アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

ゼロ@

【ゼロ視点】

ミルルはオレを追って来たラシイが、全く嬉しくもネエ。
オレはミルルと衝撃的な再会を果たし、落胆の渦にイル…。
本気でこの女の思考回路がヨメネエからダ。

邪神国王族の間、棺桶部屋。
そこにオレの友の墓がある。
墓の前に立てば…今までの苦労が頭を過る。

この国では"馬鹿は早死にスル"というコトワザがあるが・…。
亡き友もアホだった…いろいろがダ。
墓の前で報告シテル。

---【オメエの妹か姉か知らねえが…。
衝撃的なレベルなアホだ。
オレの隣にいる女だ】---

墓からは何の声も聞こえない。
鎮静剤が効いてるらしい。
幻聴が全く聞こえない代わりに…頭が働きにくい感じがスル。

それから何故かオレは…好き勝手に触られまくってる。
まるで、ペットか何かと勘違いしたノリだ。
全くミルルはオレの亡き友ゼロと似てないと前回の最後の場面で感じたが。
馬鹿と言うところだけ共通点がアル。
因みに将軍様は全く馬鹿ではない。
我が国の将軍様は…常に自分を中心に思考を練ル。
損得勘定でしか、動かない御方ダ。

ミルルには失望をシテル。
馬鹿ラシイからダ。

食事が終われば、ノアがオレを睨み付けて来ル。
この女は何を考えてるのか分からない。

☆☆☆

ほんの数日前、オレが部屋で幻覚に苦しんでいた時…。
勝手にオレの部屋へ入り込んで、調子を尋ねてきた女だ。

〔調子はどうかしら?
ゼロくん〕

アラビア系な顔立ち…細い体躯、それからあの時は…長い髪は一つに三つ編みして束ねてた。
ターシャ国立病院でスパイ目的で侵入バイトしてた筈だ。
20歳の優秀な女医だ。
しかし、この時まではオレのことを”くん”付だったが・・。
オレが牢獄へ入れられると同時に今では呼び捨てだ。
コイツは…知ってる。
位によって呼び方まで変える。
現在はミルルのことをミルル様と呼んでるが…。
ミルルの位が下がれば、ミルルに対して呼び捨てに変貌し…命令口調に豹変するだろう。
基本、金でしか動かない女だからだ。

〔精神薬なんて盗んで…本当に殺人に使う気?
私はね、戦地で何人も発狂をきたした人間を見て来たわよ。
ゼロくんのその瞳…焦点が合ってないわよね?
薬、今…そこに置いてあげるわ〕

【いらねえ】

〔無理しなくて良いのよ・
その代り、私の言うことを聞くのよ。
将軍様には黙っていてあげる…。
期待してるわ〕

【オメエの勘違いダ】

〔じゃあね、幸運を祈るわ…ゼロくん〕

こんなやり取りのあと…。
その薬を飲んだとたん、オレは意識を失って・・。
しかも発狂をした。
このあと、すぐだ。
誰でも疑う。
あの薬がおかしかったのかと。
今でも疑っテル。
糞ボケ。
しかも、この女。
将軍様へオレの病態を克明に告げ口しやがった。
お蔭でオレはガス室送りが決定し、この女は褒美として、位が一つ上がった。
恨んでいるに決まってる。


☆☆☆

〔さあ、ゼロも一緒に王族専用メイド寮へ。
ここは王族部屋ですから〕

【ジャナ…】

心の底から許せるわけもネエ。
常に警戒はシテル。

《ちょっと待ってよ!
ミルルはね、ゼロさんを抱き枕にしてココで寝るっていう計画があるんだから!》

〔本気なのですか?
ミルル様〕

ノアは瞬きをシタ。

《そうよ。
ミルルの傷心な青春を慰めるのはゼロさんしかいないわけ!
そのために走ってきたんだから…》

〔あれって…。
冗談だと思ってましたが、ミルル様って馬鹿なんですね…〕

【ウゼエ…】

ノアに反して、ミルルはまあ…馬鹿だが、愛嬌がある女だ。
そこは認める。

ミルルはオレに抱擁してる。
こういうパターンは知ってる。
多分、勘では誘われてる。
毎回、この手の仕事ばかりオレに来る。

機嫌が悪くはない。
最近はこの手の仕事もなかった。
老若男女問わず、任務のためなら身を張って来たが…。
その手の仕事は若年層に任せるからだ。
ノアはまだしてるのか、そこも知らねえ。

