アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

4部タリアG





マナナ視点


タリアに言われたように私は電柱近くの狸像の背後へ行った。
タリアは狸像を動かせって言ったけど…。
狸像に目隠ししたら済む問題だって思うんだけどな…。
背後なら確かに電信柱効果で明かりがあるから、渡された紙が見える。

☆☆☆

FROM;マナナ
TO;キセキ
件名;注意
本文;お願い。

「私はミサの一般通路…門近くにある電柱前の狸像があるところで待ってるわ。
私の元にはすぐに来ないで!
狸像の後ろに隠れて!
そこに狸像の目に監視カメラがあるの!
そのあと、一緒に狸像を動かして!
インターホン付近にも注意して!
期待してるわよ!」

☆☆☆


一応、文章も打つけど…。
電話の方が良いと思った、電話でキセキへかけようかと思って、ハッとした。
ココは外、会話を聞かれる訳にはいかない。
やっぱりメールにしなきゃ。
でも、キセキが見てくれるか心配だけど…。

何とか…文章を打って送信ボタンを押した。

その時、キセキ達がやって来た。

「今から行きますよ、学習博士」

~~~本当にワシがここを通っても良いのかね?~~~

{ワクワクするッス♪}

◎女人しか入れない花園へ行けるなんて!◎

キセキと…。
前、会った…金髪ピアス半ズボンなサーファー風の学習イッチと…、
アニメオタク帽子を被った白デブ眼鏡の学習ニイ~…。
あと、テレビによく出演してる学習博士は…頭が3本立って髪が灰色の常に博士服を着てる中年男性…。

この4人が見えた。

そこで、私は大声で叫んだ。

「キセキ、ストップ!
そこで停止してこれ以上…来ないで!!」

キセキはビックリしたようにこちらを見た。

「マナナ、どうして君はそんなところで隠れているんだ?
ビックリした、僕は心臓が止まるかと…」

~~~この子がマナナかね?~~~

{久しぶりっす!
俺、海の男…イッチっす}

◎その2卵生双子の弟…俺はニイ~だよん!◎

「頼みがあるの!
この狸像の目は監視カメラらしいの・・。
これに映らない様に、背後へ回って…。
それからこの像を一緒に動かしてほしいの…」

「どういう意味だ?
それは…。
僕にはサッパリだ…」


~~~分かった、ノリに乗った船だ。
ワシも手伝うとしよう~~~

{仕方ねえっす。
やるッス}

◎俺、運動は大嫌いだよん◎

何とか目前の4人に通じたみたいで…私は胸を撫で下ろした。
4人とも、電柱柱前にそびえ立つ狸像の後ろへ来てくれる。

「キセキへ今、メール送ったところだけど…。
読んでくれたかしら?」

「え?
今か?
僕…見てなかった…。
今から見るとしよう…」

「キセキは狸像を…動かしてくれないかしら?
頼むわ…。
キセキだけが頼りなの…」

{狸像なら俺が動かすッス。
これぐらい、キセキがいなくても楽勝ッス}

金髪ピアスのガングロ男…イッチーが頑張ってる。

「そうか…。
そういうことか…。
メールとマナナの言葉で、僕は判明した。
情報をありがとう」

私はタリアから渡された紙をしまった。
タリアには見せるなって言われたから。

「でも…この狸像に目隠しすれば…それで済みそうだけれど…。
ダメなのかしら?
それは…」

~~~それは良くない案だ。
監視員が1時間に1度来ると言うことは…。
例えば…ニイ~のアニメ帽子が…狸像に乗ってたら…どう思う?
不審に感じるはずだろう?

ワシの考えでは狸像は左右へ動かすべきではない…。
コンセントがありそうだ…それを切れない様に…。
狸像の視線…角度が少しだけ変わるレベルに、狸像を少しだけ回転させるべきだ。
廻した方が賢明だろう~~~

{回すんっすか?
父さん}

~~~そうだ、この門の右端だけ…監視カメラが映る程度に動かせばいい。
ワシたちはこの門の左側から入るとしよう。
それで良いだろう~~~

{それにしてもこの像見た目以上に思いっす。
キセキ、手伝うっスよ}

「分かった、僕も手伝おう」


