アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

永住権B



サスケ視点



☆☆☆

時刻は7時だ。

俺は屋敷に着けば…引き戸の隣にあるインターホンを押す。
するとしばらくすれば…サクラが出てくる。

「サスケくん、仕事…今日は早かったね?
日曜日だものね?
あとでカカシ先生にはサスケくんばかり働かせすぎだって叱っておくね。
おかえり」

『ただいま、サクラ』

「今日の夕飯は…旅館で買った弁当で本当に良いのかな?」

『それもあって多めに買ってる。
おまえもサボれ』

「サスケくん、ありがとう…」

何とか…。
嬉しいことに、明日からの遠方勤務は撤回された。

綱手には横領レシートを見せ付けて…2回ほど恐喝してる。
これが効いたらしい…。

香燐のことは…里の住人には盛大に誤解されてるが…弁解する気にもなれない…。

「サスケくん…。
また…来週から一週間も家にいないんだよね…。
寂しいな…」

『そうだな…』

まだ話さないことにした。
あとで驚かす。

「ねえ…。
来週からいないから…今夜は・・・」

黙ってれば誘ってもらえるからだ。
俺は幸せ者だ、サクラは眠くても頑張って俺を求めてる…。
眠気より俺の体らしい…。

『そうだな…』

サクラから渡り廊下辺りで密着してもらえそうになったところで。
柔らかく突き放した。

「え?
サスケくん…」

『今から仏壇に拝む。少し待て』

「そっか…。
そうだよね…」

いつも通りの断り方だ。

『今日も仕事場でおまえが悪趣味だと噂してた…』

「どういう意味かな?」

『罪人を選んだことについてだ』

「え…。
だって。
サスケくんが好きだから…」

『おまえはどこを気に入ってる?』

「え?」

仏壇のある居間に着いた。

仏壇に屈みこみ、祈ることにした。

サクラは少し…後ろで動揺してるらしい。

(今日は永住権に関する項目が何とか強引にクリアー出来た。
この平和が永続的に続きますように。
カグヤは自滅しますように)

祈ることと言えばこれだ。
数秒、座布団に座り、祈祷してから…問いただした。
先ほどの質問をだ。

『俺はおまえを助けたこともある。
しかし…あれは、ナルトとの成績争いでナルトが言い出したことでだ。
それから戦時中も偶然だ。
俺よりどう考えてもナルトやリーの方がおまえに優しい…。
命も助けてる回数も多い。
おまえの好みは何だ?』

「サスケくんだけど」

『どこら辺だ。
Mなのか?』

こうとしか言いようもない・・・。

「えと…。
別にそうじゃないけど」

『誰もが不思議がる。
里中がだ』

「えと…。
香燐さんだってサスケくんが…。
それからサスケくん、モテるし」

『香燐は昔…中忍試験の頃、俺は香燐の前にいる大熊を退治したらしい…。
香燐は俺のことを命の恩人とか言ってた。
他も闇世界では権力があったからだ。』

「香燐さん…。
助けたんだってね。
本人から…聞いた…」

『…』

「どこなのかわからない…。
でもどうしてなのか…。
サスケくんの人生を聞いて私は涙が流れた。
命懸けで救ってあげたいと願った。
それが答えかもしれない…。
サスケくんが好きみたい」

『そおか…。
おまえは不幸なキャラに弱いのか?』

「別に違う…。
サスケくんは…。
私の…。
深い愛なんだよね…」

『俺ほどの人生を歩んでた人間があのレベルの愛をもらえば誰でも大抵転ぶ。
おまえが不思議だ…。
あまり納得いってない』

「えと…」

『…』

「サスケくんは素敵だよ。
格好良いし、強いし。
優しいよ」

『…』

「最近、優しくてうれしい。
昔みたいで」

『…』

「きっとサスケくんの顔が私、好みなんだよ」

『そおか』

「写真、撮らせて」

『断る』

「サスケくん…。
イジワル…。
サスケくんは格好良いし、強いし。
それから優しいよ。
優しいサスケくんに戻ってくれて嬉しい」

『そおか』

「私、サスケくんを応援してる。
里で…。
何か言われたの?
サスケくん…。
私からもしっかり言っとく。
サスケくんが里で認められるように頑張る。
私はサスケくんを絶対幸せにする」