その手のスパイ活動は割りと女性の方が多い。
ウッカリ情報をその瞬間に漏らすことが多いのは確かだ…。
忘れもしないが…。

オレを捨てたらしい実母が住んでた街を爆破する任務。
任務完了してから…そこに実母とその家族がいると知ったが…。
あの時に、邪神教異端派の女幹部と関係を1年前持ったのが最後だ。
ここ一年はなかった。

その前の時代は頻繁だったが…ほとんど、富豪な男性客や富豪な中年女性客から様々だ。
その中では一番、オレの亡き友…ゼロとの思い出がまだ素敵だったが…。
これほどの上玉と相手したこともない。

任務でヤリまくってるぶん、別に女から誘われようが他で常に満たしてる状態だった。
その誘ってくる女ですら…この国の奴ら全員、金で乗り換える、頭には常に金しかない。
一度、誘われた女としてる途中に…全財産、盗難された経験もある。
あとで判明したが…泥棒とグルだった、窃盗目的で接近したらしい…良い学習料にはナッタ。
この国の女全員がこのノリだ、まだ金で女を買う方がリスクが少ない。

そのあと、暫くヒモジイ時が続いた。
従軍慰安婦を買う金があれば、食費へ回してた。
金がなければ、絶対にこの国の女は来ない性格だ。
常に将軍様に近い方へ媚びへつらってる…逆に誘ってくる女の方が怖い。
魂胆が大体、他にアル。

☆☆☆

墓の前では報告したが、本気で今までいろいろ大変だった。
自暴自棄になって、自ら命を落とすところだったが。
あれもノアの薬が悪かった可能性もアル。
そこは疑わなかった…。
これからも石橋を叩いて生きるつもるダ。

〔私はゼロが羨ましいです。
こんな広いお部屋で寝るなんて。
しかしミルルはこの国の姫様。
勝手に子供ができないようにだけ、お気をつけ遊ばせ。
将軍様にはこのことは黙っておきますから〕

《大丈夫よ、ミルルは天に誓って添い寝だけだから。
一緒に肩を並べて二の字で寝るの!
青春の穴埋めをするの!》

【ハァー〜
呆レタ】

〔私も呆れてます。
それから私はゼロを呪ってます。
私だけ狭い部屋へ収容されて。
ゼロは王族の広くて冷房がキンキンな部屋。
恨んでます…。
ここに薬、置いておきますよ〕

ノアがオレを睨んでるからオレも睨み返した。
ヤツは薬だけ机の上に置いた。
多分、睡眠薬だ。
オレはコレがなければ寝れねえ。
黒装束衣装にそれだけつめた。
いつも飲んでる錠剤だ、これは大丈夫だ。
ただ、新薬は警戒する。
どんな薬を盛られてるか判断できねえからだ。

薬は効いてる、確かに幻聴も幻覚もネエ。
しかしだ、前回…意識を失う前に渡された薬。
あれだけは疑ってる、あのあとすぐに狂乱だ。
あの女、それに色々信用ならねえからだ。

《ゼロさん、カラオケでもこの部屋でどう?
見てよ、あと壁。
ここは防音までされてるみたいよ。
歌いましょうよ。
ミルル、カラオケへはよく行くけど…。
1日泊まりなんてしたこともないのよ…。
ほら、部屋にカラオケまで完備されてるのよ!》

【ウッセエ…】

オレはベッドに横たわってる。
オレの隣でミルルは横になり、それから黒装束衣装の上から抱擁してくる。
ミルルはオレの胸元に頭をうずめて、大欠伸をシテル。
期待値は上ガル。


《後は野となれ山となれよ。
フワァ。
ミルルはね、別に結婚するまでエロはしないって子供の頃から決めてるんだから。
貞操は結婚相手にあげる気でいてるの。
未来の結婚相手へ初めてよって言うのが夢な訳。
誰と一緒になるのかまだ未定だけど。
きっとミルルの結婚相手は、喜ぶはずよ》

【ハア?】

どう聞いても、この台詞・・。
未来の結婚相手がまだ誰か分からねえと発言してるようにしか聞こえねえが。
これはオレの被害妄想なのカ?
アア?

