アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

 

4部ミルル@

≪ミルル視点≫



ミルルは成績優秀高校2年生、今年17歳になる女子高生。
腰まで伸びた直毛の茶髪は毎日、手入れしてる。
視力が悪くて眼鏡をかけてるのは、昔から。

ミルルは子役時代から働いて、清純系女優になれって常にお母さんに強要されてきた。
一人称はお蔭で”ミルル”って呼ぶことを徹底してるし、たまに呼び捨てにしてしまうけど…。
男性には敬称"さん"を付けることにしてる…お母さんは割りと躾がウルサイ。

ミルルには幼稚園時代から交流がある男子…同じ歳な灯台キセキさんが好きだった。
白人系のクォーターの血でキセキさんは色素が薄くて長身、天然茶髪茶眼。
ミルルとは違う魅力がある。
性格は物凄く泣き虫だけど…。

いつからかは…分からない、気が付いたら…。
中学2年ぐらいからキセキさんもやっと、男らしく成長して…。
ミルルなりにトキメイていたのに…。

ミルルは徹底的に振られた…。
ミルルのハートは砕け散った。

☆☆☆

ミルルは…キセキさんのことはそれなりに好きだったのに。
振られっぱなし。
ガックリ来てる。

キセキさんのことは随分、好きだったし…ミルルって性悪かもしれないけど、自覚もあるし。
心臓ならタフだって思ってた…。
何年、好きだったかは謎だけど…ミルルなりに暴れ狂うレベルには戦ったのに。
結果、ダメだったみたいで。
もう清純系を演じるのに疲れ果ててる。

だってミルルは全然良い子さんじゃない。
善人でもない。
人間だから悪もある。
天使になんてなれる訳もない。
ミルルはその辺にいる人間以上に気性が荒い。
白目を向いて倒れそうになることだって数回ある。

キセキさんのことなら、蹴ればすぐに泣くけど…その脆弱な精神構造も含めて、ミルルは気に入ってた。
キセキさんの骨髄までミルルなりに愛してたのに。
悔しい、キセキさんを狙う女なら八つ裂きにしてやりたい気分。
キセキさんの首を絞めて懲らしめたい気分。
キセキさんがミルルの愛に屈服をし、従えば良い。
ミルルはキセキさんを征服したい、あやつりたい…こちらへ落としたい…。
でも…それを含めてミルルは耐え続けてきた。
ターシャ国には厳しい法と言うものが存在し、裁かれることなら…ミルルも馬鹿じゃないから知ってる。

胸の怒りや苦しみ…鬱憤を耐えなければならないのは分かる。
実は…今、人生の道について悩んでる。
いつもお母さんの期待に応えて良い子さんを貫いてきたけど、何故か悪に惹かれてる。
理屈じゃなく、何故か…ゼロさんにも惹かれてるみたい。
ミルルは偽善者ほど嫌いな者ってない。
ヘラヘラ笑って何が楽しいわけ?

例えば…ミルルがキセキさんを好きで…他の人間がキセキさんを狙うとする。
ミルルがキセキさんを卑怯手段で落とすとする、それを批判する人間…。
ミルルには理解できない…この世界にはどちらか一つしか選べないことならたくさんある。
それがミルルの考え。

☆☆☆

キセキさんが好きな筈なのに…。
最近…何故か、ゼロさんから夢で邪神国へ勧誘されてる。
ミルルはゼロさんのことが忘れられないみたい。
その理由は分からない…。
数回しか会ってないけど…何故かあの日、以来…何回もゼロさんの夢を見る。
何かにとり憑かれたみたいに。
ミルルはゼロさんは吹っ切れたと自己洗脳するけど…。
夢で会えれば嬉しいみたいで…。
キセキさんが好きな筈なのに…今、ゼロさんとキセキさんを天秤に頭でかけてる。

結果、キセキさんには木端微塵級で玉砕してる。
残ったのは…ゼロさんだけ。
危険なのは理解してる、でも…一目、ゼロさんに会いたいとも願う。
ミルルの衝動が間違ってるのは自覚もある、けど…ミルルは自分の足で走りたい。

本気で謎だけど、ゼロさんにミルルは助けられたのだと解釈してる。
ミルルはそのためにも…ターシャ国でゼロさんが生きる邪神国の日常を演じてみる気で久しぶりに…やる気が出てた。
女優として本心から頑張る気だった。
こんな形になったけど…ミルルはずっと良い子さんを貫いてきたって感じてる。

