アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

判決6

≪ミルル視点≫


☆☆☆

長い長い廊下を越えた先に、エレベーターがある。
このエレベータも扉には金の装飾があるけど…。
その手前にある、VIP会議ルームと表示された部屋はもっと凄い。

扉を開ければ…そこは壁面も机も椅子も金の部屋。
全体が金で出来た部屋に…将軍が腰かけてる。
常にいるSPもいない。

ミルルも本当に舐められてると思う。
ミルルより格段に体術が上だからって…。
いつもは将軍はどこにいるのかサッパリ。

ノアの説明によれば…邪神会議が朝、開催されてるらしいし…そこに出席してる可能性は高いと思うけど…。
ノアは全く、情報を教えてくれない。
ノアの話も全部が本当なのか…少し謎に包まれてる。

《何の用事かしら?
で、ミルルの処置は決まったわけ?
ミルルをこれから本気でどうするつもりなの?
今日のテレビ…あれはどういうつもりかしら?
ミルル、歓迎祭なんて…粋なことをしてくれるじゃないの?》

〈まあ、落ち着きたまえ。
ボクは逃げも隠れもしないさ?
唐突だが…キミは遠方になるが…嫁ぐ気はあるかね?
今、ゼロとの関係はどうなのかね?〉

≪はあ?
何を言ってる訳?≫

ミルルの目が大きくなった。

〈我が国は資源に乏しい。
キミほどの美貌があって、しかも貞操もちも固いとなれば・・。
ボクの知り合いの平和国の富豪家へも良い手見上げにはなる。
悪くはない話だ。
富豪家には…まあ、我が国もテロ活動にも参加してもらってるわけだが・・。
平和国人になるがどうかね?
結婚しさえすれば、キミはこの国で売春へ回されることもないし…。
将来が約束されるだろう…〉

《嫌に決まってるでしょう?》

ミルルは顔を真っ赤にして、怒った。
今日こそ、足蹴りを与えようとして…接近したけど…。
もっと、衝撃的なことを伝えられた。

〈それとも…今日のキミは浮ついてる。
もしかして、キミはゼロの作中に嵌まったのかい?
もう生娘ではないのかい?〉

《どういうことを言いたい訳よ?》

〈キミは自覚はないだろうが…。
猛烈に分かりやすい女らしい。
ゼロに落とされた後の女は全員、そんな表情をしてた。
要するに純潔は守れなかったのかい?
となると…富豪家へ渡す際に…価値が下がる。
ボクとしてはここが問題になって来る。
向こうへはキミは生娘だと伝えてるからだ〉

《うっさいわね!
セクハラでしょ?》

〈キミは浮かれた顔しかしてないが…。
否定をしないと言うことはそう言う解釈にしようか?
これは失望した。
少しボクの算段が狂って来る〉

《はあ?
算段ですって!?》

ミルルはそう言えば…ココに来た初日に将軍から政略結婚の駒として利用されるとは直々に宣言されていたことを思い出した。
本気だったみたい。
冗談じゃないわよ!


〈ふう…。
キミに伝わるように説明をしようか?
キミの側近、ノアはキミが女帝になることに賛成してるらしい。
それから、妃や遊女たちはキミが帰還することもこの国で女帝になることも…反対らしい、殺気すら漂ってる。
それから息子のイチミルやニミルを他とした男性連中は別に君が女帝でも良いと言い始めてる。

しかし、ここで疑問が沸く。
ミルルを女帝にしたとこで僕になんのメリットがあるかね?〉

《別にミルルはそんな気全くないわよ。
ターシャ国へゼロさんと一緒に帰りたいだけよ?
他にあると思う?》

〈キミはおぼこ娘なのを認めようか?
しかし、ボクにもゼロの考えは読めない。
ボクは基本、部下は信用してないからだ。

それから、ミルル…。
君は大きな過ちを犯したらしい。
ゼロと関係を持った。
これでは政略結婚として高値で嫁がせるのも無理だ。
君は捨てゴマだ。

今はかわいいが、ボクは飽きるだろう。
だからこそ、君には交換条件を出して、平和国へ女優になってもらおう〉

《どういう意味?》

ミルルは目をパチクリとした。

〈君はこの国にいたとこで穀潰しだ。
邪魔で対応に困ると言う意味だ。
本当なら貞操すら守れなかった利用価値のない君は、ゼロと共に処刑へ送っても良いが…。
ボクにはさらに案がある…。
この国式の交渉だ〉

