アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ミルルA

≪ミルル視点≫


〔ミルル様…。
将軍様ですわ、もう少し柔らかい態度で…。
将軍様はミルル様を歓迎してますわ〕

≪うるっさい、話す言葉なんて何もないわよ≫

〈ターシャ国に関する話なら…。
ボクがゼロからミルルへ聞いてもらうように…ゼロへ依頼したよ?
でも、キミはまだ肝心な話をしてないようだからね?
フフフ…〉

≪ちょっと、待ってよ。
ってことは、ゼロさんは将軍様に頼まれて…。
ミルルへしきりとターシャ国に関することばかり聞いてたってことなの?
冗談でしょ?≫

〔さすが、我が血を身に宿すだけある。
話が一度で通じるらしい。
ここは褒めて進ぜる気だ。
そうだ、キミにはターシャ国に関する情報を聞く気だ。
危害を加える気はない。
安心したまえ。
ハハッハハ…〕

≪何のためにそんなことを聞くつもり?
ミルルと親睦がしたいわけ?
何なの?
いったい…。
全く、ミルルだって…現在、ターシャ国の情報が入ってこないのよ!
どうなったの?
まさか…ミルルをダシに身代金要求なんてしてないわよね!
戦争始めるなんて…初日、ミルルの前で言ってたけど…。
あれは…ブラックジョークでしょう?
それなら・…ミルルだって考えがあるわよ!≫

〈キミは威勢が良いことなら褒めよう。
それではない。
邪神教の聖書には載ってる…。
キミなら知ってる可能性が高い。
核をも防げる古代防空壕の存在だ。
少しでも心当たりがあるなら…話してみるが良い〉

≪何の話よ?
その防空豪なんてミルルは全く知らないわよ。
何のこと言ってるの?≫

〈ふうう…。
ターシャ祭りのテロでは…。
あのターシャ公園のミサ近く…どこかにあると…。
それしか逆にないと…。
その線で探ったが…。
邪神教の聖書に載ってるような防空壕は結局、発見できなかった。
あれは…もしかすれば、神話の話かもしれない。
しかし…キミしかボクの知り合いのターシャ人はいないわけだ。
聞いてみた〉

≪まさか…。
それを発見するためだけに…。
あの場所で、テロを起こしたっていうの?
爆弾をしかけたのは…それだけのためなの?≫


〈キミはすぐにボクの考えが読めるらしい。
キミとボクの思考回路はどこか繋がってる。
さすがだ、我が娘よ・・。
ハッハハハハハ〉

≪冗談じゃないわよ!
ミルルが知る訳ないし…。
信じられないわよ≫

〈キミが知らないなら…。
そうだな…。
ターシャ国には空から爆弾を全ての国土に落とし…。
そのあと、上空から確かめれば…。
すぐにわかりそうなものだ。
防空壕の存在が…。
アハハハハッハ〉

≪そのブラックジョーク言うの止めてくれないかしら?
笑い方までミルルとは合わないわ≫

〈これはこの国のジョークさ?
キミにはしかし…この国の血が流れてる・…。
フフフフフ〉

≪ジャシドンって結局・…核ミサイルなわけでしょう?
古代兵器の模倣なんて、格好良く言ってるけど…。
冗談じゃないわよ・・あれを…本気でターシャ国へ落とす訳?≫

〈キミは…浅知恵だ…。
フフフフフ。
ボクのことを極悪人と思ってるようだが…。
ボクはね?
悪のヒーロなんだよ。
クふふっふふふ…〉

≪ふざけないで頂戴!
何が悪のヒーローよ。
ジャシドン、作っといて…。
ターシャ国全員良い迷惑よ≫

〈まず第一に…。
戦争を起こせば、軍事景気と言って…必ず景気が上昇する。
物資が売れるから、金が循環する。
あと…何よりもだが…。
我が国、この60℃の大地に…作物は実らない。
こうなれば・…誰もが新天地を求める気持ちは…邪神国人としては全員、一致してる。
キミはターシャ国に暮らし過ぎて、分からないらしい…。
恵まれた国土の恩恵をだ〉

