アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ゼロA

【ゼロ視点】


【ウゼエ、オメエは殺す】

それだけじゃねえ…。

誰にも話してないことがある。

時々、その記憶が蘇るが・…この女を目にした途端、鮮明に蘇った。

去年ダ。

この女からオレの子供だと言われ、娘を付き付けられた…。

その娘が去年の夏、満1歳になる前に…夏の暑さにやられ、死亡した。

この国では…名前すら付けられねえが…。

認知はする気でいた…。

しかし、この女が突然、蒸発をして、紙さえ提出してねえ。
この女…去年、突然…前、刑務所に勤めてた男性監視員と蒸発しやがった。
ムショの男性監視員はこの国では割りと優遇された職業だからダ。

☆☆☆

あれは・…オレが…オレの実母が暮らすと言う異端都市へヘリから爆弾を投下したぐらいの頃だ…。

あのあと、一瞬…記憶が飛んでた。

いつから精神が変になったのか不明だ。

今、蘇って来た。

今まで何があったのか…時々、記憶が飛ぶ。

どうも…思い出したくない事件を無意識的にブロックしてるらしい。

しかし、こういうふうに再会を果たすと・…突然、蘇って来るものらしい。

頭の痣が痛んだ。

これは牢獄でブツケタ痣らしい。


 [冷たいでござる。
 拙者を見殺しするでござるか?
 ゼロよ…。
 工場で涼ませて欲しいでござる。
 知り合いの頼みでござる・・・。
 ハハハ。
 御免こうむる…ハハハ]

この男は…オレの全財産を盗んだ男だ。
で、女はオレへ誘ってきたヤツだ。
いわゆる、美人局な関係ラシイ。

【ハアアアン?
本気で殺シテヤロウか?
アア?
オレはオメエらを恨んでる。
許さねえ】

地面へ威嚇乱射シタ。

 [ココはダメでござる。
 拙者はこれにて御免…]

[ああ、良いわよ。
他の客、探すし。
別にアンタと組んでもアタシにメリットなんてないわけだし。
だって、盗んだ額の半分だけでしょう?
マージンとして、チップ・・・今、アタシへ渡しなさいよね?
キャハ?]

 [チップでござるか??
 リベートが高いでござるよ?
 拙者悩むでござる…組むことを…。
 次は違うコにするのが得策でござるか?]

[フン、アタシなしで成功すると思ってるの?
アタシの美貌が役に立ってるんじゃないの?
キャハハハ。

最後にね?
お土産として…ゼロがこの施設にいることは仲間、全員に知らせたわ!
一度、抱いた女を・・・自分が成功した途端、捨てるなんて最低ね?
しかも…子供まで出来た間柄に冷たいわね?

もしかして…娘を殺したの?
最低だわ!
キャハハッハハ。

せいぜい、一日、見張りをしてるのね。
アタシを振るなんて良い度胸じゃないの?

キャハハハハッハ]

【チ・・・】


金目当てで近付いてきたのはソッチだ。
あの時は嘘ばかりで…謎だったが、あとから上から下った任務で…。
軍事費がなくなる件に関して捜査をした結果、この女がこの手の犯罪をする常習犯だと判明した。

将軍様お抱えの軍関係に接近して、軍事費をネコババしたから、この女の事件が明るみになり、女は牢獄へ入れられたが…。
そのあと、牢獄の男性監視員と共に・・・2年前、脱走して・・・今に至るラシイ。

前の牢獄の監視員が現在、どうなってるのかは謎だ。

牢獄の監視員は…その日を境に・・・現在のネズミチュウ太郎に変わった。

1年前のことだ…。

突然、脱走した筈の女がオレの前に現れ、オレの子供だ、邪魔だと言って、オレへ赤ん坊を付き付けて来た。

それなのに…その娘は、夏の暑さに負けて…。
オレが邪神教の異端派都市へ空爆を落とした瞬間に亡くなった…。

娘はオレの宿で冷房を効いた部屋にいた筈だが…帰宅したら…亡くなってた。
死因は不明だ、高熱なのか、肺炎だったのか…。
心臓停止なのか…。
医者すら呼ぶ金がなく、シッターすら頼む金もなく…帰宅したら…死んでた。
哺乳瓶だけが転がってた。