~~~ワシは頭を使わせてもらうとする。
この狸像の後ろで見物といこう~~~

◎俺も狸像の後ろで…監視役で…。
あひあひ♪◎

ニイ~さんはよく分からない踊りを踊ってる…。
学習博士も腕を組んで立ってるだけ…。

学習博士と、オタク風白デブ眼鏡アニメTシャツのニイ~は役に立たないみたい…。
私はちょっと困った。

{少し動いたっスよ}

「それから…門の前にあるインターホンにも…監視カメラがあるらしいな?
僕のメールにそう書いてたが…。
本当なのか?
マナナ」

一瞬、ぽけーとして忘れてたけど…そうだったわ。

「そうなの。
注意してちょうだい、キセキ」

私たち5人で、そこだけ注意を払って、門の前まで行って・…ドアへノックを3回した。

『…』

ドアが開いた。
タリアが無口なのはいつものこと…でも今は女体化してる…金色長髪碧眼白人系華奢な体躯の美女。
オレンジ色の光に包まれてる。

「巫女様久しぶりです。
僕はキセキです」

{久しぶりっす!
会いたかったッス。
えっと…アドレスは?}

◎アドレス教えてよ!
もうマナナに彼氏持ちとか聞いて…。
残ったのは巫女様しかいないよ…。
あひーーん…◎

~~~見苦しい息子たちめ。
ワシを差し置いて…。
巫女様…噂通り綺麗ですなあ・・。
毎年、ターシャ祭りでは会ってますが…わしのこと覚えてますか?
今年は会えなかったですね…~~~

『…』

金髪碧眼美女へ変貌してるタリアの周りの光が突然、オレンジから水色へ変わった。
いつも勝手に変わる…不思議な体質だって感じる。

{巫女様ってクール系なんっすね!
おしとやかなのもまた良いッス!
落とし甲斐があるっす!}

◎巫女様、俺と握手を!!
サインを!!◎

「喋ってないで…私と一緒に急いで!
監視の人が来るから」

キセキ、学習博士…それから学習イッチ〜、学習ニイ〜さんが…。
門の左から一生懸命、監視カメラに映らない様に通過してる。
私も最後に通過した。

☆☆☆

何とか、一般通路の門は通過できた。
あとはミサも9時を越えて、終了したし…誰もいない。
空に満月が上がってる。
泉にそれが反射して映ってる。
あのテロの日から、泉の周りは水たまりだらけだったけど…。
まだその痕跡がある。
それから…緑の野原だったミサ会場赤いテント前の庭は…。
今は枯れ野原。

しかし、バス停の看板は倒れてしまったけど、この時間でもバスは運行されてる。
市内循環バスがミサのテント前にまで来る。
バスだけ許可証があるみたい。
だからと言って、男性客はこのバス停で下車することは許されないみたいだけど…。
それが目的で、よく男性客がバスに乗って…ミサをバスの中から眺めることが多い。
男の人が・…一年に一度しか巫女様に会えないことが不満みたいで…。

巫女様の正体がタリアって知ったら…。
いったい、どうなるんだろう?
タリアは一家離散になるって話してたけど…。
きっと村中、パニックになると思う。
巫女様に友達が出来ただけで、週刊誌にパパラッチされて掲載されてしまうレベルなんだから。

「待ってたのよ…もう…キセキ…。
何で早めにメールをくれないわけ?」

「君は要するに巫女様と友達になれたのか?
僕に教えてくれ…」

『…』

「この話は秘密よ。
また私、週刊誌で大バッシングの嵐になるから。
一度、酷い目にあったんだから!
私のお母さんが勝手に噂を流して…。

それから学習兄弟、アンタたちも黙ってよね?
あと・…学習博士…隠してくれますよね?
その代り…博士がココへ来たことを、私も黙ってますから」

~~~もちろんだ。
ワシはココへ来れて嬉しい。
ココには他にも若い女性がいるのかね?
ワシはウハウハが出来るのかね?

