アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ゼロC

【ゼロ視点】

《ちょっと待ってよ。
ミルルはゼロさんって思ってるわよ?
どういうことなの?
嫌よ、一緒に今日も寝ましょうよ》

ミルルはオレへ抱擁をしてスリスリしてる…まるでマーキングだ。
それからオレの手を握ってる。
されるようにされてる…。
ずっと夜通し、1ヶ月もこれが続いてる…。

【オレが言える事はコレだけダ…距離を置きたい】

ノアは隣で大あくびをしてる。

〔別れ話ですか?
でも、それが良いです。
ミルル様、もう諦めるべきです。
だいたい、私は許してませんでしたから。
さあ、ミルル様・…ココから離れて私を冷房完備なキンキンに冷えた広いお部屋へ…。
メイド寮は冷房が29度設定弱までで寝苦しいったら…。
その点、ミルル様のお部屋は扇風機まであって、快適ですから〕

ここでまた頭の血管が切れそうになった。
殺しテヤリタイ…この女。
しかし…眠い。

《ハア?
どうしてなの?
いやよ…。
ゼロさん、ミルル…。
ゼロさんに何か悪いことした?》

ミルルは元気そうだ。

【サヨナラだ】

ミルルはずっと、オレへ甘えてる。
ミルルのポンチョを強い力で引っ張るのはノアだ。
ノアから殺意を感じた。
オレもコイツとは一度、戦いたい。
女だからと言って、甘え過ぎてる。
もうそろそろ、戦闘があっても良いと感じる域ダ。
毎回、オレを陥れようと躍起にナッテル。
きっと、今回もダロウ…。

〔ほら、ミルル様…ゼロから離れるべきです。
また、ゼロが殺人を犯しても駄目ですし・・。
はああ…。
それに考えても見てください。
ゼロは、別に一人でも寝れます、ミルル様を鬱陶しいと思ってる可能性もありますよ?
彼自らミルル様から去るようですし、ミルル様も他へ目移りされたら?
【他に良い男、見付けろ】と彼自身、言ってますし…。
あと、私は最初から反対してましたからね…?
子供が出来たら、どうするんですか?
ミルル様はこの国の姫様なのですから!〕

一瞬、頭の髪が痙攣を起こした。
怒りでだ。
眠気が一瞬、飛びかけた。

《ちょっと待ってよ!
ミルルの何が悪いわけ?
ゼロさん、怒るわよ!
ミルルはカンカンよ!
ミルルのこと、好きじゃないの?
何で、【他に良い男…見付けて】て残酷なことを言う訳?
嘘でしょう?
ねえ、振られたの?
ミルルは》

ミルルはオレへ強く抱擁してる。
ノアは大きな溜息吐いた。
オレは猛烈に寝不足で今日こそ安眠がしたいだけダ。
もう期待するのも疲れてる。

〔それにミルル様は一つ大きな勘違いをしてます。
ゼロは別に今までも何人ともエロならやったことがある人間ですから。
純情な奴でもないですよ、止すべきですわ。
ミルル様にはもっと相応しい殿方がいらっしゃいます。
ゼロ自身、またどこかで女を落としてる可能性も…〕

≪え?
ゼロさん…初めてじゃないの?≫

〔そうですよ…。
彼、何人・・今までいたか…分からないレベルですよ。
100人切りも越えてますよ。
いろいろ良くない人間ですし、止すべきですね。
まあ、この国は別に貞操観念なんて全員、緩いわけですし・・。
私も普通にありますが。
ミルル様みたいなのが逆に天然記念物ですがね?
ミルル様の綺麗な体に私ですら、触れる時には一応、配慮したんですよ?
私の方が思えば・・ミルル様の全てを知ってる訳ですし…。
冷房の効いた涼しい部屋で寝る権利があるのは私ですよね?〕

やはり…本気でココで殺しておくべきかと…。
最近、寝ていない頭で狂気が炸裂する。
目の下に隈が発生してるが。
その間もミルルはオレの胸元で顔にうずめてる。
それから強く抱擁をしてる。
ノアはずっと、ミルルのポンチョを強い力で引っ張り続けてる。
正直、眠い・…。

