少し歩けば…見たことないレベルの巨大な黒い車がある…。
車係なのかは知らないが…。
サングラスをして黒いスーツを着た男性が…。
僕のために…。
車のドアを開けてる…。
「えっと…」
レイカさんと婆ヤは既に乗ってるようだ…。
☆「躊躇しないで、乗って」
旦那様が聞いたらどう思われることざまっしょ…。
全くお嬢様の我儘には・・”
外は月が出てる・…。
確かに家に帰っても、誰もいないが…。
今日はボランティアで清掃して、それから給与を戴く気だったのに・・。
何か良いのだろうか?
雇い主へ連絡もせずに去って…。
あとから、金髪ガングロサーファー男イッチーと…アニメ系オタク白デブニイーの学習兄弟に怒られそうだ…。
僕の席だけ、高級なタオルが敷かれてる…。
お嬢様専用の車を汚す訳にはいけないざますわ”
婆やの計らいらしい…。
僕は後ろ座席で…。
僕の隣に・・・婆ヤがいる。
それからレイカさんは運転席の隣だ。
運転してる人間は黒スーツで黒メガネだ…。
全く会話すらしてない。
レイカさんの足の上には…ラッシーがいる。
尻尾を振ってる癖して、僕の方には見向きもしない…。
レイカさんの顔を舐めてる。
ラッシーは僕の強力なライバルなのかもしれない…。
☆「お父様は…?」
会議ざます…。
あの・…ターシャ祭りで起きたクーデター以来…旦那様も忙しいざまっしょ・・・”
「えっと…。
レイカさんの両親は無事でしたか?」
☆「一応、避難出来たから。
婆ヤやお手伝いさんが守ってくれたから…。
でも…自宅の方が一部、損傷してて…」
「自宅が?」
☆「お屋敷は大丈夫だったものの…。
離れが…邪神国のスパイに爆発されたみたいでして…」
見れば分かる筈ざまっす…”
「レイカさんの自宅が…何故?」
ごめんあそばせ!
口を慎むざます!
レイカ様は・・ターシャ国王の正統なる血筋の遠縁にあたるお方。
オマエは頭が高いざます”
☆「良いのよ、婆ヤ…」
「レイカさんの自宅は…邪神教に狙われてるっていう訳なのですか?」
そういうことね…ボディーガードすら怖がって最近は手伝い達も金より命らしくて・…弱いったらありゃしないざます。
あたしゃ、レイカ様なら命懸けで守りざますよ!”
☆「物騒な世の中だから…」
「僕の両親は病院で複雑骨折で…」
そりゃ、大変ざまっしょ?。
まあ、ウチの従業員も数名は…入院中だわ。
あたしゃ、もうホント…忙しいったらありゃしないざます”
☆「楽しんで下さったら嬉しいですわ」
「いえいえ…」
車の窓外・…景色が移り変わる…。
どこまで走るんだろう?
高速道路だ。
「レイカさんの自宅ってどこなのですか?」
だまるざます”
突然、隣にいる婆ヤから僕は目隠しをされた。
「これは…」
レイカ様の我儘に付き合うのも大変ざます。
あたしゃ、ゲンナリざます…。
しかし、住所はバレルわけにゃ…。
邪神教のスパイの可能性も”
「僕は邪神教とは無関係で…」
☆「キセキ君、ごめんなさいね…。
どうしても…居場所は付きとめられるわけには…」
その間も車は走ってるらしい、高速道路を…。
しかも、何故かこの道、この車以外…誰も走ってなかった…。
これはまさか…王族ご用達の…道路なのか?
そう言う道路が建築されてると聞いたことはある…。
王族ならば…向かう先は王族シティだろうか…。
僕はテレビで見ただけで…行ったことはない。
確か、町の前に監視員がいて…そこを通過しないと入れないようなVIPシティらしい…。
良いのだろうか?
僕がそんなところへ入って…。
目隠しを外されて、連れられた先は大豪邸だった。
僕は予想以上で驚いた。
僕の家は普通の2階建てで…30畳もあれば良い方な家だ。
しかし、目の前の屋敷は小学校ぐらいはありそうだ…。
100ツボどころじゃない、1000坪なのかもしれない。
「これが…まさか…レイカさんの御屋敷なのですか?」
ここはゲストルームざます。
レイカお嬢様の部屋になんて連れる訳ないざまっしょ?”
