アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

ター シャ泉の巫女H



だんだん俺から…生活臭が出てる。
しかし、見た目は確かに発光して金髪碧眼華奢長身系美女へ変貌を遂げ―――ミロのビーナス誕生絵図そのものだ。
妖精と思えば良い。
昼間、ターシャ泉の沼の底で生活してるなんて大嘘を吐いてしまった。
良いのだろうか?

ボロが出過ぎるかもしれないから、ココは去るべきなのかもしれないと言うのに。
親にバレレば猛烈に怒られそうでもある。
特に俺の母親はうるさそうだ。
どんな子か会わせろとだ。
ミルルのことでも猛烈に毎朝、ずっとウルサイ。

俺は今、欲にまみれてる。
女体への欲だ。

「嬉しい。
えっと…夕飯の買い出しに行ってくるね?」

実は自分の分は弁当を持っては来てるが…。
多めがいいだろう。

『ありがとう』

「早めに帰って来るから。
コンビニで買ってくる…」

ココからコンビニまでは遠いだろう。
ここはターシャ自然公園の中の…ターシャ泉前だからだ。
ターシャ自然公園からでないと…コンビニはない。
ターシャ自然公園は国の重要文化財で…店屋がないからだ。
暫く帰ってこないらしい。
帰ってやりやすいかもしれない。
仕事が…。

俺から緑の後光が差す。

『ゆっくりでいいから。
明日の分もよろしく』

俺の分はあとで、お金は払っとけばいい。
もう行ってもらおう。

「うん。
私たちまるで新婚さんみたいだね?
女同士でも私たちはもう恋人以上だよね?
嬉しい」

『…』

「絶対、18歳越えても私と一緒にいてね?
ターシャ泉の巫女様」

『…』

「私は将来はターシャ泉の巫女様の従者になるから…。
重要文化財の見張り役とかでも良いかな。
このターシャ泉で勤めたいな…」

勝手に言いたいことだけ言って…。
マナナはテントの扉の外へ肩揃えな黒髪を揺らして、移動する。
外で赤い水玉模様の傘を差してる。

まだ、マナナは…俺を泉の妖精と信じて疑わない雰囲気だ。
今日は下心で泊まるのを受け入れてしまった。
断るべきだったのに、ボロが出まくりそうで恐ろしい。
俺はものすごく欲望に弱いらしい…冷静になれば…逃げきるべきだった。
無計画過ぎた。

もう本当に18歳越えたら、俺は…どうすれば良いんだろう?
あと、マナナの女好きは治るのか??・

☆☆☆




ミサの時刻が迫る。
7時は越えれば…客が来る。
今日も常連客の一人、スピチュチュアルに嵌まってる女子大生だ。
女子大生の見た目は濃茶ミデディアム巻き髪に女子アナ風のコンサバ水色ワンピだ。
まさか…この人がキセキの言ってる女性なのかと俺は推測してるが。
そこら辺は謎だ。

☆「今日も来ましたわ。
巫女様、いつ見ても本当に妖精さんのような美しさですね、今日は緑の光・…本当にランダムに変わるのがまた綺麗だわ。
私の願いも本当に良く叶えてくださるし。
ここに通い詰めになってますけど…」

『どうぞお席にお座りくださいませ。
私は神に仕える者なので。
迷える子羊たちに力を与えるのが私の役目。
汝の願いを叶えて差し上げましょう』

決まり文句だ。
一応、決まり文句のマニュアル本なら実家にある。
もう生まれた時からやってるから慣れてしまってる…。

女子大生は机に座った。
まあ、確かにグラドルが出来そうな雰囲気でニュースで[今日のお天気は…]とか言って、お天気お姉さんとかやってそうな女子大生だ。
悪いが財布もブランドものだし…実家もよさそうな雰囲気だ。
キセキには無理っぽい。