出勤前まで元気に泣いてた。
何があったのか…沈黙した、部屋に強盗が入った気配もネエ。
そこら辺からおかしい、記憶が飛んでる。

その娘は…邪神教異端派の街に埋めた。
ちょうど、オレを捨てたらしい母親…。
戸籍からそいつを洗い出して、その家の地下に埋めた。
それが一番、良いダロウ。
亡き友には食えと頼まれたが…娘は会話すらまだ出来なかった…。
そこにオレの父親違いの血を分けた兄弟も眠るらしい。

実の娘なのか…それも謎だ、こんな性格した女だ…他にも複数相手がいそうだからダ。
しかし、相手は日にちからしてオレしかねえと宣言してる。
オレ以外引き取り手がねえらしいし…育てる羽目になった。

オレが任務で知らずにオレの家族については爆撃を空からヘリで落として殺した。
オレの父は…外人らしく、母親が売春を夫に隠れて出来た時の子供らしい。
だから、瞳だけ緑だと・…政府から聞いてる。
オレを捨てた母親の説明ラシイ。

政府が拾ったから生き延びれたものの…。
似たような境遇の娘へはそれなりに愛着があったのも確かだ。
死んだ母親がどんな人間だったかは…未だに知らねえ。

母親を買ったらしい外人の父親に会いてえとは全く思わねえ。
自分から名乗り出して来ねえ人間にろくなヤツがいねえことを経験からオレは知ッテル。
会ったところで、何もならねえ。
政府の話によれば…オレの実の父は…。
母親からオレを付き付けられて…焦って、外国へ逃げたらしい。
何やってた人間かは不明だ、どうでも良イ。

オレの瞳が緑だから、オレの実母は夫に浮気がばれるから捨てたらしいが・…。
オレの娘は褐色の肌に黒い瞳だった。
相手の女が黒い瞳だ…そう言う確率の方が高い。
本当にオレの娘かとは…何回も疑ったが…。
言われてみれば、顔立ちがオレと似てる気もしないわけでもなかった…。

オレは政府に拾われ…政府から売春の仕事を斡旋され…税金を大量に払う羽目になり、生き延びて来れたが・・。
オレが拾わねえ方が、娘は生きれたのか…そこも謎だ。
実の父親に引き取られれば…死んでた可能性すらアル。
会う気はネエ。

[あ・…。
ゼロ、勘違いしてるでしょう?
キャハ。
前に囚人施設で監視員してた男性とは、アタシ…別れたわよ?
今、フリーなのよ?
だからサービス弾むわよ?]

【どうせ金の切れ目は縁の切れ目ダロ…。
どうでも良イ】

何があったのか察しが付く。
というか、全く未練がない。

[娘、亡くなったの?
そう…。
まあ、良いじゃない?
また作れば良いだけの話よ…。
キャハハ。
お蔭でアタシは楽だったわ、感謝してるわよ]

【チ…ウゼエ…】

元々、この女は…そこまで好きでもねえ…しかし、人間不信の種ニハナッタ。
しかし、娘には罪はねえ、それなりに家族として認知してた。
女が脱獄囚として行方をくらませてたせいで役所へ紙すら提出してねえ。
戸籍にすら載ってない娘だ。
本当にオレの娘だったからは…DNA鑑定なんてする金もなかった…謎だ。
しかし、娘と信じてた…。

事の発端は…向こうからある日突然、家の前に売り子として飛び込んで来ただけだ。
その時…軍事パレードの後で、酒に酔ってたから…警戒心が揺らいだ。
2年前…15歳当時はまだ酒に弱かった、コップ1杯の酒で大酔いした。

軍に所属する者にしか出ねえ珍しい酒らしくて浮かれてタ。
庶民には高嶺な高級地酒…黒邪神パンだ、眠気を誘う良い酒ダ。
お蔭でその日は睡眠薬なしでは寝れねえオレも…。
珍しく、薬なしでグッスリ眠れた訳ダガ。