《別に子供作るときだけで良いと思うし、エロなんて。
きっと、飽きる自信があるの。
それより会話したりハグが、ミルルは好きよ…》

ミルルはオレに抱擁したまま、本格的に寝てる。
こういうのオレは初めてカモしれねえ。
何を考えてるんだ、この女…。

期待してたのに…。

☆☆☆

今は、7月12日だ。
長いように感じたが…オレが発狂して、独房へ入れられたのはほんの数日間だったらしい。

ノアから打たれた鎮静剤のお蔭で何とか正気は戻せたが。
オレは奴を許したわけじゃねえ。
将軍様へオレの精神が逝かれてると告げ口をしたのは、あの女だ。
この国では精神が変だと鑑定されれば、ムショ送りでは済まねえ。
ガス室送りだ。

何とかガス室送りになる前に逃亡は図れたが。
半ば諦め気味でいたのも確かダ。
ここは娯楽が少なすぎる。

腕、切った瞬間…生を感じた。
何も感じないからだ。
リストカットは初めてだったが、確かに落ちかけてた。
自暴自棄とも言う。
特に理由はネエ。
疲れてただけだ。

薬が猛烈に効いてるのか、思考力が落ちてやがる。
それから猛烈に眠気が来る。
あと、幻聴は聞こえねえ。

何が原因かは知らねえが。
いつか、こんな日が来るのではねえかと恐れてはいた。
狂気を隠して、常人のフリして過ごしてた。
畜生ガッ…。

記憶が飛ぶのは昔からだ。
ノアからは解離性障害だと判定されてるが。
オレはノアを疑ってる、ヤツがオレを陥れたのかと。
それが正しいのかすらオレには分からねえ。
チッ。

ノアから渡された薬を飲んで、調子…最悪にナッタ。

ミルルには誤解されてるが、絶対…ノアが好きになれる訳もネエ。
向こうも同じだ、ボケが。

その日はミルルも隣で寝てる。
オレも普通に寝ることにシテヤッタ。






その翌日早朝だ、7月13日。
昨日は邪神祭りで、軍事施設もまだ活気がある。

王族専用ロビーに設置された巨大なスクリーンに、邪神国TV-NEWSが流れてる。

---素晴らしき邪神国に魅了されて、ターシャ国にいる将軍様の隠し子が名乗り出て、邪神国に自らの足で走ってきました---

さっそく全国民へミルルのことを報道する気らしい・…。

早朝は毎朝、軍事施設の庭園で、全員集合になり、拍手喝さいが将軍様に対して起きる。

---将軍様と邪神国に万歳---

挨拶と賛歌が重なる。

☆☆☆

軍事朝礼のあと…ノアがミルルの側近として決定したことが将軍様から発表された。
要するにノアは大佐に昇進だ…特例で幹部へ上がれたと言う意味の発言内容だった。
そのあと、オレだけ召集が将軍様、直々から名指しで上がった。

ノアを他とした幹部連中も外しと言う意味は…。
余程、重要なことをオレへ告げるつもりらしい。
ノアはミルルの側近に任命されてから急に格段に位が上がった。
以前から有能な女医として、将軍様に良い名前を頂いていたが。
”ノア”

ノアの方舟と同じ名前だ。
将軍様には医療スキルが我が国ではある女医だから、ノアの方舟計画が実行された際には。
残してやろうかと言われてるようなノリだ。
将軍様とノアの関係はオレには不明だ。
しかし…その割にノアは今まで別に位が高かったわけでもねえ。
今回、急に上がった。