☆☆☆

お母さんには謝罪の気持ちもある、育ててもらった恩を忘れた訳じゃない。
今まで…家で暴れて壁なら穴だらけになってた。

ミルルは…お母さんが望むようなレディーにはなれない。
ミルルは成績は優秀で、確かに真面目な子とつるみ続けてきたけど。
芸能界でも悪人とつるみたかった。
悪い人にほど惹かれてた、ミルルの隠れた闇を理解してくれそうで…。

暴走族とかにも本当は憧れて、非行にだって走りたかった。
遊びたかった…真面目一筋ほどつまらないものはない。
それを止めてたのはお母さん…知ってる。

お母さんはいつも友人まで選んでた、それにムカついてた。
ミルルは…レールを敷かれた人生に嫌気が差してる。
自由気ままに生きてみたい、誰にも縛られたくない。

お母さんへミルルのお父さんが精子バンクで…ミルルにお父さんがいないことに関して責めたことなら…何度もある。
でも、実は…それは非行の原因とは無関係。
イライラするから八つ当たりのネタにしてただけ。
お母さんを困らせる遊びをしてただけ。
お母さんは困ってくれた、それにミルルはステータスを味わってた。
ミルルは愛されてると…満足した。
お蔭でお母さんがミルルを愛してることなら知ってる。

ミルルは疑問に感じてた。
普通の家はお父さんがいて、お母さんがいて…子供は働かないで…守られて…。
ミルルはお父さんを知らない…しかも…お母さんに女優のための教室へ通わされて…。
子役時代から働いて、お母さんはミルルの稼ぎで食べて…。
それでも良いと思ってた、でも…ミルルには愛されてる自信がなかった。
だから試し続けてた、お母さん…ごめんね。

でも…お母さんは最後までそんなミルルでも全うな道へ進ませようと必死だったと感じてる。
皮肉目線で見れば…稼ぎの種だから、脱落させる訳には行かないとあの手この手だったとも読み取れる。
それでももう良い、ミルルは人を信じるのは苦手…別にどっちでも良い。
まだ完全にお母さんを許してる訳じゃない、でも…信じたいとは思ってる。
こんな性格でごめん、確かに反抗期なのかもしれない…。
お母さんとミルルは違い過ぎて…いつも意見が食い違ってた。
ミルルはそれでも無理して期待に応えてたこと知ってる?

ミルルは遊び狂いたいだけ。

きっとお母さんには理解できないと思う。
だって、ミルルとお母さんは別人種だから。

ミルルが今まで子役時代から働いた金ならそれなりにある。
お母さんには自由に使ってくれて良い。
それが罪滅ぼし。
ミルルが子役時代から稼いだ金で…全身美容整形手術やフランス料理や高級なお洋服、それから…豪邸を買いたいなら…別に良い。
それも許すから。
悪い娘でごめん。

サヨナラ。

☆☆☆




ミルルは自宅に置手紙は残さなかった。
それは…まだ未練があると言う意味になるから。

年に一度のターシャ祭りが終わってから、頻繁に匿名でネットを介して邪神国と繋がってた。
少しでもゼロさんの情報が欲しくて。
ゼロさんは邪神国から来た留学生だから。
ミルルがいるターシャ国と邪神国は政治的にも思想的にも相反する国だけど…。
ミルルは最近、邪神国に興味が沸いてる。

ゼロさんは年に一度のターシャ祭りで勃発した邪神国からのテロ事件…。
あの時にミルルを多分、助けてくれたんだと察してる。
それ以来、ゼロさんは…邪神国へ帰ったんだとミルルは推測してる。
担任の難波アニメ先生はクラスメイトへそのことを伝えてないけど…。
真実を伝えないように国から圧力が出てるんだって解釈してる。

☆☆☆

最近、ネットを介して邪神国の集団が勧誘をかけてくることならニュースで放送されてミルルも知っていた。
すぐにそれは消えるけど…。

その瞬間を見計らって、ミルルはワザと奴らの手中へ落ちたフリをした。
そのためにも必死で邪神語を勉強した。
奴らとやり取りするには邪神語を理解しなければ…文章が打てないから。

