルの服は黒装束衣装1枚だし…下に白いブラと白いパンツだけだ。
脱がしやすい。
はがし終わって、適当にしようかと今日は思った。

その時、ミルルがオレの抱擁から離れて…オレの背中にまわって、足蹴りした。

【ッテ…】

こんなことされたのは初めてだ。
ミルルは布団で体を覆って隠した、泣き出した。

《ミルルとしては…エロより睡眠にまわしたいの。
  ミルルはやるべきことが他にあるの…。
 
事後の腕枕は好きかもしれない。
 
 男の人って不思議だわ。
  好きじゃなくてもエロが出来るんでしょう?
  ミルルは好きでもエロとかどうでも良いわよ、それよりファション雑誌や服を見てるのが好きなの。
  男の人の感性は…不思議過ぎて、付いていけないわ?
  女性でもビッチもいるみたいだけど…あれも付いていけないわ?
  だって、ミルルは清純系女優なのよ?
  一応、世界に残された唯一の汚れなき乙女で売って来たんだから…。
  それなのに、こんなことに…。
  エロは余計だったわ?
  事務所には内緒にしておかなきゃ》

ミルルは童女のように泣いてる…。

【ハア?】

オレの頭は停止シテル。

【そんなにエロ嫌いなのか?
ハア?】

《ゼロさんはいろいろな技を駆使しようとしてるみたいだけど、それよりミルルは早く終わって欲しい…。
  エロよりまったりが良いの。
  だいたい、子供が出来ないように避妊までして、子供を作る目的でもないのに…エロする意味が分からな過ぎる。
  だって、ミルルはまだ満17歳にもなってない…来月、やっと17歳になるところ。
  やらなくて良いと思う。
  ゼロさんは全然、ミルルを労わってはいない。
また時間が取られた。
  ミルルの貴重な睡眠時間まで削られた。》

ミルルは再度、布団に入ってオレから背を向けて独り言を続けテル。

【起きてるノカ?
寝てるノカ?】

背中を蹴られたことはビックリしたが…。
声が寝てるような口調ダ。
ミルルは寝相が悪いタイプかもシレネエ…。
それともワザとなのか?

《ゴムなしでしてるから…子供出来るのよ》

【邪神国では普通ダ。
ゴムは高いし…ごつ過ぎる…邪神教にそんなこと考える人間はイネエ】

《 そんなことしてるから、平均出産年齢14歳でエイズが蔓延するのよ!
  学校とかで習ってこないわけ?
  そりゃね?
  戦死や病死や餓死、熱中症で平均寿命が17歳とは聞いてるわよ?
  でも、そんなに生き急ぐことないでしょう!?》

【オメエの場合はダナ…。
子供が出来ないように全員から言われてたからゴムした。
じゃ、中出しはなしとしてダ。
ゴムなし外出しナラ・…】

《馬鹿!
ダメに決まってるでしょう?》


どうあってもダメらしい。
 
《お蔭で寝れない。
  ミルルはエロの時間が長いと、まだ痛いの。
  ゴムなしとか絶対、ミルル無理過ぎ。
  これも考慮して…3年エロはお預けになるけど…良かったんだって思ってる》

ミルルは裸で背中を向いて布団の上にイル。
ミルルの白い尻が目に映ッタ。

【ゴムしたら…感触が違ってダナ…】

《そんなの悪いけど、都市伝説でしょ?》

 【邪神国制のゴムが分厚いからダナ…】

《絶対、嘘だと思う》

ミルルは裸のまま、ベッドで横たわり…オレへ背を向けてる。
白いなまめかしい肌が曲線美を持って見えてるのだが…。
全く譲らねえ…。

【ハア…。
オメエ、頑固ダナァ…】

 《ミルルは足蹴りしてでも、そこだけは思いとどまらせるわよ?
  本気でミルルは勇者だと思う。
  ゼロさんに関しても、いろいろモラルと言うものを躾けなきゃダメだって落胆してるわ…。
  お互いの価値観が違い過ぎるわよ…》

【ソウカ?】
 
《これではミルルが好きなのか…エロだけしたかっただけなのか…謎すぎる。
  ミルルが好きなら、もっと労わって欲しい。
  生なんて言い出すなんて、人間として最低。
  ゼロさんの容姿は好きだけど…今、そこに失望してる…。
 
 ミルルは男のエロにはついていけない…。
  3年、エロなんてする気にならないけど…ゼロさんは分からない。
  ちょっとさすがのミルルですら、心が傷ついたわよ?
  ミルルはね?
  ゼロさんのためにこれから3年は働いて来るんだから、絶対に今…妊娠なんてするわけにはいかないんだから。
  男はエロに関してアホだと覚えたわよ?
 
