アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ゼロD

【ゼロ視点】

仕事が終われば、3階建ての王宮行き送迎バスに乗る。
時刻は8時半を回る…熱期は日が完全に落ちてから送迎バスは出発する。
バスの中では冷房が効いてる…。
全員、死んだように帰りは大人しい。
最近、体がなまってる…。
しかし…邪神国にはさすがに昼間、60℃を越える中…歩こうと言う馬鹿は存在しねえ。
邪神国は通常ではねえ暑さだ。
例えてみりゃ、ターシャ国で銭湯にあったドライサウナ60℃がまさしくそうだった。
母国を一瞬、思い出した瞬間だった。

あれで一時間、肉体労働はきつすぎる。

バスから見る景色は…外は街灯すらねえ真っ暗闇だ。
夜は…邪神半島から海を眺望すれば…平和国のヴァカンス島のネオンが遠目に分かる。
あちらの方は明るい。
夜のない街と呼ばれてる。
カジノなども向こうでは揃ってて、バニーガールが酒場にいる繁華街だ。

平和国の女は高すぎる…こっちの従軍慰安婦の値でいえば、15倍だ。
別に女遊びしたことねえ。
物価もそれぐらい違うはずだ。
ターシャ国とここでは物価は10倍違いだ。
平和国は更に一括千金…夢の都市だ。

逆に平和国から邪神国へ闇のルートで女豪遊旅行へ来る観光客がたまに存在するらしいが…。
治安はここは最悪すぎる…。
外人と出くわした経験がねえ。
外人はほぼ、お忍びで…女だけ空港で買って、それから平和国へ帰るルートラシイ…。
恐らく、それが俺の父も同じようにココで遊んで…逃げて帰ったと聞いてるが…。
17年間、生きて来て・・この国で外人と遭遇したことがねえ。
どうやって、観光へ来てるのか…。
邪神人ですら謎だ。
本気で俺の実父は…外人なのか?
謎だ。

平和国へ行くたびに…昔は、父親の陰を探しそうになった時代もあったが・・・。
母親のことは、空爆で街を消滅させてから知った…。
碌なことがねえ。
もう、探すのは止めた。
その証拠に、ミルルの精子バンクの父ですら…これだ。
お蔭でミルルは…いろいろなことに現在、巻き込まれてる…。

真っ暗闇に邪神海が輝いてるのが…バスから映る。
バスの向こう側…泳げるぐらいの距離に平和国ヴァカンス島がある。
国境の邪神半島は死体の海だ。
全員、亡命を失敗した人間の残骸だ。
ユラユラ向こう岸のネオンが光ってる。
バスの窓は強化ガラスだ。
砂嵐で普通のガラスなら割れるからだ。
窓は灰色に曇ってる、これは砂だ…それから空に浮かぶ月は砂のせいで、灰色に濁ってる。
割りと大きい月だ。

しかし、邪神海はあまり…良い匂いがしねえ。
ミール貝の腐敗臭もアル…この熱期に、どうしても大量絶滅の危機にさらされる。
軍事養殖班は大変な筈だ。

最近、平和国のヴァカンス島へ麻薬密売のために潜水艦…邪神号に乗らねえからつまらねえ。
あれも一種の余暇ダ。
麻薬を向こうで売り捌き…それから交換条件として、小麦をかっさらって来る。
この邪神国には小麦すら生えねえ。
それから、平和国ヴァカンス島の名産は…砂糖キビだ。
砂糖もついでに頂いて、邪神号は邪神国へと帰還する。

帰りが、白い粉だから…新米捜査官は麻薬と間違うヤツもいる。
帰りには小麦と砂糖に変換されてる。
逆を言えば…王宮の冷房完備の植物園では大麻しか栽培されてねえ。
我が国は真面目に食糧に乏しい国ダ…60℃を越える時期に外ではほぼ全滅に至る。
将軍様が他の大地を求めて、戦争を希望するのも理解できねえわけでもねえが…。
ミルルの国・・ターシャ国と戦争になんてなったら、どうなることかと思う。

