アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

4年後B



☆☆☆


毎年、不定期で中忍試験の時期も変わるが。

あれは…燃えるような今年の夏…蝉しぐれ。

ジーンジーンジーン。

と蝉が木の茶色い幹に止まり、煩かった。

季節なんてどうでも良い日常が、サクラがいれば輝くらしい。

空の太陽は照りつけるようで…視界は光で眩しく、竹刀の練習がえりで俺は汗だくだった。
俺は普段通りの忍者服で半袖だ。
サクラは上が赤いノースリーブに…下に黒い短パン。
良く似合う…。

真っ青な空に白いモコモコの羊雲が流れて行ってる…入道雲がもっと遠くで見える。

そんなときの話だな。

緑の草むら歩けば…黄色いヒマワリが咲いてる。
俺の周りには常に女子がいる…。

≪向日葵(ヒマワリ)が綺麗ね。
6月〜8月が開花時期だから…ちょうど今頃ね。
この花切ると5日程度しかもたないのよね…。
ヒマワリは7月6日、7月20日、8月2日、8月5日、8月31日が誕生花って知ってた?≫

イノの豆知識が俺の隣で開始される。

[知らなかったわ。私の誕生花ではないみたいね]
[さすがイノは花屋の娘くわしいわね]
[ねえ、花言葉教えて?]
[イノの話って面白い]
[さすがくの一成績ナンバーワン]

「ヒマワリ、綺麗ね…」

サクラはヒマワリを見詰めてウットリしてる…。

[ヒマワリを見ると夏になったって感じよね]

『…』

俺も汗だくになりながら黄緑の芝生に座り…黄色いヒマワリを見詰めてる…。
ヒマワリを見ながら、涼しいところへ行きたいなと考えてる。
今は野外で日陰だが…贅沢に本音は…扇風機に当たりたい。
ウチワで我慢する…扇風機なんて木ノ葉にはない。
砂がくれにはあるらしいという噂が飛び交ってる…。

≪向日葵(ヒマワリ)は"私はあなただけを見つめる"が花言葉よ。
それ以外にも…"愛慕""崇拝"の意味もあるわ…。
サスケくんに私、ヒマワリ送ってみようかしら?
これは…ヒマワリが太陽の方向を追うことから来てる花言葉よ?
でも太陽を向いてるのはヒマワリが若い頃だけで完全に花開くと東向いたまま固定するのよね?
因みにヒマワリはキク科で…。
これをフライパンで炒めてもお菓子代わりになるのよ?
サスケくん?
私のお花に関する知識に屈服してお嫁さん決定してくれたかしら?≫

イノは常にこの調子で…ずっと俺にアピールしてくる。
まるで知識を披露する自慢話のようにも聞こえるが…。
お蔭で俺は勝手に花言葉がほぼ覚えてしまってる…。
サクラはどうなのか分からない…。

[本当にイノは花に関することは博士並みね…]
[悔しいけどイノのリードは認めるわ]
[そんな花言葉なのね]
[ヒマワリにそんな意味があったなんて]
[イノは強いけどいつか超える]

「ヒマワリって…美味しいのかな??」

サクラは…ヒマワリを見て…食べることしか考えてない…。
花より団子らしい…。

[でもハムスターが食べてるイメージよね?]

『…』

俺は黙ってヒマワリを見てる。
視線すら動かさない。
喉が渇いて動く気にもなれない。
脱水で声すら出ない。
竹刀の練習でよく動いたからだ。
確か…鞄に水気の多いトマトが入ってた筈だ…あれを食べるとする…。
それから鞄には竹で出来たような水筒も入ってる…。
夏は運動のあとは特に小マメな水分補給が必要だ。

ヒマワリの種は菓子にもなるらしい。

イノが知識を披露してた。

サクラは「綺麗」…これは可愛い雰囲気だ、少女らしく俺の隣で…感動してる。

俺は花はどうでも良いが、サクラが好きらしいからどんどん覚えてる。
サクラは自分が好きなくせにイノに毎回教わってる。
ペーパー得意なくせにガサツだ、不思議な女だ。

こんな感じに、修行後は周辺の森や道を散歩することも多い。

目的はサクラだけだ。

勝手に俺が停止していれば…女子たちは俺の元に接近してくる。

芝生や草むらなどに…ドッカリ座り込んで女子どもの会話に耳を傾けるが。
入ってはこん。
サクラの情報漁りだけだ。

女子ども、アイスキャンディーを食べてやがる…贅沢な奴らだ。
アイスキャンディーは忍者どもの氷結する術を発動させて作ってるらしい…。
サトウキビ畑も木ノ葉は医療忍術は進んでる。
迷いの森辺りで栽培されてる場所もあるらしい。
他里へ情報が流出するのを防ぐため、それぞれの里が鎖国状態だ。
しかし、砂がくれにあるらしい扇風機、とても羨ましい。

