アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ゼロE

【ゼロ視点】

ミルルはベッドに設置されたボタンを押して、部屋の照明を消した。
強引に事を進める女だ。

≪やっぱり抱擁するの癒されるわ?
ゼロさんはどうなの?
ミルルに抱擁されるの癒される?≫

【寝ルノカ?】

≪うん、寝るわよ。
ミルル、昨日は徹夜で…一睡もしてないのよ?
ゼロさんのせいなんだからね?
もう突然、去るなんてこと…止めてよね?
それから…もう夜の9時でしょう?≫

【9時に寝るノカ?】

≪そうよ、9時に寝て・・4時半には起きるわ。
ミルルはこの時間にはいつも寝てるの…。
特別な日以外はそうよ…。
テストでも徹夜なんてしたことないわ、一度でミルルは覚えるタイプだから。
授業で完璧だわ。
その代りね…脳の記憶処理が疲れるのか…睡眠は必要なの…。
ここだけが欠点ね…完璧になれないの…。
ふわぁ…。
ゼロさんは…徹夜出来るの?
ショートスリーパーなの?≫

【ソウナノカ…。
オレは別に徹夜3日までは可能なタイプかもシレネエ…。
オメエは無理ナノカ?
寝てネエの…昨日だけダロ?
もう少し、踏ん張れよ…。
コラ】

≪ええ…。
それは…。
ごめん、それだけは…。
明日の4時半になったら、聞くから…。
何なの?
ゼロさん・・。
珍しいわね…≫

【4時半ナノカ?
明日ノカ?】

≪ダメよ…フラフラするの…。
だって、10時から深夜2時は…お肌のゴールデンタイムでしょ?。
成長ホルモンだって出てるって聞くわ。
ミルルは規則正しい生活、早寝早起きを心掛けてるのよ…。
美肌のためにも…もう寝なくちゃ…。
だから、おやすみ…ゼロさん…。
今、眩暈がシテルの…≫

【オレは3日ぐらい寝てなくても…全くだ。
オメエの感性が理解出来ねえ…。
たまには起きても良いんじゃネエか?
色々、オレに聞きたいことはねえのか?】

≪今、何の仕事してるのか…。
ターシャ国はどうなってるのは…。
気になるわよ?

でもね?
完璧なミルルにだって、弱点はあるのよ…。
ふわあ
だから、また明日…。
ゼロさん、おやすみ…大好きよ≫

ミルルは徹夜ラシイ。
仕方ないのかもしれねえが…。
すぐに寝息を立ててる。
いつまで続くのか・…。
オレはまた悪いが…蒸発がしたくナッテル。

旅に出たい気分にもなって来る…。
帰宅後、部屋に到着したら…エロをしようかと誘う暇すら与えてくれねえ。
帰ったらすぐに寝テル。
それもグッスリ嬉しそうに寝てる。
枕は一つを共有して、猛烈に至近距離から…抱擁はされていると言うのに。

これ、試しに…明日も同じように…。
置手紙をすれば…どうなるだろうか?
どうせ、追いかけてくることは分かっテル。
何故か、また懲らしめたい気分にナッテル。
少し、怒っテル。
ミルルにもダ。

いつ察するダロウカ?
ミルルに実験がしたくナッテル。
オレは…現在、偽造貨幣製造工場の仕事へ回されたが…。
熱期になれば…朝5時発バスに乗って、夜9時着バスで毎晩、帰宅コースだ…。
お蔭で…ミルルと全然、進展が出来ねえ。
どう考えても、将軍様の策略な気がしてたまらねえが…。
これは…被害妄想なのか?
アア?


翌日になった。
8月13日ダ。

朝…5時にはバスに乗って出勤だ。
昨日も結局、何もなかった。

オレだけ途中で好き勝手に自由にしてた…。

だいたい、このノリが続いてる。
性的なことは手洗いで自己処理で終わる。
ミルルが寝てるからと言って…堂々と隣で抜くほどオレも図々しくもネエ。

いろいろ考えれば…目に隈が発生して来てる。
考えてることが全く違い過ぎてる。
価値観も違い過ぎる…。
ミルルは予想以上に固いし、潔癖すぎてる。
ミルルはこれで満足してるラシイ。
オレにはターシャ国の恋愛が真面目に不明だ。