☆☆☆

空港から邪神国へ行くのは今…規制が入ってる。
平和国のヴァカンス島へ飛ぶように邪神国から指令が入った。

平和国ヴァカンス島は、休日に遊ぶのにもってこいの離島。
でも…立地的には泳げる距離で邪神国が隣接してる。
平和国は戦争を放棄した国。
年に一度、ターシャ国で開催されるターシャ祭りで…邪神教集団からのクーデーターが勃発してからは、危険から逃れるように…ターシャ人は平和国へ疎開を始 めようと…空港ではラッシュが起きてる。


平和国のヴァカンス島から…ミルルは邪神国へ行くことになるらしい。

☆☆☆

もしものことを考えて…パソコン履歴なら消去した…。
それから、奴らとのやり取りは全てフリーメールを介してパソコンには残らない様に配慮した。
それでも…警察関係の技術がどれほどか分からない。
データー復旧なら出来るかもしれない…。

全ての情報は消せと邪神国から圧力を掛けられた。
でも…自信がない。

☆☆☆

飛行機が離陸の瞬間って不思議な感覚…一瞬、無重力に浸れる。
シートベルトを外れるレベルまで飛行機が上空へ行き、飛行機の窓から外を眺めれば…。
真っ青な空と雲…。
下にターシャ村が見える…。

ミルルの祖国…ターシャ国…。
もしかしたら…もう二度とこの大地を踏むことがないのかもしれないと考えると…。
不思議な感覚。
冷房は館内、効いていてノースリ―ブの桃色ワンピース一枚じゃ寒いぐらい。
一応、夜に寝る用の紫色の毛布なら渡されてる、足の上に掛けた。

手を上げて、金髪マシュルームカットの耳のラインで揃った髪のスチュワーデスさんに平和国言語でリンゴジュースを頼む。
スチューワーデスさんの目が黒いってことは髪は染めてるのかもしれないし…それとも目だけ色素が濃いのかもしれないし…ちょっと分からない。
機内の前椅子から机が内蔵されてて出る仕組み、机にリンゴジュースを乗せた。
それからスナック菓子をスチュワーデスさんから渡されて、つかの間の余暇に浸る。

機内椅子へ個別に内蔵されてるテレビをイヤフォンで聴く。
ミルルが子役時代、出演したドラマの再放送が流れてる、しかも字幕は平和国言語…それから音声は邪神語で。
これを鑑賞することに決めた、邪神語はこれから絶対、ミルルには必要だから。
このドラマを見れば…いろいろな思い出が蘇る。

それ以外に見るものは…やっぱりニュース。
平和国言語の番組がほとんどだけど、ターシャ国言語のチャンネルもある。それから…邪神語の番組も少しだけ。
ラジオもあるけど、今はテレビな気分…。

機内の大きなテレビモニターには映画が上映されてるけど…。
この映画はつまらないことをミルルは知ってるから見る気にならない。
ミルルが上演してない映画なんて、つまらないに決まってる。

数分して、機内食が来た。
ビーフか?フィッシュか?と…赤毛にソバカス、碧目のスチュワーデスさんから尋ねられたので…ミルルは魚にしておいた。

平和国名物…平和鯛のトマトソテーは割りと美味しそう。
グリーンピースの冷風ポタージュスープと、チーズクラッカー。
副菜にジャーマンポテト、パンが2つと結構おいしそう。

平和鯛は赤い魚。
トマトソテーと意外に合う…。

今から日付変更線をまたいで…ほぼ14時間近く飛行機に乗らなければならない。

ミルルは遊んでる暇なんてない。
邪神語の番組を字幕で敢えて見る。

それ以外にも赤い表紙の邪神語単語帳テキストブックだけは持ってきた。
最近、ほぼ徹夜状態で邪神語を勉強してて眠いかもしれない。

夕飯の平和国鳩のフライドチキン。
グリンピースサラダと、マカロニグラタン、
平和国名物…粘度が高く伸びるヴァニラアイスを今度は髪がクルクル旋回した漆黒の髪に巨乳高い位置の巨尻、黒人のスチュワーデスさんがやって来た。
平和国は多人種で揃ってる、人種のサラダボール。