≪何を言ってるの?
あれってただの検査でしょう?≫

〔まあ、私も今まで仕事として、何人も検査として・・体の中の構造を調べたことならありますが…。
ミルル様はまだ処女ですよね?
ゼロは普通にスパイとしてもスケこましとして今まで働いてもらってますから・…。
お良しになるべきです〕

≪嘘でしょう?
ええ…。
ゼロさんに性病を持ってる可能性は…≫

〔ゼロとは言い難いですね…。
ただ、彼はエイズにだけはならない珍しい型ですが・…。
お蔭で輸血として血を抜いて売ることも、臓器の転売も無理ですが…〕

≪この国って…知らなかったけど…。
自分の血液が…売れる訳?≫

〔売れますよ。
普通に需要がありますから…〕

眠気で頭が働かない。
全てがどうでも良くなる。
真面目に寝たいだけだ。

【そう言うことダ。
オメエはこの国では務まらネエ。
ターシャ国へ根性でカエルベキダ】

≪ゼロさん…。
そんな…。
ミルル以外に…今もいるの?
新たな女が…。
嘘でしょう?
性病なんて…≫

【ウゼエ…】

ミルルはオレに息がしにくいレベルで抱擁して来る。
ミルルのポンチョを横からノアが猛烈に強い力で引っ張って来る。
力の差はミルルが圧勝だ。
本気で眠い。

〔ゼロの気持ちを尊重すべきですわ。
ミルル様。
それでは…ゼロ、もう寮へ帰りなさい。
邪魔ですから、貴方〕

【ジャナ…】

ミルルの気持ちはありがたくいただき、オレはミルルは離して…。
退散した。
冷房温度が29度弱なのは不服だが…安眠したい。




翌朝、8月12日…今日は王族職員寮にいる。
そこで食事が王族職員寮の門番から配布される。
今までオレはミルルの寝室泊まりだから、朝食はバスで配布されてたが…。
寮に泊まってる人間共は…先に、寮で朝食が配布がされてるらしい…。
寮に泊まらず、その辺で借りてる人間もいる。
寮に入るのすら人気で、結構倍率が高いらしい。

王宮近辺の住まいは物価が高い。
工場勤務者の中には…子供もいる人間もいる。
さすがに狭い寮では暮らせねえ。
寮で生活してる人間は地方出身者で独身者が殆どだ。

邪神国は子供が出来て、男が認知をした段階で…結婚とされる国だ。
しかも重婚はいくらでも許されてる。
戸籍上が夫婦でも一緒に暮らしてねえパターンも多い。
ほとんどが…シングルマザーで認知すらされてねえ子供が多い。

家族共に暮らしてるのは稀かもしれねえ。
食卓すら、家族で食う習慣はねえ。
個人主義の塊だ。

☆☆☆

朝は小麦粉を水で溶いたようなものだった。
とても貴重な食材だ。
それとカレーのようなものだった。
ここに来てから食事が充実してる。

相部屋の同期とは別に仲良くなる気もネエ。
昔からこのノリだ。
基本的に利害一致でしか動かねえのが邪神国の国風だ。
どうせ相部屋の同期は…一人はイチミル派らしいし、もう一人はニミル派…。
何とかして、オレを落とそうと二人は策を練ってる。
元サンミル派だったヤツは…オレを落として、そこに自分が入ろうと思案してる。
その他2名は興味本位でどちらに付こうか考えかねてる雰囲気がずっと漂ってる。
王宮の後継者争いは血みどろだ、誰でも知ってる。
近寄らない方が身のためだ。
ブツブツ連中は念仏を唱えてヤガル…。

食ったら、出勤しなければならねえ。

黒装束は頭から被り、2段ベッドのカーテンを開けて…足を外へ進めた。
ここは一応、携帯電話の充電だけは出来る。
携帯電話がないと連絡が付かねえ、仕事の時に話にならねえ。
ベッド内部にコンセントがアル。
例えてみるなら…ターシャ国にもあるカプセルホテルにも近いと言うのが感想だ。
しかし、冷房の温度に規制があるのだけが不服だ。

足を床へ置いた途端、部屋の連中共から視線を感じた。
褐色の肌にスキンヘッドとサングラス…黒装束に名札を胸元に掲げた一卵性の5つ子だ。

@[オラ、イチミル派だべ…。
単刀直入に言って、ミルル様は邪魔だべ。
ターシャ国へ帰るのは大賛成だべ。
イチミル様のために身をていして、ミルル様は葬る話まで党内で出てたべ・…?
ゼロの話は本当だべか?
裏があるんじゃねえっぺか?
嘘だべか?]