≪食べ物…。
そこを何とかならないわけ?
確かに、それだけはミルルも理解しつつあるわよ。
馬鹿にしないで頂戴≫

〈キミはね?
勘違いをしてる。
キミはボクを悪人と思ってるようだが…。
国民、自らが戦争を求めてるんだよ?
この貧しい国に…新天地を求めて…食物を求める?
戦争しかないだろう?
ボクはね?
この国では指導者…いわば、ヒーロなのさ?
クハハハッハハ〉

≪戦争するなら…アンタだけ一人で行ってきなさいよ!
ターシャ国もいい迷惑だわ。
邪神国も同じでしょうけど…≫

〈ボクがいなければ…誰が下々の者たちを…指導するんだい?
ボクは正直に言えば・・庶民の気持ちなど全く分からない。
だって住んでる世界が違うだろう?
ボクが行かない戦争だからこそ、声大にして叫べる…。
確かにこれもある。
ここがターシャ国と邪神国の違いだ。
ターシャ国より遥かにこの国の方が貧富差が激しい。
お蔭でボクに歯向かう人間など存在しないからやりやすい…。
処刑さえすれば、ボクの法案は何でも通るからね?
クフフフフフ…〉

≪ふん?
この国が…ターシャ国に勝てるなんて思ってる訳?
無理すぎるでしょう?
どう考えても…。
馬鹿じゃないの?≫

〈まあね…。
実は先手は打ってある。
そのために民は働かせてるんだよ?
クウふっフフフフフ〉

≪冗談じゃないわよ…。
戦争するなら、あんただけ行きなさいよ≫

〈キミは物わかりが良いようで…。
まだ幼いらしい。
さて、この60℃に近くなる大地で…何を食べて生きれば良い?
キミが今朝食べた、モノについても…。
あれは我が国がこっそりつくった大麻と…平和国から小麦、砂糖を…変換して…。
裏で貿易した結果、入った食材だ。
キミはそこを理解してるかい?〉

≪え…。
冗談でしょう?
あれ、大麻と交換したって…≫

〈平和国:ターシャ国:邪神国=15:10:1…。
これぐらい物価差が存在する。
その中で…平和国にある…100平$の小麦1kgを手に入れるためには…。
1000邪$が必要だ。
1000邪$は…まあ、軍人の1時間強程度の時給かも知れないが…。
割りには合わない。

砂糖に関しても同様だ。

因みに平和国の通貨は平$、ターシャ国の通貨はタ$、それから邪神国の通貨は邪$と…いうのは、…秀才なる我が娘だ。
キミもさすがに、周知だとは思うが…〉

≪ということは…。
砂糖1s100平$に関しても…1000邪$…。
軍人一時間程度の時給…。
何とかならないの?
それで…≫

〈これは普通に貿易をした結果これだが、我が国は鎖国状態だ。
闇で交易をするのが前提の話だ。
自由貿易をすれば、ボクとしては…ボクの独裁政治が危ぶまれるという予想もある〉

≪なるほどね…。
自分中心なの?
それは確かにミルルもそうだけどね?
芸能界でのし上がるについては…。
上下関係がうるさすぎるわよ…。
そう言う話なのね…。
やっぱり…≫

<キミはボクの考えに近いし、説明がしやすい…。
海外の歴史を例にとってみようか?
鎖国から自由貿易を開始した国は…必ずと言っていいほど、その頂点にいる人間の絶対権力が…その後、弱まってる。
上に発言権がなくれなれば…庶民がいちいち、上の言ったことについて反論を始める。
テレビマスメディアを通して…いちいち、攻撃を仕掛けてくる…。
そうなるのは…ボクとしては政治がとても、やりにくい。
だってボクがこの国の絶対権力者だからだ〉