俺は赤いトマトを貪ってる…よく鞄に入れてる。
この野菜、俺好きだ。
夏は涼んだ気分になれる。
アイスキャンディーは孤児の俺の身分では高級過ぎる。
そこまで自由に資金が使えるわけでもない。
サクラたちは贅沢し過ぎてる。
毎日、剣術の授業のあとは…汗が滴る。

水分補給になる。

蚊が飛ぶ区域は避けてる。

☆☆☆

蚊取り線香の匂いが…民家の窓から流れる。

里ではそろそろ…盆踊り…お祭りが開催されそうだ。

去年のことを思い出した…。

「忍者学級に入れば…合宿もある。

今日は愛里教育の一環で木ノ葉祭に参加する…。
夜、7時に木ノ葉広場へ集合するように集団で木ノ葉祭に参列する」

イルカ先生の号令から…全員で強制的に夜、7時から木ノ葉祭へ参加した…。


俺は……夜、今の本拠地…隔離された寄宿舎から出発して、1人とぼとぼ…木ノ葉広場へ向けて歩いてた。

星がきれいな頃だった。
ちょうど7月7日。
七夕だった。

天の川が頭上に見えた。
星がとても綺麗で、流れ星がその時、偶然、ひとつ落ちた。
俺は空を見詰めてた。

街角の民家は…庭先にどこでも竹が飾られてて…。
家々の玄関前には竹。
竹には…赤や黄色、青の短冊が飾られてる。

今日、アカデミー生が集合する場所は…木ノ葉広場、午後7時。

そこにも…立派な竹が飾られてる。

"アカデミー4年生、イルカ先生クラス"

竹の前には白い看板がある。

その竹には…その前日、アカデミーで俺のクラスメイトが書いた願い事入りの短冊が飾られてる。

俺は…青い短冊へ"復讐と一族復興"
サクラは赤い短冊へ"サスケくんのお嫁さん"
ナルトは黄色の短冊へ"火影になる"

3つ並んで…それぞれの文字で飾られた。

ナルトだけ字が下手だ。
俺の時はカクカクしてる、字はうまいとよく言われてる…。
サクラの字は丸文字だ。

俺の両隣はイノとサクラの短冊。
サクラの両隣は俺とナルトの短冊。
ナルトの両隣はサクラとヒナタの短冊。

左からイノ、俺、サクラ、ナルト、ヒナタ…。

の順に飾られた。

俺は興味のない短冊は目に入らなかった。

俺が短冊をぼんやりと見詰めてると、サクラがアカデミーに到着したらしい。

「サスケくん、こんばんは」

声がしたから振り返った。

『サクラか…』

そのとき、浴衣姿で現れたサクラは…とても似合ってた。
桜色のサクラ柄の浴衣だ…。
帯は濃い赤だ。

「サスケくん、見て見て♪
この浴衣似合うかな?」

「サクラちゃん、似合うってば」

「アンタに聞いてないわよ、ナルト。
しゃーなろ!
サスケくんに聞いてるの」

サクラはナルトを殴る。
もう既にナルトも到着してたらしい。

『…』

俺は余計なことは喋らない。
しかし…これは似合うという意味だ。
ハッキリ言える訳もない。
俺の顔はシンミリしたような表情だ。

「サスケくんて本当にクール。
今日も素敵…」

「何だってばサクラちゃん。
俺のことも見ろってば」

ナルトも俺と同じような黒い半袖の忍者服だ。
クラスメイト全員、おデコには木ノ葉の額宛をしてる、これは当たり前だ。

『…』

よく俺はクールだと他人から言われるが…。
無駄口を叩く気になれないだけだ。
逆を言えば…俺の台詞には非常に意味がある。
例えその台詞が嘘だとしても…他人を誘導するためだったりする。
俺はあまり本心は語らない。

