アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

4部タリアA

「君は無口だ、それは知ってる。
しかし…僕は切なかった…。
どんな経緯であれ、初めて出来た彼女が…。
翌日に何故か僕の友人と交際してる…。
僕の気持ちにもなれ、タリア…。

そりゃ、僕も弱気で…本命を諦めようとしたが…。
しかし、落胆もした。
君たち二人に良い気がしてる訳でもない。

分かるだろう?
僕の気持ちだって。
ビックリだ。
人間不信の域だ」

『…』

「僕は確かにレイカさんが好きだが、手が届かないような花より、身近にいる存在の方が良いんじゃないかと思って、僕なりの決断で、受け入れたのに。
僕のためにマナナが一生懸命、数学の問題を一問自力で解いたと言った。
それがとても心へ響いたのに…」

「キセキ・…ごめん、私は…」

『キセキ、悪かった。
オマエは頑張って、本命を落とせ。
それしかないだろう・・』

「それが大変そうなんだ。
君には分からないだろう…。
僕は本命も好きだが…。
クラスではマナナが一番好きだったと言うのに…」

「キセキ…えっと、それは…」

この話、どう突っ込めばいいのか…分からない。

「はあ…まさか、僕は平和国でミルルに落とされるのか…。
力付くでも進まれるのか?
ミルルなら僕を足蹴りしてでも、入籍届に判を押しそうだ。
はあ…」

『…』

「ミルルは素敵な女の子よ。
キセキが知らないだけで、クラスでは一番素敵だって私、思うわ。
私が男なら、絶対…ミルルにしたくらいよ?
キセキもミルルを喜んで受け入れるべきよ…」

「ミルルか…僕は…ミルルより君なのに…」

『…』

「えっと…それは…その…。
キセキ、元気出してよ。
きっと、キセキの両親もすぐに退院して帰宅するわよ…」

「僕だけどうして…。
アア」

いつまで、キセキのこれに付き合わなければならないのだろう?
交際したと言うのに…。
学校の教室では…全然、マナナと二人っきりにさせてくれず、キセキの愚痴ばかり俺は聞いている。
女々しすぎる…泣き虫すぎる…。
いつまで続くのか?
早く、キセキの両親が退院することを祈る。
ホームシックにキセキがなっているらしい…。

マナナが困った瞳で俺を見る…。
マナナは可愛い…肩揃えな黒い髪につぶらな黒い瞳とぽってりした唇…それから…身長は低めだが、巨乳巨尻でくびれてる。
抱き心地が気に入ってる、母さんに撲滅させられそうだが…別に俺はマナナで良いと思ってる。
母さんはマナナのことは凡人顔と批判してるが…俺の顔より数段良いと認めてる。
母さんは俺の顔の方が良いと言ってるが…あれは親目線だろう、そんなことを言うのは母さんだけだ…。
それから…モテ男キセキが泣いたところで、むさくるしい、全く可愛いなんて思う訳もない。
うっとうしいだけだ。

早く誰か女とくっ付けばいいのに。
俺の力を持ってをしてもくっ付かないと言うことは…。
かなり望みが薄いんじゃないか?
俺は…キセキとミルルをくっ付けるように働いた方が得策なのか…。

☆☆☆

こうなったのはマナナにも責任がある。
キセキも初対面で私をお嫁さんにしてと言われて浮かれてたに決まってる。
誰でも褒められればうれしいだろう。
それにしても、マナナ…本気で言いたい放題だ。
真面目にどう思ってるのだろうか?