そこで、将軍はニンマリと不気味な笑みを顔に浮かべた。
ミルルは将軍の考え…あまりついて行けない面もある。

〈当たり前だが…人間と言うモノは個人主義に基づいてる…、ボクが民より自分の徳を考えて何が悪い?
戦争することのメリットか?
ボクが死ぬことも、この国の政治家が死ぬこともないだろう…。
フフッフフ。
あと…ひとつ言えば…軍人の給料は庶民の3〜10倍には当たる。
軍人見習いは…また違う、庶民の1.5倍程度かもしれない。

軍人の給料…3分の1で売春婦ぐらい…。
それから、その辺の庶民に関しては10分の1にもなるかもしれない。
意外と…この軍事施設へ入って来るのも…至難技なんだよ?
ほとんど、運と才能とコネの世界だね?
クハハッハハハハ〉


≪この国の…庶民って何食べてるの…?
1キロの小麦が…10時間労働以上…。
1キロの砂糖が…10時間労働以上になるんでしょう?
主食は…何を食べてるの?≫

〈キミは食費のことばかり言って来るが…。
やはり、まだオボコ娘だ。
この国で一番、費用が掛かるのは…。
食費ではない。
水道なら、山羊のミルクを飲めばいい。
問題は・…冷房光熱費だ。

60℃の熱期…。
あれを35℃程度へ気温を下げるのに…どれぐらいの熱量が必要だと思う?

物価がターシャ国や平和国と比べて、10〜15倍も違う我が国で…。
熱期・・・実に2〜3ヶ月に渡り、室内との温度差が…25℃だ…。
まあ、6畳一間ですら10万邪$以上は掛かる…。

これで…恐らく室内温度35℃程度になるだろうが…。
更なる涼を求めれば…更にかかる。
冷房代だけで6畳一間、15万邪$以上は平均掛かってくることになる…。
それに食費が加わって来るわけだよ?

6畳一間でこれだ…部屋が5つあれば…当たり前だが…軽く70万邪$は越える計算だ。
我が国ではワンルームが主だ〉

≪ミルルにはまだ実感が湧かないわ…。
この国のことが全然…。
ここでずっと幽閉されてるだけだから…。
平均…どれぐらいの給料なの?庶民って≫


〈庶民のことはボクも知らないが…9万邪$〜18万邪$までいろいろいる…これぐらいの層は早死にだ。
もう少し上のランクになれば・…18万邪$〜28万邪$。
あと、売春婦で…28万邪$〜54万邪$…。
いろいろだ。
軍人で84万邪$〜162万邪$、軍人見習いで42万邪$だ。

しかし…軍人になれば、平和国へ…闇交易などの任務目的で、赴任の際に滞在費がいろいろかかる。
この国では小麦も砂糖も育たない…。
この国の室内栽培で育つ作物と言えば…唯一、大麻だけだ。

何とかして、平和国のヴァカンス島から小麦と砂糖を買ってこなければならない…。

しかし、平和国のヴァカンス島は物価がここより15倍は上だ。
それぐらいは給料を渡さないと、軍人はやっていけない筈だ。

162万邪$ぐらい渡してる連中は平和国出兵が多い…平和国換算で給料10.8万平$ではさすがに厳しい。

しかし…当たり前だが…、平和国やターシャ国へ滞在の際には…ある程度までは国が免除するが…。
それを越えるとさすがに自腹を切るようにはさせてる。
我が国も財政を絞ってるからだ〉

≪なるほど…少しだけ。
ミルルにも話が見えて来たわ。
確かにそうね…。

ここでは、小麦も砂糖も取れないわけでしょう?
平和国ヴァカンス島へ行くのは絶対に必要だわ…。
今日の朝ごはんも昨日も…小麦や砂糖を主体にした食事だったし…。
まさに命綱だわ。