この国、全員…軽いノリだ。
ターシャ国ではコレが流行ってるのダロウカ?
ターシャ人は晩婚で少子化ラシイ…。
本気でそうなのかもしれねえ…オレには海外のことはサッパリだ。

ここは平均初産年齢14歳…初婚平均14歳、平均寿命17歳…多産多死な国だ。
全く、価値観がかみ合わない状態が続いてる…。
ターシャ人のことは知らねえが…これが常なのだろうか?
ミルルはこれが普通のようなノリだ…。

この国の人間なら睡眠薬でも盛って…どうせ、強姦でもして終了なのが大半だろうが…。
さすがにそれをする気にならねえ。
ミルルは全く警戒すらしてねえ…。
ガックリ来てる。

何の話かも伝わってネエ。

天然なのか何なのか…上手に交わされている…。
ワザとなのかと疑う域だ。
その手の話になると眠り始めてる…。
既成事実へもつれこむべきなのか…。
寝てる時に勝手にしても良いのか…。
悩んでるが、寝てる時に揺すってみると…。

≪寝てるんだから、止めてよ!≫

と寝言で拒まれてる…。

ずっと、これが続いてる。

今日は、4時半…。
今まで黙ってたことを1ヶ月も経過したことだし…直接、言ってみようかと思ってる。
溜息が出た。
この国では別に直接言わなくても…勝手に、そう言うふうに進んで行く。
そう言うものだと思ってたが…ターシャ人と言うモノは全ての関係において、いちいち確認する人種ラシイ。

≪おはよう!
良い朝だわ。
起きたの?
ゼロさん≫

【オハヨウ】

ミルルはオレの隣にいて、ベッドで横たわってる。
ミルルの伸びた茶髪は今では根元だけ黒く…プリン頭になって…ベッドへ流れるように乗ってる。
ミルルは黒装束の丈が長い衣装を着てる、この国の民族衣装でもある。
オレも同じ服ダ。

≪ゼロさん…。
今日も仕事なのよね…。
えっと、5時発のバスだったかしら?
一昨日が徹夜だから…まだスッキリしないわね?
寝たりない気分よ…≫

【ソウナノか…】

ミルルは涙を瞳に浮かべて、欠伸をしてる。
それからベッドから体を起こし、腕を上へ伸ばした。
まるで、ストレッチのようだ。

≪さすがに徹夜した次の日は・・普通よりも睡眠が必要なのよ…。
アアア…。
で、何なの?
あ…そうよ…。
ミルルの母国、ターシャ国はどうなってるの?
それから…ゼロさんはいつもどこに仕事に行ってるの?
いつだって、教えてくれないじゃない?
フワァ…≫

【それより…他に言うことがあるダロウ?】

オレはベッドに座って、ミルルの瞳を正面から見据えた。
ミルルはまだ眼鏡をしてなくて、焦点があってねえ瞳だ。
どうも近眼の人間は…眼鏡がないと目が泳ぐらしい。
ミルルの肌はここ1ヶ月の間に少しだけすすけた様な肌色へと変貌した。
ここは砂ボコリが酷くて、日差しはそこまできつくねえ。
紫外線は平和国ヴァカンス島の方がずっと多いと聞くが…それでも少しだけ焼けたラシイ。

≪え?
あるかしら?
うん?≫

ミルルは不思議そうな表情だ。
ひとつひとつの仕草が…まるで子供のように幼い。
ターシャ人は幼く見える人種と聞いたことがあるが…こういうことを言うのダロウカ?
オレには分からねえ。

オレは…女とも男とも生きるためなら体を結び…それから買った女からは…子供を付き付けられ、実の娘かどうかは知らねえが…。
育児経験まである…。
それを考慮すれば、ミルルは同じ歳だが、そう言うことはねえだろう。
考え方の一つ一つがミルルの方がずっと幼く感じてしまう瞬間がアル。
これは気のせいなのだろうか?

そこが良いところでもあるが…。
この国の女は全員、金でしか男を判断しねえ。
ミルルは容姿最優先だ。
何もそこら辺に関しては将来について考えてイネエ。
そこが長所でもあるが…。
やっぱり、時々…どこか精神年齢が低く感じる瞬間がアル。
これは気のせいなのだろうか…?