もう、彼氏いる気がして仕方ないが。
まあ、キセキも挫折続きでも良いだろう。
アイツは本気で毎日、モテすぎてる。
俺には関係のない話でもある。
俺は無駄口は任務中に叩かない。
ボロが出まくる。

☆「私、自分から男性に声を掛けることが出来ない性格で。
大学でまだ私だけが彼氏がいなくて。
真面目で素敵な将来性もある男性と一緒になれるように。
私がモテるように力を授けてくださりませ。
泉の巫女様」

『汝の願いを神の元に叶えて見ましょう。
瞼を閉じて、手をこちらへ…』

悪いがどう見てももう既にモテてそうだ。
理想が高そうな雰囲気でもある、この女子大生。
物凄くブルジョアな雰囲気で、確かに言い寄りにくそうでもある。
何か高級住宅街にいる豪邸の御嬢さんって雰囲気だ。
財布がチャネルだ。

☆「あと…もう一つ、私、女子アナを目指してるんですが…。
どうしても社交性に欠けてて。
試験問題が受かるように…。
それもあとで別件で力を授けてくださりますか?」

『分かりました。
私はなんびとにも平等なので…』

女子大生は目を瞑って俺の元へ手を差し出した。
高級そうな香水の匂いがする。
俺は集中した。
女子大生はモテたいらしい。
雑念は入りそうにもなった。
どう見てももう既にモテてそうで仕方ない。
これは何か…あまり集中できなかった…。

力を与える作業が終わった。
しかし、一応、専念はした。

『瞼を開けてください』

☆「ありがとうございます。
力が沸いてきたみたいです。
これからは様々な男性たちとも積極的に会話が出来そうな…そんな気力が」

要するに様々な男性に言い寄られてるのに…今まで会話すらしない状況が続いてた。
そう言う意味なんだろう。
何人に言い寄られてるのだろう?
本気でそんな雰囲気だ。
テレビキャスターには向いてそうでもある。
しかし…本気でテレビキャスターになんてなられたらキセキには更に釣り合わないに決まってる。

☆「もう一件、お願いします。
私が女子アナの面接試験でも照れずに会話が出来るように。
社交スキルなど試験でもパニックにならないように」

『瞼を閉じて下さりませ。
汝に力を与えましょう』

女子大生は瞼を閉じた。
それから手をこちらへ差し出した。

俺は力を送る作業には集中はした。
しかし、また友人、キセキの顔がチラついて…一瞬、気が乱れた。
どう考えても更に女子大生がモテるようになって、アナウンサー会で野球選手辺りと一緒になりそうで仕方ない。
だが、俺もこれが仕事だ。
キセキには悪いが…振り切って、力は与えるようにした。
精神的に物凄く疲れた。
俺は疲労感の漂う顔になった。
今、水色の光に俺は包まれてる。

『瞼を開けて下さい』

☆「ありがとうございます。
力が沸いてきた気がします…。
泉の巫女様…。
あら、綺麗な水色…本当に神聖な光りですわ。
いろんな光を今日も私に見せてくださいね。
水族館より花火より、ネオンより神聖な光りですわ」

『私は人々にパワーは与えることは出来ますが。
成績などは…ご自分の努力や資質に関わって来るので…。
幸運をお祈りしますわ』

☆「そうですよね。
女子アナの道は少し迷ってるのですが…。
今、実家では見合いを進められてて。
両家の申し分のない年上の方なんですけど…。
見合いを断るためにも自分の道が探したくて。
それで…」

『そうですか…。
それは…。
でもお断りするのですか?』

☆「何名か面会はしたのですが…。
どうも話が合わなくて。
このまま流される人生で良いのかとも…。
実家がとてもうるさすぎて。
居心地が悪くて…」

女子アナで野球選手となる道ではなく既に何名か…見合い相手がいるらしい。
やっぱり悪いがキセキには無理だろう。
アイツが他の女に目移りしてるのも理解も出来る。
無理ゲーすぎるだろう。