だけど…給料は軍人は上がるけど、そんなこともあるのね…。
ゼロさんもノアも…そのルートで…ターシャ国まで来たわけ?
じゃ、意外に苦しかったんじゃないの?
邪神国とターシャ国の物価差は10倍だとは聞くけど…≫

〈まあね?
しかし…この国にいるより優遇されてる筈だよ。
ゼロもノアもカレーうどんや卵かけごはんを食べたり、したいことをやりたい放題だ。
満足しただろう…。
テロ目的ターシャ国出兵では…110万邪$前後…一応、ターシャ国換算で給料が11万タ$ぐらいは多めに配布した。
あの事件では、1か月前から潜伏して・…ターシャ国の詳細地図や情報を探ってもらったからね?
我が国も財政を絞ってる、常に余分は渡さない。

外国へ出兵の際が一番、費用が掛かる…まだ、国内の邪神教異端派新派旧派制圧戦争の方が…掛からない。
84万邪$〜もあれば…国内では従軍慰安婦も年一レベルには買えるレベルだ。

まあ、その代り…王宮近くが邪神国では一番、物価が高いが…。
ココの物価は平均と比べて10倍な計算だ。
地価が邪神国の平均より10倍高い…王宮近辺だから、当たり前だが・…〉

≪ふうん…どこの国もターシャ国と仕組みが似てる訳ね…≫

〈そうだ、
あと…軍でも下の者は王宮職員寮には入れない。
王宮職員寮も倍率がある…優先順位は…位の高いものから優遇する。
それ以外の者は、自分で住まいを借りる訳だが…これが意外に大変らしい。

この近辺は…オンボロ風呂なしアパートでも…6畳一間、20万邪$では入れる訳がないからだ〉


≪う〜〜〜ん…。
だけど…その計算なら…。
やっぱり普通の軍の方が外国出兵より優遇されてるわよ!!

給料が84万邪$最低と計算しても…。
30万邪$程度のオンボロなアパートへ入ったと仮定して、それから…光熱費は15万邪$〜20万邪で…。
残るお金は…35万邪$近くあるんだもの…。

実は外国出兵の方が…苦しいんじゃないの?
月11万タ$でしょう?
こっちでそれだけで暮らすのは…至難技だって思うわ…?
そんな計算になったわよ?≫


〈その通りだ、意外に外国出兵の方が苦しいかもしれない。
しかし…外国出兵兵の際、…それぐらいあれば…我が国の人間なら十分やっていける…。
普段から質素倹約だからだ。

ボクはまあ、一番…贅沢をしてる自覚はあるが…これは国の代表だ…王家だから当たり前だ。
きっと、平和国の庶民より…ターシャ国の庶民より…ボクは金持ちだ。
この国は貧富差が激しいからな、フフッフフフ。

大体、ターシャ人は庶民が贅沢過ぎだとボクは感じるよ…アハハハ。
キミはあの国の大地、環境の…貴重さを何もわかってないようだ。

それ以外にも、外国出兵はこの国では憧れの的さ?
異文化に触れる機会だからね?
ここでは"カレーうどん"も"卵かけごはん"も当たらないからさ?
そう言う意味では兵士たちもつかの間の余暇気分らしい…〉

≪カレーうどんね…。
確かにミルルはココへ来てから、一度も食べてないわ…。
卵かけごはんが恋しいわ…。
ココでそんなものを食べれば下痢しそうだわ・…。
ねえ?
卵かけごはん…輸入できないの?≫

〈腐るだろう?
運搬途中で冷房費が高い。
それ以外にも…平和国ヴァカンス塔までは泳げる距離だ。
輸送費が一番、かかる。

ターシャ国はここから飛行機で実に14時間程度は掛かる。
地球の裏側にも近いような立地条件だ。
一番かかるのは…輸送代だ〉

≪そうなの…。
だから、毎日…小麦ばかりなの?
物価はターシャ国の方が平和国より低いのに…。
そろそろ卵かけごはんが欲しいって、ミルル思ってたのよ…。

ミルルは疲れた日はあれを食べるのが楽しみなんだから…。
小麦を水で溶かしたようなナンもたまには良いけど…。
今日は菓子パンみたいで食べやすかったけど…。
山羊のミルクや水も良いけど…そろそろ御茶と、卵かけごはんの気分よ?≫