【オメエは天然なのか?
ただの構ってちゃんナノカ?】

確かに、ミルルのアホなところは気に入ってる。
後先を全く考えずに・・・この邪神国へ走ってくるような馬鹿は…絶対に邪神人では存在しねえ。
まだ、4歳児程度の物心さえつかねえ童子なら分かるが…。
17歳にもなって、この危険な国へ走ってくる馬鹿はミルルだけのものだ。
しかも容姿だけで惚れた人間のためにやって来るミーハー女だ。
やっぱり、ターシャ人の感性はオレには分からねえ。

 ≪どう言うこと?
ミルルは…ゼロさんのこと、好きよ。
ゼロさんは…ミルルのこと、どう思ってるの?≫

【ウゼエ…】

オレは確かに…今まで相当、悪行の数々だ。
どこぞから浚った女を国へ渡して、ダルマにして…売り捌く商売から・・。
ありとあらゆることに関して、国のためなら働いてきた。
考えてみれば…。
全く、ミルルとは違う世界を生きてる。
もしかすれば…交わることのねえ線にいる可能性がアル。
ここ1ヶ月、ずっと…理解が出来ねえことの連続だ。

≪そう…。
ミルルとゼロさんは…付き合ってるんでしょう?
ミルルはそう言う認識よ?
だって、ミルルと一緒に寝てくれてるんだもの…。
この状態がミルルとしてはずっと続けば良いなって思うの…。
最近ね?
充実してるの。
ねえ…。
だから、もう…突然、逃亡なんて止めてよね?
どれだけミルルが泣いたか…≫

【別にオレとオメエは交際してネエ】

≪え・・。
嘘でしょう?
だって、一緒に一晩明かす仲なんだもの。
もうミルルの彼氏ってことにしてるわよ?
ミルルはそうよ。
ミルルの中ではそう言う認識よ≫

【オレは…エロするまでは付きあってるって認めねえ。
そう言う人間ダ】

エロしても別に付き合ってるっていう認識でもねえ。
強いて言えば…子供が出来て、初めて…男が認知した場合に限り、夫婦認定される国だ。
邪神国の法律ではそうだ。
それも、重婚も許されてるし…夫婦でも別住居が大半ダ。
邪神人には交際と言う観念はネエ。
そんなものが存在しない国だ。
ここは個人主義の塊だからダ、ある意味…自由な国風ダ。

ダカラと言って、別にミルルを嫌ってる訳でもねえし…。
別に…現在、他へ目移りしてる訳でもねえが。
交際と言う意味も実はあまり…よく分からねえ。
いったい、何が違うのか?
今、こうやっていることが交際と言う概念ラシイ…ミルルは…。

オレの中ではターシャ国人が話す交際と言う単語は…愛のあるエロなのかと思ってたが?
そこも謎ダ。
実は何なのか全く意味不明だ。

オレは確かに仕事でエロや、女を買ったことはあっても…お互い好きでやるエロはネエかもしれねえが。
それなのかと解釈してたが…。
それが正解なのかも不明ダ。
エロがなくても交際なのか?
そこも謎だ。

≪冗談でしょう?
え?≫

ミルルはベッドの上に横になったまま、目をパチクリとした。
信じられないわという…子供のような瞳でだ。

≪そんな不潔だわ。
エロなんてしたら、困るのは女なんだから…。
それならミルルはやっぱり、ゼロさんと友達で良いわ。
で…いつか、時が来たときに恋人になるってことで…。
だめよ、エロなんて…不潔だわ≫

【サヨナラだ】

≪え?≫

【他を当たれ…】

こう言えば…どうなるのか?
とも思った。

エロをしまくってるぶん、エロが気持ちが良いことなら体で知ってる。
とにかく、エロがオレは好きだ。
こういう関係はただ疲れるだけだと思う。
ミルルのことは別に嫌いではねえ。
好みドンピシャだが、オレとは合わねえかもしれねえ。
そんな気さえした。

特にミルルの兄か弟かは知らねえがオレの亡き友は…女好きだが。
オレは5年前、そいつとも関係を持ってる…オレは実はバイだ…。
亡き友に関しては唯一、ヤツは男だったが…ミルルに瓜二つだった…何故か好みだった。
これは公に言ったことねえが…。
亡き友には半分、振られたような心地だった。
そういう心情は体を交わして事後に伝わって来た、ヤツは女の方が良かったと残念がってた。
何となく細やかな表情で伝わった、逆を言えば…オレの感情も奴へ伝わった可能性もアル。
今は奴はあの世だ。

