アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ミルルB

≪ミルル視点≫

≪冗談じゃないわ。
だって、ノア。
あまり情報くれないじゃない?
ゼロさんに関する情報を…。
ミルルはね?
今夜、9時になったら…王宮職員男性寮の前に行って、バスを待つの。
で、ゼロさんから直接…聞く気よ?≫

〔またですか?
お良しになられたら…〕

≪ゼロさんは添い寝はダメみたいだけど…。
まあ、朝の5時と夜の9時に面会さえすれば…立派な友達よ!
その時間にだけでもミルルはイチャイチャするんだから!
ミルルなりに癒されたいのよ!
こんな手紙貰って、癒される訳がないでしょう?≫

〔そうですか…。
まあ、好き勝手に・・。
なるべく庭園を歩くときは顔にフードをするように…。
この国で顔をあらわにして、歩いてるのは…従軍慰安婦か、売春婦ぐらいなものですわ。
私もよくフードをして、歩いてますのに・・。
特別な時に、顔を見せなければならない時…本人確認以外の目的で顔を見せるなんてことはありませんわ…。
いろいろな方々が邪神会議中に…その件に関して噂してましたわ?

特に…将軍様の奥様方…イチ妃様と二妃様がうるさくて…。
ミルル様も用心するに越したことはありませんわ〕

≪ミルルは邪神会議なんて参加したことないわよ?
どうしてミルルだけ、この部屋からあまり出してくれないの?
いつあったの?
そんな会議が…≫

〔ミルル様なしで…。
進めました。
要するに…ミルル様をこれからどういうふうに邪神国でもてなすか…。
そういう話ですわ。
さすがに本人の前で会議をする訳にはいかないので…。
隠密に進めさせていただきましたわ?〕

≪で、どうなるの?≫

〔まだ…揉めてましてね…。
特に…先ほども言いましたが…。
将軍様の奥様方、イチ妃様と二妃様への説得が大変で…。
私としても…喉が枯れて来てます…。
二人とも…大反対みたいで…。
ミルル様を殺すか…それとも根性でもターシャ国へ返還すると喚き散らしてます。
私としてはミルル様を女帝にすることに大賛成なので…〕

≪ミルルは別に女帝になる気はないわよ…。
ターシャ国に帰るのが本望よ?
それなら…ターシャ国へ帰れるように、配慮をお願いするわ?
ノア?≫

〔ミルル様…。
帰れると思いですか?
今更ですわ…。
私とここまで親密になっておいて…私は寂しいですわ〕

≪本気でそう思ってるのかしら?
冷房問題だけじゃないの?≫

〔いいえ、私はミルル様を女帝にすることに関しては大賛成ですわ!!
そのために毎日、頑張ってます。
だから、ミルル様もやる気を出して…〕

≪うるさいわね!
それより、ゼロさんとミルルの仲を取り持ってくれないかしら?≫

〔それとこれとは別問題なので…〕

ミルルはドシンと一回、ベッドを足で蹴ってみた。
威嚇するって意味。
ノアは動じず、ベッドで大の字で寝てる。
このノリに慣れて来たみたい。

ミルルは大きなため息を吐いた。

机の上には置手紙がある…。

【旅ヘ出ル。
サヨナラ。
他に良い男、見付ケロ】


これはゼロさんが書いた字・・。

≪こんなところでジッとしてるのは…性に合わないわ。
ミルルは王室を探索して来るから。
ノア、留守番を頼んだわよ≫

〔え?
良いんですか?
私がこの部屋で涼んでも・・。
サボりますよ?〕


≪好き勝手にして頂戴。
机の上にあるわよ…。
ヤカンに山羊のミルクが入ってるから勝手に飲んどきなさい。
ミルルはサヨナラよ?≫

〔どうぞ…。
定時には帰ってきてくださいね?
将軍様に何かあった場合、私が叱られますので…。
フードは必ずして、ミルル様の御正体がばれない様に配慮してくださいませ。
それでは…。
ふわぁ・・。
ココは涼しくて楽園ですわ。
私、熱期ほど大嫌いな季節はないので…。
最近、胸が一時間ごとに張って…手洗いで搾乳しなければなりませんの…。
やはり、産後は大変ですの…。
助かりますわ?
ミルル様…〕