A[ボクチン、ニミル派だけどサ‥。
似たような話はあったニャサ。
イチミル派と組んでと言う話まで出てたサ。
別に嘘でもねえさ。
で、どういうつもりニャサ?
ゼロはサ…]

B[ワイの元崇拝者、サンミル様は既にあの世にいる方やさかい…。
後継者争いはどうでも良いサカイ…。
ありゃ、大変やさかい…。
で、ミルル様はかわいい子やサカイか?
それだけが本題やさかい]

C[これからはゼロも、オイラと同じだケン。
今まで寵愛されてて舐めるなケン、ヒヘヘヘヘ。
ズに乗ってケンか?
ヒヘヘッヘヘ。
これからはオイラの時代、到来するケン]

D[ミルル様に捨てられたのかタイか?
まあ、人生いろいろあるタイ。
ミルル様、どんな人か…ボカァ、気になるタイ。
クククク]

名札に載ってる名前は…ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ…。

全員、適当な名前だが・・将軍様が与えた名前だ。
将軍様はこのように数字に因んだ名前を好き好んでつけることが多い。


5人とも顔を合わすなり…このノリだ。
多分、全員ある意味正直者だと感じる。
たまに嘘ばかり吐く人間もいる訳だが…。

どちらかと言えば、常に嘘で満ち溢れてるのは…。
ノアを他とした女に多い。
猫かぶりに騙されて昔、酷い目にあった。
この連中…ある意味、ストレートな分だけやりやすい。
しかし、男でも普通に嘘吐きはいる。
この国で善人を装って近づく人間ほど、警戒しなければならねえ。
法律が悪を推奨してるからダ。

【ウゼエ、ミルルはターシャ国へ帰りてえラシイ。
本人がそう話シテル。
オレは嘘を吐いてネエ】

☆☆☆

相手にするのもダルイ。
外へ出て、バスに乗ることに決めた。
日が昇れば…強烈な暑さが到来する。
偽造貨幣工場へ出発するバスは…朝の5時ダ。

日が昇る前に出発する。

でないと太陽が昇り始めた頃から気温はどんどん鰻登りに上昇して…昼には60℃近くまで達する。
日没後は35℃程度にガクンと気温が降下するが…。
あの暑さにだけは誰も抵抗できねえ。

バスは3街立ての黄色い建物だ。
一度にたくさん運搬するように作られてる。

バスへ乗る際に行列が出来てる。

外は太陽が曇ってる。
これは砂風が強く…毎日のことだ。
王宮はそれでもまだ綺麗に庭園が掃除されてると感じる。

バスは王宮の庭園、水色ペンキで塗装された男性王族職員寮の前に停車する。
男女別のバスだ。

桃色ペンキで塗装された女性王族職員寮の前にもバスは停車してる。
バスに乗る時も男女別がこの国の基本だ。

バスに飛び乗る行列に並ぶのも、暑い。

☆☆☆

その時だ。
予想してたより早かった。
向こうから走って来た…知人がいる。

≪ゼロさん!
今日は仕事に今から行くんでしょう!
で、帰って来るわよね?
ミルルのところへ…!!≫

ミルルは黒装束の服を着たまま、フードを外してオレへ接近してるが。
全員が見てる。

≪何だったの?
【旅ヘ出ル。
サヨナラ。
他に良い男、見付ケロ】
って言う置手紙は!
突然、どうして距離を置く話になったわけ?
説明があるまで納得なんていかないから!!≫

