アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

4部タリアE




「ミルル、さすがに…タリアの前でそれはきついって思うの…。
タリア、少し前まで本気でミルルのことを何年も好きだったみたいだし…。
ほら、見てよ・・タリアを・・。
固まってる…」

『…』

≪月神さんのことなんてどうでも良いわよ?
ミルルはね?
キセキさんの意見をあおぎたい訳!≫

ミルルは顔へ血を登らせ、眼鏡をクイクイ指で動かし…大声でヒステリックに怒り狂ってる…。
対して、キセキの顔は真っ青だ、唇をパクパクしてる。

「タリア…。
何故、君はミルルを諦めたんだ…。
君は薄情モノなのか?
僕がこんなに困っていると言うのに…。
助けてもくれないのか?」

キセキは茶色い瞳を何度も瞬きしてる。
ミルルは眼鏡を光らせ……キセキへ接近して、キスを迫ってるらしいが…。
キセキは本気で嫌なのか逃げようとしてる。

しかし、ミルルが必死でキセキへ抱擁してる…熱烈だ。
キセキとミルル…。
両者の力は互角らしい…。

『…』

俺は唾を飲み込んだ。

「ミルル。
分かったわ・…。
良い案があるわ…。
ミルルのファーストキスなら私が奪ってあげる!
だから、ビジネスキスには耐えて…ドラマを・・・」

俺に巨乳を付き当てて密着してたマナナが…俺から離れて…ミルルへ歩み寄った・・。

≪何を言ってるの?
ふざけないで!
マナナ≫

ミルルは鬼の形相だ…眼鏡の下から覗く瞳が……怖い。
染めて茶髪ロングの髪まで、振り乱れてる…。

「私もミルルが好きなの!
テレビでこれからもミルルが見たいの!
そのためならどんなことでも協力するから!」

マナナは拳を握って応援してる…。
俺はポカーンとなった…。

≪笑わせないで!
ミルルはキセキさんとキスがしたいの!≫

ミルルはドンドンと足踏みを床へした、相当…カンカンらしい。
キセキはもう怯えて泣き始めてるようだ、茶色い瞳から何粒も涙が落ちてる…。

「僕には無理だ…。
あんな友情、無理すぎる…。
済まない…ミルル、ファーストキスは僕以外の相手を見つけてくれ…。
僕が罪作りな男だと言う自覚ならある…」

マナナに意表を付かれて、停止したミルルの魔手から逃れて・…。
キセキは脱兎のごとく、走り出した。

≪キセキさん!
往生際が悪いわね!≫

ミルルは逃すまいとキセキの茶髪を掴んだが…。
キセキの茶髪は一本抜けただけで…キセキはトカゲのように疾走する。

「すまない…。
僕では力になれないようだ、ミルル…」

「ミルル…。
私が…ミルルのファーストキスの相手になっても…」

マナナは照れてる表情だ…。
ここは衝撃的だ…。

何か…マナナの顔が赤いが…。
ちゃんとレズは治ったのか?
そこは不思議だ。

『…』

俺は瞬きだけした。

≪キセキさん…今日は久しぶりに足蹴りを背中にしてあげましょうか?
幼稚園時代にミルルがキセキさんの背中へ与えた足蹴りの痣…。
今でも残ってるのか…。
確かめてあげようじゃないの?≫

ミルルは眼鏡を曇らせ、黒く笑ってる…まるで悪役だ。
ミルルに清純系なんて似合わないと…俺は感じる。
悪役ヒロインの方がよほど似合うんじゃないか?

「ミルル…。
それは遠慮したい…」

キセキはガクガク脚を痙攣させて震えてる…。
昔のことが相当、トラウマになってるらしい…。

≪一つだけ良いことを教えてあげるわ…。
ミルルの足蹴りは…愛の鞭なのよ!
お蔭でキセキさんは随分、たくましく育ったようじゃないの!!
感謝しなさいよ!!
ミルルに!!≫

今日はいつもにも増して…。
ミルルが荒れてる。
もうすぐミルルの邪神国ドラマが放送されるらしいのに…。
変な噂が流れても良いのだろうか?