俺は…地図を読めるが…会話は苦手だ…。
ナルトは…会話できるが…地図が読めない…。

俺が黙ってれば人間が…俺の前へ寄って来る。

≪サクラ、サスケくんと会話するなんて生意気よ?
あとでどうなるか…。
分かってるわよね?≫

イノも赤い小花模様の浴衣だ。
イノの黄色い長髪は成人式のように…アップスタイルになってる。
まるで成人式だ。
これは時間がかかっただろうと推測できる。

「イノが来るのが遅いからでしょ?
遅れてくる方が悪いわ?」

≪サクラと違って、身だしなみをしてたら時間がかかっただけよ。
髪の手入れも大変なのよ?≫

「しゃーなろ。
髪なんて伸ばすからでしょ?」

サクラの髪は胸の辺りだ。
前より伸びてる…。

≪自分の髪がまだ背中まで伸びてないからって。
ムキになってんじゃないわよ?
サスケくんは髪の長い私が好きなんだからね?≫

「しゃーなろ!
イノに負けない!」

「なんだってば?
また喧嘩だってばか?
サスケの何処が良いんだってば、こんなしけた面の男。
俺には不明だってば」

『…』

いつもどおり、勝手に女子の対決が始まる。

そこへクラスの女子どもが接近してくる…。

[サスケくん、隣いいかな?]
[サスケくん…私も浴衣だよ?]
[ねえ。
綺麗かな?
いつもと違う?]
[サスケくん、私を見て]

そこでイノとサクラの喧嘩が止まる。

≪ちょっと私より先に接近してるんじゃないわよ。
そんなことするのは百万年早いわよ。
喧嘩上等よ?≫

「しゃーなろ!
サスケくんは私のものよ」

『…』

俺はアホらしい瞳だ。
俺の前で女子たちが口喧嘩だ。
しかし、しっかり俺に引っ付く。
夏は暑い…暑苦しい…。

しかしこっそりサクラを応援はしてる。
サクラだけ最近、丸みを帯びてる、夏は暑いが…確かに少しシカマルの言う通り胸元に膨らみがある。
他の女子は全然だ。

俺の家に浴衣なんてものはねえ。
今日も夏用の忍者服だ。

自宅に俺も青い水風船を持ち帰った。
サクラもだ。
他の女子もだ…あまり興味ねえ。

良い思い出だ。

忍者学級の合宿、楽しみだ。
とその時、ぼんやりと考えてた。


☆☆☆


一瞬、去年の夏祭りに起きた空想に浸ってた。
注意力が落ちてた。
今、平和だから良いが…危険であれば一瞬の隙は命取りだ。

俺は竹刀の練習後…野外の日陰…緑の芝生の上に座り込み、周囲には黄色いヒマワリがある。
それからまわりには女子どもがいて…俺の隣で青いアイスを食ってる。
俺は真っ赤なトマトは食べ終わった。

その時…森乃イダチという…拷問のスペシャリストとして有名な森乃教官の弟…。

特別上忍拷問のスペシャリスト…森乃イビキの弟、”森乃イダテ”…俺より3歳ぐらい上の男が…サクラをチラチラ見てた。

(なぜこちらを見てくる?
何の用だ?)

俺はイダテとは…接点、合さねえように上手に誘導してた…。
女子全員を侍らせて…イダテの視線の外へ移動してた。

『今日繰り出した技…。
この剣道の流派は木ノ葉…忍者特有のモノで…弱点などない…ただ体力だけ使う…。
スピード勝負の技だ…』

いつも通り、剣術修行のあとはさりげなく自慢だ。
誉めろと言う意味だ。

≪サスケくん、強いよね。
きっと私のために修行を・…。
私がこれからもサスケくんを強者へとリードしてあげるからね?≫

イノは相変わらず一番最初に会話する。
俺へ喋るのすら…今でも成績順だ。

[サスケくんの腕さばきっていつ見ても凄いよね]
[きっと、将来はエリート街道まっしぐらなんだろうな]
[そうなっても私のこと忘れないでね、サスケくん]
[ただの竹刀でもあそこまで凄いんだもの。
きっと本物の剣なら敵なんて瞬殺よね?]
[スピードがもう凄くて、私、目で追えない…]

「サスケくん、強くって格好良い。
私、強いサスケくん。
大好き…。
しかも毎回新技…。
すごすぎる…。
大好き」

サクラは新技にこの通り、弱いらしい…。
あと…強い人間に分かりやすいレベルで弱いらしい。
常にそれを出して来る…。
本当に明るい女だ。

[ドベの私には釣り合わないだろうけど…サスケくん、私のこと、好きになってくれたらな。
私、一途よ?]