《意味がわからないんだけど…。
何が言いたいわけ?
それから…。
どうして、ミルルとゼロさんの関係をアンタが知ってるのよ!
本気でミルルってそんなにわかりやすい女だって言いたいの?》

〈愚かなレベルでキミは自覚ないらしいが…本気で分かりやすい女だ。
ボクにはすぐわかった。
キミはどうやら、結婚詐欺師にでもすぐに引っかかりそうなタイプらしい。
賢いように見えて肝心なところがどこか抜けてる。

ゼロからは読み取れなかったが。
彼のやり口ならボクも知ってる。
今までもそうして情報をかっさらうことなら頼んでいたのだから。
しかし、今回は状況が違う》

《ミルル…。
分かりやすいって。
そんなわけないわよ》

〈君は無自覚だが、ボケーとした顔でココに入るなり、ボクを一度見て…それから天井を見てた。
ボクへ会話を発するまでに数秒以上の空白があった。
これはゼロに落とされた女に共通してる。
翌日、全員…ボーとした特有な表情だった。

いつもと調子が違うのも証拠だ。
ボクでなくてもこれはわかるだろう。
ノアもそうだろう。
今まで引っかかった女を何名も見て来たのだから〉

《チッ》

〈  この国でイチミルやニミルと後継者争いに巻き込まれ、君がイチ妃やニ妃に殺される…。
これも僕にとってメリットもない。

後継者ということはボクが死んでからの話だ。
ボクにとってはどうでもいいことで、今が全てだからだ。

君はターシャ国へ返還しようか?
それからゼロの処刑は君の成果次第という話にしようか?〉

《はあ?
何ですって…。
ゼロさんを何故、処刑する気?》

〈もともとそういうふうになってたのを君のわがままで牢屋から出したわけだ。
しかし、彼には利用価値があることが判明した。
さすが、元すけこましと言おうか?
君が平和国へ大女優になれた明かしには我が国へゼロの亡命金として20億タ$用意してもらおうか?

身代金誘拐で、以前…。
ターシャ国人が自らの足でここへ来た際には16億タ$を要求したが…。

あの時は良い稼ぎになった。

ひとつ付け加えれば、今回…。
君が返還するについては16億タ$、ターシャ国からこちらへ渡すことを承諾したらしい。

それで決定した。

ただし、君がこの国のことを少しでもターシャ人に話そうものなら…。

君とゼロは処刑だ。

君には刺客を送り、ゼロは公開処刑をしようか?

君は利用価値があることがこの度、判明した。

以上だ〉

《20億タ$…。
今の話、本気なの》

〈前払いとして分割でも良い、諸外国から借金でもして頑張るんだな。
ハハハハ〉

《期限はいつなのよ。
その間のゼロさんの安否は…。
会わしてくれるの?》

〈そうだなぁ…
手紙は許そうか?
平和国のこの住所へ送りたまえ。
我が国のスパイも集まるアジトだ。
3年にしようか?
君が成人になるまでに何としてでも借りるなりして金を作ってきたまえ。
フフフ。
まあ、約束はしよう。
交換条件だ〉

《本当にやることが汚いわね。
ミルルは…。
ここでゼロさんといれないわけ?》

〈今日は最後の晩餐だ、まあ…。
挨拶するんだな。
ボクは随分と君へは甘いつもりだ。
ここまでこの国に内通してる君を殺さなかったんだから。
ゼロは我が国にとって役に立つと判明した。
君は稼いでくるんだな。
ハハハハ〉

《冗談よね?
毎度、毎度…》

〈君を殺しもせず、これほどの情報を知った人間を無償で返還するのがどれほど優遇されているか分かってないらしい。
しかし、考えてもごらん?
ボクがゼロまで亡命させて本気で何のメリットがある?
20億タ$は微々たるものだ。
君は愚からしい…。
これでも処遇は相当、甘いと感じてる。

政府に請求する場合はもっと額が高じるが…請求先が個人だから安めに設定してるんだよ?
これでもね?」

《どこが無償よ。
ターシャ国からミルル返還費用として16億タ$、かっさらって来た癖に!》

〈ふう。
君はファンに恵まれてるらしい、16億タ$…この国から君が返還されるための金額は…。
君のためにターシャ国で寄付が集まった結果だ。
感謝したまえ、邪神にだ。