今日はクラスメイト全員、ビックリした表情でミルルを見てる。
驚きすぎてるのか…ヒソヒソ声すら聞こえない。
俺たちは幼稚園からの仲だ、ミルルの本性は知ってるが…他の奴らは知らない筈だ。

一応、テレビでは…。
ミルルはダイヤモンドの原石で…地球に残された唯一の清純系美少女…という設定で売っていると言うのに…。
全員が…停止して観戦してる・・。

≪ゼロさんがいなくなった今…ミルルの眼鏡に叶う男はキセキさんしかいないのよ!
観念しなさいよ?
キセキさん!!≫

ミルルがキセキの茶髪を引っ張りまくってる…。
またキセキの茶髪が何本か抜けて…必死の形相でキセキは逃げ出してる・…。

「ゼロ!
君はどうして…転校なんてしたんだ…。
あんな奴でも役に立ってた…。
僕の教室へ戻って来い!」

キセキが逃げようとして、教室の扉へ向かえば…その前へミルルが手を大きく広げて、待ち伏せしている。
キセキは真っ青な顔でクルリと背を反対向けて・・・教室の後ろ扉へ駆け抜ける。

「ついて来るなぁ、ミルル」

≪逃しはしないわよ!
キセキさん!!≫

ミルルも長く腰まで伸びた髪を蛇の様にしならせながら…。
机を跳び箱のように飛び越えて追いかけてる…執念深い。

ミルルは昔から凄い運動神経だ…ハードル走もクラスで一番だ。
二人は…教室中、走り回ってる。
クラスメイトは唖然となってる…。

ミルルのスカートがまくれ、白地に熊が描かれたカボチャパンツが…露出されるが…。
眼鏡もずり落ちそうになってるみたいだが…。
ミルルはそこは気にせず、キセキを追跡してる。

「ミルル…元気ね…。
今日はテディ―ベアーのパンツなのね…可愛いわ・…」

『……』

「それにしても…。
よほど、邪神国ドラマが選ばれたことについて…嬉しくてたまらないのかしら?
昔は良くあったけど…。
ミルルが…ここまで暴れてるのを見るの、久しぶりかも」

俺の席にいるマナナが…瞬きをして、ミルルとキセキが教室から去って行くのを見詰めてる。

『今日はミルルを止めに行かないのか?
マナナ…』

「うん、ミルルの気持ちも分かるから…。
キセキも受け入れてあげるべきだって・・・思う」

『そっか…』

機嫌が戻ったかもしれない…。

ミルルとキセキが去ってから、教室にまた音が戻った・・。
教室の床にはミルルが抜いたキセキの茶髪が何本か落ちてる。

[ミルルが…清純系って嘘よね?
どう見ても…わたしより酷いわよね?]

[どこが綺麗可愛い清純系…地球に残された最後の汚れなき乙女よ!
お門違いも良いところだわ…]

[男子たちも容姿だけで甘くて…。
何が違うって言う訳?
アタシと…]

[ふん!
キセキさんに言い寄って…。
まだ諦めないって言うの?]

[キセキくんは私も狙ってるのに!]

[絶対にワタシこそが!
キセキ君を落としてみる!
色仕掛けを駆使してでも!!]