元々、ターシャ国の大罪人が人間が住めねえような大地、邪神国を開拓して…。
原住民はほとんど、殺して…栄えたのが邪神国の始まりだと。
邪神教の聖書では載ってる。
確かに、この国ほど暑い国をオレは知らねえ。
世界一暑い国かも知れねえ。
実はギネス記録も更新するんじゃねえかと…時々、邪神人と話題になるぐらいだ。
世界中から危険区域に指定されてて、ここへ外人が来ねえから…この暑さは伝わらねえダロウ。

地面はひび割れてる…。
60℃とは線路すら溶かす温度だ。
アスファルトは亀裂が入り…まるで火星のように凸凹して、クレーターに地面がなってる。
毎年、熱期になれば…地面が変形する。
昨日と形が違うことはザラだ。

☆☆☆

そろそろ体も元気になったし…この休日すら存在しねえ偽造貨幣工場から抜け出してえ気分になってる。
平和国ヴァカンス島の街並みを観光するのも割りと楽しいからダ。

まだ、あの麻薬密売のための潜水艦…邪神号仕事の方が、熱期に長期余暇があった。
この仕事は確かに楽だが…休日が存在しねえ。
やはり、将軍様が…仲を引き裂いてるような気がしてたまらねえのは…被害妄想なのか?
色々考えてるうちに…バスでは熟睡へと落ちて行った。

☆☆☆

時刻は9時になった。
送迎バスが王宮のゲートを越えて…水色に塗装された館…王宮職務男性寮へ停留する。
全員が欠伸をして、バスを下車する。
窓の外にいるのは…やはり、知人だ。

本気でその元気を別なところへ使うべきだと感じる。

≪この送迎バスは、朝5時…夜9時なんでしょう?
さあ、ミルルの部屋に戻るのよ!
今日は一緒に寝るのよ!
ほら!≫

オレがバスを降りる前からウルサイ。
オレがバスのドア階段から下りて、着地するなり…ミルルはニコヤカに笑ってる。

≪待ってたわよ?
ミルルから逃げる気?
無理に決まってるでしょう?
ほら!≫

ミルルは黒装束の頭フードを被らず、顔が丸見えだ。
茶髪で染めた髪は根元が黒く…強風に揺れて揺れまくってる。

黒い瞳に黄色人種特有の白めな肌…それから眼鏡と細い鼻筋に薄目な色味が薄い唇。
最近、少し日焼けをしたみたいだが、それでも邪神人に比べるとやっぱり人種差を感じる。
若干、将軍様よりは堀が浅く、平べったく感じる感想だが…それがまた異国情緒が漂ってる。

ノアも軍事内ではオレは全然、納得いかねえが…人気がアルラシイ…。
アイツ、何考えてるか…分からねえ女だ、すぐ寝そうだ…それでも軍人仲間は良いラシイ。
オレの仲間連中が言うには…高額じゃねえと寝てくれねえらしい、ノアは…。
最低1回100万邪$と滅法な額を言い渡されて、奴らは泣き寝入りをしてるラシイ…。
軍人ではねえ、高級職の役とも関係を持ってた噂が去年頃、流れてたらしいが…。
その後、どうなったかはオレは知らねえ。
100万邪$は…貧民の年収ダ…。
…しかも幻の地酒、黒邪神パンが1本買える金だ…。
異常にガメツイ商売をシテル…。

オレも人のこと、言えねえが…。
ノアとオレは全く合わねえ…敵に近い。

オレはノアの人生は知らねえし、いったい…何人と寝て来たのかも知らねえが…。
どうせ、オレと少し似てる雰囲気が漂ってる。
ノアが、この軍事に入って来たのは…亡き夫が軍の者だったからと言う話は風の噂で聞いてる。
ノアは庶民出ラシイが…、