そりゃ、確かに俺はモテないことも自覚は出来てるが。
何だか酷い言い草だ。
と言うか、マナナはどう思ってるのだろうか…。
俺のことを。
ここら辺の対応、余りいい気してない。

キセキも俺がモテないからって女に言われたら受け入れて当たり前みたいなノリだ。
少しは否定してくれてもいいんじゃないか?
友達の癖してそこは冷たい。
しかし、キセキ…。

アイツを誰かとくっ付けないと事件が起きそうな気がしてたまらないことは事実だ。
モテるんだから、別に誰でも良いんじゃないのか?
このクラスにだって…ミルルやナデシコ、カンサイは積極的だが…。
密かにキセキを崇拝してる女子が殆どなのに…。

「僕は恋愛なんて暫く捨てて、勉強に生きるべきなのかもしれない…。
ターシャ国で勉強をするべきなのかもしれない…」

「キセキ、留学しないの?
せっかくのチャンスなのに…羨ましいわ…私。
海外なんて行ったことないから…。
それにしても、あの事件から…引っ越しを考えてる人も多いとはニュースで話してたわ‥。
まさか、キセキまでそうなんて…」

「実はそれもあって、僕の両親が…この国を捨てて戦争を放棄した平和国へ逃げ出すと言いだしてる…。
僕は恋愛なんて捨てて、ターシャ国で一人、自宅で暮らすべきなのかもしれない・…」

「キセキ、一人暮らしできるの?
両親が複雑骨折中で今、大変でしょ?
大丈夫?」

「今のところ、出来てる…。
僕はこれからは恋愛なんて捨てる、勉強に生きる」

『…』

俺としては悪いが、コイツには平和国へ行ってもらいたい・・・。
どうせ、自宅で一人でいれば…とことんまで俺らの間に入り込んで…今の調子に決まってる…。

「僕は勉強に生きる、恋愛なんてもう捨てた」

「キセキ…」

『…』

☆☆☆


キセキと俺とマナナ…。
どうしてなんだ?
交際をしていると言うのに…。
学校の教室…俺の席、目前には茶眼茶髪長身で威圧感がありまくるキセキがいる…。
昼休みはマナナと共に…外へ弁当を食べに出かけると思うが…。
これでは3人組もいいところだ・・。

「君たちはまさか…僕を邪魔者と感じているのか?」

キセキが俺のいる席の前で仁王立ちして、じっとりした瞳だ。

「そんなこと、感じてる訳ないじゃないの?
キセキは・・・留学するかもしれないのに…。
私はキセキとも一緒にいるわよ…。
ね、タリア…?」

マナナは横目で俺を眺める…。

『…』

感じてるに決まってる、ブチ切れてる。
無言で威圧してる。

「勉強も一人でするより、2人…。
2人でするより3人の方が捗る筈だ…。
僕もマナナに勉強、教えることなら協力しても良いだろう…」

キセキは俺の席に勝手に椅子を持ってきて、それから勉強道具を出してきた。
HEIWAC試験対策の青い参考書だ。

「キセキ…ありがとう…。
えっと…」

『…』

マナナの瞳が俺を見たり、キセキを見詰めたり…忙しい。
俺が最高に機嫌が悪いこと…キセキへ伝わってるのだろうか?

「僕はもしかしたら…君たちと永久にお別れになるのかもしれない運命な人間なのかもしれない…。
時間があるうちは君たちのために時間を費やそう…」

「キセキ…まさか…嘘でしょ?
本気で…平和国へ留学する気なの?
良いのよ、両親だけで…。
別にキセキはターシャ国で残っても…」

『…』

「僕は本気で悩んでる…。
そのためには…まあ、平和国言語はマスターしないときついだろう…。
平和国言語、HEIWACで満点は絶対に無理だが…400点は取りたいと願う…。
平和国の現地学校へ留学してもついていける自信なんてない…。
インターナショナルなんて夢のまた夢だ」

「平和国言語なんて…私、欠点も良いところだわ…。
前、23点だったのよ…。
もう落第の危機は…タリアのお蔭で提出物が終了したし…まぬがれたけど…。
そんなにHEIWACって難しいの?」

マナナが眉を潜める。

「そうだ…HEIWAC400点レベルで高校卒業程度らしいが…。
これ以上じゃないと絶対に平和国現地学校で授業になんてついていける訳もない…。
僕は両親は簡単に話すが…それも難関だと感じてる…」