ミルルは怒り狂った表情をしてる。

それからオレに抱擁をしっかりとしてる。

【ウゼエ、
サヨナラだ】

≪認めないわよ!
何でなのよ!
ミルルのどこが悪いわけ?
こんなに頑張ってるのに・…!
馬鹿!
ふざけないでよ…≫

【オレは忙しい…。
他を当タレ】

≪待ってよ、ゼロさん…。
ミルルのところへ帰って来てよ。
ミルルが悪かったなら、謝るから。
何が原因なの?
ねえ…。
お願い、帰ってきて!!≫

オレはバスに乗ったが・…ミルルはまだ外で暴れてる。

オレはバスに乗って、カーテンを閉めた。

カーテンを閉める前に、バスの門番が
恐らく、ここは男性専用のバスだ…とミルルへ忠告して、王族の部屋に帰るように仕向けてるのが見えた。

少しすれば…バスは職場へ向かうだろう。

思ってた通り、追いかけて来た。
そんな気がしてた、そんな性格した女だからダ。

☆☆☆

お蔭で…バスに乗ってから周囲がうるさすぎる。
席まで指定席だ。
オレの周りは地方へ里子に出された5つ子ダ。
褐色の肌にスキンヘッドと顔にサングラス、黒装束には名札が打ってある。

D[あの噂、ホントウタイか…。
ボカァ、驚愕だタイ]

A[あれってサ…ほっておいて、良いっニャサ?]

@[って言うか…。
あの二人、どういう関係だべか?
ヒヘヘッヘヘ。
ワッシ、気になるべ]

C[ミルル様は割りと予想以上に愛らしい方ケン。
さすが、外国で女優をしてただけあるケン。
肌の白い方なのがまた良いケン…]

B[将軍様に似てるとは聞いてたサカイ…。
まあ、似てると言えば、似てるサカイ…。
しかし、似てないところもまた良いサカイ。
邪神国で女優は無理なん?]

A[ボクチン、花が増えるのは賛成ニャサ。
眼鏡がとても良く似合ってらっしゃるサァー…。
しかしサ、あの根元の髪が黒いのはサァー…。
まさかサ、染めてらっしゃるのかニャ?]

@[そうだべ…。
予想以上に実物は綺麗な方だべ。
オラ、将軍様がお喜びになる訳も分かるべ。
ヒヘヘヘヘ。
お近づきになれたら良いッペよ…]
B[ターシャ人も良いサカイ。
肌の色がまず違う…。
肌質と髪質が違い過ぎる。
そこが良いところやサカイ]

D[ずっと邪神人で飽きてたタイ…。
ボカァ、、違うジャンルもまた良いかもしれないタイ…]

C[でも、ハーフだケン?
ミルル様は…]

A[そうサ…。
見た目はまんま、ターシャ人ニャサァー。
言われてみればサ…。
配置と骨格の顔立ちがどことなく将軍様にも似てる域ニャサ…]

@[ターシャ人は幼く見える人種だと聞いてたッペ…。
ミルル様は美人可愛いく可憐な御方だッペヨ]

ずっとこの調子で…ミルルがさっき、いた瞬間には黙って凝視してた奴らもバスの中ではうるさい。
ミルルはそう言えば…。
ターシャ国でもクラスで一番モテてる女子だったが・…。
猛烈にファンが出来たラシイ。

ミルルは全く気が付いてネエらしい。

@[あの高貴な王族特有の顔立ちがまたたまらねえべ。
肌の色が全く違い過ぎるっぺ…。
あれは眼鏡をしてるが…眼鏡を外すとどういう顔なんだべか?
滅茶苦茶、綺麗だっぺ。
ヒヘヘヘヘ。
気になるべ…]

ずっとこの調子でバスは進むらしい…。
ただでさえも男女別の職場、男女別のバスな国。
ミルルのフードを外した顔を見て、どうも職場仲間は全員大歓喜してる。
遊女は高嶺の花で王族だけの嗜みだ。
それから従軍慰安婦もいるが…あれは値が高い。
邪神祭りのときぐらいしか工場勤務の連中は手合せにならねえ。
祭りの時に奮発して買うレベルだ。
連中は…ずっとミルルの噂しかしてねえ。
これは予想出来てたことだが・…ちょっとゲンナリしてる。

B[さすが、国際派女優を目指すだけの御方…。
容姿と気品さを両方備えていらっしゃる。
お近づきになれたら良いサカイ…。
サンミル様は今や…あの世やサカイ。
ワイ…ミルル派に所属するべきなん?]