その日、全財産を盗まれた。

ちょうど、邪神教祭りの夜…。
今と同じ暑い季節の話だ。
あの夏は死ぬかと思った…。

冷房のない熱帯夜は地獄だ。
特にこの国の熱期は60℃近くにナル…。
宿代を取るか、食費を取るかで…。
宿代にまわした…。
真面目に死にカケタ、眩暈がシタ。

その宿代ですら、今まで暮らした6畳一間からシェアーハウスに変更だ。
6畳に2段ベッド3つがあり、職場から離れた徒歩1時間はある悪条件な立地条件が候補に挙がったが…。
60℃を越える中、往復実に2時間かけて…食事も水も制限した状況で生きれる自信がなかった。

その賃料ですら、職場の仲間から脅して借りた。
貸してくれる人間などいねえ…全員、今日生きることで精一杯だ。

貯金が出来てネエ奴らばかりの集団だ。
配給だけで生きてる人間すらいるのに、食費まで恵んでくれる訳もネエ。
借りた金は利子付きで返す羽目になった。
オレには政府からの配給…水500mlだけでは無理すぎた。
それから、他人を家に入れるような馬鹿はイネエ。

いろんな女にも当たったが、冷房完備な部屋はこの国で贅沢品だ。
跳ねのけラレタ…そこから先は恐怖だった、60℃の地獄を生きれる自信はオレにはなかった。
借りた金は全て宿にまわして、職場から近いところのシェアーハウスにした。
軍事施設の隣には王宮がある、猛烈に物価が高い。
軍事寮は入りたかったが…あれは軍事見習い生のうちは入れねえ。

雨が降らねえ…雨乞いダ。
水道が使えねえ…地獄ダ。
腹減れば、砂は食べても…。
水がねえ。
それでも生きねばならねえ…。

転がってるものと言えば…死体しかねえ・・。
雑草すらねえ、虫すら熱期には全滅しやがる…。
虫は全て、砂の下に潜り込み…卵で熱期を乗り越える…。
海へ向かいたいが・・近付けば、亡命者と勘違いされ、国境の海では軍事監視官がいる。
発砲される。
毎日、邪神国と平和国のヴァカンス島を繋ぐ海岸は…亡命を図る人間の海だ…。
そこにはウジャウジャ、監視員がいる。

海の利用権があるのは王族だけダ。
王族は・…あそこで養殖されたミール貝を好んで食べてる。
そのミール貝の死骸も多い、熱期には…貝ですら全滅しかけるからダ。
綺麗なビーチとは言い難い。

軍事養殖班は…病気や暑さなどで、死んだミール貝が当たるらしいが…。
割りと、それも火を通さねえと危険だと聞く。

☆☆☆

ココから先、本気で全く記憶がねえが…。
察しは付く。
転がってる死体の血液でも啜って生き延びたんダロウ。
街角全員、そんな奴らバカリダ…。
そこだけ記憶が抜けてるが…今、生きてるのが証拠だ、他に道があると思えネエ。
オレの記憶はこういうふうに…どうも、ところどころ抜けてる…。

亡き友…ゼロがオレの前で骨になってる瞬間もそうだったが…。
それを思い出そうとすると、オレは…どうも気が狂いかけるラシイ。
致死の念が襲って来るラシイ…。
と言うことは…この頭に今、出来てる痣も…。
オレは全く記憶にねえが・…自分でブツケタのかもしれねえ。
手首に出来てるこの深い切り傷も…まさか、衝動的に自分でしたのかもシレネエ…。

ノアの薬のせいで、オレは落とされたと信じて疑わねえが…。
どっちなのか、分からねえ。
全く、そこも記憶にネエ。
このまま、記憶が消えて…正気を保てなくなるのが…。
オレにとっての恐怖ダ。

しかし…空腹は凌げなかった。
それだけは覚えてる。
何を食べてたかは不明だが…どんどん痩せて、死をまじかに感じた…。

そのせいで、爆撃をヘリから落とす…危険で収入が高い仕事を自ら率先して請け負った。
一歩間違えば…特攻隊も良いぐらいの危険を伴う任務だった…。
邪神教、異端派の女幹部から情事中に情報を全て頂いた…。
その場所が、オレを拾った街だと知ったのは…全てが終わってからだ。

あれに懲りて、従軍慰安婦は買ってねえ。
今では、見知らぬ他人を家に上げることに抵抗がアル。
まだ、向かう方がマシだ。
どうせ任務でも頼まれる事もアル。
別にそこまで困ってネエ。