亡き友からオレは名前と戸籍を戴いた。
ゼロ…という名前は、元々…亡き友の名前で。
オレの本名はNo.6668…。
コードネームだった。
この国で名前が与えられるのは特権階級の人間のみだ。
当時は、拾われたナンバーで呼ばれてた。

それが亡き友…将軍様の精子バンクを介した息子、先天性エイズに犯された12歳…当時、オレと同じ歳だった男子、ゼロの名前を…オレは引き継いでる形だ。
ということは、戸籍上はミルルと兄弟になるのかもしれねえが。
全く、DNAに繋がりはねえ。
将軍様がそうして下さった。
オレがゼロを看取ったから、それが…ゼロの遺言で、オレに戸籍をあげろと将軍様へ遺言状を残したからダ。
それから、すぐにオレは軍へ入隊が決定した。
で、今に至る。

自分の戸籍を見たことがねえ。
どうなってるのか不明だ。
戸籍ではNo.6668…が死亡して、それからゼロがまだ生きてるように改ざんされてる筈だ。
しかし、棺桶部屋にオレの亡き友…ゼロの骨が埋まってる。
これだけは事実だ。
亡き友ゼロには…常に感謝はしてる。

しかし、この国…将軍様は本気でやりたい放題だ。
戸籍の偽造から…偽造パスポート・…。
それ以外にもいっぱいある。
戸籍なんてあってないようなものだ。

しかし、ゼロの戸籍は物凄く役に立ってる。
軍に入れたのはそのお蔭だからダ。
戸籍すらない捨て子のままなら…ずっとあのままだった可能性すらアル。
実母が外人と売春して生まれた子で路上に捨てられたばかりに…オレには戸籍が存在しねえ。
当時は庶民以下の生活だった。

そこから政府に拾われて…売春で生活費を稼ぎ、税金を納めろと教育された。
大変だった。
まだ物心が付く前から売春ダ、文字も読めねえ頃からダ。
意味が分からない時代もあった。
それも割りと客は女より男が多い、12〜13歳以下の男子に関しては…ニーズはそちらにある。

金持ちの奥様もあったし、やはり…旦那様もあった。
疑問に感じることなく淡々と毎日、作業をこなしてた…。
高額稼げる仕事と言えば、それぐらいだったからダ。
熱期に冷房のない部屋でなんて暮らしてたら…死ぬしかねえ国だ。
なんとしても、冷房完備の部屋を借りなくてはならねえ。
この冷房が…この国では贅沢品だ。
電気事情でだ…。

軍に入ってからはそれはなくなったが…。
意味を理解してからは…ゲンナリもして来る。
そう言うものだ。
まさに暗黒時代だ。

ターシャ人では理解できねえ筈だが…割りと邪神国では普通だ。
しかし、一応…平均寿命まで生きれたことは感謝してる。

実は今になって、自分がバイなのか…謎にナッテル。
あれはまさか、政府から疑問を感じねえうちから働かされてたせいで洗脳されてたのかとも。
やっぱり女の方がどう考えてもオレは良い。
最近、そう感じる。
女体の方が好きだ。

暗黒時代には記憶の蓋がしたくなる…。
まだ、繋がらねえ記憶もアル。
勘では何かしまくったと思う。
いっぱいあったと思う。

政府から頼まれて、拉致した女をダルマにして売り捌く商売…。
これ以上にあくどいこともしたかもしれねえ…。
記憶の空白が物凄くある。

それ以外にも…臓器転売のために…。
生まれてきた戸籍のねえ子供を外国へ売りさばいたり…。
これも政府からの仕事だ。

ほかにもある…低脳なるターシャ国の男共へネットを介して勧誘をしたこともだ。
大抵、馬鹿は@女が抱きまくれるA人殺しが出来るB人を殺せば金が入る、自分は死なない。
この3箇条をチラ付かせれば…モテない奴らは走って来る。
裏で邪神人がターシャ人をアザ笑ってることには気が付いてネエ…。
そう言う風潮もアル、この国では…ターシャ人は人畜タと貶しマクッテル。