キセキには悪いが、もう女子大生のことは諦めるように促すのが友情なのかもしれない。

『そうですか…。
実家は…。
どういう家なんですか?』

俺がこの姿の時に客に聞くのは珍しい。
マナナがいる時に聞けば、マナナからの嫉妬できっと、会話すら止められる状況だろう。
マナナはああ見えて、物凄く嫉妬深い女らしいと最近、知った。

☆「ターシャ教では上層部の方としかまず…ダメらしいんです。
実家の両親は…。
ターシャ教と対立する邪神教の家とは、もう論外らしくて…。

あと、資産もそれなりにないとダメだとうるさくて。
現代は平民性になりましたが…家は元伯爵家出身で…。
ターシャ教国王の古い遠縁に当たる血筋で。
一人娘なのでことどとく自由がなくて。
外出ですら制限されてる状況なんです」

『…』

☆「今もお車係さんと婆ヤが…ターシャ泉の駐車場前に止まって…。
監視されてる状況です…。
本気で大昔から御稽古ごとばかりで期待が大きすぎて疲れ果ててるんです。
家では箸の持ち方すら婆やがうるさくて。
寝転ぶ暇すらなくて…他の友人たちがうらやましくて…」

女子大生は初めて自分の身分を明かしてはくれた。
後半、愚痴になってる。

☆「友達ですら自由に選べなくて。
ターシャ泉の巫女様に通うのだけは実家では許されているのですが…。
本気で肩が凝って仕方ない家で…。
もう八方ふさがりで…。
疲れ切ってます。
特に来年、20歳を境に政略結婚へ持って行かれそうで。
もう最近は溜息の連続で…」

本気で不憫には感じた。
ターシャ教国王の遠縁ということはテレビでも流れてるが…。
そうとう堅苦しい家に決まってる。
ターシャ教国王は…クーデターが平民から起きて…平民に力が得てからは…権力は昔よりは欠けてるが・…。
もう平民に絶対王政にならないか監視されてる…そんな一族でもあるが。
しかし…本気でこんな日常ではありそうでもある。

『そうですか…。
それは…大変なんですね』

営業言葉だが。
まあ、ココに通うのが娯楽なんだろう、女子大生にとっては。

☆「このあとは…ピアノの発表会、
そのあと…バレエの時間と…。
もう、大学以外にも嫌なレベルで稽古ごとが時間刻みで。
私はおそらく来年には海外に飛ばされそうな雰囲気で…。
泉の巫女様が18歳以降、任務を下ろされることは知ってます。
しかし…私も来年にはこの国にはいないでしょう…このままでいけば…」

女子大生は溜息を吐いてる。

『そうですか…』

他に言葉が思い当たらない。
もうここはメンタルサロンになって来てる…。
俺は悪いがここまで重い話の相談は難しすぎる。

☆「すいません。
愚痴り過ぎて…」

女子大生は涙ぐんでる。
海外に飛ばされるのがイヤらしい。
そうだろう…。

☆「私は大学も高校も幼稚舎も…ずっと、エスカレートです。
親が言うには私の家へクーデターが来る可能性があって…。
それで国外逃亡を望んでるらしいのですが…」

確かに邪神教がターシャ教を恨んでると言うニュースが流れてはいる。
最近、邪神教集団による銀行強盗などの資金強奪デモがあり…。
物騒ではある。
安全な国と言うのは…戦争を放棄した…平和国なのか?