 ミルルは貞操感に関してはシッカリしてるんだから。
  ミルルはゼロさんが好きだから、エロとかどうでも良いけど…耐えてあげてるのよ?
  それなのにさらにハードルを上げて、生なんて。
  やっぱり3年の期間があいて良かったわよ?
  結婚するまでエロなんていらないんだから!!
  ミルルは自分の身は自分で守るんだから!
 
 まさか…これからしばらくお別れの夜に、ミルルがゼロさんを足蹴りするなんて思わなかったわよ!
  でも、生でするとかアホなこと言い出したから、さすがに背中を足で一回蹴ったわよ!
 
 躾がなってないわよ!
  ミルルの恋心を利用してね…調子に乗ってんじゃないわよ!
 
 【出来たら認知スルカラ】とか言われたけど…これが嘘なのは常套手段よ、ドラマではね?
  だいたいの男はこれ言って、逃げるの…》

ミルルは一方的に話してる…。
背中を向いてまだ台詞が続いテル…。
 
《 芸能界でもね?
  恋愛禁止なのに…こういうことして中絶なんてしたアイドルはね?
  その後、スッと画面から消えるのよ?
  ミルル、何人もそんな被害者…見て来てるんだから。
  絶対、その子達は…だいたい、出来たら結婚するとか言われてる訳。
  でも、認知すらせず、突然…男は逃げ出すのよ?
  仲間の何人に泣き付かれたか分からないわ?
  これは氷山の一角よ?

  だいたい、自分のことを正直に話す人間ほど…すぐに消える世界だから…。
  仲間が今、誰と付き合って…何やってるかなんて、全部は知らないわよ!
  売れば…週刊誌のネタになるでしょ、これ?
  芸能界って、派手な世界だからね?
  隠れて、同時進行とかしてるアイドルも結構いるしね?
 
 そのせいで…数えきれない回数、学習してから…。
  自分の過去は隠して…認知してくれそうな滅茶年上とパトロンも兼ねて付き合うアイドルがいるみたいだけど‥。
  ミルルは顔面至上主義よ?
  それは理解できないわ…。
  いろいろセクハラまがいにはあうけどね?
  交わしてるわよ?》

ミルルはずっと怒った口調で…裸のまま、オレへソッポを向いてベッドに寝てる。
余程、怒ってるラシイ…。
女体美とは素敵なものだ、電気の付いた部屋でミルルの体の曲線を視線で追った。
 
 《こんなに顔面至上主義なミルルでも…TVの前では《男性の好みは、滅茶年上の男性でも大丈夫です》
  って、事務所に言わされてるのよ?
  あれ、全部…事務所が考えて、言わさされてるわけ?
  ミルルも商売だって思って、そこは割り切ってるわよ?
  ミルルのマネージャー…根性レポ子さんはね?
  それは厳しい人でね?
  ミルルに対して、=絶対…イケメンが好きってことは黙って下さいね?=
  って圧力を掛けられてるの、発言権すらないわよ!
 
 ミルルがテレビの裏で態度が悪いとかネット上では流れてるけどね?
  ミルルほどの美貌があれば…勘違いなんてされたら大変なわけ?
  ちゃんと、貴方に興味はありません!ってアピールしてるの。
  ちょっと会釈しようものなら…番組終了後、自宅に誘い出した後…絶対、エロを誘って来るんだから…。
  知ってるわよ?》

ミルルの独り言は激しすぎて・…口を挟む暇がネエ…。
裸のまま、背中向けられてる…余程、怒ってるらしい。
肩のラインが華奢で白く、尻は白く盛り上がり…足は女性らしい…。
腰まで伸びた茶髪は流れるようにシーツに乗り…割りとサラサラした癖のない毛だ。
ココからは見えないが…胸は形が良く揉むと柔らかい、腰は華奢だがくびれはアル。
ミルルも早くエロを覚えて欲しいのが本音だが…まだなのだろうか??