ピチピチギャルはいるかね?
美女はいるかね?
かわいい子でも…ワシは…~~~

『…』

{ああ、母ちゃんが聞いたらまた怒るっすよ…。
で、他にも女性がいるんっすか?}

◎俺だけに紹介してくれたら!
趣味はアニメだよん…。
うふふふ◎

「君たちは…どれだけ女好きなんだ。
僕のレイカさんには初対面で告白をするし…僕を差し置いて。
巫女様をもっと敬え!
僕ですら巫女様へは馴れ馴れしくしないのが常なのに…」

「良いのよ、キセキ…」

「どうしたんだ?
昔は…君は巫女様へ近付く虫へは毎年…怒り狂ってた筈だ。
どうかしたのか?」

「そう言う意味じゃないの…」

『…』

「待って…巫女様」

金髪碧眼美女へ変貌したタリアが無言のまま、勝手にミサへ早歩きした。

「巫女様のお蔭で前回は僕は命を助けられました。
この御恩を僕は忘れられる訳もございません…。
あの時は僕は泣いてばかりで役立たずで…。
でもさすが巫女様…。
ターシャ神話に認められた人だけあると僕は崇拝しなおしました…」

「そんな…巫女様だって当たり前のことで…」

『…』

タリアだって必死だった筈。
タリアの光が今、紫色…。
これは綺麗…。
タリアって女体化すると宝石みたいに光るんだから・・。
アメジストみたい…。

◎いつ見ても綺麗だな…。
前回は俺、あまりお話しできなかったし…。
今回こそ◎

~~~お父さんとの仲を取り持ってくれないか?
息子たちよ・・。
本当に綺麗な方じゃな…~~~

{巫女様、俺と一緒に夜の海でサーフィンでも}

『…』

タリアは全く会話しない…。
光り方が灰色になってる、そこから青色に変わった。
キラキラ変わって、ホタルみたい。
これを見るのが好きで来るお客さんも多いみたい。

「巫女様…本当に連れて来ても良かったのですか?」

一応、聞いてみる。
タリアは私にだけは会話してくれるはずだから。

『…』

「巫女様?」

{巫女様…クールっす。
俺…惚れるっす}

◎地球に残された最後の汚れなき乙女は…巫女様です♪
最近、CMで出てる眼鏡ミルルも俺はファンですが…。
巫女様、神押しでしょ?でしょ?◎

~~~巫女様、年齢差のある恋愛なんて…。
ワシは妻子持ちですが…~~

『…』

金髪碧眼華奢で足の長い女性へ変貌したタリアが…全身、水色に光ってる…。
髪までキラキラ水色に光り輝いてる…本当に異世界の人間みたい…。
これは前回、地下施設へ行った時と同じ光。
やっぱり、発光が綺麗だって感動してしまう。

「巫女様…僕は報告しなければならない・・。
悲しいお知らせがあるんです…。
僕は…レイカさんにふられました・・。
巫女様に力を付けて貰ったと言うのに…。
僕は…自分が不甲斐ないです…」

『…』

「元気出して、キセキ…。
大丈夫よ・・」

「それだけじゃないんです…。
今日はレイカさんが…塾へ来なくて…。
いったい、どう言うことなのか…。
僕とレイカさんの接点がなくなったみたいで…。
もしかして…あの婆ヤさんに…。
レイカさんと引き離されたんでしょうか?
僕は…」

『…』

「それだけじゃないんです…。
実はクラスでは1番なのが隣にいるマナナなんですが…。
少し前まで僕と付き合っていたと言うのに…。
何故か僕の友人、タリアと交際を始めて…僕は今、泥沼なんです。
本命を諦めて、マナナに帰って来てくれるように頑張るべきなのでしょうか?
それとも、無理難題な本命へ突き走るべきか…悩んでて…」

『…』

◎おまえ、まだ言ってたのか・・。
どっちかひとつにしろよ。
俺だって、レイカさんに振られて今は巫女様にアタックするって決めたのに…◎

{そうっすよ、マナナには失望したっス。
赤い紐パンが良かったからアドレス聞こうと思ったッスが。
まさか、男付きとは・・。
レイカさんは振られたっスね…。
もう巫女様に俺は根性で海に誘うっスよ!}

~~~ワシは気になるが・・。
赤い紐パンとは何の話だ?
赤い紐パンなのか?
マナナは・・~~~

{そうっす、もうビックリしたっス!}

◎パンツからお尻が丸見えだったって!
アヒヒヒ◎

「君たち、ハッキリ言うのはマナナに失礼だ。
マナナだって必死で隠そうと、スカートを抑えていたのだから…」

『…』

どうしよう…。
視られてたみたい…。
仕方ないかもしれない。
タリアに言われたようにあれからはパンツは履いてる。
今日は白いTバックなのに…。

制服だから大丈夫だって思いたい。
見えないって思いたいけど…。
半ズボンを履いて来るべきだったかも。
制服のスカートも短く切ってるから…。


「えっと…。
キセキ…今日、来なかったの?
レイカさん…塾へ…」

何とか罰が悪いし、話題を変えようと必死で頑張った。
別にパンツなんて見られて減るモノじゃないけど。
少しは照れる。

{レイカさんか…。
俺らを残して…逃げて行った昨日のことッスね。
キセキ、諦めるっす。
つーか…あのあと、俺ら2人で被災者へのカレーの配布仕事、大変だったっす。
キセキからはマナナからのアドレス期待してたのに…。
男付きとか知ったッス。
それから…俺もレイカさんに振られたっスよ}

◎俺もだ…アニメしかないと思ってたが…。
俺にはまだ…地球に残された最後の汚れなき乙女。
ダイヤモンドの原石…TVアイドル、眼鏡ミルルと…。
神聖なる女神さま…巫女様がいたなんて!
俺、ヤル気出るよん!
うへへへ◎