『…』

≪本当にサスケくんって常にクールよね?
そんなシャイでクールで固いサスケくんも大好きよ?
私の美貌にもう落ちてるくせに。
仕方ないから私がリードしてあげるわよ?≫

[イノ、うるさいわよ]
[そうよ、少しサスケくんが出す遊びに…リードし続けてるからっていって]
[いつか私がイノを越える]
[サスケくんはきっと私の深い愛に既落ちてるわ]
[サスケくんは私の心をもう愛してるわ、イノになんて負けない]

「しゃーなろ!
イノ、つぶす。
アイス、おいしかった…また太る」

サクラはアイスを食べ終わったらしい…。
サクラには太らせて変な色気が出ないように。
常にダイエットを強要させてる。
シカマルを他とする男共よけのために可哀そうだがガリガリレベルに細らせる。

シカマルは…今、アカデミーの教室では…サクラの隣席だが…。
トイレのシノやチョウジやキバとの男子4人の会議で…。
サクラが最近、太って、胸が膨らんでると噂してた。
今のところ、女子たち全員、スリムでツルペタだが…。
サクラだけ先に大人になるのは認めない。

シカマルがサクラを狙ってる…。
サクラは最近、甘いものばかり食べてる。
シカマルが喜んでる…。

[サクラ、甘いモノも慎みなさいよ?
サスケくんに嫌われるわよ?
最近、太ったんじゃないの?]

剣術のあとの散歩…いつも通りの会話だ。

『デブは最悪だ』

俺はサクラを低い声で睨む。
サクラは急に暗くなり…ショボンとした顔になる。
俺は屈折してる、サクラを苛めるればキュンとなる。

≪サスケくんがお怒りよ?
サクラ?
サスケくん、私は常にスタイル抜群よ?
サスケくんに好かれるためにダイエット頑張ってるからね?≫

[まあ、サクラなんて論外よね。
サスケくん…]
[サスケくん、私を好きになってね?]
[サクラもそろそろサスケくんを諦めたら?]
[サスケくん…私、ちょっと最近…太ってるかも…頑張らなきゃ]
[まあ、イノに負けないわ。
私はこの通り常にスリムよ?]

「しゅん…。
ううっ…。
サスケくん…」

サクラは下を向いてしょげて泣きそうな顔をしてる。
少し苛めすぎたかもしれない。
サクラはボタボタ…瞳から涙を流してる。
サクラの涙が草むらに少しずつ落ちる。
俺の言葉がよほど効いたらしい。

「うっう…」

サクラは喉を鳴らしてる…。
目元を手でこすって泣くのを必死でこらえてるのに…涙が出るらしい…。

「私のこと…嫌いにならないで…。
サスケくん…」

サクラは猛烈に泣いてる…。
少し可愛い…。
しかし、泣かせ過ぎた。

「泣かないから…痩せるから…。
だから…嫌いにならないで…」

俺のサクラを見詰める瞳が一瞬、和らぐ。
あのあと、突然、頭を撫でればサクラはどんな顔をするのかと…そんな妄想が沸く。

[サクラ、自分の身分を弁えるのね?
ああ…泣いちゃって。
本当サクラってまだ弱いのね?
泣き虫って最悪よ…]

サクラのすすり泣く声が聞こえる。

『…』

少し罰の悪い気分でもある…。

俺はそっと視線を逸らした…森乃イダテの方角へ。
俺はまた無表情になる。

☆☆☆

”森乃イダテ”…。

それは…今年、中忍試験が実施される前の話だ。
13歳ぐらいか?知らん。
ヤツの兄…特別上忍拷問のスペシャリスト…森乃イビキは有名人だが…、25歳ぐらいだから…一回り下の歳の離れすぎた弟か?

「今年の中忍試験の試験管は…特別上忍拷問のスペシャリスト…森乃イビキだ…」

イルカ先生から傾向と対策として…授業でこんなふうに説明は受けてる。
ヤツの兄は…有名人状態だな…。
毎回、えげつない精神的拷問試験らしい…俺はこういう問題は苦手だ…。

ヤツの弟…そいつが…”森乃イダテ”13歳ぐらいの男が…。
いつもサクラの方角ばかり見てるから…俺は必死で違う道へ女子全員と同伴して移動してた。
”森乃イダテ”13歳が、ロリコンなのかは知らねえ。
俺らは10歳児だ…。
俺の方角ばかり見てた。

俺が”うちは一族”で…兄のイタチが10歳で中忍試験が合格した…秀才児で。
その弟だから…俺ばかり見詰めてたのかは…知らねえ。
俺も今年、10歳だからだ…。
兄の能力には及ばず…中忍試験には…参加する予定もないが…。

(うちは…サスケ…。
アイツは…今年、俺と同じ中忍試験を受けるのか?
俺の敵なのか?
どれぐらいの能力値なんだ?
ヤツは??)