 
《 ミルルはゼロさんが大好きだけど…さすがにそこだけは見抜いたわ?
  出来ちゃった結婚なんて、恥ずかしすぎて生きていけないわよ?
  マナナの母じゃあるまいし…ミルル、そこら辺に関しては固いんだから!
  本当、エロなんてどうでも良いからね?
 
 それより綺麗なものを眺めて、ウットリして…。
  ムードが漂う高級レストランでイチャイチャしてる方が好きに決まってるわよ。
  男の人は不思議だわ…なんで、エロが好きなのかしら…?》

ミルルはずっと…背中を向けて一人で喋ってる。
これは…相当眠いのか・・。
それとも、逆鱗に触れたのか…。

生は止めることにシタ。
お蔭で少し熱も冷メタ。
ゴムしてしたが…やっぱり邪神国製のゴムが悪いと思う。
結構長い時間したが…伝わりにくい。
ミルルは長いと辛そうな雰囲気が伝わって来ル。
生娘だからダ。

最後、ゴムを外して自分の手で処理して…ミルルの胸の膨らみへ出したら…。
ミルルはホッとした表情に変わって、目を瞑った。
ミルルの眼鏡をしてない顔は…いつもより頬が赤い。
ミルルの肌は白く艶めかしい。


 ☆☆☆
 
 
オレはベッドに横になり、ミルルへ腕枕した。
まあ…出すものは出セタ。
ミルルの体にも触り捲った。
ひとまず、情事は終了ダ。
ミルルは寝ぼけてる様子ダ。

ミルルはまだ…エロが苦手ラシイ。
ココは困ッタ。

ミルルは突然、瞼から涙を流した。
 
 《ゼロさん、ミルルは本気で悲しいのよ。
  ミルルがターシャ国へ行って…国外を離れ離れでしょう?
  本当はね、こんなに遠方を離れるのが悲しくて仕方ないわけ。
  それから…ミルルが祖国や残してきた母を捨てて、ここで暮らすこともまだ迷ってるの。
  確かにミルルが成功すれば…ゼロさんはミルルの元にやって来るわ?
  でも、離れるのがただ、寂しいの…》
 
 【アリガトナ】
 
 《生で出来なかったこと、ごめんなさい…。
  ミルルはどうしてもそう言う価値観だけは付いていけなくて。
  離れるのが本当はただ、嫌なの…。
  それは分かって欲しい》
 
 【ソッカ…】
 
オレは事が終われば…賢者タイムだ。
今、宇宙旅行へ飛んだ気分ダ…星が見えるとは言わねえが、少し放心してる…。
白い天井に揺らめき輝くシャンデリアを見詰めてる。


  ミルルはオレの腕へ顔を埋めてる。
  同じ枕で寝テル…。
まあ、良いダロウ…。

【明日は早朝5時ダ。
ミルルの服は初日の服にナル。
オレとノアの服は黒装束ダ。
なければ…別にオメエも黒装束で良イ、アルか?】

《持ってるわ、桃色のワンピね…》

【寝る前に用意シタ方が良イ。
明日…早イ】

ミルルは寝ぼけ眼で、ベッドの下から桃色ワンピを出して、またすぐに黒い布団へ潜り込ンダ。
そのあと、何も言わずミルルはすぐ寝タ。
余程、眠かったラシイ。




☆☆☆


床に付けば睡眠薬は飲んですぐに寝タ。
部屋の消灯もシタ。

目を閉じれば…すぐに意識が落チル。
しかし…そのあと、自動的に目が覚メタ。
これも習慣ダ、夢は起きると同時に忘レル。
記憶から消えるラシイ…。
服は黒装束衣装をすぐに纏ッタ。
視界は暗くとも、服着るだけで用意終了ダ。

 
ーーーピピピピピピーーーー
 
ミルルがセットした…大型黒色フォン、王宮電話の”朝、4時50分”を知らせるアラームが鳴り渡る。
今日は8月23日。

色々アッタ。
割りと楽しかった。
決別の朝ダ。
頭は切り変える。


 
 