夕飯を食べたら…。
眠気が訪れて…。

座席を少し横たえて、紫の毛布を胸元へ上げて、瞳を閉じることに決めた。


☆☆☆


平和国のヴァカンス島は…植民地。
元々、100年前までは邪神国の領地だったらしい。
今もその名残でまだ邪神国と交流があるらしい。

空港を出て、ヴァカンス島へ到着すれば壮大な水色の寺院の看板が迎える。
ブルーモスクへ行く移動手段は更にバスで1時間ほど。
ヤシの木が連なる道。
高い太陽に光り輝く海と潮風。

道行く人たちは肌が焼けてそれから髪が茶色で…。
さすが平和国って感じ。

島と言うだけあって、海の上には大きな船がたくさん泳いでる。
それから映画の看板もある…。
ここは映画産業でも賑わってるみたい。
空港からすぐ視界の先に海が見える。

☆☆☆

空港を出てすぐにバス乗り場まで来れば…暑い熱風がやって来る。
近所にあった自販機でミネラルウォーターを買った。
これがなければ話にならない。
トランクケースは今回、持ってこなかった。
家から持ち出せば…親にすぐに怪しまれるし、目立ちすぎる。

ブルーモスクへ到着すれば…市場が広がってるとガイドブックに載っていた。
ブルーモスク行きの黄色い3階建のバスに飛び乗った。

☆☆☆

バスの中から景色を楽しむ。
これも観光の御馳走。

屋台で豚の丸焼きが売ってるのが少し、衝撃的。
それから、黄色いバスが3階建てで…背が高いイメージ。
ミルルが乗ってるバス以外にも同じようなバスが路上にいっぱい連なってる。
ちょっと渋滞かもしれない…。

たくさん交通があるみたい。
ヴァカンス島は貿易港だけに高級住宅街で…見たところ、高層ビルが多い。

バスの中から窓を覗けば、路地に猫ぐらいの大きさはあるかもしれない巨大な黒いネズミがいる。
これは驚いた。

平和国ネズミだと聞いてる。
普通にいるらしいけど、本当だったんだ…。

それ以外にも家の中からカメレオンがヒョッコリ出てくることもあるらしいってガイドブックには書いてあった。
そこはビックリ。

カメレオンはこの町では害虫を食べる神様として、大切にされてるみたい…。
あの黒いネズミの姿焼き料理もあるらしいけど…それはちょっとお断り…。
食糧難だった邪神国の植民地時代の名残で…いろいろな料理があるらしい。
何でも食べるって言うのが…ミルルの印象。

このヴァカンス島は混血児が多い。

バスの中も・・窓から見えるヤシの木が連なる路上を歩く住民達もサングラスをかけてる人だらけ。

バスが空港から少し離れれば…窓先の景色がガラっと移り変わって…街路地にはペンキで塗られたオモチャのブロックみたいな家々が続く。

水色の壁の家…桃色の壁の家、黄色の壁の家…。
黄緑色の壁の家。
真っ赤な屋根に、屋根の色も真っ青だったり…いろいろある。
港街の街並みは…色彩に溢れてる。

それは…まるでセキセイインコみたい。
綺麗な景観だけど‥ここは超高級住宅街で庶民には高嶺な花のホワイトハウスらしい。
普通はマンションを買うのが、ヴァカンス島にいる住民の常らしい。
事前に読んで来たガイドブックにはそんなふうに解説されていた。

☆☆☆

バスには1時間も乗った。
バスの運賃って案外、安い。
終点…ブルーモスク前で下り、すぐに市場へ走る。

☆☆☆

市場ではいろいろな生活グッズが売ってる。
もちろん、豚の丸焼きも売ってるけど…それは興味ない。
ココナッツジュースは美味しいから買った。

ココナッツ丸ごと割って…出て来た白い液体を…氷がたくさん入ったプラスチックのコップへ入れてもらう。

ココナッツジュースをストローで吸ってみれば…ほのかに甘くて美味しい。

路上ではおやつも売ってる。
でも、今回は…それ以外にも買いたいものがある…。
そのためにインテリアグッズが売ってる路上テントへ走る。

スプーンやフォーク…などが売ってるテントで目に付いたもの…。
それは…。

肉切包丁、あと…ライター。

---観光客かい?
御嬢さん?
この国の人間じゃないみたいだけど…それとも留学生かい?
この包丁はよく切れるよ---

店主は顔が焼けて鷲鼻が赤くお腹が出たオレンジ髪な中年男性。
ターシャ国語で話しかけて来るから、平和国語でミルルは答えた。

≪留学生よ。
語学目的で来ました。
家で料理するのにちょうど良さそうだわ。
この近所に今日から暮らす予定で…。
生活雑貨を探してるのよ≫

[平和国語、流暢だね。
そうかい…留学生かい。
この寺院は初めてなのかい?]