数名の男女が噂話や会話などに花を咲かせてる。
教室中は熱気だ。

☆☆☆

『…』

「大変なのね…。
ミルルもキセキも…。
タリアには無縁でしょうけど…。
ミルルのことは諦めるのよ…。
私で我慢しときなさいよ」

『…』

俺は機嫌が良いかもしれない。

---キンコンカンコーン…。
キンコンカンコーン…。
キンコンカンコーン…。
キンコンカンコーン…。

もうすぐ6時限目が始まる。
次の授業は数学だ。


☆☆☆


水曜日は6時限目までだ…。
数学の授業が終われば…すぐに終礼に入る。
終礼のあと、キセキはすぐに教室は足早に去った。

≪キセキさん…。
まだ逃げる気なの?≫

「さよなら、マナナ、タリア…。
また明日…」

「さよなら、キセキ」

『さよなら、キセキ』

俺とマナナの声が重なった。
マナナが俺の席へ歩み寄る。

「今日は…ミルル、元気だったわね…。
5時限目の授業が終わってから特に…。
何かあったのかしら?」

『まあ、あれが素だろう…』

「そうよね?
昔のことを思い出したわ…」

『…』

「じゃあ、行きましょうか?」

『…』

このあと、きっと誘われる運命なのだろう…。
そんな気がする。

俺は鞄を持った、マナナも同じだ。

☆☆☆

裏山の廃墟へ着いた。
一雨ぱらつきそうだ。
外が灰色だ、廃墟は瓦礫の山で、窓ガラスに亀裂が入ってる。
扉がキイイと開くのは衝撃的だが…鍵がされてないらしい。

「一雨きそう?」

マナナが廃墟の中に腰かけて、俺へ肩を寄せた。

『まあ、折り畳み傘なら入ってるから…大丈夫だろう』

俺の視線はマナナの乳房にある、少し触ってみた。
揉んでみれば、マナナも喜んだ調子だ。

「そうだよね…」

マナナとお互い、抱擁してみた。
これが一番、癒される。
それからキスをしてみた。
舌を絡めてみる…頭の中がフワアとする。

「キス、気持ちが良い?」

『…そうだな』

マナナの黒い瞳が濡れている…。
エロするの好きかもしれない。

マナナの水色セーラー服を上に巻き、ブラジャーを露出して、そこから乳房を揉む。
毎回、単調になるが…飽きられてないだろうか?

『マナナ…気持ちが良いのか?』

「うん…」

そのままいつも通りに事を進めた。
マナナとするのは好きだ。

不思議な感情が込み上げてくる。

「アア、気持ちが良いわ。
タリア…」

『・…』

レロレロとマナナの桃色に尖った乳首を吸う、マナナは嬉しそうに喘いでる。

「ねえ、私とミルル…タリアは今ではどっちが好きなわけ?」

『…』

「私なんでしょ?
もう…」

『…』

「まだ未練がある訳?」

『…』

別にないし、元々どうでもいいが…。
何故かこう聞かれるの割りと好きかもしれない。
マナナの体も俺の体も裸になって密着すれば、とても気持ちが良いことを知ってる。

「ハア…」

マナナが熱い吐息を漏らした。

マナナが自分から服を脱ぐ、俺も釣られて脱ぐ。
銘々、裸で抱き合えば…とても気持ちが良い。
お互いの心臓の鼓動が伝わって来る。

「タリア…気持ちが良い…。
中に入れられるの、好き」

『…』

俺はマナナの乳房を手で揉んだ。
確かに繋がるのは好きだ。

「ハアン…。
このあと、キセキから…アポもらえるかしら?
学習博士の…」

『…』

「アア…。
そこ…。
クリが擦れて…。
気持ちが良いわ…」

マナナは自分で乳房を手で揉んでる…。
俺のペニスを膣へ挟んだまま、エロい女だ。

「良いの?
学習博士をミサへ連れても…」

『それはどうか分からない…』

「え?」

マナナが濡れた黒い瞳で俺を見詰めて、胸の谷間を寄せた。
今、正常位で繋がってるが、少しだけ停止した。

『あのミサ…カラクリが多すぎる…。
入れるのか…謎だ』

「あん…。
じゃ、ダメなの?
動いてよ…。
タリア…」

『どうだろうか?
しかし…確かに…昔、キセキは…。
幼少時代、女に間違われ、通過した…。
その時、何も被害がなかった…。
なら大丈夫なのか?』

「うふん・・。
ハア…放置プレイなの?
そんな…。
先にエロを・・。
お願い・・」

『しかし…一般通路の方が良いかもしれない…。
学習博士の力で許可を戴くべきだ』

「え…。
関係者以外立ち入り禁止橋は…」

マナナは膣を痙攣させて、それから俺の胸元へ手を向けて…。
俺の玉袋を摩ってる。
それから大きな胸を俺にこれ見よがしに振ってる。

「動いて…。
昼間したから、もう駄目なの?
お願い…ねえ…。
気持ちが良いことしたいの…」

『分かってる』

俺は少し動いた。

「ああ、良いわ…。
はあ」

『あの橋・・俺の鍵に反応する…。
自信がない…。
上空のヘリが…落下したように…。
ミサの周りには未知のカラクリだらけだ念には念を入れたい。
それも見てもらいたいと願うが…』