『…』

キセキは困った表情だ。
キセキが言うことは正論だ。
確かにそうだろう…。

「だから…キセキは真剣に・・平和国言語HEIWACの参考書と睨めっこしてるのね…。
ミルルは…真剣に邪神国言語の単語をマスターしてるみたいだけど‥」

マナナがミルルが座る席の方角を見る。
邪神国言語単語帳と言う赤い参考書とミルルは真剣に読んでる…。
それから携帯で音声を流してるらしい…イヤフォンまで付けてる…。
発音をマスターする目的らしい。
キセキも釣られて、ミルルの方角を見詰めてる…。
この席からはミルルの腰まで伸びた茶髪だけが見えるが…大変なのは十分、伺える。

「邪神国言語か…。
あれは…難しいだろう…。
ミルルが演じるのか…テレビで…邪神国の役を…。
と言うか…ミルル、ターシャ国人なのに…。
邪神国の現地人とは容姿が違うだろう…。
それでもドラマに出演するのか?
僕はそこにもビックリだ」

キセキは瞬きをした、俺はマナナの方を見詰める…マナナも思考に沈んた表情だ。

『…』

俺は知らなかったが…。
ミルルが…テレビで邪神国人を演じるらしい…。
それは興味があるが…。
しかし、ミルルは染めた茶髪ストレートは腰まで伸び、眼鏡をして目鼻立ちはくっきりして顎が細く、長身痩身な女だ。  
ターシャ国人だと言うのに邪神国人を演じると言うのか?

「そうよね?
でも、ミルルが抜擢されたみたいで…。
ミルルって肌の色も白いし…黄色人種だし…。
きっと、特殊メイクで…肌を焼けてるようにファンデーションでも塗って演じるのじゃないかしら?
ミルルがそう話してたわ」

マナナの瞳はキセキではなく、ミルルを見詰めてる、キセキもミルルを見てる。
俺もミルルの方角を見てる…女優も大変らしい…。

「そうか・・・。
ミルルは平和国へ女優として渡来する気らしいのに…。
邪神語をマスターしてるのか…。
でも、あれは大変だろう…。
邪神語にはテストすら存在しない…。
ミルルが賢いことは認めよう…。
ろくにご飯も食べてないし、テレビでも引っ張りだこで時間もないのに…。
成績は常に上位だ…。
ミルルなら…もしかすればやり遂げるかもしれない…僕はそんな気がする」

『…』

「そうよね?
ミルルって…私と違って…平和国言語が既に98点なのよ?
学年一番よ?
私は23点で…学年最下位なのに…。
キセキ、ミルルにしたら?
とてもいい子よ?
クラスの男子からは高嶺の花的存在よ?」

マナナはキセキをなだめるように凝視してる…キセキは下を向き、大きなため息を吐いた。

「それは知ってる…。
ミルルが欠点があるとすれば…一つ、僕を足蹴りすることだ。
僕は蹴られれば痛い・・・これは人情だ」

『…』

俺は常に聞き役だ、俺の席前にいる二人の空気へ入って行けずにいる。

「欠点のない人間なんて珍しいわよ、ミルルを許してあげたら?
もうレイカさんより…ミルルにすべきだと私は感じるわよ?
ミルルもモテるんだから…ウカウカしてると奪われるわよ?
キセキ…」

マナナは怒ってるような表情だ、キセキは困った顔で目を上に向けた。

「マナナが言うことも理解は出来るが…。
僕は何故かさらに高嶺そうなレイカさんの方が…上らしい…。
何故か・・・。
タリアの恋人のマナナが2番目で…その下にクラスの女子がいる感覚だ…。
僕は何故か手が届かないぐらいの方が燃えるのだろうか…。
自分でも不思議な性癖だ…」