相手も平和国語でミルルに対応する、ミルルも平和国語で続ける。

≪そうです…≫

[はいよ。
これから寺院へ参拝するのかい?。
それともここへ周辺探索なのかい?
いっぱい買って良いからね。
これから…どこの学校に通うんだい?]

≪通ってる学校は・・秘密です。
寺院に参拝する目的です。
初めてで珍しくて…。
ブルーモスクって綺麗ですね・…。
あの屋根がサファイヤって本当なのですか?
遠目にキラキラしてますね…≫

[そうかい…。
綺麗だろう?
ブルーモスク。
地元の人間は見慣れてしまってるけど…。
あ?
キーホルダーも売ってるよ。
そのライターにもブルーモスクがプリントされてるだろう?
それからその包丁にも…。

平和国は気に入ったかい?
ターシャ人なんだろ?]

≪はい。
良い国ですね。
気に入りました。
ヤシの実が連なってて。
ココナッツジュースがおいしいですね…。
真っ先に買いました≫

[そうかい、ココナッツジュースも人気だよ。
最近、ターシャ国から平和国へやって来る人間は多くて…。
お蔭で大儲かりだよ。
楽しんで良いからね?
友達も呼んできてくださいね?]

≪ありがとうございます…。
それでは…≫

肉切包丁とライターだけ…そこでは買った。
ジュースは飲んだからゴミ捨て場でプラスチックコップとストローならすぐに捨てて。
近所のブルーモスクへ入館した。


☆☆☆

平和国ヴァカンス島にある水色の寺院…ブルーモスクには。
大きな方舟とネズミを祀る像がある。

世界遺産で参拝の際も規則があって、結構ウルサイ。
ここはサンダルや半ズボンは禁止…。

今回は仕方なく、ミュールやサンダルなどの靴は止めて運動靴で来た。
ノースリーブのワンピースなら別に大丈夫らしい。
それから…館内、食べ物の持ち込みは禁止。

サファイヤで出来たブルーモスクの中に木枠で出来た大きな方舟がある。
隣には金色のネズミ像もある。

大きな方舟の前に木枠の看板があって、説明が表示されてる。
平和国言語と邪神国言語だけど、訳してみると…。

☆☆☆

昔昔のことじゃた…。
人間の数が増えて来たことで「騒々しい!」とお怒りの神様は…天からイカヅチを落とし、雷の嵐に世界中がつつまれ、地球は浸水したのじゃ。
その時、選ばれた人間だけが方舟の夢を見て、そこへやって来た方舟に乗り、安全な世界へと逃げたのじゃ。
時は流れ、地球が安全になったころ、方舟に乗って生き残った人間数名は…元の土地へ帰って来たのじゃ。
しかし、ビックリ。
一つだった大陸は…いつの間にか…3分割どころか…島まで出来ていて、地図はあてにならない騒ぎ。
仕方なく、それぞれ銘々が…暮らしやすい土地を探して…放浪の旅へと出かけたのじゃ。

めでたし、めでたし…。

☆☆☆



巨大な木製方舟像の右隣にある金色ネズミ像の前にも金属製プラカードの看板がある。
そこにも、平和国に残る伝説が…平和国言語と邪神国言語で表示されてる。
訳してみると…。

☆☆☆

昔々のことじゃった…。
どこから来たのか不明な…名もなき数名の兄弟が…、草むらで倒れてた傷付いた一匹のネズミへ…面白半分で塩を塗り込んだとさ。
ネズミが「痛いよ、止めてくれ!」と激痛で悶絶したあと…。

そこへ…その名もなき兄弟の末っ子の弟がやって来たとさ。
ネズミはてっきり、また塩を塗られるものだと思い込み、「止めてくれ!」と震えて、反抗するが・…。
末っ子の弟が塗ったのは…薬。