《寝ぼけてて…昨日の記憶が霞んでるんだけど…。
 今日はミルル、普段着で帰るのよね?》

ミルルはまだ服は着てネエ…裸を黒い布団に隠してる。
ミルルがベッド近くの壁にある点灯スウィッチへ手を伸ばし、部屋の明かりをつけた。
天井のシャンデリアが煌めき光り、視界が開ケル…この部屋は異常に広いと感ジル。

これから早朝でヘリを運転しに行かなければナラネエ。
全ての気持ちは切り捨テル。
 
【ソウダ】

全く時間がネエ。
ミルルには悪いがココで捨てて…ヘリの車庫までオレだけ先に突っ走る計画ダ。
変に私情が絡めば…別れが辛くもナルダロウ。
物事を切り捨てるのは…慣れもアル。
 
《確か、ゼロさんがヘリの運転をして…ノアがゼロさんを見張って…。
 ヘリの中にテレビカメラがあって…。
 そんな話だったわよね?
 平和国ヴァカンス島にターシャ国の外交官がいるから…。
 ノアが外交官から札束16億タ$が入ったカバンを受け取ったら…。
 すぐにミルルはヘリから降りて・・・えっと…。
 ヘリから降りたら…絶対、ゼロさんやノアのことについて触れてはいけないんだったかしら?
 えっと…》

ミルルはまだベッドで寝ぼけ眼だが…。
全く時間がネエ。
 
【チッ…。
 時間厳守ダ、グズグズすんナ。
 急ゲ】
 
《分かったわよ。
 ミルル、どうしても眠いときは記憶が飛ぶから心配で聞いてみただけよ。
 いつも夜の9時から朝の5時はグッスリ寝てるんだから。
 支度10分なの?
 化粧は…》
 
【なしで良いダロ?
 平和国ヴァカンス島でシヤガレ】
 
《分かったわよ…責めて、ヘリ内でするわよ。
 ミルル、睡眠だけが弱点なのよ…。
 ゼロさんと別れるのは本当に悲しいわ?
 でも…少し眠気が来てるだけよ…。
 邪神国、どうなることかと思ってたけど…。
 ミルルは運が良かったみたいだし…。
 割りとゼロさんとの仲も進んだ気もするし…、楽しかったけど…ただ眠いだけよ。
 夜のお勤めさえなければ完璧なんだけどね?
 あ、ゼロさん充てに昨日の昼に手紙を書いて…渡しそびれてたから…。
 机の上にあるけど、今…取りに行くから》
 
【読むのは後で良イ。
 服着たダロ?
 外、出るゾ】
 
《もしかして…だけど…。
 ゼロさんって短気なの…?
 こう言う時は感動の別れが・・・》
 
【5時出発ダ。
 5分前には庭に集合ダ。
 チ…】
 
《分かったわよ。
 ミルル…まだ迷ってるのよ?
 ゼロさんに説得されたから、仕方なく邪神国から帰るんだけどね?
 ゼロさんに説得されなかったら…今から反抗しに行く気だったんだから…。
 帰るの嫌よ。
 成功する自信はあるけどね?》
 
【ウゼ】
 
ここでオレは…机の上に置いてあるミルルの手紙だけ黒装束のポケットへ詰め込んだ。
手紙と言うよりは…白いメモ用紙を畳んだような手紙ダ。
便箋を手に入れるのも苦労したのダロウ…。
後で読めば良イ。


それから…ミルルは部屋に残し…オレは部屋を出タ。
時間はネエし、タスクは終えなければナラネエ。
今日は大仕事ダ。
すべて片付くまで全く頭も落ち着かネエ。
 
《待ってよ。
 ちょっと…ミルルの話を少しぐらい聞いてくれたらどうなの?
 また何か怒ってるわけ?
 全く、分からないわよ!》
 
ミルルが背後でまだ何か言ってるが・・・。
オレは捨てた。
部屋の外、赤い廊下を渡り…一台のエレベーターへ乗り、エレベーター内部で供するべきことを頭で整理しながら・…。
エレベーター上部…階数表示を眺めてる。
癖ダ。