『実家で心がやすらげるように。
力を与えましょうか?』

☆「え?
もう一件、別でですか?」

『まあ、御代は貰いますが。
精神仕事なので。
ただ、貴女に必要なのはそれな気が私にはしたので…』

御代は貰う。
これが俺の仕事でもある。

☆「そうですか。
それではお願いしようかしら?」

『それでは瞼を閉じてください。
それから手をこちらへ…』

女子大生は俺へ手を動かし。
それから瞼を閉じてる。

俺は手を握って、力を込めた。
今回はうまく行きそうだ。

作業は終わった。

『瞼を開けて下さい』

☆「力がみなぎるようですわ。
不思議と楽になってます。
まるで…スッキリしたような、そんな感じです。
さすが巫女様。
ターシャ神に愛されてる泉の妖精さんは…。
本当に凄いお方」

『…』

☆「普段は何をされてるんですか?
泉の下で暮らしてるんですか?
聖書は真実なんですか?
貴女は人間なのですか?
体から眩い光ではありますが…」

来る人全員から言われるが。
俺は語らない、ボロが出るからだ。

☆「今日は3件ですね。
多めに払っておきます。
9000円で良いですか?」

『ありがとうございます』

多いが良いだろう。
残りはお布施という形で。
俺の元へあら人神として…餅を備えに来る客も大勢いる。
この前もおばあさんからおはぎを供えられた…。
エメラルドに似た光に俺は覆われる。

☆「私、貴女のファンです。
心が軽やかになりましたわ…。
その黄緑の光も綺麗ですわ」

『またのお越しを』

女子大生は茶髪のゆるフワ巻きを軽やかに揺らし、水色ワンピの裾をひるがえし…立ち上がった。

人の人生を聞くのは疲れすぎる。
今日、学習した。
これからは語らず、聞き役に、徹そう。

俺もターシャ教の祭壇へ祈祷する神子に当たる血筋だが…邪神教は怖い。
本気でターシャ教を撲滅する運動しかしてない集団だ。
俺は村のお供え物のように…ここへミサへ通ってるが…。
ターシャ教では俺がミサに来なくなれば…邪神が村を襲うとは…。
聖書に書かれてるが…。

そんな神話より、邪神教の人間からくる戦争の方が怖いかもしれない…。
奴らは殺戮と血祭りを自分が信仰する宗教のためにならしそうではある…。
邪神教の経典を一度、読んだことはあるが…書いてあることが…もう邪悪すぎる。

戦争を放棄した平和国は…あこがれの国ではある。
しかし、俺はターシャ村を愛してるし…。
村の犠牲者として…雨の日も風の日も休まず…ミサに来なければならない宿命でもある…。


☆☆☆

キセキは…今年のターシャ祭りで…俺へ…この2歳上の実家が良家すぎる品行方正な女子大生と…付き合えるように依頼する気、満々らしい…。

ものすごく、俺は気が重い…。

何か…そんな気がしてたまらない。
スピチュアルに嵌まってるここへ通う女子大生は…この人だけだ。

塾でバイトをしてるとキセキから聞くが…。
実家ではそんなこと、許されてるのだろうか?
そこは突っ込みどころもある。
それとも、また別の人なのか・・・?

☆☆☆

☆☆☆

そのあとも何人か…俺が座る机へ客は来る。

♞泉の巫女様、今日も天女のように麗しき乙女ですね。
惚れ惚れしますわ。
その美貌、私にも分けてもらいたいものですわ。
普段は泉の下で暮らす妖精様なんですってね♞

今日は…セーラー服の高校生だ、珍しい。
俺より年上か?年下か?同じ歳か・・。
俺が通う高校に所属する生徒ではない。
俺の高校は青いスカートに青いリボン、青い襟のセーラー服だが…。
今日来た客はセーラー服が…薄ピンク色スカートだ。
どこの高校だ?
私立なのかもしれない、まるでコスプレだ。
黒髪ロングストレートなポニーテールだ。
足が長い華奢な和風美人系女子高生だ。

『なんでしょうか?
ご依頼は…』

♞大学への推薦が取れそうなんです。
今、私以外にもう一人いて…。
そいつの方が明らかに物凄く成績が良いのですが…それでも、どうしても私がとりたくて。
もう一人が落ちて…私が受かるように…。
力を授けてくれないでしょうか?
泉の巫女様…。
ここならゼロに近い可能性も6割まで跳ね上がると聞きました…♞