「えっと…キセキ…。
まさか私がタリアと付き合ってから…。
クラスでは一番、私になったわけ?」

マナナは顔をしかめた、キセキはう〜ん…と声を漏らした、俺は沈黙してる。

『…』

「そうかもしれない…。
タリアには悪いが…。
僕と付き合ってたくせに翌日に何故か…振られてから…。
頭が混乱してる…。
タリアには謝罪されたが…。
レイカさんの次に君で…その下にミルルとナデシコとカンサイだ…」

『…』

俺は激しく瞬きをした、堂々と言い過ぎてる…。
俺は思うが…いつからキセキは…。
ここまで上から目線になったのだろうか?
普通、思ってても隠さないか?
コイツ…正直すぎないか???


「と言うことは…レイカさんと成就すれば…私のことは許してくれるの?
キセキ…」

マナナの声が柔らかい、俺の表情は硬い…キセキは下を向き、ガックリした雰囲気だ。

「そうだ、しかし…まず平和国言語HEIWACで400点は越えて…更にSP試験に儲からなければならない…。
最難関も良いところだ、レイカさんを落とすには…無理すぎるだろう…」

「キセキ、負けないで!
私も次のテストで…きっと欠点の壁…30点は越えるから!
ミルルも頑張って、邪神語を覚えてるわ、キセキだって出来るわ…」

マナナがキセキへガッツポーズまでして応援してる…俺の瞳は死んでる。

『…』

「君は呑気で良いな…。
僕は大変だ…やっぱり…ターシャ国に残るしか道は…」

キセキはしかし暗い表情だ。

『キセキ、応援してる…。
お前ならHEIWACで600点でも取れる筈だ』

俺は死んだ眼差しのまま、高揚がない声色で説得に掛かった。

「僕の嫌味が通じたのか?タリア…。
君も僕とレイカさんの仲を協力する義務がある…。
僕は長年、タリアとミルルの仲を協力し続けてたと言うのに…善意で…。
しかし、このザマだ。
君は長年の恩を僕へ帰す時が来たようだ・・」

キセキは上から目線だ、眉を思いっきり上へあげた、俺はジットリした瞳だ。

『…』

「そうよね…。
で…。
タリア…。
あんた、本当に平和国へ飛べる級の美女…CMにまで出るレベルの女優候補…ミルルを諦められた訳?
ちょっと…高嶺過ぎるでしょ?
キセキは良いわよ?
モテるんだから…。
アンタはモテないんだから…ミルルは諦めるべきよ…。
キセキ…ミルルはダメなの?
良い子よ?」

マナナは俺へ叱りつける表情になり、キセキへは何故か優しい…。

「僕は・・・1番がレイカさん、2番がマナナ、3番がカンサイとナデシコとミルル…そして4番がバス停の女の子と喫茶店の女子…5番目がクラス中の女子 だ」

1番目と言ったところで指を人差し指だけ立て、2番目で2本指…3番目で3本指…4番目で4本指だ。
キセキは5番目と言ったところで、手のひらをパーにした。
ちょっとオーバーアクションな気がする。
平和国人もそうらしいが…。


「いっぱいいるのね…。
私、2番らしいけど…喜んでいいのかしら?」

「光栄に思うべきだろう・・・。
まあ、一度は交際した仲だ、2番に昇格してやった…」

キセキは俺の前でピースに指をしてる。

『…オマエは黙って…平和国言語を暗記すべきだろう』

「はあ…現地でやっていけるのだろうか…僕は…泣かされないだろうか?
言葉が通じなくて苛められないだろうか…」

180CMの長身な癖して女々しい…キセキは泣きそうな表情で震えてる…。

「大丈夫よ、平和国ってハッキリ自分の意見を言える人が崇拝されるって聞くわ。
ターシャ国人は平和国人から見れば…ハッキリしない性格だから何考えてるのか分からないように感じて怖いらしいわよ…。
まあ、タリアがその代表格って感じね?
キセキならやっていけそうな気がする。
私が保証するから」

