≪ミルル視点≫
それから、先週と同じように…ベッドから立ち上がり、机の前の床に立ってるゼロさんへ抱擁した。
ゼロさんを引っ張って、強引にベッドへ横にならせ…抱擁をする。
ベッドの側にスウィッチがある。
それを押せば、部屋の電灯が消える。
≪じゃ、おやすみなさい…≫
【オイ、待テ。
コラ、誕生日プレゼントマダだろが?
コラ】
ミルルがベッドで横になって、抱擁した時…ゼロさんが吠えだした。
ミルルも馬鹿じゃない…。
実は知っててしてる。
≪ゼロさん…。
まさか、今日なの?
止しときましょうよ。
ほら≫
【オレは一生、本気でサヨナラだ。
良いのか?
アア…】
≪またなの?
1週間もミルルからフードまで被って、逃げたまま…。
もう、良いでしょう?
別にこのまま一緒でも・・。
ダメなの?≫
【帰ル…】
≪待って、ゼロさん…。
帰らないで・…。
ミルルが悪かったから。
謝るから≫
【ボケが…】
≪分かったわ。
ミルルは腹をくくるわ。
ミルルが慣れれば良いんでしょう?
でも、不思議だわ…。
どうしてエロなんてしなくちゃダメなわけ?
ミルルはこれで十分、癒されてるのに…≫
【ウスノロが…ボケ】
≪ゼロさん…。
ミルルのこと、どう思ってるの?
嫌よ、セフレなんて。
ミルル、やっぱり怖いし・・。
ねえ?
考え直さない?
ねえ?≫
【やったら、オメエと交際したって認めても良い】
≪え?
本当に…。
良いの?
でも…やっぱり…怖いわ。
ゼロさん、浮気しそうでしょ?
一生しないって約束したらよ?
だって、ミルルから2度も突然、逃げたでしょう?
ゼロさんには前科があるわ。
ミルルを裏切りそうな気がしてならないの。
信用なんて出来ないわよ。
だから…やっぱり今日は添い寝だけで…≫
【ウゼエ】
ゼロさんはミルルの腕の中にいる。
【ホラ、目…閉じろ、コラ】
相変わらずだけど…口調は悪い。
仕方なく、ミルルはまあ、キスぐらいならと腹をくくった。
正直、滅茶苦茶怖かった。
だって、ミルルは地球に残された唯一の汚れなき乙女で売って来たんだから…。
キスはすぐ終了すると思ったのに…。
舌が勝手に入って来た。
それから勝手に舌を吸われた。
そこで、ちょっとタンマしてもらおうと思って…ミルルはゼロさんの広い肩幅を手で押した。
恐怖が込み上げてきた。
まだ、早い気がする。
ミルルとしては結婚まで純潔でいたかったから。
【ナンダ?コラ】
≪心の準備が…ちょっと…まだなの?≫
【アア?】
≪ミルルはちょっと…まだ悩んでるの≫
【腹括リヤガレよ】
≪腹はくくる気でいたわ、でもね…。
ミルルは…TVでは、地球に残された唯一の汚れなき乙女で売って来たから…。
本当は清純系女優を目指してきたから≫
【チッ、舐めんなよ、コラ。
フザケンナ、ボケが…】
急にゼロさんの手が早くなった。
とにかく怖い。
邪神国まで走って来たけど、今…ちょっと後悔してる。
全く後悔してないって言えば大嘘。
ミルルはゼロさんに勝手に胸を弄られてる。
それから勝手に何か、ミルルの胸を吸われてる。
恐るべきことに…ミルルの下半身にもゼロさんが手を突っ込んでる。
いろいろ説明するのもビックリな域。
自分でも触ったことのないところへゼロさんが・…突っ込んでる。
【キツイか?