~~~息子たちよ…。
レイカさんと言うのは…どんな子なんだ?
綺麗な子か?
かわいい子なのか?
美人なのか?~~~

「学習博士…レイカさんはミスターシャ王立女子大になったレベルの容姿端麗な女性です。
女子アナも余裕です」

~~~そうか…そうか・・。
ワシも会ってみたいな…。
会えるのか?~~~

「会えるのだろうか…。
バイト先ですら、今日はいなかった…。
巫女様…僕はどうすれば・…」

「元気を出して、キセキ…。
良いことあるわよ…。
キセキはモテるんだから」

『…』

相変わらず、金髪美女へ女体化したタリアは無言で水色発光…おごそかな雰囲気が漂ってる…。

「もう一つ、悲しいお知らせがあります。
僕はもしかしたら…平和国へ留学をしなければならないかもしれません…。
巫女様…僕は来年のターシャ祭りに行けるかどうか・・。
分からない身です…」

『そう…』

やっとタリアが喋った。
今、オレンジ色の発光に突然変わった。
この色も綺麗だと思う…。

{巫女様っていろいろな色に変わるビーナスッスね。
見ていて飽きないッス。
まるで俺の愛する海のようっす!}

◎俺、巫女様アニメがみたいなああ◎

~~~巫女様は…普段は何を・・。
ワシは学者をしていて…。
泉へは裸で行水するのですか?
あ…これは勉学のために効いているのであって…。
ワシにはヨコシマな気持ちなど・・。
ナウでヤングな博士と普段は言われてます~~~

{母さんに告げ口するッスよ。
父さん…}

◎そうだよ、父さん・…。
巫女様、困ってるだろう?◎

ニイ~さんは嬉しそうに踊ってる。

『…』

タリアは相変わらず静か…また水色に強く光ってる。

「巫女様、元気出して…。
これから地下施設へ行くんでしょう?」

『行きましょう…。
見てくれますか?
学習博士』

タリアがやっと喋った、良かった…怒ってないみたい。
全然喋ってくれないから、もう何考えてるのか…不明過ぎて…。
ちょっと、仕事行儀な気がするけど…。

~~~巫女様は…パンティーは何を…。
履いてるのですか?
ワシが見ても…~~~

「何を言ってるんだ!
学習博士ともあろう方が!
僕は見損なってる!
君たちが女好きなのはまさか…この博士に似たと言うのか?」

『…』

「巫女様、元気を出して!
ファイトよ!」

どうして私がタリアを慰めないとダメなわけ?
タリアって…。
普段、何考えてるの?
全然、喋ってくれないから不思議でたまらない。
タリアの考えてる世界を一度、見てみたいかも…。
さっきまで喋ってくれてた癖に…突然、停止してる。
どういうことなの?
話し疲れたって訳なの?
これがタリアの個性だってことは…認めてるけど…。

{巫女様って本当…クールッスね!}

◎俺、デレデレするよ◎

~~~地下施設より…巫女様のスカートの中身をワシは…~~~

「君たちは黙れ!
巫女様が困ってる。
巫女様は神聖なる泉の女神さまだ。
僕が…前回、入った押入れの中まで案内しよう…。
巫女様には名誉挽回のチャンスだ。
前回、僕は泣き通しで全く役に立たず、逆に巫女様に助けられたという恩があるからだ」