ミルルは人種差も手伝い…ジャンルが違ウ。

肌質と髪質…それから、肌の色が全く違う、ここでは常に浮く。
周囲の邪神人男性連中が、好奇目線で見るのは…仕方ねえ。
ただでさえ、ミルルは母国…ターシャ国ですら女優として活躍してる域だ。
しかも、将軍様の顔立ちに似て…どこか高貴な雰囲気が漂って見える。

客観的に眼鏡をして美人なのはミルルぐらいなもので、あれを外せば…まあ、この国では特上だ。
全員が密かに見とれてるらしい…。
ココラ辺はターシャ人も邪神人も美的感性は同じナノカ…と納得するところダ。
国が違えども、お互い…感性はどこか似てる。

ミルルは盛大にオレへ抱擁してるが、全員の視線が痛い。
さっきまで欠伸をしてた男連中が物珍しそうにミルルを眺めてる。

≪帰るわよ!
ミルルを捨ててどういうつもりなの?
ミルルが何のために邪神国まで走って来たのか意味がなくなるじゃない!!
怒ってるわよ!
ミルルは絶対にあきらめないからね!≫

【ダリイ…】

全員、ヒソヒソ声で何か言えば良いものを…。
何故か、また停止してヤガル。
ミルルがあまりにも怒り狂ってるからダ。

≪どうしてなのよ?
ミルルの何が悪いわけ?
ミルルは毎日、物凄く頑張ってるわよ!!
ほら、帰るわよ!
帰って来てよ、お願いよ!!≫

ミルルは怒って半泣きになってる。

≪あんまりだわ!
ミルルのこと、どうでも良いの?
どうしてよ!!
添い寝だけで良いから…帰るのよ!
ほら、待ってるわよ!≫

ミルルは号泣してる、オレに必死で抱擁してる。
送迎はありがたいが、視線が痛い。

@[ゼロなんかのどこが良いか、オラ…知らねえべ?…。
ゼロ、ミルル様に折れてやれっぺ。
可哀そうだべ。
泣いてるべ。
ヒヘヘヘヘ]

D[ビっくりしたタイ。
ゼロのどこが良いか…ボカァ、分からんタイ。
もしかして…ミルル様、ゼロを陥れる演技タイか?
ミルル様は女優志願者らしいタイ。
まあ、ゼロ…。
ミルル様に従ってやれタイ]

C[ゼロのために走って来たケンか?
本気ケンか?
おいらにはサッパリだケン・・。
他に魂胆があるケンよな?
女帝になる話は…どうなんだケンか?]

A[困っったサ…。
ミルル様が泣いてるニャサ…。
慰めるさ。
ミルル様、別れたら…次の人サ。
邪神国にあるコトワザさ。
ボクチンの言うとおりサ]

B[ワイ…ミルル派に付くって今、決めたサカイ。
にしても、ゼロ…。
ミルル様、捨てとんのか?
コイツ、最低やサカイ]

好きなように勘違いされてる。

≪お願い…一緒に寝ましょうよ…。
ミルルの何が悪いって言うの…?
責めて、添い寝で良いから…。
ゼロさん、お願いよ…。
どうして、ミルルを…。
ゼロさんは拒むの?
サヨナラなんて…酷過ぎるわ!
ゼロさんには血も涙もないの…。
ミルルがどんな思いで…邪神国まで走って来たと思うの?
酷いわ!
ゼロさんって≫

ミルルはオレにしっかり抱擁して、本気で泣いてる。
全員が面白そうにオレ達を見てる。

@[酷いっぺ。
ゼロ、ミルル様を捨てたべか?
王族をやるだけやって捨てるなんて本当に最低だべ。
泣かすんじゃねえっぺ…。
ミルル様、次の人行くべきだべ。
ヒヘヘヘヘ]

ワンはサングラスを光らせた、スキンヘッドが更に光ってる。

D[ミルル様、確かにゼロは最低だタイ。
ビックリしたタイ。
ゼロ…そんな理由で…昨日は寮へ泊まったタイか?
ミルル様、コイツは忘れて…次、行くタイ。
他にも男はいっぱい腐るほどいるタイよ]

C[そうだケン。
オイラ、イチミル派だケンど…ミルル様、捨てないケン?
オイラでどうかって思うケン?]