あと、君が20億タ$稼げて、邪神国に渡せた暁には…ゼロの亡命を許可しようか?
悪い条件ではないと思うが?〉

《あいにく、ミルルは無信教よ。
邪神とか興味ないから》

〈聞き分けのならない君へ噛み砕いて説明をすれば…。
大臣たちにはまだ黙秘してるが…これは大事にも近い。
ゼロは一般庶民とは言い難い、軍に入り…この国の機密情報まで知ってる。
どうあっても国外逃亡を許せる人間ではないだろう。
確かに我が国から平和国ヴァカンス島への亡命成功者も数名存在してるらしい。
それは庶民に限ってだ。

しかし…発見し次第、処刑か…我が国へそれなりの税金なら支払わせてる。
税金を払えない場合は…問答無用でコンクリート詰めして海へ沈める。
軍人で亡命者は未だかつていない…。

あの平和国ヴァカンス島は軍人たちもよく行く。
我が国には戦死者リストに関しては全員の死体確認をしたわけでもない、いるのかもしれないが…。
発見し次第、それなりの処置はするだろう、ほぼ処刑だろう〉

《ッ…。
亡命者へ…税金を払わしてるの?
いったい…いくらなの?
その額って・…》

〈微々たるものだ。
庶民に限っては16億タ$で解放を許してる。
邪神国160億邪$だ…パチンコやカジノなどの商売で相当、儲けてないと…。
まあ、発見し次第…ほぼ処刑だ。
軍人で亡命成功者は…未だかつていない…。
まあ、20億タ$…それが妥当だろう。

彼はそれぐらいの情報を知り過ぎてる、これでも足りないぐらいだ…。
それでも、大臣たちが反対する可能性すらある…。
キミは若くて政治に弱いらしい、ボクは秩序は守る気だ。
ハハハハ。
それから二度とこの国へ来ることは許さない。
来れば、ゼロの処刑写真を君に送ろう。
3年頑張りたまえ〉

《20億タ$って…。
ターシャ国の映画女優主役級でも年収1億平$ぐらいよ…。
平和国の今、一番稼いでる女優で年収20億タ$って聞くわ…。
正気じゃないわよ…。
要するに…20億タ$…、換算すると…200億邪$だっていうの?
その莫大な資産をどうする気なの…!!!?》

〈平和国やターシャ国からいくらでも借りれば良い、我が国は資源に乏しい。
今、欲しいのはマネーだ。
君に女帝になってもらいたいわけでもないし。
ボクは自分の胸へ当てて質問をしてみたが…君を殺す気が今のところ、沸かないらしい。
これが結果だ〉

《ふざけないでよ!》

〈話は以上だ、キミは部屋へ帰るが良い。
喜べ!
キミが国へ帰ることは許されたのだから。
君は運が良いらしい。
ハッハハ。
まあ、これからは女優として頑張りたまえ。
ボクは高みの見物と行こうかね?
期待ならしてやろう?
ボクはこれでもね?
歌劇は好きでね?
フフフフフ〉

《イヤよ!
冗談じゃないわよ!》

金の机を持ち上げて、将軍の頭へ投げつけようとして…逆に足を払いのけられて…転んで、床に足をぶつけた。

〈キミは一つ大きな勘違いをしてる。
キミはここへ走って来た。
それぐらいの度胸はあるらしい。
しかし…悩むのかね?
自分が女優になることに対してだ。
フフフフフフ。
これが悲劇になるか喜劇になるか…。
アハハハッハ〉

《何がおかしいの?》

〈キミはここにいても役に立たない。
キミが暮らす世界は…外の世界だ。
フフフフフフ。
アハハハッハハ。
恐らくもう二度と会うことはないだろう〉

将軍はスタスタと会議場の扉へ向かい始めた。

〈キミはこれが映画ならどう演じるのかね?
フフフフ。
ボクにとっての映画とは…人生そのものだね?
キミはそういう宿命の女なんだよ。
それが相応しい。
ハハハハ。
我が娘よ、ボクは忙しい。
サヨナラだ〉

《ミルルはアンタを父とは絶対に認めない…。
相当、悪趣味なことして…碌な人間じゃないわ?
幻滅も良いところよ》

〈キミは自信に満ちてる。
実は…成功する気がしてたまらないのだろう?
ボクの昔にもよく似てる。
フフフフフ。
キミは恐らく、仲間を殺してでも映画で役を取る人間だろう。
ボクはキミがこの国へ20億タ$もの巨額な額を稼いでくると…確信に近い。
だから、泳がせるのだよ。
そのためには餌が必要だろう?
ボクの狙いは金だ。
どちらかと言えば、そちらにある。
稼いで来い、我が娘よ。
フフフフフ>