そういう意味で、ずっと偵察してただけかもしれん…。

ただ、いつも女子といるときにだった。
俺は…外でも常時女子を侍らせてる。
サクラも、そこにいる…。
毎日、嫌がってた、俺は…。
この女子軍団で…一番、愛らしいのはサクラしかいねえからだ。
他に花などおらん。

本当に暑い季節だった。

俺目当てか…。
サクラ目当ての性犯罪者なのか…どちらなのかと…悩んでた。
サクラは太りすぎて…太ってると言っても…元の骨格が非常に華奢だ、ちょうど良いくらいの標準体型だ。
それなのに…10歳にして…最近、胸が少し膨らんでる…尻まで少し出てる…。
3歳ぐらい上の男…森乃イダテが…それを喜ぶロリコン変態男の可能性もある…。

サクラに変な色気は求めない。
サクラはもう既に顔が美人可愛いからモテてる。
これ以上モテなくて良いと感じてる。
シカマルだけじゃなく、キバやシノまで喜んでる…。
アカデミーの男子どもが裏でサクラの体の成長について噂してる…。

サクラは…目に隈が出来るレベルで痩せれば良い。
男たちの半分以上から大ブーイングが出て、死なない程度の栄養失調レベルになり…。
男どもからサクラ人気もガタンと落ちれば良い。
他の人間が…サクラを性の対象に見ることは許さない。

☆☆☆


そのあとすぐ…秋の気配が香る夜中…紅葉が赤く染まる頃…。

…強さを求める行動から…。
元抜け忍の男にだまされ…、”森乃イダテ”は犯罪者の道を辿り…里を抜けた。
中忍試験も失敗したらしい…と噂は聞いた。

抜け忍の噂はあっという間に…里中に知れ渡った。
抜け忍は…死罪だからだ。

「抜け忍は死罪だ。
今年の試験管…拷問のスペシャリスト…森乃イダチの弟…森乃イダテが…里を抜けた…。
中忍試験に落ちた後の犯行だ…。
元抜け忍の男に騙されたらしい…。
おまえらも…里の外には出んように…」

ある秋の日…。
俺がアカデミーへ登校すれば…。
朝のチャイムが鳴るなり、イルカ先生が神妙な面持ちになり…教室の教卓前で説明はしてた。

俺の席は中央最尾列、隣の席はイノだが…。

そこからクラス全体を見渡せば…聞いてる人間と聞いてない人間…半々ぐらいだ。
2、3年前は誰も朝礼は全く聞いてなかった…クラスメイトも成長をしてるらしい…。

「ふわああ‥眠い。
サスケくんとデートしたいな…」

サクラは眠いのか…この説明…欠伸して居眠りしてた。
あまり聞いてないだろう…。
連日、ペーパーの勉強に忙しいからだろう…。
徹夜続きでサクラは必死に頑張ってるらしい…。
確かに最近、成績がうなぎ上りだ…。
ここは許す。
俺のサクラは努力家で愛らしい女性だ。

お蔭で…窓際の席から離脱できつつある…。
今…サクラは窓際の前から5番目ぐらいか…。

相変わらず窓際1番前の席に固定された…ナルトは…
他の男子に

「構ってくれってばよ。
遊んでくれってばよ」

と大声でうるさい。
ナルトの後ろ…。
窓際2列目はヒナタだ。
そのも固定されて…今日もヒナタはナルトの台詞をノートへ綴ってるのだろう…。
たぶん、その筈だ。

窓際5番目…サクラの隣に座ってる…シカマルは常に…。

【ナルト、めんどくせー】

で終わってる。

シカマルはワザと…サクラの隣の席を死守してる…。
早く離れてもらいたい…。

シカマルの隣席にいるサクラは…スヤスヤ…机の下を向いて寝てる。
これが2、3年前までは…朝礼中、常に少女マンガに集中してた。

最近は居眠りしてる…。
自宅でペーパーを極めるのに大変らしい。

それしてもナルト…本当にドベはやることが違う。
授業中ですら、ジッと出来ないのか…男子や女子に構ってくれってばよとウルサイ。
それなのにイルカ先生はナルトを愛してる…ムカつく。
きっと、ナルトは…頭が悪いから一度言っても覚えないだろう。

イルカ先生は毎日、ナルトに必死で読み書き計算を教え続けてる。
人間としての基本を叩きこんでる。

忍術以前の問題だ、基本あって初めて次のステップだ…。
実は…言葉の意味もあまりナルトは分かってないんじゃないか?と思うことが多々ある。
難しい言葉は変えて言わねば…伝わらんらしい。
イルカ先生は教科書をナルト向けに噛み砕いて教えてやってる。
本当に親身な先生だな、ナルトの味方らしい。