A[ボクチンは…ニミル派サ。
しかし、ミルル様…泣くニャら…ボクチンが相手しても良いニャサ。
きっと次の人へ行けば…世界が変わるニャさ]

B[ワイ…ミルル派になること決めたサカイ。
ワイとかどうサカイ?。
ゼロはもう諦めるべきやサカイ?]

≪ゼロさん…。
どうしてなの?
ミルルは次の人に行くべきなの?
嫌に決まってるでしょう?
なんで…。
サヨナラなわけ?≫

この会話、どう聞いても…傍から聞けば…ヤルだけヤッテ捨てたようにしか聞こえねえ台詞だが…。
オレはそもそもやってねえ。
それをミルルは否定すらしてくれねえ。
絶対、これはまた悪い噂が流れるに決まってる。
これはまさか…ワザと、オレが突然去った復讐のためにミルルがしてるのか?
コラ?

【ウゼエ…。
場所移ス…】

非情に罰が悪イ。
勝手に噂に尾ひれが付いてるラシイが…。
弁解するのも癪ダ。

ミルルは涙をボタボタ流して、オレの胸元に顔をうずめて…それからオレへ抱擁してる。

≪今日は一緒に寝てくれるの?
ミルル、嬉しい。
待ってたから!
ゼロさん、ありがとう!!
好きよ、ゼロさん≫

ミルルは涙を流して…嬉しそうに、オレの掌を握り締めて…忙しい。

≪ミルル、ゼロさんの掌・…触ってるの、好きなのよ!
ほら、ミルルのいる部屋に帰りましょう?
ノアには帰ってもらうから!!
ゼロさん、優しい。
ありがとう≫

【ウゼエ…】

@[なんだべ?
元の鞘に戻ったべ。
オラ、つまんねえべ。
まあ、ゼロは基本…来るもの拒まず去るモノ追わずだから…仕方ねえべ。
ヒヘヘヘヘ。
しかし、別れても別に良いべ]

D[何の話をミルル様の部屋でするタイ。
別れ話タイか?]

C[なんだケン?
ゼロ…優しくミルル様は振るケンよ。
オイラ、イチミル派だケンど…ミルル様、慰めるケン]

A[ボクチンは…ニミル派さ。
でも…ゼロが振るニャら…考えがあるニャサ。
ミルル様、大丈夫さ。
腐るほど、王宮に男はいるサ]

B[ゼロは確かに酷い男やさかい。
前は…同僚を突然、発狂して…任務中に殺害したサカイ。
こんな男、あかんサカイ。
他に見付ける方が良いさかい。
ワイが良いサカイ。
ミルル様、見る目ないサカイ]

C[そうだケンよ?
ミルル様の力で牢獄から戻って来たケンが・・。
本当なら死刑執行囚だケン。
今頃、あの世にいた筈だケン。
他にした方が良いケン!]

D[この国で殺人は合法タイ。
しかし、将軍様お抱えの軍相手になれば…話は変わるタイ。
別に死刑囚や民衆は殺しても良いタイが・・。
将軍様への反逆罪だけが死を持って制する刑だタイ。
他は全て合法だタイが…。
将軍様もミルル様には甘いタイ…ボカァ、そう感じるタイ…]

全員が…ミルルに会う前までは…。
死刑囚を無罪に変えた突如現れたミルルに対して…反抗的で。
殺そうかと言う話まで…聞こえて来てた。
しかし、今…悩んでる雰囲気だ。

確かにオレも悪かった…周りを巻き込んで、自殺を図ったらしい…。
記憶にネエが、錯乱した時にそうなったラシイ…。
ノアの薬のせいだと信じてるが…。
これは、どうなのか…謎すぎる。
しかし、そうかもしれねえ…。
死ぬ勇気がねえから、殺人をして…ワザと牢獄へぶち込まれするために犯行した気もする…。
オレは悪人ダ。
鬼教官…殺したかもしれねえ。

☆☆☆

---[良いか!?
 