「え…ゲストルーム?」
確かに屋敷目前にゲストルームと言う看板が立てられてる・・。
庭師が一生懸命夜だと言うのに玄関の前を清掃してる…。
屋根瓦が…少し欠けてるようだ。
貴方ごとしには屋根が欠けたゲストルームで満足ざましょ!
ここで待っときなさい。
あたしゃ、変えの洋服を持ってきますからね”
「ありがとうございます…」
予想以上だ、カジノのルームにそっくりだ…。
外装はそうだ、ネオンがキラキラしてる…。
ゲストルームと飾られてる。
☆「こんな粗末なところですいません。
大昔はもっと私の一族も栄えてたらしいのですが…。
今ではこんなちっぽけな屋敷でしかもてなせなくて」
「いえいえ、充分です」
僕はどうすれば良いんだろう、ちょっと予想以上過ぎて…。
諦めてしまってる…。
これは想像以上だ…。
「レイカさんは…ターシャ王の…ゆかりがある人なんですね」
お嬢様と呼ぶざます、庶民の癖して頭が高い!!”
☆「良いのよ・・婆ヤ。
私の家は…昔、王家で…。
英雄詠歌を極めたらしくて…この国が・・市民革命が起きた時に、民衆の税金を贅沢に使うと反乱が起きて…全員…処刑されそうになったらしいの…。
その時に必死に生き延びたのが…一人の私の祖父らしくて…。
歴史では死んだ話になってるけど…。
噂ではそうらしいの…」
「市民革命と言えば…。
ターシャ王代6代目が…民衆に処刑された話は聞きましたが…。
その流れなんですか?
レイカさんは・・」
☆「確かに…ターシャ王は処刑されたし、子供も全員…亡くなったわ。
でも、その愛人に産ませたのが…私の祖先らしくて…。
微々たる金で建築したのがココだと聞くわ‥。
私の家はいまでも国民から監視下にある状況で…。
それもあって、平和国へすぐにでも逃亡するの…。
邪神国からも…狙われてるみたいで…」
「そうですか…」
確かに雲の上の人らしい、これだけの屋敷なら…お金もたくさんありそうだ。
邪神教集団なら…ココに入りかねない。
連日、銀行強盗までして、身代金要求や、犯罪物の出版、偽造貨幣や麻薬の栽培などで…。
儲けてる国だと聞く。
邪神国は砂漠で、水も乏しく…資源に乏しい台地だからだ…。
そういうもので稼いだ金で生きてる噂の集団だ…。
あそこは危険すぎて、カメラマンですら…生死を味わう国だ。
僕もあまり知らない…。
「邪神国から・・狙われたのですか…」
☆「そうなの…だから、キセキ君とは…。
もうすぐお別れね」
僕はゲストルームのソファーに座った。
そこの男、変えの洋服なら持ってきました、
普通のTシャツですよ”
普通のTシャツと言う割に高級そうな素材のシャツだ。
「これは…」
ミズボラシイなりよりそっちの方が良いざまっしょ。
あたしゃ、安物なんて知りません…ごめん、あそばせ!”
「ありがとうございます」
隣に試着室ならありますよ。
パーティー用の着替え室ですが…。
無人だし使ってもいいざますよ。
着いてくるザます”
レイカさんの上に…犬イルカラッシーは尻尾を振ってる…。
「あの犬イルカは…子供なのですか?
体の上に乗ると言うことは…」
若い犬イルカざまっしょ…”
☆☆☆
隣のパーティー用の着替え室もまた広い…。
VIPルームみたいだ…。
お茶まで自動で出てくる機械がある。
紙コップが用意されてる。
それから、求人ポスターが張ってる・・・。
お屋敷で働きたい方募集中。
なお、レイカ御嬢様の護衛になりたい優秀な方を求人中”
「あの…このポスターは」
ここへ通されるお客さま方は、割りとダンサーとか…著名人など優秀な方の御子息を勧誘する目的で極秘に募ってるざます”
「護衛を求めてるのですか?」
王族専用の警察官よ、オメエには無理ざまっす。
ガタイが大きい癖してよわそうざまっす。
レイカ様が平和国へ行った際には、護衛を100名は求人する気ざまっす”
「今日の運転していて、サングラス眼鏡の男性も…護衛なのですか?」
そうざまっす。
黒メガネにガタイが大きく顔に横筋が入った男は…王族マモルざまっす。
見るからに強そうざまっしょ?
役に立つざます。
旦那様がヤクザからいただいた御子息ざます。
それなりに邪神国から襲われた時は、戦ってくれたざます。
王族マモルの顔傷は・・先日のテロで出来たざますよ…。
護衛が…前のテロで…怪我になってるざまっす。
まさか、なりたいざまっすか?”