〈フフフ。
そのうち、キミも我が国の食事になれるだろう…。
コックも最近ではキミが前より残さなくなったと喜んでいた。

我が国は…国土の99%は庶民。
軍人含める特権階級、王族…伯爵家は…国土の1%。
庶民が死ぬからこそ、平均寿命を軒並に下げてる状態だ。
ボクは別に庶民に関しては同じ人間とは思ってない。
余りにも違い過ぎるからだ。
しかし、キミはボクと同じ人間と認めよう。
フフフフフ〉

≪待ってよ…。
でも、ノアは…。
庶民出なんでしょう?≫

〈ノアは優秀だ。
ボクは優しい。
庶民でも特別に優秀な人材には贔屓をしてる。
光栄に思いたまえ、ノア。
キミはもう大佐だが…ボクの方が位が上だ、呼び捨てで良いだろう?〉

〔ありがたき幸せですわ…将軍様!
将軍様と邪神国に幸あれ〕

ノアは将軍の前で敬礼した。
その間はずっと黙って、隣で聞いていた。
まるでそれま兵士の監視員みたいな態度で。

≪それから…ゼロさんもそうだって…≫

〈ゼロは庶民ともまた違う。
奴は政府に拾われた孤児だ。
まあ、優秀なのはその通りだ。
ヤツのお蔭で・・ボクは今、キミと会話が出来るのだから。
ヤツの能力は我が国で役に立ってる。
クフフフフフフ〉

≪ミルルは…。
アンタなんて、大嫌いよ!!
何のつもりなの?!
ミルルにばかり…ここへ閉じ込めて…。

ミルルは失望してるわよ、自分の父が…まさかこんな人間なんて…。
精子バンクを介した父だって、お母さんからは聞いてたわよ!
てっきり、ターシャ国に在住するターシャ大学の医大生だって信じてたのに!
一時は…ターシャ大学医学病院へ行くたびに…探してたのに!
幻滅も良いところよ!!
どこが真面目なエリートよ!
失望しすぎてるわよ!
極悪非道も良いところだわ!
ボケ!≫

〈キミが外へ出ることは無理だ。
それは邪神人もだ。
今は熱期休暇だ、外は60℃近い…。
昼間になれば、そうだ。
そんな日はさすがの邪神人でも昼は休みだ。
緊急会議は朝の4時台か…それとも…9時以降だ。
キミが口が悪いのは誰に似たのか…。
ハハハハハハ〉


≪それなのに…ゼロさんだけ、何の仕事…してるのよ?
まさか…変なスパイ活動させてるんじゃないでしょうね?
ミルル、ブチ切れるわよ!!!
ミルルの愛するダーリンに何をする気なの?
ミルルはまだ振られたなんて認めてないわよ!
ボケ!≫

〈それには及ばない。
まあ、キミには黙っておこうか?
彼はまあ、役には立ってる。
彼のことは諦めるべきだ。
ボクからも強く説得しよう。

キミは酷い女だな…実の父親の質問より、ゼロからの質問の方が…正直に答えるらしい。
そこは不服だ…。

ノア、キミも説得を頼む〉

〔了解しましたわ、将軍様。
邪神国と将軍様に幸あれ〕

≪当たり前でしょう?
ミルルがアンタの話に正直に答えて何のメリットがあるっていうの?
全くないわよ!
どうせ、ターシャ国へジャシドンを落として・・戦争開始する気なんでしょう?
全くないわよ!
ミルルはゼロさんだけで良いんだから。
まだ諦める訳ないわよ!!≫