将軍様はミルルにだけは甘いが…。
最近に入って、やっとミルルを…宮廷の特に男性連中だけ認めつつあるが・・。
逆に邪神人はターシャ人にとって、邪神教だけは結婚の際に嫌がられるとも聞く。
ミルルが無信教なのは幸いだ。
お互いに根強く差別が存在スル。

今更、邪神人がターシャ国へ行ける訳がねえ。
誰一人、この国から亡命なんて果たせた人間はいねえ。

ミルルだけでも出て行くのは至難技だろう。
ミルルはまだ、この国の実態については知らねえ状態だ。
クーラーの効いた棺桶部屋に隔離されて、生暖かく政治学の本と歴史書を読んでる。
実際はえぐい。
知れば知るほど、将軍様が無償で返還するとも思えねえ。

オレとしては思い出が欲しいのが本音だ。
ミルルはターシャ国へ…この国の情報を何も知らないうちに、返還をされ。
オレはこの邪神国で生きる。
その前にエロがしたい。
そんなふうに感じてる。
将軍様が邪神人を外へ出す訳がない。
それは国民全員、知ってる。

オレとしては、ミルルが平和国で女優になるのを応援する気だ。
そうすれば、平和国のヴァカンス島へ行った際にはスクリーンでミルルが流れるだろう…。
潜水艦、邪神号がよく麻薬と小麦、砂糖変換のために…平和国ヴァカンス島へは走る。
それぐらいしか案がねえ。


☆☆☆

アイツはエロさえ出来れば誰でも良いヤツだ…とまで、他人から言われてるが。
確かに…仕事で老若男女問わず、金のためなら割り切ってエロをしてきた。
その方が高額稼げるからダ。
しかし…実は、オレにも好みは存在してる。
エロは気持ち良くても生理的に受け付けねえ人間もいっぱい今までいた。
そう言う人間とした時は最中は元気だが…事後、調子が悪い…オエッとなりかける…。
金はいただけるが。

ミルルのことは亡き友ともソックリで、好みドンピシャではあるが。
抱けばどうなのかと興味しかネエ状態だ。
真面目に疲れ果ててる…肉体関係を最初から期待シテル。

☆☆☆

オレは溜息を吐いた。

しかし、事態は最悪へ向かってる…。
将軍様がミルルを寵愛しすぎて、手放さない状況へ突入してる。
このままではミルルは戻れねえ可能性が高い。
どの道が良いのか…。

≪ちょっと待ってよ…。
そんな…。
でも、友達として、これからも一緒に添い寝してくれるでしょう?
ゼロさんの中では添い寝は友達なんでしょう?
ミルルはそれで良いわよ≫

【もう、友達も終わりダ】

≪ええ…。
そんな…言ってる意味が分からない…。
じゃあ、何なの?≫

ミルルは必死にオレへ甘えて来る。
抱擁して、ミルルの柔らかい体も伝わる。
エロが気持ちが良いことなら知ってる。
しかし、考えてみればお互い好きでエロをした経験だけがねえ。
そこが心残りでもある。

【永久にサヨナラだ】

これは嘘だ、どうせこう言えば…走って来そうな性格だ。
困れば良い。
それから別に強姦してまで思い出が欲しいとも願ってはねえ。

≪そんな…冗談でしょう?
だって、ここは王宮で…ゼロさんも王宮にいるんだもの。
すぐ会えるわよ。
ミルルが根性さえ出せば、すぐに走って行けるから。
それとね…ミルルはね、来月…誕生日なのよ…。
祝ってくれないの?
ねえ、ゼロさんの誕生日はいつなの?
友達なんだから・…それぐらいミルルに教えてくれるでしょう?≫

【そんなこと聞いてどうする気なんだ?】

≪だって…ミルル、ゼロさんの情報なら何でも聞きたいわ。
これからも末永い付き合いになるって信じてるから。
エロは確かに無理だけど…きっと、続くから≫

【ウゼエ…】

≪誕生日ぐらい教えてよ?
だって、ゼロさん…仕事で忙しくて全然、会えないじゃない?
気になるわよ…。ねえ?≫

【ちょうど8月上旬、熱期ぐらいに政府に拾われた…。
実際、生まれたのは7月ぐらいらしい…。
オレもあまり誕生日なんて知らねえ。
別に祝う習慣は邪神国では存在しねえ】