極秘任務の可能性がアル。
それか…位が上がるなら、ノアと同様に朝礼の場で公表するはずだ。
それをしないということは…嫌な予感しかしねえ。

機嫌が急に最悪にナル。
表情が硬くナッタ。

オレだけ場に残されて、灰色の軍服を着た将軍がオレへ接近した。
オレは黒装束衣装だ。
今までは軍だったから、迷彩柄の軍服だったが。
一度、囚人にまで落とされて、位を失ってからは。
軍服を着る権利を剥奪されてる。

それに反してノアは一度も不祥事を起こしてない優秀な女医扱いだ。
この差は何か?
楽しくはねえ。
ヤツのせいで精神異常が将軍様へ発覚したのは事実だからダ。

〈キミには任務を与えよう。
軽い任務だ、偽造貨幣の製造工場の監視員だけで今回は許そう。
我が娘はキミを寵愛してるらしいからだ〉

【仕事はそれだけか?
新派、旧派、異端派の制圧をしなくていいのか?
戦地へは行かなくても?
奴らは常に塩の利権について…オアシスの利権について戦争を続けてる。
ココへ爆弾を仕掛ける可能性もアル。
オレはブッ殺ス…。
仕事をクレ】

〈キミは病み上がりだろう、キミに死なれると困るからね。
あの子…ミルルから情報を頂く係としてキミを選定しよう〉

【フッ…。
情報カ?
何のだ?】

〈ターシャ国に関する情報だ。
ミルルはボクの質問には答えないからだ。
ミルルが一番、信用してる人間はキミらしい。
ココは不思議でたまらないが。
キミからターシャ国の情報を聞いてもらおう〉

【良イダロウ…】

〈しかし、体へは手出しするな。
ミルルはキミが好きらしいが。
良く考えてみたまえ?
別にミルルとキミがくっ付いてボクに何の得がある?
ハハッハハハ〉

将軍様はどうも機嫌が良いラシイ。
笑い転げてる。

やはり、こう来たラシイ。
予想も出来てたが。

別にバレなきゃ良いんじゃネエかと逃げ腰にナッテタ…。
子供さえ出来ないようにすれば良いなら。
避妊具辺りで別に良いかと腹をくくり出していた。
将軍様は確かに絶対権力者だが、オレではなくミルルが猛烈に誘ってるからダ。

〈あの子には身代金要求か、それか…他国への政略結婚としての貢物か。
どちらかの線で行くつもりだ。
クククク…。
護身術はあのレベルで良い。
むしろ、あそこまで上だと…もう十分だ。
フフフフフフ〉

【ソウカ・…】

常に将軍様はこのノリだ。
相手を利用することしか考えにならない御方だ。
誰もがこの国では周知な事実だ。

〈むしろだ。
あれ以上、上がられると…ボクとしてはボク以上に武術が上だと色々使いにくいからね。
アハハッハ…。
ボクの首をあの娘が取りに来るとも限らない。
どこにそれをしない保証があると言う?
フフフフフ…。

キミには他の仕事を与えよう。
しかし、キミは殺すつもりはない。
キミが死ねばあの子は恐らくこの国に従わない筈だ。
ククククク…。
キミはそのために楽な仕事を与えようか?
喜べ〉

【御意、オレは去ル。
邪神国ニ幸アレ】

決まり文句ダ。

〈ゼロ…。
キミはあの子の部屋で添い寝をしてるそうじゃないか?
ノアから聞いたよ。
フフフフフ〉

またあの女は裏切りやがった。
あの女を信用するなとは…毎回、ミルルへ伝え続けてる。
どうでも良いことだガ。


【チッ。
ノアか、告げ口しやがったカ。
しかし…何もネエ】

事実だ。

〈あの子が身持ちが固い子でボクとしては助かったよ。
ハハッハハ。
あの子は結婚するまで純潔でいさせよう。
高値で売れそうだ。
これはボクとしてとても機嫌が良い。
さすが我が娘だ。
そこは評価をしよう〉