「いえ…そう言う意味では…。
興味で…」
着替えが終わるまで廊下で待つざまっしょ。
レイカお嬢様のために時間を取らせないであそばせ!
あたしゃ、大変ですわ。
じゃ、ごめんあそばせ!”
白い髪を頭の頂点に束ねて腰が曲がり、白黒のメイド服を着た年配女性…婆ヤさんはスタスタと真っ赤な杖を付きながら去って行った。
僕はやっと心が落ち着いた。
凄いところだ。
ちょっと、護衛の仕事、興味はあるかもしれない。
しかし・…難関そうだ、僕はよく泣くからだ…。
ダメもとで受けてみたいかも知れない。
☆☆☆
そのあと、着替えが済んだら…。
廊下へ出た…。
廊下先に婆ヤさんがいて、僕の傷の手当てをしてれた。
全く…テロが起きてから…従業員が少なくて忙しいったらありゃしないざます”
「ありがとうございます」
傷の手当てが終わったし、帰り遊ばせ…。
送るザます”
「レイカさんは?」
夜の平和国言語教室へ通い遊ばしましたわ。
そのあともバレエの発表会が入ってますわ!
レイカ御嬢様は常に忙しいお方…”
「そうですか…」
知らなかったが、レイカさんって本気で雲の上の人間らしい…。
車で送るざます!
自宅まで”
「あの…レイカさんが何故、塾でバイトなんて…」
社会勉強ザます!
お嬢様は下々の者たちの気持ちを理解するためにお忍びザます。
あそこの塾はウチの経営に入ってるざます。
バイトなんてしてないザますよ!
ただ、見てるだけザます、お嬢様は”
「そうだったんですか…あそこの塾、レイカさんの実家経営だったんですね…」
それ以外にも王族家はいろいろ事業なら展開してるザますよ!
本当、お前のような庶民とは天地ザます。
レイカ御嬢様は来年には富豪家との見合い話が入ってるザます”
「そうですか…」
かなり撃沈かも知れない。
どう考えてもこれは身を引くべきなのかもしれない。
まだ見合いは早いとのことで、面会だけザますが…。
この話は塾では言わないと約束するザますよ。
それだけではないざます!
御嬢様が世界遺産、ターシャ泉でペットを放流したなどと情報を売ろうものなら!
どうなることか・・・。
婆ヤは心臓が止まるかもしれません…。
婆ヤのへそくりで良ければ…お渡しいたすザますよ”
「結構です…。
僕は誰にも話しませんから」
庶民が言うことは当てにならないザます!!
金じゃなければ…何が目当てなんザますか?
御嬢様は王族家の宝!
無理に決まってるざますよ!
欲しいものがあれば…何なりと…”
「別に…自宅まで送って下さるだけで」
そのTシャツは…一応、100万円ザます。
チャネルのモノザます!
罰金50万の2倍ざますよ…。
あと、そのズボンもザます!
それで許してくれるザますかね?”
「そんな…まさか…肌触りが良いと思ってましたが…。
それほどまでとは…チャネルとロゴがされてましたが…。
良いのですか?
こんなものを…」
その代り、命に代えても黙るザますよ!
約束するザます…。
世界のブランドチャネルの最新作ざます!
喜ぶザます”
「僕は別に…そんなことしなくても…言いふらさないのに」
信用ならないザます!
以前にもレイカ御嬢様が似たような話で連れてきた女の子が…。
言いふらして、王族家は酷い目にあったザます!
念には念を入れるザますよ!”
「大変なんですね‥レイカさんって…」
金が目当てで近付いてることぐらい婆ヤには分かるざます!
お嬢様には御寄付の際には庶民の感覚の3倍まで…。
それから殿方には絶対に金銭を出さないように躾けてるざますよ!!
御嬢様は箱入り娘ざますから、世間を知り遊ばしてない!
御嬢様に近付く悪い虫なら…あたしゃ、命懸けで撃退するザます!
ヨコシマな気持ちは…諦めるザますよ!”