『ありがとう』

『だがまだおまえが謎だ。
強さは…ナルトと引き分け…。
顔は…。
おまえはナルトの分身の術でどれだけ、ストライクがいたか分からない…』

割りと表情も変えずにここら辺は尋問できてる…。

「え…。
それは…。
えと…」

サクラは照れてる。
怒ってる。
どうせナルトの逆ハーレムの術を思い出してる。

『おまえは俺の不幸に同情落ちしたのか?』

「そんなつもりじゃサスケくん…」

『おまえは何人、顔のストライクがいる?』

「えと…。
その…。
だって…。
それは…」

サクラが挙動不審だ。
ハッキリ答えられないらしい…。
ガックリ来てる…。

「サスケくんが一番だよ。
サスケくんだけだよ。
信じて…」

この流れで信じられるか?

『どうでもいい』

「好きになるのに理由はないんだよ。
カカシ先生が言ってた。
嫌いになるのに理由があって良いって」

サクラの口から…カカシの言葉が出ている。
カカシに怒ってる…。
サクラの口から出るのは俺の台詞だけで良い。
カカシに影響されなくていい。
サクラは最近、ナルトにも影響されまくりだ…。
サクラの素直な意見を聞きたい。
他人の言葉の代用は求めてない。

『そうか…。
俺はおまえの深い愛で落ちてる。
理由がある』

「え…」

『おまえはどんな趣味か…真面目に不思議だ』

「サスケくん…。
信じて。
私、サスケくんだけだよ。
サスケくんが大好きでたまらない」

サクラが正面から密着だ。
それから俺にキスしてくれた。
もう苛める気も消えた。

『…』

「サスケくんと家族になれて嬉しい。
ありがとう。
私の深い愛で選んでくれて。
香燐さんと肉体関係が切れて嬉しい」

俺の胸元で擦り寄ってる。

『……』

「私、香燐さんに嫉妬してるみたい…。
サスケくん…。
許してくれる?」

『許す』

「ありがとう」

サクラがMで不幸な人種に同情落ちする人間でも良い。
使えるのものは何でも利用する。
俺はSで不幸な人種になんて絶対同情落ちなんてしたこともないからだ。
俺は可哀そうなフリをしてサクラに甘えまくるつもりだ。

明日からの遠方任務、消えたことを聞けば…きっと喜ぶだろう。
反応が楽しみでもある…。





ナルト視点


俺はナルト。
最近、オープンした動物園も水族館も遊園地もプラネタリウムも…全部制覇するってばよ。
夏に観光されるお化け屋敷も…楽しみだってばよ。
花火大会にお祭りも…全部ヒナタと一緒だってばよ。

日曜と言えば毎週、ヒナタ連れてデートだってばよ。
俺は自分の奥さんには最高に喜ばせるってば。
デートの計画もしてたってばよ。
夜は美味しいグルメな店調べて来たってばよ。
一楽のラーメンも良いが…ヒナタ連れて行く気にはなれねえ。
何回かは行ってるけどよ。


今日はサスケのせいで…仕事に追われてヒナタ待たせて悪いってばよ。
俺は今、木ノ葉パークの観覧車乗り場前にいる。

行列には並んだが…。
ヒナタが俺を待ってくれたお蔭で…行列の一番前になってたってば…。
カカシ先生には突然…6時30分ごろメールで呼び出されたってばよ。
結局、土産だけかってばよ。
俺は日曜日は最高に忙しいってば。
ヒナタ…俺が来るまで…何人、見送ってくれたってば?
時刻が7時30分だってば。