ノアの子供は…ターシャ国の赤ちゃんバンクにいるみたい。
でも…ノアの相手って・・誰なのかしら?
そこは気になる。

≪ねえ…。
ノア…。
赤ちゃんは…ターシャ国の赤ちゃんバンクにいるんでしょう?
相手は…誰なわけ?≫

〔ミルル様にはそれは…。
さすがに…。
去年までは軍人見習い専用の女医でしたから・…厳しかったんですが…。
今年はゼロを牢獄へ突出し、軍人へ昇進し…その後、ミルル様への側近が決定し…。
急に位が上昇し…大佐です。
ミルル様には感謝してますわ…〕

≪正直に答えて頂戴、気になるわ…。
聞いちゃダメな質問なの?≫

〔はあ…。
まあ、この国の人間なら普通のことですわ‥。
同じように…ゼロもそうじゃないですかね?
ミルル様、きっと…ゼロとは合いませんよ?
お良しになられるべきですわ〕

≪上手に交わすのね?
ゼロさんに…子供がいるの?
それはないでしょう?≫

〔いや…ココだけの話ですが…。
結構の噂になってますが…。
ゼロに子供がいたって言う噂が軍内で流れてますよ?〕

≪嘘でしょう?
だって、ゼロさん…結婚してないんでしょう?≫

〔戸籍では確かにそうですが…。
ゼロが一時、赤ん坊を背中に背負っていた姿を…私自身、去年は目撃してますわ?
私は当時、あまりゼロとも面識がなかったわけですが…。
ゼロの性格が兇悪だと言う話だけは軍内で流れてました。
彼、射的の腕は軍一だったので…〕

≪その赤ちゃんは…今・…。
って、いうか…。
ベビーシッターかなんかじゃないの?!≫


〔そうですね…。
ゼロ本人の口から…自分の子だと言ってる噂が…ちょうど一年前…。
あれは…去年の熱期頃、流れてました。
軍で一番、凶悪な性格をしたヤツに子供が出来たと…。
噂だけ流れてましたわ。
私はあまり知らないんですが…。
ゼロと共に仕事をしたのは…ターシャ祭りのテロ勃発事件以降なので…〕


≪噂は噂でしょう?≫

〔根も葉もないところに噂は立たないので…。
いろいろ彼には良くない噂がありますね…〕

≪でも…そんな赤ん坊、いないわよ…。
どこにも…≫

〔さあ…。
今年いないってことは…。
どうなのか?

彼が殺したのかもしれませんし…。
勝手に死んだのかもしれませんし…。
私もそう言えば…二人目の子は勝手に死んだので…。
軍内では殺したって言うもっぱらの噂になってますがね…。

彼の性格は凶暴で通ってるので…。
最近は随分、穏やかになってますが…。
どうも私が処方した鎮静剤の効きが良いみたいですね〕

≪そうなの…。
噂でしょう?≫

〔さあ…。
あり得る話です。
私自身そうなので。
だからと言ってはなんですが…。
彼の考えは私にとっては…手に取るように分かるんです。
勘違いかもしれませんがね‥〕

≪ミルルのことは…どう思ってると・…。
ノアは思うの?≫

〔ミルル様のことですか?
そうですね…。
とてもオボコくて、世間知らずで…。
シッカリしてるようでシッカリしてない。
自分とは合わない…。
見てるとムカつく瞬間もある。
だから、サヨナラ?
って意味じゃないでしょうか?〕

≪そんな…≫

〔まあ、
実はミルル様に関して私も同じ考えを抱くこともあるので…。
きっと、頭の中は冷房のことでいっぱいだと思いますよ?
ゼロも…。
口にはしないだけで、きっとそうですわ?
散歩が終了したら、すぐに帰ってきてくださいね?〕

≪ミルルは別に振られてなんていないんだから…。
そんな…≫

〔フワア…。
ミルル様の御守りも大変ですわ。
ゼロの気持ちも分からないこともないですね…。
まあ、お良しになるべきでしょう。
私が友として、慰めても良いですわよ?
ウフフフフフ〕