『…』

「この先にある布団が入ってるクローゼット…。
ここに入れば何故か・・突然のタイミングで…。
灰色のクローゼットが動き出した」

「でも…狭いのよね…内部が」

「前回は布団が邪魔して、動けなかったが。
今回は時間がある。
中のモノを出してから全員で入るべきだと僕は思う」

『…』

「私も手伝うわ」

タリアは今、綺麗な金髪碧眼美女になって、床に立ってるだけ。
何も話してない…ずっとそう…。

タリアが全く喋らなくても…キセキを含める男達全員が必死で物置から布団を出す作業に取りかかってる。
ここがタリアが男の時と大違い。

特にこの学習家族は分かりやすいのか・・。
タリアを見て、デレデレ顔が真っ赤。
タリアの顔が死んでる。

タリア、実はあれ…嫌がってるのかもしれない。








タリア視点。



「マナナ、僕は布団を出した。
これで学習博士も入れるだろう」

夏だ、ココは冷房が効いていて涼しい。
夜と言うのに外は蒸し暑い季節だ。
それなのに…俺は布団入れの灰色倉庫へ男4人と共に入らなければならない運命らしい。

『…』

「これで入れるはずだわ。
キセキ、イッチーありがとう…。
博士とニイ~は見てるだけだったけど本当に役に立つわ」

◎俺も今回は少しは動いたよん、褒めてよん♪◎

「学習博士、狭いと思うけど耐えて下さるかしら?」

~~~もちろんじゃ、ワシはマナナの隣で良いのじゃ…。
いや、巫女様とマナナの間にワシが…入っても~~~

◎俺は別にマナナの隣でも良いですよ。
それか巫女様の隣でも◎

{俺も別にマナナや巫女様の隣で良いっすよ}

「君たちは巫女様に恐れ多い。
僕はマナナの隣でも…」

『…』

「もうっ、うるさいわね。
順番なんてどうでも良いでしょう?
分かったわ。
一番、端が巫女様で、その隣が私…その隣にキセキで良いわ」

「それが一番いいだろう。
学習博士や学習兄弟ほど何をしでかすか分からない奴らも僕はいないと感じる。
それが最善だ」

『…』

正論なのかもしれないがあまり面白くはない。