「ヒナタ、悪いってば。
遅くなってごめんってば」

||「ううん」||


めっちゃ可憐だってばよ。

ヒナタは…腰まで伸びた黒髪に…薄桃色のシフォン調令嬢ドレスだ、あと…白い靴と鞄だ。
さっき、俺が買った赤い風船を手に持ってるってば。

滅茶苦茶似合うってばよ…。

「変な奴に絡まれなかったてばかよ?」

||「大丈夫」||


何とかヒナタと乗れたってば…。
隣で花火が上がってる。
遊園地のアトラクションらしいってば。
この大観覧車、俺…乗るの楽しみだったてばよ。

「ヒナタ、見ろってば。
木ノ葉の街並みが綺麗に見えるってば…」

少しずつ景色が上に上がって行くってば。
ジェットコースター並みの高さだってば。
ヒナタの風船が観覧車の館内…天井で揺れてるってば。
俺はヒナタの隣だってば。
胸の谷間が服から見えるってば。


||「本当だね。
ナルトくん…。
空が高くて…星が綺麗…。
ナルトくん、ありがとう…」||

「ヒナタ、ごめんってば。
カカシ先生に突然呼び出されて。
しかも今日は…サスケに関する会議のせいで、待たせてよ…」

||「いいの。
で…結果はどうだったの?
ナルトくん」||

「みんな文句ばっかりだったてばよ。
でも、俺は火影になる男だ。
しっかり案は通ったてば。
俺のお蔭だってば。
カカシ先生も今すぐにでも座を譲っても良いって激励くれたってばよ」

||「ナルトくん、おめでとう」||

「おう。
嬉しいってば」

||「ナルトくん…」||

「何だってば…ヒナタ…」

||「サスケくんって…もしかして…サクラさんのこと…」||

「おう、それは俺も補償するってばよ。
里中全員気が付いてねえみたいだが、サスケはああ見えてサクラちゃんのこと、結構気に入ってるってば。
俺は戦後、気が付いたってば。
命懸けの闘いで…ど根性の体当たりで分かち合った愛だってばよ…」

||「ナルトくん…えと…違うの…」||

「何だったばか?
ヒナタが珍しいってば…」

||「ううん…いい…」||

ヒナタが視線を逸らせたってば。

「本当に俺は火影に向いてる気がするってば。
みんなの困りごとまとめるの得意だってばよ。
俺は火影になる」

||「ナルトくん、応援してるね」||

「この観覧車乗ったら、次は美味しいグルメでも食いに行こうぜ。
それから映画館へ行こうってばよ」

||「うん」||

俺はヒナタにキスしたってば。
ヒナタ、顔真っ赤だってば。

俺は幸せだってば。

「これ、サクラちゃんとサスケの新婚旅行土産だってば」

||「お土産?
サクラさんが?」||

「そうだってば。
アイツら行ったらしいってば。
きっとサクラちゃんが強引に迫って、行ったてば?
サスケは旅行嫌いそうだ」

||「温泉まんじゅう?」||

「サスケは甘いモノ嫌いだ。
サクラちゃんの好みだこれ。
サクラちゃんが買ってくれたってばよ。
サクラちゃんにはあとでお礼言うってば」

||「私からもサクラさんにお礼を言うわ…。
ナルトくんは甘いモノ好きだよね?」||

「俺は食えるってば。
ヒナタはぜんざいとシナモンロール好きだから食えるってよな?」

||「うん」||

「アイツらが旅行に行くなんて。
想像もつかねえってば。
サクラちゃん、どんな手をつかって行ったてばか?」

||「…。
ナルトくんと私は…いつもデートだね?」||

「そうだってば。
俺はヒナタ連れていろいろ行くの好きだってば。
サスケはあれは絶対、しけてるってば」

||「…」||

「それにしてもよ、本当…アイツらが結婚するなんて俺、ビックリだってば」

||「…」||

「昔、想像もつかなかったてば。
いったい、サスケの奴…いつからサクラちゃんを好きになってたってばか??
アイツ…戦後だって…サクラちゃんには言ってるらしいが…。
本当に戦後なのかってばよ?
サクラちゃんから聞いたってばよ??」