「そうなの…。
じゃあ、あとで…キセキへその件をメールしなきゃ…」

マナナの足がバタバタ動いてる。
マナナは俺が動くたびに体を上に動かして、腰を振ってる。

確かに気持ちが良い、射精感が上がってくる。

「はあん…良い」

『少し声を抑えておけよ』

「だって…アア」

『ミサが終了して、9〜10時は一般通路は警備が手薄だろう。
そこなら通過できそうだ』

「そうなの?
やあ、良い…
アア…」

マナナが脚を俺の腰へ絡んで、体を小刻みに動かしてる。
早く出してもらいたい感じだ。
マナナの尻が俺の玉へ当たってる。
マナナの乳房を手で掴んで揉んだまま、思いっ切り体を動かしてみた。

「アア」

『俺が一般通路へ近付けば、中から鍵を開けられる。
きっとその方が良いかもしれない』

「ハア」

『あのミサ…カラクリが多すぎて、何が起きるか分からない構造らしい。
携帯電話がまず使えないからだ』

「もっと…ヤア…」

マナナはエロい喘ぎ声しか言ってない。
オカッパな黒髪は情事で振り乱れてる。

『因みに…今までは使えてたが…。
あのテロで地下施設へ行った日を境に…電波が悪い。
関係ある気がする』

「そんなことより…エロを…。
ああ…ダメ」

マナナの声が上がった。

☆☆☆

放課後、事後…お互いに服は着て、髪の乱れを正す。

『マナナ、ミサでは…携帯が使えない。
テロが勃発して、地下施設を発見したあの日…あの瞬間から何故か電波が悪い。
キセキへはここでメールしといた方が良い』

「そっか…」

マナナがメールを打つ。

『俺が打っても良いだろうか?』

「え?」

『その方が伝わりやすい…。
マナナに話してないこともある』

「そうなの…」

『少し時間がない…。
ミサへ向かわなければならないからだ…。
頼む』

「分かったわ、お願い」

スマホは勝手がやりにくい…。

『マナナ、まず…俺へ空メールを送信してほしい…』

「え?」

『時間がない頼む』

「分かったわ…ちょっと…待って。
アンタのアドレス、私…知らないわよ」

『…』

「タリアにメールなんて打ったことないんだから…」

『これだ』

俺は自分の携帯を見せた。
メールアドレスが載っている…。

「これなのね…分かったわ…。
今、送信するから…。
アンタのアドレスも私のスマホへ登録しておいてあげるから…」

マナナはスマホから俺へから空メールを送信してきた。
すぐに…一応、俺もマナナを自分の携帯へアドレス登録にしておいた。

☆☆☆
FROM;マナナ
TO;タリア
件名;こんにちは!

本文;

☆☆☆


俺はそこへまず返信として…。
俺の携帯で…メールをマナナ口調で作成した。


☆☆☆

--‐送信ボックス---

FROM;タリア
TO;マナナ
件名;Re:こんにちは!

本文;

「巫女様が…。
ミサが終了したあと、9〜10時頃に学習博士は、一般通路から来てもらいたいって話してるの…。
今日、無理ならそれでも良い。
今日は…その時間までは待ってるって言ってる。
何故か、携帯電話がミサの内部では使えないみたいで…返事すら分からない状況なの。

一般通路へは見張りの監視員が、一時間に一度の感覚で来るわ。
その人がいない瞬間を計らってドアへ走って、3回ノックして頂戴。
音がしたら内部から開けるから。

今日、来なければ…それでも良いわ。
明日、学校で返事を聞くから…。
それかメールなら…ミサが終わった後に、ミサの外へ出れば電波が通じるけど…。
一応、来るか来ないか連絡してくれても良いわ。

それから、もし…学習博士が上から許可が下りて、ミサへ来れるようになった場合は…。
その場合は普通に来て頂戴。
メールしてくれれば嬉しいわ。
ミサが終了したら…ミサの外…電波が通じる場所で、キセキのメールを受け取るから。
私、返事を待ってるから…」

☆☆☆

長くなったが…これで良いだろう。
俺がマナナのふりをして打った文章だ…スマホは打ち慣れてないからだ。
説明が必要な箇所があった。

「打ってくれたの?
私のスマホへ今、タリアの携帯からのメールが来たわ…。
結構長い文章ね…。
あんた無口なのに…文章だけは長いのね…。
意外だわ…」

マナナのスマホ画面を見れば…。

☆☆☆

---受信ボックス‐‐‐

FROM;タリア
TO;マナナ
件名;Re:こんにちは!