この女ほど、オレにとっての疫病神はイネエ。
殺しても良い域ダ。
そこは認メル。
今、すぐ政府へ突き出せば…死刑囚として牢獄送りだろう…。
軍事費をネコババしたのダカラ。

[拙者、泥棒侍でござるが…遠慮するでござるよ?
その代り、拙者だけ涼まして欲しいでござる。
知り合いのよしみで頼むでござるよ。
リベートをお蔭で剥奪されたでござるよ…]

聞き分けならない2人へ向けて、今度は男の方の鞄へ発砲した。

ーーーーーババババババン …。

鞄へ銃弾が命中した。

 [ヒイイイイ。
 悪かった]

[ココは無理ね?
仕方ないわ、他にもいるから。
他を探すわ。
キャハ!
またね♪
ゼロ♪]

ビビったのか二人は焦って、逃げるように退散して行った。


今でこそ、正直にボロを出してるが…。
最初はあの女、猫を被ッテタ・・・。

☆☆☆

この国の女は全員、強い。
悪人集団しかこの国はイネエ。
将軍様もそれを推奨ナサッテル。

こんなふうに悪人同士でつるんでる奴らも多い。

☆☆☆


一日、これが続くらしい。
知り合いの泥棒や侵入者が一番、困ル…。
厚かましい奴らバカリダ…。

この暑い50℃の季節、死ぬ奴も多い…。
これから更に8月になれば…60℃にも達する。
貧民にとっては死活問題だ。

聖人君子なら、冷房の効いた施設へ無償で入館を許すんだろうが…オレは悪人ダ。
オレは自分のことだけで精一杯だ、んな…こと、ばれたら、失職ダ。
他を当タレ、ボケ。





任務は楽だったが、精神的に疲労困憊だ。
特に嫌な思い出の女との再会を・…実に1年ぶりに再会したからダ。
一番、衝撃的だったのは…オレに娘がいたと言う事実だ。

王宮へ帰る道のりがダルイ。

夕食時には帰れるのはこの任務のメリットだが、暴れ足りねえ。
あと…もう一つ、任務を将軍様から頼まれてる。
ミルルからターシャ国についての情報を徴収しなくてはならねえらしい…。
これは楽な任務だ。

☆☆☆

棺桶部屋へ向かえば、ミルルとノアがいる。
ミルルは食卓机で、本と睨めっこして…歴史書を読んでるらしい。
隣でノアが邪神国の政治について説明をシテル。

塩やオアシスの利権を巡って、3部族…邪神教の異端派と旧派と信派が…絶え間なく紛争を続けてる話と。
それから、その戦地の場所を地図で暗記させてるらしい。
何の役に立つのかは知らねえが。
将軍様はミルルへこういう教育をさせてる。

将軍様はミルルを高値でさばくつもりラシイが…。

あの方の考えは全く読めねえ。

≪ゼロさん…帰って来たのね?
今日は全く、会わないから…待ってたのよ?
軍事朝礼の後にゼロさんだけ将軍から召集されたんですってね?
ノアから聞いたわ。
何を言われたの?≫

気配を消して接近したが、ミルルがオレに気が付いたのか・…声掛けをして来た。
机の背後にオレは現在、つっ立てる。
それから、黒い鞄をドカリと地面に置いた。

【ウゼエ…】

≪どういうつもりなのかしら?
ミルルだけずっとこの部屋に隔離させて…。
お蔭でこの暑い中、外の広間で軍事朝礼に参加せずに済んだのは嬉しいけど…。
政治学の勉強は本当につまらないわ、ミルル…記憶力は良すぎるのよ。
一回で覚えるわよ。
だから…殺人術でも教えてよ?
ねえ、ゼロさん??≫

机の上には二人分の食事と…それから歴史に関する書物や、政治学に関する本、あと邪神国の地図が乗ってる。
それから…あれは軍専用の地酒がテーブルにアル。

この酒はうまい…邪神祭りで配布される特別な酒だ。
黒邪神パンは眠りを誘う酒ダ、祭りでは一人1杯までと制限があるが…。
祝い酒でもある。
この国へ来たミルルへ将軍様からの贈り物として、1本進呈されたらしい。
黒邪神パンのラベルには<ミルルへ、将軍様より1本献上>と記されてる。