ドウダ?】
指が入ってるみたいだけど…。
ミルルはタンポンで慣れてはいる。
タンポンしてて良かった。
あれって激痛って効く。
痛いのは嫌かもしれない。
≪これをしたら…ミルルはゼロさんと交際が出来るって本当なの?≫
【ソウダ…】
≪なしで交際はダメ?≫
【ウゼエ】
勝手に指の本数が増えたみたい。
怖いし、もうそろそろ終わっても良いと思う。
エロって何だか怖い。
ミルルはパニックしてる。
ゼロさんは勝手にミルルの下半身へ愛撫してるみたい。
ミルルは…普段、自分で触ったことすらない。
怖いけど、ミルルはモテるから仕方ないのかもしれない。
お母さんは結局、最後までまだしてないと思うけど…。
ミルルはモテるから…エロが好きじゃないのに、こんなことに…。
そのあと、何か勝手に進んでる。
ゴムはしてくれたみたいだけど…入る時、ちょっとまだ痛かった。
ゼロさんも抑えてはくれたし、ミルルが少し痛がったから・・。
ゼロさんはゴムに自分の唾液を付けてはくれた。
それで入るようになったけど…。
ちょっと、入り過ぎると痛い。
激痛とは言わない。
変な感じ。
ゼロさんも勝手に腰を動かさないでくれてる。
聞いてはくれてる。
【大丈夫か?
オメエ、痛くねえか?】
≪まあ、ちょっとだけ≫
勝手に動かさないではくれてる。
ゼロさんがミルルへキスをした。
少しだけ癒される。
舌がゆっくりと入る、ミルルはちょっと困ったから…舌を停止させて、少しだけ応じた。
これが結構長い時間続いた。
ゼロさんは…早漏ではないみたいで…。
ミルルのお勤め、大変かもしれない。
ミルルは全部、終わった時には股がちょっとだけヒリヒリした。
意外にゼロさんは乱暴に動かなかったお蔭で激痛ではなかった。
まさか、股が切れてたら…どうしようと思ったけど…。
ゼロさんが配慮してくれたお蔭で、血は出なかった。
終わった時にはホッとした。
これでゼロさんと交際できるという喜び。
≪ゼロさん…。
怖かったわ…。
終わったのね、良かったわ。
ミルルと交際してくれるって本当なの?≫
【アア。
アリガトウ】
全て終わると・・ミルルはグッタリしたけど、ゼロさんも気怠い表情。
かなり長い時間こうだった…。
深夜廻ってる
20分で出してくれるって思ってたから…ちょっと焦った。
ゼロさんは出にくいみたいで…。
ミルルは初めてで…ちょっと、股が…。
≪ミルルの体…どうだったの?
出すの遅かったけど…。
魅力ないの?≫
【オレは…自慰は早イガ。
エロは毎回、こうだ。
とても満足だった、アリガトウ】
≪そう…≫
怖かったのに、意外に呆気なかった。
ただ、猛烈にヒリヒリする。
これが続くみたい。
ミルルの体、大丈夫か心配かも・・。
【実は…あっという間に終わると面白くねえから、コントロールしてる。
オレとしては長い方が楽シイ…。
すぐ逝くと面白くねえ】
≪そうなの…≫
ミルルは大変だった。
やっととにかくイチャイチャが出来る。
これだけは嬉しい。
ゼロさんが腕を広げてきた、腕枕してもらった。
ちょっと癒される。
ゼロさんがミルルの髪を触り、頭を撫でてくれた。
これは初めてかもしれない。
≪ねえ?
ミルルのこと、好き?≫
【ソウダ】
≪ゼロさん、調子よくない?
体だけ目当てなの?
ねえ?≫
【ウゼエ】
≪突然、逃げるなんてひどいわよ。
しかも…やってから交際するなんて最悪よ。
ミルル、怒ってるわよ。
ミルルと付き合ったら、絶対…更生してよね?≫
【悪カッタ】
ゼロさんは単語しか喋ってくれない。
≪ゼロさん…。
ミルルだけ…ターシャ国へ帰すなんて悲しいこと、言わないでよ…。
ゼロさんも一緒にターシャ国へ行きましょうよ…。
ミルルと一緒になれたら、国籍がもらえるわよ?≫
【ウゼエ】
≪酷いわ。
まさか…。
ゼロさんはミルルとサヨナラする気なの?