邪神国は男尊女卑が酷くて女子は文盲だ…。
 せいぜい、将軍様に目を付けられなければ…。
 あとは踊り子か…。
 それもダメなら・・・。
 芸能人か…。
 残った人間は…売春婦の道ぐらいだ…]---
 
---[成績上位者には…17歳でターシャ国へ留学生として飛んでもらう…。
 もちろん、スパイ目的でだが…。
 それまで4年はある…。
 成績最下位者…それか、自殺志願者…あとは…偽善者面した死刑囚には…自爆テロへ回ってもらう…肝に銘じ解け!
 
オマエら、男は…さあ。
 今日、今、この大罪人…偽善者の死刑囚をマトに発砲をしろ!!
 度胸を見せてみろ、将軍様への忠誠心をだ!]---
 
---[この国罪人が!
 今から、公開処刑を実行する!]---

---[さすが、ゼロ…勉強だけでなく。
 射殺すときも冷酷に…忠実にことを終えてる…。
 即死だ、あれなら…苦しまずに死んだだろう…スパイとして上出来だ]---
 
---[しかし…間違ってる!
  殺すときは…もっと苦しめろ!
  敢えて…即死を避けて…生きながらみじん切りにするくらいで良い!
  分かったか?]---
 
---[そこは減点だ!ハハハ。
 それに対して…オマエの前のヤツ…。
 泣きやがった…。
 これでは私の価値が下がる…どれだけ低脳な生徒を持ってるかと…。
 将軍様に蔑まれる…。
 私が選抜して入れた生徒なのに…度胸すらないなんて!
 これでは危ない…私の職が!!!!]---
 
---[本当に将軍様の精神を分かってない不届き者には制裁を!
 泣いたヤツにも命は奪ってやった、ハハハハ。
 これで将軍様にも私の能力が認められる筈だ…。
 劣悪遺伝子を淘汰するそれこそ、私の存在意義だ!
 あと、この訓練場は私の縄張りだ…ここで私の掟を破るモノには…制裁を!
 私のテリトリーが汚れる!
 ウハハ]---
 
---[殺した人間が実は生きていたなんてオチが一番、私にとっては最悪だ!
 悪夢も良いトコだ!
 全員、笑え!喜劇だ!
 泣いた者は次の殺しのターゲットだ!!!]---
 
---[次、撃て…]---

---[どうした?
 顔が真っ赤だ…]---
 
---[毎年、入学早々、こんな弱いヤツがいやがる!
 今日は…何人、死にやがるか…ヒヒヒヒヒ!!
 この訓練場は私の縄張りだ!
 このテリトリーでは私の規則に従ってもらう!
 これで私の能力値が将軍様にも認められる筈だ!
 それこそが私の存在価値だ、ハハハハ!!!]---

こんなことばっかりしか言わねえ奴だった…、国では優秀なエリート教官だったが…。
最近、全く会わねえ。
眼の下に大きな隈、それから顔には深い傷を負い、目付きが悪く…口が裂けた…容姿まで兇悪な教官だった。
顔の形は逆三角形で、坊主頭だった。
常にエリートの証拠である、将軍様と同じ灰色の軍服を着て、この調子だった。

鬼教官とは…。
ターシャ祭り前で爆破テロを起こすため、ターシャ国へ留学生として派遣され…。
その際、ミルルと遭遇し…その容姿のソックリさに驚愕し、ミルルの父親の件について…調べた際に。