読み書き計算…絶対、忍者学級へ上がるまでに必要だ…。
イルカ先生も大変そうだ…毎日…。
ドベにはドベの理由もある…しかし、頑張りは認めてる…。
ナルトはこういう面、幼い…。
しかし、対人スキルは得意らしい…積極的に会話を出来てる…。
それでイルカ先生を惹きつけてる…。

俺も寵愛が欲しいのに…良い気はしない。

自宅で一人の夕飯と朝飯一人は…身に沁みる。
サクラの存在だけが孤独癒す。
サクラは俺の家族…妹決定だ。


☆☆☆


きっと、数ヶ月前まで遭遇しまくりだった”森乃イダテ”とは…もう絶対、二度と会わないだろう。

俺は…性犯罪者すれすれの事件から、サクラの貞操を守れて誇りに感じてる…。

”森乃イダテ”…俺より3歳上の男だろうが…。
ヤツが…俺ではなく、サクラ目的で尾行してたことも…あり得たからだ。
俺目当てで威嚇してた線の方が…普通に考えて、有力ではあるが…。

俺はいろんな男子に威嚇されたり睨まれるたびに。
俺の隣にいるサクラ目当てなのか…。
それとも…俺と純粋に力勝負の喧嘩を挑んでるのか…毎回、不思議に感じてる。
この事件に限らず…ずっとそうだ。

サクラが何歳まで許容範囲か…分からん。
ただ、サクラは…”森乃イダチ”の方角…見てた。

「森乃イダチ…雷鳴技を繰り出せ」

忍者学級の先生らしき人間が…俺より3歳ぐらいか上の人間に命令してる。
どうも…忍者学級の生徒が野外で個人的に修行してるらしい。
忍者学級は男女合同3人班だと聞いていたが…個人で銘々、先生が同伴の元、修行することもあるらしい。
イルカ先生から授業中に説明を受けたこともある…。

「分かったぜ」

森乃イダチと言う人間からバチバチ雷鳴が出た。
ココは野外、草むらだ…。
サクラは…イダチが技繰り出してるの、見て…。

「見て見て、サスケくん。
見たことない技だよ。
すごいな、アカデミーって。
私も強くなれるかな?
ねえ、サスケくん…」

昔のノリで俺に話しかけてた。
アレがよくねえサクラの癖だ…。
サクラは照れてるかのように顔が赤い。

その瞬間、森乃イダチと…サクラの視線が合致してた。
俺は…渋い顔になった…えげつなく焦ってた。
それが勘違いなら良い。

昔との違いは…俺の周囲に女子軍団がいて…

≪忍者学級ね…サスケくん、もちろん…人生永久にずっと一緒よ。
これからも私がリードしてあげる。
感謝してね?≫

‐‐イノ

[下忍になってもよろしく]
[下忍になれたら…同じ班になれたらな]
[下忍ってやっぱり凄い]
[中忍試験するのかな?
あの人…]


‐‐どうでもいい女子達の台詞。

こういう雰囲気の会話で、女子ども全員…俺に密着してたが…。

『…』

夏に密着されるのは暑苦しい。
さすがの俺も背中は汗が出てる…。
俺の視線は森乃イダチにある…俺の表情は険しい。

しかし…どの女子を森乃イダチが見たのか知らん。
俺を見てたのかもしらん…”うちは一族”の生き残りとして…敵、偵察としてだ。

ヤツの兄は有名人だ。
”うちは一族”の強さについても詳しいはずだ。
そう祈る。


☆☆☆

この4年、大変だった…遊ばず走ってた。
里で成績が独走状態だ。

この状態が永久に続くことを祈る。








うちは事件から4年が流れ…それでも…サクラとは…引き離れていた。
他人とつるむの苦手かもしれない…。

10歳になった。
その頃もまだ…不信感があった。
しかし…女子どもぐらいしか味方はいない。
自分が制裁しなくても…俺の崇拝者美々しいサクラが嫌なヤツならボコ殴りしてくれる。
それに満足していた。
優秀な部下が出来た気分だった。
しかも容姿も麗しい。
絶対服従だ。

俺が髪が長い女が好みだという噂を流せば…髪型を変えて年単位で伸ばしてくる。
それ以外にもいろいろある。
大抵、純朴なサクラはそれに逆らわない。
何を言ってもほとんど許される。
見ていて感動するぐらいだ。

(どこまでも苦しみ従えばいい。
俺はまだサクラを許してない…)