どうしてその話を知ってるのか?
目が点になったが・・。
ミルルがまさか、ノアに話したのか?
自分の価値観をだ。
それともまさか、部屋に盗聴器があるノカ?
場の空気が冷たくナッタ。

【ハン?
オレは任務へ向カウ・・・
部屋に盗聴器があるってか?
アァ?】

〈フフフフフ。
葉っぱを掛けたが。
あれだけキミへ懐いてたミルルと関係がなかったわけはそれしかないだろう?
固い良い娘だ、そこは高評価だ〉

【チッ、娘自慢カ?
ウッゼエ…】

〈おもしろいアクセサリーが出来た気分だよ?
ミルルに関してはね?
クスクスクス〉

【任務内容を話セ、手短にダ】

〈任務はね…比較的楽だよ?
監視してるだけだ、偽造貨幣の製造工場のだ。
これほど楽な仕事もないだろう?
それに君の武力をもってすれば、全員従うだろう。
割りと国家としては重要な仕事だ。
特別待遇なのが分からないかい?

ジャシドンの製造へ向かわせてもよかったが。
それとも大麻栽培工場でも良かったが。
他にも邪神国号船の運搬屋や…。
スケこましを他とする他国へのスパイ活動…麻薬の売り子…。
それから他国から我が国への拉致引き抜き任務に…。
全てにおいて…キミは優秀だ、非情に役に立つが。
今は病み上がりだ。

キミへは貨幣工場の監視役を頼もう。
あそこに強盗が入る可能性が高いからだ。
我が国の偽造貨幣のレベルは今や、普通の貨幣と大差ない。
これを狙う強盗集団すら、存在するのが証拠だ。

キミは暴れ足りないかい?
ボクへ従えば、キミへは多大な報酬を約束する〉

【ハン?
ウッセぇ】

〈キミは我が娘をどう思ってるんだい?
これは興味だが〉

【我儘ダ】

〈そうだな・・。
それには同意しよう。
我が娘は威勢が良い…。
それから気が強くたくましい。
そこは…ボクは満足だ。
クククク。
前、死んだ奴とは大違いだ…。
キミが見付けたヤツとはだ。
骨がある娘らしい〉

オレは将軍様へ背を向けて歩き出した。
少しまだ調子が悪イらしい…。
薬の副作用なのか眩暈がスル。

確かにゼロ…オレの友は弱い奴だった。
だが、良い奴だった。
ミルルは奴にも似てる、そこが良いところだ。

オレは地面を見詰めた。
まだ頭が働きニクイ。
頭に痣がある。
牢獄の壁へブツケタらしい…本気であまり記憶にない。
あそこは水分制限があって、寝苦しかったことだけ覚えテル。




邪神国からターシャ国へ留学を果たした女子大生21歳なら自決をしたらしい。
元々、自爆テロで爆破する役目だった。
あれほど精神的に病む仕事はない。
その前に精神に異常をきたしたラシイ。

他人の話だが笑えネエ。
オレもターシャ祭りテロ勃発の後に、精神異常を起コシタ。
今までもっと悪行を重ねてきたガ。
今回が我慢の限界値だったのか。
それともノアに陥れられたのか。
そこが今でも分からねえ。

この国は謎ダラケダ。
将軍様が実に17歳の頃、自分以外の家族全てを失った事件。
それは不審に感ジテルが・・。
誰が将軍様へそれを問いただすだろうか?
例え、陥れられても、死んだ方が負ケダ。

オレは、〔薬のせいではない、事実無根〕とノアから主張されようが…念のために疑い続ケル。
それぐらいの警戒心があって良イ。
周囲に悪人ばかりだからダ。

☆☆☆

ターシャ祭りのテロ勃発前に自爆テロに決まったが、その前に死んだ女子大生…。
ネット上に情報を拡販しようとすれば正体がバレナイから大丈夫だと思うのは浅知恵だ。
まさか、身元がばれないと思ってたのか?
あれは自決じゃない、行動に移したのが邪神国にばれたから、殺された。
他殺だ。