D[うーん…。
殺すには惜しい方だタイ。
後継者争いで…殺すよりも…。
なんとか、一緒に蒸発しタイ?
方法あったら良いタイ・・・]

@[殺すよりどっちか言えば…廻すか、強姦ぐらいで許したいべ…。
というか、それすら恐れ多いっぺ。
オラ、イチミル派だべどな…
うーん…本気でどうするべきか悩むべ…。
死んだって話にすり変えて、地下牢へ監禁出来たら良いべ…。
あんな綺麗な嬢さん、幾らなんでも殺す気になれっぺ]

C[オメエ、良いこと言うケン。
その時は…、オイラも混ぜろケン。
で、オイラ達全員でヤッテ、出来た子は…ワテら全員の子として、育てるんケン。
全員でー…。
それが良いケン]

D[良い話タイ。
そんな楽園見てみたいタイ。
って、ことは…ミルル様から生まれた子は…やっぱり王家の子なん?
そうタイか…。
っていうか、どこで匿うんタイ?]

B[それは…。
それは誰も知らねえ場所に決まってるサカイ]

A[うんうん…。
良い話さー]

C[とにかく殺すことは止めるケン。
そう、イチミル派にもニミル派にも説得をするケン。
勿体無い気がするケン]

D[うんうん…。
その通りタイ]

正直者は馬鹿だ。
馬鹿な人間もいるラシイ。
全員、知ってるが・・この国は悪人ばかりだ。

@[殺すのはもったいないべ…。
うーん…。
どうして、ミルル様…ゼロを気にいったんヤロ?
ヒヘッヘヘ]

D[ゼロがたまたま留学生として、ターシャ国へテロ爆破任務へ向かった時に…。
ミルル様がゼロと会ったらしいタイ…。
気に入った理由は…。
謎タイ、どうせ…ミルル様の好みが変だからタイ。
まだチャンスがある気がするタイ]

C[チャンスあるケンか?]

A[今日、初めて顔見たところサァー、今から根性で頑張れば…何とかなるにゃサーな…]

好き勝手に言いまくってる。
全員、地方訛がある…。
王族専用職員寮は地方から来た庶民出の塊だ。
庶民出でもこの5つ子兄弟は割りと儲けてる庶民に当たるらしい…。
実家は塩を販売してる事業者だと聞く。
軍事寮生は殆ど大半がコネも手伝う。

財閥出身者はもっと冷房がガンガンに聞いて広い部屋を独自に借りてる。
お蔭で、5つ子全員が育った場所が違うから…それぞれが発音に関してイントロネーションが違う。
財閥出身者は…元を辿れば、王家から別れた血筋だ…奴らは違う任務へ向かってる。

ミルルは一応、将軍様の娘の筈だが…塔に幽閉された姫様、邪神国の最終兵器扱いだ。
いったい、将軍様が何をお考えかはオレにも不明ダ。
ターシャ国へ身代金要求をなさってるのか…それさえ、分からねえ。
しかし、将軍様は割りとミルルを御気に召してる気配がアル。
まるで物珍しいオモチャが出来たかのように将軍様はミルルを甘やかしてる。

それから…ココは残念だが…将軍様はミルルとオレの仲を引き裂こうと躍起になってる雰囲気が漂ってる。
気のせいなのか?
ミルルは…どうも男受けが良いラシイ・・。
逆に、遊女他とするイチ妃やニ妃は…常にミルルの陰口ばかり叩いてる。
その息子…イチミル14歳やニミル10歳に関しては…まだ一回もミルルと面会をしてない…。
これは…どうなるのか謎だ。
兄弟ですら男女別で育つのが我が国の風習だからダ。