さっきの話と矛盾してるわよ。
じゃ、ミルルはここで生きても良いわよ?
ゼロさんがココにはいるし≫
【ボケか…】
≪ゼロさんは何を考えてるの?
全く、ミルルには分からない。
ミルルだけなの?
ゼロさんが好きなのは…≫
【チッ…少シ黙レ】
≪いつか一緒にターシャ国へ帰りましょうよ。
で、紹介するの・・・ミルルのボーイフレンドが出来たって。
きっと、ミルルのクラスメイトもビックリするわ。
特に・・大和ナデシコや、難波カンサイも驚くわ?
今頃、二人は…退院したかしら?
ゼロさん…ミルルのこと、好き?≫
【ハア…】
≪交際してくれるんでしょう?
ねえ!≫
【オレに愛は分からねえ】
≪は?≫
【オメエは愛などと言う虚像に夢見た…夢見る少女だ…。
オレにはオメエを理解できねえ】
≪何の話なの?
ゼロさん…。
また、ミルルを困らせる気なの?
ここはね?
嘘でも、大好きよ!
って言う場面なの・・。
ドラマではそうなんだから!
怒ってるわよ≫
【オレとオメエは生きてる世界が違い過ぎる。
本当なら交じり合うことのねえ人種ダロウ…】
≪何がいいたい訳?≫
【オメエがココから出るだけで精一杯だ。
オレは、オメエが女優になるのを応援シテル】
≪冗談でしょう?
何を言ってるの?
ミルルをヤリ捨てポイすると同じ言葉じゃない?
それって!!
ミルルはどんな気持ちで…ここまで走って来たのか!!
ゼロさんは酷過ぎるわ、自覚ないの??
自分の言葉の意味が…≫
【オレなりの解答だ。
先のことは見えねえ。
オメエだけでもオレは何とかするようには図る】
≪冗談じゃないわよ!
見損なったわよ!
根性なし!
何なの?
ミルルをブチ切らせる気なの!!
馬鹿!≫
【オメエは強い人間だ。
羨ましい。
オレは…この国の全てを知ってる…。
恐ろしさも含めて全てだ。
嘘はオメエに言えねえ。
真実を語っただけだ】
≪何を言ってるの?
ゼロさんは今、偽造貨幣製造工場の監視員…。
それぐらいでしょ?
あと、いろいろ過去には悪いことしたのも聞いたわ…。
ダルマを売り捌く商売ですって?
それ以外にも…聞いたわ…、捨て子を外国へ臓器移植販売ですって?
ミルルはある程度までは知ってるわ。
それ以外にも…。
ゼロさんに娘がいた話まで…。
今日、聞いたわ。
でも、それでも…諦めきれないのよ。
ミルルは若いから馬鹿なの…≫
【オメエはまだ国の全てを知らねえ。
だから、逃げれる可能性がある。
オレのことは忘れろ。
その方が身のためだ。
これ以上、情報を探るな…。
オメエが帰国できる可能性が・…格段に減る。
オレは助言シタ】
≪なんでそんなに諦め腰になれるわけ?
情けないわ!
馬鹿じゃないの?
ミルルをハッキリヤリ捨てポイするって宣言できるなんて…。
良い根性してるじゃない?
こう言う場合はね?
命を張って、ミルルと共にターシャ国へ亡命する!
って言うモノよ?
呆れたわ!
足蹴りかますわよ?≫
【オメエはオボコ娘ダ。
天然記念物ダ。
意味が分かるカ?
邪神国軍事寮でも噂にナッテル…。
オレはオメエに嘘を吐かなかっただけの話ダ】
≪信じられないわ…。
ここは嘘吐いてもミルルは別に良いのよ…?