||「里中噂になってるよね…その話」||

「サクラちゃんの悪人に転じてもなお…サスケを愛する深い心に…戦争を交えて…サスケが…折れて…。
サクラちゃんの求婚を…サスケが受け入れた話だってばか…?」

||「…私も…サクラさんから聞いた…。
ナルトくんと一緒にいるとき、その話…」||

「ヒナタも聞いたよな?
サクラちゃんからの情報だ。
俺も…戦時中に命懸けの闘いを交えて…もしかしてって…思ったてば?
でもよ…なんか、不思議な感情なんだってば。
未だにサスケ、俺に怖いってば…。
いつだってばか…?
何だってばか?
この違和感…。
サスケはサクラちゃんのこと…本当はどう思ってるんだってばか…??」

||「ナルトくん…。
私…。
本当は…ナルトくんのいる第七班に入りたかったな…。
ナルトくんの第七班時代の話聞くたび…何故か苦しいみたい…」||

「そうだよな。
サスケの代わりに入って来たのがサイだ。
ヒナタが入って来ても良かったてばよ…。
で、サイがヒナタの所属する班へ行くか…。
イノの所属する班の一名が…ヒナタの代理でヒナタの班へ行ってだ。
サイがイノの班へ行っても。
全員丸くおさまったてば?」

||「そうだよね?
ナルトくん」||

「でも、俺も修行が忙しかったてば。
木の葉は掟にうるさいってば。
でも、俺は火影になる男だ。
守るってば。
みんな全員幸せにするってば。
俺は火影になって全員をしあわせにして…里に恩返しするの夢だってば」

||「ナルトくんって…本当に素敵」||

「ありがとうってば。
ヒナタは俺の天使だってば」

||「すごくうれしい…」||

映画館終わったら…。
俺はヒナタと今日もあったかい夫婦生活だってばよ?

「今日の映画はアクションものだってば。
”ナルトthe last”って言う、俺と同じ名前の映画で…物凄く共感だってばよ。
恋愛もあるってばよ?
戦いもので…里が世界からの侵略者による危険に襲われて…主人公がそれを撃退し、最後にヒロインと結婚するハッピーエンドな話だってば。
俺の好みの映画だってばよ」

||「ナルトくん、とても…私、楽しみ」||

「9時から開幕される映画のヒロインが少しヒナタに似てるってば。
俺、めっちゃ楽しみだってばよ」

映画館は…シャンデリアのある綺麗な映画館選んだってば。
今回は3Dもあるらしいってば。
ヒナタが喜んでくれれば俺、嬉しいってばよ。

ヒナタの肩に腕を絡めて休んでるってば。

||「ナルトくん…」||

俺はとってもあったかいってば。

俺は絶対、ヒナタの嫌がることなんてしねえ。
女性が喜ぶデートのガイドブック熟読したってば。
ヒナタは俺の奥さん、慎ましげで綺麗でスタイルも抜群な大和撫子だってば。
俺ってば幸せだってばよ。

いや…。

もう、第七班結成当時は俺ってば全くモテてなくて。
いったい、だれと一緒になるんだってばか?
って焦ってたけどよ。

こんな綺麗な奥さんと一緒になれるなんて、天は俺を捨ててなかったてば?
しかも…俺のこと、長年好きでいてくれたらしいってば。

俺ってば鈍いから気が付いてなかったてばよ。
ヒナタももっと分かりやすく言ってくれれば良かったのによ?