『そうですか…。
それは大変ですね。
それでは…力を与えましょう…』

本気で毎回、こんな重い相談ばかりだ。
この仕事も聞くだけで物凄く精神的に来る。
俺は重い話を聞くことは苦手かもしれない…。
深緑光に俺は包まれてる・…。

『瞼を閉じて、手をこちらへ…』

今、8時か…。
マナナは今頃、コンビニで弁当を買ってるのか?
帰りが遅い気もする。
ターシャ泉があるターシャ国立自然公園を抜けて…大通りまで行かなければ…コンビニはない。
まあ、一時間はかかるかもしれない。

俺も本気で毎日、大変だ。
俺の家はターシャ国立公園内にある神社だ。
誰にも話してない…俺が毎晩儀式として、ここで出勤してることは。
ただ、神社だと言うことは先生辺りは知ってる。

幼馴染ですら実家には呼んでない…。
しかし…キセキだけは勝手に俺を尾行して…住所を付きとめられてる。
教室で噂が流れることも疲れるから、キセキには本拠地は…黙ってくれと言ってる。
俺が暮らしてる神社へも連日、参拝者は来る。

俺は変に騒がれるのが大嫌いな性格でもあるからだ。
キセキから俺は将来、神父になるとでも思われてるらしい。

雑念が入ってた…。
集中して・・・力を与える…。
今回も何とか出来たかもしれない。

『終わりました。
目を開けて下さいませ』

♞力がみなぎるようですわ。
ライバルを蹴落とせそうですわ。
あんなヤツ、複雑骨折でもしそうな…そんな想像が頭に湧き起りました。
もう、絶対、私が勝てそうですわ、やる気満々です。
あら?
さっきまで緑の光だったのに…今は桃色の光…。
綺麗ですね、その光…ランダムに光が変わるって本当なんですね…♞

『幸運をお祈りしてます…。
汝が正常な道へ歩めるように…私は心からお祈りいたしています・…』

この願い事、この人のライバルまで・・ここへ通ってこれば…。
どちらが…優先されるのだろう?
俺は実績も必要だ。
客の獲得のためには…良い噂が流れなくてはならない。
大変な仕事だ…。
俺は今、水色の光を放ってる…。
もうここで願い事する客でマトモなのを俺は聞いたことない。
だいたい、お金まで払って願うことと言えば…丑の刻参り並みに重いモノばかりだ…。
一度は軽いモノも聞いてみたいものだ…。

♞泉の巫女様。
これは…御代の1000円ですわ。
うわあ、今度は綺麗な水色の光…まるでサファイアのよう…、クルクル光が変わりますね。
あと…これはささやかながらに私、お手製のクッキーです♞

『ありがとうございます』

♞泉の巫女様って本当に美しいお方、その光り方もまた、おごそかで…。
私、熱狂的なファンになりそうですわ…。
猛烈に好きになりました♞

どう言う訳かこの姿の時には客全員が俺を崇拝する。
神の化身と信じて疑わない。
しかし、他の客からは…マナナのようにレズな気はあまりしない…。
何故かは分からない。

『お褒めにあずかり光栄です。
私は神仏に身を捧げる者。
迷えるものを救い出すのが私の役目』

♞あの…髪に触っても良いでしょうか?
その髪は…発光してるのですか?♞

全員に初対面では聞かれる。

『私に触れることは許されません。
お許しを…』

引っこ抜かれれば困る。
ターシャ泉半径1kmから…黒髪の短い毛で光らなくなるからだ。

♞そうですよね。
ごめんなさい。
ターシャ泉の化身様に私ったら恐れ多い。
宗教の女子大も良いかもね…。
悩むわ…。
まさか、ここまで泉の妖精様が見目麗しいなんて…。
電車でここまで通ってきた甲斐があったわ…。
申し訳ございません。
一瞬、思考に浸り、神の前で敬語など無礼を…♞