エレベーターが1階へ到着する頃には…頭も大分、整理サレテル。
 
エレベーターが開けば…1階のロビーは…天井にはシャンデリアが揺れ、その前に温泉プール。
それから壁面に大きなテレビモニターにNEWSが流れてる。
1.6mのサファイヤ原石などが床にインテリアとして飾られていて…ココは豪華ダ。

 
ーーー素晴らしき国家…邪神国に魅せられて、自ら名乗り出て来た偉大なる将軍様の娘…ミルル様が。
 このたび、邪神国の更なる発展のために、諸外国で女優として働き…20億タ$もの金銭を邪神国へ寄付する目的で…、女優を目指すと宣言なさり ました。
 ミルル様は…ターシャ国では”眼鏡屋”のCMを他とした眼鏡ミルルと言う芸名の清純系アイドルで知られており…ーーー
 
 
テレビの時報が4時52分を指してる。
また再放送でNEWSは流れるダロウ、興味ねえ。
ここから先…ヘリが収納された軍事車庫へ裏側を回って行くベキダ。
時間ネエし、NEWSはどうでも良イ。
見慣れたノリダ。

☆☆☆

軍事車庫には ヘリが数千台、並んでる。
去年、操縦した。
黒装束衣装に鍵はまだ持ってた。
鍵入れて、黒いヘリへ入る。

4人乗りのヘリに助手席だけ風呂敷包みがアル…。
これが監視カメラの可能性も高い。
時間ねえから今日はすぐにここを経つ。
全てが終わるまでは考えてる暇もネエ。
寛ぐのは終わってからで良イ。

人間、1度に一つのことしか考えられねえモノダ。
安心して集中が途切れた瞬間に、ミスが起キル。
最近、栄養状態が良いノカ…頭が冴えてる気がスル。
食事が美味しく感ジル。

☆☆☆
 
ーーーバタバタバタバタバタバタ…ーーー
 
ヘリが音するのは当たり前の事ダ。
 
ーーーバタバタバタバタバタバタ…ーーー
 
軍事車庫から空を介してヘリを王宮の庭園へ移動させた。
砂風舞う庭園の真ん中へヘリを停メタ。

1年前だが…操縦方法に狂いは無カッタ。
このヘリで爆撃落とした嫌な思い出も蘇ル。

今日のタスクは…確か、ミルルの返還金をターシャ国の外交官から奪い去った後…ミルルを返還すれば…すぐさま、平和国ヴァカンス島は旅立ち…。
その後、ヘリに内蔵された網で平和国鳩を捕獲し、それから…超高層山にもヘリで立ち寄り…塩とサボテンを頂戴して、その後…王宮へ戻り、金を将軍様へ献上 する。

全部、暗記シテル。
余分なことは考エネエ。
ボンミスが多発する。
操縦中にカモメがプロペラに絡まるとか笑えネエ…。
それが良くアル。
あまり平和国ヴァカンス島へヘリなどでは普通、行かねえ。
平和国鳩が飛び過ぎて…操縦が至難技ダ。
ヘリは普通、邪神国内部の街を爆破する目的で使う。

我が国は…未だ、塩と水の利権問題を巡って…同じ宗派内で揉めに揉めテル…。
正直、オレはヘリでまだ一回も平和国ヴァカンス島まで行った事ネエが…。
鳩の大群がいるのは知ってる、捕獲すれば食材にはなるダロウ。
潜水艦、邪神号で行きたいのは山々ダガ…あれの存在を他国にバレル訳にはいかねえ。
麻薬の密漁船だからダ。
 
〔ササ、ミルル様…乗って下さい?
 私が乗りますから…そこに続いて。
 後ろ座席が空いてますわ?〕
 
《ミルルヘリに乗るのは…初めてなのよ!
 ゼロさんが運転してるの!》
 
〔館内は静かになさってくださいね?〕
 
☆☆☆
 
 外が騒がしいが…。
対応しねえ。
どうでも良い。
 
背後の席にミルルとノアが座ったラシイ。
今日はこれから大仕事ダ。
 
《ゼロさん…。
 運転、上手ね?
 格好良いわ!
 もう痺れるわよ!》
 
ミルルは歓声を上げた。
 
【ウゼ…】
 
あまりコレされると集中が途切れる。
嬉しいが、今は…黙るべきダ。
運転中に色恋事をけしかけられるとさすがに困ル。

女と男は違ウ…仕事中に色恋事を考えると、大抵…ミスが多発スル。
オレは恋愛依存症になる訳にはいかねえ。
他人とは常にある程度の距離を置ク、そうしねえと冷静な判断が下せネエ。
そういう性の人間ダ。