マナナはにこやかだ、キセキは困った表情で眉はハの字だ。

「僕はハッキリと言えてるのか?
全くそんなふうには感じないのだが…」

『…』

良く言う…。
言いまくってる…。
よくぞ、女子をそこまでランキング付けられる…。
俺は付けたこともないと言うのにだ…。

「そんなキセキが・・・レイカさんにだけ声掛けも出来なかったなんて…。
珍しいわね・…」

「僕は今まで…自分から女子へ声を掛けなくても…向こうから来た。
ずっとそうだった。
レイカさんも来るかと待っていたのだが…」

『…』

物凄い自信だ、来ると信じて疑わず…待っていたという意味なのだろうか?
それとも…弱気で…言えなかったのか…。
これではどちらか判別が付かないが…。

「そうね…そう言えば…キセキに最初、声掛けしたのは私だったわ…。
レイカさんが良いの?
ミルルでも…」

「だから…僕はだ、ミルルのことは…3番目で…」

キセキは3本指を立ててる。

『…』

ミルルに失礼すぎるが…聞こえてるのだろうか…?
俺が逆の立場でこれ、聞いてたら…撃沈も良いところだが…。

「そうなの…?
えっと…キセキは・…これからはまさか、連日…私たちの前に??」

「それでも良いだろう…。
君たちは…昼休み…昨日も一昨日も…一緒にどこかへ出かけてたようだが…。
あれはどこに行ってるんだ?
食堂へ行ってもいなかったようだが…。
僕はカンサイやナデシコがいない分…ミルルから余計に絡まれる…。
匿ってもらいたいと思うのに…」

「えっと…それは…その…」

『…』

「ダメなのか?僕が昼休み、ついて行っては…。
どこへ行ってるんだ?
君たちは…」

「キセキ…えっと…。
それはえっと…。
ごめんね、キセキ…。
許して…一応、私もタリアとの時間が欲しくてその…」

『…』

やっと言ってくれた、少しホッとはしてる…。
昼休みはマナナが一番、ムラムラする時間らしい…。
毎度、付き合わされてる…。
キセキも空気を読んで欲しい・・。

マナナが赤い紐パンを履いていることからも察するべきだろう…。

「そうか…。
僕は…ミルルに絡まれる運命なのか…」

「えっと…男子集団はいるわよ?
一緒にご飯を食べても…」

「男と食べてもご飯がおいしいわけなどない…。
全員、僕がモテることに関して嫉妬してるだけだ。
全員、大半がミルル狙いだからだ」

『…』

自覚はあるらしい…。
というか…ハッキリ言われると…余計に男子から反感も買うだろうな…これは…。

「そうなの…。
キセキ…かわいそうに…。
昔の私と一緒なのね…。
キセキと私が仲が良いから私だけ女子から跳ね子に…。
最近はやっと女子とも和解が出来てるけど…」

「マナナ…すまなかった…。
僕のせいで…嫉妬する女子の攻撃を僕は止めることが出来なかった…」

『…』

「タリアと交際が始まってから以前が嘘のように女子たちが私に優しいの…。
私、タリアと交際して良かったのかもしれない…。
そんな気がするの…」

『…』

「そうか…。
君は苦労してたんだな…今まで…」

『…』

早く、昼休みにならないだろうか?
邪魔すぎる…。

「じゃ、あんたたちは男同士仲良く友好関係を深めるのよ、私は女友達づくりに励みに行くから」

「え?」

「勉強ばかりも疲れるでしょ?
やっと、キセキから離れたから私にも女友達が出来そうなのよ、もう嬉しくて♪
見ていてよね、キセキも頑張ってつくるのよ、男友達を…。
私がお手本を見せてあげるわ!」

