アナタノコトガスキデス

萌え妄想のまま走るいろいろ創作小説の予定。苦情無断転載禁止。

……社RQターシャ泉の巫女C(改)どこまでも陰鬱な序盤。奪回なるか?

ター シャ泉の巫女C

 



 『どうしてそこまで……成績が上がりたいのですか?  私には分かりません。 貴女のしてることが』  

 後光はそこから赤になり……そして水色になってる。 声が小さくなった。 特に意味はない。 聞こうかとも感じた。

 「え、その……。 お母さんに叱られてて。 それもあるのですが。 お母さんが泉の巫女様と友達に私がなれると良いねって微笑んでて。 えっと。その……」
『帰って下さい。 もう開演ですわ。 お客様が見えました』  

 後光も赤になったり、紫になったり……忙しい。キラキラ光る妖精だ。 常にこれだ。 今日来たお客様は、20代ぐらいな女性だ。

 [雑誌にココが載ってって。 ここで力を与えてもらうと。0に近くて叶いにくいことでも6割の確率で叶うって]
『……』
[ わああ。 ターシャ神に選ばれるだけあって信じられないほど発光してるレベルの巫女様。 紫の光なんですね]
『……』
[ 光も不規則に変わるって雑誌にも載ってました]
『……』
[ まるで、ミロのビーナス誕生の瞬間絵図の ような美しさって雑誌でも書いてたけど。 想像以上!]
『……』

 熱狂徒の会話はわざとらしい……。
 そんなふうに載ってるらしい。 まあ、そうだろう。 逆に言えば。 全員、叶いにくいことばかりしか…ココには願いに来ない。

『汝の願い事をどうぞ』
 [実は……好きな人がいるんです。 もう婚約までしてしまってて、私以外の女性と。 何とか別れさせて私の方へ振り向けさせたいんです。 お願いします。 村の女神様、世界の救世主様]  

 今回は本当に大変な願い事をしてきた。 こんな雰囲気が割りと多い。 女性はそうだ。  ターシャ祭が開催された時に男性からされる願い事も出世目当てとか、そんな雰囲気が多い。

 『分かりましたわ。 汝に力を与えましょう』  

 俺は女性客を誘導し、手を取った。 脳裏のうり一点に集中する。 これが結構疲れる。 そして、脱力する。 そうすれば、俺は体内から客へ力が流れるイメージが沸く。 ただそんなフリをするだけだ。 どういう仕組みか分からないが。 "ミロのビーナス"のような外見をしてる俺に、これをされた人間は。 マインドコントロールか理由は不明だが……結果的に、割りと効いてる。

 [これだけですか?]
『そうです。 でも他の方達も割りと効いてるみたいですので』
[そうですか。 なんだか、勇気が沸いてきましたわ。 私、頑張ってみます。 ありがとうございます。泉の妖精、ターシャ神の巫女様]  

 ”頑張る”ということは。 略奪愛をするということか?  仕事も精神的に疲れる。
 ――――(奪われた方はどうなるのか?)――――
 と一瞬、脳裏に過る。

 『幸運を祈りますわ…』  

 隣でマナナが俺をじっと凝視してる。 もう長年、幼い頃からこんな感じだ。 後光も赤くなったり、紫になって……水色と動いてる。

 [うわあ。 光り方が本当に変わった…綺麗、ファンになりそうです。 それでは。 これ、御代。 泉の巫女さん。 ありがとうございます♪  また来ます]
 『どういたしまして。 またのおこしを…』  

 決まり文句で代金、1000タ$を戴く。 意外にしかし、疲れてる。 次も客がいる。

[ターシャ神の巫女様。 泉の妖精様。 お願い事があるんですが、息子のことで……]  

 次は中年の叔母様だ。 前も来てた。 常連になる客も多い。 こんな感じで業務は続く。 隣にマナナは黙ってまだいる。 俺はもう本気で早く帰って欲しいが。 今、緑の後光に覆われてる。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  