~~~ワシの隣は若い女じゃないのか?
隣は息子なのか…トホホなのじゃ~~~

◎ちぇっです◎

{仕方ないっすね…。
妥協するッス}

全員が倉庫へ入る。

「しかし…動かないですね・…。
前はどうやって動いたのだろうか?
僕がつっ立ってたら突然…」

俺は…倉庫の内部、鍵穴へミサ専用の鍵を入れて廻した。

しかしそこで何故かブザーが鳴った。

「何だ?
この音は…」

〜〜〜待ってくれ…。
君たち、これは邪神語で…何か書かれている〜〜〜

「え?
何?これ…天井に赤い変な文字が…」

「前はなかったはずだが…。
何だろうか・…」

{何っすかね?
これ…。
前はなかったすよ…}

◎父さん、読めるのか?
ヒヒ◎

前はこんなことなかったはずだが…。

『…』

---350kg〜ਞਬ---

倉庫内部天井が赤い文字で光ってる---350kg〜ਞਬ---と表示されている。

〜〜〜これは…〜〜〜

{読めたッスか?}

◎350kg〜までは読めるが…。
ਞਬだけ意味不明だよん◎

〜〜〜分かった、きっと…これは重量オーバーだ…〜〜〜

「え?どう意味ですか?
前はなかったんだけど…。
私には何のことか…」

〜〜〜全員で足して…どうやら350kgを越えてる…と言う意味らしい・・〜〜〜

◎え?
とう言うことは…父さんが悪いんだな◎

〜〜〜父さんは毎回怒ってたはずだ。
母さんも泣いてる…ご飯を与えないと家で怒り狂う件についてだ。
ニイ~今、何キロなんだ?〜〜〜

◎別に100キロの壁は多分…越えてないと思うのに…。
俺のせいなのかよ。
うるさいなぁ!◎

{ニイ〜のせいなのか?
父さんは何キロなんだ?}

「まさか…そんな体重制限があるなんて・・。
私が最近、食べ過ぎてるから…。
クレープなんて嬉しそうに昼間食べるから…」

『…』

「この場合は誰が1人、この部屋に残った方が良いんだ?
僕は付いていく気だ」

〜〜〜まあ、ワシに任せろ…。
こう言う場合は…要はエレベーターじゃ。
もうしかしたら・・・中心を避けて、周りに全員が行けば…。
あるいは…〜〜〜

「そんなこと可能なの?」

〜〜〜エレベーターで重量オーバーになった時には定石じゃ〜〜〜

「そう…」

〜〜〜ワシが巫女様かマナナの隣でも…〜〜〜

「学習博士は黙って下さい。
マナナも巫女様も嫌がっています。
前まではこんなことなかったんですから…。
博士の体重のせいでこんな目に…。
僕の話も正論な筈だ」

『…』

キセキが言うことも道理に叶ってる…。

全員が学習博士の指示通り中央を避けて壁際に行った。

すると突然、ゴゴゴゴゴと地響きがして動き出したらしい・…。
急速度で倉庫は俺達6名を乗せたまま落下して行く。

「ちょっと押さないで…」

「またなのか?
でもあの時と違う!
僕は冷静だ」

{これ、前より狭いっす。
ニイ~暑苦しいッス}

◎またなのか?
これ、スピード抑えられないのかよぉ。
アヒアヒするぜ◎

『…』

~~~凄い、これは…。
ちょっとだけワシは外を見たいが…。
この扉を開けても、諸君…良いかね?…~~~

「止めて!
絶対にやめて!
それだけは絶対にダメよ!」

マナナが叫び狂った。
前回はサーファー風な顔黒、金髪ピアスイッチーが…引き戸を開けたせいで、突風が外から荒れ狂い…マナナのスカートがまくれ上がり、大変なことになった。

マナナは赤い紐パンが見えない様にスカートを抑え、俺はマナナが落下しない様に庇ってたが…。
今回はそれより酷い…全員が壁にヘバリ付いてる状態だ。

「博士…開けるな!
そこを開けると…もし落下すれば瞬殺だ!
僕からもキツク言う!!」

〜〜〜そうか…。
そうか…。
ワシが悪かった~~~

『…』

理解してくれたらしいが…。
倉庫は右へ左へ移動して忙しい…揺れ動いてる。

◎これ、倉庫の真ん中へ足を置けば…どうなるんだ?
止まるのか?
まさか…へへ…◎

{ニイ~、兄に従うっス。
そんな危険な賭けは俺、する気にならねえっす}

「私もよ」

~~~やめた方が賢明じゃ、重量制限があると言う意味は…。
オーバーすれば…危険と言う意味じゃ。
最悪、ワイヤーが切れるレベルなのじゃ、真ん中だけは脚を置かぬように…~~~

「嘘だろ?
それなら…やっぱり僕だけミサのテントに残った方が良かった…」

キセキが半泣きになりかけた。
あまり成長してないが・…これでレイカさんの護衛のバイトなんて勤まる筈がないと感じる。
やはり、ほとんど可能性はゼロな気がする。

「大丈夫よ、キセキ…。
脚を真ん中に置きさえしなければ…良いんだから」

全員がそれを聞いて…蛙のように壁にへばり付いた。

何が起きてるのか前回、同様…全員、頭が追い付いていないらしい…。

☆☆☆

暫くして、やっと目的地に着いたらしい。
倉庫が止まった。

「着いたのかしら?」

「開けてみようか?」

{そうっすね}

◎うんうん◎

~~~ワシは気になる…。
どんな施設なのか…~~~


『…』

前回来た場所と同じところだ。

~~~これは驚いた。
凄い施設だ、これは…現代科学以上だ。
この金属はレア・アースでも特別な金属だ。
それからこれは多分、ランタノイド…。
それで…蛍光してるのか…この場所が…。
強力な磁派が流れてるんじゃないだろうか?~~~

「博士・・何故か…最近、この場所で…携帯電話が使えなくて…。
今までも電波が悪い時もあったのに…。
使えたのに…。
どうしてかしら?」

~~~ああ。
それ以外にも…この金属は…見たことすらない。
かなり貴重な施設だここは…。
何かが…電波を阻害してるのかもしれぬ…。
ワシにはなぞじゃが…。
この先の扉が目的地なのか?~~~

「そうだ、僕はよく覚えてる…。
この中だ」

『…』

俺は黙って、扉を開けた。
俺から出る水色の明かりでも周囲が照らされて判別できるだろう。

扉を開ければ・・。
石のモニターがある部屋だ。
その石壁には古代壁画と邪神語が刻まれてる。







第4部タリアF


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第4部タリアH









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