俺は幸せだ。

ヒナタがいねえ人生なんて今の俺には考えられねえってば。
ヒナタいなくてサクラちゃんとサスケだけがイチャイチャとかムカつくってばよ。

俺は今はヒナタが大好きだ。
サクラちゃんはお母さん。
ヒナタは奥さん。

両方違う。

けどよ。

俺はヒナタを愛してる。
ヒナタってば…アカデミー1年から俺を密かに慕ってたらしいってば。
本気で早く言えってばよ。

サクラちゃんがサスケにするぐらいの分かりやすいレベルでよ。

そしたら、俺…滅茶苦茶喜んだってばよ。

俺の母ちゃんには…似てねえ。
でも…天国で喜んでくれてる筈だってば。
俺にもやっと家族が出来たってばよ。

ヒナタには言えねえが…俺の初恋はサクラちゃんかもしれねえ。
サクラちゃんがあまりにも可哀そうすぎてよ。
いつもサスケに言い寄ってるのにサスケに苛められてばっかりでさ。
アカデミーの頃から。
サクラちゃんを幸せにしてやりてえとは思ってたってば。
第七班時代もあまりにもサスケってばサクラちゃんに冷たすぎるから。
俺が火影になって絶対サクラちゃんは幸せにしてやるってばって使命感にも燃えてたってば。
サスケが悪の道へ進んでダンゾウ殺して罪人になってからは。

サクラちゃんの恋は応援しつつ、隣でやっぱりサクラちゃんが不憫すぎるから。
全てのことが解決して、サスケを里に連れ戻して。
サクラちゃんが失恋して泣いてきたら。
俺が幸せにしてやるってばって思ってたってば。
サスケを里に連れ戻すのはサクラちゃんが泣いて約束してきた。
俺はサクラちゃんが撤回しようが絶対、叶える気だったてば。

戦争中はもうほとんどサスケのことなんてサクラちゃん諦めろってばって思ってたてば。
だんだん怒りもあったてば…サスケにだ…当たり前だってば…。
しかし…サスケとの戦闘を交えて、少しだけヤツも正気に目覚めたみたいだ。
ヤツの人生が壮絶だったのが伝わって来たってば。
少し許す気になったてば…。

それから…戦時中、ネジがいなくなったヒナタがこれまた不憫で…。
俺は見てられなかったてば。
今度は…ネジがいなくなって悲しんでるヒナタを幸せにするってば。
俺はもしかしたら…不幸な人種を幸せへ導きたいのかもしれねえてば…。
我愛羅との戦闘でもそうだったが…。
ネジの戦闘でもそうだったが…。
毎回、そんな役ばっかりだってばよ、俺は…。
だいたい、そんな時、俺も昔は不幸だったてば…。
俺がコイツならって…涙流して辛くなって来るんだってば…。
最近、気が付いたことだってば…これは…。
幸せに満ち足りて上から目線でふんぞり返ってる奴より…どうも不幸で耐え忍んでる人間を見れば…。
そっちに味方してしまうらしいだってば…。
これはヒナタには秘密だってば。

ヒナタが俺へモーションを掛けねえせいだ…。
これはヒナタには秘密だってばよ…。
俺はヒナタのことを本気で…死ぬ気で好きになれたのは…戦後かもしれねえ…。

ネジのことを思い出せば…俺は今でも泣きそうだ。
だが…それは…内緒だ。




ヒナタ視点


私はナルトくんの口からサクラさんの話題が出る度…今でも嫉妬してる。
他の話題に変えたくなる…。
温泉まんじゅうのことについてのお礼は私が言う…ナルトくんが言わなくていい。

☆☆☆

きっと…この里でこのことは私だけ知ってる。
サスケくんは…ナルトくんが考えてる以上に狂人的にサクラさんを好いてる。
それは私…血継限界の人間がナルトくんを愛してるのと同じ。
でも、ナルトくんに話す気にはなれない。
それは私の本性を話すことと同じ。
暴露する気もない。
私はナルトくんの前では慎ましげで可憐な女性として見られたい。
ずっと大和撫子を演じ続ける。