酷いわ‥。
ミルルをどれだけ、ゼロさんは失望させるわけ?
じゃ、何?
時が来たら…サヨナラって意味なの?
じゃ、もうミルルは邪神国に残るわよ。
それで良いんでしょ?≫
【オメエは浅はかダ。
もうその話は止めだ】
≪え…?≫
【疲れる、さすがにその話は…】
≪ちょっと…。
ゼロさんは…何でそんな悲しいことを…≫
ミルルはボタボタと涙を流した。
【悪カッタ。
オメエは悪くねえ…。
オレはオメエとはそう言う話、なしで付き合いたい】
≪将来の話がないカップルなんて最悪だわ!
ミルルは失望してるわよ!
馬鹿!≫
【ターシャ国は不思議な国ダ。
ジャ、おやすみ…。
寝るぞ、ミルル】
≪もう、ミルルをあまり怒らせないで頂戴よ!
おやすみ、ゼロさん≫
ミルルはベッドで寝た。
お互い服を着てない。
普通、蜜事が始まるって思ってた。
ゼロさんってムード読めない。
最悪すぎる。
何考えてるのか、ミルルには謎。
絶対、ミルルが矯正させる。
蹴りまくってでも更生させる。
☆☆☆
どうして、ゼロさんは突然…あんな不吉なことを言いだしたの…?
ミルルとしては二人はうまく行ってると思ってた。
まさか、エロをしても…ゼロさんが20分以内に出さなかったことと関係してるの?
ミルルとゼロさんはまさか、体の相性が悪いとゼロさんに判断されたの?
ミルルはもうグルグル。
毎回、ミルルばかり困ってる。
どうすれば、良いの?
なんで、ゼロさんはこんなに諦め腰なの?
≪8月11日の回想≫
確かに…少し前、ノアも言ってた・・。
あれは…ゼロさんがミルルの寝室へ帰って来ないから、仕方なしにミルルとノアが初めて、添い寝をした夜の会話だった…。
≪ゼロさんがこの国にいるメリットって何よ?
どう考えても出て行った方が得でしょう?
この国に何がある訳よ?
ミルルのことをどう思ってるのかは謎だわ。
でも、ゼロさんはこの国でリストカットまでしたわけでしょう?
ゼロさんもここから亡命したいって思ってるに決まってんでしょう?≫
〔どうですかね?
そこは…。
彼、いろいろ諦めてますからね?
冷めてますよ?〕
≪え?≫
〔割り切ってると言うか…。
まあ、ミルル様が率先したところで無駄な気がしますよ?
自分のことだけで精一杯ですからね?
それは私もですが…〕
≪ノアは亡命したくないの?
同じでしょう?
ミルルと≫
〔一つ勘違いしてますわ。
私は祖国を愛してます。
これは真実ですわ。
割りとこの国もスリルがあって楽しいですし〕
≪嘘でしょう?
何が言い訳?
暑いわよ?≫
〔暑いのは昔からですが。
好き勝手に好きなことをしても許されるのが、楽園ですね。
規則もあるようで、将軍様にさえ従えば・・。
大抵のことについてはお咎めがないですし。
それだけですよね?
私は結構、楽しんでますよ。
ククククク・…〕
≪信じられないわ。
ゼロさんは・・。
どうなの?≫
〔ゼロですか…。
そうですね?
私と同じじゃないですか?
ミルル様がここにいることについて私は何の不自由もございませんわ。
逆に帰られると困る状況です。
私としては是非、ミルル様は賢くなられて…女帝への道を歩まれることを望みますわ。
そうですね?
ミルル様がこの国の絶対権力者になった暁には。
勝手に好きなように法律でも変えて…。
ゼロを落としたらどうですか?
この線でも別に私は良いですよ?〕
数日前の記憶が蘇ってくる。
ミルルの隣には今…ゼロさんが横になって寝てる。
でも…まさか、こういうことをノアは言ってたの?