《良いわよ?
やってやるわよ。
きっと成功するとは思うわよ?
ミルルが普通じゃないことなら自覚してるから。
でも、約束は守りなさいよね?
でないと…どんな手段を持ってでも、この国の情報を世界中にばらまいてやるから。
死を持って制しにいくから》

〈キミはボクを殺しに来る気かね?
フフフフフ。
威勢が良い?
そのつもりなのかね?
ハハハッハハ〉

《殺すよりもっと酷い方法でミルルは絶対にゼロさんを殺せば…復讐してあげるわ?
いっそ、狂気に焦がれて…殺してくださいと懺悔し始めるくらいにね?
別にミルルはそれぐらいしても良いから。
一番、あんたが苦しむ方法を模索して…。
じわじわ、追い詰めるから。
別に交換条件、飲んでも良いわよ。
金なら盗んででも用意して来るから》

〈フフフフフフ。
キミは一番、ボクに似てる。
ハ八ハハハハハ。
しかし、一つ盲点がある。
キミは男に弱いらしい。
フッ。
まあ、この国のために200億邪$稼いでくる事に関して期待しようか?
それだけあれば…ジャシドンの製作費に優に回せるだろう?〉

将軍は去っていく。
ミルルは唾を飲んだ。

☆☆☆

ミルルは去っていく将軍を見詰めた。
悪いけど…ミルルは自覚してる。
瞬殺暗記技に…この美貌。
それから、このずば抜けた運動神経とそれ以外にも、この貞操の固さ。
きっと、スキャンダルで落ちるアイドルとは格が違う。
と信じてる。

だって、貶すところなんて…。
あるとすれば、徹夜が出来ない体質ぐらいでしょ?
実は…才能に恵まれすぎてることなら自覚がある。
絶対、知能指数とか図ったことないけど…。
あり得ない級に決まってるでしょ?

悪いけど、きっとこの試練を乗り越えられる自信なら楽勝にある。
問題はゼロさん。
ゼロさんさえミルルに落ちれば、この話は終了なの?

それにしても…ミルルはお母さんへも稼いで貢ぐ運命だったけど…。
将軍へも貢いで金を渡さなきゃダメなわけ?
子供が優秀だと親が頼って来るから困るわ?

今日はゼロさんとお別れになるみたいだけど。

ゼロさんの亡命費用をターシャ国か平和国で盗んででもかっさらっていかなきゃダメみたい…。
でも、要するに…。
あれはゼロさんとミルルの仲を許したも同然だわ。

ゼロさんには恩を売って、ミルルのために一生、恩返しをさせるって言うのも手だと思うの。
この方法でいくわよ。

題して、鶴の恩返し作戦だわ。
ゼロさんを助けたミルルへ今度はゼロさんが恩返しとして。
20億タ$分、ガッポリミルルを優遇してもらう訳。
とことんまで言いなりになってもらうわよ!!

だいたい、ミルル泣き落とし作戦で…現在ですらファンから16億タ$稼げたんだもの。
根性で集めるわよ。
3年で集まらなければ…あまり乗り気じゃないけど、今度は将軍へ泣き落とし作戦に出るわよ!!
幾らなんでも高すぎでしょう?
半額にしてもらえないのかしら?
半額でも多いわよ!!

☆☆☆

ミルルは呆然としながら、棺桶部屋への道を歩んでる。
さすがに完全無欠すぎて何の欠点すら存在しないミルルですら…。
今、眩暈がしてる…。
寝た筈なのに…ストレスのせいか眠気が来てる。
脳の情報処理が追いつかないみたいで…。

一応、ノアには報告するつもり。

棺桶部屋に帰るとノアはベッドで嬉しそうに横になってる。
この部屋もどの部屋も冷房なら効いてる。

ミルルはベッドへ足蹴りすると、ノアが瞬きをした。

〔おかえりなさいませ。
ミルル様。
将軍様とのお話は終了しましたか?
今回はどんな話でしたか?
黒邪神パン、またいただけましたか…??〕

≪ミルルね、ノアとはサヨナラみたいだわ≫

〔は?〕

《ミルルのターシャ国からミルルファンの募金を通して、16億タ$もの大金が返還金として邪神国へ受け渡すことを…。
ターシャ国が承諾したらしいの。
だから、ミルルは祖国へ帰れるらしいの…》