サスケくんは…たぶん、私の勘では…アカデミー1年生から…。
サクラさんにゾッコンだと思う。
私もナルトくんにそうだから…。
きっと、一目惚れなんじゃないかなって思う…。
割りと…私たち血継限界の人間は…鳥の刷り込みに近い。
だから、そうだと思う。

ナルトくんとサスケくんが…対立したわけも。
サスケくんが里を抜けた理由も…。
サクラさんとサスケくんが結婚してから分かった気がする。

私の勘ではまだ…サスケくんはナルトくんを許してない。
私の愛するナルトくんを命懸けで守るのは私の役目。
サスケくんからこれからもナルトくんを私は守る。

☆☆☆

私はヒナタ。
日陰からジットリとナルトくんをこっそり愛す。
そんな女。
これからもナルトくんの前では…大和撫子として良き妻を演じ続けるつもり。
ナルトくんが火影になるの、応援してる。

それにしても黒魔術って効くのかもしれない。

☆☆☆

私は…アカデミーの頃、いつも教室の4隅から…。
ナルトくんは熱視線。
ナルトくんにアタックされて嫌な女性、サクラさんには冷たい目線。
それからナルトくんに友達になってくれと言い寄られて嫌なナルトくんのライバル、サスケくんには冷たい目線を…。

実に7年間こっそり送ってた。
日々、ナルトくんの会話はノートにメモして…。
ずっと、ナルトくんが大好きなのに動けずにいた。
何冊も黒魔術の本なら暗記した。
術式の暗記よりこっちの方が興味津々で…。

図書室でも借りたから…噂になったかもしれない。
でも…子供の遊びの一環だって…あまり、相手にもされてないかもしれない。
毎日だって、丑三つ時は頑張った…。
お蔭で毎日、昼間眠気に襲われて…他人にあまり語りかけられても反応できなかった。

サクラさんとナルトくんが引っ付くなんて考えたら気が気じゃなくて…。
ナルトくんが火影になったら。
これからも黒魔術をこっそりしてあげるつもり。
影から木ノ葉を…ナルトくんの政治を…思い通りに操ってあげる。
意外に…人間の強い執念って効くのかもしれない。
私の念はもしかしたら…結構、強いのかも…。
超人級なのかも。

確かに…サスケくんとサクラさんには悪い念を飛ばし過ぎて悪いことをした。
実に10年以上は同じ時間に毎日欠かさなかった…。
雨が降っても…熱にうなされても頑張り続けた…。
きっと、15年はしたと思う…。
お蔭でやっと…ナルトくんと結婚できた。

その間、従兄弟のネジ兄さんは死んだ。

☆☆☆

実は…隠してることがある…。
でも…ナルトくんだけだから…私は…。
ネジ兄さんには申し訳ないけど…。
感謝してる。

きっとネジ兄さんがあの時、戦時中に庇ってくれなかったら…。
私はまだ、ナルトくんと仲良くなれてなかった。
サクラさんに取られてた…。

そしたら…きっと、戦後も反乱が里であった。

その時に…私は…たぶん、ナルトくんを庇って、わざと死んでた。
サクラさんの目の前で…これ見よがしに…。
サクラさんが悪人になる形で。

サクラさんに突き飛ばされて…敵へ進んだふりをして…。

ネジ兄さんが私が死んだあと…どうするかなんて知らない。
もしかしたら…ネジ兄さんは…優しいから…。
私が死ぬのと同時に死んでたかもしれない…。
ネジ兄さんが私に脈があったことも知ってる。

戦後、気が付いてる。
私が酷い女だって自覚もある…。
血も涙もない女だと言うことも。

☆☆☆

ナルトくんからすれば私は大和撫子。
ネジ兄さんの人生を考えれば、私は残酷すぎる女。
理解してる。
でも…それでも…私は折れない。
命を捨ててもナルトくんが好き。
何されても変わらない。