≪遠慮するわよ…。
廊下出て行くわ…≫

ミルルの声はどんどん小さくなった。
棺桶部屋のドアを開き、廊下に出て…ミルルは壁を足で小さく蹴った。
ちょっと・・・ショックだったから…。
だって、信じられる訳がないでしょう?
あり得ないって思いたいわ…。

☆☆☆


まさか…。
ゼロさんに・…子供がいたなんて。
衝撃的な事実。

可能性がないわけじゃないけど‥。
この国の出産平均年齢って14歳。
平均寿命は17歳だって聞く。
でも…ゼロさんは男性。
女性がいなければ、生まれない。
いったいどういう経緯でゼロさんが子育てをする羽目になったのかしら?
そこが謎で仕方ない。

ノアが言った話は・…デマだとしか、ミルルには思えない。
だって、ミルルもゼロさんもまだ17歳。
いったい…ゼロさんが子守を去年までしてたって話が本当なのか…。
信じられない気持ちでいっぱい。

☆☆☆

ミルルは6階の廊下を歩き…エレベーターに飛び乗った。
エレベーター内には巨大な全身鏡、椅子が5つにシャンデリアと冷房。
ところどころに贅沢がにじみ出てる。
5階のボタンを押し、エレベーターは5階に到着する。

そこで下りてみたら…5階のエレベーター真正面に、厨房がある。
あまりここはミルルは通らないけど…。
王宮専用軍事コックがいるらしい。
割りと気さくな性格だって聞く。
ノアからよく聞いている。

その人なら、教えてくれそうな気配。
この国の人、嘘ばかりで…嘘吐きの塊だから…。
ノアの話が本当とも限らない。

だから、聞いてみる。

厨房の返却口には食器が並んでる。
ミルルは…ノアに言われた通り、顔にフードしたまま、そこへ向かった。

コックは長いちょび髭を揺らして、不気味に笑ってる。

[こんな時間に何のようだ?
新入りか?
俺ッチの料理がうまくておかわりか?
しかし…もう朝食の時間は終わりだ]

褐色の肌に濃い眉毛、つぶらな瞳。
頭には白いコック帽子に白い料理服着た…王族専用のコックさん。
ミルルは噂に聞いてたけど…初めての対面。

≪情報をくれないかしら?≫

[ああ?
オメエは誰だ?
その背丈と声では新入りの女か?
そうか…売春婦じゃないんだな・・。
軍の新入りか…。
で、何の情報だ?
俺ッチの知ってる範囲でなら…]

≪ゼロさんが…子供がいたって噂…本当かしら?≫

[ああ、去年まではよく背中に背負って…。
一時、子守オオカミとまで言われてたが…。
その噂を知らねえと言うことは・・。
やはり、新入りか?
良い声をしてる…。
どんな顔なんだ?
俺ッチにだけ見せてくれても・…]

≪遠慮するわ‥。
そうなの…。
本当にゼロさんの子供なの?≫

[何だ?
執拗に聞くな?
ゼロのことをスパイでもしてるのか?
直接聞けば…どうだ?
オメエの顔が俺ッチ、気になるし…]

≪だって、顔は出しちゃダメなんでしょう?
女性はそうでしょう?≫

[まあ、その通りだ…。
チェ…。
それより俺ッチには興味沸かないか?
新入りか…。
気になるな…]

≪用事はそれだけよ。
帰るわよ≫

ミルルは早々に退散した。
次は軍事寮の前にいる門番さんに聞いてみるつもり。
ノアの話が真実なんてまだ受け入れられないから。
数名から聞いて…本当だった場合は信じてみるつもり…。
ちょっと、混乱してる。
余りの衝撃に…ジッと部屋になんていられない気分・・。

まさか…ゼロさんのあだ名が去年、"子守オオカミ"だったなんて…。
驚愕過ぎて…。

☆☆☆

冷房が効いたエレベーターに飛び乗り、1階のロビーで下りた。
ここからミルルの冒険が始まる。
ミルルは今、8時だけど…。
この黒装束衣装のまま、外へ出てみようかと思う。
60℃って想像できないけど、ミルルはドライサウナなら何回も入ったことがある。
大丈夫な自信があるから。
王族専用の1階ロビー玄関の巨大なドアを開けた途端…ビックリするレベルの熱風がやって来た。