ノアは再度、敬礼をする。
将軍は含み笑いをして、ミルルが暮らす王宮棺桶部屋から去って行った。

ミルルは呆然とした。

☆☆☆

将軍が…退室してから、ノアに尋ねてみた。
今、ちょっと怒ってる。

≪ノア…。
また、ミルルを裏切ったの?
どうして・…将軍様がミルルの情報を知ってる訳?
なんで、ミルルがゼロさんに振られたことを知ってるのよ…≫

〔あら?
私を疑ってますの?
違いますわよ…。
もう、王宮全員から噂になってますわ。
ミルル様がゼロから振られた件に関しては…〕

≪嘘でしょう?≫

〔ミルル様はこの国の規則をその瞬間は忘れて・・。
頭のフードを外して、ゼロのいる王族職員男性寮まで走って行かれるし…。
それも泣き怒ってらっしゃるし…。
猛烈に目立っていますわよ?
御自覚なかったんですか?〕

≪嘘でしょ?
じゃ…≫

〔そうですわ。
将軍様は猛烈にお喜びですわ。
振られた件に関しては。
今の話を要約すると、将軍様はミルル様へきっと褒めに来たんですわ。
よくぞ、失恋を乗り越えた…しかし、キミが自殺しないかそれが心配だ。
そう言う意味ですわ、きっと…。
私もそれは同感ですから…だって、ミルル様って予想以上に繊細なお方ですから〕

ミルルは唖然となった。
ミルルはさすがに自殺する気なんてない。
ノアなりのブラックジョークだと思う。
この国の人、全員…こんなノリで不吉なことを普通に話す。
ミルルにはついていけない…この感性が…。

☆☆☆

≪自殺なんてミルルする気はないわよ。
でも、心が痛いのは本当よ・・。
全く。わからないわ…今回こそはうまく行ってる気だったのに・・。
あれは気のせいだったの?≫

〔まあ、何度も言いますが…。
ゼロは来るもの拒まずな性格なので…。
あれにつられて勘違いを起こす人は大勢いるようですが…。
止した方が賢明だと強くアドヴァイスはしておきますわ。
彼は冷めてるので…。
色々な面でそうですわ。
まあ、私も似たような感じですけど…。
きっと、仕事だと割り切ってますわ?
その証拠に…将軍様からの依頼でミルル様の情報を探っていたようですし?
彼がミルル様へスパイ活動を将軍様から依頼されていたのは・・。
今、私も初耳です…〕

≪そんな…。
あんまりだわ…。
ミルルは認めないわ…。
ミルルの何が悪いってわけ?
なんで、ミルルばかり振られるの?
ミルルはこんなに素敵な女性な筈なのに…。
貶すところなんてどこもない筈なのに…。
ターシャ国でもそうだけど…。
なんで、邪神国でも本命にほど、振られる訳?
何が理由なの?
あり得ないわ、違うわよ…。
ノアまでそんなことを言う訳?≫

ミルルはボタボタ涙を流した。
それから、壁を足で数回、蹴った。

〔心中は察しますわ。
しかし…ミルル様…これだけは忠告しておきますわ?
外へ出かける時は…必ず、黒装束のフードだけはしますように…。
フードを外して、歩かれないように…。
軍事内部でも噂になってますわ?
特に…将軍様の奥様、イチ妃様と二妃様が…お怒りなようで…〕

≪分かってるわよ…。
だって、つい癖で…。
頭に血が上ると冷静でなんか、いられないわよ!
それと…一つ、言い返すわ、ノアに!
ミルルが失恋したって単語…撤回しなさいよ!
ミルルは認めないんだから!
絶対、違うんだから…。
あり得ないわよ、そんなこと…≫

〔はあ・・ミルル様はまだ世間知らずみたいですね?
特に邪神国人は…表裏がある人間の結集だとも言われていますが…。
私ですら、彼の考えは読めません…。
それは将軍様も同様ですわ。
彼は隙を見せない性格なので…。
ミルル様の件についてはミルル様をモノにして、将軍様を威嚇するための道具にしか思ってない可能性も十分にある訳で…。
とにかく私としては彼は綺麗サッパリ諦めて、彼より私を信じて…優遇をすべきだと主張しますわ。
だって、結局・・ゼロより私の方が長い時間、御側で勤めているんですもの?
ね‥・ミルル様?〕