〔しかし、ミルル様。
この国にはゼロがいますわ?
ミルル様はゼロと共でないと祖国へ帰る気はないんでしょう?
ミルル様はこの国で女帝になってみてはいかがでしょうか?〕

《それがね?
3年後までに女優として稼ぎまくって、20億タ$をこの国へ寄付で来たら…。
ゼロさんの亡命は許してくれるって、今…説明を受けたの。
そう言う訳よ?》

〔待ってください。
20億タ$を個人でですか!!…。
それは正気じゃないですよ〕

《ミルルはミルルファンのためにも早く帰還して、ブログを更新したり…。
いろいろしなきゃダメみたい…。
3年以内に…20億タ$はさすがにきついわ。
もしもの時は、ノア…。
ゼロさんのことはアンタに任せるわよ?
ミルル、根性でこの国に潜り込んでくる予定だから。
匿ってよ?
ゼロさんのことは》

〔私がゼロを助けて…何のメリットがおありですか?
ないに決まってます。
引き受ける訳にはいきません〕

≪そうね?
その時には…ミルルはこの国で女帝になるために本気を出してあげても良いわよ?
ノアとゼロさんのためにね?
だから、絶対…協力してくれるって約束してよ?≫

〔本当ですか?
ミルル様!!?
それは…〕

《まあ、3年後ね?
これは…保険だけどね??》

〔ミルル様、今から女帝になられても・・。
今から本気を出されても…〕

《ミルルの夢はゼロさんと一緒にターシャ国へ戻ることなの…。
今はそっち優先だわ。
何かあったら、駆けつけるから。
これでノアも良いでしょう?》

〔そうですか?
まあ、ゼロの件に関しては匿う気はないですが…。
彼は何考えてるか謎ですが…逃げ足だけは早いので。
きっと勝手に脱獄でもするでしょう?
どうせ、あの牢屋での自殺未遂事件も…演技でしょう?
フ…〕

《ゼロさんって…。
ミルルに恩返ししてくれると思う?
亡命できたら?》

〔さあ、どうでしょうね?
ミルル様、彼はミルル様について将軍様から命令されてスパイ活動をしてる可能性が高いです。
今までもそうでしたので。
彼の常とう手段ですよ?
これ?
で、相手の女性にいろいろお金を巻き上げて。
毎回ですよ?
ミルル様も目を覚ましになられたら…。
彼、すけこましの元プロですし?
私も人のことは言えませんが…。
フワァ、この部屋は涼しいですわ?〕

ノアは冷房の効いた部屋が本気で好きみたい。
それにしても…ゼロさんって…ミルルのこと、どう思ってるんだろう?
ミルルは何故か完璧無欠なのに男にだけは毎回逃げられる運命にあるみたいで…。
今日もそうだった。
ゼロさんは何故か怒ってた。
実はミルル、エロとかあまり興味ない。
でも、ゼロさんには惚れ惚れする。
この恩返しが実って、いつかゼロさんは真人間に改心して…ミルルへ忠誠を使わせるようになったらなあって祈ってる。

それにしても、男の人って不思議。
どうして好きじゃないのに抱けるんだろう?
ミルルは好きでもあまりエロとか不潔に感じてしまうし、子供をつくる時ぐらいで別に良いと思うんだけど…。
AVじゃあるまいし、フェラとか必要ないと思うんだけど…。
ココラ辺は不思議でたまらない。

本気で謎でたまらない。

《ノア、ゼロさんはミルルのこと、どう思ってるのかしら?
もう落としたも同然よね?
ミルルは秀才だし、この美貌、貶すところなんてないんだから。
さあ、ターシャ国へ帰った暁には結婚してくれるかしらね?》

〔ミルル様、一つ忠告しておきましょうか?
彼はスケこましの元プロですよ?
ハッキリ申し上げまして…彼の思考回路は私や将軍様ですら読めませんからね?
彼、基本…冷めてますし?
まあ、突然・・・逃げるというのが彼の常とう手段なので…。
あまり信用になさらない方が。
恋は盲目とはターシャ国のコトワザでも言いますが、早く目をお覚ましになられた方が…〕