 今日は5人、訪問した。 夜9時になれば、やっと解放される。 5人来た辺りから今日は暇だ。 それでも俺は、ミサで読書する暇すらない。 村の守り人としてだ。 マナナが今日は帰ってくれない。 全身から黄色発光してる。

「泉の巫女様がどこへ帰るのか、今日は確認しますわ。  えっと、 泉の巫女様。 もう私、10年は通ってるので。 今日こそ、お友達に」  

 この10年間、ほとんど成績アップの願い事だった。

 『…』  

 喋る気力も沸かない。 今日は一番客の20代女性が一番若かった。 たまに中学生くらいな子も訪れることもある。 開店が夜7時から9時だから、さすがに小学生は来ない。  マナナ以外で高校生くらいな可愛い子が来たときは一番、テンションも上がる仕事だ。 俺も高校通ってるからだ。

 「えっと。 私のこと、嫌ってるのですか?  私、スピチュアルは信じる方で。 それで、えっと。 泉の巫女さんっていつも凄いなって」  

 ストーカーも同然だ。

 『そこまで成績が上がりたいのなら神頼みなどおよしなさい。 自宅か今、ここで勉強でも始めなさい』
 「良いのですか?  ここで勉強しても」

 失言した気がする。

 『自宅へ帰りなさい。 ココでは許しません』
 「あの……泉の巫女様って。 勉強とかはしてるのですか?  やっぱり泉の下に暮らす妖精さんなのですか?  夜の闇に光る巫女様は本当に綺麗。 見惚れちゃう。 えと。数学や英語って分かりますか?」  

 イラついた。 俺を覆う光が……赤、紫へと変わる。

『お願いです。 お帰り下さい』
「えっと。 この問題なのですが。 数学2B って分かりますか?」
 『……』  

 俺は今、緑の光に覆われてる。 いつも七変化に俺の体から出る光は、クラゲ風に変わる。 本当に職場から出たい。 まだあと30分も残ってる。 今、8時半か。

 『私にこれから先ずっと忠誠をつかわせなさい。 今、私に土下座をしなさい。 そうすれば、一問だけ数学の問題を解いてあげましょう』  

 相変わらず、後光は赤、紫、ピンクに変わってる。 苛めようかとも感じた。

 「え?」
『出来ないなら帰って下さい。 本気で営業妨害として訴えます。 毎日、私は嫌がってます』  

 これも真実だ。 俺の肌から出る発光色素が赤、紫、ピンクへと順番に変わっていく。 マナナは顔をポカンとしてる。 まあ、数学の問題ぐらいで土下座は普通、しないだろう。 要するに帰れ邪魔だ、ということだ。 しかし…。

「お願いします。 一問、解いてください。 泉の巫女様」  

 お前は大道芸人か?というノリで。 突然、夏服水色セーラー服姿で、地面にオカッパ頭な黒髪を付けてマナナは土下座をした。 俺もそんなことをされれば、逆に反応に戸惑う。 俺から放つ光が赤、茶色にユラユラ光ってる。

 『……』
 「どうしてもわからないのです。 私の頭では解けないのです。 泉の巫女様の力が欲しいのです」  

 開演料も払わず、よく言う。 後光が赤、緑に変化していく…。

 『…』
「この問題なのですが? 分かりますか?」  

 マナナの黒い瞳が上目遣いだ。 じっと、問題を見詰めた。 悪いがすぐに解き方が分かった。 そこまで難しい問題ではない。 例題@に近い。 俺から放つ光が黄色になる。 本当に、俺はいろいろ光り方が変わる珍妙な生物だ。 お蔭で客も大勢来る。

 『…』  

えっと。口でダメなら。 文字でも。  筆跡でバレそうだ。 まあ、マナナが俺が書く筆跡を知ってる訳なんてないが。  俺は仕方なく、口で回答することにしてやった。

 『この問題は……』  

 マナナも土下座までしたからだ。 一問くらいなら許してやろうと思えた。 マナナは黒目を輝かせた。

 「凄い、泉の巫女様って……顔が良いだけではなくて、不規則な色へと光るだけじゃなくて。 数学の問題まで解けるなんて、凄すぎる。 えっと、泉の巫女様は、普段何をされてるのですか?  そもそも人間なんですか? 今も綺麗にユラユラ光ってる……」
 『…』  