この酒に溺れて…昔、記憶を失くし…酷い目にあった。
あの事件は、2年前なのか…。
今日…昔の女と呼べるのか知らねえが…悪い思い出の人間にあった。

〔あら?
帰って来たんですか?
今日は帰って来ないものとばかり…。
先にお酒を飲んでましたよ〕

時刻は7時だ。
夕飯の時間だ。
先に食べてるらしい。

≪ノア…ゼロさんの分も食事を持って来てくれない?
頼んだわよ?≫

〔ミルル様は本当に人使いが荒い。
気性も荒いですが…。
まあ、その恩恵でこの涼しい部屋にいれますし…。
そこはご愛嬌ですが…ククク〕

ノアは酔ってるらしい。
この女は酒豪だ。
食事をしながら、飲みまくってる様子だ。

〔ミルル様も飲みましょうよ〕

ノアはミルルへ絡んでる。

≪ミルルの国では未青年は飲酒とタバコは禁止なんだから!
ミルルへ勧めないで頂戴よ!≫

〔あら?
固いんですね?
ミルル様って。
この国では飲酒もタバコも合法ですよ。
それから殺人や売春や詐欺窃盗…放火、強姦も合法です。
唯一、将軍様への反逆罪だけは死を持って制する重罪です。
ミルル様も本気で口には慎むように…。

今日も冷や冷やしてましたわ…。
うふうふふふ。
ミルル様が処刑なんてされたら、私は涼しい部屋で横になれないので…。
死活問題なんですよ?〕

≪一度で覚えるわよ。
ミルルは頭脳は明晰!
それから運動神経も容姿も兼ね揃えて、欠点なんてない女性なんだから。
全員がミルルを崇拝するんだから。
こんなに素敵な人間、いるわけないわよ!≫

ミルルは盛大に自慢開始ダ。

〔お酒飲みましょうよ?
楽しいですよ…。
ミルル様は…ハーフなんですから、どちらの国籍でも未成年のうちは良い筈です。
ということは…飲酒も大丈夫な筈です。
飲みませんか?〕

≪酔っぱらいは去って頂戴。
それからね?
法律、間違ってるわよ!!
ターシャ国の戸籍にはミルルは父親の欄が不明になってるのよ!
だって、精子バンクだからね!
だから、例え…実の父親が邪神国人でも…ミルルの国籍は永久にターシャ国なわけ。
結婚でもしない限りそうな筈よ!
だから、飲酒とタバコも売春に強姦や窃盗…放火、詐欺、殺人など…全部、ダメなの!
ノアの間違いよ!
残念ね?
ザマアミロ!≫

〔そうでしたね?
でも…良いじゃないですか?
少しぐらい、私と一緒に飲んでも…。
ミルル様が酔う姿…見てみたいですわ…。
ククククク〕

≪鬱陶しいわね!
ミルルは女なんて嫌いだし、それから酔っ払いやフシダラな人間は大嫌いなんだから!!
たくましい男性の腕が好きなんだから!!
ゼロさん!!
待ってたわよ!!
ノアにはゼロさんの食事を持ってくることを頼んだわよ。
今からミルルは…イチャイチャタイムをするんだから!!≫

ミルルは嫌がって、オレに接近を始めた。
ミルルはオレへ抱擁してる。
ミルルは眼鏡をかけてる…この国では割りとメガネは高級だ。
それから、髪は茶色い…これは染めてるのかもしれねえ。
あと、女ラシイ肩幅に綺麗な顔立ちをシテル、高貴な匂いがどことなく漂って見える。
今日、再会した女とは全く違う。
白い肌が異国を感じる。

やはり、亡き友にどちらかと言えば似てる。
オレは実はバイでどちらも好きだが…。
実はミルルはドストライクだ。

ノアはコチラを睨んで退室した。
オレの食事をミルルに命令されて、仕方なしに持ってくるラシイ…。

ミルルはオレの胸へ頭をうずめてる。

☆☆☆

≪広い肩幅してるわ。
本当に男性らしくてミルルは好きよ。
ウットリするわ…≫

ミルルは金より顔らしい…。
こんなバカはこの国にいねえ。
天然記念物だ。

テーブルには空のコップがある。
ミルルへノアが注ぐつもりだったらしいが。
今日は忘れたい事もアル。
酒を入れて飲むことにした。
しかし、今ではあまり酒に酔えねえのが困ったところだ。
この2年で酒に耐性が出来過ぎた。