ミルルの髪は後ろへ猛烈に揺れた。
それからミルルが着てる黒装束も揺れまくった。
これが、60℃なの?
本当のドライァー。
でも、一瞬だし…大丈夫だって思いたい。
目前に王族職員男性寮の水色の塔は見えてるんだから。

☆☆☆

日が昇ると…60℃近いらしい…。
さすがに、真面目にドライサウナな気分…。

根性を出せと言われても、これは絶対10分ぐらいしかミルルには無理。
ちょっと予想以上で、死にそうになるから…。
ミルルは王宮ロビー1階から中庭までは全力疾走した。

到着した時には大汗が流れた。
火傷しかけるかと思った。
逆にこの黒装束衣装のお蔭で肌が焼けない。
顔にフードはしたけど…顔も髪も汗だく。

ドライサウナ60℃岩塩、それぐらいの温度を…10分に渡り…走り抜けた。
心臓が止まるかと思った。
炎のチャレンジャーだとミルルは思う。
運動靴までなんか、暑い。

太陽が照りつけないのが幸い。
汗はすぐに強風で吹き飛ぶ。
汗をかいてる筈なのに…まったく汗が蒸発してる。
地面が火星並みにひび割れてる。
気のせいか・・昨日と地形が違う気がする。
これはミルルの勘違いなの?

☆☆☆

門番が外に立ってない。
男性寮の中にいるみたい…。
ミルルは強引に男性寮の門を開けて、入った。
冷房が効いてる…。
さすがに、外でなんてやってられない。

そこへ門番の人が…男性寮の玄関で倒れ込む、ミルルへ接近してきた。
玄関の横に窓があって、その奥に更に門番の人専用部屋があるみたい。
この男性寮で門番の人は暮らしてるみたい。
相変わらず、この門番の人はフードをしてる。
多分、男性だとは思う。
声と体格で判別できる。

―――この時間に何の用事だ?
フードをまず、外せ…。
名前のチェックをする。
不法侵入者は将軍様へ突き出す。
誰だ?
オマエは―――

この門番の人にはミルルは数回会ってる。
水色で塗装された王族職員男性寮は…例えてみるなら、病棟みたいな雰囲気。
壁は薄水色で塗装されてる。
それぞれの号室に、看板がある。
名簿まで乗ってる。
きっと、ゼロさん専用の部屋もあるんだと思う。
興味があるし、見てみたいとは思う。

ノアがいる女性寮も入ったけど…あれと大差ない。
この時間は誰もいない…。

顔のフードを外すと、門番の人が敬礼をし始めた。

―――ミルル様…。
この時間に何でしょうか?
外は60℃近い気温です…。
自殺をなさるおつもりですか?
魔法瓶は持ってますか…?
今、氷でも…―――

急に門番の人が優しくなった。
ミルルは確かに自殺行為だと理解した。
ターシャ国にもサウナはある。
ミルルはよく岩盤浴にならモデル関係で通ってる。
でも、予想以上だった。
これは無理。

≪氷…くれるかしら?
水と氷が飲みたいわ…≫

―――はい、今すぐに…。
持って参ります、ミルル様!―――

王族職員男性寮門番さんはすぐに水をくれた。
木のコップに入った水。

≪ミルルが甘かったわ…。
暑いわね…。
徒歩で15分程度の距離って聞いてたわ。
走って来たわ…。
ハアハア≫

―――ミルル様、この時間に男性寮へ何の用事でしょうか?
まだ50℃ですが…。
正午には更に気温が上昇するので…―――

≪試しにしてみようと思ったのよ…。
ミルルは体力にだけは自信があるから…自分の限界値を知りたくなったのよ…。
でも、ちょっとだけ後悔してるわ…。
少しだけよ…。
ハアハア…。
死ぬかも…。
えっと…。
ゼーゼー。
それから、ゼロさんの情報を・・・≫