『…』

俺は営業スマイルだ。
長時間話しっぱなしも疲れる。

♞それでは…。
また来るかもしれません。
あら人神、ターシャ泉の妖精…巫女様。
ありがとうございます♞

『またのお越しを…』

客はまた一人去った。
しかし…数分もすればまた来るだろう、違う客が。
これが毎日だ…。
逃げることも許されない。

マナナがいないと何故だろう、仕事は…はかどるが。

俺は待ってるらしい。
マナナが邪神教徒に絡まれてないか心配でもある。
邪神教徒は女をナンパばかりしてるらしいからだ。

邪神教公式経典には…女はナンパして落とすべし。
と書かれてる…。

お蔭で犯罪者は…邪神教を崇拝し、宗派変更する人間が多いらしい…。

☆☆☆


それから30分流れた。
遅いとは思ってたが…。
マナナも帰ってきた。
俺は黄色の光に覆われてる…。

「巫女様、帰りに本屋へ寄ってたら遅くなってしまって。
えっと…」

マナナだ。
まあ、無事で良かった。
それだけだ。
少し物騒だとは客からも聞いたからだ。

『…』

今日は8時半。
8名の客は捌いた。
布施も貰えた。
疲れてる。

まだあと、30分ある。
全員、重い相談ばかりだ。

なぜか力を与える作業もいろいろパワーがいる。

「巫女様、お仕事頑張って」


『…』

俺は机にいる。
マナナは俺がいる机の横に座り出した。
机の後ろで見張り番状態だ。

「ねえ?
ここって冷蔵庫は…」

『…』

あまり、客がいる前ではここで泊まる話などしてはダメだ。
俺は寡黙にもなる。
俺がここで泊まると聞けば…俺を見張る客まで現れそうだ。
今、俺はミロのビーナス発光人間で。
誰もが…光り輝く泉の妖精と信じて疑わないからだ。

『ミサのあとで、会話は…。
私は…泉の妖精。
ミサは私に課せられた宿命。
遊ぶ暇などないので…』

「巫女様、ごめんなさい。
恐れ多いことを。
待ってるね、私」

マナナはもう敬語も止めて猛烈に俺へ慕ってる雰囲気だ。
どうせ客の前で…自分だけ特別扱いだと自慢でもしてるノリなんだろう…。

少し俺の気力が和らぐ。
アホな女らしい、マナナは。
大丈夫なのかと心配にはなってもくる。

「巫女様、読書しても良いかな?
巫女様の隣で。
黙ってるから」

『どうぞ』

マナナは…本屋で本を買ったらしい。
俺の机隣に座って読んでる…。

横目でマナナが読む本の題名を確認すれば…。

…”ターシャ教の始まりについて…。
ターシャ大学宗教課教授解説書”。

と見出しで大きく書かれてる…。

もう、だんだんオカルトのマニアックになって来てるらしい…。
マナナは…。

まあ。
許そう…。

その時、次の客が来た。

☆☆☆

今日もこんな雰囲気で残り30分は経過し、ミサの仕事は終了した。
俺の隣でマナナはおとなしく読書に励んでる。

ミサが終われば、やっと俺も休憩が出来る。
夜9時になる。

「巫女様、お疲れさま」

『…』

少しは沈黙もしたい。


「今日も大変だったよね?
えと…泉の巫女様は夜はどこで暮らしてるの?
泉の下なのかな?
ここで泊まっても本当にいいのかな?」

『…』

迷ってる。
良いのだろうか?
俺は妖精ってことに聖書でもなってるし、村人すら疑ってない状況だ。
村はターシャ神を信じてるらしい。
この国は宗教色が強い国ではある。
遠い戦争に反対な平和国まで飛べば…無信教者もワンサカいるらしいが…。
この国では真面目に神はいるとされている…。