オレもそうだが、彼女にも体内にペット戦争のマイクロチップが内蔵されてる筈だ。
これでどこにいても居場所は付きとめられる運命だ。
技術の発展は悪利用すれば人権を侵害しかねない。
将軍はこれを利用して更に民を制圧してる。

青酸カリの入手ルートを国は詮索してるらしいが…。
一つ盲点がある。
邪神国からの留学生だ。
と言うことは当たり前だが…邪神人と彼女は密接に関係があるに決まってる。

それから…青酸カリは確かに、現在…一部のめっき工場では使われてるところもある。
青酸カリより青酸ソーダ―が主だが…。
探せばあるかもしれない。
国も躍起になって探してるラシイ。

彼女には確かに工場へバイト員としても潜伏をさせた。
この国の技術を調べる目的でだ。

しかし、国の大きな落とし穴は…。
さらに大きなところにある。
青酸カリの入手経路が国内にあると信じて疑わない点だ。

☆☆☆

ターシャ村の外れ…港町から船が出てる。
そこに、邪神教の素屈がある。
目の前にあるパチンコ屋の隠し扉、地下から海への通路がある。
潜水艦だ。
ジャシドン号とも将軍様は呼んでいる。
全てのモノを運ぶための機械だ。
昔は潜水艦ではなかったガ…最近、船から潜水艦に変わった。

今や、上空は衛星から映る時代だ…世界中からバレズに行動するには、それしか道はない。
将軍様は世界の法律が邪魔だと常に愚痴っテル。

潜水艦をつくる程度の技術なら邪神国にも存在する。  
邪神国は軍事武器技術に特化してる、それしか教育してないからだ。

空港は敢えて通らない、空港のチェックを通過できるわけもないからだ。
そこから偽札、大麻…青酸カリ…。
ありとあらゆる物質が輸送されてる。
酷い場合は…子供もいる。

闇組織の存在にはターシャ国は気が付いてないらしいガ…。
そこが抜け道だ。

ターシャ国の警察の力では事件は闇の中だろう。

☆☆☆

実は爆破テロ係には農薬物や青酸カリを取り扱ってる理化学研究所を他とする清掃員などのバイトをさせてる。
理由はこういうふうに逃げた場合に、自決させる際、青酸カリを用いることをあらかじめ想定してだ。

死亡した本人が青酸カリを手に入れられる環境下にあった場合、邪神国の潜水艦については詮索されない。

そこまで想定されて、将軍様は…自爆テロ係には青酸カリを取り扱う業者へ接近するように斡旋する。
逃げられるわけがない。
死亡後も自殺として処理される。

すべてが将軍様の手中にある。

結局、地下施設があるのかは不明だ…。
邪神国の神話では…邪神人が残した最後の遺産がある筈だと…。
文献に乗っていた。

将軍様はそこを占領して、ジャシドンが完成した瞬間に…。
そこで暮らす気満々らしいが…。
将軍様はノアの方舟計画を立ててる。

オレはノアの方舟として、巨大防空壕に残してくれることを保証されてるガ…。
どうか分かったモノではネエ。
将軍は自分のことしか考えてない…。
世界経済の貨幣をまず、失くす目的ラシイ…。

その証拠に、偽造貨幣製造工場技術には力を入れてる。
オレは今日、そこで監視員に向かうのダロウ。
面倒臭え任務だ、胸糞悪い…。

その間に、ノアはミルルへ政治を教える気らしいが。
将軍様は何を考えてるのか謎な人ダ。
ミルルへ教育をしたあと、どう将軍様が対処なさるのかは。
全く予想が付かネエ。