―――わかりました、知ってる範囲で何でもお答えしましょう…―――

≪まず第一にゼロさんは…。
どこに今、勤めてるの?
まさか…変なスパイ活動なんて…。
スケこましなんてしてないわよね?≫

ミルルは心配しすぎて気がおかしくなりそうで…。
全然、寝れなかった。

―――してません。
現在はこれは極秘義務があるのですが…。
ミルル様が無謀なことをなさって亡くなるよりマシだと判断を下します。
偽造貨幣工場の製造監視に関わってます―――

≪そうなの?
門番さんと似たような仕事かしら?≫

―――そうです。
ササ、すぐに帰るべきです…。
正午になれば…ここは気温が60℃近くに…。
今のうちに・・。
それか、近くの女性寮へ非難すべきです。
男性寮への侵入はさすがに…。
この時間は全員、ほぼパンイチで生活してますので…。
一応、館内は冷房29度弱になるように保ってます。
唯一、男性寮のテレビが設置されたエリア前だけ冷房が涼しいので…。
全員、そこでたむろしてますが…。
ほぼパンイチなので…酷い場合はタオルのみです。
全裸まで存在しますが…黙認してます…暑いので…。
ミルル様は女性寮へ…―――

それはそうかもしれない…確かにノアと同室の遊女も・・ほぼ裸だった。
ミルルからしたら信じられない光景だったけど。
本気でスッポンポン何も着てなかったから!
さすがにゼロさんの部屋を見に行くことは止めたわ。

こう見えてもミルルってシャイで照れ屋な性格なのよ!
誰にも理解してもらってないけど…。

≪まだ、聞きたいことがあるの。
門番さんは正直みたいだから…。
貴方だけが頼りなの≫

―――なんでしょうか…?
また、ゼロのことでしょうか?―――

≪ゼロさんに…子供がいたって…それも去年まで背中で子守をしてたって本当なの?
相手は誰なの?
ノアは知らないみたいで…。
それからコックさんも教えてくれなくて…。
ゼロさんには聞きにくくて…≫

―――それなら、真実です。
ミルル様。
相手は…確か…軍事費の横領犯だと聞いてます。
女は脱獄をし、現在…行方をくらましてます。
確か、以前は従軍慰安婦をしてました―――

≪どんな人なの?
何歳ぐらいの人なの?
ゼロさんは…どんな人が好きなの?≫

―――ゼロの好みは知りません。
黒髪が肩揃え…癖毛でウェーブが掛かって…褐色の肌に背が低く、細い女です。
確か…ゼロより1歳下だったと聞いてます―――

年下…。
ゼロさんは年下の方が良いのかしら?
ミルル、同じ歳だけど…守備範囲内かしら?
それから…ゼロさんが前に交際してた人は…従軍慰安婦?なの・・。
何だか、軍事費横領班で脱獄中って言う、物凄く問題ありな女性だけど…。
ゼロさんって…。
訳ありな女性の方が良いのかしら?

ミルル・・。
どうしようかしら?
全くミルルには貶すところがないほど、完璧なのよ?
同情落とし作戦だけは成功する訳ないわよ・・。

って、いうか…。
去年なんでしょう?
二人、完全に別れたのかしら?
子供はどうなってるのかしら?
いっぱい疑問が沸くわよ…。

≪ゼロさんの子供はどうなったの?
それからその女とは…今、親交があるの?
教えて欲しいわ…。
その女とどうなってるの?
だから、ミルルを振ったとでも言うの?
それなら…ミルルは何のために邪神国まで走って来たと言うの?
嘘でしょう?≫

―――それはですね…。
えっと…ミルル様、気を確かに…落ち着いてください。
ゼロの娘は去年の今頃、亡くなりました。
熱期は人の命を奪うので…。
それから…ゼロは今、その女性とは・…どうか…。
女性は脱獄後は行方をくらましてるので…。
どういう経緯かは残念ながら、知らないので…。
彼に直接聞いた方が…―――