俺は…最近…あまり忠誠心があるから…自分を自殺から救ってくれた人間だし、恩返しもかねて。
里で一番をキープ出来たら、幸せにしてやっても良いか…とも考えていた。
感謝の情念だった。
以前は兄への復讐のためだけに力をつけていたが…。

「サスケくん。
スゴい!
カッコウいい!!!」

と褒められるたび、亡くした母を思い出し、癒される自分に気が付いたからだ。
俺なりの恩返しのつもりだ…。



☆☆☆

この頃になって…。
里で一番ドベの…以前から俺の方ばかり声を掛けたそうに見ていたナルトが…。
後光差すサクラにモーションを掛け始めたのは。

ナルトと俺は同じく孤児だ。
ナルトは生まれつき孤児だが、俺が六歳で孤児になって以来…チラチラ、俺を眺めてくる。
それが気に食わない。
誰も信じる気にもなってなかったからだ。

しかし…本音は…8歳の頃から…

(男の友達が欲しい)

とも、少しは…憧れてた…。

(それもドベが良い…。
強い男はすかん…)

ナルトは積極的に友達作りに励んでるのも…嫉妬してた。
自分には出来ない芸当だからだ。
それから…ナルトだけ先生と仲が良いのも、面白く思ってなかった。

俺の味方は、女子しかいないからだ。

しかし…ナルトはどうも…神々しい光を放つサクラのことが…好きらしかった。
サクラが裏切ったら、元々、復讐へ向かう気で…俺はいる。
六歳の頃から…人間がアッサリ裏切ることを…学習しているからだ。
特に…里へ未練がない。

(ただ、やっぱりサクラは…予想通り…モテる女なんだな)
と、納得しただけだった。

(もうそろそろ…復讐へ向かわなければならない時なのかもしれない…)
と、感慨に耽っただけだ。

「サクラちゃーん。
俺のこと好きになってくれってばよ」

「ナルト!
うざい」

眉目秀麗なサクラは…ナルトの猛烈なモーションに嫌気が差してるようだ。

「サクラちゃーん。
俺ってば火影になっからよ。
で、きっと。
サクラちゃんも俺のこと、好きになるってばよ」

「ドベには無理!」

可憐なサクラは…力のない男は嫌いなのだ。
本当に…ドン引きレベルで分かりやすい。
サクラは好みが見ていて分かりやす過ぎる。
隠そうともしないらしい。

「サクラちゃーん。
遊んでくれってばよ…」

「ドベとは遊ばん。
ナルト殺す」

後ろで綺麗なサクラが…ナルトをボコ殴りにし、俺を崇めているのが見えた。

ナルトをボコりたいのは、俺だな。
先生の寵愛を頂いて…しかも能力もないのに人を惹き入れて…嫉妬もあった。
サクラの行動は見ていて…常に快感だった。

それなのに…。

(ナルトと…友になりたいな…なっても良いかもしれない)

とも願ってた。

(演技も疲れる…たまには暴れたい…品行方正もダルイ…)

(サクラとナルトが引っ付くことは論外だろう)

と推測してた。

(サクラは強い男が好きだからだ。

ナルトは、コミュニケーション能力にはたけてるが…強いわけではない)

だから俺には絶対安心もあった。

(サクラはドベは論外だ、絶対安心だ。
昔は…サクラと熱く激しい友情化計画を実行しようかと夢見たころもあった。
しかし、サクラに猛烈に求愛される…今の関係も悪くはない。
俺とサクラは、男と女の関係だ…友情では、もはやない…。
サクラは…俺を猛烈に恋い慕っている…まあ、このまま永遠でも良いだろう。
このままゴールインも悪くない…良い計画だ)

(サクラは絶対服従をここ数年はしてる…サクラの罪も減刑されつつある…。
もっと俺に尽くせばいい…。
まだ足らん…)

(しかし…俺には友達がいない…。
サクラにはアレは友達と呼べるのか知らんが…俺を巡る戦友がいるが…。
俺にも話し相手が必要かもしれん…)

サクラへは…順調にこのまま恩返しをする気で、いる。
いつも見目好いサクラを眺めていて、俺はスガスガしいし…。
それから…俺がしたいことをしてくれてるからだ。
ナルトボコ殴りが良い例で。
それ以外にも、成績が上がると…サクラは俺をベタ褒めだ。
しかも美しく愛らしい。

(最近、暴れたりない…イタズラしたい。
悪乗りもしたい…。
俺は…良い子さんを演じすぎてる…サクラの前で…)