本文;

「巫女様が…。
ミサが終了したあと、9〜10時頃に学習博士は、一般通路から来てもらいたいって話してるの…。
今日、無理ならそれでも良い。
今日は…その時間までは待ってるって言ってる。
何故か、携帯電話がミサの内部では使えないみたいで…返事すら分からない状況なの。

一般通路へは見張りの監視員が、一時間に一度の感覚で来るわ。
その人がいない瞬間を計らってドアへ走って、3回ノックして頂戴。
音がしたら内部から開けるから。

今日、来なければ…それでも良いわ。
明日、学校で返事を聞くから…。
それかメールなら…ミサが終わった後に、ミサの外へ出れば電波が通じるけど…。
一応、来るか来ないか連絡してくれても良いわ。

それから、もし…学習博士が上から許可が下りて、ミサへ来れるようになった場合は…。
その場合は普通に来て頂戴。
メールしてくれれば嬉しいわ。
ミサが終了したら…ミサの外…電波が通じる場所で、キセキのメールを受け取るから。
私、返事を待ってるから…」

☆☆☆

とちゃんと到着してる、ホッとした。

『…』

「普段もこれぐらい喋ってもらいたいわ…。
そうなの…。
一時間に一度の割合なのね…。
初めて知ったわ…」

『送ってくれ…。
くれぐれも転送はダメだ、俺のアドレスまでキセキに晒される。
コピペで新規メールを作成して、キセキへ送信してくれ。
件名は”お願い”辺りで良い、適当に頼む…』

俺は隣でマナナの携帯を確認した。
俺のアドレスまで公開されてないかをだ、転送だと…CCに俺のアドレスが暴露されて厄介なことになるからだ。

☆☆☆

---送信ボックス---

FROM;マナナ
TO;キセキ
件名;お願い

本文;

「巫女様が…。
ミサが終了したあと、9〜10時頃に学習博士は、一般通路から来てもらいたいって話してるの…。
今日、無理ならそれでも良い。
今日は…その時間までは待ってるって言ってる。
何故か、携帯電話がミサの内部では使えないみたいで…返事すら分からない状況なの。

一般通路へは見張りの監視員が、一時間に一度の感覚で来るわ。
その人がいない瞬間を計らってドアへ走って、3回ノックして頂戴。
音がしたら内部から開けるから。

今日、来なければ…それでも良いわ。
明日、学校で返事を聞くから…。
それかメールなら…ミサが終わった後に、ミサの外へ出れば電波が通じるけど…。
一応、来るか来ないか連絡してくれても良いわ。

それから、もし…学習博士が上から許可が下りて、ミサへ来れるようになった場合は…。
その場合は普通に来て頂戴。
メールしてくれれば嬉しいわ。
ミサが終了したら…ミサの外…電波が通じる場所で、キセキのメールを受け取るから。
私、返事を待ってるから…」

☆☆☆

マナナは送信ボタンを押した。

俺のアドレスは登録されてないくせに…キセキのアドレスはマナナのスマホに登録されてたらしい。
ココは不満だらけだが…。

これなら安心だ。

俺もそのあとすぐに自分の携帯で母親へ送信した。

☆☆☆

---送信ボックス‐‐‐

FROM;タリア
TO;母さん
件名;今日はミサで泊まるかもしれない

本文;『今日はミサで泊まるかもしれない。
それか…帰りが遅いかもしれない。
用事が出来た。
それだけ伝えておく。
父さんにもよろしく』

☆☆☆

『マナナ・・・今日は帰りが遅くなる可能性がある。
マナナも親に連絡しといた方が良い。
最悪、ミサに泊まるかもしれない』

「泊まるの?
嬉しいわ‥。
でも…内装が滅茶苦茶に…」

『あそこの建物は信じられないレベルに頑丈だ…。
確かに机はやられた、棚も壊れた…。
しかし、あれから3日経つ。
新しい家具を通販でもう設置してる。
外壁が壊れてない、だからミサが何千年ももってる訳だ』