〜少し詳細に調べろ。
 事と次第によっては…一大事でもある…。
 容姿は…将軍様に似てるのか?五体満足か?健康状態はどうだ?〜

〜将軍様は自分の容姿に似て…五体満足で健康な子供を望んでらっしゃった…。
 ただちに、調べ上げろ…。

 それと、もし将軍様の子供であった場合は・…。
 近々、開催される…ターシャ祭りのパレードで起こす予定のクーデターで怪我をしないように警備しろ…。

 調べた結果をこちらへ回せ…。
 話はそれからだ。
 もし、将軍様の子供であった場合には、この件を私が将軍様に取り次ぐ、ウホホホホ〜

こんなメールをしたことを最後に…。
一度も会ってネエ。
まさか…ヤツを殺したのだろうか…?
前から合わねえヤツだとは思ってた…。
しかし、邪神国では有名すぎるエリート教官だった。

記憶が曖昧だ…誰を殺したのかも謎ダ。

☆☆☆

≪ねえ?
ゼロさん…ミルルと一緒にお部屋へ行きましょう。
今からミルルはゼロさんとイチャイチャタイムなの!。
ポケーと見ないで…去ってくれるかしら?
そこの人たちは…!

ミルルは…嬉しいわ。
今日はぐっすり眠れるわ。
昨日はストレスのせいで…全然、眠れなくて・・。
今日はご飯も食べれなくて…。
ミルル、辛かったのよ、ゼロさん…≫

【ウゼエ…】

オレはそもそもやってネエ。
ココで発言すべきだが。
もうキズモノになった話にしてしまうのも、逆に良いかもしれねえ。

≪ミルルが悪かった。
悪いところがあったら、治す。
何が悪いのか謎だけど…ミルルは謝るから、許してほしい。
ゼロさん、戻って来てくれてありがとう。
昨日からずっとショックのせいで・…おなかの調子も壊すし…泣いてたのよ?
昨日は一睡もしてないし、昼寝も今日は出来なかったんだから、ストレスのせいで…。
帰って来てくれて…ミルル、嬉しい…≫

この調子で、ミルルが暮らす部屋…6階最奥の棺桶部屋に向かうことになった。
ミルルはその間、とても嬉しそうにオレへ抱擁してる。
どう見ても、これから事に運ぶとしか思いようのない態度だ。
また少し期待が上がるが。
今日はどうなるのだろうか?
少しはこたえただろうか?
ミルルは反省をシテイルラシイ…。

将軍様にばれない様にしなければならねえ。
これ、ミルルが嫌がってるのに…すれば。
まさか…処刑なのか?
そんな訳はねえが…。

ということは…あの場で、オレはしてねえと、同僚共の前で…身の潔白を告白するべきだったのか?
アア?
しかし、一瞬・…違うことを考えてたのも確かだった。
つーか…あの瞬間、思考力が止まってた。
全員がオレを責めてたが…否定するのも面倒臭いと感ジタ。

いろいろ頭で考えてるが…何故か、今も思考力が落ちて来る。
ミルルはその間も猛烈にエレベーター内部ですら触りまくってる。

≪ゼロさん…結局、どうして…ミルルから突然、離れたの?
ミルル…悲しかったんだから…。
ちょっと、今は安心したし…。
急に眠気が…。
今日はとてもすぐに眠れそうよ…。
昨日は大変だったんだから。
突然、何も言わずに逃げるなんてこと、止めてよね?
あんな置手紙心臓に悪いんだから!
ミルルだってね?
傷付くのよ?
ミルルのこと、鋼鉄のハートって思ってるでしょう?
もっと、ミルルのことを労わってよね?≫

ミルルはオレへ泣いて怒って忙しい。

≪ミルルはね…。
ゼロさんのこと、気に入って好きなんだから。
触ってるとホッとするのよ。
逃げないでよね?
添い寝だけで良いのよ?
それぐらい出来るでしょう?
ミルルの何が悪いって言うの?
こんなに素敵な女性いないわよ。
成績優秀で容姿端麗、運動神経抜群…しかも度胸もあって…身持ちまで固い。
ここまで来たら、貶すところなしでしょう?
それなのに…逃げるなんて、あり得ないわ。
ミルルの何が悪いわけよ!≫