≪うるさいわね。
どうせ、ノアだって…冷房が効いた部屋に入るためには手段を選ばないくせに。
完全に信用なんてしてないわよ?
ミルルは…。
女性には冷たいんだから…≫

〔はあ…。
私がゼロと同じように、仮に男性だったとしたら…考えそうなことを忠告しただけですわ?
彼と私は同じ邪神人です。
それは嫌と言うぐらい…ゼロの行動なら私は読めますわ?
諦めるべきです。
私が女性だから・・ミルル様は私に冷たいのですね?
しかし、私が仮に彼と同じ容姿な男性だった場合…。
ミルル様はどういう態度を取られるのですか?
興味本位ですが…〕

≪そうね?
イケメンにはミルル、弱いに決まってるわ。
だって、悪いけど…容姿最重視だわ?
ミルルは肉食系女子よ?
まあ、ノアには悪いとは思ってるわ。
でもね?
正直者なの、ミルルは…≫

〔そうですか…。
真面目に私はミルル様のことについて心配にもなりますわ。
私には手に取るように邪神人についてなら分かりますわ?
ゼロの気持ちがね?
きっと、彼も私同様…しかもゼロは…孤児ですしね?
冷房の効いた部屋を獲得するために今まで、いろいろ何もかも犠牲にして来たでしょう?
ということは…。
ミルル様についても同様でしょうね?
止しとくべきですわ。
私は何度でも忠告ならしますわ〕

≪うるさいわね…。
実はノアが…嫉妬してるんじゃないの?
だって、ゼロさん・・モテそうよ?
ゼロさんの方が年下になるけど…なんでそこまでミルルとゼロさんの仲を裂くのよ?≫

〔いいえ、そこは違います。
そうですね?
別に私は…ミルル様を真ん中にして、この部屋のベッドで川の字で寝ることも大賛成ですわ。
正直にお話しましょうか?
ゼロが私としては邪魔なんです。
ゼロがいるせいで…私はミルル様のこのお部屋で…夜中、寝れません。
私だけが…ここでお酒に酔っていたとしても…ミルル様から邪魔だと文句を言われ、廊下に捨てられ…。
私がゼロを憎まない理由なんてあると思いますか?
この世は残酷ですわ…。
きっと、残念ですが…彼も本性はどうせ冷房のことしか考えてませんわ〕

≪そうかしら?
ミルルにはそんなふうには見えないんだけど…。
ゼロさん、それならどうして…ミルルから離れて行ったの?
ここで寝れば…涼しいし、大満足な結果じゃない?≫

〔さあ…。
ゼロが考えてることは読みにくいのは確かですが…。
まあ、ミルル様からターシャ国の情報を聞き出す仕事がきっと、終了したからですわ?
将軍様から依頼されてたみたいですし…。
依頼外な仕事は給料がもらえませんし、タダ働きなので…。
彼もきっと、今…忙しいみたいですし、自由な時間が欲しいからだと思いますわ…?〕

≪ゼロさんって…。
今は熱期休暇なんでしょう?
普通の邪神人は昼間は休みなんでしょう?
それなのに…。
朝の5時から夜の9時までどこに行ってるの?
今日も、ゼロさんは教えてくれなかったわ…。
いったい、何をしてるって言うの?
まさか…危険なスパイ活動じゃないでしょうね?
違うわよね?≫

〔さあ…。
知りませんわ。
まあ、スパイ活動で資産家と関係を持って、情報収集に走ってる可能性がゼロとも言えませんわ‥。
要するにミルル様は諦めるべきです。
今日は私と一緒に夜は添い寝をいたしましょう〕






































 

 










 



















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