☆☆☆

近いうちに世界恐慌が起きるだろう…。
これも将軍がそれをするために準備をしてる。
偽造貨幣が流通してる…。
そのうちに貨幣パニックが起きるだろう・…。

お金と言うモノは限られた額だけあるから価値がある。
その量が増えれば…即ち、紙切れ同然だ。
邪神国の技術がそこまで来たときに危ない…。
ターシャ国の貨幣をつくる工場にもスパイを送ってる。
それから、邪神国はターシャ国と平和国からワザと金を借りてる。
しかし、将軍は全てを軍事にしか使ってない。
もうすぐ、邪神国は破たんをする、そうすれば…。
邪神国へ金を貸してる平和国もターシャ国も連鎖的に倒産への道しるべを辿りかねない。
そのあとも…。
邪神国が考えることは想像絶してる。
オレも全ては知らない…。


☆☆☆


偽造貨幣の監視員任務は今までしてた仕事に比べれば格段に楽だ。
確かにこの偽造貨幣所を狙う民衆は多いが、睨みを効かせて…鉄砲で地面へ威嚇さえすれば大抵が去る。
ただ、ひとつカッタルイのは…相変わらず、邪神国は暑いと言うことだけだ。
工場のロビーは涼しい。
外は照りつけるようだが、不審人物が近付けば警戒をするだけの仕事だ。
それから工場ロビーで万引きをしないか、工場従事者を見張るだけの仕事だ。

これも重要だ。
見張り番がいないと奴らは絶対に手を休める。
しかも、私物を盗み出す。
最前線でヘリで爆弾を落とした任務よりはずっと楽だ。
しかし、暴れ足りないのも…確かだ。

この偽造貨幣工場にはオレが知ってる人間は少ねえが…。
外からやって来る泥棒の中には、オレの昔馴染みまでイル。

 [おお、ゼロでござるか!
 拙者のこと、覚えてでござるか?
 拙者、泥棒侍でござる!]

男は黒装束を纏い… 褐色の肌に黒髪はチョンマゲだ。
顔立ちは…浮世絵画の歌舞伎男優にソックリで、手には1本の長刀をコチラへ向けて握り締めてる…。

[キャア、会いたかったわ!
ゼロ♪
聞いたよ!
ここで働いてるって!
外、暑いわ。
入れてくれない?
サービスするわよ?]

それから肩揃えなウェーブが入った黒髪に背が低く細い褐色の肌の女。

遭遇するなり頭の血管がブチ切れそうにナッタ。
殺意が沸々と沸いて来た。

 [ゼロの昔馴染みだし、拙者、ここで今日は暴れても良いでござるか?]

[頼む!
工場の潜入を許してくれない?
ゼロ…?
あの時は悪かった…夏の暑さに耐えきれず…お金、全部…ゼロの取って。
でも、ほら、一度はアタシを抱いたわけだし…。
アタシには甘いよね?
ねえ、ゼロ・・・。
やりましょうよ?]

【ウゼエ、去りやがれ、タコボケナスが!!!
ザけんじゃねえよ!
この野郎!】

もちろん地面へ威嚇して退散させてる。
特に最後に発言した女・・・忘れもしねえ。
何年ぶりだ?
2年ぶりか?

癖毛な黒髪が肩揃えで、うねってて広がってる。
褐色の肌に小柄で華奢な体躯…、オレより1歳下の…従軍慰安婦…。
今日は赤い水玉模様のフリフリドレスを着てる、いかにも…この国の娼婦に多い服装だ。

コイツのせいでヒモジイ思いを夏の暑いときにしたことは一生、忘れられねえ。
お蔭で用心深くはナッタ。

[で、アタシの娘はどうなったのかしら?
キャハ♪
今なら、ゼロと一緒になっても良いわよ?
キャハハハ。
喜ぶのね?]

 [こう言ってるでござる。
 ここを通して欲しいでござるよ。
 拙者、暑いでござる]

【畜生目が…】

[どうしたの?
ゼロ…。
顔が暗いじゃないの?
まさか…死んだんじゃないでしょうね?]

 [まあ、1年目を越えられねえことは多いからな。
 ゼロに預けたでござるか?
 拙者、驚きでござるよ。
 初耳でござる]

[もし、死んだんなら?
慰謝料、貰えないかしら?
一応、アタシの娘なんだからね…。
キャハハッハ]











 



















[2]ゼロを読む前の挿絵


目次

[2]ゼロA










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