☆☆☆
実は…平和国の両親の取引先から…留学の誘いが出てる…。
僕は平和国に興味があるかもしれない。
交換留学生として、平和国へ語学目的で飛んでみたいかも知れない…。
ミルルも女優として、平和国へは行きたいらしいからだ…。
僕は、車係さんに、ターシャ国立病院へ下ろしてもらった。
両親の面会をしたいからだ。
自宅へ帰っても誰もいなくて不安にもなる。
両親は夕飯を澄ましたらしい…。
僕を下ろしたら、婆ヤさんの車は去っていく。
「キセキか…」
「来てくれたのね、お母さんも待ってたわ」
「お母さん、お父さん…」
「本気でターシャ国も物騒だとは前から話が出ていた…。
今回まさかこんなことになるとは…」
「得意先の方も連日、見舞いに来てくれて…今日は飛行機で帰国したらしいわ…。
つい先ほどね」
「そうか…」
「キセキ、お前、留学しないかと…得意先の方が言ってくれてる…。
本気でこの国は・・・いつ戦争へ突入するか分からない…。
お父さんももう、平和国で働こうかとも思う・・」
「パパがそう言うなら、家族で平和国で暮らすのも…。
パパも年間半分も海外出張ばかりで…自宅にいなかったんですもの…。
それにしても、会社、休んで大丈夫なの?」
「今回の事件は・・大勢の被害があった、会社も有給を許してくれてるらしい…。
上の者と、前から出ていたが…海外赴任の話を…進めてる…。
今回の件で決定的にそう感じてる…。
キセキには悪いが…。
お父さんは本気で、海外で仕事をしたいと感じてる…・。
キセキも着いてきた方が良い、お父さんは邪神国からのテロで…。
この体になって…余計に平和国へ行きたくなってる…」
「キセキ…・今日こそ、答えが欲しいの…。
あなたも着いて来てくれるわよね?
それとも…まさか、学校の寮へ入るの?
キセキが残るなら…お母さんは…どっちへ着けば・・」
「お母さん、お父さん…もう少し考えさせて欲しい、僕には学校に友達もいる」
「そうだな…しかし、この国は本当に危険だ…」
僕はどうすれば良いんだろう、今回の事件で…。
ターシャ村から田舎へ疎開したいと願ってる被災孤児もいる。
国内でパニックが起きてる…。
確かに、邪神教集団は怖すぎる…。
何故か、ターシャ国が邪神教徒からは目の敵にされてる風潮だ。
僕はどうするべきなんだろう…。
また、この時…涙が出て来た・・。
やはり、この国にだって、僕は友達がいる…。
未練があるらしい…。
「ところでキセキ、その洋服はどうしたのかしら?
肌触りが良さそうでシルクみたいだけど、そんなTシャツうちにあったかしら?
それから、ズボンも割りと高級そうじゃないの?」
「お父さんも不思議に感じてた、その洋服、良いな。
しかし…高級そうなイメージだが…キセキが買ってきたのか?
それにしても…長袖か…。
いくらシルクみたいでも暑くないのか?
キセキは…。
確かにこの病院はクーラーが効いているが…」
「いや…これは…その…」
実は…上下200万する服だとは…僕は言えるはずもない…。
世界のブランド、チャネルの最新らしい…。
僕は口止めをされてる…。
レイカさんが世界遺産、ターシャ泉でペットを放流し、そのペットが僕の腕を傷付けたことについてだ。
このシャツは…この夏の暑い時だと言うのに…長袖で…。
両親には僕の腕に受けた傷をバレズに済んでる…。
「恥ずかしがらなくてもいいのよ?
お母さん、似合ってると思うわよ」
「今どき、シルクなTシャツなど珍しいが…まあ、フェイクだろう…。
良いんじゃないか?
しかし…まるで…テレビで王家がするようなTシャツだが…」
「僕は家に帰る、父さん母さん…さようなら」
「まあ、照れちゃって…。パパがからかうから」
「ママ、あの服…いくらぐらいだろうか?」
「さあ…まさか1万円もする訳ないと思うわ…キセキのことだし、きっとフェイクでしょ?
良くできてるわね…最近の洋服って…」
☆☆☆
僕の両親も目覚めたらしい…。
病室から帰る時に…呼び止められた。
Uキセキくん!
なんや?
ウチに会いに来たんか?
うわぁ!
キセキくんの私服ってまるで王子さまみたいやな!U
難波カンサイは…関西から来た転校生で、衝撃的なロリ体型だと僕は初対面でビックリした。
絶対…バス料金が子供でも通じそうなレベルだ。
常に頭の頂点で赤いリボンに黒髪ツインテールだ…。
||暑いのに長袖なのだけあれだけど…本当に絵本から出て来た王子様みたいだわ!!
それから、キセキ君の両親もこの病院なんですってね!
見て、このお花、あたしが生けたのよ!
見舞客からいただいた花なんだけど…。
上手でしょ?