≪ゼロさんはお酒飲めるの?≫

【当タリメエダ】

オレは…1年前に実の娘を失くしたらしい。
そのことを忘れたい気分だ。
酒はグイグイ何杯も飲んでみたが…。
全く、酔えねえ。

≪昼間は何をしてたの?
ミルル、待ってたんだから…≫

ミルルはオレが酒を飲んでるのにも関わらず、ずっとベッタリと抱擁してる。
オレが着席をすれば、膝に乗って来る。
どれだけ積極的な女か…分からねえ。

【ウッセェ…オレは任務ダ、黙レ】

好きにさせてる。
将軍様にはミルルから情報を聞けと頼まれてる。
どうも将軍様の質問に対してはミルルは答えねえラシイ。
割りとこの女…気が強いラシイ。
それから殺人術なんてミルルに教えれば…。
将軍様が命を奪われる可能性がアルと危惧してた話も黙秘スル。

【オレはオメエのいるターシャ国がどんな国か聞きてえ】

≪ミルルのいるターシャ国?
そうね‥。
食卓は家族で囲むことが多いかしら?
それから…飲むのは御茶ね?
ここではミルクばかりだけど。
それから…。
そうね、ミルルにはお母さんがいるわ。
お母さんはミルルとは全然似てないわ≫

オレは着席して、酒の入ったコップを机に置いた。
ミルルはオレの膝に座って、オレの髪を触ったり…オレの掌を握りしめたり、忙しい。

オレの手前の席で、ノアはちびちび酒を飲みまくってる。

【国に関スル情報デ良イ】

≪ターシャ国?
うーん…。
別に特に…。
平和な国だって思うけど。
ゼロさんも来たでしょう?
それ以外に思い当たることなんて…≫

ミルルはオレの胸元へ鼻を近づけて、夢見心地な表情をしてる。
酒に酔ってねえ癖に、この女は甘えまくってる。

それから、オレの掌を握りしてて…手相を見詰めてる。
その間もオレの膝に座ってる。
オレはされるがままだ。
これは昔からこういう性格だ。

【オメエはオメエのその髪は染めてるのか?】

ミルルはオレの髪を触りまくってる。

≪流行よ?
ターシャ人はオシャレだからね?
ミルル、雑誌のモデルだし。
ミルル、モテるのよ?
クラスでは?
で…ゼロさんはミルルのこと、どう思ってる訳?≫

【ウゼエ…】

☆☆☆

〔ミルル様に手を加えないでくださいね?
一国の王女様なんですから。
私はミルル様が女帝になることに大賛成なので…〕

突然、棺桶部屋の扉が開いた。
ノアが猛スピードで帰ってきたらしい。

ココにいる邪魔者はノアだ。
というか…。
ミルルはどういうつもりなのか?
ノアを睨んでみた。
ノアは睨み返してきた。

オレは溜息を吐いた。

≪ねえ、今日も一緒にゼロさん…。
眠りましょうよ。
ミルル、夜は眠いの。
もう9時には寝床へ付きたいわよ。
朝起きだから…≫

ミルルは盛大にオレの胸元で甘えまくってる。
この女が何を考えてるのか謎だが。
今日、再会した奴より数段…上玉だ。
オレも一度ぐらいは愛があるエロがしたい。
今、癒されたい。

〔私もご一緒に?
6畳ベッドですし…3人で寝ても〕

≪ノアは提出論文があるんでしょう?
ミルルはゼロさんと二人っきりになりたいわ。
ゼロさんも同じ気持ちよね≫

【オレは忙シイ】

〔誰だって涼しい部屋が良いに決まってますわ。
ミルル様、ゼロはお良しになって…。
私と一緒に〕

≪うるさいわね。
帰って頂戴。
今から、ミルルはゼロさんとイチャイチャタイムなの!!
邪魔者は要らないの!
二人っきりでラブラブするの!≫

【チ、我儘ダ】

〔私は嫉妬してます。
私を外して、ゼロとミルル様だけが冷房がガンガンに効いた部屋で寝るなんて。
この世は残酷ですわ…。
この頬に出来た痣はミルル様への忠誠の証ですのに…。
それでは…食器を下げておきますね?
ゼロは勝手に厨房へ来てくださいね?
今日は、ミルルさまに執拗なレベルに頼まれて・・ゼロの分まで食事を持ってきましたが・…。
私はそんなことしなきゃならない義務はないので〕