ネズミは助けられ…飛び跳ねて「ありがとう!」と大感激をしたのじゃった…。

そのあと、ネズミは末っ子の弟へ「恩返しとして…平和国にいた王様の娘との恋を斡旋するしよう!」と申し出た。

実は…このネズミ、平和国にいた王様の娘のペット、平和国ネズミで…。
ネズミを助けてくれた心優しき末っ子の弟を王様も娘も気に入り、すぐに二人は籍入りを果たすことに…。

それを知った名もなき数名の兄弟が怒り狂い、

「あの不出来な弟が国を従えるなんて認めない、平和国民を皆殺しにして占領をしよう、それが良い…。
まさか…知らなかったが…こんなところに人間がいたとは…」と、城まで詰め寄って来たのじゃ…。

ネズミは慌てて「止めてくれ!」と…叫び、ピョンと飛び上がった。
その時、海から津波が起きて、兄弟たちは海に流された…。
ネズミや姫様、王様の命は無事で・…。
その後、この不思議な力があるネズミを住民は愛し…ネズミが亡くなった後も…このブルーモスクにネズミを神様として祀るっことになったとさ…。

めでたし、めでたし…。

☆☆☆

て言う伝説らしい。

寺院にはいろいろな人がいる。
目がギョロギョロして痩せこけた人も多い。
子供なのにほとんど裸で背中に弟なのか?
赤子を背負った男の子もいる。
少し、平和国なのに…ブルーモスクは治安が悪そうなイメージがしてくる。
大昔、邪神国の植民地だった名残があるみたいで…。

寺院にある説明書きが…邪神語もある。

☆☆☆

ミルルは金色のネズミ像の前にいる。
それから今日は桃色ノースリーブワンピに、茶色い縁の眼鏡、手入れされたストレートロングな腰まで伸びる茶髪はいつもと同じ。

それから白い運動靴。

あとし白い鞄。



そんな格好を今日してる。


最近では平和国にも邪神教勧誘集団がいる。

平和国にターシャ教の人がいるのと同様に…。

予定では、午前11時。
ブルーモスク金色のネズミ像にて待て。
と連絡が来てる。

これだけの人間がいて…分かるのかしら?
ミルルは一応、洋服の特徴だけ伝えた。
ノースリーブの桃色ワンピだと…。

☆☆☆

あれは数日前の出来事…。
フリーメールでの邪神語によるやり取りで、≪学力優秀高校に通う眼鏡ミルルよ≫とこちらの情報を渡した時、パソコンの向こう岸にいる相手は驚いた。

ミルルは邪神語について少しは分かる。
でも全然かもしれない…。
徹夜でやってもさすがに…。
平和国言語は確かに満点レベルだけど…。
分からないところはフリーの翻訳サイトを利用して、やりとりをした。

〔テロの時に誘拐された人間ですか?
一度、ターシャ国へこちらからの判断で返された筈ですね
何の用ですか?〕

ミルルは年に一度、ターシャ国で開催されるターシャ祭りで、邪神教集団から誘拐された。
あの時、ゼロさんがいなければ…危なかった雰囲気がある。
邪神国から留学生としてやって来たゼロさんの発言によって、邪神教集団に説得が出来て…。
それから、ミルルは無傷でターシャ国へ返還がされた。

あの時は…邪神語はサッパリだったけど…。
たった数日で根性でミルルは邪神語を極めた、これは超能力な域だと思う、人生で一番…頑張った。
殆どねてない、徹夜状態。

≪印度ゼロと言う人を知らないかしら?
ミルルの学校へ留学してきた人よ?≫

〔その情報は渡せません…。
用事は何ですか?
邪神教へ入りたいのですか?〕

≪良いわ、入っても…。
邪神国へ行ってみたい≫

〔そうか…。
私たちは邪神教へ自らの足で進む人間を望んでます。
神のもとに生きるか死ぬか…。
懸けてみる気ですか?
将軍様に遵守しますか?
それでも良いのなら…〕

≪その前に…どうして私が…。
ターシャ国へ戻されたのかしら?≫

〔それは黙秘です。
貴方が眼鏡ミルル本人とは限りませんから…。
最近は警察の潜入も増えていますから〕

≪そう・・≫

〔もし、貴女にその気があるのなら…。
平和国ヴァカンス島のブルーモスク金色ネズミ像の前に午前11時頃、来なさい。
明日の朝にはそこを飛びなさい。
それぐらいの気なら考えましょう。
邪神国は貴女を歓迎しましょう〕