ミルルの知名度が邪神国で広がるにつれて…。
逆に…ミルルがターシャ国へ返還される可能性がドンドン減って来てる気がスル。

庶民が好き勝手に言おうが自由ダ。

バスの中は自由な発言で溢れてる。
オレは眠いし、寝ることにした。
大抵、ここにいる奴ら全員…会話が下ネタになって行く。
大昔から毎日のノリだ。

娯楽の少ない国だ、下ネタやブラックジョークぐらい許してヤル。
別に相手にする気にもならネエ。

しかし、奴らは真面目にミルルを回しかねない…。
この国で強姦は普通だからダ。
それだけは見張るべきだが…。
庶民への強姦は合法でも…王族への強姦は…最終的に、将軍様が裁かれる。
死罪に決まってる。
連中も安易に手出しは出来ねえダロウ。

誘拐の線が一番、危険かもしれねえ。
誘拐犯の場合は…犯人が分からねえ限り、真相が闇だからダ。
しかし、ミルルが暴漢から浚われて…この国から突如、消えた場合…将軍様が悲しむ方とは思えねえ。
今は喜んでらっしゃるが…。
これから先、どうなるのかは本気で予想が付かねえ。
将軍様は常に自分のことだけで精一杯な御方だからダ。

ミルルをこの国の・…イチミル14歳の嫁として…父親違いの姉を娶る話まで将軍様の中で出てる気配だ…。
そこはドン引きだった…。
大昔…何千年も前はあったが…。
現代では血族婚などねえと思ってたが、さすが…我が国、邪神国は将軍様中心に法律が変えられる…。
父親違いの2親等は婚姻を許す法案を出そうかとおっしゃり始めてる…。
ミルルも全く知らねえし、イチミルも知らねえのかもしれねえ。

将軍様はミルルへ王家として良い座を与えると言う意味なのだろうが…。
イチミルの妃になれば…事実上は確かに、ミルルは女帝だ。
しかも…将軍様の息子、イチミルまで即位できる。
ミルルを将軍様がとても寵愛してるのは伝わって来るが…。
それはミルルにとって、有難迷惑ダ。

ミルルは真面目にターシャ国へ帰った方が身のためだろう。
邪神国内部の伯爵家へ政略結婚か…。
根性で王室に入れられそうな気配が王族内部で、漂ってる…。
伯爵家も元を辿れば…王家ダ。
血が濃い気がしてたまらねえ。

☆☆☆


偽造貨幣工場に到着して、常の通り…見張りをする。
1ヶ月の間に薬の効きが良いのか。
だいぶ、調子が良くなってる。
記憶が途切れることもこの1ヶ月間はねえ。
それから幻聴も聞こえねえ。
お蔭で亡き友の声がストップされたが…。
最近、過去とも決別が出来つつある…。

昔、関係を持った女にはこの1ヶ月間に数回、金をせびられてる。
娘が死んだ件で揺すられたから、軍事費の横領罪で突き出すと再度、脅せば…。
そこから全く連絡がネエ。

なんで精神錯乱へ至ったのか謎でまだ過去に対しては空白の記憶が多いが…。
まだ、何かある気がする。
しかし、探る気にもならねえのが現状だ。
戦場で体張らずにここにいるのはとても退屈だ。
将軍様には感謝をすべきだろうが…。
何故か、ミルルと離れるように仕向けられてる気がしてたまらねえ。
オレだけよく、この1ヶ月の間に将軍様から呼び出されては…。
ミルルがオレへ喋ったターシャ国の情報について、話した。