ナルトくんが私へ転んだのは…奇跡。
ナルトくんは…私の勘でもサクラさんが好きだった時代が長すぎた。

私の勘でもあの戦後ですら…まだ私に転んでなかった…。
ナルトくんはきっとサクラさんが好きだった。
だけど…サスケくんの気持ちに心を打たれて…。
同情もして…。
自分から折れた。
そんな優しすぎる男性。
里全員の幸せを祈ってる。
ナルトくんは本当に神様。

ネジ兄さんの事件がなかったら…私は…ナルトくんと一緒になれてなかった…。
だって…ずっとサクラさんの側にはナルトくんがいたから。
普通に考えて…当たり前の話。
私は告白だって何回もした。
だけど…ナルトくんは私とサクラさんで迷ったみたい。
でも…サスケくんの気持ちが分かるまでは…きっと、サクラさんだった…。
アカデミーの頃から…ナルトくんはサクラさんしか見てなかったから…。

☆☆☆

ナルトくんは…まだサスケくんの本性が分かってない節もある。
同情心から折れたみたいだけど。
ナルトくんがサクラさんと一緒になってた話では。
きっと、私もサスケくんもネジ兄さんも亡くなってただろう。

☆☆☆

ナルトくんは里の平和のために…自己犠牲をした。
サクラさんへの恋情を…サスケくんに譲った…。
サスケくんが…サクラさんに脈があることに気が付いて。
優しすぎる男性。

今は私だけを好きでいてくれる。
他の女性が来ても断ってる。
でも、あのときは…サクラさんへ行ってた。
サスケくんの人生に涙を流し…譲った。
それから…ネジ兄さんを失った私の心の痛みに…心を折れ、ネジ兄さんの代わりにナルトくんが私を守ろうと…決意をした。

ネジ兄さんは戦時中…死に際に…。

》おまえは俺を天才だと言った。
そんなおまえを助けたいと…体が勝手に動いた。
それだけの理由だ…《


あの件を…ナルトくんは自分の目の前で仲間を失ったことを…とても悔やんでいたから…。
ネジ兄さんがしたかったことを…しようと決意してくれた。
ネジ兄さんはずっと私を守りたかったと…言い続けてたから…。
ナルトくんは恐らく…ネジ兄さんの気持ちに半分、気が付いてる…。
あの生死を分けた…ネジ兄さんとナルトくんの闘いのあとに…。

ネジ兄さんには…自宅の仏壇の前でいつも…。

(ごめんなさい。
ネジ兄さんの分まで私は幸せになります。
本当にありがとう。
感謝してます)

唱えてる。

ネジ兄さんがいなくなって悲しんでるのは…私よりナルトくん…。
私は酷い女。
ナルトくんと私の恋路を邪魔する人間が減って…しかも、やっとナルトくんと結ばれて…。

(ありがとう、これから幸せになります、見守って下さい・…)

と感謝してる。

場違いも良い言葉…。

ナルトくんは…いつもその話で涙を流して…「助けられなかったってば」…と後悔をしてる。

自宅にある仏壇の前にいる時は…私の隣でナルトくんは…。

「ネジ、すまねえ。
おまえを助けられなかったのは…俺の責任だってば…。
俺は悔しくてたまらねえ。
俺はおまえを幸せにしてやりたかった…。
おまえだって頑張ったのに…俺、知ってるってば…おまえがどれだけ大変な境遇で今まで耐えて来たか。
それなのに…。
里中、全員幸せの渦にしてやりたかったってば…、俺は…。
俺のミスでヒナタが俺を庇った…それをおまえが庇った。
俺のせいだ…俺が敵に気が付かなかったから…だから…おまえは…」