ノアのアドヴァイスを参考にする訳じゃないけど…、衝撃的。
ゼロさんは確かに…冷めてる。
これでは…ミルルが好きなのか、全然伝わらないし…分からない。
ま、ま、まさか…。
ただのヤリ捨てポイのヤリチン男なの?
そ、んな馬鹿な…。
ミルルは今、頭が真っ白…。
ううん…。
でも、ミルルは認めない…絶対に諦めない。
ここから二人で飛び出して見せる。
ミルルになら出来る、根拠はないけど自信がある。
だって、本当に好きなら…顔を殴られてでも何されてでも周囲に反対されようがミルルは飛び出したくなる。
ミルルには自分の衝動なんて止められる訳ない。
ミルルは完全無欠な人間なんだから、出来る。
弱点は睡眠時間が7〜8時間ぐらいは毎日、規則正しい時間に必要なことだけ。
夜の9時から朝5時にかけては一番、眠い時間帯。
今は信じられないことに、もう深夜0時は上回ってる…。
このままではミルルは死んでしまう、寝不足で・・。
ゼロさん、おやすみなさい…。
ミルル、寝るから…。
翌朝…8月21日。4時半。
ゼロさんが既に起きてる。
確か、昨日は深夜ゼロ時近くまで…裸で事をしてた筈なのに。
もう黒装束の服を着てる。
ーーーーーピピピピピピピピピ。
ミルルが渡された王宮電話のアラームが鳴る。
ミルルは寝ぼけ顔で起きて、ベッドにあった下着と黒装束衣装を着こんだ。
ミルルは、ここへ来て初日にスマホを没収された…。
現在のスマホはDPS機能まで付いてるから、大破されてしまった。
代わりに現在は、邪神国で流通してる王宮電話を渡されてる。
一応、アラーム機能なら使えるけど…王宮電話は簡易過ぎる。
最新のスマホをミルルはつかっていて…ブログ更新もしてたのに…。
今、それが出来ないのが悲しいところ。
ネットが繋がる携帯電話じゃないし、電話もつながらない・・・メールすら無理。
軍で使ってるものらしい…。
この軍事施設内部を繋ぐだけの電話。
電波がこの王宮だけのモノ。
オモチャの電話にも似てる。
電話代がその代り、かからないみたい。
要するにミルルは連絡手段を制限されてる状況。
≪ゼロさんって…凄いわね?
アラームなしで起きれるの?≫
【軍人なら当タリメエの事ダ】
≪そう…≫
【オメエも服を着タノカ?】
≪うん…。
えっと…。
ミルルも今日は交際したし、寝てないで…。
お見送りをするから≫
【オメエはここで寝てろ…。
夜帰る。
ジャナ】
≪待って…。
行くわよ?
ゼロさん…。
大丈夫なの?
眠くないの?≫
【バスで仮眠シテル…。
心配ニハ及ばネエ】
≪そう…≫
ミルルはまだ、ちょっと寂しい気分。
ゼロさんに抱擁した。
ゼロさんの体から香水の匂いがする。
これも慣れてる…。
軍の洗濯サービスに出すと何故か…返却される時に、香水をふられる。
本当に洗濯されてるのか…ちょっと謎。
≪ゼロさん…。
いつ、お風呂に入ってるの?≫
【工場にシャワーがアル】
≪そうなの…。
素朴な疑問が沸いたの…。
で、いつ朝食なの?
いつ夕飯なの?
いつ昼食なの?≫
【全部、工場デアル。
朝食だけバスで配布サレテル】
≪そう…≫
【時間ダ】
ミルルは寂しい気分になった。
≪ねえ…ミルルのこと、ゼロさんは好きなの?≫
【アア…】
ゼロさんはミルルにキスしてくれた、軽いキスだった。
【ジャナ】
≪ミルルも外まで付いていく≫
【オメエは顔にフードシヤガレ…。
ノアも言ってねえのか?