【ウゼエ】

ミルルは泣きながらオレへエレベーター内部でも抱擁してる。

≪ミルルが悪かった。
謝るから。
これからも一緒にいてよね?
ミルルはゼロさん、大好きよ?
絶対、置手紙で逃げるなんて二度と…ダメよ?
ショックだったんだから…≫

【オメエの態度次第ダ、ボケナスが…】

どうも堪えたらしいが…。
今もミルルはオレに抱擁してる。
それから今日も寝ることになるんだろう。

どう考えても…やはり、今から事が始めるとしか…思いようもない態度だ。
誰が見ても誘ってるとしか思われてねえ。
将軍様ですら、ミルルの積極さには呆れ果ててる。
オレには重荷じゃねえか?

この台詞を聞いてると…まさか、今日も懲りずに寝る気なのか?
アア?
全然、反省してねえ。
そもそも、何が悪いのか…そこに辿り着いてネエ。

☆☆☆

最近、熱期に到来してからは・…王宮に帰宅できるのが9時だ。
夕飯は工場で配布される弁当を食べてる。
お蔭で食卓はともに食えねえ。
朝もバスで配布されることも多い。

朝5時発だからダ。
昼食は向こうで弁当。
そのせいで、全く食卓が囲めねえ。
どう考えても…これは将軍様の策略な気がしてたまらねえが…。
オレの被害妄想なのか?
これは…。

☆☆☆

棺桶部屋に到着すると、廊下よりも更に涼しい空気が流れてくる。
その間もミルルは嬉しそうにベッタリくっついてる。

≪ゼロさん…それじゃ、ミルルと一緒に添い寝しましょうよ≫

【ウゼエ…】

〔あら?
邪魔者が帰って来たんですね?
別に良いですよ?
ミルル様を慰めるのは私の役目ですからね。
フフフッフ。
ヒック…〕

ベッドには大の字でノアが寝てる。
そう言りゃ、ノアが…先に部屋にいるとはミルルからさっき、説明があった。
すっかり失念シテタ。

≪ノア…。
喜んでちょうだい!
ミルルの泣き落とし作戦が成功したわよ!!
ゼロさんが帰って来たの!!
感激してるわ!≫

〔そうですか…。
別に、ミルル様が頑張らなくても…〕

一瞬、また血管が切れそうになった。
ノアが持ち込んだのか…床に酒の空瓶が転がってる。

【オメエ、何やってんだ…。
酒瓶、片付けヤガレ…コラ。
ボケカスが】

〔ああ、うるさいヤツが帰ってきましたわ。
ミルル様?
提案がございます。
私はこのように酔ってますし…。
今日はミルル様を真ん中にして、私もご一緒にこのクーラーが効きに効いたお部屋で…。
川の字で寝るのはどうかと・・?〕

ノアは酔いまくった表情で…ミルルを見詰めてる。

≪やあね?
酔っぱらいは…ミルル、困るのよ…。
ゼロさん…。
ノアね?
ミルルにお酒ばかり勧めて来るのよ…。
でも、ミルルはゼロさんと添い寝が良いわけ…。
ノア?
悪いけど、帰ってくれないかしら?
これからミルルはゼロさんとイチャイチャタイムになるの!≫

〔そうですか?
でもですね…。
そこに私も交えて…眠っても?
どうせ、ミルル様…添い寝だけなんでしょう?
私が寝てても大丈夫ですよね?
私とゼロが…同じ部屋なのは不服です。
でも、ここは冷房が効いて涼しいし…。
良いでしょう?
ねえ…ミルル様…??〕

【オレはオメエと共に寝るのだけは嫌に決まってんだろ!!
ふざけてんじゃねえ!
ボケカスが!
女子寮、帰りヤガレ!
コラ!】

誰が聞いても…どこまでも、ノアは仲を引き裂こうとしてるようにしか見えねえ…。
これは被害妄想なのか?
アア?