因みに俺の壊れた携帯…。
さすがに泉が爆発して、泉の水がミサへ侵入した・・。
携帯は水没に弱いらしい、起動が出来なくて…ショックだった。

そのあと、携帯ショップで俺は携帯を買った。
データーも全部、消えた。
また最初からだ。
買ってすぐに…父さんと母さんの携帯アドレスだけは登録しておいた。

マナナのメールアドレスは今、貰った。
マナナの携帯から俺のアドレスへ送信さえすれば…一発だ。
マナナは覚えやすいアドレスだから覚えていたが…。

と言うか…マナナとメールをしたのは…今日が初めてだ…。
今まで冷戦状態に長年あったから、俺としては余りメールはしないが…。
まだキセキとなら数回メールをしたことがある。

結局、俺はまだスマホじゃない…スマホより安い携帯にした。
マナナはスマホだ、壊れなくて良かった。
あの日、マナナはワンピースのポケットにスマホを入れてたらしい…。
お蔭で無事だった。

「そうなの…さすが世界遺産の建築物ね…」

『マナナには帰りが遅くなるから…。
コンビニで弁当を買ってもらいたい…。
俺の分もダメだろうか?』

「ええ?
アンタの分も…私が出すの?」

『俺の分はもちろん自分で払う。

マナナ…。
これから…俺と一緒に関係者以外立ち入り禁止の門へ行き、俺はミサへ出勤し…オマエだけコンビニへ買い出しに出かけ…またミサへ帰ってくるのと・・…。

…オマエはコンビニへ今から買いに行って、俺は…関係者以外立ち入り禁止の門へ行く…。
オマエは買い物のあと、一般通路からミサへ向かう。

どっちの方が良い?』

「当たり前でしょ?
そりゃ、動かなくて済む後者に決まってるわよ!」

やはり…思惑通り、マナナは怠慢らしい。

『怠慢だろう?
運動不足になるぞ』

「だって…。
ダメなの?
タリア…。
すぐに戻って来るから…」

マナナは俺へ甘えてる。

「タリアは自宅から近いみたいだけど…。
私はミサから自宅が遠いのよ?
帰りも歩かなきゃ…バス停から」

『…』

「大好きよ、愛してるわ。
怠慢させてよ…たまには…」

『良いだろう、早めにミサへ来いよ…』

「うん!」

ビックリするレベルで運動嫌いらしい…。

☆☆☆


そのあと、すぐに廃墟は出た。
廃墟の外は狐の嫁入りのような小雨がぱらついてる。
燦々と太陽が降り注ぎ、夕日が茜色に西の空へ輝いて綺麗なのに…。
小さな霧状の雨がシャワーのように降り注いでる。

「雨、降ってるけど…。
空は晴れだね」

『そうだな…』

不思議な雰囲気だ…。
霧状の雨に虹が掛かってる。

「虹綺麗だね」

『そうだな…』

割りと天候が最近、予想が付かないことが多い、これぐらいなら傘は要らないかもしれない。
外は蝉がそろそろ鳴き出してる…。
ターシャ祭は季節が七夕と重なる行事だ。
夏が盛りに付いて来てる…。
入道雲が茜色の空向こう岸遠くに見えた。
早めに行かないと夕立が来るかもしれない…。

足早に道を走り抜けた。

「タリア…」

マナナが後ろから駆けて来る。
不思議な感情が沸く、充満感だ。
夕日を照りつかせて茜色に頬を染めて走り抜ける乙女は…俺の宝物だ。
黒い肩揃えの髪が揺れてる。
常に言えるわけでもないが…俺の心は平穏に向かってる。

☆☆☆

マナナが言葉を紡ごうとする。

「えっと…その…」

どうせ、巫女様の件についてだろうが…。
絶対に帰り道は誰が聞いてるか分からない…。
喋りかけられると困るから逆に俺は進んでる…。

「機嫌が悪いの?
どうしたの?」

『…』

機嫌は全然、悪くない・…。

「虹が綺麗で…それから見てたんだけど…。
そっか…行かなきゃダメだよね…?」

『マナナ、少し黙った方が良い』

「え?」

俺がミサへ通ってることすら住民にバレレバ…一家離散の運命だ。
こう言いたくとも、外では言えない。

俺は突き進んだ。
どうして、俺はこういう運命なのか?
マナナがバタバタついて来る・・。


第4部タリアD


目次

第4部タリアF



♞ 馬髪可憐♞(ウマガミ・カレン)
私立ターシャ学園の女子高生。





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