いつも…こう唱えてる。
いつもナルトくんは…悔し涙でボタボタ泣いてる…線香や花と共に飾られてるネジ兄さんの写真を眺めて…。

私は…ナルトくんほど優しい男性を見たことがない。
素晴らしい人格者。

それに対して…私は利己的で酷い女。
だけど…言えない。

私はナルトくんが仏壇で手を拝んだ後にさらに酷いことを言う。

||「ネジ兄さん…。
ごめんなさい…。
ネジ兄さん…。
うううっ…。
私のせいで…私が悪いの…」||

可哀そうな女のふりをする…。
するとナルトくんは絶対に私を庇ってくれる。
最近、これを覚えた。

ナルトくんを手に入れるためならどんなことでも利用する。
私は酷い女。

「ヒナタのせいじゃないってば。
俺が悪いんだってば。
ヒナタ、元気出せってば」

||「ううん…。
ナルトくんは悪くない。
私のせいで…」||

私は思ってもいないことを言ってる…。
ナルトくんの心を私に落とすために可哀そうで愛らしい女のふりをしてる。
ネジ兄さんには本当に悪いとも思う。
ナルトくんは優しいからこれをすればさらに私を見てくれる…。
それが死ぬほどうれしい・…。
私がどれだけ頑張ってナルトくんをこっちに目を向けたか。
死ぬ気で頑張った。
サクラさんから死ぬ気でナルトくんをこっちに転ばせた。
もう戦後2年間はこの技で落とした。
ナルトくんはこれが効くということを学習したから。

私は、子供の名前も決めてる。
男の子が出来たら…ネジ兄さんに因んでボルトって名前にしようと思ってる。
ネジとボルト…両方、機械関係。

本当にすまないって思ってる。
ナルトくんには…ネジ兄さんのことは話せない。
何故、あの時…本当は…私を庇った理由も。
ナルトくんはもしかしたら…ネジ兄さんと生死を分かち合う戦いをしたときに…。
気が付いてるのかもしれない…。

けど、半分程度だって思う。
サスケくんのことも全ては分かってないみたいだから…。

私は…サクラさんとナルトくんが一緒の未来なんて、絶対…受け入れられない…。

ナルトくんこそ我が人生の目的だから。

私はナルトくんだけが、ずっと一番だから…。

ナルトくんのことをこれからも陰から支えてあげたい。
ナルトくんのためならどんなことでもしたい。

大好きだから。

☆☆☆

私は本当は酷い女…暖かい女なんかじゃない。

ネジ兄さんの気持ちを知ってるのに…知らないふりを続けてた…。
ずっとそう…実は…知ってた、私が5歳の頃には既に…。
だけど…知らないフリしてた…そんな女…。
私も馬鹿じゃない、分かってた…。
自分と似てるからこそ、思われてることも視線で分かった…。

でも、一度も優しくしたことがなかった。
ずっと男性としては…突き放してた…、ナルトくんが好きだから…。
いっそ、期待なんてさせないない…冷酷なレベルで…。
自分の罪に…気が付いてる…。

でも…ナルトくんにだけは…このことは…言えない…。

ネジ兄さんの気持ちを考えれば…大変な境遇も考慮すれば…。
本当は…。
ナルトくんは博愛主義すぎる。
きっと…サスケくんとサクラさんが一緒になっても…耐えられそう。

それから…ナルトくんは他にも半漁人の時…ナルトくんのキスを奪った女性もいる…。
少しだけ年上。
その他いっぱいいる。
私が血が通ってれば…我慢してネジ兄さんと共になって…。

ナルトくんは他の女性って線も…あり得た…。

このストーリーなら…誰も亡くならなかった…。

だけど…それが無理だった。
相手が死んでも…それでも…私はどうでも良いレベルで…ナルトくんだけだった。

私が…ネジ兄さんを殺した…。
その罪に気が付いてる。
だけど…私は一族より誰よりナルトくんを愛してる。
ナルトくんに勝てる存在なんていない。
私の父より母より…ネジ兄さんより…ハナビより…誰よりナルトくんが好き…。

☆☆☆

ナルトくんは…サスケくんも…サクラさんも…私も…全員平等に好きみたい…。
少し嫉妬してる。

ナルトくんのために慎ましげで可憐な女性で…これからもいたい…。

でも…これがバレたら…私はナルトくんに酷い女だって思われる、それが恐ろしい…。




永住権A


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