大概はくだらなさすぎる会話だが。
その時に、毎回…尋ねられる。

〈我が娘はキミのどこを気に入ってるというんだね?
どうして、ボクが聞けば、ミルルは答えないのに…。
キミの質問には二言返事なのかね?
差別じゃないかい?〉

【それは知らねえ】

〈ミルル直接からこの話を聞きたいものだね…。
ターシャ国に関する情報をだよ〉

【くだらない情報ダ。
ターシャ国の美容情報など聞いても役に立たねえ…。
茶髪が流行してるラシイ】

〈そうかい…。
我が娘は秀才で度胸も確か、容姿端麗…運動神経良好…。
しかも…オシャレだ。
ボクが気に入らないわけないじゃないか?〉

【…。
ミルルは平和国で女優になりてえラシイ。
ターシャ国へ早々に帰還させるべきだ】

〈ハハハハハ。
そんな時代もあったね…?
でも、ミルルを知るにつれ…ボクとしては変わって来たよ。
あの子を王家に入れて…優遇しようかと考えてる。
外で伯爵家へ送るより…王家の方が邪神国最大の富豪だからね?
イチミルの…嫁はどうだろうか?
ミルルの方が3歳上の姉さん女房だが…。
この線も良いかもしれない。

大昔はあったからね?
母親違いぐらいなら…良いだろう…。
特例を出そうか?
ミルルは母親違いと言えども…。
母親は外人だ…普通の母親違いと違って、遺伝子は少しは離れてる。
それも良い線だ…〉

【ソレハ…。
邪神国ではそうでも…。
ミルルはターシャ人で、ターシャ国の法律だ…。
さすがに…】

〈キミは…ボクに逆らうのかね?
ボクはこの国の絶対君主、将軍様だよ?〉

【いや…。
さすがに…。
ミルルが・・不憫で…。
それは…。
ちょっと…】

〈そうかい?
ふう…。
困った…。
ミルルへは…優遇をボクなりにしてあげたいのが…気持ちなんだがね?
良いアクセサリーが出来た気分だよ?
ボクにとってはオモチャも同然だ。
しかし、ボクの容姿に…ボクの息子2人は全く似てない。
3男は…衝撃的なことに最近のDNA鑑定で…、ボクの子じゃなかった…。
上の二人は確かにボクの子だがね…。
ボクは別にイチ妃もニ妃もそこまで好きじゃないんだよ…〉

【それは…オレに言う話デモ…】

〈イチ妃やニ妃を見てごらん?
ボクが稼いだ金で宦官をたくさん買って、英雄詠歌だ。
可愛げがない。
最初は猫を被っていたんだがね…。
そろそろ潮時かな?
今は・・また、遊女でね?
別の子に心は行ってるんだよ?
やっぱり若い子は純情さが違うね?
フフフフフ…〉

【オレは任務がアルノで…。
将軍様と邪神国に幸アレ…】

〈ボクとしては…信じられる女性はミルルだけだよ?
今の遊女も可愛いけどね…数年後には化けると思うとね…。

さすがにね…。
イチ妃と二妃の我儘ぶりにはボクも手を焼いてるよ…。
あれは…どうか、ならないものかね?
息子が生まれた途端、まるで…自分が地上の王者なノリだ。
ボクの方が上なのにね?〉

【ミルルも我儘ダ】

〈そうだね?
しかし…人間は、落とすまでが楽しいんだよ?
恋愛の過程を楽しむものさ。
落ちてみれば…呆気ないものさ。
前まで魅力的に感じたモノが…どうでも良くなるモノだよ?
ボクはハンターなのさ?
落とすまでのスリルがたまらないんだよ…ワクワクするねえ?
キミもきっとわかる筈さ。
クふフフフフフ〉

この調子で…将軍様は黒笑ナサル。
オレは毎回、絡まれてる。

〈ミルルの性格は・・どうかな・?
ボクに似てるだろうか?
それなら…あの子は…。
ボクを殺しに来るだろうか?
キミはミルルへ殺人術だけは教えるべきではない…。
キミも殺されるはずだ。
あの子は魔性の女だ。
なんせ、ボクをここまで、気に入らせたんだから…。
普通の人間ではない筈だ〉

【御意。
オレは去る】

〈キミも冷たいね?
クふフフフフフ。
ミルルへ手出しはするなよ?
すれば…どうなるか…。
ふふフフフフフ〉

常にこの調子だ。
将軍様には悪いが…手出しはコッソリする気でイル。
バレナケレバ大丈夫かと腹をくくってる…。
そう言うものだ。

☆☆☆



















 

 










 



















ゼロB


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ゼロD










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