《ノアは…ゼロさんの目的がミルルの体だけだとでも言いたいのかしら?
確かにね?
ミルルは美貌はずば抜けてる自信ならあるけどね?
だって、CM女優並みなんだから》

〔彼の魂胆はそこではないでしょうね?
大方、ミルル様をダシに出世狙いに決まってます。
ミルル様、彼へ国籍は渡さない方が良いですわよ?
あとでミルル様が泣かれるのが目に浮かぶようですわ。
ゼロよりも私を信用なさった方が…。
本気でどこがいいんでしょうかね?
やっぱりミルル様は容姿に弱いんですかね?
普通に、今までもゼロは将軍様からの指令で女を落として…。
麻薬を売った挙句に、冷静な判断を欠けさした状況下で売春まで女性に斡旋差して…。
そのあとのことは知りません。
まあ…我が国のために貴重な収入源として、ありとあらゆる手で訳には立ってはくれてる訳ですが…。
猛烈に冷めてますよ?
全てのことに関してです。
ミルル様、考え直した方が…。
邪神国人ですら、彼の極悪非道さには定評があるわけですし…。
手段は選びませんよ?
彼?
まあ、私も似てますがね?〕

《ノアは…亡命したいの?
ゼロさんに嫉妬してる訳?
ノアの亡命金までミルル、払う気になんてならないわよ!
残念だけど…》

〔いいえ、私はミルル様をどんな手段を高じてでも女帝に仕立て上げて、これから先もこの涼しいお部屋でゴロゴロと横になるのが私の夢なんです。
ミルル様、私は散々協力ならしたでしょう?
さあ、ゼロの悪い情報ならいくらでも話しましょうか?
明日の明朝…ミルル様はここを経たれる可能性すらあるわけですし?
いくらでも私は本当は知ってますよ…。
いくらでも情報を渡しましょう…〕

《聞いてあげても良いけどね?
ミルルの決意は固いわよ。
ミルルは悪いけど、イケメンに弱いの。
これは性癖なのよ。
どうにもならないことだわ…》

〔ミルル様の好みは分かりかねますが…。
そのうち、ゼロの化けの皮が剥がれる筈です。
そのときが楽しみですわ。
フッ…。
一つ、忠告しておきましょうか?
男は体と心は別な生き物なんですよ?
フフフフフ…。
私はこれでもたくさんミルル様へゼロの情報なら渡したつもりですわ?
フ…〕

今日もこの調子でノアがミルルとゼロさんの恋仲を大反対してる。
ミルルは残念だけど聞く耳なんて持つわけない。

ミルルはもしかしたら優等生タイプより悪い男…好きなのかもしれない。
足蹴りしてでもミルルが更生さえさせれば良いわけだし、今回で大きな恩を売って…。
それから鶴の恩返し大作戦へ突入すれば良いだけ。

考えてみれば…一度、脱獄を根性で許可したんだし…ミルルが一応、ゼロさんの処刑を止めた訳だし。
恩なら売ったはず。
悪いけど、勝算あり過ぎでしょ?
恩をワザと売るって言うのは…ヤクザの常套手段らしいけど、ミルルは女優。
根性でも恩を売りまくって…最期に泣き落とし。
これで良いに決まってる。
悪いけど、あまり相手の人格なんて関係ないわ?

容姿さえミルルの審査眼を通過すれば…あとはミルルが好きなように調理して、どこまでも落とすわよ?
あと10回、恩を売れば…誰でも落ちるでしょう?
別にミルルは悪役って訳じゃないけど、本能でそれぐらい知ってるわよ?
フフフフフフ。


それにしても…。
ゼロさんって…ミルルのこと、どう思ってるんだろう?
あと、何回追い掛け回したら落ちるかしら?
ミルル、体力には自信ある方だけど…さすがに疲れて来てるわ?
やっぱり悪いけど落とし甲斐のある方が攻略は燃えるわよ。
キセキさんのときだって、散々…苛め倒して、根性で男らしく躾けた実績がミルルにはあるわ?
今度は犯罪歴があるみたいだけど…大丈夫でしょう?
ミルルが勝つに決まってるんだから。
ただ、逃げられないかだけが心配なんだけどね?

死んだふり泣き落とし作戦って…ゼロさんに聞くのかしら?
この国って同情は効かないって聞くわ!?
全く、ターシャ人と感性が違うみたいだし、犯罪なんでも万歳…。
将軍様への反逆罪以外なら何でも許される風潮みたいだし。
これ、無理そうだわ?

どうすれば…良いのかしら?








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