≪そんなこと聞きにくいわよ…。
門番さんはどう思うの?
意見が聞きたいわ。
別れたと思う?
まだ続いてると思う?
ミルルの何が悪いわけ?
ミルルの何が…≫

―――大丈夫です。
ミルル様は完璧なお方…非などございません。
悪人はゼロです。
ミルル様をヤリ捨てポイなんてするなんて恐れ多い。
最低野郎です。

あと、ミルル様も隣の女性寮へ避難なさった方が…。
これからますます気温が正午に向けて上昇するはずです。
現在はまだ8時なので…―――

ミルルはそもそもヤリ捨てポイはされてない…。
そこは突っ込みどころ。

≪勘違いしてるわ。
門番さん…。
ミルル、まだヤリ捨てポイされてないの…≫

―――御冗談でしょう?
ミルル様とゼロは…同じベッドを共にしたという話ですが…―――

≪されてないわ。
添い寝だけよ。
ミルルは一方的にゼロさんに振られ続けてるの…。
まさか、その女性に未練があるのかしら…。
娘がいたなんて…。
初耳だわ…。
ショックかも≫

―――そうですか・・。
ミルル様、この国にはコトワザがあります。
別れたら次の人。
きっと、ミルル様も他にいい人が現れます。
大丈夫です。
だから、ゼロのことは諦めになられた方が賢明かと…―――

≪話はそれだけね?
それだけ聞けたら、十分よ。
ミルルは帰るから…。
正直な情報ありがとう…≫

少し声が小さくなった。
今度は、失恋で…。
元気が出ない。

―――御冗談でしょう?
もう少し、休まれてからの方が…―――

≪大丈夫よ?
行きに大丈夫だったんだもの・・。
帰りも同じでしょう?
ヤケクソで走るわ。
動かないとやってられない気分なの…≫

―――しかし、どんどんうなぎ上りに温度が上昇してるので…。
しかも…恐ろしいことに正午には無風になります。
それから…風が止まれば…太陽が照りつけるようにクリアーになり、肌は文字通り焼けます。
これだけは覚えて下さりませ。
正午に冒険だけは慎むように…。
御気を付けて、今ならまだ間に合うでしょう・…。
昼の2時は地獄です―――

≪分かったわ…。
それなら・・。
外、本気で・・サウナね?
じゃね?≫

―――お気を付けて―――

ミルルはまた走って、ドライサウナ50℃の中を走り抜けた。
正直、暑い。
でも…無風になると、日陰がなくなるみたい…。
と言うことは気温を図る百葉箱って確か、日陰で地面から1m50pぐらいで測定するって聞く。
つまり、日陰じゃなく、太陽の出てるところ…日向は…10℃温度が高い。
気温、60℃近いと言っても…日向は70℃…。
しかも無風…。
絶対、ミルルには生きれる自信がない。

今のうちじゃないと、部屋に帰れない。
女性寮に行く気にならない。
あそこには遊女がいた。
ミルルは何故か、女性からは優遇されない。

女性寮の門番はミルルに冷たかった。
それから…遊女の皆様も全員、ミルルに冷たかった…殺意まで感じた。
あんな場所にいて、ミルルが楽しいわけない。
その点、ノアはマシだけど…。
ミルルは美人は嫉妬するし、別に好きになれない…女なんて好きじゃない。

ミルルは男にはモテる、モテるのは罪…。
でも、ココは暑い…死にそうになる。
どうして、こんなにモテるミルルなのに…ゼロさんはミルルを拒むの?
それから、前…好きだったキセキさんも…。
ミルルは何故か本命にだけは振られ続ける運命にある…。

それにしても、今で…もうドライサウナ60℃だって、ミルルは思ってたのに…。
門番の人にまだこの時間帯は…ドライサウナ50℃だって、ミルルの認識を訂正された。
悪いけど…ドライサウナ50℃もドライサウナ60℃もミルルにとっては同じ。
差が全く分からない。
とにかく暑い…。

☆☆☆

ほぼ、決死の思いでたった10〜5分全力疾走で50℃の強風の庭園を走った。
それだけで心臓の鼓動が凄まじい。
王族専用のロビーに到着した時には…。
もう、砂漠でオアシスを発見した気分。
だって、男性寮よりずっと涼しいから。
館内20〜23度ぐらいだって思う。
もう全然、違う。

ダイヤモンドで装飾されたシャンデリアはあるし…。
ロビーにはミルルと同じ身長のアメジストの原石があるし・…。
オレンジサファイヤっていう宝石で出来たオレンジ色の床・…。
しかも壁全面が…信じられないことに全部アメジスト…宝石。
ココは煌めいてる。