『…』

肝心のマナナが俺の前から去っていく。

「仲直りするのよ、キセキに近付いてると私、女の子に嫌われるのよね?
それはいやなのよ、理解して…キセキ…。
タリアと仲直りを果たすのよ」

マナナは…ミルルが着席してる方角へ行く…。

「ミルル、ねえ…邪神語進んでる?
私、キセキと離れたし…親友よね?私たち…。
朝の抱擁をしても良いかしら?」

≪うっとうしいわ、ミルルは真剣に役作りのために邪神語を勉強してるのよ。
怠惰なマナナとは格が違うわ≫

「そんなこと言わずに…本当は寂しいくせに…。
カンサイやナデシコも入院中で…。
寂しがってるんでしょ?
私が抱き締めて慰めてあげるわ…」

≪良い。
結構よ…≫

マナナは…無理やり、ミルルへ引っ付いてる…。
ミルルは嫌そうな顔だ。

それから…マナナはもう嬉しそうな瞳で…クラス中の女子へ爽やかに挨拶をしてる。
女子たちは教室の後ろ…私物入れの棚前で会議に花を咲かせてるらしい…。
俺にとってはノーマークな女子だが…。
一応、女子なら20名はクラスにいる。

「ねえ、ねえ…。
私も仲間に入れて!
もうキセキとは離れたから。
なんならキセキとあなた達をくっ付けても良いわよ!」

[え…マナナ…。
友達になりたいの?
私たちの…]

[まあ、別に良いけど…。
灯台くん、振って…月神くんと付き合ったって本当なの?]

[灯台くんじゃなくて、月神くんを選んだ理由はさっぱりわからないけど…。
そこは評価してあげてもいいかしらね?]

「そうでしょ、うんうん!
そうでしょ♪」

マナナは何だか…全員の女子に嬉しそうに…抱擁してる…。
俺の彼女マナナは黒髪を肩のラインで切りそろえ、巨乳巨尻腰がくびれた背は小柄な女だ。
まるでミルルと正反対な体型だ。
女子たちもマナナに抱擁なんてされたら、マナナのデカい胸が密着しまくってるだろう。  

「朝の挨拶よ、友好の印よ!」

[そんなにうれしいの?
私たちと友達になれて…仕方ないわね…。
仲間に入れてあげても…]

[でも交際してるのに…月神くん、ほっといていいの?
何だか…視線を感じるんだけど…]

「良いのよ、別にいつでも会えるんだから・・・タリアとは…。
今しかできないことを私はするんだから」

---ちょっとショックかもしれない…。
別にクラスで俺はキセキとつるんで面白いわけもない…。

[そう…]

[マナナのこと、勘違いしてたわ…。
てっきり灯台くんに近付く悪い虫だとばかり…]

[ごめんね…マナナ。
今まで冷たくして…。
私の本当の敵は…カンサイやナデシコやミルルだったのね…]

[これからは仲間に入れても良いわよ?
プリクラでも放課後、一緒に撮りに行くかしら?]

[でも…放課後はマナナ、さすがに忙しいんじゃないの?
というか…マナナには一応、彼氏がいるんだし…]

[でも…分からないわ…。
マナナが灯台くんを振って…。
しかも…聞こえてたわ‥。
マナナから何故か月神くんへ翌日告白したんだって?
どうしてなの?
マナナ…]

「過去は過去よ、私は今で満足してるの…」

[そう…。
不思議だけど…そこは喜んでるわよ]

[仕方ないわね…仲間に入れてあげても…]

[一緒に勉強でもする?
次の時間に始まる…平和国言語でも…]

---俺が教える気でいたんだが…何故、こんな話に変更してるんだろうか?
キセキと二人っきりなど花がある訳もない…。

[でも良いのかしら?
何故か…月神くんから視線を感じるわ‥。
マナナは…一応、月神くんと交際してるんだし…]

[月神くん…怒ってないかしら?]

[まさか…]

[今日は月神くんと灯台くんが…一緒ね?]