 俺から発光する光がピンク、赤、オレンジと忙しい。 海のようにユラユラ揺れ動くイルミネーションが俺の売りだ。 雑誌でも紹介されてる。 そのお蔭で"泉の巫女"と信じて疑わず、"泉の下で暮らす妖精"だと思われてる。  しかし……ここら辺、全く言う気にならない。  時計を見れば……やっと、9時だ。 解放される。  俺は……テントは出ることにした。 俺は緑光してる。 ……髪も緑みかかった金色になってる。 体もだが……。 髪色も発光により微妙に色が変わってる。

 「泉の巫女様、えと……」
『ここから先は私にしか通ってはいけない。 関係者以外立ち入り禁止区域ですわ。 お帰り下さりませ』  

 俺は俺用に用意されてる細道を通った。 白いドレスを翻がえして……泉の向こう岸に は……青いテントがある。 それも、関係者以外立入禁止区域ではある。

「そうですか。 それでは。 また明日。 私たち、友達になれますか?  えっと、数学の問題、教えて下さってありがとうございます。 巫女様の光り方ってクラゲに例えられるけど、花火やネオンにも似て……本当に綺麗」  

 マナナはとても嬉しそうだ。 俺の体も赤、桃色、オレンジ、黄色とせわしない。 このお蔭で、誰もが普通の人間とは思わず、別世界から来た妖精扱いだ。 俺は横目で眺めて。そっと退散した。
 泉の向こう岸は割りと遠い。
 泉の手前には”関係者以外立入禁止”と書かれた看板が立ってる。泉の上には、白い橋が架かってる。 ターシャ泉には、空に浮かぶ三日月が反射して、映ってる。 もう夜も深い。 俺の体は黄色に光ってる。
 500m〜1q程度ある。 そこまで進めば、マナナの姿はもう見えない。 6畳しかない青い鉄筋で出来た高床式テントに入って白いドレスを脱ぐ。 女の体だ。 ここには全身鏡もある。 そこに映る自分は華奢な"ミロのビーナス"で……桃色に光ってる。 金髪もピンク味が差してる。 海洋生物が発光する色に似てる。 それから。 5000タ$が入った封筒を手にして、学ランに着替える。 まだ俺の体は女性だ。  
 しかし、青いテントから数メートル離れれば、そこが泉の端から1km境だ。 俺は女から男へ体が戻る。 毎回だ。 もちろん、光らなくなる。  
 いつも通り、鞄を手にして……自宅へ向かう。 帰宅すれば……数学の宿題をするつもりだ。 マナナの前で一問、解いたが。 アイツも全部、宿題は……キセキ辺りに聞けばいいのに。 キセキは今頃、塾だろう。  
 俺だけ忙しすぎて通えない。 俺の家へ課せられた宿命だ。 俺は溜息を一回、吐いて……自宅への道を進んだ。
 明日もどうせ、俺はマナナと喧嘩するだろう。 そんな運命にあるんだろう。  俺はアイツは大嫌いに決まってる。










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序盤の暗さは作者的にも何とかならないかと思い返す箇所も多々ですね。
1頁が長いな……と感じたので分割してみました。
いつもありがとうございます。

スタイルシート変更しました。読みやすくなったでしょうか?
改悪でしょうか?

BCに関してはほぼ手直しなしでUPしました。






≪眼鏡ミルル≫


「異能マナナ」
…月神タリアの幼馴染

☆「王族レイカ」
…スピルチュアルの好きな女子大生

 
『月神タリア』 (女体化)

 
「灯台キセキ」
…タリアの親友

 
U難波カンサイU
…キセキを崇拝する女子

 
||大和ナデシコ||
…キセキを崇拝する女子




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