オメエのエールは可愛くもアルガ…時として、邪魔に感じることもアル。
特に生死を分かつ瞬間はソウダ。
運転に集中すべきだろうガ…今はコラ。
オレは一度に一つしか集中が行かねえ…単純とも言うガ。
たまに、邪魔な瞬間もアル…今がソウダ。

〔黄色い悲鳴は抑えてくださいませ。
 耳がやられますわ?
 サ、ミルル様も座って…シートベルトを。
 
それでは…再度、ミルル様に説明いたしますわね。
 私たちは頭からフードを被って…ミルル様の母国、ターシャ国の外交官から札束が入ったカバンを受け取り次第…。
 ミルル様は決して何も語らず、振り返らずに…外交官の元へ走り出してくださいね?
 コチラの情報を向こうへ渡す訳にはいかないので…。
 ゼロとのサヨナラもここまでです。
 その時にはゼロへは密着などはなされないように…〕
 
《じゃあ、今だけなの?
 でも…ゼロさん…運転中でしょ?》
 
〔そうです。
 つまり、今も黙っててください。
 運転が失敗したら…私も海へ落下です。
 静かにミルル様はこれから私が渡す化粧品グッズで身だしなみでも整えてくださいね?
 分かりましたか?〕
 
《分かったわよ…。
 ヘリの運転って…そんなに神経、つかうものなの?》
 
〔当たり前ですわ?
 車の運転より事故が多いですからね?
 輸送中に海へ落下事故なんて…笑えませんわ?
 サアサ、ミルル様…。
 邪神国製ですが…化粧品ですわ?
 これ、ミルル様に進呈しますわ?
 その代り、ミルル様の鞄の中にあった…化粧品はいただけますよね?〕
 
《良いわよ、別に…》
 
後ろの席は勝手に会話が進んでる。
これはノアのフォローもたまには助カル。
邪神国の上空にはいねえくせに・…。
平和国の上空、特に邪神海との狭間付近には…ウヨウヨ白い鳩が飛んでるラシイのは地理でも知ッテル。

平和国上空付近からは邪神国から飛ぶ灰色の砂が消えて…空気が透明になり、運転が楽になるが…白い平和国鳩が恐怖ダ。
この白い鳩がまた、全く規則性がネエ。
さすが平和国鳩ダ、平和に自由に飛びやがると言う噂すらアル。
軍内部でもこれを怖がってる奴らが多数ダ。
そのせいで飛行機なんか邪神海上空を飛ぶわけもネエ。
 
《これ、”将軍様と邪神国に万歳”って書かれてるけど…。
 これは…。
 えっと…。
 そういうブランドなのかしら?》
 
〔そうですわ?
 邪神美女ドルも使ってる邪神国では割りと超高級化粧品ですわ?
 邪神国外では売ってませんがね?
 品質は確かですよ。
 邪神美女ドルも舞台化粧としても使ってますから。
 カバー力も抜群ですわ?
 私も常にこれですわ?
 テレビの映像にもきっと生えますわ?〕

《そうなの?
 変な顔料とか使ってない?
 いかにも色が鮮やかで…ミルル、常はここまで発色が良すぎるもの使ってないから…。
 海外製のは合うかどうか…。
 このファンデ…ちょっとミルルの肌より黒い気が…》
 
〔大丈夫ですわ?
 パッチテストも合格してますので…。
 邪神美女ドルはミルル様もテレビで見たでしょうが…彼女たちもこれをつかってる筈ですわ?
 なかなか邪神国では手に入らないのですよ?
 これを持つのもステータスですわ?
 ミルル様のお肌の色に会う化粧品はこの国ではありませんので…。
 日焼け風メイクとして使ってくださいませ?〕




ゼロから見た世界


目次

ゼロから見た世界3










inserted by FC2 system