[仲直りって言うか…元々、二人って仲良しだったんでしょ?
確か…マナナもそうだけど…幼稚園時代以来の親友だって聞くわ]

「そうよ、タリアは…元々、キセキの親友って認識だわ」

[そうよね?
マナナは二人って仲が良いと思う?]

「仲良しだと思うわ。
随分昔は…キセキへ割り込む私を見て、タリアが友達を取られるって焦ってた時代もあったのよ」

[え?
本当なの?]

「その頃のキセキって…女子に間違われるぐらいで…私より可愛かったんだけど…。
いつの間に…二人は険悪になったのかしら?
仲直りできると良いんだけど…」

---確かに親友とは認めるが…。
別に今で良い気もするが…大きなお節介だ。
マナナは…こっちへ戻ってこないのか?

[へ…そんな頃もあったの…]

「ミルルも幼稚園時代からなんですってね…」

「うん、ミルルと私は親友よ・・・。
ミルルは何故か認めない雰囲気で…しらない人も多いけど…」

[そうなんだ…]

「私、ミルルのことなら足にあるホクロの数まで知ってる仲なんだから。
いつもプロレスごっこで遊んだ時代もあったのよ」

---プロレスごっことは…まさか、キセキを苛めるミルルを必死で連日、マナナがブロックして止めてたことを指すのか?
あれって…遊びだったのか?
俺には…そう見えなかったが…。
マナナとミルルは…親友だったらしい、初耳だ…。

[確かにミルルってテレビでは清純系だけど…クラスではやんちゃよね…。
テレビとあまりにもキャラが違うから…驚いてるけど…]

「ミルルのこと、応援してよね?
ミルル、頑張ってるみたいだから」

☆☆☆

「マナナは…女友達づくりを頑張ってるらしい…。
それが伝わって来るが…僕はあそこまでして男子たちとつるもうとも思わない。
もう、ボランティアへ行けば…友達と言えるのか謎だが…学習兄弟に絡まれてる。
そうか…君は学習、兄弟を知らないのか…」

『…』

「君は…ターシャ祭りに参加しなかったから知らないだろうが…。
僕はあのテロ事件が起きた時、大変だった…。
君はあの時、何をしてたんだ?」

『自宅で寝てた』

「そうか…その時、ミサで学習兄弟と言う…。
テレビで最近、出演する著名な学者、学習博士の息子2人と出会った…」

『…』

「兄の学習イッチは金髪で…ピアスをしてサーファー風で焼けてる…。
それに対して、学習ニイ〜は白デブ眼鏡で常に頭は…アニメのことだけだ…。
両方、とんでもないレベルの女好きだ。
昨日、僕がレイカさんへ告白した時ですら、僕を差し置いて…アタックしてた…。
一方はけば過ぎて…一方はデブ過ぎて、同じ歳に見えないが…同級生らしい…」

『…』

知ってるが…応対しない…。
これが俺のデフォルメだ。

「別に…男子たちからモテるから嫉妬されても・・。
僕は別に…良い…。
どうせ、頭にはモテることしかない集団だ。
僕も似てるが…」

『…』

気のせいだろうか…。
マナナの瞳が輝いてる・…。
ちゃんとレズ…治ってるんだろうか…??

「マナナを見てれば…女子達へ過剰なスキンシップだ…。
友達ってああやってつくるのか?
別に僕は…嫉妬されても…良いんだが…。
マナナが嬉しそうだな…。

そうか…マナナは僕を捨てたのか…。
僕も悪かった、マナナと僕は両親公認の仲で許婚いいなづけ) だという自覚もあった。
目移りしすぎた僕にも負い目がある…。
僕の母親も悲しんでる、僕とマナナが破局した件についてだ」

キセキの心境が微妙なことは理解はできる。
しかし、時が解決するだろう。
マナナの性癖については…知らぬが仏なのかもしれない…。









第4部タリア@


小説目次

第4部タリアB








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