≪本当なの?≫

〔答えは2択です…。
○…か、×…。
貴方は明日、家を飛び出し・…空港から飛びますか?〕

≪良いわ、○よ≫

〔物わかりがよろしい。
明後日、平和国ヴァカンス島のブルーモスク金色ネズミ像の前に午前11時頃、来なさい。
怪しい気配がなければ…私たちから接近しましょう。
どんな服で来るかそれだけ伝えなさい〕

≪ノースリ―ブ桃色ワンピで…≫

〔これ以上のやり取りは終わりです。
このメアドは削除します。
貴方のパソコンは観覧履歴は消去し、痕跡は残さない様に配慮なさい。
邪神国は貴女を歓迎しましょう〕


こんなやりとりのショートメールを数時間に渡って交わした。
その後、そのフリーメールへ送信しても…繋がらなかった。
半信半疑で、ミルルは…平和国ヴァカンス島ブルーモスク金色のネズミ像前へ午前11時に…行くことにした…。
夏休み前だから何とか席が取れたけど…夏休み開始と同時に予約で満席だったみたい…。
ツアー会社は避けて、単独で行くことにした。
ツアーはもう予約でいっぱいで、翌日なんて無理だったから。
結局、飛行機はエコノミークラスになった。
最後ぐらいリッチにファーストクラスでも良かったんだけど…。
それが満席で…。
平和国ヴァカンス島って余暇に人気のリゾート地だから…。
芸能人ご用達なこともあって、ファーストクラスが満席なのはビックリした。
あまり、知り合いには会いたくないのが本音だけど…。

てっきり、エコノミークラスが満席でビジネスクラスやファーストクラスは空席だって思ってたから、そこは予定外だった。
やっぱり、あと数週間で夏休みになることも関係してるみたい。


☆☆☆












































第4部ミルルを読む前のイラスト


目次

第4部ミルルA



【祝;カウンター1万アクセス♪】

いつの間にか。夏真っ盛り。
夏の余暇を利用して遊びに行ってきました。
やっぱり旅行中は趣味の創作もサボって。
仲良く和気藹藹♪

今年中に、このシリーズが終了出来るのか不安に感じつつ、綴ってます。
読んでくださってる方、ありがとうございます♪

いつの間にか…。
HPのカウンターが1万を越えました。

とても嬉しいのですが。
何もお祝いが出来ないところも悲しくあります。
因みに一気に更新するスタイルで。

都度に知らせてないのですが…。
読んでもらうことより自分が読みたいと感じる話を綴ってる感じですね…。

なるべくキャラは被らないように綴ってるので。
自分と共感できないキャラもいる訳で。
これが難しかったりしますね。

特にミルルとマナナは…毎回、性格は逆だと念じて綴ってるので…。
これまた大変ですね。

超個人的趣味で運営してるので。
好き嫌いが別れそうな話だなと、毎回感じつつ、綴ってます。

今回は戦闘シーンもいれたのですが。
実は戦闘より個人的にはストーリーの方が好きなタイプで…。
ミステリー風味を入れてみました。
それから管理人は割りとオカルトやファンタジー…好きですね。

一応、つじつま合わせのために数ページ書いて、そこから変なところは修正して更新してる雰囲気です。

シリアスなのかギャグなのかこの話…分からなくなってますが。
まだ続きます…。

因みにマナナの回では。
マナナが性的に濃いので書くのが照れて仕方なかったですね…。
またあれが続くのかと思うと・・。
書く方としては違う意味で執筆がストップしてしまいます;;

恋愛小説って書いたことが少なかったのですが・・。
読むのは照れないのですが、書くと戸惑うタイプみたいです。
何故か管理人が書くと官能小説的な展開へ進んでしまうことが多いのですが…ついて来れてるでしょうか?















…キャラ紹介…



↑≪眼鏡ミルル≫
子役から女優として働いてる。
気性が荒いスポコン系知的な女子。
父親は精子バンクで不明。



↑眼鏡花子
ミルルの実母。
娘に全く似てない容姿と近所でからかわれる。


↑「灯台キセキ」
ミルルが長年好きだった男子。


↑【印度ゼロ】
ミルルが一目惚れを起こした留学生。





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