≪二人は仲最悪ね…。
ゼロさん…。
どうして、いつもミルルを見ずに、ノアの方ばかり見てる訳よ?
ミルルのことどう思ってるの…。
喧嘩するほど仲が良いなんてオチだったら…。
ミルルはいくらなんでも、泣くから…。
ねえ、こっち向いてよ・・。
どうしてミルルより、ノアばかりいつも見てるの?
ねえ…≫

ミルルはベッタリとオレに抱擁してる。
手も握られてる。
視線は確かに…合しにくいし、視線先はノアを睨む方が楽な状態だ。
またまさか…今晩もこのノリなのか?
ミルルは嬉しそうにこちらを凝視してる。

≪ノア…。
ミルルは今からゼロさんとイチャイチャする気なの。
協力してくれるって約束でしょう?≫

〔あら?
そんなこと言ったかしら?
酔っていて、覚えてないわ…〕

≪もう…。
起きなさいよ!!
コラ!!
酔ってんじゃねえわよ!!

帰ってくれないと…。
顔へ足蹴りするわよ!
ミルルは実力行使よ!
本気よ!
ボケ!!≫

〔ああ…?
ミルル様…。
昨日は寝不足で一睡もしてないんでしょう?
余り、怒られると…体に悪いですわ!
ウフフフフフ〕

≪ゼロさんからもお願いするわ‥。
ノアを根性でミルルは女子寮へ帰すんだから…。
廊下に捨てるわよ!≫

〔ミルル様…そんな殺生ですわ…。
こんなにも忠実につかえてる私を…廊下に捨てるなんてあんまりですわ…〕

≪ミルルに同情なんて効かないんだから!
ほら、行くわよ!!!≫

ミルルはオレから離れて…ノアを背中に背負って…それから棺桶部屋の外、廊下へ出した。
まるで柔道のノリだ。
ノアが廊下へでんぐり返しになって、横たわった。

〔ミルル様…。
ああ…私はゼロを恨んでます。
どうして私だけ冷房29度弱の部屋…。
それからゼロがどうして、冷房がガンガンに効いた部屋。
この世は不条理ですわ…〕

≪ノアには悪いけど、ミルルは手段は選ばない性格なの。
チャンスはモノにするわよ。
じゃね!≫

ミルルは棺桶部屋のドアを閉めて、鍵をした…そして、瞳から涙を流して、大きな欠伸をした。
ミルルは机の前にまで行って、眼鏡を外した。
それから…ベッドに横たわった。

ミルルは非常に眠いラシイ。

それから…寝ぼけてる顔で、オレの方に接近して…抱擁してから、引っ張って来る。

強い力で、オレもベッドへ転がった。
王室の棺桶部屋はベッドだけで6畳はある…黒いシーツと黒いフカフカ布団が掛かってる。
枕も一組ある。
この枕で毎回、頭を乗せて寝る羽目に…この一か月間はなってた。
ミルルが寝てからオレだけ自由行動してる。
一度、寝るとミルルは起きねえ。

≪ミルルが寝るんだから、ゼロさんも寝るわよ。
疲れたでしょう?
ミルル…昨日は徹夜で…。
とにかく、ゼロさんが帰ってきて…今日はホッとしてるわ≫

【ハア…】

机の上には…昨日、職場へ出かける前に…。

【旅ヘ出ル。
サヨナラ。
他に良い男、見付ケロ】

と置手紙した紙が今もあった。

ベッドの床には…空の酒瓶が転がってる。
しかし、ミルルは片付ける元気すらないほど…疲れ果てたラシイ。
オレへ抱擁した途端、天使の顔に変わった。





































 

 










 



















ゼロC


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ゼロE










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