いつも俺の側にいてくれて…今では俺の絶対的味方だ。
一時は裏切られたと感じたが、女の友情も捨てたらしい。
サクラは俺しか常に見てない。
そこも喜んでる。
そうでなければ俺が空虚になるからだ。

ナルトは先生に褒められるが。
俺を褒めるのは、女子くらいしかいない。

(それだけではない。
孤独は寂しい)

それと…家族に憧れてる。

(くのいちでは一番容姿も良いし。
まあ。
良いだろう)

と、結論付けた。

(ナルトは論外だが…違う男が…この里の一番になれば…。
その場合は…その未来が実現できるか知らんが…)とも、思考した。

(その時は…当初の目的、復讐へ走ればいい。
人間は裏切る)

身を持って……実感してた。

この瞳には…サクラは日に日に天使化していた。
だからこそ…俺の能力値が下がれば。
煌びやかなサクラが裏切ることは、予想してた。

俺から見れば…サクラは俺の命を救った愛らしい天使だ。
あれで…自殺せずにすんだ。
あの時は…自ら死を…選んでた。
それぐらい…胸が痛かったからだ。
フラッシュバックばかりで…何度、暴れ出しそうになったか分からない。

(大荒れだった…今もまだ完全復帰でもない…)

それを後ろから無理やり毎日抱きしめるサクラが止めたのだ。
だから感情が戻った。

里で不遇なことは…病室に面会人もおらず…大人共の悪口や…先生の態度からも…。
感知してた。

普通、幼少期に惨殺事件があれば…。
日頃どれだけ態度が悪くても面会人ぐらい来るはずだ…。
それが来ない七歳の段階で…判明した。

正直、味方と言えば女どもしかおらず。
それもないと…里に楽しみもないのだ…。

すぐ離脱する気でいた。

秀麗なサクラを母のように慕い…夢で出れば喜んでたのも、本音だった。
それ以外の夢は…一族惨殺事件の夢で…暴れそうになるものだったからだ。

俺の母は慎ましやかで口数少なく髪の長いしっとりした女性で…。
姿はサクラとはまったく似てないが…。
目に入れば癒される存在なのだけは同じだった…。

この時もまだ

俺に復讐へ来い″

という兄の夢を、見ていた。

…兄への復讐心を忘れたわけではない…。
しかし…逃避をしたいのも本心だった…。
昔の辛いことを忘れて…アレはサクラが初めて俺へ忠誠を遣わした日だと…。
すり替えたかった。

(人は裏切る。
信じてはダメだ)

理解してる。

だが。
この里で…一番の容姿端麗な女子に言い寄られて悪い気はしてない。

しかもサクラはとてもペーパーが出来て…俺以上に賢い…。
難読な問題でも解読可能だ…。
凄すぎる…。

(しかも命の恩人だ。
いつか恩返しをしたい…)

願いはある。

里の女子が俺の何処を気に入ってるのか理解に苦しむ。
サクラは俺には釣り合わない良い女だ。

何故か…兄への復讐に走りそうな自分の狂気を俺は知ってる。
サクラがいなければいつでも行きそうだ。
サクラが隣にいても、俺は伝え方が分からないらしい…言葉には出来ねえらしい。

サクラは大きな愛をくれる、俺はそれを…成績を上げることでしか返せねえらしい。
いつも燃えるような闘争心がある。
しかし火影になりたいと願ってねえらしい。
里の幸せより…サクラのために里で頂点に立ちたいらしい…。
そうすれば自分と一緒になったサクラも将来、冷遇されずに…里で優遇されるだろうから。
俺からサクラを奪おうとする里の危険因子達を憎み…その中で一番の力になり、里を強さで威圧し征服しようといている。
強いては…俺が里で認められるために…俺に和解の能力なんてねえからだ。
俺はナルトやサクラのように、正の感情で強くなれねえらしい。
様々な対象への深い怨恨や怒りでしか、強くなれないらしい…。
これは兄が与えた呪縛なのか、それとも俺の天性なのか。
まだ…心は完全復帰でもねえらしい。

こんな男…サクラも困るに決まってる。
自分の本性を晒す気はない。
いつもサクラに男が近付くたび、俺は怒ってる。
無表情だが…。
最近、ますます酷い。

ドベでサクラは全く相手にしてねえが…。
ナルトが邪魔に見える。
本当は俺がしたいこと全部、ナルトが横からしゃしゃり出て…サクラにアタックしてる。
少しムカついてる…。

「好きになってくれってばよ」

と、うるさ過ぎる。
ドベだから慎みやがれ。
俺だって本音は甘えたい、少し怒ってる。




4年後A

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