ノアは悔しそうに頬を撫でた…。
そのあと、食器をミルルの分まで持って、オレを睨んで退室した。
オレも負けじと、ノアは睨み返した。
ミルルはオレの膝へ着席したまま、まじまじとオレの瞳を見詰めてる。
オレへ抱擁をして、ウットリとした表情だ。

ミルルの方角を見る気になれねえ、いくらなんでもヤリタクナル。
ノアが去れば、事が始まれば良い。

☆☆☆


≪ねえ…。
ミルルがいなくなって…外はどうなってるの?
今日は軍事朝礼で将軍から何を言われたの?
ねえ、ねえ…。
王族専用ロビーにテレビはあるけど…ターシャ国の情報が全く入らないのよ!
教えてくれないかしら?≫

ミルルはノアが去った後も、オレの瞳をマジマジと見詰めて。
オレの膝に座ったまま、オレの胸もとに体を摺り寄せてる。
 
  【ハン?
ウッセぇ…】

≪ゼロさんは…ミルルへ殺人術を教えてくれるんでしょう?
手取り足取り教えてくれないかしら?≫

ミルルはオレに抱擁してる。
普通にミルルの胸がオレに当たってる。
腹も減ったが、いろいろエロな気分になる。
 
【先に飯食う。
オメエは離れとけ】

≪え?
そう…ミルル、邪魔かな?≫

猛烈に邪魔してる、オレの膝に座って抱擁しまくってる。

【すぐ食う】

≪うん、待ってるわよ?
終わったら、ミルルと一緒に寝ましょうね。
それまで、ミルルは歴史書を読んでるから。
早くしてね?≫

この寝ましょうは・・・。
また添い寝なノダロウカ?
それとも、違う意味なのか?
今日は暗い。
嫌な女に再会を果たしたからダ。

テーブルの上にはミール貝とラム肉のミルクシチューがある。

ミール貝はムール貝に似て異なる水温40以上の海底火山でも生きれる深海の貝で…。
王族が代々、好き好んで食べてる。
邪神海でセッセと養殖サレテル。

昔、ターシャ国のテレビで珍味として紹介されたことがあるらしいが…。
現在、邪神国とターシャ国は自由貿易を行ってない。
割りと身が締まった貝だ。

ターシャ国でも邪神国に生息するミール貝の養殖を行ってるらしいが、こっちより身が小さいラシイ…。
暑い環境下でないと大きく育たない貝ダ。
大昔の王家がムール貝に見た目がソックリだから、勝手にミール貝と命名したと聞く。


それと、山羊ミルクの寒天菓子がある…スィーツまであるらしい。
あと…海水スープか…海藻が具ラシイ。
これはミルルのために精一杯コックが頑張ったに違いネエ。



サソリの唐揚げはミルルが残してる、オレはいただくことに決めた。
ミルルにはサソリは粉砕してコロッケにすべきだとコックに助言しよう。
ミルルには悪いが…この国に良質な食事を求めてはいけねえ。
サボテンですら枯れてしまう環境だ。
サボテンのサラダも今日はある・…。
この国では、サボテンは超高層山にしか生えねえ、薬草だ。

60℃近くまで気温が達する大地に生きれるモノなど限られてる…。
ココは食材に乏しすぎる。

ミルルに栄養失調になられると困る。
ミルルは食べてもすぐ腹を下すらしい…。
食べさせねえと栄養失調になる可能性が高い。
痩せ過ぎは抱き心地が悪い。
ミルルはモデル体型だけある…今ぐらいで十分、細い…これ以上、痩せる必要などある訳もネエ。
というか…この国、全員…慢性的に栄養失調だ。
太い人間、見たこともネエ。










 



















ゼロ@


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ゼロB










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