≪そうなの…。
うーん…。
じゃ、ゼロさんの誕生日は7月ね?
もう終わったわね?
来年の7月になったら…ミルル、考えても良いわよ?
キスぐらいなら…。
それまでは添い寝で…≫

ちょっとココでさすがにブチ切れかけた。
可愛さ余って憎さ100ダ。
少しは反省しやがれ、ボケナスが。

【サヨナラだ、バイバイ】

≪え…。
待ってよ…。
邪神国流のジョークでしょう?
だって・…ミルル、エロが怖いのよ。
だって、嫌なの…。
不潔だわ。
無理なの…≫

【サヨナラ、ジャナ】

いろいろ聞いてて、やっぱり呆れた。
残念だが…ターシャ人の価値観には付いていけねえ。
オレなりに疲れ果てた。
常にこの調子で交わされてる。

ターシャ人は固すぎる、これではターシャ人の男性連中がエロ求めて走ってくるの も頷ける…。


そろそろ、送迎バスも来てる筈だ。
疲れたから、もう絶対…1週間ぐらいはミルルも苦しめば良い。
オレと同じ苦しみを味わえば良い。
眠りにくいならそれでも良い。
ちょっと、ムカついてる。

オレは逃げ足だけは誰よりも早い。
今、走れば…一番乗りだ。
列に並ばなくて済む、部屋はすぐ出て、エレベーターに飛び乗った。
ミルルが来る前に、エレベーターは”閉”ボタンを押して、溜息を吐いた。
そのあと、王宮の中庭…水色で塗装された建物、男性寮前に黄色い3階立てのバスが停留してる。
それに乗車した。
バスに座ってると…きっと、ミルルが来るだろう。
視界に入れないために窓にはカーテンをした。
ここで、寝さしてモラウ。

茶番劇に付き合うのも疲れ果ててる。
文化の差が違い過ぎて、頭がクラクラして来る。
1週間ぐらい経過してから、コッソリ様子でも見てやっても良い。

さすがに、ここまでハッキリと今日は言った。
それであの対応ダ。
しばらく悲しめば良い。
頭を冷やして、ちょっとは…反省すべきだ。

☆☆☆

まだ、バスの運転手以外誰もイネエ。
バスの1階の最奥へ座った。
冷房が効いてるのが救いだ。
朝だと言うのに35℃は越え、砂埃の強風で強化ガラスは曇ってる。
外の庭園には何も生えてネエ。
これは邪神国では植物が育たねえ環境だからダ。

しかし、この庭園にはオアシスがある。
そこには巨大な泉がある。
泉は真水だ。
王宮は邪神国唯一のオアシスにある。

そこで軍事養殖班が淡水魚、淡水貝の養殖を出来るかどうか研究を重ねてるラシイ。
成功することを祈ってる。
魚も水温が35℃を越えると弱って来るらしい。

☆☆☆

にしても…。
ミルルの件について…。
このままではヤツはターシャ国へ帰れねえ可能性が高い。
ノアが言う話もなんだが…。
ミルル女帝推しにした方がオレとしては得策なのか?
意外な話だが…。
ミルルを見た途端、工場内の男性連中は大歓喜だ。
ちょっとしたアイドル状態にナッテル。

ミルルを殺そうと策を凝らしてた同僚も考え直しつつあるらしい…。
そこは良しとするが。
どうなるかは分からねえ。

一番はイチ妃と二妃が問題だ。

毎日、オレだけいろいろ考えてる気がスル。
ノアは自分のことだけで精一杯で…冷房完備の部屋のことしか頭にネエ。
ミルルはあのノリだ。

☆☆☆

その時、強化ガラスの向こうからミルルが走って来るのが見えた。
足はオレの方が数段、早いラシイ。
オレはカーテンは閉めた。

どうせ、門番が
〔ここは男性用のバスなので…ミルル様は顔のフードをして、王族の部屋へ戻られますように〕

と言うはずだ。

あの門番ですら、ミルルのことに関しては喜んでる雰囲気だ。
邪神人にとって、ターシャ人は新鮮ラシイ。
特に工場勤務の人間はターシャ国や平和国にも渡来経験がねえ。
猛烈に異国を感じるのか…強烈に喜びまくってる。
急にミルルを殺す案が消えたところは良しだが…。