俺は自分がこんな身だからそこら辺が実感沸かない…。

俺は確かに正当な血筋者らしいが…妖精ではない。
泉で暮らしてる訳でもない。
村人を騙してるようなものだ。

お蔭で良い思いは出来てはいるが…。

「泉の妖精様って時々、静かになるよね?
そこがまたおごそかと言うか…」

嘘を吐きとおせば…。
寡黙にもなる。
嘘も筋が通らないとボロが出る。
頭の体操にはなるが…。

マナナは連絡したのか?
実家に…。
邪神教に誘拐されたと家族も心配するだろうに…。

『マナナは実家へ連絡は…』

「したわ。
猛烈にお母さんも喜んでたわ。
巫女様の仕事のお手伝い、頑張りなさいって激励がもらえたわ」

村人、全員…俺が妖精と信じて疑わない状況だ。
飯ウマではあるが。
罪悪感がないわけでもない。
俺から桃色の光が放たれてる。

『そうなの…。
それはよかったわね…』

「ねえねえ、キスしても良い?
泉の妖精様?
私、イチャイチャしたい…」

マナナは俺が座る椅子へ近寄って。
俺の胸元にダイビングして来て、それから勝手にキスしてる。
軽いキスから今日は勝手に舌まで入れて。
どれだけ積極的なんだ?

俺の胸を服の上から揉んでる。
これは変な感覚だが。
あまりマナナにはこれ以上、女体好きになって欲しくないもの本音でもある。
俺は住民を正常へと導きたいと常に思い続けてるからだ。

マナナの手を掴んで、それは止めた。
マナナの手を握ったまま、残った片手でマナナのオカッパな黒髪へ触れた。
外の雨で水滴が付いて湿ってる。

その後、手を移動し…水色セーラー服をたくし上げて。
それからマナナが着てる服の下へ手を入れた。
コンモリと椀状に盛り上がった両乳房は弾力があるし。
どう考えてもマナナは女の体だ。

不思議な感覚だ、混乱する。

「泉の妖精様。
今日は泊まりだからいっぱい出来るね。
えへ」
マナナが照れて顔が赤い。


俺も椅子に座ったまま、背丈が低いマナナを抱き締めてみた。
不思議だ、柔らかい…ムニュとする。

良い香りがする、香水か?

俺はボーとなる。
この床に押し倒してみた。
ゆっくりと…。

グルグル、する。

「巫女様。
大好き。
ね、服脱ごう」

マナナは…座り込んで普通に服を脱いでる。
俺も脱がなくてはダメだ、ドレスを座りながら脱いだ。
自分の下着も取った。
もうこれも慣れっこでもあるが。
マナナの女体は肉感的で良い。

マナナは照れたように俺へ笑ってる。
どこでマナナは道を間違えたのか不思議はあるが。
俺が大好きらしい。

俺に照れながら軽くキスしてくれた。
俺はマナナの肩で揃った黒髪へ手を回した。
本当に抱いてるのが気持ちいい。

マナナは俺に舌を入れてくる。
それも何かやらしい動きだ。
俺も応じるが。
マナナは俺の胸を触って、それから俺の下へ手を伸ばす。
マナナは俺の女性器を触りまくって。
俺に座って密着したままだ。

確かにキモチイイが。
俺はマナナを床に寝かせた。
マナナの乳房に顔をうずめた。
俺が女性化してるときより発達した肉感的な体だ。
俺はミロのビーナス体型だが。
芸術的ではあるが…線が細く華奢だ。
絵の中の天女と言う雰囲気だが。

マナナは現実味がある女だ。
生々しい体つきだ。
俺の体型の方が…非現実的で…妖精とは言われまくってるが。
腕に無駄な贅肉すらない。
脚も白く華奢で滑るように細く。
髪は長くまつ毛も俺は女体化すれば長く…。
瞳も淡く水色、髪は金と亜麻色の間の乙女ではあるが…。
自分の姿を鏡に写せば…美しすぎて、全然、性的には興奮しない。
そう感じる、俺の女体は。
宗教画に近い。
自分の女体には見慣れて来てるが。













小説目次










inserted by FC2 system