アア?】
≪分かったわよ≫
ミルルは暑いけど仕方なく、顔にフードをした。
ノアの説明によれば…この国でフードをしないと…。
やってもOKですよ?
って意味らしいから…。
ミルルは勘違いを男性連中からされるわけにはいかない…。
☆☆☆
6階の長い廊下を渡り、王族専用エレベーターに乗る。
冷房が効いてる、そこにはシャンデリア…それから全身鏡…5つのイスがある。
全身鏡にはフードを被って顔が見えない黒装束のミルルと…。
顔はフードで隠さず、長身な体躯180cmぐらいあるゼロさんがいる、ゼロさんの瞳は緑色。
これが不思議。
≪ゼロさんはどうして…瞳だけ緑なの?≫
【ウゼエ、帰ってからで良イ】
≪カラコンなの?≫
【帰ったらナ】
ミルルはゼロさんに抱き付いたまま。
この瞬間が一番、癒される。
割りと…やっぱり、ゼロさんって…慣れてるっていう印象。
ミルルだけがさっきから挙動不審なのに、ゼロさんは全く動じてない。
今から仕事へ向かう軍人の表情。
ゼロさんの顔が固い。
ミルルは股が何か挟まったみたいに痛いかも…変なところの筋肉がやられた感じ。
エロはやっぱり慣れないかも。
でも、ゼロさんは好きかもしれない。
ゼロさんの手を握ってみた。
やっぱり触るのは好きかもしれない…。
≪ゼロさんって…慣れてるでしょう?≫
【ウゼエ】
≪まさか…ミルルのことを弄んでる訳…?≫
【ハア…ウゼ】
一応、ゼロさんは返事だけしてくれてる。
来るもの拒まずなのは本当みたい。
≪ミルルのこと、好き?≫
【ウゼ…】
全くこんな調子で交わされてる。
≪一応、交際開始よね?≫
【ダリ…】
エレベーターは1階に到着した。
あまり、ミルルが求めてる答えをくれなかった…。
ココは不服。
王宮のロビーは涼しいし、ダイアモンドのシャンデリアに、アメジストの紫色な壁と…オレンジサファイヤの床。
全てが豪華で煌めいてる。
ミルルはフードをしたまま、黒装束衣装で…スタスタと歩くゼロさんに続く。
ロビー玄関に設置されたドアを開いた途端、35℃程度の強風が吹き荒れる。
ゼロさんの固めな黒髪が風に揺られる。
ミルルの黒装束も、ゼロさんの黒装束ポンチョも大揺れに動きまくる。
風は相変わらず、キツイ。
外はまだ日が昇ってなくて…真っ暗。
ゼロさんはいつも大抵、バスに一番乗り。
もう少しギリギリまで部屋でノビノビしていれば良いのに…。
バスの中で寝てるみたい。
≪ゼロさん…。
じゃ、待ってるから。
まだ、バスに乗らないで…。
もう少しミルルとここで会話しましょうよ…≫
【ハア…】
≪ねえ?
まだ今、4時40分でしょう?
あと、20分は…王宮1階ロビーにいてもいいんじゃない?
そこで座りましょうよ…。
プールの背後にベンチがあるわよ?≫
【良いダロウ】
≪ありがとう!≫
今日はゼロさんがいつもより優しい。
ミルルは少し歓喜。
外に出たけど、真っ暗な世界から…ミルルは1階ロビーの玄関ドアを開き、シャンデリアが煌めくフロントへ戻った。
そこには温水プールまであって、奥には白いベンチがあるから腰かけた。
この時間帯はまだ誰もいない。
王宮からゼロさんの職場へ走るバスは…王宮職員男性寮に暮らしてる人たちが多いから。
王宮ロビーを利用する人はいない…王宮ロビーは王族関係しか基本使えないから。
ミルルが暮らす6階、棺桶部屋も一応、王族の間らしい…。
☆☆☆
外の景色が窓に映ってる。
窓は少し砂で曇って、それから外気温の差で水滴が付いてるけど。
これで、バスが…水色で塗装された王宮職員男性寮前へ到着してもすぐに分かる。
≪バス、まだまだよね?≫
【あと…20分クライダ】
≪ゼロさんは早め行動ね?