問題は、強姦の恐れが…ある。
この国では普通だ。
強姦された方が負けと言う風潮だ。
それが嫌な女は逃げまくる。

それから、強姦された後に子供が出来て、男が認知したら…結婚成立というスタイルだ。

ミルルに一回、説明した方が良い気がスル。
この国のことを何もわかってネエ。
ノア辺り、説明してると思うが…。
そこは不安の種だ。

仕事中も基本、男女共にすることはねえ。
工場内でも男女は別に働いてる。

庶民の女はあまり外を出歩かねえ。
フード外して歩いてるのは売春婦ぐらいのものだ。
大丈夫ダロウカ?
まあ…ミルルは、どうせ牢屋の鉄檻を変形させる並みの脚力があり、将軍様ですら恐れてた。
大丈夫ダロウ…。

もうそろそろ5時だ。
出発の時刻だ。
バスに同僚が乗り始めた。



@[おいら、イチミル派だったべが…ミルル様は邪神国の花だべ。
殺さんと決まったっぺ。
しかしな…イチ妃様がうるさくて困るべ。
ヒヘヘヘヘ。
イチ妃様も嫉妬してるべ。
ミルル様の方がずっと綺麗だべな?]

スキンヘッドとサングラスを光らせて、ワンはニヤニヤ笑ってる。
5つ子は真面目に…黒装束衣装に名札がないと見分けがつかねえ。
サングラスなんかで顔を隠すから余計ダ。

D[ゼロ…昨日、したのは…別れ話タイか?
そうタイか…。
それは良かったタイ。
いやあ…ボカア、良いモノ見たタイ]

C[おいら、ビックリケン。
今日もミルル様がフードを外して…。
バスの前にいたケン。
本当、やっぱ癒されるケン。
あの黒装束脱がしたら…どんな体なんだケン?
ターシャ人はやっぱ、違うケン。
皮膚も髪も]

A[ボクチンはニミル派だけどニャ‥。
同じサ…。
全く、殺すのはダメさ。
もったいねえサ。
しかし…ニ妃様が鬼のように怒ってニャ。
収拾付けられニャくてサ。
ミルル様の壁画をロビーに飾るべきニャサ]

B[ワイ…もうミルル様派に決定したさかい…
ミルル様グッズを売り捌くことを決めたサカイ。
きっと、売れるサカイ。
これからミルル様派をつくるサカイ。
サンミル様は今やあの世…。
悲しいけど…。
将軍様の子供じゃなかったサカイ。
ミルル様派があっても良いサカイ?
ゼロにやり捨てられて可哀そうサカイ。
慰めるサカイ]

A[子供が出来なくて良かったサ。
ゼロではさすがに合わないサ。
将軍様も子供が出来ることだけは困ってたサ]

C[ミルル様、ボタボタ泣いてるケン。
うん、アア言うタイプも良いケン。
ミルル様を女帝にするのも良いケンが・…。
しかし、それをすれば…高嶺の花になるケン。
どうにか邪神国の庶民の戸籍だけミルル様に与えて…。
一緒になれたらいいケンな?
おいら、外人の嫁も良いケンよ?]

D[そうタイ。
確かに…女帝になったら、ミルル様…他の人へ嫁ぎそうだタイ。
うーん…。
やっぱりノア大佐の言うとおり、ミルル様女帝は止めて…。
ミルル様の位を敢えて低く下がらせるようにするタイ。
それから、ボカァの嫁にするタイよ?]

A[ボクチンの嫁ニャさ]

@[オラの嫁だべ。
ま…確かに地下牢で囲うよりその方が現実的だべ。
で、ミルル様の位…今より下がるっぺか?
将軍様、ミルル様を滅茶苦茶気に入ってるっぺ?
あれ、どうするっぺか?]

A[困ったサ…。
将軍様がまさか、あそこまで寵愛なさるとは…。
ボクチン、困ったニャサ]

恒例の下ネタになってる。
常のノリだ。
目を閉じて、寝ることに決めた。

隙間時間にオレは寝てる…。





































 

 










 



















ゼロD


目次

<2章>ミルル@










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