自由花よ!||
大和ナデシコ…この女子とは中学からの付き合いだが…僕に常にベッタリくっ付く。
和風な顔立ちで髪は黒くストレートで背中まである…。
体重も身長も体脂肪率まで平均らしい…。
確かに上手に生けられてる・…。
「君たちは病人とは思えないレベルに元気だな…」
Uウチの病室にカモンやで、キセキくん!
なあ、その服…いくらなん?
なんぼするん?
何かキラキラ光ってるんやけど?
タカラジャンヌみたいやわ!U
さすがチャネルの服だ、これでは目立ちすぎる…。
しかし、上下200万円とは僕は言えるはずもない…。
恐れ多すぎてる…。
しかも…この白い上下の服、最初は気が付かなかったが…キラキラ光る…。
照明具合で変わるらしい・・。
こんな派手な服、少し僕は恥ずかしいかもしれない…。
||関西人だからって失礼すぎるでしょ、カンサイ。
夕飯食べたかしら?
キセキ君…。
そんな服、どこで売ってるのか不思議だけど、あたしは似合ってると思うわ…||
「僕は…まだだ。
しかし…今日、僕は陰鬱だ・・・」
U何かあったん?U
||あたしで良かったら、相談に乗るわよ。
あたしは慎ましやかな大和ナデシコだからね?||
「僕はもしかしたら…両親と共に…。
平和国へ留学する可能性がある…。
君たちとはお別れになるかもしれない…」
Uええ!
そんなん、ウチ…嫌やで!U
||ダメよ!
あたし…悶え悲しむわ…||
「それか…両親に付いていかずに、学生寮へ入るか…。
自宅から通おうか…僕は悩んでる…。
どうすれば…」
U学生寮へ入りいや!
キセキくん…。
ウチの入ってる寮に来るん?
それは大歓迎やで!
もう、この国に残っときいや。
両親の仕事なんてどうでもいいやろ?U
「そうだろうか…」
||ええ?
ダメに決まってるでしょ?
キセキ君・・・あたしの家に住み込みでどうかしら?
狭いところだけど…||
Uうるさいで…。
キセキくんのことはウチが面倒見るんやU
この調子で僕は連日、モテてる…。
しかし、消沈してる…。
Uウチ、慰めるで!
ミルルと平和国になんか行かんで良い。
ウチの学生寮へ入りいやU
||キセキ君は自活できてるの!
あたしがキセキ君の家に住み込みで暮らしても…。
押し掛け女房なんて||
U何言ってるんや!
はったき倒したるで!U
僕の前で女子が喧嘩してる…。
Uミルルと平和国なんてウチ、反対やで。
ウチの寮でもてなすでU
||ミルルは仕事に燃えてると思うわよ?。
キセキ君が完全に振ったから・・・。
ミルル…あの祭りの前日に完全に振られたんですってね?
ミルルからメールがさっき来てたわ。
ミルル、キセキ君を見返すために、邪神国の役を演じるらしいわよ?
もう…あたしの敵は、あとはカンサイだけね?||
そのあと、二人は険悪なムードで口喧嘩へ発展しそうだ…。
僕は雨が降る前に病室を出ることに決めた、最近…天気予報が当てにならないからだ。
家路を辿れば、衝撃的なことに服が緑色に光る。
世界のブランドチャネル最新作は…畜光塗料入りの繊維で出来てる服だったらしい…。
しかし、これでは目立ちすぎる。
確かに…夜道、車にひかれる心配だけはないが…。
だが…全員、僕ばかり見てくる…。
これは少しきついかも知れない…。
帰宅すれば家では一人だ。
コンビニに入っても僕の服ばかり光るから見られることぐらい分かってる…足早に家路を辿った。
仕方なしに家にある粗末な卵かけごはんだ。
明日は普通の服で出かける、絶対に…。
一人の食事がこれほどつまらないとは僕は知らなかった。
僕は可愛い女子と一緒に食べたいらしい…。
タリアは無口だが、僕は別に無口でもない。
寂しがり屋なのかもしれない、今日は本命に告白して玉砕した…失恋だ。
特につまらない…涙も出てくる。
高級なシルクの舞台衣装が…僕の涙で汚れる…。
この服、使いにくい…。
返品できないのだろうか?
売った方が良いのか?
しかし…僕とレイカさんの思い出の品だ…。
そこは悩む…。
どうすれば…別にパーティーへ出かける訳でもないのに。
まるで社交界デビューな服だ…。
キセキ@
小説目次
キセキB