バスの中で寝る気だったんでしょう?
まだ、眠いんでしょう?≫
【大丈夫ダ】
≪そう…≫
何となく会話を繋ぎたくなる。
ホッコリ、ミルルは癒されてる。
ミルルはエロよりこんなふうにイチャイチャするのが好きかも。
まだエロはちょっと慣れないかも。
≪ゼロさん、膝枕してくれないかしら?
ミルルも眠いの・…≫
【良イダロウ】
割りとゼロさんは来るもの拒まずな性格。
ミルルはゼロさんの膝へ頭を置いた。
これが癒される、意外にホッとする。
このまま、寝ても良いかもしれない。
≪ミルル、本気で寝そう…。
フワア…≫
【寝るノカ?
オメエには見送り無理カ?
部屋で寝るカ?】
≪部屋じゃなくて良いわ。
ココで寝させて貰うわ。
バスが来るまで…≫
【ソッカ…】
≪ゼロさん、バス乗り遅れないようにね。
ミルルもバスが来たら、起こすから…。
フワア…≫
【了解ダ】
ゼロさんは毎回、意外に反論しないからやりやすい。
でも、昨晩は怒った。
文句は言いたいけど、眠すぎる。
ミルルは常は夜9時から朝5時程度まで寝てる。
それなのに…昨晩だけまた12時まで…起きた。
寝不足気味。
ミルルがスヤスヤ眠る頃。
寝てるのは一瞬だと思った。
☆☆☆
一瞬、枕がなくなって…目がさすがに覚めた。
≪ゼロさん…。
どうしたの?
やっぱ、邪魔なの?
ミルル…≫
【バスだ・・。
ジャナ】
≪え?
もうそんな時間なの?≫
ミルルは慌てて、ベンチに座って…目をこすった。
フードしてるから、目をこすりにくい…。
【オメエは部屋で寝テロ、コラ。
オレは去ル】
≪待って、ミルルも…。
付いていくわよ≫
【ウゼエ…。
チ…。
行列出来てる…。
ウゼ】
ゼロさんの視線先を送れば…。
黄色い3階立てバスのドア前には…行列が出来てる。
≪いつもゼロさん…一番乗りだものね?
ミルルも一緒に並ぶから大丈夫よ≫
【ウゼ】
ミルルはゼロさんにピッタリくっ付いたまま…一緒に早朝、まだ暗い中…到着したバスまで向かう。
水色に塗装された王宮職員男性寮前の黄色い三階立てバスに続く行列にゼロさんとミルルも参加する。
いつもはゼロさんが最前列なのに、今日は…末尾列になってしまった。
全員、好奇目線でミルル達を見てるけど、ミルルは無視。
ゼロさんと寮が同質な5つ子兄弟も、とっくの昔にバスへ乗ったみたい。
バスの窓を眺めてみれば…バスの1階、前から2〜6番目の席にある窓。
そこに…5つ子兄弟が座っていることが、行列に並んでるミルルにも見えた。
サングラスにスキンヘッドと褐色の肌をした5つ子は…いつもほぼ、同時に喋って来るから…耳が痛くなる。
今、静かだし…猛烈に眠たい。
外はまだ暗い。
ゼロさんがバスに乗り込むのを寝ぼけ眼で確認して、ミルルは大きく手を振った。
≪じゃ、気を付けてね!!
待ってるからね!!!≫
【ジャナ…】
ゼロさんは低い声。
バスの発車を確認して、手をバイバイとして…ミルルはその場を退散した。
部屋に帰ったら、洗顔と歯磨きするつもり。
ミルルは規則正しい女だから。
ミルルC
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