巨大なスクリーンに。
それから、温水プール。
これはミルルはよく水着姿で昼間に入ることが多い。
それから強烈に冷えた山羊のミルクが出てくる機械まで設置されてる。
隣には飲水機もある。

贅沢の限りを尽くしてる感じ。
ミルルは吐きそうな体を動かし、千鳥足で・…引水機へ近付き、水をがぶ飲みした。
飲まないとやってられない。
ミルルは代謝が良いから。
それから顔へ冷水を当てた…この瞬間が気持ちが良い。
少し、生き返った気分。

それにしても、聞くのと実感するのとでは全く違う。
でも…だからと言って、正午に再び・・チャレンジする気にはならない。
お蔭で凄い情報なら入った。
ミルルの泣き落とし作戦セカンドは成功した。
でも、一歩間違えば…本気で死ぬかと思った。
暑かった。
まだ、運動靴もミルルの黒装束衣装も・…何か暑い…ドライアー並みに暑い。
部屋に到着したら、すぐに服を脱いで全裸になりたい気分…。
服が暑い。

冷房の効いたエレベーターに飛び乗り、6階のボタンを押し…。
6階へ到着すれば…冷房が効いた廊下をミルルが暮らす最奥の部屋…棺桶部屋へと進む。
確かに廊下にある窓から確認すれば…外が…いつもより視界がクリアー。
とにかく眩しい…。
窓には水滴が付きまくってる。
温度差があるみたい。
正午には太陽と青空が拝めるらしい…。
窓の外の直射日光は見ないようにして、棺桶部屋に到着した。

棺桶部屋のドアを開けば…。
ノアがお腹を出して、寝ている…。
とても気持ちよさそうな表情。
ミルルは靴は脱いで、熱くなった黒装束衣装も脱いで、変えの黒装束衣装に着替えた。
古い服はノアがクリーニングサービスへ出してくれる。
服は一瞬で乾くって言うのが感想。

本当に洗ってくれてるのか謎だけど…。
洗ってくれた黒装束衣装からは…香水の匂いはする。

香水で服に付いた汗のにおいを誤魔化してるんじゃないの?
って時々、思う。

☆☆☆



















 

 










 



















ミルルA


目次

ミルルC




〔ノア〕




[コックさん]



王宮の1階ロビー



―――門番さん―――

2015/08/24up☆

盆休みは旅行に行ってたので…。
更新ノンビリになりました☆

この作品も根性で終わらせて…。
番外はゼロ視点で交えた後…。
次は、キセキ×レイカへ突入したいなあと思ってます♪

オリジは初めてだったんですが、割りと楽しいですね。
ただ、文章改訂だけしたいなあと願いつつ…現状は走り書きですね。

作成秘話としては…。
この物語も結構…管理人の祖母や祖父から聞いた凄まじい戦時中の話も少しは入り混じってますね…。
夏になると流れるのですが、管理人は戦争とか大反対ですね?

フィックションで書いてる限りです。
でも、敢えてギャグにしてるのは、管理人が暗い話が嫌いなので…。
設定が暗いから感情移入して暗くなるのかと戦争物は犬猿してたのですが割りと明るく書けましたね。
戦争物を書いたのは初めてですね?
何でも新ジャンルを書いてみたいタイプなので…挑戦してみました☆

小説の前置き説明にグロイ話が出ると書いてたのですが…管理人があまり酷いのは苦手なので、殆どなくて…ホッとしてますね?
さらりと出てるシーンもありますが…あまり描写する気にならなかったので…。
ああ、良かったと言う感想ですが。
管理人ですらストーリーがどちらに転ぶかはキャラの性格に合して進ましたので…思ったより、グロが入りませんでした☆

しかし、ジャシドンが落ちると…この小説のストーリー展開がサイコホラー調になると思いますが。
その時は読者様もそれ前提で…。
管理人的にはあまりオカルトパニック映画みたいな小説は書きたくないのですがね…。
ストーリー展開はその日の気分と…キャラの性格に合してます☆。









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